(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1フラクションが、プロピレンベースの第1ポリマーの第1部分、及びプロピレンベースの第2ポリマーの第1部分を含み、かつ、第2フラクションが、プロピレンベースの第1ポリマーの第2部分、及びプロピレンベースの第2ポリマーの第2部分を含む、請求項1に記載の多峰性ポリマーブレンド。
プロピレンベースの第1ポリマーがプロピレンとエチレンのコポリマーを含み、プロピレンベースの第2ポリマーがプロピレンとエチレンのコポリマーを含む、請求項1に記載の多峰性ポリマーブレンド。
前記多峰性ポリマーブレンドが、10J/g〜90J/gの間の融解熱を有し、かつ、プロピレンベースの第1ポリマーとプロピレンベースの第2ポリマーが、少なくとも10J/gの融解熱の違いを有する、請求項1に記載の多峰性ポリマーブレンド。
【発明を実施するための形態】
【0006】
LINXAR(商標)ポリマーと同等であるか又はより良好なセットタイム及び機械的強度を含め、接着剤用途で利点のある特性の、独特で望ましい組合せを有する特定の多峰性ポリマーブレンドが、より強健であり、また、LINXAR(商標)ポリマー並びに米国特許第7,294,681号及び米国特許第7,524,910号に開示されているポリマーを製造するために用いられる方法に付随する制限及び困難の多くが存在しない、新しいプロセスプラットフォームを用い、製造され得ることが見出された。
【0007】
有利には、新しいプロセスプラットフォームを用い、LINXAR(商標)ポリマーを接着剤用途に用いられる優れたポリマーにしているLINXAR(商標)ポリマーの多くの特徴を共有するポリマーが製造され得る。新しいプロセスプラットフォームを用い、新しいポリマーとLINXAR(商標)ポリマーとの間に差異を設けるが、新しいポリマーの優れた接着性能に寄与すると考えられる他の特徴を有する、新しいポリマーが製造され得る。新しいプロセスプラットフォームを用い、例えば、少なくとも2つの異なるポリマーの多峰性ポリマーブレンドであって、約10,000g/mol〜約150,000g/molのMw、及び、約10J/g〜約90J/gの間の融解熱を有する前記ブレンドであるポリマーが、製造され得る。これらのポリマーは、また、昇温溶出分別されると、オルト−ジクロロベンゼン中、−15℃で可溶である第1フラクション、及び、オルト−ジクロロベンゼン中、−15℃で、不溶である、若しくは第1フラクションより難溶である第2フラクションを示し得る。第1フラクションは、約70mol%〜約90mol%のアイソタクチック(mm)トリアドタクチシチーを有し得るし、第2フラクションは、約85mol%〜約98mol%のアイソタクチック(mm)トリアドタクチシチーを有し得る。好ましい実施形態において、多峰性ポリマーブレンドの各ポリマーの一部が、それぞれのフラクションに現れる。
【0008】
ポリオレフィン接着剤成分及び組成物の調製方法
ポリオレフィン接着剤成分を調製するための溶液重合法が、一般的に、
図1に例示されている。例としての実施形態において、この方法は、第1反応器20、第1反応器20に並列の第2反応器40、液相分離器60、揮発分除去槽70、及びペレタイザー80を含むシステム10によって実施される。第1反応器20及び第2反応器40は、例えば、連続撹拌−タンク反応器であってよい。
第1反応器20は、第1モノマーの第1モノマーフィード22、第2モノマーの第2モノマーフィード24、及び第1触媒の触媒フィード26を受け入れ得る。第1反応器20は、また、溶媒及び活性化剤のフィードも受け入れ得る。溶媒及び/又は活性化剤フィードは、第1モノマーフィード22、第2モノマーフィード24、又は触媒フィード26のいずれかと一緒にされてもよい、或いは、溶媒及び活性化剤は、別個のフィード流28、30として反応器に供給されてもよい。第1ポリマーは、第1反応器20において製造され、第1反応器20から、第1生成物流32により排出される。第1生成物流32は、第1ポリマー、溶媒、及び未反応モノマーを含む。
【0009】
ある実施形態において、第1モノマーは、プロピレンであり得、第2モノマーは、エチレン又はC
4−C
10オレフィンであり得る。ある実施形態では、第2モノマーは、エチレン、ブテン、ヘキセン、及びオクテンであり得る。通常、プロセスにおいて用いられる、モノマーの選択及び選択されたモノマーの相対量は、第1ポリマー及び最終の多峰性ポリマーブレンドに望まれる特性に応じて決まる。接着剤組成物では、エチレン及びヘキセンが、プロピレンとの共重合にとって、特に好ましいコモノマーである。ある実施形態において、第1反応器20に供給されるプロピレンとコモノマーの相対量は、主モノマーがプロピレンであるポリマー、すなわち、プロピレンが50mol%を超えるポリマーを生成するように設計され得る。別の実施形態において、第1反応器20は、プロピレンのホモポリマーを生成し得る。
【0010】
第2反応器40は、第3モノマーの第3モノマーフィード42、第4モノマーの第4モノマーフィード44、及び第2触媒の触媒フィード46を受け入れ得る。第2反応器40は、また、溶媒及び活性化剤のフィードも受け入れ得る。溶媒及び/又は活性化剤フィードは、第3モノマーフィード42、第4モノマーフィード44、又は第2触媒フィード46のいずれかと一緒にされてもよい、或いは、溶媒及び活性化剤は、別個のフィード流48、50として反応器に供給されてもよい。第2ポリマーは、第2反応器40において製造され、第2反応器40から、第2生成物流52により排出される。第2生成物流52は、第2ポリマー、溶媒、及び未反応モノマーを含む。
【0011】
ある実施形態において、第3モノマーは、プロピレンであり得、第4モノマーは、エチレン又はC
4−C
10オレフィンであり得る。ある実施形態において、第4モノマーは、エチレン、ブテン、ヘキセン、及びオクテンであり得る。ある実施形態において、第2反応器40に供給されるプロピレンとコモノマーの相対量は、主モノマーがプロピレンであるポリマー、すなわち、プロピレンが50mol%を超えるポリマーを生成するように設計され得る。別の実施形態において、第2反応器40は、プロピレンのホモポリマーを生成し得る。
好ましくは、第2ポリマーは、第1ポリマーとは異なる。違いは、2つのポリマーの、例えば、コモノマー含有量、融解熱、結晶化度、分岐指数、重量平均分子量、及び/又は多分散性によって測定され得る。ある実施形態において、第2ポリマーは、第1ポリマーとは異なるコモノマーを含み得る、又は、一方のポリマーは、プロピレンのホモポリマーであり得、他方のポリマーは、プロピレンと、エチレン若しくはC
4−C
10オレフィンとのコポリマーを含み得る。例えば、第1ポリマーは、プロピレン−エチレンコポリマーを含み得、第2ポリマーは、プロピレン−ヘキセンコポリマーを含み得る。ある実施形態において、第2ポリマーは、第1ポリマーとは異なる重量平均分子量(Mw)、及び/又は、第1ポリマーとは異なる溶融粘度を有し得る。さらに、ある実施形態では、第2ポリマーは、第1ポリマーとは異なる結晶化度及び/又は融解熱を有し得る。利点のある多峰性ブレンドを生成するために一緒にされ得る複数のポリマーのタイプの具体例は、本明細書において、より詳細に記載される。
【0012】
図1には示されていないが、第1及び第2ポリマーに、結び付けられる(例えば、グラフト化される)、又はブレンドされ得る他のポリマーを生成するために、任意の数のさらなる反応器が用いられてもよいことが理解されるべきである。ある実施形態において、第3反応器が、第3ポリマーを生成し得る。第3反応器は、第1反応器20及び第2反応器40と並列であり得る、又は、第3反応器は、第1反応器20及び第2反応器40の1つと直列であり得る。
本明細書に記載されているポリマーを重合するための例示的方法のさらなる説明は、米国特許第6,881,800号に見出すことができ、この特許は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0013】
第1生成物流32及び第2生成物流52は、一緒にされて、多峰性ブレンド流54を生成し得る。例えば、第1生成物流32及び第2生成物流52は、第1及び第2ポリマーを、混合槽、例えば、撹拌機を有する混合タンクに供給し得る。
多峰性ブレンド流54は、液相分離槽60に供給されて、ポリマーリッチ相及びポリマーリーン相を生成し得る。ポリマーリーン相は、溶媒を含み、実質的にポリマーを含まないということがあり得る。ポリマーリーン相の少なくとも一部は、液相分離槽60から、溶媒再循環流64を通して排出され得る。溶媒再循環流64は、未反応モノマーをさらに含み得る。ポリマーリッチ相の少なくとも一部は、液相分離槽60から、ポリマーリッチ流62を通して排出され得る。
【0014】
ある実施形態において、液相分離槽60は、下限臨界溶液温度(LCST)相分離の原理で運転され得る。この技術は、2つの液相;一方は、実質的にポリマーを含まず、他方は、液相分離槽60への単一液体フィードより高い濃度で溶けたポリマーを含む;を生じるスピノーダル分解の熱力学的原理を用いる。
液相分離は、
図3に示されるように、多峰性ブレンド流が、LCST境界線を通過することによって達成され得る。この図による例において、重合は、重合反応器(複数可)において、線Aによって示されるレベルで降圧デバイスの上流に行き渡る圧力で、100又は120barで行われる。温度は、維持される、及び/又は、Bで示される大括弧によって指示される範囲まで、150℃と200℃又は220℃との間まで、上げられる。行き渡った温度で、圧力が、矢印に沿って、Xで指示されるレベルまで下げられる。温度が、降下バルブを横切って、100barから40barに下げられる時、重合混合物は、均質な単一相から、LCSTによって指示される下限臨界溶液温度境界線を通って、2相(L−L)領域に入る。すなわち、所定の温度で、圧力は、上限臨界溶液温度(UCST)、LCST、及び蒸気圧を示す圧力−温度曲線の最高値を超える圧力で出発し、所定の温度での降下後の圧力は、スピノーダル境界線を示す圧力−温度曲線より下で、蒸気圧を示す圧力−温度曲線より上にある。圧力低下は、連続ポリマー相の生成を避けるのに、また不連続溶媒/モノマー相を生成するのに、十分なだけ速い。LCST(バイノーダル)境界線とスピノーダル境界線によって境界を定められる領域を横切る圧力低下は、スピノーダル分解(これが、迅速な相分離及び分離安定につながる)によって相分離を誘発するために、特に迅速であり得る。
【0015】
レベルXは、蒸気圧と指示された別の相境界線より上にあり、その境界線の下では、混合物は、それが部分的に蒸気で、部分的に2相の液体である、V−L−L領域に入る。分離器の出口でのレベルXの圧力は、十分に高く、蒸気は生成されない。
【0016】
過去の実験での測定は、リーン相におけるポリマー濃度は、生成物の種類(product family)の関数であり、高分子量のプロピレン−エチレンエラストマー(すなわち、100k〜300kg/molの範囲の重量平均分子量を有するプロピレン−エチレンエラストマー)での約300wppmから、エチレン−プロピレン−ジエンモノマーゴム(「EPDM」)及びプラストマーでの約1000wppmの範囲に渡り、一方、リーン相におけるポリマーフラクションの分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって求めると、通常、10,000g/mol未満であることを示した。米国特許第7,163,989号を参照。それゆえに、より低い分子量のポリマー、例えば、5,000g/mol〜100,000g/molの範囲の重量平均分子量を有するポリマーの液相分離は、より高い分子量のプロピレン−エチレンエラストマー、EPDM、及びプラストマーでのそれよりかなり高い、リーン相のポリマー濃度を生じるであろうと予想された。このような結果は、ポリマーの1つが、他の1つ又は複数のポリマーより相当に低い重量平均分子量を有する実施形態における多峰性ポリマーブレンドの処理にとっては、さらに一層望ましくないであろう。驚くべきことに、実施例1及び実施例2において実証されているように、そうではないことが見出された。
【0017】
