【実施例】
【0032】
  以下、実施例
、参考例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において特に明記のない場合は、表中の各成分の量は純分換算した量であり、(%)は質量%、比率は質量比である。
【0033】
    [実施例1〜
4、参考例1〜4]
  (A)薬物と(B)崩壊剤とを混合した後、圧縮造粒機(ローラーコンパクター:TURBO工業社製)を用いて、ロール圧力は7.0MPa、粉体供給スクリュー回転速度3.0rpmの条件でローラー圧縮した。ローラー圧縮により得られたフレークを解砕・整粒機(フィオーレ:徳寿工作所社製)で解砕・整粒し、乾式造粒顆粒を得た。実施例
及び参考例で得られた乾式造粒顆粒の平均粒径はいずれも95〜550μm、ゆるめ嵩密度は0.5〜0.7g/cm
3であった。
  得られた乾式圧縮造粒顆粒と、表中の顆粒外添加物(ステアリン酸マグネシウムを除く)とを混合機(ボーレコンテナミキサー:コトブキ技研工業社製)で20分間混合した。混合後、ステアリン酸マグネシウムを添加し、さらに10分間混合し、打錠用顆粒とした。
  この打錠用顆粒を、打錠機(菊水製作所製:リブラ)を用いて打錠した。錠剤径はφ9.0mmとし、錠剤の引っ張り強度は200N/cm
2となるように打錠圧を調整した。得られた錠剤について崩壊試験を行い、崩壊性を評価した。なお、実施例
及び参考例の錠剤は打錠機への付着や錠剤のキャッピング、打錠粉体の臼内への充填不良等の障害が無く、製造性が優れるものであった。
【0034】
  なお、乾式造粒顆粒の平均粒子は、レーザー回折式粒度分布測定装置(BECKMAN  COULTER社製  LS13  320)にて測定し、個数%により割合を算出した。
【0035】
[崩壊試験]
  第十五正日本薬局方に収載される錠剤の崩壊試験法に準じ、6錠の崩壊時間を測定しその平均値を求めた。平均値から結果を下記に基づいて示す。
◎:崩壊時間45秒未満
○:崩壊時間45秒以上60秒未満
△:崩壊時間60秒以上120秒未満
×:崩壊時間120秒以上
【0036】
【表1】
【0037】
  上記実施例
及び参考例から明らかであるように、(A)成分と(B)成分を乾式造粒して得た顆粒を用いた錠剤は優れた崩壊性を示した。特に(A)成分としてイブプロフェンを用いたときに良好な崩壊性を示した。また(B)成分として低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、クロスカルメロースナトリウムを用いたときにも優れた崩壊性を示した。これらの中でも、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースを用いたときの崩壊性がより優れており、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを用いたときが最も崩壊性が優れていた。さらに実施例
4に示した通り、(A),(B)成分以外にヒドロキシプロピルセルロースを添加剤として共配合した乾式造粒顆粒においても優れた崩壊性を示した。
【0038】
    [比較例1]
  (A)薬物としてイブプロフェンを選択し、(B)崩壊剤との混合粉体を調製した後、ヒドロキシプロピルセルロース水溶液を用いて、(A)及び(B)混合粉体を湿式攪拌造粒した。乾燥後、この造粒顆粒を解砕・整粒機(フィオーレ:徳寿工作所社製)で解砕・整粒し、顆粒を得た。得られた顆粒と、表中の顆粒外添加物(ステアリン酸マグネシウムを除く)とを混合機(ボーレコンテナミキサー:コトブキ技研工業社製)で20分間混合した。混合後、ステアリン酸マグネシウムを添加し、さらに10分間混合し、打錠用顆粒とした。
