(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
N型TFTを有機発光素子の駆動TFTとして用い、N型TFTのソース電極が、前記有機発光素子に含まれる陽極電極と電気的に接続されている。また、前記有機発光素子に含まれる有機発光層は、発光期間において前記N型TFTのゲート電極と前記ソース電極との間の電圧に応じた電流が前記陽極電極を介して陰極電極に流れることにより発光する。
【0015】
ここで、画素としての駆動回路内のコンデンサに電位差を設定する書込期間から、前記コンデンサに設定された電位差に応じた電流に基づいて前記有機発光層を発光させるための発光期間に移行すると、陽極電位が上昇する。これに基づき、前記コンデンサの他方の電極の電位が押し上げられる。一方で、前記N型TFTのゲート電極と前記N型TFTのドレイン電極との間の寄生容量の存在により、前記コンデンサの一方の電極の電位の押し上げは抑制される。その結果、書込期間から発光期間への移行により、コンデンサに設定された電位差が圧縮されるという現象が生ずる。
【0016】
陰極電圧(VEE)の上昇が表示領域内で均一であれば、表示領域内の各コンデンサに設定された電位差の圧縮率も同程度になるので、表示バラツキへの影響は小さい。
【0017】
しかし、上記のように、表示領域内では、共通電極としての陰極電極と補助配線との間に少なくとも電荷機能層が介在するためコンタクト抵抗が生ずる。一方、表示領域の周辺領域において、陰極電極と補助配線とが直接接続されコンタクト抵抗が生じない構成では、陰極電圧(VEE)の上昇率は、表示領域の中央領域の方が、表示領域の周縁領域より高くなる。
【0018】
そのため、前記有機発光層の陽極電位の上昇する量は、陰極電圧(VEE)に依存する。これにより、陰極電圧(VEE)の上昇率が周縁領域より高い中央領域では、前記N型TFTのゲート電極すなわち前記コンデンサの一方の電極の電位の押し上げ量も大きくなり、コンデンサに設定された電位差の圧縮率も、中央領域の方が周縁領域より高くなる。従って、周縁領域と中央領域との前記コンデンサは、書込期間において同じ電圧を保持していたとしても、発光期間において保持された電圧が異なってしまう。
【0019】
そこで、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルは、駆動TFTとしてのN型TFTを含むTFT層と、前記TFT層上に形成された層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜上の表示領域内に複数配置された陽極電極と、前記表示領域の周辺領域及び前記表示領域内に配置され且つ前記表示領域内では前記陽極電極と分離して配置された補助配線と、前記表示領域において前記陽極電極又は前記補助配線上に形成された開口部が複数形成された隔壁と、前記隔壁の上方において、複数の前記陽極電極に対向して形成された陰極電極と、前記隔壁における前記陽極電極上に形成された各前記開口部内であって前記陽極電極と前記陰極電極との間に形成された有機発光層と、前記陰極電極と前記隔壁との間において、前記複数の開口部に亘って各前記有機発光層に対して共通して形成された電荷機能層と、前記周辺領域に設けられ、前記陰極電極に電源供給するための電源配線と、を具備し、前記N型TFTのソース電極は、前記陽極電極と電気的に接続され、前記有機発光層は、発光期間において前記N型TFTのゲート電極と前記ソース電極との間の電圧に応じた電流が前記陽極電極を介して前記陰極電極に流れることにより発光し、前記表示領域の中央から前記陰極電極の端までの距離は、前記表示領域の中央から前記電荷機能層の端までの距離より短く、前記陰極電極は、少なくとも前記電荷機能層を介して前記電源配線から電源供給を受ける。
【0020】
すなわち、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルでは、有機発光素子の駆動TFTをN型TFTとした場合であって、かつ、共通電極を陰極電極とした場合において、前記表示領域の中央から前記陰極電極の端までの距離は、前記表示領域の中央から前記電荷機能層の端までの距離より短く、前記陰極電極は、少なくとも前記電荷機能層を介して前記電源配線から電源供給を受けるようにした。
【0021】
これにより、表示領域の周辺領域において陰極電極と補助配線とが直接接続される領域を無くすことができる。そのため、前記表示領域の周辺領域において、前記電荷機能層を介さないで前記陰極電極と前記補助配線との間を電流が流れることがなくなる。即ち、前記陰極電極と前記補助配線との間を流れる電流は、前記電荷機能層によるコンタクト抵抗を介することになる。ここで、電荷機能層によるコンタクト抵抗とは、補助配線と電荷機能層とが接続された部分に生じる抵抗である。従って、表示領域の中央領域と周縁領域とで各画素から補助配線への電流経路を画一化することができ、表示領域の中央領域及び周縁領域で生じる陰極電圧(VEE)の電位差をより均一化できる。
【0022】
その結果、有機発光素子の駆動TFTとしてN型TFTを用いた場合であって、かつ、共通電極を陰極電極とした場合においても、共通電極としての陰極電極の電圧分布の不均衡を改善することができる。そのため、書込期間から発光期間への移行による、コンデンサに設定された電位差の圧縮率を、表示領域において均一化させ表示劣化を抑制することができる。
【0023】
また、好ましくは、前記陰極電極は、前記陰極電極の全領域において少なくとも前記電荷機能層を介して前記電源配線から電源供給を受ける。
【0024】
また、好ましくは、前記N型TFTの前記ゲート電極と前記N型TFTのドレイン電極との間には寄生容量が存在する。
【0025】
前記書込期間から前記発光期間に移行した場合、陰極電圧(VEE)の電位の上昇により前記コンデンサの他方の電極の電位が、表示領域の中央領域よりも周縁領域において、より押し上げられる。一方で、前記N型TFTの前記ゲート電極と前記N型TFTのドレイン電極との間の寄生容量の存在により、前記コンデンサの一方の電極の電位の押し上げは抑制される。
【0026】
その結果、書込期間から発光期間への移行により、コンデンサに設定された電位差が圧縮されるという現象が生ずる。
【0027】
また、好ましくは、前記電源配線は、前記表示領域の周辺領域に配置された前記補助配線と電気的に接続され、前記表示領域の周辺領域に配置された前記補助配線は、前記表示領域と前記表示領域の周辺領域との境界付近に位置する前記隔壁の下方を介して前記表示領域内に配置された前記補助配線と接続され、前記陰極電極は、前記電荷機能層を介して前記表示領域内に配置された前記補助配線と接続される。
【0028】
また、好ましくは、前記表示領域の周辺領域に配置された前記補助配線は、前記表示領域の周辺領域では前記陰極電極と直接接続されていない。
【0029】
本態様によると、前記表示領域の周辺領域に配置された前記補助配線は、前記表示領域の周辺領域では前記陰極電極と直接接続されていない。
【0030】
そのため、前記表示領域の周辺領域において前記陰極電極の電圧と、前記表示領域における前記陰極電極の電圧とは、共に前記補助配線に設定された電圧に対応して前記電荷機能層を介した電圧となる。その結果、前記共通電極としての陰極電極の電圧分布の不均衡を抑制し、表示劣化を防止できる。
【0031】
また、好ましくは、前記表示領域の中央領域における単位面積当たりの前記陰極電極と前記補助配線との接続抵抗をR
cont(pix)とし、前記表示領域の周縁領域における単位面積当たりの前記陰極電極と前記補助配線との接続抵抗をR
cont(EDGE)とし、前記陰極電極の抵抗をR
CATとし、前記補助配線の抵抗をR
BUSとした場合、R
cont(EDGE)+R
CAT≧R
cont(pix)+R
BUSなる関係式が満たされる。
【0032】
これにより、表示領域内のうち、画素に流れる電流が、高抵抗である前記陰極電極よりも低抵抗である前記補助配線に優位的に流れる。そのため、抵抗による電圧降下量を低減し、前記陰極電極の電圧分布が均一化される。よって、表示領域内での表示ムラを低減できる。
【0033】
また、好ましくは、前記陽極電極と前記補助配線とは、前記層間絶縁膜上の同一配線層において形成されている。
