特許第5974468号(P5974468)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5974468部分開封蓋材およびそれを用いた粉粒体収納用包装体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5974468
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】部分開封蓋材およびそれを用いた粉粒体収納用包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/20 20060101AFI20160809BHJP
   B65D 81/34 20060101ALI20160809BHJP
【FI】
   B65D77/20 L
   B65D77/20 G
   B65D77/20 H
   B65D81/34 B
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-268711(P2011-268711)
(22)【出願日】2011年12月8日
(65)【公開番号】特開2013-119424(P2013-119424A)
(43)【公開日】2013年6月17日
【審査請求日】2014年11月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】河原 由香里
(72)【発明者】
【氏名】後藤 雅士
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 豪
【審査官】 谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−168849(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01361173(EP,A1)
【文献】 西独国特許出願公開第03241962(DE,A)
【文献】 特開2011−051590(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 77/20
B65D 81/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の開口部フランジ外縁に熱溶着して封止する複合シートと表面シートとからなる蓋材であって、複合シートと表面シートが所定の形状領域に易剥離剤をパターン状に塗布することにより形成された易剥離層による易剥離領域とそれ以外の接着領域とにより区画されて互いに積層接着され、前記易剥離領域内における複合シートの1個所または複数個所には排出孔の形状に対応した接着領域と排出孔形成用ハーフカットが設けられ、前記表面シートには易剥離領域と接着領域の境界領域に開封開始部となる形状のハーフカットによる切離部が形成され
前記表面シートの易剥離領域と接着領域の境界領域に開封開始部となる形状のハーフカットによる切離部が剥離開始方向に対して左右の2箇所が膨らんだ形状で形成され、
開封開始部がフランジ外周より内側に形成されていることを特徴とする部分開封蓋材。
【請求項2】
請求項1に記載の部分開封蓋材を用いたことを特徴とする粉粒体収納用包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を密封する容器の蓋材に関し、開封使用時に蓋材の一部を開口することで、粒状や粉末状の内容物を収納して密封した粉粒体収納用包装体に関するものである。特に、粉末入浴剤を収納して密封した包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
粉末入浴剤は吸湿によって劣化しやすいことから、透湿度の低い容器内部に密封して市販されている。
特許文献1〜2は粉末入浴剤入りの包装体に関する技術文献で、これらの文献に記載された包装体では、容器の筒状側壁と底壁とで容器本体を構成し、その開口部を蓋シールで密封している。
筒状側壁は紙とポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)との積層材料で構成されており、また、底壁は、紙とPETフィルムとを中心層として、その両側にヒートシール性樹脂を配置した積層材料で構成し、筒状側壁の内側に底壁を接着して底を密封している。
また、蓋シールはポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)製で、このPETフィルム製蓋シールを筒状側壁の開口部周縁にヒートシールすることによって密封し、さらに、この蓋シールの上からオーバーキャップを被せている。
【0003】
図4は、入浴剤入りのこの包装体の斜視図である。また、図5は、オーバーキャップをはずした状態の斜視図である。
【0004】