それゆえに、2つの液相の生成を実現するためにスピノーダル分解を利用する液相分離槽60を用いることは、特に、ブレンドのポリマーの1つが、100,000g/mol未満、より一層特別には、10,000g/mol〜60,000g/molの間の重量平均分子量を有する場合において、溶媒を、多峰性ポリマーブレンドから分離するための効果的な方法であり得ることが、確認された。ポリマーリーン相におけるポリマー濃度は、触媒の選択によって、さらに下げられ得ることもまた見出された。式Iの触媒(本開示の触媒及び活性化剤のセクションにおいて説明される)、特に、ジメチルシリルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)ハフニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジメチル、及びジメチルシリルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ハフニウムジメチルは、リーン相におけるポリマー濃度を最小限にするために特に効果的な触媒であることが見出された。したがって、ある実施形態において、1つ、2つ、又は全てのポリマーが、式Iの触媒、特に、ジメチルシリルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ハフニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジメチル、及びジメチルシリルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ハフニウムジメチルを用い、製造され得る。
【0018】
再び
図1を参照すると、液相分離槽60を出て、ポリマーリッチ流62は、次いで、ポリマーのさらなる回収のために、揮発分除去槽70に供給され得る。ある実施形態において、ポリマーリッチ流62は、また、揮発分除去槽70の入口に供給される前に、低圧分離器に供給され得る。槽内にある間に、ポリマー組成物は、槽内で真空下に置かれ得るが、その結果、溶媒の少なくとも一部がポリマー組成物から除去され、またポリマー組成物の温度が低下し、こうして、多峰性ポリマーブレンドを含み、ポリマー組成物が槽に導入された時のポリマー組成物より、少ない溶媒含有量と低い温度とを有する第2ポリマー組成物が生成される。次いで、このポリマー組成物は、槽の出口から、排出流72により、排出され得る。
【0019】
揮発分除去槽70は、当技術分野において知られている揮発分除去デバイスであってよい。本明細書に記載されている蒸発冷却を実現するために、ポリマー溶融物から溶媒を除去できる如何なるこのようなデバイスが用いられてもよい。これらのデバイスのいくつかが、下でより詳細に記載される。
【0020】
ある実施形態において、揮発分除去槽は、ポリマー溶融物を受け入れるための入口、ポリマー溶融物を排出するための出口、揮発分がそれを通して除去され得る真空ポート、及び撹拌機シャフトを入れるための撹拌機シャフトポートを有する真空チャンバを含み得る。撹拌機シャフトは、少なくとも1つの撹拌機シャフトポートに通され、真空チャンバ内に延び、撹拌手段、例えば、通常の円形又は楕円形パドル、通常の羽根、通常の棒、又はこれらの組合せの1つ又は複数を持ち得る。撹拌手段には、当業者知られている如何なる通常の撹拌用具も含まれる。揮発分除去装置は、シャフトを回転されるために、真空チャンバの外側に位置するモーターを含み得る。
揮発分除去装置は、また、出口を通してポリマーを追い出すために、真空チャンバからの出口に付随するスクリューシャフトも含み得る。その場合、真空チャンバは、また、スクリューシャフトがチャンバ内に、それを通して入るスクリューシャフトポートを有するであろうし、そのスクリューシャフトポートは、また、真空チャンバの外側に外部部分を有するスクリューシャフトシールも含むであろう。好ましくは、揮発分除去装置は、また、スクリューシャフトシールの外部部分を低酸素含有量ガスにより覆うために、低酸素含有量ガスが供給される囲い(enclosure)のような手段も含む。
典型的には、真空チャンバは、通常、円柱状であり、円柱の軸が水平面にあるように、横になっており、撹拌機シャフトもまた、水平に延び、円柱の軸と一致していてよい。
【0021】
提供されている装置及びプロセスは、何らかの適切な低酸素含有量ガスを用いる。好ましくは、低酸素含有量ガスは、3重量%未満の酸素、好ましくは0.5重量%未満の酸素を含む。より好ましくは、低酸素含有量ガスは、酸素を実質的に含まない、又は全く含まない(0.0重量%)。低酸素含有量ガスには、酸素及び含まない通常のガス、例えば、ヘリウム、アルゴン、窒素、水蒸気、二酸化炭素、又はこれらの組合せが含まれる。好ましくは、低酸素含有量ガスは窒素である。
【0022】
任意選択で、真空チャンバの内部容積は、少なくとも2m
3、例えば、少なくとも4m
3であり、任意選択で、大きくても15m
3、例えば11m
3である。任意選択で、真空チャンバは、通常、少なくとも4m、任意選択で少なくとも6mの長さ、及び少なくとも1mの直径を有する円柱状である。
通常、真空揮発分除去装置は、1つ又は複数の真空ポートを通して、真空チャンバを真空に曝す、少なくとも1つのポンプを含むか、又はそれに連結されている。
【0023】
図2は、本発明でのプロセス及びシステムに用いられるのに適する例示的な揮発分除去装置100の構成を示す。揮発分除去装置100は、真空チャンバ101を含み、これは、ポリマー及び溶媒を含むポリマー組成物のための入口102、ペレタイザーへ流れ込むポリマーのための出口103、並びに、導管を通じて、ポンプを含む真空システムに連結されている2つの真空ポート104及び105を備える。真空チャンバ101は、通常、円柱状であり、約2〜10メートルの長さ、及び1メートルを超える直径を有し得る。真空チャンバ101は、水平に据えつけられ、各末端に、撹拌機シャフトポート106、107を備える。撹拌機シャフト108は、撹拌機シャフトポート106、107を通して水平に延び、円柱状真空チャンバ101の軸と共通の軸を持つ。撹拌機シャフトポート106は、真空チャンバ101と撹拌機シャフト108との間のシーリングのための撹拌機シャフトシール109を備える。撹拌機シャフトポート107は、同様の撹拌機シャフトシール110を備える。撹拌機シャフトシール109及び110の機能は、真空チャンバ101の外部のガス体が真空チャンバ101の内部に入り込むことの防止である。真空揮発分除去装置100は、さらに、撹拌機シャフト108を駆動するために、撹拌機シャフト108の両末端に据えつけられた2つの油圧モーター(hydraulic motor)111、112を含む。これらのモーター111、112は、それぞれ、別個の油圧駆動装置113、114によって動力を供給される。かなりの数のパドル115が、真空チャンバ101の内部でポリマーを撹拌するために、撹拌機シャフト108の長さ方向に沿って備わる。
【0024】
入口102から遠い、真空チャンバ101の末端に、水平に据えつけられたスクリューシャフト116が、撹拌機シャフト108に直交して据えつけられている(
図2では、明瞭さのために、スクリューシャフトは鉛直方向にあるように見える)。スクリューシャフト116は、油圧モーター117によって駆動され、これは、油圧駆動装置114によって動力を供給される。スクリューシャフト116の機能は、真空チャンバ101から、出口103を通して、下流のペレタイザーに向けて、ポリマーを追い出すことである。スクリューシャフト116は、スクリューシャフトポート118(これは、スクリューシャフトシール119を備える)を通じて真空チャンバに入る。
【0025】
シール109は、真空チャンバ101の外側に突き出る部分109aを有する。シール109の外部部分109aは、囲い120の内部に入っており、囲いは、真空チャンバ101の末端から、モーター111のハウジングに及ぶ円柱状の囲いである。揮発分除去装置100が運転中である時、囲い120は、囲い120の内部を不活性雰囲気に保ち、こうして、シール109の外部部分109aを不活性雰囲気で覆うために、窒素源から窒素を供給される。そうすると、シール109に漏れがあった場合、囲い120の内部から、真空チャンバ101の内部へ、大気からの空気ではなく、窒素が吸い込まれる。囲い120への窒素の供給は、囲い120の外への何らかの急激な窒素流の増加が、シール109にあり得る漏れを示すものとして検出されるように、モニターによって監視され得る。同様に、撹拌機シャフトシール110は、真空チャンバ101の外部へ突き出る部分を有し、これは、窒素が充填された囲い121の内側に入っており、スクリューシャフトシール119は、真空チャンバ101の外部へ突き出る部分を有し、それは、窒素が充填された囲い122の内側に入っている。囲い121及び122は、それぞれ、それ自身の独立した窒素供給を有し、それぞれが、囲いへの窒素流の増加があれば検出するために、それ自身の独立したモニターを有し得る。
【0026】
図2から分かるように、モーター111、112、及び117は、それぞれ、囲い120、121、及び122の一部を成すハウジングを有する。
シール109は、シール109に潤滑油を供給する専用のオイル注入ポンプ123を備え、こうして、シーリング作用が向上し、シールパッキングの寿命が延長される。ポンプ123は、ストローク毎にシールへの正確なオイル量を計量供給し、こうして、過剰のオイルがシールへ注入されないことを保証する、空気駆動プランジャポンプである。オイル流は、ポリマーにシールオイルが入り込むことを制限するように、注意深く制御される。代わりに、オイルは、潤滑油の貯蔵容器に圧力を加えることによって指定された圧力でオイルをシール109に強制的に送る窒素供給源124により、加圧されてもよい。
同様に、シール110は、オイルポンプ125、及び関連する空気供給源又は窒素供給源126を備え、シール119は、関連する窒素供給源128を有するオイルポンプ127を備える。
【0027】
揮発分除去装置100の運転中、半結晶性ポリマー及び溶媒を含むポリマー組成物は、真空チャンバ101の入口102に流入する。真空チャンバ内部で、ポリマー組成物は、撹拌機シャフト108に固定されたパドル115によって撹拌され、撹拌機シャフトは、例えば、20〜45rpmの間の速度で回転し得る。撹拌は、真空チャンバ101の内部で、ポリマーの新しい表面を連続的に露出させ、揮発性溶媒物質が、2つの真空ポート104、105を通して、真空システムの方へ抜き取られ、真空は、真空チャンバ101の内部で、約20mmHgの圧力に保たれる。ポリマーは、真空チャンバ101の長さ方向に沿って流れ、回転するスクリューシャフト116によって、真空チャンバ101の末端から、出口103を通して、下流のペレタイザー200に向かって押しやられる。
本発明において用いられるのに適する揮発分除去デバイスの運転のさらなる実施形態及びより詳細な説明は、米国特許出願第12/972,140号に見出すことができ、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。適切な揮発分除去デバイスは、例えば、LIST USA,Inc.から市販されている。
【0028】
再び
図1を参照すると、冷却された排出流72は、次いで、ペレタイザー80に供給され得るが、そこで、多峰性ポリマーブレンドは、次に、ペレット化ダイを通して、成形されたペレット82として排出される。ポリマーのペレット化は、アンダーウォーター、ホットフェイス、ストランド、ウォーターリング、又は他の類似のペレタイザーによって行われ得る。好ましくは、アンダーウォーターペレタイザーが用いられるが、当業者に知られている他の同等のペレット化ユニットもまた、使用され得る。アンダーウォーター式ペレット化の一般的技術は、当業者に知られている。有用なアンダーウォーター式ペレット化デバイスの例は、米国特許第7,033,152号、米国特許第7,226,553号、及び米国特許第7,470,118号に見出すことができ、これらの全ては、参照により本明細書に組み込まれる。
【0029】
ある実施形態において、アンダーウォーターペレタイザーが、冷却されたポリマーをペレット化するために使用され得る。このような実施形態では、ポリマーは、ペレット化ダイを通して押し出されてストランドを形成し、次いで、ストランドが、アンダーウォーターペレタイザーの水槽(water box)内の回転カッター刃によって切断され得る。水は、水槽を通して連続的に流れて、ペレットをさらに冷却し、固化させ、さらなる処理のために、アンダーウォーターペレタイザーの水槽からペレットを運び出す。ある実施形態において、アンダーウォーター式ペレット化ユニットにおける水の温度は、約0℃〜25℃であり得る。好ましくは、水冷却システムが、アンダーウォーターペレタイザーの水槽(切断チャンバ)に向かう水を、約5℃に冷却する。
【0030】
ある実施形態において、ペレット化ダイは、ダイの穴が詰まることを防ぐために、当業者に知られている手段によって、温調され得る。