【0034】
また、好ましくは、前記陰極電極の端部及び前記電荷機能層の端部は、前記表示領域と前記表示領域の周辺領域との境界付近に位置する前記隔壁の上方まで延設されている。
【0035】
また、好ましくは、前記隔壁は、有機材料により構成され、前記隔壁の表面は撥液処理がなされている。
【0036】
また、好ましくは、前記隔壁は、撥液性を有する有機材料により構成されている。
【0037】
前記有機発光層を塗布方式により形成する場合、画素を区分けする前記隔壁の表面は撥液性を有しなければ、前記隔壁は画素を区分けする機能を果たさない。そのため、前記隔壁は、撥液性を有する有機材料により構成されている。
【0038】
また、好ましくは、前記電荷機能層は、少なくとも電子輸送層又は電子注入層からなる。
【0039】
また、本発明の一態様に係る有機EL表示装置は、前記有機EL表示パネルを備える。
【0040】
また、本発明の他の一態様に係る有機EL表示パネルは、基板上の表示領域内に複数配置された陽極電極と、前記表示領域の周辺領域及び前記表示領域内に配置され且つ前記表示領域内では前記陽極電極と分離して配置された補助配線と、前記表示領域において前記陽極電極又は前記補助配線上に形成された開口部が複数形成された隔壁と、前記隔壁の上方において、複数の前記陽極電極に対向して形成された陰極電極と、前記隔壁における前記陽極電極上に形成された各前記開口部内であって前記陽極電極と前記陰極電極との間に形成された有機発光層と、前記陰極電極と前記隔壁との間において、前記複数の開口部に亘って各前記有機発光層に対して共通して形成された電荷機能層と、前記周辺領域に設けられ、前記陰極電極に電源供給するための電源配線と、を具備し、前記表示領域の中央から前記陰極電極の端までの距離は、前記表示領域の中央から前記電荷機能層の端までの距離より短く、前記陰極電極は、少なくとも前記電荷機能層を介して前記電源配線から電源供給を受ける。
【0041】
なお、この本発明の他の一態様に係る有機EL表示パネルについては、上記本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの好ましい例を適用することができ、本発明の他の一態様に係る有機EL表示パネルと好ましい例とは適宜組み合わせることができる。
【0042】
(本発明に至った経緯)
本発明の実施の形態の説明に先立ち、本発明に至った経緯及び本発明が解決しようとする課題について詳細に説明する。
【0043】
上述のとおり、上記従来技術Aにおいて、前記発光機能層は、有機EL物質(有機発光層)、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、正孔ブロック層及び電子ブロック層の一部又は全部を含むものであるが、発光素子毎にパターニングされた構成である。そのため、前記発光機能層に含まれる各層毎にパターニングする工程が必要であり、そのための設備が必要となって、製造工程が複雑でコスト高を招来していた。
【0044】
仮に、発光機能層に含まれる、例えば、電荷機能層としての電子輸送層及び電子注入層の少なくとも一方から構成される電荷機能層を、各発光素子にわたって共通で形成するとした場合、発光素子毎に電荷機能層をパターニングする工程を省くことができ、製造工程を簡略化し、コスト低減を図ることができる。
【0045】
図18は、有機EL表示パネルの表示領域の端部付近を拡大した図である。
【0046】
図19は、電荷機能層を各発光素子にわたって共通して形成した構成を示す図である。
図19は、
図18に示される表示領域の端部付近の断面図である。具体的には、
図19は、
図18のA9−C9線に沿った、表示領域の端部付近の断面図である。A9−C9線は、
図18のB9の位置を経由する線である。
【0047】
図19において、基板133J上には、TFT層132Jが形成される。TFT層132J内には、電源配線110Jが設けられている。TFT層132J上には、層間絶縁膜131Jが形成される。層間絶縁膜131J上には、補助配線121Jと、画素電極としての陽極電極122Jとが形成される。この陽極電極122Jは、層間絶縁膜131Jに形成されるコンタクトホール(図示しない)を介してTFT層132JのTFTと電気的に接続される。補助配線121Jは、コンタクトプラグ134Jにより、電源配線110Jと電気的に接続される。
【0048】
また、層間絶縁膜131Jの上方には、隔壁130Jが形成される。有効領域としての表示領域において、隔壁130Jに形成された各開口部内には、有機発光層140Jが形成される。
【0049】
電荷機能層151Jは、隔壁130Jに形成された複数の開口部に亘って形成される。陰極電極152Jは、電荷機能層151J上に形成される。すなわち、陰極電極152Jは、複数の発光素子のカソードとして共通して使用される共通電極である。
【0050】
図18の線L11は、表示領域の周辺領域における、陰極電極152Jの端の位置を示す。
図18の線L12は、表示領域の周辺領域における、電荷機能層151Jの端の位置を示す。本明細書において、表示領域の周辺領域とは、表示領域外の領域であって、かつ、表示領域の周辺の領域である。以下においては、表示領域の周辺領域を、単に、周辺領域ともいう。
【0051】
しかし、
図19のような構成を想定した場合、有効領域としての表示領域内では、前記共通電極としての陰極電極152Jと前記補助配線121Jとは、少なくとも前記電荷機能層151Jを介して電気的に接続されることになる。一方、周辺領域では、前記陰極電極152Jは、電源配線110Jに電気的に接続される補助配線121Jと、前記電荷機能層151Jを介在することなく、直接接続されることになる。
【0052】
この場合であっても、上記従来技術Aでは、発光素子を駆動する駆動TFTとして、P型のTFTを用いる場合は、問題は生じない。
【0053】
即ち、P型TFTを駆動TFTとした用いた場合であって、かつ、陰極電極152Jが共通電極である場合、P型TFTのドレイン電極が有機EL素子に接続され、静電保持容量はP型TFTのソース・ゲート電極間に配置される。この場合、書込期間から発光期間への切替えに際して有機EL素子の下部電極の電位(アノードの電位)が有機EL素子のオフ電圧からオン電圧へと押し上げられるに伴い、駆動TFTのゲート電極の電圧が連動して押し上げられるという現象(ブートストラップ現象)が生じない。
【0054】
そのため、書込期間から発光期間への切替えに際して陰極電極152Jにおいて電圧変動が生じても、P型TFTのゲート電極の電圧が変動せず、有機EL素子に流れる電流に変動はない。
【0055】
しかし、発光素子を駆動する駆動TFTとして、N型のTFTを用いた場合には、以下のようにブートストラップ現象が生ずる。
【0056】
図20は、N型のTFTを用いたサブ画素部PX9の回路構成の一例を示す図である。サブ画素部PX9は、1つの画素部を構成する3つのサブ画素部のうちの1つのサブ画素部である。
【0057】
図20に示すように、サブ画素部PX9には、走査線521と、制御線522と、信号線511とが対応づけて設けられる。
【0058】
サブ画素部PX9は、駆動トランジスタT1と、スイッチングトランジスタT2,T3,T4と、コンデンサC10と、発光素子EL9と、負側電源となる陰極電源線と、正側電源となる電源配線とを含む。当該陰極電源線は、陰極電圧VEEを供給する。当該電源配線は、電圧VDDを供給する。
【0059】
駆動トランジスタT1は、N型のTFTである。すなわち、駆動トランジスタT1は、N型の駆動TFTである。発光素子EL9は、有機EL素子である。
【0060】
図21は、サブ画素部PX9の動作を説明するためのタイミングチャートである。
図21は、制御線522、走査線521及び信号線511の各々で発生する電圧の波形を示す。
【0061】
図22は、サブ画素部PX9の動作を説明するための図である。
【0062】
図20〜
図22を参照して、駆動回路としてのサブ画素部PX9内のコンデンサC10に電位差を設定する書込期間においては、陰極電圧(VEE)が変動しないため、駆動トランジスタT1のソース電極はオフした状態にある(
図21、
図22(a)参照)。
【0063】