これらの図から分かるように、この包装体は、容器とオーバーキャップ(2)とで構成されており、容器は、筒状側壁と図示しない底壁とで構成された容器本体(1)を有しており、その開口部を蓋シール(3)で密封している。
【0005】
蓋シール(3)は、容器本体(1)の開口部周縁にヒートシールされており、開口部周縁から外側に突出したプルタブ(3a)を備えている。
そして、このプルタブ(3a)を起点として切り取り線(3b)が設けられている。
【0006】
この包装体を開封する際には、まずオーバーキャップ(2)をはずした後、手指で前記プルタブ(3a)から引っ張って、切り取り線(3b)に沿ってこの蓋シール(3)を切断して開封する。
【0007】
しかしながら、プルタブ(3a)から引っ張って蓋シール(3)を切断する方法によっては、その切断方向を精度良く制御することができず、このため、開封の都度、開封口の大きさが変化してしまうという問題があった。
そして、その開封口が小さい場合には、内容物である入浴剤を取り出すことが困難となっていた。
【0008】
また、剥離界面に部分的に易剥離層を設けなければならず、印刷加工の煩雑さ、後加工と剥離箇所との位置精度が製品品質に大きく影響する。
さらには、開封時における取り扱いの容易性に関して、左右どちらの手で開封しても同様の作業が出来るという点においても不満があった。
【0009】
上記の事情から非常に精度の高い位置精度を求めずにすみ、蓋材と容器本体を完全に溶着して密封することが出来、意図したとおりの開口部を作り出すことの出来る、左右どちらの手で開封しても容易に開封できる蓋材およびそれを用いた粉流体収納用包装体が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2000−309330号公報
【特許文献2】特開2001−58627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記問題点を解決しようとするもので、製造工程において非常に精度の高い位置精度を求めずにすみ、蓋材と容器本体を完全に溶着して密封することが出来、意図したとおりの開口部を作り出すことの出来る、左右どちらの手で開封しても容易に開封できる蓋材およびそれを用いた粉粒体収納用包装体を提供することが本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そこで本発明者等は、容器外面となる蓋材の表面からハーフカットの切離線を入れて開封することで、蓋材のシール位置に対してハーフカットの位置ずれの許容範囲が広く、非常に高い精度の加工を必要としない蓋材とすることが出来ること、また、裏面からのハーフカットが蓋材と熱溶着するフランジの位置から離れており、開封時にフランジの部分で剥離する必要がないために蓋材と容器本体を完全に溶着することが出来ること、さらには開封時に意図したとおりの開口部をつくりだすことが可能になることを見出し本発明を完成した。
【0013】
上記のように蓋材の表面からハーフカットの切離線を入れるにあたって、開封方向に対して先端部に剥離開始部分を設けると、ハーフカットの切離線とフランジへの溶着位置の精度が必要になること、開封方向の中心から離れた横の部分に剥離開始部分を設けると左右どちらかの手では開けにくいことから、左右の2箇所に剥離開始位置を定めることによって左右どちらの手でも容易に開封可能な蓋材とした。
【0014】
上記の課題を解決するための、本発明の請求項1に係る発明は、容器本体の開口部フランジ外縁に熱溶着して封止する複合シートと表面シートとからなる蓋材であって、複合シートと表面シートが所定の形状領域に易剥離剤をパターン状に塗布することにより形成された易剥離層による易剥離領域とそれ以外の接着領域とにより区画されて互いに積層接着され、前記易剥離領域内における複合シートの1個所または複数個所には排出孔の形状に対応した接着領域と排出孔形成用ハーフカットが設けられ、前記表面シートには易剥離領域と接着領域の境界領域に開封開始部となる形状のハーフカットによる切離部が形成され
前記表面シートの易剥離領域と接着領域の境界領域に開封開始部となる形状のハーフカットによる切離部が剥離開始方向に対して左右の2箇所が膨らんだ形状で形成され、
開封開始部がフランジ外周より内側に形成されていることを特徴とする部分開封蓋材である。
【0016】
本発明の請求項に係る発明は、請求項1に記載の部分開封蓋材を用いたことを特徴とする粉粒体収納用包装体である。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明の部分開封蓋材は、容器本体の開口部フランジ外縁に熱溶着して封止する複合シートと表面シートとからなる蓋材であって、複合シートと表面シートが所定の形状領域に易剥離剤をパターン状に塗布することにより形成された易剥離層による易剥離領域とそれ以外の接着領域とにより区画されて互いに積層接着され、内面側の複合シートが容器本体の開口部全周にわたって強固に封止されているために保存時の内容物保護性が確保されるのみならず、開封時の蓋材にかかる力も分散されて局部的な破壊によって起こる開口部の変形を防止することが出来るようになった。