ある実施形態において、アンダーウォーターペレタイザーユニットは、冷却水スラリー循環ループを有し得る。冷却水は、ペレットが互いにくっ付く傾向を排除する助けとなり、押し出されたポリマーストランドが、よりきれいに切断されることを可能にする。冷却水スラリー循環ループは、アンダーウォーターペレタイザーの水槽と流体連結されており、ペレット−水スラリーを、ペレット乾燥ユニットに運び、次いで、水をリサイクルして、アンダーウォーターペレタイザーに戻し得る。ある実施形態において、冷却水スラリー循環ループ中のペレットの滞留時間は、少なくとも10秒、又は少なくとも20秒、又は少なくとも30秒、又は少なくとも40秒、又は少なくとも50秒或いはこれを超え得る。結晶化し、堅くなるための適切な時間がペレットになかった場合、出来たてのペレットは、互いにくっ付き、塊状化する傾向を有し得るので、ペレットは、ペレット水ループ中で、堅くなるための十分な滞留時間を持つことが好ましい。
【0031】
同じ又は他の実施形態において、冷却水は、ペレットをカッターの刃から取り外すために用いることができ、粗大に一体化又は塊状化したペレットを捕え除去するスクリーンを通して、ペレットを運ぶ。次いで、水は、ペレットを、脱水デバイスの中を通して、遠心乾燥器又は流動床へ運んで、ペレットから余分な表面湿分が除去される。次に、ペレットは、捕集のために排出シュートを通るか、又は、さらなる処理に進み得る。
ペレット化ダイは、ペレットを、これらに限らないが、球、棒、スラット(slat)、又は多角形を含めて、様々な形状にするために使用され得る。好ましくは、球に近いペレットが製造される。ペレットが流動し易いペレット形状が、好ましい。
ペレタイザーが運転される速度は、ダイプレートの大きさ、ダイのオリフィスの数、及びペレットに望まれる大きさ及び形状に従って選択される。ダイのオリフィスの数、及びオリフィスの幾何学的形状は、ポリマーフィードの流量及び溶融物質に適するように選択され、このような決定は、当業者の知識及び能力の範囲内にある。
ペレットがペレット−水スラリーループを出た後のペレットにおけるポリマー材料の不完全な結晶化は、ペレットの幾何学的形状の悪さ、ペレットの変形、及びペレットの自由流動する能力の低下につながり得る。ペレットにおける結晶化度は、ペレットの滞留時間及び温度によって影響される。さらに、ペレットの堅さは、滞留時間及び温度により変わる。
【0032】
任意選択で、ブロッキング防止剤が、アンダーウォーター式ペレット化水槽又は冷却水スラリーループの水に添加されてもよい。ペレット水ループへのブロッキング防止剤の添加は、ループにおいてペレットが互いにくっ付くことを防ぐのに有用である。
【0033】
A.モノマー
本発明での方法のいずれかによって製造される、及び/又は、本発明の組成物のいずれかに用いられるポリマーは、好ましくは、プロピレン、エチレン、C
4−C
20線状若しくは分岐状オレフィン及びジオレフィン(特に、C
4−C
10オレフィン)からなる群から選択される1種又は複数のモノマーから誘導される。本明細書で用いられる場合、用語「モノマー」又は「コモノマー」は、前記ポリマーを生成するために用いられるモノマー、すなわち、重合の前の状態の未反応化合物を指すこともできるし、また、モノマーがポリマーに組み込まれた後のモノマー(本明細書において「[モノマー]−由来単位」とも呼ばれる)も指すことができ、これは、重合反応のせいで、重合反応の前に有するより少数の水素原子を通常有する。
好ましくは、ポリマーは、主モノマーがプロピレンである。好ましいコモノマーには、エチレン、ブテン、ヘキセン、及びオクテンが含まれ、エチレンが最も好ましいコモノマーである。プロピレンベースのポリマーでは、ポリマーの結晶化度及び融解熱は、コモノマー含有量、及びポリマー内のコモノマーの連鎖分布によって影響を受ける。通常、コモノマーレベルの増加は、立体規則性のプロピレン由来連鎖の結晶化によってもたらされる結晶化度を低下させるであろう。
【0034】
ポリマーのコモノマー含有量及び連鎖分布は、
13C核磁気共鳴(NMR)を用い、当業者によく知られている方法によって測定できる。離散的な分子量範囲のコモノマー含有量は、Wheeler and Willis, Applied Spectroscopy, 1993, Vol. 47, pp. 1128-1130に記載されているように、GPCによる試料に連係するフーリエ変換赤外分光法(FTIR)を含めて、当業者によく知られた方法を用い、測定できる。75重量%を超えるプロピレンを含む、プロピレン−エチレンコポリマーでは、このようなポリマーのコモノマー含有量(エチレン含有量)は、次のように測定できる:均質な薄いフィルムが、約150℃以上の温度でプレスされ、Perkin Elmer PE 1760赤外分光光度計に装着される。試料の600cm
-1〜4000cm
-1の全スペクトルが、記録され、エチレンモノマー重量パーセントが、次の式に従って計算できる:エチレン重量%=82.585−111.987X+30.045X2、ここで、Xは、1155cm
-1のピーク高さと、722cm
-1又は732cm
-1のいずれかの高い方のピーク高さとの比である。75重量%以下のプロピレン含有量を有するプロピレン−エチレンコポリマーでは、コモノマー(エチレン)含有量は、Wheeler and Willisに記載されている手順を用い、測定できる。
GPC測定方法、並びにNMR及びDSC測定によってエチレン含有量を求めるための方法を含めて、様々な試験方法が、米国特許第6,525,157号に記載されており、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0035】
B.触媒及び活性化剤
ポリマーのトリアドタクチシチー及びタクチシチー指数は、触媒(これは、プロピレンの付き方の立体規則性に影響を及ぼす)、重合温度(温度を上げることによって、それに応じて、立体規則性は低下し得る)によって、また、コモノマー(これは、結晶性のプロピレン由来連鎖の長さを短くする傾向がある)のタイプ及び量によって、制御され得る。
【0036】
本明細書に記載されているポリマーは、1つ又は複数の触媒系を用い、調製され得る。本明細書で用いられる場合、「触媒系」は、遷移金属化合物(触媒前駆体とも呼ばれる)、及び活性化剤を少なくとも含む。開示されているプロセスの重合反応器の上流で、又は重合反応器内で、遷移金属化合物(触媒前駆体)と活性化剤を溶液中で接触させると、触媒系の触媒活性成分(触媒)が生じる。所与の遷移金属化合物又は触媒前駆体のいずれも、様々な活性化剤により、触媒活性成分(触媒)を生成でき、本発明でのプロセスにおいて使用可能な幅広い系列の触媒を与える。本発明での触媒系は、少なくとも1種の遷移金属化合物と少なくとも1種の活性化剤を含む。しかし、本開示の触媒系は、また、2つ以上の遷移金属化合物を、1種又は複数の活性化剤と組み合わせて、含んでいてもよい。このような触媒系は、不純物捕捉剤を含んでいてもよい。これらの成分の各々は、下でさらに詳細に説明される。
【0037】
ある実施形態において、半結晶性ポリマーを製造するために用いられる触媒系は、メタロセン化合物を含み得る。ある実施形態において、メタロセン化合物は、一般式(In
1)Y(In
2)MX
2を有する架橋ビスインデニルメタロセンであってよく、ここで、In
1及びIn
2は、Mに結合し、Yによって架橋された、置換若しくは非置換の同じインデニル基であり、Yは、In
1をIn
2に連結する直接鎖(direct chain)における原子の数が1〜8個である架橋基であり、その直接鎖はC、Si、若しくはGeを含み;Mは、3、4、5、若しくは6族の遷移金属であり;X
2は脱離基である。In
1及びIn
2は、置換されていても、又は非置換であってもよい。In
1及びIn
2が1つ又は複数の置換基により置換されている場合、置換基は、ハロゲン原子、C
1−C
10アルキル、C
5−C
15アリール、C
6−C
25アルキルアリール、及び、アルキル若しくはアリールを含むSi−、N−又はP−からなる群から選択される。各脱離基Xは、アルキル、好ましくはメチル、又はハロゲン化物イオン、好ましくは塩化物若しくはフッ化物である。このタイプの例示的なメタロセン化合物には、これらに限らないが、μ−ジメチルシリルビス(インデニル)ハフニウムジメチル、及び、μ−ジメチルシリルビス(インデニル)ジルコニウムジメチルが含まれる。
【0038】
ある実施形態において、メタロセン化合物は、一般式(In
1)Y(In
2)MX
2を有する架橋ビスインデニルメタロセンであってよく、ここで、In
1及びIn
2は、Mに結合し、Yによって架橋された、同じ2,4−置換インデニル基であり、Yは、In
1をIn
2に連結する直接鎖における原子の数が1〜8個である架橋基であり、その直接鎖はC、Si、若しくはGeを含み、Mは、3、4、5、若しくは6族の遷移金属であり、X
2は脱離基である。In
1及びIn
2は、2位において、C
1−C
10アルキル、好ましくはメチル基によって、4位において、C
5−C
15アリール、C
6−C
25アルキルアリール、及び、アルキル若しくはアリールを含むSi−、N−又はP−からなる群から選択される置換基によって、置換されている。各脱離基Xは、アルキル、好ましくはメチル、又はハロゲン化物イオン、好ましくは塩化物若しくはフッ化物である。このタイプの例示的なメタロセン化合物には、これらに限らないが、(ジメチルシリル)ビス(2−メチル−4−(3,’5’−ジ−tert−ブチルフェニル)インデニル)ジルコニウムジメチル、(ジメチルシリル)ビス(2−メチル−4−(3,’5’−ジ−tert−ブチルフェニル)インデニル)ハフニウムジメチル、(ジメチルシリル)ビス(2−メチル−4−ナフチルインデニル)ジルコニウムジメチル、(ジメチルシリル)ビス(2−メチル−4−ナフチルインデニル)ハフニウムジメチル、(ジメチルシリル)ビス(2−メチル−4−(N−カルバジル)インデニル)ジルコニウムジメチル、及び、(ジメチルシリル)ビス(2−メチル−4−(N−カルバジル)インデニル)ハフニウムジメチルが含まれる。
【0039】
代わりに、ある実施形態では、メタロセン化合物は、米国特許第7,601,666号に開示されている1つ又は複数の式に対応し得る。このようなメタロセン化合物には、これらに限らないが、ジメチルシリルビス(2−(メチル)−5,5,8,8−テトラメチル−5,6,7,8−テトラヒドロベンゾ(f)インデニル)ハフニウムジメチル、ジフェニルシリルビス(2−(メチル)−5,5,8,8−テトラメチル−5,6,7,8−テトラヒドロベンゾ(f)インデニル)ハフニウムジメチル、ジフェニルシリルビス(5,5,8,8−テトラメチル−5,6,7,8−テトラヒドロベンゾ(f)インデニル)ハフニウムジメチル、ジフェニルシリルビス(2−(メチル)−5,5,8,8−テトラメチル−5,6,7,8−テトラヒドロベンゾ(f)インデニル)ジルコニウムジクロリド、及び、シクロ−プロピルシリルビス(2−(メチル)−5,5,8,8−テトラメチル−5,6,7,8−テトラヒドロベンゾ(f)インデニル)ハフニウムジメチルが含まれる。
【0040】
ある実施形態において、半結晶性ポリマーを製造するために用いられる触媒系の活性化剤は、陽イオン成分を含み得る。ある実施形態において、陽イオン成分は、式[R
1R
2R
3AH]
+を有していてよく、ここで、Aは窒素であり、R
1及びR
2は、合わせて−(CH
2)
a−基であって、aは、3、4、5、若しくは6であり、窒素原子と一緒に、4−、5−、6−、若しくは7−員の非芳香族環を形成し、この環には、隣接環内炭素原子を通じて、1つ又は複数の芳香族若しくは複素芳香族環が縮合していてもよく、R
3は、C
1、C
2、C
3、C
4、若しくはC
5アルキル、又は、N−メチルピロリジニウム若しくはN−メチルピペリジニウムである。代わりに、ある実施形態では、陽イオン成分は、式[R
nAH
4-n]
+を有し、ここで、Aは窒素であり、nは、2又は3であり、全てのRは、同じであり、C
1−C
3アルキル基である(例えば、トリメチルアンモニウム、トリメチルアニリニウム、トリエチルアンモニウム、ジメチルアニリニウム、又はジメチルアンモニウム)。
【0041】
ある実施形態に用いられ得る特に利点のある触媒が、式Iに示されている。
【化1】
式I
【0042】
ある実施形態において、Mは、IV族の遷移金属原子、好ましくは、IVB族の遷移金属、より好ましくは、ハフニウム又はジルコニウムであり、Xは、それぞれ、アルキル、好ましくはメチル、又はハロゲン化物イオン、好ましくは塩化物若しくはフッ化物である。メチル又は塩化物脱離基が最も好ましい。ある実施形態において、R1及びR2は、水素、フェニル、及びナフチルからなる群から独立に選択され得る。R1は、好ましくは、R2と同じである。式Iの特に利点のある化学種は、ジメチルシリルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ハフニウムジクロリド、及びジメチルシリルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ハフニウムジメチルである。