  この打錠用顆粒を、打錠機(菊水製作所製:リブラ)を用いて打錠した。錠剤径はφ9.0mmとし、錠剤の引っ張り強度は200N/cm
2となるように打錠圧を調整した。得られた錠剤について崩壊試験を行い、崩壊性を評価した。
【0039】
    [参考例
5,
6]
  (A)薬物としてアセトアミノフェン、アスピリンを選択し、(B)崩壊剤との混合粉体を調製した後、ヒドロキシプロピルセルロース水溶液を用いて、(A)及び(B)混合粉体を湿式攪拌造粒した。乾燥後、この造粒顆粒を解砕・整粒機(フィオーレ:徳寿工作所社製)で解砕・整粒し、顆粒を得た。得られた顆粒と、表中の顆粒外添加物(ステアリン酸マグネシウムを除く)とを混合機(ボーレコンテナミキサー:コトブキ技研工業社製)で20分間混合した。混合後、ステアリン酸マグネシウムを添加し、さらに10分間混合し、打錠用顆粒とした。
  この打錠用顆粒を、打錠機(菊水製作所製:リブラ)を用いて打錠した。錠剤径はφ9.0mmとし、錠剤の引っ張り強度は200N/cm
2となるように打錠圧を調整した。得られた錠剤について崩壊試験を行い、崩壊性を評価した。
【0040】
    [比較例2]
  (A)薬物としてイブプロフェンを選択し、(B)崩壊剤との混合粉体を調製した後、精製水を添加し、(A)及び(B)混合粉体を攪拌した。乾燥後、この顆粒を解砕・整粒機(フィオーレ:徳寿工作所社製)で解砕・整粒した。得られた顆粒と、表中の顆粒外添加物(ステアリン酸マグネシウムを除く)とを混合機(ボーレコンテナミキサー:コトブキ技研工業社製)で20分間混合した。混合後、ステアリン酸マグネシウムを添加し、さらに10分間混合し、打錠用顆粒とした。
  この打錠用顆粒を、打錠機(菊水製作所製:リブラ)を用いて打錠に供した。しかしながら水のみで湿式攪拌造粒を行った顆粒は、顆粒強度が弱く、さらに流動性も不良であり、正常に打錠を行うことができなかった。
【0041】
【表2】
【0042】
  比較例1に示すとおり、(A),(B)成分を、ヒドロキシプロピルセルロース水溶液を用いて湿式攪拌造粒した場合には崩壊性が顕著に遅延した。
  参考例
5,
6に示すとおり、(A)成分として、(A)成分以外の成分(アセトアミノフェン、アスピリン)を用いたときには、湿式攪拌造粒顆粒を用いた場合でも崩壊性は遅延することはなく、優れた崩壊性を示し、本発明の(A)成分でみられるような課題は生じなかった。また、水溶性結合剤を用いずに水のみで湿式攪拌造粒を行った顆粒は、顆粒強度が弱く、さらに流動性も不良であり、正常に打錠を行うことができなかった(比較例2)。
  以上のことから、本発明の(A)成分の造粒顆粒を含む錠剤においては、優れた錠剤崩壊性を発揮する上で、(A)成分を乾式造粒顆粒で配合することが極めて有用であるといえる。
【0043】
    [実施例
5〜7、参考例7,8]
  (A)成分と(B)成分の配合比率を変え、上記実施例と同様の方法で乾式造粒顆粒を得た。得られた乾式造粒顆粒を表3で示す配合比率となるよう混合し、打錠用顆粒を得た。得られた打錠用顆粒を上記実施例と同様の条件で打錠し、錠剤の崩壊性を評価した。なお、実施例の錠剤は打錠機への付着や錠剤のキャッピング、打錠粉体の臼内への充填不良などの障害が無く、製造性が優れるものであった。
  なお、実施例
5〜7及び参考例7,8における乾式造粒顆粒の平均粒径はいずれも100〜550μm、ゆるめ嵩密度は0.5〜0.7g/cm
3であった。
【0044】
【表3】
【0045】
  実施例
5〜7、参考例7,8の通り、(B)/(A)=0.1〜0.7の範囲で優れた崩壊性を示した。(B)/(A)=0.2以上で良好な崩壊性を示し、(B)/(A)=0.25以上でさらに良好な崩壊性を示した。(B)/(A)=0.7以上では崩壊性は良好であるものの、粉体が嵩高くなり、製造が困難となった。