【0018】
易剥離領域と接着領域の境界領域に形成された、開封開始部となる形状のハーフカットによる切離部が表面シートに形成されていることによって、開封開始部を裏面の複合シートに形成した場合に比べて、容器本体の外縁部と蓋材周縁部のハーフカットとヒートシールの位置関係の許容幅が広がり、製造に当たって非常に精度の高い位置関係が要求されなくなった。
このことによって製造効率の改善と製造コストの低減につなげることが出来るようになった。
【0019】
また、請求項に係る発明の部分開封蓋材は、前記表面シートの易剥離領域と接着領域の境界領域に設けた開封開始部となる形状のハーフカットによる切離部が剥離開始方向に対して左右の2箇所が膨らんだ形状で形成されていることによって、開封開始部となる形状のハーフカットによる切離部が剥離開始方向に対して中心の1箇所に設けた場合に比べてシールの位置精度の許容幅が広がる。
【0020】
切離部を剥離開始方向に対して中心からずれた横の位置に設けることによってシールの位置精度の許容幅は広がり容易に開封しやすくなるが、この方法では左右どちらかの手では開けにくいという問題が発生する。
本発明の部分開封蓋材によれば、切離部が剥離開始方向に対して左右の2箇所が膨らんだ形状で形成されていることによって左右どちらの手でも開封しやすい構造とすることに成功した。
【0021】
以上のように、本発明の部分開封蓋材を用いた粉粒体収納用包装体によれば、製造工程において非常に精度の高い位置精度を求めずにすみ、蓋材と容器本体を完全に溶着することが出来、意図したとおりの開口部を作り出すことの出来る、しかも左右どちらの手で開封しても容易に開封できる蓋材およびそれを用いた粉粒体収納用包装体を提供することが出来るようになった。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の部分開封蓋材を用いた粉粒体収納用包装体の例を正面から見た時の概観図である。
図2】本発明の部分開封蓋材を用いた粉粒体収納用包装体の例の断面略図である。
図3】本発明の部分開封蓋材の例のX−X’線での拡大断面略図である。
図4】入浴剤入りの従来の包装体の斜視図である。
図5】オーバーキャップをはずした状態での図4の包装体の斜視図である。
図6】従来の蓋材を用いた粉粒体収納用包装体の例を上面から見た時の概観図(先端部分から剥離)である。
図7】従来の蓋材を用いた粉粒体収納用包装体の例を上面から見た時の概観図(横から剥離)である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に係る部分開封蓋材を用いた粉粒体収納用包装体の実施形態の一例について図1から図3を援用して説明する。
本発明の部分開封蓋材(41)は、容器本体(40)の開口部フランジ(42)外縁に熱溶着して封止する、複合シート(52)と表面シート(51)とからなる部分開封蓋材
(41)である。
また、本発明の粉粒体収納用包装体は蓋材として上記の部分開封蓋材を用いた包装体である。
【0024】
本発明の部分開封蓋材(41)は、複合シート(52)と表面シート(51)が所定の形状領域に易剥離剤をパターン状に塗布することにより形成された易剥離層(55)による易剥離領域(A)とそれ以外の接着領域(B)とにより区画されて互いに積層接着されている。
【0025】
前記易剥離領域(A)内における複合シート(52)の1箇所または複数箇所には排出孔(47)の形状に対応した接着領域とそれを囲む排出孔形成用ハーフカット(47a)が設けられ、前記表面シート(51)には易剥離領域(A)と接着領域の境界領域にハーフカット(46a)による切離部が形成されている。
このハーフカット(46a)は、その一部に、先端が膨らんだ形状の開封開始部を有している。
【0026】
本発明の部分開封蓋材(41)は、前記表面シート(51)の易剥離領域(A)と接着領域の境界領域に設けた開封開始部となる形状のハーフカット(46a)による切離部が図1に示したように、剥離開始方向に対して左右の2箇所が膨らんだ形状で形成されている。
【0027】
このようにすることによって、開封開始部をサイドから剥離する場合に右手でも左手でも同じ様に容易に開封することが出来る粉粒体収納用包装体に用いられる部分開封蓋材が得られる。
【0028】
表面シート(51)と複合シート(52)の材質、構成については、特に制限はないが、蓋材全体として要求される諸性能や表面シートを剥離する際の操作性、さらには経済性等を満足するために、最も好ましい構成が決定される。
【0029】
開封開始部の表面シート(51)を先端が膨らんだ形状のハーフカット(46a)による切離部から引っ張って、易剥離領域(A)の表面シート(51)を剥離することにより、排出孔用ハーフカット(47a)の内側部分の複合シート(52)を表面シート(51)に随伴させて除去することで排出孔(47)を露出させることができる。