図22(a)において、Vg(0)は、発光開始直前の駆動トランジスタT1のゲート電圧である。Vs(0)は、発光開始直前の駆動トランジスタT1のソース電圧である。Vgs(0)は、発光開始直前の駆動トランジスタT1のゲート−ソース間電圧である。
【0064】
前記コンデンサC10に設定された電位差に応じた電流に基づいて前記有機発光層140Jを発光させる発光期間に移行すると、有機EL素子のアノード電圧が上昇する。これに基づき、有機EL素子に接続される前記コンデンサC10の他方の電極の電位Vsが押し上げられる。
【0065】
この場合、発光開始直後の駆動トランジスタT1のゲート−ソース間電圧は、式1に示されるVgsとなる。また、駆動トランジスタT1の画素電流i
pixelは、以下の式2に示される値となる。
【0067】
式1において、C
paraは、駆動トランジスタT1の寄生容量C0を含む、駆動トランジスタT1のゲート電極に接続された全ての容量成分から、駆動トランジスタT1のゲート・ソース電極間の容量成分(駆動トランジスタT1の寄生容量を含む)を除いた値である。C
1は、容量成分であるコンデンサC10の容量を示す。Vgs(1)は、発光時における駆動トランジスタT1のゲート−ソース間電圧である。Vs(1)は、発光時における駆動トランジスタT1のソース電圧である。
【0069】
図22(b)及び式2において、V
T(TFT)は、駆動トランジスタT1の閾値電圧である。また、V
EEは、VEEに相当する。Vs(1)は画素電流i
pixelに応じた発光素子EL9のオン電圧をVEEに加算した電圧である。式2により、画素電流i
pixelはVEEの関数であることが分かる。すなわち、表示領域内において、各発光素子EL9の陰極電圧(VEE)が、当該発光素子EL9を含む画素の位置によって大きく変動する場合、当該発光素子EL9に流れる画素電流i
pixelの変動も大きくなる(
図22(b)参照)。この場合、表示領域内の各発光素子EL9の発光量にばらつきが生じる。
【0070】
一方で、駆動トランジスタT1のゲート電極と駆動トランジスタT1のドレイン電極との間の寄生容量C0を含む、駆動トランジスタT1のゲート電極に接続された容量成分の存在により、駆動トランジスタT1のゲート電極に接続される前記コンデンサC10の一方の電極の電位の押し上げは抑制される。その結果、書込期間から発光期間への移行により、書込期間にコンデンサC10に設定された電位差は書込期間の電位差に対して発光期間の電位差が圧縮されるという現象が生ずる。この圧縮量は式2に示されるように陰極電圧(VEE)に依存するため、陰極電圧(VEE)の上昇が表示領域内で均一であれば、当該表示領域内の各コンデンサC10に設定された電位差の圧縮率も同程度になるので、表示バラツキへの影響は小さい。
【0071】
しかし、前記有効領域としての表示領域内では、前記補助配線121Jは、少なくとも前記電荷機能層151Jを介して、陰極電極152Jと電気的に接続されることになるため、前記電荷機能層151Jによるコンタクト抵抗が発生する。一方、表示領域の周辺領域では、前記補助配線121Jは、前記電荷機能層151Jを介在することなく、前記共通電極としての陰極電極152Jと直接接続されることになる。そのため、前記電荷機能層151Jによるコンタクト抵抗は発生しない。
【0072】
このように、
図19において、表示領域内では、共通電極としての陰極電極152Jと補助配線121Jとの間に電荷機能層151Jが介在してコンタクト抵抗が生じる。一方、表示領域の周辺領域では、共通電極としての陰極電極152Jと補助配線121Jとは直接接続されるためコンタクト抵抗が生じない。
【0073】
そのため、
図19の構成を想定した場合には、発光素子EL9の陰極電圧(VEE)の上昇率が、特に表示領域の周縁領域において低くなり中央領域で高くなる。本明細書において、表示領域の周縁領域とは、表示領域内の領域であって、かつ、表示領域の端部の領域である。そのため、コンデンサC10に設定された電位差の圧縮率も、周辺領域よりも中央領域の方が高くなる。その結果、
図23(a)及び(b)のように、周縁領域から中央領域に向かって表示輝度が急に暗くなり(例えば、
図23(b)の領域R1)、表示バラツキへの影響が大きくなる。
図23(a)は、表示領域の輝度(相対輝度)の状態を示す図である。
図23(b)は、
図23(a)のX1−X2線に沿った輝度(相対輝度)の状態を示す図である。
【0074】
従って、前記有効領域としての表示領域の周辺領域において前記補助配線121Jと前記共通電極としての陰極電極152Jとの間に流れる電流量は、前記表示領域内において前記補助配線121Jと前記陰極電極152Jとの間に流れる電流量より相対的に大きくなることを意味する。すなわち、
図19において、周辺領域での電流経路LI2に流れる電流量は、電流経路LI1に流れる電流量より相対的に大きい。
【0075】
その結果、前記表示領域の周縁領域には、表示領域の中央付近より多くの電流が流れ、前記共通電極としての陰極電極152Jの電圧分布の不均衡が生じ、表示領域において表示の不均一(表示劣化)が発生するという問題があった。本発明は、このような課題に鑑みてなされたものである。
【0076】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称及び機能も同じである。従って、それらについての詳細な説明を省略する場合がある。
【0077】
なお、実施の形態において例示される各構成要素の寸法、材質、形状、それらの相対配置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるものであり、本発明はそれらの例示に限定されるものではない。また、各図における各構成要素の寸法は、実際の寸法と異なる場合がある。
【0078】
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1に係る表示装置1000の構成を示すブロック図である。
図1に示されるように、表示装置1000は、表示パネル100と、走査線駆動回路200と、データ線駆動回路300とを備える。
【0079】
表示パネル100は、有機発光素子である有機EL(Electro Luminescence)素子を使用した有機EL表示パネルである。すなわち、有機EL表示パネルである表示パネル100を備える表示装置1000は、有機EL表示装置である。
【0080】
表示パネル100は、画素部ごとに薄膜トランジスタを備えたアクティブマトリクス方式の表示パネルである。表示パネル100は、トップエミッション方式の表示パネルである。なお、表示パネル100は、ボトムエミッション方式の表示パネルであってもよい。
【0081】
表示パネル100は、画像を表示するための表示領域R10を含む。表示領域R10は、後述の基板133上に形成される。
【0082】
図2は、表示領域R10の構成を示す図である。
図2において、位置CPは、表示領域R10の中央の位置である。
【0083】
表示パネル100の表示領域R10には、複数の画素部PX10が配置される。すなわち、表示パネル100は、複数の画素部PX10を含む。当該複数の画素部PX10は、行列状に配置される。複数の画素部PX10の各々は、外部から供給される信号に応じて発光する。
【0084】
図3は、画素部PX10の構成の一例を示す図である。
【0085】
図3に示すように、画素部PX10は、サブ画素部PX.R,PX.G,PX.Bから構成される。サブ画素部PX.R,PX.G,PX.Bは、それぞれ、赤、緑及び青色の光を発する画素部である。
【0086】
サブ画素部PXR,PXG,PXBは、それぞれ、発光領域LR1.1,LR1.2,LR1.3を含む。発光領域LR1.1,LR1.2,LR1.3は、それぞれ、赤、緑及び青色の光を発する領域である。
【0087】
以下においては、サブ画素部PX.R,PX.G,PX.Bの各々を、単に、サブ画素部PXとも表記する。また、以下においては、発光領域LR1.1,LR1.2,LR1.3の各々を、単に、発光領域LR1とも表記する。
【0088】
なお、画素部PX10は、RGBの3原色のサブ画素部に限定されず、例えば、RGBWやRGBYといった4原色、さらに原色を追加しそれぞれに対応したサブ画素部から構成されてもよい。また、例えば、RGとBGとを組み合わせて1単位胞としてマトリクス配置されたペンタイル配置のサブ画素から構成されてもよい。