【0046】
    [実施例
8〜10、参考例9〜12]
  乾式造粒顆粒の平均粒径、ゆるめ嵩密度を表4に記載の通りに変え、顆粒外添加物と混合後、打錠を行い、錠剤を得た。この錠剤について崩壊性を評価した。
【0047】
【表4】
【0048】
  乾式造粒顆粒の平均粒径が45〜900μm、ゆるめ嵩密度0.4〜0.7の範囲とした錠剤は、すぐれた崩壊性を示した。特に平均粒径74〜700μmの範囲でより優れた崩壊性を示し、平均粒径約95〜500μmの範囲でさらに優れた崩壊性を示した。
【0049】
    [実施例
11]
  (A)成分としてイブプロフェン、(B)成分として低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを選択し、(A)成分1500gと(B)成分600gと、その他成分としてブロムヘキシン塩酸塩40gとを混合し、この混合粉体をローラーコンパクターでロール圧力は7.0MPa、粉体供給スクリュー回転速度3.0rpmの条件でローラー圧縮した。ローラー圧縮により得られたフレークをフィオーレで解砕・整粒し、乾式造粒顆粒を得た。乾式造粒顆粒外の成分として、デキストロメトルファン臭化水素酸塩96g、無水カフェイン150g、クレマスチンフマル酸塩2.68g、アスコルビン酸カルシウム200g、乾燥水酸化アルミニウムゲル400g、dl−塩酸メチルエフェドリン120g、乳糖造粒物2969.12g、クロスカルメロースナトリウム162gをボーレコンテナミキサーで20分間混合し、乾式造粒顆粒外の混合粉体4099.8gを得た。
  これに乾式造粒顆粒1284gを加え、ボーレコンテナミキサーで混合後、ステアリン酸マグネシウムを16.2g添加し、さらに10分間混合し、表5に示す組成の打錠用粉体を得た。この打錠用粉体を、打錠機(菊水製作所製:リブラ)を用いて打錠した。錠剤径はφ9.0mmとし、錠剤の引っ張り強度は200N/cm
2となるように打錠圧を調整した。得られた錠剤について崩壊試験を行い、崩壊性を評価した。
  なお、実施例
11における乾式造粒顆粒の平均粒径は100〜550μm、ゆるめ嵩密度は0.5〜0.7g/cm
3であった。
【0050】
【表5】
【0051】
    [実施例
12]
  (A)成分としてイブプロフェン、(B)成分として低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを選択し、(A)成分3375gと(B)成分1350gとを混合し、この混合粉体をローラーコンパクターでロール圧力は7.0MPa、粉体供給スクリュー回転速度3.0rpmの条件でローラー圧縮した。ローラー圧縮により得られたフレークをフィオーレで解砕・整粒し、乾式造粒顆粒を得た。
  乾式造粒顆粒外の成分として無水カフェイン375g、乾燥水酸化アルミニウムゲル1000g、乳糖造粒物1442g、クロスカルメロースナトリウム30gをボーレコンテナミキサーで20分間混合し、乾式造粒顆粒外の混合粉体2850gを得た。
  これに乾式造粒顆粒3150gを加え、ボーレコンテナミキサーで混合後、ステアリン酸マグネシウムを3g添加し、さらに10分間混合し、表6に示す組成の打錠用粉体を得た。この打錠用粉体を、打錠機(菊水製作所製:リブラ)を用いて打錠した。錠剤径はφ9.0mmとし、錠剤の引っ張り強度は200N/cm
2となるように打錠圧を調整した。得られた錠剤について崩壊試験を行い、崩壊性を評価した。
  なお、実施例
12における乾式造粒顆粒の平均粒径は100〜550μm、ゆるめ嵩密度は0.5〜0.7g/cm
3であった。
【0052】
【表6】
【0053】
    [実施例
13]