【0030】
次に、本実施形態に係る蓋材(41)を用いた粉粒体収納用包装体の使用方法について図1図2図3を参考に説明する。
容器本体(40)に粉末入浴剤等の内容物を収納し、容器本体(40)のフランジ(42)に部分開封蓋材(41)を熱シールする。開封時には、まず開封開始部のハーフカット(46a)を少し開封し、表面シート(51)の易剥離領域(A)の部分を引き上げて表面シート(51)のみを除去する。
【0031】
この時に、排出孔(47)の周辺に対応する部分に、複合シートのみを貫通するハーフカットである排出孔用ハーフカット(47a)が設けてあるので、この操作によって排出孔(47)が露出する。
その後容器を傾けて排出孔から必要量の内容物を排出する。
【0032】
本発明の部分開封蓋材の開口部近傍における最も一般的な層構成としては、たとえば図3に示したように、表面シート(51)として上から順に延伸フィルム(21)/紙(22)/ポリオレフィン系接着性樹脂(25)、複合シート(52)として上から順に易剥離層(55)/二軸延伸フィルム(26)/接着剤/ガスバリア層(23)/接着性樹脂層/シーラント層(27)という構成が挙げられる。
これらの層構成の積層は公知の方法、たとえばドライラミネートや押し出しラミネート等の方法で行うことが出来る。
【0033】
本発明の部分開封蓋材に用いる延伸フィルム(21)としては、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)フィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)、二軸延伸ナイロンフィルム等が用いられる。
【0034】
本発明の部分開封蓋材に用いる紙(22)としては、坪量75g/m 〜130g/m程度の片面アート紙や片面コート紙、上質紙等が使用される。
また紙(22)の表面には通常、最終商品として必要な印刷や、保護ニス等が施される。
【0035】
ポリオレフィン系の接着性樹脂(25)としては、低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂、高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリオレフィン系エラストマー等のポリオレフィン系樹脂が用いられる。
【0036】
二軸延伸フィルム(26)としては、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)フィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)、二軸延伸ナイロンフィルム等が用いられる。
【0037】
本発明の部分開封蓋材に用いるガスバリア層(23)としては、アルミニウム箔等の金属箔、あるいは、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコール共重合体フィルム、ガスバリア性ナイロンフィルム、ガスバリア性ポリエチレンテレフタレートフィルム等のガスバリア性フィルムや、PETフィルム等に酸化アルミニウムや酸化珪素等の無機酸化物を蒸着させた無機酸化物蒸着フィルム、あるいは、ポリ塩化ビニリデンコーティング、水溶性樹脂と無機層状化合物を含有する被膜や金属アルコキシドあるいはその加水分解物とイソシアネート化合物を反応させた被膜からなる樹脂層などのガスバリアコーティング層を用いることができる。
【0038】
ガスバリア層(23)として、厚さ5μm以上且つ15μm以下のアルミニウム箔を複合シートに用いる場合、これにより、ガスバリア性に加えて遮光性も十分に確保される。
特に軟質のアルミニウム箔を用いた場合には、排出孔部分の上シートを剥離する際、排出孔ハーフカット内部の下シートに上シートから分離される方向に発生する弾性反発力を低減し、且つ排出孔を開口する際に必要な開口保持性を付与することが出来る。
アルミニウム箔が15μmを超える厚さであると、腰がありすぎて好ましくない上、経済的にも劣る。
【0039】
シーラント層(27)としては、ポリオレフィン系樹脂が一般的に使用され、具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・αオレフィン共重合体、エチレン−メタアクリル酸樹脂共重合体などのエチレン系樹脂や、ポリエチレンとポリブテンのブレンド樹脂や、ホモポリプロピレン、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・エチレンブロック共重合体、プロピレン・αオレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂等が使用される。
【0040】