【0089】
図4は、サブ画素部PXの回路構成例を示す図である。
【0090】
図4に示すように、サブ画素部PXには、走査線221と、制御線222と、信号線311とが対応づけて設けられる。
【0091】
サブ画素部PXは、駆動トランジスタT1と、スイッチングトランジスタT2,T3,T4と、コンデンサC10と、発光素子EL1とを含む。
【0092】
駆動トランジスタT1は、N型の薄膜トランジスタ(TFT)である。
【0093】
スイッチングトランジスタT2,T3,T4の各々は、N型の薄膜トランジスタ(TFT)である。なお、スイッチングトランジスタT2,T3,T4の各々は、N型のTFTに限定されることなく、P型のTFTであってもよい。
【0094】
発光素子EL1は、有機EL素子である。有機EL素子は、当該有機EL素子自体に供給される電流が大きいほど、明るい光を発する。
【0095】
以下の説明において、信号及び信号線の2値的な高電圧状態及び低電圧状態を、それぞれ、「Hレベル」及び「Lレベル」とも称する。また、以下においては、各トランジスタのゲート電極、ドレイン電極及びソース電極を、それぞれ、ゲート、ドレイン及びソースともいう。
【0096】
図4に示されるように、スイッチングトランジスタT2,T3の各々のゲートは、走査線221と電気的に接続される。
【0097】
スイッチングトランジスタT2のドレイン及びソースの一方は、信号線311と接続される。スイッチングトランジスタT2のドレイン及びソースの他方は、ノードN3に接続される。
【0098】
スイッチングトランジスタT3のドレイン及びソースの一方は、電源線PL3と接続される。電源線PL3は、参照電圧Vrefを供給する。スイッチングトランジスタT3のドレイン及びソースの他方は、ノードN1と接続される。ノードN1と、ノードN3との間には、コンデンサC10が設けられる。
【0099】
スイッチングトランジスタT4のゲートは、制御線222と接続される。スイッチングトランジスタT4のドレイン及びソースの一方は、ノードN3と接続される。スイッチングトランジスタT4のドレイン及びソースの他方は、ノードN2と接続される。
【0100】
駆動トランジスタT1のゲートは、ノードN1と接続される。駆動トランジスタT1のドレインは、高電源である電圧VDDを供給する電源線PL2と接続される。駆動トランジスタT1のソースは、ノードN2と接続される。N型の駆動トランジスタT1のゲート電極と駆動トランジスタT1のドレイン電極との間には寄生容量C0が存在する。
【0101】
発光素子EL1のアノードは、ノードN2と接続される。発光素子EL1のカソードは、低電源である電圧(陰極電圧)VEEを供給する電源線PL1と接続される。
【0102】
表示パネル100に含まれる複数のサブ画素部PXの各々には、走査線221、制御線222及び信号線311が対応づけて設けられる。すなわち、表示パネル100は、複数の走査線221と、複数の制御線222と、複数の信号線311とを含む。
【0103】
図1及び
図4を参照して、走査線駆動回路200は、複数のコネクタ210により、表示パネル100と接続される。走査線駆動回路200は、複数のコネクタ210を介して、複数の走査線221及び制御線222と接続される。走査線駆動回路200は、複数の走査線221及び制御線222を制御する。
【0104】
データ線駆動回路300は、複数のコネクタ310により、表示パネル100と接続される。データ線駆動回路300は、複数のコネクタ310を介して、複数の信号線311と接続される。データ線駆動回路300は、複数の信号線311を制御する。
【0105】
図5は、本発明の実施の形態1に係るサブ画素部PXの動作を説明するためのタイミングチャートである。
図5は、制御線222、走査線221及び信号線311の各々で発生する電圧の波形を示す。
【0106】
書込期間において、サブ画素部PXに対応する制御線222、走査線221及び信号線311は、
図5に示す波形のように制御されることにより、信号線311からコンデンサC10にデータ電圧が書き込まれる。このデータ電圧は、発光期間に発光素子EL1に流す電流を決める電圧である。
【0107】
また、発光期間において、サブ画素部PXに対応する制御線222及び走査線221は、
図5に示す波形のように制御線222がHレベルになり、スイッチングトランジスタT4がオン状態になる。その結果、駆動トランジスタT1のゲート−ソース間にデータ電圧が印加され、データ電圧に対応した電流が流れる。これにより、発光素子EL1は発光する。
【0108】
再び、
図1を参照して、表示領域R10の周辺領域には、リング状の電源配線110が設けられる。以下、本明細書において、表示領域R10の周辺領域とは、表示領域R10外の領域である。
【0109】
電源配線110は、表示領域R10の周辺領域の内部に設けられる。
【0110】
表示領域R10には、複数の補助配線121が格子状に配置される。補助配線121は、導電性の材料で構成される。複数の補助配線121は、電源配線110と電気的に接続される。各補助配線121は、表示領域R10内の中央部分における電圧VEEを供給する電源線PL1の電圧降下を低減するための電極である。
【0111】
なお、
図1には、図の簡略化のために、表示領域R10の周辺領域に配置される補助配線121は示していない。
【0112】
図6Aは、表示領域R10の端部付近の領域R20を拡大した図である。領域R20は、
図1に示される領域である。
【0113】
図6Aでは、図の簡略化のために、表示領域内で水平方向に沿って配置される補助配線121、後述の陰極電極152等は図示していない。
【0114】
図6Aの水平方向において各隣り合う2つの補助配線121の間には、垂直方向に並ぶ複数の画素部PX10が配置される。各画素部PX10は、サブ画素部PX.R,PX.G,PX.Bから構成される。
図6Aに示される発光領域LR1.1,LR1.2,LR1.3は、
図3に示す1つの画素部PX10内の発光領域LR1.1,LR1.2,LR1.3である。
【0115】
図6Bは、本発明の実施の形態1に係る表示パネル100の一部の断面図である。具体的には、
図6Bは、
図6AのA1−C1線に沿った、表示領域R10の端部付近の断面図である。A1−C1線は、
図6AのB1の位置を経由する線である。なお、
図6Bでは、図の簡略化のために、表示領域R10内において、後述の陰極電極152の上方に形成される構成要素(例えば、樹脂層、封止ガラス等)は示していない。図示されない当該樹脂層は、高抵抗な材料で形成される。例えば、当該樹脂層は、後述の陰極電極152及び当該陰極電極152が形成されていない部分を覆うように形成されてもよい。
【0116】
なお、
図6A及び
図6Bに示す構成は、
図1の表示領域R10の上端部だけに適用される構成ではない。表示領域R10の下端部、左端部及び右端部付近の構成も、
図6A及び
図6Bに示す構成である。すなわち、表示領域R10の周縁領域付近の構成は、
図6A及び
図6Bに示す構成である。表示領域R10の周縁領域とは、表示領域R10内の領域であって、かつ、表示領域R10の端部の領域である。
【0117】
図6Bに示すように、表示パネル100は、基板133と、TFT層132と、層間絶縁膜131と、電源配線110と、補助配線121と、陽極電極122と、隔壁130と、電荷機能層151と、陰極電極152と、有機発光層140とを備える。
【0118】
基板133上には、TFT層132が形成される。TFT層132には、表示領域R10内の各画素部PX10に含まれるトランジスタ等の素子が形成される。すなわち、TFT層132は、N型の駆動トランジスタT1を含む。言い換えれば、TFT層132は、駆動TFTとしてのN型TFTを含む。また、TFT層132内には、電源配線110が形成される。
【0119】
層間絶縁膜131は、TFT層132上に形成される。
【0120】
陽極電極122は、発光素子EL1のアノードに相当する電極である。すなわち、陽極電極122は、発光素子EL1の下部電極である。陽極電極122は、層間絶縁膜131上に形成される。陽極電極122は、表示領域R10内の各サブ画素部PXに対応して設けられる。すなわち、陽極電極122は、前記層間絶縁膜131上の表示領域R10内に複数配置される。