【0043】
ある実施形態に用いられ得る別の利点のある触媒が、式IIに示されている。
【化2】
式II
【0044】
ある実施形態において、Mは、IV族の遷移金属原子、好ましくはIVB族の遷移金属、より好ましくは、ハフニウム又はジルコニウムであり、Xは、それぞれ、アルキル、好ましくはメチル、又はハロゲン化物イオン、好ましくは塩化物若しくはフッ化物である。メチル又は塩化物の脱離基が最も好ましい。ある実施形態において、R1及びR2は、水素、フェニル、及びナフチルからなる群から独立に選択され得る。R1は、好ましくは、R2と同じである。式IIの特に利点のある化学種は、ジメチルシリルビス(インデニル)ハフニウムジメチル、ジメチルシリルビス(インデニル)ハフニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、及びジメチルシリルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドである。
【0045】
ある実施形態において、1つ又は複数のポリマーは、また、式IIIに示される触媒を用い、製造され得る。
【化3】
式III
【0046】
ある実施形態において、Mは、IV族の遷移金属原子、好ましくは、IV族の遷移金属、より好ましくは、ハフニウム又はジルコニウムであり、Xは、それぞれ、アルキル、好ましくはメチル、又はハロゲン化物イオン、好ましくは塩化物若しくはフッ化物である。メチル又は塩化物の脱離基が最も好ましい。式IIIの特に利点のある化学種は、1,1’−ビス(4−トリエチルシリルフェニル)メチレン−(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−tert−ブチル−9−フルオレニル)ハフニウムジメチル;1,1’−ビス(4−トリエチルシリルフェニル)メチレン−(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−tert−ブチル−9−フルオレニル)ハフニウムジクロリド;1,1’−ビス(4−トリエチルシリルフェニル)メチレン−(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−tert−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジメチル;及び、1,1’−ビス(4−トリエチルシリルフェニル)メチレン−(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−tert−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリドである。
【0047】
本開示において挙げられている、メタロセン化合物、陽イオン活性化剤成分、及び陰イオン活性化剤成分の任意の組合せから生じる如何なる触媒系も、本明細書において明示的に開示されていると見なされるであろうし、1種又は複数のモノマーの重合において、本発明に従って使用され得る。また、2つの異なる活性化剤の組合せが、同じ又は異なるメタロセン(複数可)と共に使用できる。
【0048】
ある実施形態において、半結晶性ポリマーを製造するために使用される触媒系の活性化剤は、陰イオン成分、[Y]
-を含み得る。ある実施形態において、陰イオン成分は、式[B(R
4)
4]
-を有する非配位性アニオン(NCA)であってよく、ここで、R
4は、アリール基又は置換アリール基であり、置換アリール基の1つ又は複数の置換基は、同じか又は異なり、アルキル、アリール、ハロゲン原子、ハロゲン化アリール、及びハロアルキルアリール基からなる群から選択される。置換基は、これらに限らないが、パーフルオロフェニル、パーフルオロナフチル及びパーフルオロビフェニルを含めて、全ハロゲン化アリール基、又は全フッ素化アリール基であり得る。
【0049】
本明細書に記載されている触媒系の陽イオン及び陰イオン成分は、一緒になって、活性化剤化合物を形作る。ある実施形態において、活性化剤は、N,N−ジメチルアニリニウム−テトラ(パーフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウム−テトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウム−テトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウム−テトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウム−テトラ(パーフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウム−テトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、トリフェニルカルベニウム−テトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、又は、トリフェニルカルベニウム−テトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレートであり得る。
非配位性陰イオン活性化剤は、式I、式II、及び式IIIの触媒と共に用いられ得る。特に利点のある活性化剤は、ジメチルアニリニウムテトラキス(へプタフルオロナフチル)ボレートである。
【0050】
本発明でのプロセスに適する活性化剤には、また、アルミノキサン(又は、アルモキサン)及びアルキルアルミニウムが含まれる。理論には拘束されないが、アルミノキサンは、通常、一般式(R
x−Al−O)
n(これは環状化合物である)、又は、R
x(R
x−Al−O)
nAlR
x2(これは線状化合物である)によって表されるオリゴマーのアルミニウム化合物であると考えられる。最も一般的には、アルミノキサンは、環状及び線状化合物の混合物であると考えられる。アルミノキサンの一般式において、R
xは、独立に、C
1−C
20アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、これらの異性体などであり、nは、1〜50の整数である。ある実施形態において、R
xは、メチルであり、nは少なくとも4であり得る。メチルアルミノキサン(MAO)、さらには、溶解性を向上させるためにいくつかの高級アルキル基を含む変性MAO、エチルアルミノキサン、iso−ブチルアルミノキサンなどが、本明細書に開示されているプロセスにとって有用である。
【0051】
さらに、本発明において用いられるのに適する触媒系は、前記の遷移金属化合物及び活性化剤に加えて、さらなる活性化剤(共−活性化剤)、及び/又は捕捉剤を含み得る。共−活性化剤は、活性化剤と組み合わせて用いられた時、活性触媒が生成されるように、遷移金属錯体と反応できる化合物である。共−活性化剤には、アルミノキサン及びアルキルアルミニウムが含まれる。
ある実施形態において、捕捉剤が、それが用いられなければ、触媒と反応し、それを失活させると推定される如何なる毒(poison)の反応も「除去する」ために、使用され得る。捕捉剤として有用な通常のアルキルアルミニウム又はアルキルホウ素成分は、一般式R
xJZ
2によって表され、ここで、Jは、アルミニウム又はホウ素であり、R
xは、C
1−C
20アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、及びこれらの異性体であり、各Zは、独立に、R
x、又は、異なる1価の陰イオン配位子、例えば、ハロゲン(Cl、Br、I)、アルコキシド(OR
x)などである。例示的なアルキルアルミニウムには、トリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、トリ−iso−ブチルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、トリ−n−へキシルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、及びこれらの組合せが含まれる。例示的なアルキルホウ素には、トリエチルボロンが含まれる。捕捉性化合物は、また、メチルアルモキサン及び変性メチルアルモキサンを含めて、アルモキサン及び変性アルモキサンでもあり得る。
【0052】
C.溶媒
本発明での反応系に用いられる溶媒は、ポリマーの分解温度未満の温度に加熱することによって、及び/又は、溶媒/ポリマー混合物の圧力を下げることによって、ポリマー組成物から除去されることが可能である如何なる非ポリマー化学種であってもよい。ある実施形態において、溶媒は、脂肪族又は芳香族炭化水素流体であり得る。
【0053】
適切で、好ましくは不活性な、炭化水素流体の例は、揮発し易い液体炭化水素であり、これらには、例えば、1〜30個、好ましくは3〜20個の炭素原子を含む炭化水素が含まれる。好ましい例には、プロパン、n−ブタン、イソブタン、混合ブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、イソヘキサン、オクタン、他の飽和C
6−C
8炭化水素、トルエン、ベンゼン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、キシレン、脱硫軽質バージンナフサ、及び、本発明の目的に適していると当業者によって認められる任意の他の炭化水素溶媒が含まれる。本明細書に開示されているプロセスに用いられる特に好ましい溶媒は、n−ヘキサン及びトルエンである。
揮発分除去装置への入口で、ポリマーと一緒に存在する溶媒の最適量は、通常、揮発分除去装置内のポリマー溶融物の望ましい温度変化に依存するであろうが、当業者によって容易に決定され得る。例えば、ポリマー組成物は、揮発分除去装置の入口で、約1重量%〜約50重量%の溶媒、又は、約5重量%〜約45重量%の溶媒、又は、約10重量%〜約40重量%の溶媒、又は約10重量%〜約35重量%の溶媒を含み得る。
【0054】
D.ポリマー
本明細書に開示されている方法で製造され得るポリマーには、一般に、本明細書に開示されているモノマーから生成されるポリマーのいずれも含まれる。好ましいポリマーは、半結晶性のプロピレンベースのポリマーである。ある実施形態において、これらのポリマーは、比較的低い分子量、好ましくは約150,000g/mol以下を有し得る。ある実施形態では、ポリマーは、エチレン、並びに線状若しくは分岐状C
4−C
20オレフィン及びジオレフィンからなる群から選択されるコモノマーを含み得る。ある実施形態では、コモノマーは、エチレン、又はC
4−C
10オレフィンであり得る。
本明細書で用いられる場合、用語「ポリマー」は、これらに限らないが、ホモポリマー、コポリマー、インターポリマー、ターポリマーなど、及びこれらのアロイ及びブレンドを含む。さらに、本明細書で用いられる場合、用語「コポリマー」は、2種以上のモノマーを、任意選択で他のモノマーと共に、有するポリマーを含むものとし、インターポリマー、ターポリマーなどを指し得る。本明細書で用いられる場合、用語「ポリマー」は、また、インパクト、ブロック、グラフト、ランダム及び交互コポリマーも含む。用語「ポリマー」は、さらに、特に断らなければ、全ての可能な幾何学的立体配置を含むものとする。このような立体配置には、アイソタクチック、シンジオタクチック、及びランダム対称性を含み得る。
【0055】
本明細書で用いられる場合、「プロピレンベースの」又は「プロピレン主ベースの」は、プロピレンを、単独で、又は、1種若しくは複数のコモノマーとの組合せであって、プロピレンが主要な成分である(すなわち、50mol%を超えるプロピレン)組合せのいずれかで含む、任意のポリマーを含むものとする。
ある実施形態において、ブレンドのポリマーの1つ又は複数は、1つ又は複数のプロピレンベースのポリマーを含み得るが、これらは、プロピレンと、C
2及びC
4−C
10α−オレフィンから選択される約5mol%〜約30mol%の1種又は複数のコモノマーとを含む。ある実施形態において、α−オレフィンコモノマー単位は、エチレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、オクテン、又はデセンに由来し得る。下に記載される実施形態は、α−オレフィンコモノマーとして、エチレン及びヘキセンを取り上げて論じられるが、それらの実施形態は、他のα−オレフィンコモノマーとの他のコポリマーにも同じように適用できる。これに関連して、コポリマーは、α−オレフィンとしてエチレン又はヘキセンを取り上げて、簡単に、プロピレンベースのポリマーと呼ばれることがある。
