特許第5974337号(P5974337)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5974337
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】折り加工された用紙の異常検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/28 20060101AFI20160809BHJP
   G01N 21/84 20060101ALI20160809BHJP
   B65H 43/00 20060101ALI20160809BHJP
【FI】
   G01B11/28 H
   G01N21/84 Z
   B65H43/00
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-186976(P2012-186976)
(22)【出願日】2012年8月10日
(65)【公開番号】特開2014-38077(P2014-38077A)
(43)【公開日】2014年2月27日
【審査請求日】2015年8月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】515180479
【氏名又は名称】エムエムシステムズ有限会社
(72)【発明者】
【氏名】松田 和也
【審査官】 神谷 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−238324(JP,A)
【文献】 特開2007−220052(JP,A)
【文献】 特開平09−062824(JP,A)
【文献】 特開平08−077323(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/00− 7/20
B65H 43/00−43/08
G01B 11/00−11/30
G01N 21/84−21/958
G06M 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り加工された複数の用紙を背部が同一平面に並ぶように揃え、揃えた複数の用紙を両側から押さえ板で押さえ、背部の前方斜めより光を照射して背間の凹部に影部、背部に非影部を生じさせ、前記の両側の押さえ板と、前記の揃えた複数の用紙の背部を前方よりアナログ方式のカラーテレビカメラで、前記の凹部の影部が、前記アナログ方式のカラーテレビカメラから得られるカラー画像信号の水平走査線と直角になるように撮像し、得られたアナログカラー画像信号の背部撮像部の水平走査線1本分のアナログ信号の赤・緑・青の色の強さを、一方端から他方端までカラーアナログ−デジタル変換回路によって、前記のアナログカラーテレビカメラの最小解像単位ごとに多値化した値に変換し、変換された赤・緑・青の色の強さの値を、一方端から他方端まで、前記のアナログカラーテレビカメラの解像度の数で構成されるデジタル信号の各構成点に対応させて順次記憶させ、一方端から他方端まで前記水平走査線1本分の構成点の色の強さの測定信号を順次それぞれの構成点ごとに、構成点の値とあらかじめ設定された用紙基準線の値と比較して、初回は初めて用紙基準線の値より色が強くなり、用紙基準線の値より色が弱くなった場合に非影部と判定し、次回以降は用紙基準線の値より色が弱くなった状態から、用紙基準線の値より色が強くなり、用紙基準線の値より色が弱くなった場合に非影部と判定し、判定された非影部を用紙の背部とし、背部の数を積算して用紙の枚数を計数するとともに一方端から、他方端まで用紙基準値より色が強くなった構成点の色の強さから用紙基準線の色の強さを減算した値を、次回用紙基準値より色が弱くなった構成点の一つ前まで積算しそれぞれの用紙の面積を求め、次いで用紙の枚数から平均の面積を算出し、各用紙の面積を平均の面積または正常な用紙の面積と比較することにより、異常を検出することを特徴とする折り加工された用紙の高精度異常検出方法。
【請求項2】