【0121】
また、層間絶縁膜131上には、補助配線121が形成される。補助配線121は、前記表示領域R10の周辺領域及び前記表示領域R10内に配置される。表示領域R10の周辺領域に配置された補助配線121は、コンタクトプラグ134により、電源配線110と電気的に接続される。
【0122】
なお、補助配線121と電源配線110との接続において、補助配線121及び電源配線110を別層に設け、コンタクトプラグ134により電気的に接続されている態様に限定されない。例えば、電源配線110と補助配線121は同層で形成されていてもよい。その場合、別部材を設け補助配線121と電源配線110とを電気的に接続する。
【0123】
また、補助配線121は、前記表示領域R10内では前記陽極電極122と分離して配置される。つまり、補助配線121は、各陽極電極122と直接接続されない。各陽極電極122は、層間絶縁膜131に形成されるコンタクトホール(図示しない)を介してTFT層132の各画素部PX10の駆動トランジスタT1と電気的に接続される。
【0124】
前記陽極電極122と前記補助配線121とは、前記層間絶縁膜131上の同一配線層において形成されていてもよい。
【0125】
層間絶縁膜131の上方には、少なくとも前記陽極電極122の端を覆うように隔壁130が形成される。前記隔壁130は、有機材料により構成される。また、前記隔壁130の表面は撥液処理がなされている。撥液処理は、例えば、フッ素プラズマ等による撥液処理である。
【0126】
なお、隔壁130を構成する有機材料は、撥液性を有していてもよい。この場合、前記隔壁130の表面は撥液処理がなされず、前記隔壁130は、撥液性を有する有機材料により構成されている。撥液性を有する有機材料は、例えば、フッ素樹脂を含むことを特徴とする。隔壁130(バンク)に含まれるフッ素樹脂は、その高分子繰り返し単位のうち、少なくとも一部の繰り返し単位にフッ素原子を有するものであればよく特に限定されない。フッ素樹脂の例には、フッ素化ポリオレフィン系樹脂、フッ素化ポリイミド樹脂、フッ素化ポリアクリル樹脂などが含まれる。
【0127】
隔壁130には、複数の開口部が形成される。当該複数の開口部は、
図6Aに示すように、開口部H10又は開口部H11である。
【0128】
開口部H10は、電荷機能層151が形成されるより前の工程において、補助配線121を露出させる。開口部H10は、補助配線121上に形成される。
【0129】
開口部H11は、各サブ画素部PXに対応づけて設けられる。開口部H11は、電荷機能層151および有機発光層140が形成されるより前の工程において、陽極電極122を露出させる。開口部H11は、陽極電極122上に形成される。つまり、隔壁130には、前記表示領域R10において前記陽極電極122又は前記補助配線121上に形成された開口部が複数形成される。
【0130】
陰極電極152は、表示領域R10内の各発光素子EL1のカソードとして共通して使用される共通電極である。陰極電極152は、後述の電荷機能層151上に形成される。陰極電極152は、表示領域R10内の各サブ画素部PXに対して共通して形成される。すなわち、陰極電極152は、前記隔壁130の上方において、複数の前記補助配線121及び前記陽極電極122に対向して形成される。
【0131】
電源配線110は、陰極電圧(VEE)を、最終的に陰極電極152に供給するための配線である。電源配線110は、少なくとも表示領域R10の周辺領域に設けられる。すなわち、表示領域R10の前記周辺領域には、前記陰極電極152に電源供給するための電源配線110が設けられる。
【0132】
前記電源配線110は、コンタクトプラグ134により、前記表示領域R10の周辺領域に配置された補助配線121と電気的に接続される。前記陰極電極152は、表示領域R10内において、コンタクトプラグ134、前記補助配線121及び前記電荷機能層151を介して前記電源配線110から電源(陰極電圧(VEE))の供給を受ける。すなわち、前記陰極電極152は、表示領域R10内において、少なくとも前記電荷機能層151を介して前記電源配線110から電源供給を受ける。言い換えれば、前記陰極電極152は、前記陰極電極152の全領域において少なくとも前記電荷機能層151を介して前記電源配線110から電源供給を受ける。
【0133】
また、
図6Bに示すように、前記表示領域R10の周辺領域に配置された前記補助配線121は、前記表示領域R10と前記表示領域R10の周辺領域との境界付近に位置する隔壁130の下方を介して前記表示領域R10内に配置された前記補助配線121と接続される。言い換えれば、補助配線121のうち表示領域R10の周辺領域に位置する部分は、表示領域R10と表示領域R10の周辺領域との境界付近に位置する隔壁130の下方を介して、補助配線121のうち表示領域R10内に位置する部分と接続される。表示領域R10と表示領域R10の周辺領域との境界付近に位置する隔壁130とは、隔壁130のうち、表示領域R10と表示領域R10の周辺領域との境界付近に位置する部分、すなわち、隔壁130の一部である。
【0134】
また、前記表示領域R10の周辺領域に配置された前記補助配線121は、前記表示領域R10の周辺領域では前記陰極電極152と直接接続されていない。
【0135】
図6BのB1の位置付近において、陰極電極152は、前記電荷機能層151を介して前記表示領域R10内に配置された補助配線121と接続される。なお、電荷機能層151は、高抵抗な材料で形成される。そのため、電源配線110と、表示領域R10の周縁部に位置するサブ画素部PX内の有機発光層140との間に流れる電流は、電流経路LI1を経由して流れる。すなわち、当該電流は、高抵抗な電荷機能層151を経由する必要がある。補助配線121の配線抵抗は陰極電極152の配線抵抗よりも小さくなるよう設置されているため、陰極電極152の電位変動の主要因は補助配線121の配線抵抗となり、陰極電極152の電位の分布を大幅に均一化することができる。
【0136】
有機発光層140は、正孔と電子とが再結合することにより発光する有機発光材料を主成分とする層である。有機発光層140は、発光素子EL1の一部に相当する。有機発光層140は、各サブ画素部PXに対応する開口部H11内に形成される。有機発光層140は、陽極電極122上に形成される。すなわち、隔壁130に形成された複数の開口部H11の各々には、有機発光層140が形成される。言い換えれば、有機発光層140は、前記隔壁130における前記陽極電極122上に形成された各前記開口部H11内であって前記陽極電極122と前記陰極電極152との間に形成される。
【0137】
電荷機能層151は、電子輸送層、もしくは電子注入層、もしくは電子輸送層および電子注入層がこの順で積層された層である。すなわち、電荷機能層151は、導電層である陽極電極122や陰極電極152よりも高抵抗材料である。すなわち、前記電荷機能層151は、少なくとも電子輸送層又は電子注入層からなる。
【0138】
電荷機能層151は、隔壁130に形成された複数の開口部を覆うように形成される。すなわち、電荷機能層151は、表示領域R10内の各サブ画素部PXに対応する有機発光層140の上部を覆うように形成される。すなわち、電荷機能層151は、複数の開口部H11にそれぞれ形成される複数の有機発光層140に対して共通して形成される。また、電荷機能層151は、陰極電極152と隔壁130との間に形成される。すなわち、電荷機能層151は、前記陰極電極152と前記隔壁130との間において、前記複数の開口部に亘って各前記有機発光層140に対して共通して形成される。
【0139】
また、N型の駆動トランジスタT1のソース電極は、発光素子EL1のアノード(陽極電極122)と電気的に接続される。すなわち、前記N型TFT(駆動トランジスタT1)のソース電極は、前記陽極電極122と電気的に接続される。
【0140】
前記有機発光層140は、例えば、
図5の発光期間において前記N型TFT(駆動トランジスタT1)のゲート電極と前記ソース電極との間の電圧(Vgs)に応じた電流が前記陽極電極122を介して前記陰極電極152に流れることにより発光する。