【0056】
ある実施形態において、ブレンドのポリマーの1つ又は複数は、少なくとも約5mol%、少なくとも約6mol%、少なくとも約7mol%、又は少なくとも約8mol%、又は少なくとも約10mol%、又は少なくとも約12mol%のエチレン由来若しくはヘキセン由来単位を含み得る。これら及び他の実施形態において、コポリマーは、約30mol%まで、又は約25mol%まで、又は約22mol%まで、又は約20mol%まで、又は約19mol%まで、又は約18mol%まで、又は約17mol%までのエチレン由来若しくはヘキセン由来単位を含み得るが、ここで、モルパーセントは、プロピレン由来及びα−オレフィン由来単位の全モル数に対するものである。別の言い方をすると、プロピレンベースのポリマーは、少なくとも約70mol%、又は少なくとも約75mol%、又は少なくとも約80mol%、又は少なくとも約81mol%のプロピレン由来単位、又は少なくとも約82mol%のプロピレン由来単位、又は少なくとも約83mol%のプロピレン由来単位を含んでいてもよく;これら及び他の実施形態において、コポリマーは、約95mol%まで、又は約94mol%まで、又は約93mol%まで、又は約92mol%まで、又は約90mol%まで、又は約88mol%までのプロピレン由来単位を含んでいてもよく、ここで、モルパーセントは、プロピレン由来及びアルファ−オレフィン由来単位の全モル数に対するものである。ある実施形態において、プロピレンベースのポリマーは、約5mol%〜約25mol%のエチレン由来又はヘキセン由来単位、又は約8mol%〜約20mol%のエチレン由来又はヘキセン由来単位、又は約12mol%〜約18mol%のエチレン由来又はヘキセン由来単位を含み得る。
【0057】
1つ又は複数の実施形態のブレンドのポリマーの1つ又は複数は、融点(Tm)によって特徴付けられ、これは、示差走査熱量測定(DSC)によって求めることができる。本明細書における目的では、最高温度ピークの極大値が、ポリマーの融点であると見なされる。これに関連する「ピーク」は、吸熱反応が正のピークで示され得るようにDSC曲線がプロットされた場合に、ベースラインにおけるシフトなしに極大値をなす、DSC曲線(熱流vs.温度)の全般的な勾配における、正から負への変化として定義される。
【0058】
ある実施形態において、ブレンドのポリマーの1つ又は複数のTm(DSCによって求めて)は、約125℃未満、又は約120℃未満、又は約115℃未満、又は約110℃未満、又は約100℃未満、又は約90℃未満であり得る。ある実施形態において、ブレンドのポリマーの1つ又は複数のTmは、約25℃を超え、又は約30℃を超え、又は約35℃を超え、又は約40℃を超え得る。
【0059】
1つ又は複数の実施形態において、ポリマーの第1結晶化温度(Tc1)(粘度曲線から求めて)は、約100℃未満、又は約90℃未満、又は約80℃未満、又は約70℃未満、又は約60℃未満、又は約50℃未満、又は約40℃未満、又は約30℃未満、又は約20℃未満、又は約10℃未満である。同じ又は他の実施形態において、ポリマーのTc1は、約0℃を超え、又は約5℃を超え、又は約10℃を超え、又は約15℃を超え、又は約20℃を超える。ある実施形態において、ポリマーのTc1の下限値は、0℃、5℃、10℃、20℃、30℃、40℃、50℃、60℃、及び70℃であり得;Tc1の上限温度は、100℃、90℃、80℃、70℃、60℃、50℃、40℃、30℃、25℃、及び20℃であり得、任意の下限から任意の上限までの範囲が想定されている。
【0060】
1つ又は複数の実施形態において、ポリマーの第2結晶化温度(Tc2)(DSCによって求めて)は、約100℃未満、又は約90℃未満、又は約80℃未満、又は約70℃未満、又は約60℃未満、又は約50℃未満、又は約40℃未満、又は約30℃未満、又は約20℃未満、又は約10℃未満である。同じ又は他の実施形態において、ポリマーのTc2は、約0℃を超え、又は約5℃を超え、又は約10℃を超え、又は約15℃を超え、又は約20℃を超える。ある実施形態において、ポリマーのTc2の下限値は、0℃、5℃、10℃、20℃、30℃、40℃、50℃、60℃、及び70℃であり得;Tc2の上限温度は、100℃、90℃、80℃、70℃、60℃、50℃、40℃、30℃、25℃、及び20℃であり得、任意の下限から任意の上限までの範囲が想定されている。
【0061】
本発明において用いられるのに適するポリマーは、「半結晶性」であると言われ、一般に、それらが、比較的低い結晶化度を有することを意味する。本明細書で用いられる場合、用語「結晶性」は、分子内及び分子間の両方の高度の秩序を有し、また、好ましくは、110℃より上で、より好ましくは115℃より上で、最も好ましくは130℃より上で溶融するポリマーを、広範囲に特徴付ける。分子内及び分子間の高い秩序を有するポリマーは、「高」レベルの結晶性を有すると言われ、一方、分子内及び分子間の低い秩序を有するポリマーは、「低」レベルの結晶性を有すると言われる。ポリマーの結晶性は、例えば、通常、ある基準又は標準の結晶性に関連させた結晶化度パーセントにより、定量的に表すことができる。本明細書で用いられる場合、結晶化度は、アイソタクチックポリプロピレンホモポリマーに関連させて、測定される。好ましくは、融解熱が、結晶化度を求めるために用いられる。こうして、例えば、高結晶性ポリプロピレンホモポリマーの融解熱が190J/gであると仮定すると、95J/gの融解熱を有する半結晶性プロピレンコポリマーは、50%の結晶化度を有するであろう。本明細書で用いられる場合、用語「結晶化可能な」は、伸張又はアニーリングで結晶化できるポリマーを指す。こうして、ある特定の実施形態において、半結晶性ポリマーは、結晶化可能であり得る。本発明の特定の実施形態において用いられる半結晶性ポリマーは、好ましくは、アイソタクチックポリプロピレンの結晶化度の2%〜65%の結晶化度を有する。さらなる実施形態において、半結晶性ポリマーは、アイソタクチックポリプロピレンの結晶化度の約3%〜約40%、又は約4%〜約30%、又は約5%〜約25%の結晶化度を有し得る。
【0062】
半結晶性ポリマーは、
13C NMRによって測定して、75mol%以上、80mol%以上、85mol%以上、90mol%以上、92mol%以上、95mol%以上、又は97mol%以上の、アイソタクチックトリアド(3つの連続したプロピレン単位)のパーセンテージとして表されるタクチシチーレベルを有し得る。1つ又は複数の実施形態において、トリアドタクチシチーは、約75mol%〜約99mol%、又は約80mol%〜約99mol%、又は約85mol%〜約99mol%、又は約90mol%〜約99mol%、又は約90mol%〜約97mol%、又は約80mol%〜約97mol%の範囲にあり得る。トリアドタクチシチーは、米国特許出願公開第2004/0236024号に記載されている方法によって求められる。
半結晶性ポリマーは、4、又は6の下限から、10、又は20、又は25の上限までの範囲のタクチシチー指数(m/r)を有し得る。本明細書では、「m/r」として表されるタクチシチー指数は、
13C核磁気共鳴(「NMR」)によって求められる。タクチシチー指数(m/r)は、H. N. Cheng, 17 MACROMOLECULES, 1950 (1984)(参照によって本明細書に組み込まれる)に定められるように計算される。呼称「m」又は「r」は、隣接するプロピレングループ対の立体化学を記述し、「m」は、メソを、「r」はラセミを指す。1.0のm/rの比は、一般に、アタクチックポリマーを表し、m/rの比がゼロの近づくにつれて、ポリマーは、段々と、よりシンジオタクチックになる。ポリマーは、m/rの比が、1.0を超えて増加し、無限大に近づくにつれて、段々と、アイソタクチックになる。
【0063】
1つ又は複数の実施形態において、半結晶性ポリマーは、ASTM D−792試験法により測定して、室温で、約0.85g/cm
3〜約0.92g/cm
3、又は約0.86g/cm
3〜約0.90g/cm
3、又は約0.86g/cm
3〜約0.89g/cm
3の密度を有し得る。
1つ又は複数の実施形態において、半結晶性ポリマーは、約5,000〜約500,000g/mol、又は約7,500〜約300,000g/mol、又は約10,000〜約200,000g/mol、又は約25,000〜約175,000g/molの重量平均分子量(Mw)を有し得る。
【0064】
重量平均分子量(Mw)、分子量分布(MWD)又はMw/Mn(ここで、Mnは数平均分子量である)、及び分岐指数(g’(vis))は、示差屈折率検出器(DRI)、オンライン光散乱検出器(LS)、及び粘度計を装備した、高温サイズ排除クロマトグラフ(SEC)を用い、特性決定される。検出器がどのように較正されるかを含めて、下に示されていない実験の詳細は、T. Sun, P. Brant, R. R. Chance, and W. W. Graessley, Macromolecules, Volume 34, Number 19, pp. 6812-6820, 2001に記載されている。
【0065】
SEC実験のための溶媒は、6gのブチル化ヒドロキシトルエンを酸化防止剤として、4Lの1,2,4−トリクロロベンゼン(TCB)(Aldrich試薬級)に溶かすことによって調製される。次いで、TCB混合物は、0.7μmガラスプレフィルターを通し、次に、0.1μmテフロン(登録商標)フィルターを通して、濾過される。次いで、TCBは、SECに入る前に、オンライン脱気装置で脱気される。ポリマー溶液は、乾燥ポリマーをガラス容器に入れ、所望量のTCBを加え、次に、混合物を、連続的に撹拌しながら160℃で約2時間、加熱することによって調製される。全ての量は、重量によって測定される。ポリマー濃度を、質量/体積の単位で表すために用いられるTCBの密度は、室温で1.463g/mL、135℃で1.324g/mLである。注入濃度は、1.0〜2.0mg/mLの範囲であり、より低い濃度が、より高い分子量の試料に対して用いられた。各試料を流す前に、DRI検出器及びインジェクターがパージされる。次いで、装置における流量が、0.5mL/分に上げられ、DRIが、最初の試料を注入する前に、8〜9時間かけて、安定化された。LSレーザーが、試料を流す1〜1.5時間前に点けられる。
【0066】
クロマトグラムの各点での濃度(c)は、ベースラインを差し引いたDRIシグナル(I
DRI)から、次の式を用い、計算される。
c=K
DRII
DRI/(dn/dc)
ここで、K
DRIは、DRIを較正することによって決められる定数であり、dn/dcは、LS分析の場合に下で説明されるものと同じである。SEC法に関するこの説明の全体を通して、パラメータの単位は、濃度が、g/cm
3で表され、分子量がkg/molで表され、固有粘度がdL/gで表されるものである。
【0067】
用いられる光散乱検出器は、Wyatt Technology High Temperature mini−DAWNである。クロマトグラムの各点でのポリマーの分子量(M)は、静的光散乱についてのZimmモデルを用い、LS出力データを解析することによって求められる(M. B. Huglin, LIGHT SCATTERING FROM POLYMER SOLUTIONS, Academic Press, 1971)。
[K
0c/ΔR(θ,c)]=[1/MP(θ)]+2A
2c
ここで、ΔR(θ)は、散乱角θで測定される超過レイリー散乱強度であり、cは、DRI分析から求められるポリマー濃度であり、A
2は第2ビリアル係数であり、P(θ)は、単分散ランダムコイルに対する形状因子(上の参考文献に記載されている)であり、K
0は、系の光学定数である。
【0068】
【数1】
式中、N
Aはアボガドロ数であり、dn/dcは、系の屈折率増分である。TCBでは、135℃、λ=690nmで、屈折率(n)=1.500である。さらに、エチレンポリマーでは、A
2=0.0015、dn/dc=0.104であり、他方、プロピレンポリマーでは、A
2=0.0006、dn/dc=0.104である。
分子量平均は、高分子が、分子量M
iのN
i個の分子を含む離散的フラクションiとして存在する、分布の不連続性を考慮することによって、通常、定義される。重量平均分子量(M
w)は、各フラクションの分子量M
iにその重量分率w
iをかけた積の和として定義される。
M
w≡Σw
iM
i=(ΣN
iM
i2/ΣN
iM
i)
上の式の理由は、重量分率w
iは、分子量M
iの分子の重量を、存在する全ての分子の全重量で割ったものとして定義されるためである。
w
i=N
iM
i/ΣN
iM
i
数平均分子量(M
n)は、各フラクションの分子量M