折り加工された複数の用紙を背部が同一平面に並ぶように揃え、揃えた複数の用紙を両側から押さえ板で押さえ、背部の前方斜めより光を照射して背間の凹部に影部、背部に非影部を生じさせ、前記の両側の押さえ板と、前記の揃えた複数の用紙の背部を前方よりアナログ方式のモノクロテレビカメラで、前記の凹部の影部が、前記アナログ方式のモノクロテレビカメラから得られる画像信号の水平走査線と直角になるように撮像し、得られたアナログモノクロ画像信号の背部撮像部の水平走査線1本分のアナログ信号の輝度の強さを、一方端から他方端までモノクロアナログ−デジタル変換回路によって、前記のアナログモノクロテレビカメラの最小解像単位ごとに多値化した値に変換し、変換された輝度の強さの値を、一方端から他方端まで、前記のアナログモノクロテレビカメラの解像度の数で構成されるデジタル信号の各構成点に対応させて順次記憶させ、一方端から他方端まで前記水平走査線1本分の構成点の輝度の強さの測定信号を順次それぞれの構成点ごとに、構成点の値とあらかじめ設定された用紙基準線の値と比較して、初回は初めて用紙基準線の値より輝度が強くなり、用紙基準線の値より輝度が弱くなった場合に非影部と判定し、次回以降は用紙基準線の値より輝度が弱くなった状態から、用紙基準線の値より輝度が強くなり、用紙基準線の値より輝度が弱くなった場合に非影部と判定し、判定された非影部を用紙の背部とし、背部の数を積算して用紙の枚数を計数するとともに一方端から、他方端まで用紙基準値より輝度が強くなった構成点の輝度の強さから用紙基準線の輝度の強さを減算した値を、次回用紙基準値より輝度が弱くなった構成点の一つ前まで積算しそれぞれの用紙の面積を求め、次いで用紙の枚数から平均の面積を算出し、各用紙の面積を平均の面積または正常な用紙の面積と比較することにより、異常を検出することを特徴とする折り加工された用紙の高精度異常検出方法。
【請求項3】
折り加工された複数の用紙を背部が同一平面に並ぶように揃え、揃えた複数の用紙を両側から押さえ板で押さえ、背部の前方斜めより光を照射して背間の凹部に影部、背部に非影部を生じさせ、前記の両側の押さえ板と、前記の揃えた複数の用紙の背部を前方よりデジタル方式のテレビカメラで、前記の凹部の影部が、前記テジタル方式のテレビカメラから得られる画像信号の水平走査線と直角になるように撮像し、得られた画像信号の背部撮像部の水平走査線1本分の画像信号の強さを、一方端から他方端まで前記のデジタルテレビカメラの解像度の数で構成されるデジタル信号の各構成点に対応させて順次記憶させ、一方端から他方端まで前記水平走査線1本分の構成点の画像信号の強さを順次それぞれの構成点ごとに、構成点の値とあらかじめ設定された用紙基準線の値と比較して、初回は初めて用紙基準線の値より画像信号が強くなり、用紙基準線の値より画像信号が弱くなった場合に非影部と判定し、次回以降は用紙基準線の値より画像信号が弱くなった状態から、用紙基準線の値より画像信号が強くなり、用紙基準線の値より画像信号が弱くなった場合に非影部と判定し、判定された非影部を用紙の背部とし、背部の数を積算して用紙の枚数を計数するとともに一方端から、他方端まで用紙基準値より画像信号が強くなった構成点の画像信号の強さから用紙基準線の画像信号の強さを減算した値を、次回用紙基準値より画像信号が弱くなった構成点の一つ前まで積算しそれぞれの用紙の面積を求め、次いで用紙の枚数から平均の面積を算出し、各用紙の面積を平均の面積または正常な用紙の面積と比較することにより、異常を検出することを特徴とする折り加工された用紙の高精度異常検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り加工された用紙の異常検出方法に関するものであり、詳しくはカタログ、パンフレット、説明書などの印刷物の折り加工された用紙の変形を高精度検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カタログ、パンフレット、説明書などの多数枚の同一種類の印刷物においては、所定の大きさに整理するために折り加工機で折り加工することが行われており、それぞれの用紙の形状が均一であることが重要視され、変形した用紙は自動用紙挿入機などでの運搬時に不具合を生じさせるため、変形した用紙を検出、除外することが必要となっている。
【0003】
このような折り加工された用紙の異常検出方法としては、特許文献1に記載されているように、用紙の背部を、カラーテレビカメラやモノクロテレビカメラで撮像して映像情報を得たり、輝度計などを用いて輝度情報を得た後、得られた映像情報や輝度情報を二値化または三値化して枚数計数と同時に検出する方法が提案されている。
【0004】