【0141】
なお、前記表示領域R10の中央領域における単位面積当たりの前記陰極電極152と前記補助配線121との接続抵抗をR
cont(pix)とし、前記表示領域R10の周縁領域における単位面積当たりの前記陰極電極152と前記補助配線121との接続抵抗をR
cont(EDGE)とし、前記陰極電極152の抵抗をR
CATとし、補助配線121の抵抗をR
BUSとした場合、下記式3の関係式が満たされる。
【0142】
R
cont(EDGE)+R
CAT≧R
cont(pix)+R
BUS ・・・(式3)
【0143】
式3のR
CAT及びR
BUSは、それぞれ、以下の式4および式5により表現される。
【0144】
R
CAT=R
□(CAT)×n ・・・(式4)
R
BUS=R
□(BUS)×L
PIX/w
BUS×m ・・・(式5)
【0145】
式4のR
□(CAT)は、カソードとしての陰極電極152のシート抵抗である。シート抵抗とは、陰極電極152の抵抗率を、陰極電極152の膜厚で除した値である。式5のR
□(BUS)は、補助配線121のシート抵抗である。補助配線121のシート抵抗は、補助配線121の抵抗率を、補助配線121の膜厚で除した値である。
【0146】
L
PIXは、画素ピッチである。すなわち、L
PIXは、隣り合う2つの画素部PX10の間の距離である。w
BUSは、補助配線121の短手方向の幅である。
【0147】
また、前記補助配線121のシート抵抗と前記陰極電極152のシート抵抗を比較した場合、前記補助配線121を設置した効果を得るためには、下記式6の関係式が満たされる。
【0148】
R
□(CAT)>R
□(BUS)・・・(式6)
【0149】
すなわち、前記陰極電極152のシート抵抗の値は、前記補助配線121のシート抵抗の値より大きい。
【0150】
次に、式4のn及び式5のmについて説明する。
【0151】
図7は、陰極電極152及び補助配線121に関する式の一部を説明するための図である。
図7(a)は、実施の形態1に係る電源配線110および補助配線121の構成を示す図である。電源配線110には、複数の補助配線121が電気的に接続される。
【0152】
以下においては、表示領域R10の上端の画素部PX10を上端画素ともいう。また、以下においては、表示領域R10の下端の画素部PX10を下端画素ともいう。また、以下においては、表示領域R10の左端の画素部PX10を左端画素ともいう。また、以下においては、表示領域R10の右端の画素部PX10を右端画素ともいう。上端画素、下端画素、左端画素及び右端画素は、電源配線110に近接する画素である。
【0153】
以下においては、表示領域R10内のある画素部PX10を画素Aという。
【0154】
また、以下においては、画素Aから当該画素Aに最も近い上端画素までに配置される画素(画素部PX10)の数を、上画素数という。また、以下においては、画素Aから当該画素Aに最も近い下端画素までに配置される画素の数を、下画素数という。また、以下においては、画素Aから当該画素Aに最も近い左端画素までに配置される画素の数を、左画素数という。また、以下においては、画素Aから当該画素Aに最も近い右端画素までに配置される画素の数を、右画素数という。
【0155】
式4のnは、上画素数、下画素数、左画素数及び右画素数のうち、最小の数(整数)である。式5のmは、当該画素Aに最も近い補助配線121から当該補助配線121に沿って数えた際の上画素数、下画素数、左画素数及び右画素数のうち、最小の数(整数)である。なお、
図7(a)の領域R31内に画素Aがある場合、m=nである。
【0156】
式3の関係式が満たされることにより、表示領域R10内のうち、画素に流れる電流が、高抵抗である前記陰極電極152よりも低抵抗である補助配線121に優位的に流れる。そのため、抵抗による電圧降下量を低減し、前記陰極電極152の電圧分布が均一化される。よって、表示領域R10内での表示ムラを低減できる。
【0157】
以下においては、表示領域R10の周辺領域を、単に、周辺領域Aともいう。周辺領域Aは、表示領域R10外の領域である。
【0158】
図6A及び
図6Bの線L1は、周辺領域Aにおける、陰極電極152の端の位置を示す。
図6A及び
図6Bの線L2は、周辺領域Aにおける、電荷機能層151の端の位置を示す。
【0159】
本実施の形態では、
図6Bに示すように、前記陰極電極152の端部及び前記電荷機能層151の端部は、前記表示領域R10と前記表示領域R10の周辺領域との境界付近に位置する前記隔壁130の上方に設けられている。
【0160】
具体的には、前記電荷機能層151の端部は、前記表示領域R10と前記表示領域R10の周辺領域との境界付近に位置する前記隔壁130上に設けられている。また、前記陰極電極152の端部は、前記電荷機能層151上に設けられている。すなわち、前記陰極電極152の端部は、前記表示領域R10と前記表示領域R10の周辺領域との境界付近に位置する前記隔壁130の上方に設けられている。言い換えれば、前記陰極電極152の端部及び前記電荷機能層151の端部は、前記表示領域R10と前記表示領域R10の周辺領域との境界付近に位置する前記隔壁130の上方まで延設されている。
【0161】
これにより、表示領域R10の周辺領域において陰極電極152と補助配線121とが直接接続される領域を無くすことができる。そのため、前記表示領域R10の周辺領域において、前記電荷機能層151を介さないで前記陰極電極152と前記補助配線121との間を電流が流れることがなくなる。即ち、前記陰極電極152と前記補助配線121との間を流れる電流は、前記電荷機能層151によるコンタクト抵抗を介することになる。
【0162】
ここで、電荷機能層151によるコンタクト抵抗とは、補助配線121と電荷機能層151とが接合された界面に生じる抵抗、陰極電極152と電荷機能層151とが接合された界面に生じる抵抗、および、電荷機能層151の電気抵抗である。
【0163】
従って、補助配線121の配線抵抗を陰極電極152の配線抵抗よりも小さくなるよう設定することにより、陰極電極152の電位変動の主要因を補助配線121の配線抵抗とすることができる。これにより、陰極電極152の電位の分布を大幅に均一化することができ、表示領域R10内の中央領域及び周縁領域で生じる電流量の差を小さくできる。
【0164】
その結果、有機発光素子(発光素子EL1)の駆動TFTとしてN型TFTを用いた場合であって、かつ、共通電極を陰極電極とした場合においても、書込期間から発光期間への移行による、コンデンサC10に設定された電位差の圧縮率を、表示領域R10の周縁領域および中央領域において同程度とすることができる。これにより、表示均一性への影響を小さく抑制できる。すなわち、共通電極としての陰極電極152の電圧分布の不均衡を改善し、表示劣化を抑制できる。
【0165】
また、前記表示領域R10の中央(
図2の位置CP)から前記陰極電極152の端までの距離は、前記表示領域R10の中央から前記電荷機能層151の端までの距離より短い。
【0166】
以下、具体的に説明する。ここで、表示領域R10の面上において
図2の位置CPを通過する直線を直線Aという。直線A上における位置CPから陰極電極152の端までの距離は、直線A上における位置CPから当該陰極電極152の端の近傍に位置する、電荷機能層151の端までの距離より短い。すなわち、表示領域R10の中央(位置CP)を通過する直線A上における該中央から陰極電極152の端までの距離は、該直線A上における該中央から当該陰極電極152の端の近傍に位置する、電荷機能層151の端までの距離より短い。言い換えれば、直線A上における前記陰極電極152の端部は、当該陰極電極152の端部の近傍に位置する、直線A上における前記電荷機能層151の端部より前記表示領域R10の中央(位置CP)から近い位置に配置される。
【0167】
また、前述したように、N型の駆動トランジスタT1のゲート電極と駆動トランジスタT1のドレイン電極との間には少なくとも寄生容量C0が存在する。すなわち、N型TFT(駆動トランジスタT1)のゲート電極と前記N型TFTのドレイン電極との間には寄生容量C0が存在する。
【0168】