iにそのモル分率x
iをかけた積の和として定義される。
M
n≡Σx
iM
i=ΣN
iM
i/ΣN
i
上の式の理由は、モル分率x
iは、N
iを、分子の全数で割ったものとして定義されるためである。
x
i=N
i/ΣN
i
【0069】
SECでは、Viscotek Corporationの高温粘度計が用いられ、これは、2つの圧力トランスデューサーを有する、ホイートストンブリッジ構成に配置された4つのキャピラリーを有する。1つのトランスデューサーは、検出器を跨ぐ全圧力降下を測定し、他方は、ブリッジの2つの辺の間に位置し、差圧を測定する。粘度計を通って流れる溶液の比粘度(η
s)が、それらの出力データから計算される。クロマトグラムの各点での固有粘度([η])は、次の式から計算される。
η
s=c[η]+0.3(c[η])
2
ここで、cは、DRI出力データから求められた。
【0070】
分岐指数(g’、g’(vis)とも呼ばれる)は、SEC−DRI−LS−VIS法の出力データを用い、次のように計算される。試料の平均固有粘度([η]
ave)が、次の式によって計算される。
【数2】
ここで、合計は、積分限界の間のクロマトグラフの小部分(i)に渡る。
【0071】
分岐指数(g’)は、次のように定義される。
【数3】
ここで、エチレンポリマーでは、k=0.000579、α=0.695であり;プロピレンポリマーでは、k=0.0002288、α=0.705であり;ブテンポリマーでは、k=0.00018、α=0.7である。
M
vは、LS分析によって求められる分子量に基づく粘度平均分子量である。
M
v≡(Σc
iM
iα/Σc
i)
1/α
【0072】
1つ又は複数の実施形態において、半結晶性ポリマーは、190℃で測定され、ASTM D−3236に従って求めて、約100cP〜約500,000cP、又は約100〜約100,000cP、又は約100〜約50,000cP、又は約100〜約25,000cP、又は約100〜約15,000cP、又は約100〜約10,000cP、又は約100〜約5,000cP、又は約500〜約15,000cP、又は約500〜約10,000cP、又は約500〜約5,000cP、又は約1,000〜約10,000cPの粘度(ブルックフィールド粘度又は溶融粘度とも呼ばれる)を有し得る(ここで、1cP=1mPa.秒)。
1つ又は複数の実施形態において、半結晶性ポリマーは、190℃でのその粘度によって特徴付けられ得る。1つ又は複数の実施形態において、半結晶性ポリマーは、少なくとも約100cP(センチポアズ)、又は少なくとも約500cP、又は少なくとも約1,000cP、又は少なくとも約1,500cP、又は少なくとも約2,000cP、又は少なくとも約3,000cP、又は少なくとも約4,000cP、又は少なくとも約5,000cPである粘度を有し得る。これら又は他の実施形態において、半結晶性ポリマーは、約100,000cP未満、又は約75,000cP未満、又は約50,000cP未満、又は約25,000cP未満、又は約20,000cP未満、又は約15,000cP未満、又は約10,000cP未満、又は約5,000cP未満の190℃での粘度によって特徴付けることができ、任意の下限から任意の上限までの範囲が想定されている。
【0073】
E.多峰性ポリマーブレンド
ある実施形態において、ポリマーの物理的ブレンド、好ましくは多峰性ポリマーブレンドを製造するために、本明細書に記載されている1つ又は複数のポリマーが、別のポリマー、例えば、本明細書に記載されている別のポリマーとブレンドされ得る。本明細書で用いられる場合、用語「ブレンド」は、2つ以上のポリマーの混合物を指す。本明細書で用いられる場合、用語「多峰性」は、2つ以上の異なるポリマー化学種のブレンドを指し、それぞれの化学種は、少なくとも1つの化学的又は物理的特性、例えば、分子量、分子量分布、溶融粘度、コモノマー含有量、結晶化度、及びこれらの組合せに基づいて、そのブレンド中に存在する別の化学種と区別できる。
ある実施形態において、多峰性ポリマーブレンドは、プロピレンベースの第1ポリマー、及びプロピレンベースの第2ポリマーを含み得る。プロピレンベースの第1及び第2ポリマーは、独立に、プロピレンのホモポリマー、又はプロピレンとエチレン若しくはC
4−C
10アルファ−オレフィンとのコポリマーである得る。ある実施形態において、プロピレンベースの第2ポリマーは、プロピレンベースの第1ポリマーと構成上の違いがあり得る。本明細書で用いられる場合、用語「構成上の違い」は、結晶化度、タクチシチー、コモノマー含有量、融解熱、分子量、分子量分布、溶融粘度、又はこれらの組合せにおける、2つのポリマーの間の違いを指す。好ましくは、2つのポリマーは、結晶化度、タクチシチー、コモノマー含有量、融解熱、又はこれらの組合せにおいて違いがある。ある実施形態において、多峰性ポリマーブレンドは、約10,000g/mol〜約150,000g/molのMw、及び約10J/g〜約90J/gの間の融解熱を有し得る。
【0074】
本明細書に開示されているプロセスを用いることによって、多峰性ポリマーブレンドは、低い結晶性の第1部分、及びより高い結晶性の第2部分において、高レベルのアイソタクチック(mm)トリアドタクチシチーを示すように、設計され得る。特に、昇温溶出分別された時、オルト−ジクロロベンゼン中、−15℃で可溶である第1フラクションであって、約70mol%〜約90mol%のアイソタクチック(mm)トリアドタクチシチーを有する第1フラクション、及び、オルト−ジクロロベンゼン中、−15℃で、不溶である、若しくは第1フラクションより難溶である第2フラクションであって、約85mol%〜約98mol%のアイソタクチック(mm)トリアドタクチシチーを有する第2フラクションを有する多峰性ポリマーブレンドが設計され得る。
【0075】
有利には、多峰性ポリマーブレンドは、オルト−ジクロロベンゼン中、−15℃で可溶であるフラクションが、多峰性ポリマーブレンドのそれぞれのポリマーの一部を含むように設計され得る。さらに、オルト−ジクロロベンゼン中、−15℃で、より難溶である、又は不溶であるフラクションは、多峰性ポリマーブレンドのそれぞれのポリマーの一部を含み得る。理論には拘束されないが、仕上げられた接着剤の接着性及び柔軟性は、多峰性ポリマーブレンドの両方のポリマーが、アモルファス性の特徴を示す部分を有する時に、改善されると考えられる。理論には拘束されないが、また、仕上げられた接着剤のセットタイムは、多峰性ポリマーブレンドの各ポリマーが、半結晶性の特徴を示す部分を有する時に、改善されると考えられる。
【0076】
ある実施形態において、多峰性ポリマーブレンドは、プロピレン主ベースの第1ポリマーが、第1反応器において製造され、プロピレン主ベースの第2ポリマーが、第1反応器に対して並列である第2反応器において製造される、デュアル反応器生成物であり得る。この場合、各反応器からのポリマー生成物は、2つのポリマーと溶媒を含む溶液中ポリマーブレンドを生成するように、ブレンドされ得る。次に、溶液中ポリマーブレンドは、溶媒を除去するように仕上げられ、ポリマーペレットの状態にペレット化され得る。好ましくは、プロピレン主ベースのポリマーの各々は、約70mol%〜約98mol%のアイソタクチック(mm)トリアドタクチシチーを有する。ブレンドのポリマーの相対的重量パーセントは、ホットメルト接着剤配合物の用途に応じて変わり得る。ある実施形態において、結晶性のより高いポリマーは、ポリマーブレンドの約10%〜約90%、又はポリマーブレンドの約20%〜約80%、又はポリマーブレンドの約30%〜約70%、又はポリマーブレンドの約40%〜約60%であり得る。
【0077】
F.ブレンドによる多峰性ポリマー製品
ブレンドによる多峰性ポリマー製品もまた提供される。ある実施形態において、多峰性ポリマー製品は、上記の方法のいずれかによって製造され得る。例えば、多峰性ポリマー製品は、先に記載されたモノマーのいずれかを用い、記載された触媒系のいずれかを用い、及び/又は、先に記載されたポリマーブレンドのいずれかを用い、製造され得る。ある実施形態において、多峰性ポリマー製品は、並列の2つ以上の反応器の生成物流を一緒にして、ブレンド流を生成し、次いで、ブレンド流をペレット化してポリマーペレットを製造することによって製造され得る。ある実施形態において、ブレンド流は、ペレット化の前にブレンド流から溶媒の一部を除去するために、液相分離器に供給され得る。ある実施形態において、ブレンド流は、流れの温度を下げ、ペレット化の前にブレンド流から溶媒を除去するために、揮発分除去デバイスに供給され得る。
【0078】
ある実施形態において、ブレンドによる多峰性ポリマー製品は、第1ポリマー、及び第1反応器と並列の第2反応器の第2ポリマーを含み得るが、ここで、第1ポリマーは、プロピレンとエチレン若しくはC
4−C
10オレフィンとのコポリマーであり、第2ポリマーは、プロピレンとエチレン若しくはC
4−C
10オレフィンとのコポリマーであり、第1ポリマー及び第2ポリマーは、約10J/g以上、又は約20J/g以上、又は約25J/g以上の融解熱の違いを有する。ある実施形態では、第1ポリマーと第2ポリマーの間の融解熱の違いは、約30J/g以上であり得る。
【0079】
ある実施形態において、第1ポリマーは、約60J/g以上の融解熱を有し、第2ポリマーは、約30J/g以下の融解熱を有し得る。ある実施形態では、第1ポリマーは、約80J/g以上の融解熱を有し、第2ポリマーは、約50J/g以下の融解熱を有し得る。ある実施形態では、第1ポリマーは、約50J/g以上の融解熱を有し、第2ポリマーは、約15J/g以下の融解熱を有し得る。ある実施形態では、第1ポリマーは、約65J/g〜約85J/gの融解熱を有し、第2ポリマーは、約10J/g〜約20J/gの融解熱を有し得る。ある実施形態では、第1ポリマーは、約30J/g以上の融解熱を有し、第2ポリマーは、約20J/g以下の融解熱を有し得る。
ある実施形態において、ブレンドによる多峰性ポリマー製品は、多峰性ポリマーブレンドを含む複数のペレットを含み得る。ある実施形態において、ペレットは、酸化防止剤のような安定化添加剤を含んでいてもよい、ポリマーブレンドから本質的になり得る。別の実施形態では、ペレットは、また、1種若しくは複数のワックス及び/又はタッキファイヤーも含み得る。
ある実施形態において、ペレットは、接着剤を製造するためのホットメルト接着剤塗布システムに使用され得る。接着剤は、これらに限らないが、紙ベースのパッケージ、ポリマーフィルム、セルロース及びポリマー不織材料、製本材及び木材を含めて、様々な基材に塗布され、それらを互いに接合するために使用され得る。
【0080】
III.具体的実施形態
本発明は、また、以下の具体的実施形態に関連させて理解され得る。
パラグラフA:プロピレンのホモポリマーであるか、又はエチレン若しくはC
4−C
10アルファ−オレフィンのコモノマーを含む、プロピレン主ベースの第1ポリマー;
プロピレンのホモポリマーであるか、又はエチレン若しくはC
4−C
10アルファ−オレフィンのコモノマーを含み、プロピレン主ベースの第1ポリマーとは異なる、プロピレン主ベースの第2ポリマー;
を含む、接着剤組成物に用いられる多峰性ポリマーブレンドであって、
約10,000g/mol〜約150,000g/molのMw、及び約10J/g〜約90J/gの間の融解熱を有し;
昇温溶出分別された時、
−15℃で炭化水素溶媒に可溶である第1フラクションであって、約70mol%〜約90mol%のアイソタクチック(mm)トリアドタクチシチーを有する第1フラクション;及び
−15℃で炭化水素溶媒に不溶である、若しくは第1フラクションより難溶である第2フラクションであって、約85mol%〜約98mol%のアイソタクチック(mm)トリアドタクチシチーを有する第2フラクション;
を示す、多峰性ポリマーブレンド。
【0081】
パラグラフB:第1フラクションが、プロピレン主ベースの第1ポリマーの第1部分、及びプロピレン主ベースの第2ポリマーの第1部分を含む、パラグラフAの多峰性ポリマーブレンド。
パラグラフC:第2フラクションが、プロピレン主ベースの第1ポリマーの第2部分、及びプロピレン主ベースの第2ポリマーの第2部分を含む、パラグラフA又はパラグラフBの多峰性ポリマーブレンド。
パラグラフD:プロピレン主ベースの第1ポリマーが、約70mol%〜約98mol%のアイソタクチック(mm)トリアドタクチシチーを有する、パラグラフA〜Cのいずれかの多峰性ポリマーブレンド。
パラグラフE:プロピレン主ベースの第2ポリマーが、約70mol%〜約98mol%のアイソタクチック(mm)トリアドタクチシチーを有する、パラグラフA〜Dのいずれかの多峰性ポリマーブレンド。
【0082】