しかし、2枚重なった用紙を折り加工した場合や、折り加工機出口部分で用紙が挟まり込んだ用紙の厚みを二値化または三値化して、異常を検出する方法では、厚さの異常を検出するにとどまり、最終折り目の状態を対象としていないため、高精度に異常を検出する場合に問題点となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】 特開2007−238324号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、折り加工された複数の用紙において、折り行程における最終の用紙折り目の形状を高精度に解析し異常を検出することを可能とする、折加工後の用紙の異常検出方法の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するものであって、折り加工された複数の用紙を背部が同一平面に並ぶように揃え、揃えた複数の用紙を両側から押さえ板で押さえ、背部の前方斜めより光を照射して背間の凹部に影部、背部に非影部を生じさせ、前記の両側の押さえ板と、前記の揃えた複数の用紙の背部を前方よりアナログ方式のカラーテレビカメラで、前記の凹部の影部が、前記アナログ方式のカラーテレビカメラから得られるカラー画像信号の水平走査線と直角になるように撮像し、得られたアナログカラー画像信号の背部撮像部の水平走査線1本分のアナログ信号の赤・緑・青の色の強さを、一方端から他方端までカラーアナログ−デジタル変換回路によって、前記のアナログカラーテレビカメラの最小解像単位ごとに多値化した値に変換し、変換された赤・緑・青の色の強さの値を、一方端から他方端まで、前記のアナログカラーテレビカメラの解像度の数で構成されるデジタル信号の各構成点に対応させて順次記憶させ、一方端から他方端まで前記水平走査線1本分の構成点の色の強さの測定信号を順次それぞれの構成点ごとに、構成点の値とあらかじめ設定された用紙基準線の値と比較して、初回は初めて用紙基準線の値より色が強くなり、用紙基準線の値より色が弱くなった場合に非影部と判定し、次回以降は用紙基準線の値より色が弱くなった状態から、用紙基準線の値より色が強くなり、用紙基準線の値より色が弱くなった場合に非影部と判定し、判定された非影部を用紙の背部とし、背部の数を積算して用紙の枚数を計数するとともに一方端から、他方端まで用紙基準値より色が強くなった構成点の色の強さから用紙基準線の色の強さを減算した値を、次回用紙基準値より色が弱くなった構成点の一つ前まで積算しそれぞれの用紙の面積を求め、次いで用紙の枚数から平均の面積を算出し、各用紙の面積を平均の面積または正常な用紙の面積と比較することにより、異常を検出することを特徴とする折り加工された用紙の高精度異常検出方法であり、折り加工された複数の用紙を背部が同一平面に並ぶように揃え、揃えた複数の用紙を両側から押さえ板で押さえ、背部の前方斜めより光を照射して背間の凹部に影部、背部に非影部を生じさせ、前記の両側の押さえ板と、前記の揃えた複数の用紙の背部を前方よりアナログ方式のモノクロテレビカメラで、前記の凹部の影部が、前記アナログ方式のモノクロテレビカメラから得られる画像信号の水平走査線と直角になるように撮像し、得られたアナログモノクロ画像信号の背部撮像部の水平走査線1本分のアナログ信号の輝度の強さを、一方端から他方端までモノクロアナログ−デジタル変換回路によって、前記のアナログモノクロテレビカメラの最小解像単位ごとに多値化した値に変換し、変換された輝度の強さの値を、一方端から他方端まで、前記のアナログモノクロテレビカメラの解像度の数で構成されるデジタル信号の各構成点に対応させて順次記憶させ、一方端から他方端まで前記水平走査線1本分の構成点の輝度の強さの測定信号を順次それぞれの構成点ごとに、構成点の値とあらかじめ設定された用紙基準線の値と比較して、初回は初めて用紙基準線の値より輝度が強くなり、用紙基準線の値より輝度が弱くなった場合に非影部と判定し、次回以降は用紙基準線の値より輝度が弱くなった状態から、用紙基準線の値より輝度が強くなり、用紙基準線の値より輝度が弱くなった場合に非影部と判定し、判定された非影部を用紙の背部とし、背部の数を積算して用紙の枚数を計数するとともに一方端から、他方端まで用紙基準値より輝度が強くなった構成点の輝度の強さから用紙基準線の輝度の強さを減算した値を、次回用紙基準値より輝度が弱くなった構成点の一つ前まで積算しそれぞれの用紙の面積を求め、次いで用紙の枚数から平均の面積を算出し、各用紙の面積を平均の面積または正常な用紙の面積と比較することにより、異常を検出することを特徴とする折り加工された用紙の高精度異常検出方法であり、折り加工された複数の用紙を背部が同一平面に並ぶように揃え、揃えた複数の用紙を両側から押さえ板で押さえ、背部の前方斜めより光を照射して背間の凹部に影部、背部に非影部を生じさせ、前記の両側の押さえ板と、