易剥離層(55)を形成する易剥離剤としてはレシチンなどの可食性界面活性剤、硝化綿系の接着剤にワックスまたはシリコンなどを混合したものからなる塗工剤(0.2μm〜20μm厚)を使用することが出来、グラビア印刷等の公知の方法で塗布、乾燥することにより易剥離層とすることが出来る。
易剥離層(55)を積層する方法は、二軸延伸フィルムの片面に、上述の塗工剤をグラビア印刷加工により積層し、他基材を積層する方法が望ましい。
【0041】
次に、積層体の加工方法を説明する。
本発明の部分開封蓋材に用いる積層体の構成要素として、まず図3に示すように、あらかじめ容器本体(40)との熱溶着を容易にした低温接着性を有する直鎖状低密度ポリエチレン樹脂からなるシーラント(27)をアルミニウム箔(23)に塗布し、反対面に二軸延伸ポリエステルフィルム(26)をウレタン系接着剤を介して貼り合せることによって作製した複合シート(52)を作成する。
【0042】
別に、巻取状の紙(22)にグラビア印刷法にて表裏同一工程で、表面側にウレタン系接着剤層を介してドライラミネート法により延伸ポリエステルフィルム(21)を貼り合せ、裏面側に可食性界面活性剤にシリコンを混合してなる易剥離剤を印刷することにより表面シート(51)を作成する。
【0043】
この表面シート(51)と上記の複合シート(52)とポリエチレン樹脂のようなポリオレフィン系接着性樹脂(25)からなる接着剤層によりエクストルーダーを用いてラミネートすることにより積層材を作製する。
【0044】
続いて、このラミネートされた巻取状の積層材を枚葉状に大断ちした後、図1の形状の表面シートを貫通するハ−フカット加工(46a)および複合シートを貫通するハ−フカット加工(47a)を行い(巻取状にてハーフカット加工する場合もある。)、ハーフカット完了後、小断ち・抜き加工を経て本発明の部分開封蓋材(41)を作製する(ハーフカット加工時に同時に小断ち・抜き加工を行う場合もある。)。
【0045】
そして、この部分開封蓋材をあらかじめ成型された容器本体(発泡スチロール、スチロール、ポリプロピレン等からなる単体容器もしくはポリエチレン、ポリプロピレン等からなる複合容器)に内容物を充填してからヒートシール法にてシールすることによって本発明の部分開封蓋材を用いた粉粒体収納用包装体を作成することが出来る。
【実施例】
【0046】
<実施例1>
積層体の構成要素として、厚さ25μmの直鎖状低密度ポリエチレン樹脂からなるシーラント(27)を厚さ9μmのアルミニウム箔(23)に塗布し、反対面に厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(26)をウレタン系接着剤を介して貼り合せることによって複合シート(52)を作成した。
【0047】
別に、坪量84.9g/mのグラビアアート紙(22)にグラビア印刷法にて表裏同一工程で、表面側にウレタン系接着剤層を介してドライラミネート法により厚さ12μmの延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(21)を貼り合せ、裏面側に可食性界面活性剤にシリコンを混合してなる易剥離剤を印刷することにより表面シート(51)を作成した。
【0048】
この表面シート(51)と上記の複合シート(52)とを厚さ25μmのポリエチレン樹脂(25)からなる接着剤層によりエクストルーダーを用いてラミネートすることにより積層材を作製した。
【0049】
続いて、このラミネートされた巻取状の積層材を枚葉状に大断ちした後、図1の形状の表面シートを貫通するハ−フカット加工(46a)および複合シートを貫通するハ−フカ
ット加工(47a)を行い、ハーフカット完了後、小断ち、抜き加工を経て本発明の部分開封蓋材(41)を作製した。
【0050】
そして、この部分開封蓋材をあらかじめ成型されたポリエチレンを含む複合容器からなる容器本体(高さ145.8mm、上部の大きさ85mm×116mm)に内容物として粉末入浴剤を充填してからヒートシール法にてシールすることによって本発明の部分開封蓋材を用いた粉粒体収納用包装体を作成した。
【0051】
<比較例1>
積層体の構成要素として、厚さ25μmの直鎖状低密度ポリエチレン樹脂からなるシーラント(27)を厚さ9μmのアルミニウム箔(23)に塗布し、反対面に厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(26)をウレタン系接着剤を介して貼り合せることによって複合シート(52)を作成した。
【0052】
別に、坪量84.9g/mのグラビアアート紙(22)にグラビア印刷法にて表裏同一工程で、表面側にウレタン系接着剤層を介してドライラミネート法により厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(21)を貼り合せ、裏面側に可食性界面活性剤にシリコンを混合してなる易剥離剤を印刷することにより表面シート(51)を作成した。
【0053】