パラグラフF:第1フラクションが、多峰性ポリマーブレンドの90重量%未満を占める、パラグラフA〜Eのいずれかの多峰性ポリマーブレンド。
パラグラフG:第2フラクションが、−10℃〜60℃の溶出温度を有し、2.2以下のMw/Mnを有する、パラグラフA〜Fのいずれかの多峰性ポリマーブレンド。
パラグラフH:60℃を超える溶出温度を有する第3フラクションをさらに含む、パラグラフA〜Gのいずれかの多峰性ポリマーブレンド。
パラグラフI:多峰性ポリマーブレンドが、約10,000〜約100,000g/molのMwを有する、パラグラフA〜Hのいずれかの多峰性ポリマーブレンド。
パラグラフJ:可溶性フラクションが、少なくとも2.5のMw/Mnを有する、パラグラフA〜Iのいずれかの多峰性ポリマーブレンド。
パラグラフK:可溶性フラクションが、少なくとも4.0のMw/Mnを有する、パラグラフJの多峰性ポリマーブレンド。
パラグラフL:可溶性フラクションが、少なくとも4.5のMw/Mnを有する、パラグラフKの多峰性ポリマーブレンド。
【0083】
パラグラフM:可溶性フラクションが、多峰性ポリマーブレンドの85重量%未満を占める、パラグラフA〜Lのいずれかの多峰性ポリマーブレンド。
パラグラフN:多峰性ポリマーブレンドが、デュアル反応器ブレンドである、パラグラフA〜Mのいずれかの多峰性ポリマーブレンド。
パラグラフO:多峰性ポリマーブレンドが、溶液ブレンドである、パラグラフA〜Nのいずれかの多峰性ポリマーブレンド。
パラグラフP:多峰性ポリマーブレンドが、ポリマーペレットの形態にある、パラグラフA〜Nのいずれかの多峰性ポリマーブレンド。
パラグラフQ:プロピレン主ベースの第1ポリマーがプロピレンとエチレンのコポリマーを含み、プロピレン主ベースの第2ポリマーがプロピレンとエチレンのコポリマーを含む、パラグラフA〜Pのいずれかの多峰性ポリマーブレンド。
パラグラフR:プロピレン主ベースの第1ポリマー、及びプロピレン主ベースの第2ポリマーが、少なくとも10J/gの融解熱の違いを有する、パラグラフA〜Qのいずれかの多峰性ポリマーブレンド。
パラグラフS:プロピレン主ベースの第1ポリマー、及びプロピレン主ベースの第2ポリマーが、少なくとも20J/gの融解熱の違いを有する、パラグラフRの多峰性ポリマーブレンド。
【0084】
パラグラフT:プロピレン主ベースの第1ポリマー、及びプロピレン主ベースの第2ポリマーが、それぞれ、約10,000〜約100,000g/molのMwを有する、パラグラフA〜Sのいずれかの多峰性ポリマーブレンド。
パラグラフU:炭化水素溶媒がキシレンである、パラグラフA〜Tのいずれかの多峰性ポリマーブレンド。
パラグラフV:炭化水素溶媒がオルト−ジクロロベンゼンである、パラグラフA〜Tのいずれかの多峰性ポリマーブレンド。
パラグラフW:パラグラフA〜Vのいずれかの多峰性ポリマーブレンドを含む、接着剤。
パラグラフX:パラグラフA〜Vのいずれかの多峰性ポリマーブレンドを含む、ホットメルト接着剤。
【実施例】
【0085】
(実施例1)
パイロットプラントにおいて、プロピレンのフィード流とエチレンのフィード流を、式(I)の触媒の存在下に反応させることによって、プロピレン−エチレンコポリマーを製造した。フィード速度及びフィード温度は、約45J/molの目標融解熱を有するコポリマーを生成するように制御した。運転の継続期間に渡って、溶融粘度は、反応器温度を上げることによって、約20,000cPから約1000cPに下降した。
9〜16重量%のポリマーを含む反応器生成物流を、約1600psigの圧力で、約200℃〜約205℃の間の温度に加熱した。その流れを、高圧分離器に供給し、そこでの運転圧力は600psigであった。圧力の低下は、流れを、下限臨界溶液温度を越えて2相領域に誘導し、生成物を、密度に基づいて、2つの液相に分離させた。分離安定後、生成物流は、高圧分離器の底部を出て行くポリマーリッチ相と、高圧分離器のオーバーヘッドを出て行くポリマーリーン相とに分離した。
【0086】
運転の継続期間に渡って、生成物の分子量は連続的に低下し、リーン相におけるポリマーの量もまた減少した。これらの結果は、分子量が低下するにつれて、10,000g/mol未満の低分子量ポリマーが、ポリマーのより多くの量を占めるので、ポリマーリーン相に、より多くの量のポリマーが見出されると予想されるという理由で、直観に反している。理論には拘束されないが、より高いレベルの未反応プロピレンが、リッチ相へのポリマーの分配を、より良く促進し、リーン相のポリマー濃度を低く保ったと考えられる。このように、大きな濃度の未反応プロピレンが生成物流に残っている低反応器転化率条件下では特に、プロピレンベースポリマーによる高圧分離器の使用は、高圧分離器における分離を向上させ、また、生成物流から除去され、再循環ループを通して運ばれるポリマーに関連する問題を、軽減する、又は防ぐ。
ポリマー試料を、リーン相から得て、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により分析して、リーン相におけるポリマーの分子量分布を求めた。この分析の結果は、
図4に示されている。
図4に見られるように、ポリマーの粘度が下がるにつれて、リーン相におけるポリマーの分子量分布が小さくなる。カットオフ分子量もまた、低い値へシフトする(
図4において、約10,000g/molから約2,000g/molへ)。こうして、このような分離は、約100,000g/mol以下の重量平均分子量を有する、プロピレンベースのポリマーに対して、さらにより一層、約60,000g/mol以下の重量平均分子量を有する、プロピレンベースのポリマーに対して、特に効果的であることが分かる。
【0087】
(実施例2)
パイロットプラントにおける2つの反応器システムで、高圧分離器のリーン相におけるポリマーの濃度が、やはり分析された。5つの異なる触媒レジームが評価された。それぞれの系において、ポリマーの溶融粘度は、約2,000cPで一定に保たれた。
第1のレジームにおいて、プロピレン−エチレンコポリマーが、1つの反応器において、式(I)の触媒を用い、製造された。約10J/g、25J/g、35J/g、及び45J/gの融解熱を有するコポリマーが、製造された。コポリマーの融解熱は、運転の間に、コモノマーフィード速度及びフィード温度を制御することによって、変えられた。
第2のレジームでは、プロピレン−エチレンコポリマーが、1つの反応器において、式(II)の触媒を用い、製造された。約25J/g、及び70J/gの融解熱を有するコポリマーが、製造された。コポリマーの融解熱は、運転の間に、コモノマーフィード速度及びフィード温度を制御することによって、変えられた。
第3のレジームでは、プロピレン−エチレンコポリマーが、2つの反応器において、式(II)の触媒を用い、製造され、次いでブレンドされた。ブレンドされたコポリマーの全体としての融解熱は、約45J/gであった。
【0088】
第4のレジームでは、プロピレン−エチレンコポリマーが、2つの反応器において、製造された。1つの反応器では、コポリマーは、式(I)の触媒を用い、製造され、第2の反応器では、コポリマーは、式(II)の触媒を用い、製造された。ブレンドされたコポリマーの全体としての融解熱は、約45J/gであった。
第5のレジームでは、プロピレンコポリマーが、2つの反応器において、式(I)の触媒を用い、製造され、次いでブレンドされた。ブレンドされたコポリマーの全体としての融解熱は、約45J/gであった。
【0089】
それぞれのレジームで、9〜16重量%のポリマーを含む反応器生成物流は、約1600psigの圧力で、約200℃〜約205℃の間に加熱された。流れは、高圧分離器に供給され、そこでの運転圧力は600psigであった。圧力の低下は、流れを、下限臨界溶液温度を越えて2相領域に誘導し、生成物を、密度に基づいて、2つの液相に分離させた。分離安定後、生成物流は、高圧分離器の底部を出て行く、ポリマーリッチ相と、高圧分離器のオーバーヘッドを出て行くポリマーリーン相とに分離した。
リーン相のポリマー濃度が、それぞれの運転で分析された。
図5に示されるように、リーン相のポリマー濃度は、式IIの触媒を用いるレジームの開始後、短時間で取られた試料を除いて、全ての運転で低かった。式(I)の触媒を伴うポリマーは、全て、式(II)の触媒を伴うポリマーより低いモノマー転化率で製造され、結果として、高圧分離器において、より高いモノマー濃度が生じた。リーン相におけるポリマー濃度が、式(I)の触媒により製造されたポリマーで、ゼロに近かったという事実は、特に驚くべきであった。
【0090】
(実施例3)
実施例3において、本発明のポリマー及び比較例が特性評価される。
ポリマーAは、上記に従って製造された、エチレンコモノマーを有するプロピレンベースポリマーであり、プロピレン重合条件下に、触媒としてrac−ジメチルシリル−ビス(インデニル)ハフニウムジメチルを用い製造された、単一反応器生成物である。ポリマーAについてのコモノマー重量%(C2重量%)、融解熱(Hf)、190℃でのブルックフィールド粘度(BV)、重量平均分子量と数平均分子量の比、又は多分散性(Mw/Mn)、分岐指数(g’)、結晶化温度(Tc)、及び融解温度(Tm)が表1に示されている。
【0091】
ポリマーBは、プロピレン重合条件下に、触媒としてrac−ジメチルシリル−ビス(インデニル)ハフニウムジメチルを用い、実験室規模の連続反応器で製造された、エチレンコモノマーを有するプロピレンベースポリマーである。ポリマーBについてのコモノマー重量%(C2重量%)、融解熱(Hf)、ブルックフィールド粘度(BV)、重量平均分子量と数平均分子量の比、又は多分散性(Mw/Mn)、分岐指数(g’)、結晶化温度(Tc)、及び融解温度(Tm)が表1に示されている。
ポリマーCは、上記に従って製造された、エチレンコモノマーを有するプロピレンベースポリマーであり、並列デュアル反応器生成物であり、各反応器において、プロピレン重合条件下に、触媒としてrac−ジメチルシリル−ビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジメチルを用い製造された。ポリマーCについてのコモノマー重量%(C2重量%)、融解熱(Hf)、ブルックフィールド粘度(BV)、光散乱による重量平均分子量(LS Mw)、重量平均分子量と数平均分子量の比、又は多分散性(Mw/Mn)、分岐指数(g’)、結晶化温度(Tc)、及び融解温度(Tm)が表1に示されている。
【0092】
比較例D〜Hは、LINXAR(商標)127ポリマーとして、異なる時期に、ExxonMobil Chemical Companyによって販売された市販ポリマーのサンプルである。比較例D〜Hについてのコモノマー重量%(C
6重量%)、融解熱(Hf)、ブルックフィールド粘度(BV)、ガラス転移温度(Tg)、結晶化温度(Tc)、及び融解温度(Tm)が表2に示されている。
比較例Iは、LINXAR(商標)127ポリマーとしてExxonMobil Chemical Companyによって販売される市販ポリマーの別のサンプルである。比較例Iについてのコモノマー重量%(C
6重量%)、融解熱(Hf)、ブルックフィールド粘度(BV)、ガラス転移温度(Tg)、結晶化温度(Tc)、及び融解温度(Tm)が表2に示されている。比較例Iは、また、45kg/molの光散乱(LS)M
w、4.2のDRI M
w/M
n、及び0.82のg’を有する。
【0093】
【表1】
【0094】
【表2】
【0095】
いくつかの本発明のポリマー(ポリマーA〜C)及び比較例(比較例D、E、及びG〜I)が、昇温溶出分別及びゲル浸透クロマトグラフィーを組み合わせた(「TREF−GPC」)方法によって分析された。TREF−GPCは、Polymer Char(Valencia、スペイン)によるCFC−2装置を用い実施され、装置と共に提供されるCFC User Manualに記載されている方法に従って、又は、当技術分野において一般的に用いられる方法で、装置は、運転され、続くデータ処理(例えば、パラメータの平滑化、ベースラインの設定、及び積分限界の画定)が行われた。CFC−2装置は、第1段階において、TREFカラム(ステンレス鋼;外径、3/8インチ;長さ、15cm;充填物、非多孔性ステンレス鋼マイクロ球)を、第2段階において、GPCカラムセット(3×PLゲル 10μm 混合Bカラム、Polymer Lab.(英国))を装備していた。GPCカラムの下流は、溶液中のポリマー濃度に比例する吸光度シグナルを生成できる赤外検出器(IR4、Polymer Char)であった。
【0096】