前記の揃えた複数の用紙の背部を前方よりデジタル方式のテレビカメラで、前記の凹部の影部が、前記デジタル方式のテレビカメラから得られる画像信号の水平走査線と直角になるように撮像し、得られた画像信号の背部撮像部の水平走査線1本分の画像信号の強さを、一方端から他方端まで前記のデジタルテレビカメラの解像度の数で構成されるデジタル信号の各構成点に対応させて順次記憶させ、一方端から他方端まで前記水平走査線1本分の構成点の画像信号の強さを順次それぞれの構成点ごとに、構成点の値とあらかじめ設定された用紙基準線の値と比較して、初回は初めて用紙基準線の値より画像信号が強くなり、用紙基準線の値より画像信号が弱くなった場合に非影部と判定し、次回以降は用紙基準線の値より画像信号が弱くなった状態から、用紙基準線の値より画像信号が強くなり、用紙基準線の値より画像信号が弱くなった場合に非影部と判定し、判定された非影部を用紙の背部とし、背部の数を積算して用紙の枚数を計数するとともに一方端から、他方端まで用紙基準値より画像信号が強くなった構成点の画像信号の強さから用紙基準線の画像信号の強さを減算した値を、次回用紙基準値より画像信号が弱くなった構成点の一つ前まで積算しそれぞれの用紙の面積を求め、次いで用紙の枚数から平均の面積を算出し、各用紙の面積を平均の面積または正常な用紙の面積と比較することにより、異常を検出することを特徴とする折り加工された用紙の高精度異常検出方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の折り加工された用紙の異常検出方法によれば、多値化したデータにより個々の用紙最終折り目の情報から折り加工後の異常の検出を高精度に行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】 正常に折り加工された用紙の一例を示す断面図である。
図2】 折り加工された用紙の最終折り目が尖った一例を示す断面図である。
図3】 折り加工された用紙の最終折り目が変形した一例を示す断面図である。
図4】 折り加工された複数の用紙1の異常を検出する手段を示す説明図である。
図5】 正常に折り加工された用紙12枚を揃え置いた状態の断面図である。
図6図5の用紙を撮像して得られた水平走査線一本分の開始端から終了端まで信号の強さを表示したグラフで、用紙基準線とグラフの交点を示した模式的なグラフである。
図7】 左端部の1枚目用紙の構成点及び構成点間を結んだ直線、用紙基準線を示し面積を求める詳細を示したグラフである。
図8】 正常に折り加工された用紙10枚と変形した用紙2枚を揃え置いた状態の断面図である。
図9図8の用紙を撮像して得られた水平走査線一本分の開始端から終了端まで信号の強さを表示したグラフで、用紙基準線とグラフの交点を示した模式的なグラフである。
図10】 揃え置いた正常な用紙25枚を撮像して水平走査線一本分の開始端から終了端まで信号の強さを表示したグラフであって、用紙基準線とグラフの交点を示した実際の具体的なデータに基づくグラフである。
図11】 揃え置いた正常な用紙23枚と右端から3枚目及び左端から3枚目に変形した用紙を2枚を撮像し水平走査線一本分の開始端から終了端まで信号の強さを表示したグラフであって、用紙基準線とグラフの交点を示した実際の具体的なデータに基づくグラフである。
図12】 正常な用紙24枚と左端から5枚目に用紙を2枚重ねて折った用紙を1枚を整列させたが、右端より5枚目の用紙の整列が適正ではない状態で撮像し水平走査線一本分の開始端から終了端まで信号の強さを表示したグラフであって、用紙基準線とグラフの交点を示した実際の具体的なデータに基づくグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて本発明の実施態様を詳細に説明する。
図1は、所望の大きさに折り加工された用紙の一例であって、1は折り加工された用紙、2は折り加工された用紙1の背部であり、背部2は図のように半円形状になる。
【0011】
図2は、折り加工された用紙の最終折り目が尖った一例であって、1は折り加工された用紙、2は折り加工された用紙1の背部であり、背部2は図のように尖った形状になる。何らかの原因で、折り加工中または排出部分などで通常より用紙に大きな圧力がかかった場合に最終折り目が尖るような現象が起き、用紙全体が変形するなどの異常がきたされる場合がある。
【0012】