この表面シート(51)と上記の複合シート(52)とを厚さ25μmのポリエチレン樹脂(25)からなる接着剤層によりエクストルーダーを用いてラミネートすることにより積層材を作製した。
【0054】
続いて、このラミネートされた巻取状の積層材を枚葉状に大断ちした後、図6の形状の表面シートを貫通するハ−フカット加工(46a)および複合シートを貫通するハ−フカット加工(47a)を行い、ハーフカット完了後、小断ち、抜き加工を経て部分開封蓋材(41)を作製した。
【0055】
そして、この部分開封蓋材をあらかじめ成型されたポリエチレンを含む複合容器からなる容器本体(高さ145.8mm、上部の大きさ85mm×116mm)に内容物として粉末入浴剤を充填してからヒートシール法にてシールすることによって粉粒体収納用包装体を作成した。
【0056】
<比較例2>
積層体の構成要素として、厚さ25μmの直鎖状低密度ポリエチレン樹脂からなるシーラント(27)を厚さ9μmのアルミニウム箔(23)に塗布し、反対面に厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(26)をウレタン系接着剤を介して貼り合せることによって複合シート(52)を作成した。
【0057】
別に、坪量84.9g/mのグラビアアート紙(22)にグラビア印刷法にて表裏同一工程で、表面側にウレタン系接着剤層を介してドライラミネート法により厚さ12μmの延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(21)を貼り合せ、裏面側に可食性界面活性剤にシリコンを混合してなる易剥離剤を印刷することにより表面シート(51)を作成した。
【0058】
この表面シート(51)と上記の複合シート(52)とを厚さ25μmのポリエチレン樹脂(25)からなる接着剤層によりエクストルーダーを用いてラミネートすることにより積層材を作製した。
【0059】
続いて、このラミネートされた巻取状の積層材を枚葉状に大断ちした後、図7の形状の表面シートを貫通するハ−フカット加工(46a)および複合シートを貫通するハ−フカット加工(47a)を行い、ハーフカット完了後、小断ち、抜き加工を経て部分開封蓋材(41)を作製した。
【0060】
そして、この部分開封蓋材をあらかじめ成型されたポリエチレンを含む複合容器からなる容器本体(高さ145.8mm、上部の大きさ85mm×116mm)に内容物として粉末入浴剤を充填してからヒートシール法にてシールすることによって粉粒体収納用包装体を作成した。
【0061】
実施例1および比較例1、比較例2で作成した粉粒体収納用包装体を用いて、それぞれの蓋材の表面シートを貫通するハーフカットの形状による開封時の取り扱いのし易さについて比較評価をおこなった。
評価項目としては、開封孔の大きさ、シールのズレ、左手での開封、安全性の4点とし、それぞれ問題なしを○、問題ありを×とした。結果は表1に示した。
【表1】
【0062】
この評価結果から、本発明の部分開封蓋材を用いた実施例1の粉粒体収納用包装体においては、剥離方向の左右両方の位置に剥離開始部分を形成したことで、左右どちらの手を用いても開封しやすい形状となり、かつシール位置が多少ずれても開けにくくなることはなかった。
【0063】
これに対して、剥離方向の先端部分の位置に剥離開始部分を形成した比較例1の粉粒体収納用包装体においてはシール位置が少しずれた場合でも開けにくくなってしまい、剥離方向の左右いずれか片方の位置に剥離開始部分を形成した比較例2の粉粒体収納用包装体においては左手もしくは右手での開封が難しく、かつ横から剥離することで蓋材の切り口に鋭利な部分が残るので安全性でも問題があった。
【0064】
以上のように、本発明の部分開封蓋材によれば、製造工程において非常に精度の高いシール位置精度が不要であり、蓋材と容器本体を完全に溶着することが出来、意図したとおりの開口部を作り出すことの出来る、しかも左右どちらの手で開封しても容易に開封できる部分開封蓋材およびそれを用いた粉粒体収納用包装体を提供することが出来るようになった。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明の部分開封蓋材およびそれを用いた粉粒体収納用包装体は粒状、粉末状の内容物を収納する容器であって、用いる蓋材が紙を主としているものに関して、蓋材の一部のみを開封することで内容物が一度に出ないことが必要とされる容器に応用出来る。
【符号の説明】
【0066】
A…易剥離領域
B…接着領域
1…容器本体
2…オーバーキャップ
3…蓋シール
3a…プルタブ
3b…切り取り線
21…延伸フィルム
22…紙
25…ポリオレフィン系接着性樹脂
26…二軸延伸フィルム
23…ガスバリア層
27…シーラント
55…易剥離層
40…容器本体
41…部分開封蓋材
42…フランジ
46a…ハーフカット
47a…排出孔形成用ハーフカット
51…表面シート
52…複合シート
図2
図3
図4
図5
図1
図6
図7