前記書込期間から前記発光期間に移行した場合、陰極電圧(VEE)の電位の上昇により前記コンデンサC10の他方の電極の電位が、表示領域R10の中央領域よりも周縁領域においてより押し上げられ、前記N型TFT(駆動トランジスタT1)のゲート電極と前記N型TFTのドレイン電極との間の寄生容量C0の存在により、前記コンデンサC10の一方の電極の電位の押し上げは抑制される。
【0169】
その結果、書込期間から発光期間への移行により、コンデンサC10に設定された電位差が圧縮されるという現象が生ずる。
【0170】
このような場合であっても、陰極電圧(VEE)の電位分布は補助配線によって決定され、より均一となっているため、コンデンサC10に設定された電位差の圧縮率を表示領域において均一化させ、表示劣化を抑制できる。
【0171】
また、前述したように、前記表示領域R10の周辺領域に配置された補助配線121は、前記表示領域R10の周辺領域では前記陰極電極152と直接接続されていない。
【0172】
そのため、前記表示領域R10の周辺領域において前記陰極電極152の電圧と、前記表示領域R10における前記陰極電極152の電圧は、共に前記補助配線121に設定された電圧に対応して前記電荷機能層151を介した電圧となる。
【0173】
その結果、前記共通電極としての陰極電極152の電圧分布の不均衡を抑制し、表示劣化を防止できる。
【0174】
また、前述したように、前記表示領域R10の中央領域における単位面積当たりの前記陰極電極152と前記補助配線121との接続抵抗をR
cont(pix)とし、前記表示領域R10の周縁領域における単位面積当たりの前記陰極電極152と前記補助配線121との接続抵抗をR
cont(EDGE)とし、前記陰極電極152の抵抗をR
CATとし、補助配線121の抵抗をR
BUSとした場合、式3の関係式が満たされる。
【0175】
これにより、表示領域R10内のうち、画素に流れる電流が、高抵抗である前記陰極電極152よりも低抵抗である補助配線121に優位的に流れる。そのため、特に陰極電極152の抵抗による表示領域R10の周縁領域における電圧降下量の急激な変化を低減し、前記陰極電極152の電圧分布が均一化される。よって、表示領域R10内での表示ムラを低減できる。
【0176】
なお、前記有機発光層140を塗布方式により形成する場合、画素を区分けする前記隔壁130の表面は撥液性を有しなければ、前記隔壁130は画素を区分けする機能を果たさない。そのため、前述したように、前記隔壁130は、有機材料により構成される。また、前記隔壁130の表面は撥液処理がなされている。すなわち、前記隔壁130の表面は撥液性を有している。
【0177】
そのため、各色で異なるインク種を塗布する際に、インクが前記隔壁から溢れる最小量を大きくすることができ、隣接する色のインク同士が混ざって混色することを防止することができる。また、有機発光層140を塗布方式により形成する場合、塗布された有機発光層140の膜厚を均一に形成することができる。
【0178】
また、前述したように、隔壁130を構成する材料は、撥液性を有する有機材料であってもよい。この場合、前記隔壁130の表面は撥液処理がなされず、前記隔壁130は、撥液性を有する有機材料により構成されている。
【0179】
このように隔壁130が撥液性を有する有機材料によって構成されている場合でも、各色で異なるインク種を塗布する際に、インクが前記隔壁から溢れる最小量を大きくすることができ、隣接する色のインク同士が混ざって混色することを防止することができる。また、有機発光層140を塗布方式により形成する場合、塗布された有機発光層140の膜厚を均一に形成することができる。
【0180】
図8は、表示領域における特性の一例を示す図である。
【0181】
図8(a)のVdropとは、発光素子EL1の陰極電圧VEEの、表示端電圧VEE0に対する表示領域内の電圧変動量である。すなわち、表示領域内の陰極電圧は、VEE0+Vdropで表わされる。
図8(a)の横軸は、表示領域R10における水平方向(行方向)の1ライン(以下、測定ラインともいう)に対応する。
【0182】
すなわち、
図8(a)は、測定ラインに対応する各発光素子EL1の降下電圧の変化を示す図である。表示端とは、表示領域R10の水平方向(行方向)における端を示す。表示中央とは、
図2の位置CPに相当する。なお、
図8(b)及び(c)の横軸も、
図8(a)の横軸と同様である。また、表示領域R10の垂直方向(縦方向)においても、
図8と同様の形状を持った電圧・電流分布となっている。
【0183】
特性線L21は、
図19で説明した構成を有する比較技術(以下、比較技術Aともいう)の特性を示す。特性線L22は、本実施の形態の構成における特性を示す。
【0184】
図8(a)に示すように、本実施の形態は、比較技術Aよりも、表示端と表示中央とにおける降下電圧の変化量が小さいことがわかる。
【0185】
図8(b)は、測定ラインに対応する各駆動トランジスタT1のゲート−ソース間電圧の変化量の特性を示す図である。特性線L31は、比較技術Aの特性を示す。特性線L32は、本実施の形態の構成における特性を示す。
図8(b)に示すように、本実施の形態は、比較技術Aよりも、表示端と表示中央とにおけるゲート−ソース間電圧の変化量の差が小さいことがわかる。
【0186】
図8(c)は、測定ラインに対応する各サブ画素部PXに流れる電流の特性を示す図である。特性線L41は、比較技術Aの特性を示す。特性線L42は、本実施の形態の構成における特性を示す。
図8(c)に示すように、本実施の形態は、比較技術Aよりも、表示端と表示中央とにおけるサブ画素部に流れる電流の変化量が小さいことがわかる。
【0187】
すなわち、
図8により、本実施の形態は、比較技術Aよりも、表示バラツキが抑制されることがわかる。
【0188】
なお、サブ画素部PXの回路構成は、
図4に示す構成に限定されない。例えば、サブ画素部PXの回路構成は、
図9に示す回路構成であってもよい。
【0189】
図9の回路構成は、
図4の回路構成と比較して、さらに制御線223,224がサブ画素部PXに対応づけて設けられる点と、コンデンサC20がさらに設けられる点が異なる。なお、
図9の回路は、駆動トランジスタT1の閾値電圧V
Tを補償するための回路である。
【0190】
図9に示す回路は、
図10に示すタイミングチャートに従って動作する。
【0191】
サブ画素部PXの回路構成が、
図9の回路構成であっても、表示領域R10の端部付近の構成が、比較技術Aの構成である場合、前述したのと同様な課題が生じる。
【0192】
しかしながら、本実施の形態では、サブ画素部PXの回路構成が、
図9の回路構成であっても、表示領域R10の端部付近の構成を、
図6Bの構成とすることで、前述した効果を得ることができる。
【0193】
なお、電源配線110及び補助配線121の構成は、
図7(a)の構成に限定されない。例えば、
図7(b)のように、表示パネル100に含まれる複数の補助配線121は、垂直方向のみに沿って配置されてもよい。この構成においても、前述の式3は満たされる。この場合、
図7(b)の領域R32内に画素Aがある場合、m≠nである。
【0194】
また、例えば、
図7(c)のように、2本の電源配線110が、表示領域R10の2つの長辺を挟むように配置された構成であってもよい。なお、2本の電源配線110は、垂直方向に沿った複数の補助配線121により、電気的に接続される。この構成においても、前述の式3は満たされる。この場合、
図7(c)の領域R33内に画素Aがある場合、m=nである。
【0195】
また、例えば、
図7(d)のように、1本の電源配線110が、表示領域R10の2つの長辺のうちの一方の近傍に配置された構成であってもよい。なお、電源配線110には、垂直方向に沿った複数の補助配線121が電気的に接続される。この構成においても、前述の式3は満たされる。この場合、
図7(d)の領域R34内に画素Aがある場合、m=nである。
【0196】
<実施の形態1の変形例1>
次に、実施の形態1の変形例1に係る構成について説明する。
【0197】
図11は、表示領域R10の端部付近の領域R20を拡大した図である。
【0198】
図12は、本発明の実施の形態1の変形例1に係る表示パネル100の一部の断面図である。具体的には、