図3は、折り加工された用紙の最終折り目が通常の半円形状にならず、歪んだ状態になった一例であって、1は折り加工された用紙、2は折り加工された用紙1の背部であり、背部2は図のように歪んだ半円形状形状になる。何らかの原因で、折り加工機内で用紙の両面を押しつけて用紙を運ぶローラー部分で片側に滑りが生じ、最終折り目に不要な力が用紙片側面だけに働き、最終折り目を変形させる現象が起きた場合に、最終折り目が歪む現象が起き、用紙全体が湾曲したり、用紙にしわが入るか、または最終折り目部分の用紙の変形で用紙を開いたときに印刷されている文字が読みづらい異常がきたされる場合がある。
【0013】
図4は、折り加工された複数の用紙1の厚さ計測する手段を示すものであって、折り加工された複数の用紙1を背部2が同一平面に並ぶように揃え、両側から押さえ板3で押さえ、背部2の前方の斜め方向から照明装置4で光を照射して背部の凸部に非影部(輝部)5を、背間の凹部に影部6を生じさせる。照明装置4は、右方又は左方のいずれか一方に配置してあれば良いが、右方と左方の両斜め方向に配置して、両斜め方向から照射すると、均一な照明が可能である。揃えた複数の用紙1の背部2と両側の押さえ板3とを、その前方に固定配置したテレビカメラ7で、すべての影部6が撮像されるように影部6とテレビカメラ信号の水平走査線と直角となるように撮像する。テレビカメラ7の位置は左右が均一に撮像することができるように複数の用紙1の中央であることが望ましい。得られた画像は画像モニター8で画像の状態を確認し、良好な画像を得るようにする。
【0014】
次に、テレビカメラ7がアナログ方式のカラーテレビカメラの場合には、カラーテレビカメラから得られたアナログカラー画像信号をカラーアナログーデジタル変換回路9によって、赤、緑、青の色の強さを多値化したデジタル信号に変換し、コンピュータ10に送り、多値化したデジタル化信号のそれぞれの色の強さを、水平走査線を構成する各構成点に対応する多値化した色信号に変換する。カメラがデジタル方式の場合にはデジタル信号を直接、コンピュータ10に送り、演算に使用してもよい。また、得られたデジタル信号の三色すべてを計数に使用することもできるし、用紙の色に応じてもっとも強く現れる最適の色信号を選び、代表する信号とすることもできる。特に、用紙の色が紺色・青色系統の場合には、青色信号だけが鮮明にあらわれ、赤・緑色の色の強さは不鮮明になるので、誤計数を防止するために計数に使用しない方がよい場合が多い。紺色・青色系統の用紙色の場合には、モノクロカメラを使用すると、計数が難しくなるので、これらの色の用紙の計数には、カラーテレビカメラを使用することが望ましい。
【0015】
テレビカメラ7がモノクロテレビカメラの場合には、得られた画像信号をカラーアナログーデジタル変換回路9をモノクロアナログーデジタル回路に変更し、前記モノクロアナログーデジタル回路に送り、アナログ輝度信号を多値化した輝度信号に変換し、図2のコンピュータ10に送り、画像信号の輝度を水平走査線を構成する各構成点に対する多値化した信号に変換する。
【0016】
変換された赤・緑・青の色の強さの値を、一方端から他方端まで、前記のアナログカラーテレビカメラの解像度の数の構成されるデジタル信号の各構成点に対応させて順次記憶させ、揃えた複数の用紙1の計数にさいしては、一方の押さえ板3から複数の用紙1を経て他方の押さえ板3に至るまでの水平走査線を構成する各構成点の信号の強さを、影部6と直交する方向に水平走査線1本分検出し、コンピュータモニター11で、図10などで示すようにX軸に水平走査線構成点をとり、Y軸に信号の強さをとって表示し、水平走査線構成点の各点に対する信号の強さを示す点を直線で結ぶグラフを表示する。このグラフでは、輝部5と影部6が山部と谷部を形成して振幅するように現れ、輝部5と影部6をその信号の強さの差として知ることができる。
【0017】
図6は、図5に示すように正常な用紙12枚を押さえ板間に整列させ、これを撮像してデジタル信号の各構成点の色の強さを直線で結んだ説明のための模式的なグラフであって、Y軸に信号の強さ、X軸に水平走査線構成点をとって示すものである。
図6では、あらかじめ設定した用紙基準線とグラフが交差する点を右端よりA、B・・・Xまでの24点の点で示し、A点でグラフは用紙基準線を上方向に越え、B点で用紙基準線を下方向に越え、さらにC点で用紙基準線を上方向に越え、D点で用紙基準線を下方向に越え、そして同様にX点まで繰り返す。
【0018】