分析される試料は、150℃で75分間撹拌することによって、炭化水素溶媒、例えばオルト−ジクロロベンゼンに溶かした(濃度は約2.5mg/ml)。次いで、1.25mgのポリマーを含む0.5mlの容積の溶液を、TREFカラムの中央に充填し、カラム温度を下げ、80℃〜100℃で30分間かけて安定化させた。次いで、カラムを、−15℃まで(低温運転の場合)、ゆっくりと(0.2℃/分)冷却して、不活性支持体上でポリマーを結晶化させた。低温を、10分間保ち、その後、GPCカラムに可溶フラクションを注入した。全てのGPC分析は、1ml/分の溶媒オルト−ジクロロベンゼン、140℃のカラム温度を用い、「オーバーラップGPC注入」方式で行った。次いで、より高い温度の次々のフラクションが、TREFカラム温度を、段階的に、フラクション設定点まで上げ、ポリマーを16分間(「分析時間」)溶解させ、溶解したポリマーを、GPCカラムに3分間(「溶出時間」)注入することによって分析された。
【0097】
普遍的較正方法が、溶出するポリマーの分子質量を求めるために用いられた。1.5〜8200kg/molの範囲内の、狭い分子量分布の13個のポリスチレン標準(Polymer Labs(英国)から入手)が、普遍的較正曲線を生成するために、用いられた。マーク−フウィンクのパラメータは、S.MoriとH.G.Barthによる「Size Exclusion Chromatography」(Springer)の付録Iから得られた。ポリスチレンでは、K=1.38×10
-4dl/g、α=0.7;ポリエチレンでは、K=5.05×10
-4dl/g、α=0.693。0.5%未満の回収重量%を有するフラクション(装置のソフトウェアによって報告される)は、個々のフラクションの、又はフラクションの集合体の分子量平均(M
n、M
wなど)の計算では、処理されなかった。
【0098】
表3に示されるように、分析された全ての本発明のポリマー及び比較例は、可溶性フラクション及び1つ又は複数の結晶化フラクションを示した。表における各温度は、フラクションの溶出温度を表す。溶出温度の隣の括弧は、そのフラクションに存在するポリマーの量(重量%)、この溶出温度のそのフラクションの重量平均分子量(Mw)、及び多分散指数(Mw/Mn)を示す。これらの全てのポリマー系の可溶性フラクションは、広いMWDを有し、4.0を超える多分散指数を有する。本発明のポリマーと比較例の間の1つの相違点は、本発明のポリマーが、「結晶化フラクションI」に存在する比較的少量のポリマーを示したのに対して、比較例は、「結晶化フラクションI」に存在する多量のポリマー有することである。本発明のポリマーと比較例との間の別の構成上の違いは、可溶性フラクションと結晶化フラクションIの両方で、本発明のポリマーは、比較例に比べて、狭いPDIを示すことである。他方、結晶化フラクション2では、逆の挙動が見られる。
【0099】
【表3】
【0100】
ポリマーC及び比較例IのTREF−GPC曲線が、それぞれ、
図6及び7に示されている。ポリマーの間のそれらの構成上の相違は、曲線を見て比較することによって容易に認められる。
【0101】
本発明のポリマーの構成上の特徴をさらに例示するために、本発明のポリマーの代表例(ポリマーC)が、キシレン中で2つのフラクション:−15℃可溶性及び不溶性フラクションに分別された(64.2:35.8の可溶性:不溶性の重量比)。TREF測定に基づいて、−15℃可溶性フラクションは、如何なる結晶化成分も示さず、実に100%の可溶性フラクションを含んでいた。これら2つのフラクションについて、
13C NMR及びGPC−3D研究が行われ、結果が表4に示されている。表4のタクチシチー及び挿入(insertion)のデータは、EP 0629632B1(これは、参照によって本明細書に組み込まれる)、特にパラグラフ[0167]〜[0190]に記載されている手順を用い、得られた。
【0102】
【表4】
【0103】
比較の目的で、比較のポリマーの代表例(比較例I)が、オルト−ジクロロベンゼンで分別された。得られるフラクションについて、
13C NMR及びGPC−3D研究が行われ、結果が表5に示されている。−15℃でのこのポリマーのフラクションは、得られなかったが、その理由は、ポリマー溶液が、この温度で、如何なる相分離も示すことなく、ゲル状の均質な材料に変わったためである。しかし、−10℃でのフラクション、及び0℃でのフラクションは得られた。TREF測定に基づいて、−10℃及び0℃でのこれらのフラクションの各々は、如何なる結晶化成分も示すことなく、100%の可溶性フラクションを含んでいた。このため、−10℃及び0℃でのこれらのフラクションは、混ぜ合わされ、一緒に分析され、表5にフラクション(0℃)として報告された。また、120℃でのフラクションも得られ、分析され、表5にフラクション(120℃)として報告された。表5のデータは、J. C. Randall, Polymer Reviews, 1989, 29:2, 201-317、及び、T. Sugano, Y. Gotoh, and T. Fujita, Makromol. Chem., 1992, 193, 43-51に記載されている手順を用い、得られた。フラクション(0℃)とフラクション(120℃)の重量比は、8.78:77.9であった。どちらのフラクションも、ポリマーCの2つのフラクションより低い、質量回収パーセンテージを示した。
【0104】
【表5】
【0105】
特定の実施形態及び特徴が、1組の上限値及び1組の下限値を用い、記載された。任意の下限から任意の上限までの範囲が、特に断らなければ、想定されていることが理解されるべきである。特定の下限、上限、及び範囲が、下の1つ又は複数の請求項に見られる。全ての数値は、「約」又は「ほぼ」、示されている値であり、当業者によって予想される実験誤差及び変動を考慮に入れている。
【0106】
請求項において用いられている用語が上で定義されていないのであれば、それは、関連技術における人物が、少なくとも1つの印刷された刊行物又は登録特許に示された、その用語に与えた最も広い定義を与えられるべきである。さらに、本出願において引用された全ての特許、試験手順、及び他の文書は、このような開示が、本出願と矛盾しない範囲で、またこのような組入れが許される全ての法域で、参照によって全体が組み込まれる。
上記は、本発明の実施形態に向けられているが、本発明の別の又はさらなる実施形態が、その基本的範囲から逸脱することなく考案され得るし、その範囲は、以下の特許請求の範囲によって決められる。
本発明は、また、以下の態様であり得る。
〔1〕プロピレンのホモポリマーであるか、又はプロピレンとエチレン若しくはC4−C10アルファ−オレフィンとのコポリマーである、プロピレンベースの第1ポリマー;
プロピレンのホモポリマーであるか、又はプロピレンとエチレン若しくはC4−C10アルファ−オレフィンとのコポリマーであり;プロピレンベースの第1ポリマーとは異なる、プロピレンベースの第2ポリマー;
を含む、接着剤組成物に用いられる多峰性ポリマーブレンドであって、
前記多峰性ポリマーブレンドが、約10,000g/mol〜約150,000g/molのMwを有し;
昇温溶出分別された時、前記多峰性ポリマーブレンドが、
−15℃でキシレンに可溶である第1フラクションであって、約70mol%〜約90mol%のアイソタクチック(mm)トリアドタクチシチーを有する第1フラクション;及び
−15℃でキシレンに不溶である第2フラクションであって、約85mol%〜約98mol%のアイソタクチック(mm)トリアドタクチシチーを有する第2フラクション;
を示す、多峰性ポリマーブレンド。
〔2〕第1フラクションが、プロピレンベースの第1ポリマーの第1部分、及びプロピレンベースの第2ポリマーの第1部分を含む、前記〔1〕に記載の多峰性ポリマーブレンド。
〔3〕第2フラクションが、プロピレンベースの第1ポリマーの第2部分、及びプロピレンベースの第2ポリマーの第2部分を含む、前記〔1〕に記載の多峰性ポリマーブレンド。
〔4〕プロピレンベースの第1ポリマーが、約70mol%〜約98mol%のアイソタクチック(mm)トリアドタクチシチーを有する、前記〔1〕に記載の多峰性ポリマーブレンド。
〔5〕プロピレンベースの第2ポリマーが、約70mol%〜約98mol%のアイソタクチック(mm)トリアドタクチシチーを有する、前記〔4〕に記載の多峰性ポリマーブレンド。
〔6〕第1フラクションが、前記多峰性ポリマーブレンドの90重量%未満を占める、前記〔1〕に記載の多峰性ポリマーブレンド。
〔7〕60℃を超える溶出温度を有する第3フラクションをさらに含む、前記〔1〕に記載の多峰性ポリマーブレンド。
〔8〕前記多峰性ポリマーブレンドが、約10,000〜約100,000g/molのMwを有する、前記〔1〕に記載の多峰性ポリマーブレンド。
〔9〕第1フラクションが、少なくとも2.5のMw/Mnを有する、前記〔1〕に記載の多峰性ポリマーブレンド。
〔10〕第1フラクションが、少なくとも4.0のMw/Mnを有する、前記〔9〕に記載の多峰性ポリマーブレンド。
〔11〕第1フラクションが、少なくとも4.5のMw/Mnを有する、前記〔9〕に記載の多峰性ポリマーブレンド。
〔12〕第1フラクションが、多峰性ポリマーブレンドの85重量%未満を占める、前記〔1〕に記載の多峰性ポリマーブレンド。
〔13〕デュアル反応器ブレンドである、前記〔1〕に記載の多峰性ポリマーブレンド。
〔14〕溶液ブレンドである、前記〔1〕に記載の多峰性ポリマーブレンド。
〔15〕ポリマーペレットの形態にある、前記〔1〕に記載の多峰性ポリマーブレンド。
〔16〕プロピレンベースの第1ポリマーがプロピレンとエチレンのコポリマーを含み、プロピレンベースの第2ポリマーがプロピレンとエチレンのコポリマーを含む、前記〔1〕に記載の多峰性ポリマーブレンド。
〔17〕前記多峰性ポリマーブレンドが、約10J/g〜約90J/gの間の融解熱を有する、前記〔1〕に記載の多峰性ポリマーブレンド。
〔18〕プロピレンベースの第1ポリマーとプロピレンベースの第2ポリマーが、少なくとも10J/gの融解熱の違いを有する、前記〔1〕に記載の多峰性ポリマーブレンド。
〔19〕プロピレンベースの第1ポリマーとプロピレンベースの第2ポリマーが、少なくとも20J/gの融解熱の違いを有する、前記〔1〕に記載の多峰性ポリマーブレンド。
〔20〕プロピレンベースの第1ポリマー、及びプロピレンベースの第2ポリマーが、それぞれ、約10,000〜約100,000g/molのMwを有する、前記〔1〕に記載の多峰性ポリマーブレンド。
〔21〕炭化水素溶媒がキシレンである、前記〔1〕に記載の多峰性ポリマーブレンド。
〔22〕炭化水素溶媒が、オルト−ジクロロベンゼンである、前記〔1〕に記載の多峰性ポリマーブレンド。
〔23〕前記〔1〕に記載の多峰性ポリマーブレンドを含む、接着剤。
〔24〕プロピレンのホモポリマーであるか、又はプロピレンとエチレン若しくはC4−C10アルファ−オレフィンのコポリマーである、プロピレンベースの第1ポリマー;
プロピレンのホモポリマーであるか、又はプロピレンとエチレン若しくはC4−C10アルファ−オレフィンのコポリマーであり;プロピレンベースの第1ポリマーとは異なる、プロピレンベースの第2ポリマー;
を含む、接着剤組成物に用いられる多峰性ポリマーブレンドであって、
前記多峰性ポリマーブレンドが、約10,000g/mol〜約150,000g/molのMwを有し;
昇温溶出分別された時、前記多峰性ポリマーブレンドが、
キシレン及びオルト−ジクロロベンゼンの1つから選択される炭化水素溶媒中、−15℃で可溶である第1フラクションであって、約70mol%〜約90mol%のアイソタクチック(mm)トリアドタクチシチーを有する第1フラクション;及び
前記炭化水素溶媒中、−15℃で不溶である第2フラクションであって、約85mol%〜約98mol%のアイソタクチック(mm)トリアドタクチシチーを有する第2フラクション;
を示す、多峰性ポリマーブレンド。
〔25〕プロピレンのホモポリマーであるか、又はプロピレンとエチレン若しくはC4−C10アルファ−オレフィンのコポリマーである、プロピレンベースの第1ポリマー;
プロピレンのホモポリマーであるか、又はプロピレンとエチレン若しくはC4−C10アルファ−オレフィンのコポリマーであり;プロピレンベースの第1ポリマーとは異なる、プロピレンベースの第2ポリマー;
を含む、接着剤組成物に用いられる多峰性ポリマーブレンドであって、
約10,000g/mol〜約150,000g/molのMwを有し;
昇温溶出分別された時、
オルト−ジクロロベンゼン中、−15℃で可溶である第1フラクションであって、約70mol%〜約90mol%のアイソタクチック(mm)トリアドタクチシチーを有する第1フラクション;及び
オルト−ジクロロベンゼン中、−15℃で不溶である第2フラクションであって、約85mol%〜約98mol%のアイソタクチック(mm)トリアドタクチシチーを有する第2フラクション;
を示す、多峰性ポリマーブレンド。