  (A)成分としてイブプロフェン、(B)成分として低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを選択し、(A)成分2600gと(B)成分1000gとを混合し、さらにアセトアミノフェン2600g、ヒドロキシプロピルセルロース200g、軽質無水ケイ酸120gを混合し、この混合粉体をローラーコンパクターでロール圧力は7.0MPa、粉体供給スクリュー回転速度3.0rpmの条件でローラー圧縮した。ローラー圧縮により得られたフレークをフィオーレで解砕・整粒し、乾式造粒顆粒を得た。
  乾式造粒顆粒外の成分として乾燥水酸化アルミニウムゲル840g、結晶セルロース1200g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース180gをボーレコンテナミキサーで20分間混合し、乾式造粒顆粒外の混合粉体2220gを得た。
  これに乾式造粒顆粒3858gを加え、ボーレコンテナミキサーで混合後、ステアリン酸マグネシウムを12g添加し、さらに10分間混合し、表7に示す組成の打錠用粉体を得た。この打錠用粉体を打錠機(菊水製作所製:リブラ)を用いて打錠した。錠剤径はφ9.0mmとし、錠剤の引っ張り強度は200N/cm
2となるように打錠圧を調整した。得られた錠剤について崩壊試験を行い、崩壊性を評価した。
  なお、実施例
13における乾式造粒顆粒の平均粒径は100〜550μm、ゆるめ嵩密度は0.5〜0.7であった。
【0054】
【表7】
【0055】
    [実施例
14]
  (A)成分としてイブプロフェン、(B)成分として低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを選択し、(A)成分2600gと(B)成分1000gとを混合し、さらにアセトアミノフェン2600g、ショ糖脂肪酸エステル200g、カルメロース1200gを混合し、この混合粉体をローラーコンパクターでロール圧力は7.0MPa、粉体供給スクリュー回転速度3.0rpmの条件でローラー圧縮した。ローラー圧縮により得られたフレークをフィオーレで解砕・整粒し、乾式造粒顆粒を得た。
  乾式造粒顆粒外の成分として乾燥水酸化アルミニウムゲル840g、結晶セルロース1200g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース180gをボーレコンテナミキサーで20分間混合し、乾式造粒顆粒外の混合粉体2220gを得た。
  これに乾式造粒顆粒4200gを加え、ボーレコンテナミキサーで混合後、ステアリン酸マグネシウムを12g添加し、さらに10分間混合し、表8に示す組成の打錠用粉体を得た。この打錠用粉体を打錠機(菊水製作所製:リブラ)を用いて打錠した。錠剤径はφ9.0mmとし、錠剤の引っ張り強度は200N/cm
2となるように打錠圧を調整した。得られた錠剤について崩壊試験を行い、崩壊性を評価した。
  なお、実施例
14における乾式造粒顆粒の平均粒径は100〜550μm、ゆるめ嵩密度は0.5〜0.7であった。
【0056】
【表8】
【0057】
  実施例
、参考例及び比較例を調製する際に用いた原料を以下に示す。
イブプロフェン:BASF社製
ナプロキセン:TEVA  PARMACEUTICAL社製
アセトアミノフェン:岩城製薬(株)製
無水カフェイン:白鳥製薬(株)製
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース:信越化学工業(株)製、商品名「LH−31」
ヒドロキシプロピルセルロース:日本曹達(株)製、商品名「HPC−SSL」
乳糖造粒物:フロイント産業社製、商品名「乳糖G」
クロスカルメロースナトリウム:旭化成社製、商品名「キッコレートND−2SH」
ステアリン酸マグネシウム:太平化学産業(株)製