最初は用紙基準線を上方向に越えた後、下方向に越えることで、用紙1枚と判定し、その後は用紙基準線を下に越えた状態から、用紙基準線を上方向に越えた後、用紙基準線を下方向に越えることで、用紙1枚と新たに判定し、この判定ごとに用紙の枚数を積算する。本例の場合では、A−B間で用紙1枚、C−D間で用紙1枚、そしてこれを順次繰り返して、最後にW−X間で用紙1枚と判定し、用紙の枚数を12枚と積算する。
【0019】
次に異常検出する手段について説明する。用紙の一枚を判定したA−B間、C−D間、・・W−X間ごとに、その構成点のY軸の値から用紙基準値の値を減算した値をすべて加算することにより、用紙基準線より上でグラフに囲まれる各部分の面積を算出し、次に算出されたすべての面積より平均の面積を算出し、それぞれの面積と平均の面積とを比較し、その差異が許容値を上回る場合または許容値を下回る場合には異常として検出する。なお、上記の説明では、すべての面積より平均の面積を算出する場合について述べたが、実際においては、過少に小さな値や過大に大きな値が出る場合があるので、平均の面積の値は、それぞれの面積の中から、積算した用紙の枚数の例えば8分の1から4分の1程度大きな面積から順に除外し、8分の1から4分の一程度の小さな面積から順に除外し、残った面積を積算して残った枚数で除算して求めることも可能である。この手法によれば、簡易に正確な平均の面積の算出が可能である。
図6の模式図の場合では、各用紙一枚のすべての面積は918となり、すべてが正常な用紙であるので、異常用紙の検出は全くない。
【0020】
次に、図7を用いて、上記の面積算出手段を詳細に説明すると、図6の交点A,B,C・・・は、説明を容易にするために、用紙基準線とグラフの交点部となっているが、実際には、図7に示す左端部分1枚目のグラフの詳細図のように、グラフは各構成点を順に直線で結んだものであって、図7に示すようにグラフと用紙基準線の交点は、その前後の構成点を結んだ直線と用紙基準線の交点となり、本例の場合では最初にグラフを上に越える構成点はcとなり、下に越える構成点はh点となる。従って、用紙一枚分の面積は、c点から鉛直に降ろした線分と用紙基準線の交点C、c、d、e、f、g及びh点の1ヶ前の構成点gから鉛直方向に降ろした線分と用紙基準点の交点Dに囲まれた多角形の面積となり、c、d、e、f、gのY軸の値から基準線の値を減算した値を積算して求められる。なお、線分b−cと用紙基準線の交点X、線分g−hと用紙基準線の交点Yを算出し、多角形X、c、d、e、f、g、Yの面積を求めることで、より正確な面積を求められる。
【0021】
図8は、押さえ板の位置を図5の場合と同じ位置に設置して押さえ板間の距離を同じにし、左端から3枚目に用紙の折り目が尖った用紙、右端から3枚目に用紙の折り目が変形した用紙を図8に示すように正常な用紙10枚とともに押さえ板間に整列させ、これを撮像してデジタル信号の各構成点の色の強さを直線で結んだ異常な用紙を含む場合の説明のための模式的なグラフであって、Y軸に信号の強さ、X軸に水平走査線構成点をとって示したものである。
この場合も、図6と同様にして、最初に用紙基準線を上方向に越えた後、下方向に越えることで用紙1枚と判定し、その後は用紙基準線を下に越えた状態から、用紙基準線を上方向に越えた後、用紙基準線を下後方に越えることで用紙1枚と新たに判定してこれを積算し、本例の場合では、用紙の枚数を12枚とする。
【0022】
次に、異常検出する手段について説明する。
図7で説明したように面積の算出方法について、模式的な図8で説明する。用紙の1枚を判定したA−B間、C−D間、・・・W−X間ごとに、その構成点のY軸の値から用紙基準値の値を減算した値をすべて加算することにより用紙基準線より上でグラフに囲まれる各部分の面積を算出し、次に算出されたすべての面積より、平均の面積を算出し、それぞれの面積と平均の面積を比較し、その差異が許容値を上回る場合または許容値を下回る場合に異常として検出する。
【0023】
なお、上記の説明でも、すべての面積より平均の面積を算出する場合について述べたが、実際においては、過少に小さな値や過大に大きな値が出る場合があるので、平均の面積の値は、それぞれの面積の中から、積算した用紙の枚数の例えば8分の1から4分の1程度大きな面積から順に除外し、8分の1から4分の一程度の小さな面積から順に除外し、残った面積を積算して残った枚数で除算して求めることも可能である。この手法によれば、簡易に正確な平均の面積の算出が可能である。
【0024】