図12は、
図11のA1−C1線に沿った、表示領域R10の端部付近の断面図である。
図11及び
図12の線L1は、周辺領域Aにおける、陰極電極152の端の位置を示す。
図11及び
図12の線L2は、周辺領域Aにおける、電荷機能層151の端の位置を示す。
【0199】
図12に示すように、実施の形態1の変形例1において、陰極電極152及び電荷機能層151の構成は、実施の形態1の
図6Bの構成と同様である。すなわち、前記表示領域R10の中央(
図2の位置CP)から前記陰極電極152の端までの距離は、前記表示領域R10の中央から前記電荷機能層151の端までの距離より短い。具体的には、前述したように、表示領域R10の中央(位置CP)を通過する直線A上における該中央から陰極電極152の端までの距離は、該直線A上における該中央から当該陰極電極152の端の近傍に位置する、電荷機能層151の端までの距離より短い。
【0200】
また、前記陰極電極152の端部は、前記表示領域R10と前記表示領域R10の周辺領域との境界付近に位置する隔壁130の上方に設けられている。
【0201】
また、電荷機能層151の端部は、前記表示領域R10と前記表示領域R10の周辺領域との境界付近に位置する隔壁130全体を覆うように延設されている。すなわち、表示領域R10の周辺領域において、電荷機能層151の端部は、補助配線121と接続される。なお、表示領域R10の周辺領域において、陰極電極152の端部は、補助配線121と接続されていない。
【0202】
なお、
図12の上記以外の構成は、
図6Bと同様なので詳細な説明は繰り返さない。
【0203】
この実施の形態1の変形例1に係る構成においても、実施の形態1と同様な効果を得ることができる。すなわち、共通電極としての陰極電極152の電圧分布の不均衡を改善し、表示劣化を抑制できる。また、前記電荷機能層151の端部近傍において、前記電荷機能層151が前記陰極電極152に覆われている部分と覆われていない部分とが混在していても、同様の効果を得ることができる。
【0204】
<実施の形態1の変形例2>
次に、実施の形態1の変形例2に係る構成について説明する。
【0205】
図13は、表示領域R10の端部付近の領域R20を拡大した図である。
【0206】
図14は、本発明の実施の形態1の変形例2に係る表示パネル100の一部の断面図である。具体的には、
図14は、
図13のA1−C1線に沿った、表示領域R10の端部付近の断面図である。
図13及び
図14の線L1は、表示領域R10の周縁領域における、陰極電極152の端の位置を示す。
図13及び
図14の線L2は、表示領域R10の周縁領域における、電荷機能層151の端の位置を示す。
【0207】
図14に示すように、実施の形態1の変形例2において、陰極電極152及び電荷機能層151の構成は、実施の形態1の構成と同様である。すなわち、前記表示領域R10の中央(
図2の位置CP)から前記陰極電極152の端までの距離は、前記表示領域R10の中央から前記電荷機能層151の端までの距離より短い。具体的には、前述したように、表示領域R10の中央(位置CP)を通過する直線A上における該中央から陰極電極152の端までの距離は、該直線A上における該中央から当該陰極電極152の端の近傍に位置する、電荷機能層151の端までの距離より短い。
【0208】
また、前記陰極電極152の端部及び前記電荷機能層151の端部は、表示領域R10の端部(周縁領域)に設けられている。
【0209】
なお、表示領域R10の端部(周縁領域)において、陰極電極152の端部は、補助配線121と接続されていない。
【0210】
なお、
図14の上記以外の構成は、
図6Bと同様なので詳細な説明は繰り返さない。
【0211】
この実施の形態1の変形例2に係る構成においても、実施の形態1と同様な効果を得ることができる。すなわち、共通電極としての陰極電極152の電圧分布の不均衡を改善し、表示劣化を抑制できる。また、前記電荷機能層151の端部近傍において、前記電荷機能層151が前記陰極電極152に覆われている部分と覆われていない部分とが混在していても、同様の効果を得ることができる。
【0212】
<実施の形態1の変形例3>
次に、実施の形態1の変形例3に係る構成について説明する。
【0213】
図15は、表示領域R10の端部付近の領域R20を拡大した図である。
【0214】
図16は、本発明の実施の形態1の変形例3に係る表示パネル100の一部の断面図である。具体的には、
図16は、
図15のA1−C1線に沿った、表示領域R10の端部付近の断面図である。
図15及び
図16の線L1は、周辺領域Aにおける、陰極電極152の端の位置を示す。
図15及び
図16の線L2は、周辺領域Aにおける、電荷機能層151の端の位置を示す。
【0215】
図16に示すように、実施の形態1の変形例3において、陰極電極152及び電荷機能層151の構成は、実施の形態1の構成と同様である。すなわち、前記表示領域R10の中央(
図2の位置CP)から前記陰極電極152の端までの距離は、前記表示領域R10の中央から前記電荷機能層151の端までの距離より短い。具体的には、前述したように、表示領域R10の中央(位置CP)を通過する直線A上における該中央から陰極電極152の端までの距離は、該直線A上における該中央から当該陰極電極152の端の近傍に位置する、電荷機能層151の端までの距離より短い。
【0216】
また、前記陰極電極152の端部及び前記電荷機能層151の端部は、前記表示領域R10と前記表示領域R10の周辺領域との境界付近に位置する隔壁130全体を覆うように延設されている。
【0217】
なお、表示領域R10の周辺領域において、陰極電極152の端部は、補助配線121と接続されていない。
【0218】
なお、
図16の上記以外の構成は、
図6Bと同様なので詳細な説明は繰り返さない。
【0219】
この実施の形態1の変形例3に係る構成においても、実施の形態1と同様な効果を得ることができる。すなわち、共通電極としての陰極電極152の電圧分布の不均衡を改善し、表示劣化を抑制できる。
【0220】
また、前記表示領域R10の周辺領域に配置された補助配線121は、前記表示領域R10の周辺領域では前記陰極電極152と直接接続されない。
【0221】
そのため、前記表示領域R10の周辺領域において前記補助配線121と前記陰極電極152との間に設定される電圧と、前記表示領域R10において前記補助配線121と前記陰極電極152との間に設定される電圧とは、共に前記電荷機能層151を介した電圧となる。その結果、前記共通電極としての陰極電極152の電圧分布の不均衡を抑制し、表示劣化を防止できる。また、前記電荷機能層151の端部近傍において、前記電荷機能層151が前記陰極電極152に覆われている部分と覆われていない部分とが混在していても、同様の効果を得ることができる。
【0222】
(表示装置の外観図)
図17は、表示パネル100を備える表示装置1000の外観図である。
【0223】
以上、本発明における表示装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、例えば、電荷機能層151及び前記陰極電極152の端部の位置は、上記実施の形態およびその変形例の組合せであってもよい。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したもの、あるいは異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0224】
また、本発明は共通電極の電圧分布の不均衡により、画素電流が変動するような画素構成であれば適用が可能である。例えば、駆動TFTがP型TFTであっても成立する。P型TFTが飽和領域動作している場合でも、画素電流は駆動TFTのソース・ドレイン間の電圧に依存し、共通電極の電圧分布の不均一は駆動TFTのソース・ドレイン間の電圧を変動させ、結果として画素電流を不均一化させる。よって共通電極の電圧分布の均一性を改善すれば、画素電流を均一化させることが可能となり、表示品位を改善することができる。
【0225】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。