図8の模式図の場合では、左端から3枚目の用紙の面積は556、右端から3枚目の用紙は711となり、他は918となる、平均の面積を求めるにあたり、除外する枚数を4分の1にした場合、それぞれ3枚ずつとなり、残った6枚の平均となり、本例では平均の面積は918となる。右端から3枚目の用紙を比較すると、556÷918=0.61となり、39%小さいことになり、許容値をプラスマイナス30%と設定すると、許容値を下回り、異常に小さいと検出される。また、右端から3枚目の用紙を比較すると、711÷918=0.77となり、23%小さいこととなり、許容値をプラスマイナス20%とすると、許容値を下回り、異常に小さいとして検出される。
【0025】
また、広角レンズを使用するなどの、中央部と周辺部の撮像状態の違いや、用紙全体の総厚さが広く均一に照明の照射が行えない場合などに、正常な用紙の面積が中央部と周辺部で大きく異なる場合には、正常な用紙の撮像結果より得られる用紙の位置毎の用紙の面積のデータと、算出したデータを比較する方法でも異常用紙の検出が可能である。すべてが正常な用紙を検査した場合の図6のデータと図8のデータを比較すると、右端から3枚目の場合には、556÷918=0.61となり、39%小さいことになり、許容値をプラスマイナス30と設定すると、許容値を下回り、異常に小さいと検出される。また、右端から3枚目の用紙の場合には、711÷918=0.77となり、23%小さいこととなり、許容値をプラスマイナス20%とすると、許容値を上回り、異常に大きいと検出される。
【0026】
ここまでの説明は、図6図8を用いた模式的で理想的なグラフを用いて説明をしてきたが、実際の具体的データに基づくグラフを用いてさらに詳細に説明することとする。
図10は、正常な用紙25枚を押さえ板間に適正な状態に整列させて撮像し、得られたグラフであって、用紙基準値を150に設定した場合である。
【0027】
図11は、左端から3枚目に用紙の最終折り目が尖った用紙と右端から3枚目に用紙の最終折り目が変形した用紙と正常な用紙23枚の計25枚を適切に整列させて撮像したグラフであって、用紙基準値を150と設定した場合である。このグラフを図10のグラフと比較すると、異常な用紙の面積が小さくなっていることがわかり、許容値をプラスマイナス30%とすると、最終折り目が尖った用紙及び最終折り目が変形した用紙の面積が許容値を下回り、異常を検出することがわかる。なお、他の用紙は許容値の範囲内であるため、正常と判定された。
【0028】
図12は、左端から5枚目に用紙を2枚重ねて折り厚さが厚くなった用紙と正常な用紙24枚の計25枚を整列させ、右端から5枚目の用紙の背部が浮き上がり同一平面に並ばず整列状況が適正でない状態で撮像したグラフであって、用紙基準値を150と設定した場合である。この図のグラフは、図10のグラフと比較すると、左端から5枚目の2枚重ねて折った用紙は用紙の面積が大きく表示され、整列状態が不適切な用紙は用紙面積が小さく表示されることがわかり、許容値をプラスマイナス30%と設定すると、用紙を2枚重ねて折った用紙の面積が許容値を上回り、異常を検出し、用紙の整列状況が適正でない状態の用紙が許容値を下回り、異常を検出することがわかり、用紙の変形に加え、厚さの異常、整列状態の異常も検出可能である。なお、他の用紙は許容値の範囲内であるため、正常と判定された。
【0029】
許容値は、用紙の相違、枚数、厚さや測定の精度などの設定によって変化するがプラスマイナス10〜30%であることが望ましい。なお、許容値が例えばプラスマイナス25%とは、比較対象の面積が平均の面積を25%上回る場合及び25%下回る場合に異常と判定する設定値である。
【0030】
本発明の実施においては、次のようにして実施することも可能である。
即ち、算出した個々の用紙の面積を右端からの用紙にそれぞれに対応して、枚数とともに記憶しておき、次回以降の検査時にも用紙の面積を算出して記憶したそれぞれの用紙の面積と比較し、許容値以上に面積が大きい場合及び許容値以下に面積が小さい異常用紙として検出し、モニター画面に用紙位置とともに異常を表示することが可能である。
【0031】
以上のように、用紙の面積を算出し、適切な許容値の設定によって比較することにより異常な用紙を検出することで、高精度な異常用紙検出が可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 二つ折りされた用紙
2 背部
3 押さえ板
4 照明装置
5 輝部
6 影部
7 テレビカメラ
8 画像モニター
9 カラーアナログーデジタル変換回路
10 コンピュータ
11 コンピュータモニター
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12