(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エンジン(20)と、該エンジン(20)の駆動力で圃場を走行する走行車体(2)と、走行車体(2)の後部に設けた圃場に苗を植え付ける苗植付部(4)と、苗植付部(4)の下部に設けた圃場面を均す複数の整地回転体(27)と、該整地回転体(27)の後方に設けた圃場面を整地する複数のフロート(55)と、走行車体(2)の後部に設けたエンジン(20)の駆動力を走行車体(2)の後輪(11,11)に伝達する左右の伝動ケース(18,18)を備えた苗移植機において、
複数の整地回転体(27)は左右両側に並列配置される一対の側方整地回転体(27a,27a)と該一対の側方整地回転体(27a,27a)の間に配置される中央整地回転体(27b)からなり、
左右の伝動ケース(18,18)の一方の伝動ケース(18)から対応する側方整地回転体(27a)に駆動力を伝達する第1ロータ伝動軸(72)を設け、
駆動力を伝達された一方の側方整地回転体(27a)から中央整地回転体(27b)と他方の側方整地回転体(27a)へ動力を伝達するために左右の側方整地回転体(27a,27a)と中央整地回転体(27b)の間に第1ロータ伝動軸(72)からの動力を伝達する左右一対の第2ロータ伝動軸(73a,73a)を収納した左右の整地伝動ケース(73,73)を設け、
フロート(55)は左右一対の外側フロート(55a,55d)と左右一対の内側フロート(55b,55c)を左右方向に並列配置してなり、外側フロート(55a,55d)は左右の側方整地回転体(27a,27a)の後方、内側フロート(55b,55c)は左右の側方整地回転体(27a,27a)の中央寄りの端部と中央整地回転体(27b)の左右両端部寄りの後方にそれぞれ配置し、
左右の内側フロート(55b,55c)の左右間に連結中央フロート(56)を着脱自在に配置し、
左右の内側フロート(55b,55c)と外側フロート(55a,55d)の回動支点を左右方向の同一直線(P)上に配置し、該回動支点よりも前方に中央連結フロート(56)の接地部が位置するように構成し、
走行車体(2)に設けた仰角制御センサが検出する左右の内側フロート(55b、55c)の上下動に応じて昇降油圧式シリンダ(46)を制御する油圧バルブを切り替えて苗植付部(4)を昇降させる構成とし、
中央整地回転体(27b)は、左右の内側フロート(55b、55c)の前方で且つ左右の側方整地回転体(27a、27a)よりも前方に配置された
ことを特徴とする苗移植機。
連結中央フロート(56)の底面部には前後方向中央部から後端部に亘って圃場面から離間する非接地部を形成し、該非接地部よりも前側に圃場面に接地する接地部を形成し、前記接地部は左右方向中央部ほど後側に突出した平面視でV字形状としたことを特徴とする請求項1記載の苗移植機。
一方の整地伝動ケース(73)を後上り傾斜姿勢で配置し、該整地伝動ケース(73)の後端部に整地伝動ケース(73)内の第2ロータ伝動軸(73a)に接続する第1延長伝動軸(74a)を収納した第1延長伝動ケース(74)の一端を装着し、該第1延長伝動ケース(74)の他端に第1延長伝動軸(74a)に接続する第2延長伝動機構(75a)を収納した第2延長伝動ケース(75)を設け、該第2延長伝動ケース(75)の長手方向を上下方向に配置し、該第2延長伝動ケース(75)の下端部の左右外側で第2延長伝動機構(75a)と側方整地回転体(27a)を接続したことを特徴とする請求項1記載の苗移植機。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面に基づき、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
図1及び
図2は本発明の苗移植機の典型例である粉粒体繰出し装置として施肥装置を装着した8条植の乗用型田植機の側面図と平面図である。この施肥装置付き乗用型田植機1は、走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介して苗植付部4が昇降可能に装着され、走行車体2の後部上側に施肥装置5の本体部分が設けられている。搭乗オペレータが乗用型田植機の前進方向に向かって左右方向をそれぞれ左、右といい、前進方向と後進方向をそれぞれ前、後という。
【0021】
走行車体2は、駆動輪である左右一対の前輪10,10及び左右一対の後輪11,11(走行装置)を備えた四輪駆動車両であって、機体の前部にミッションケース12が配置され、そのミッションケース12の左右側方に前輪ファイナルケース13,13が設けられ、該左右前輪ファイナルケース13,13の操向方向を変更可能な各々の前輪支持部から外向きに突出する左右前輪車軸に左右前輪10,10が各々取り付けられている。また、ミッションケース12の背面部にメインフレーム15の前端部が固着されており、そのメインフレーム15の後端左右中央部に前後水平に設けた後輪ローリング軸(図示せず)を支点にして後輪ギヤケース18,18がローリング自在に支持され、その後輪ギヤケース18,18から外向きに突出する後輪車軸に後輪11,11が取り付けられている。
【0022】
エンジン20はメインフレーム15の上に搭載されており、該エンジン20の回転動力が、ベルト伝動装置21及び油圧無段変速装置(HST)23を介してミッションケース12に伝達される。ミッションケース12に伝達された回転動力は、該ケース12内のトランスミッションにより変速された後、走行動力と外部取出動力に分離して取り出される。そして、走行動力は、一部が前輪ファイナルケース13,13に伝達されて前輪10,10を駆動すると共に、残りが後輪ギヤケース18,18に伝達されて後輪11,11を駆動する。また、外部取出動力は、走行車体2の後部に設けた植付クラッチケース25に伝達され、それから植付伝動軸26によって苗植付部4へ伝動されると共に、施肥伝動機構28によって施肥装置5へ伝動される。
【0023】
エンジン20の上部はエンジンカバー30で覆われており、その上に座席31が設置されている。座席31の前方には各種操作機構を内蔵するフロントカバー32があり、その上方に前輪10,10を操向操作するハンドル34が設けられており、この領域を操縦部33とする。エンジンカバー30及びフロントカバー32の下端左右両側は水平状のフロアステップ35になっている。フロアステップ35は一部格子状になっており(
図2参照)、該ステップ35を歩く作業者の靴についた泥が圃場に落下するようになっている。フロアステップ35上の後部は、後輪フェンダを兼ねるリヤステップ36となっている。
【0024】
昇降リンク装置3は平行リンク機構であって、1本の上リンク40と左右一対の下リンク41,41を備えている。これらリンク40,41,41は、その基部側がメインフレーム15の後端部に立設した背面視門形のリンクベースフレーム42に回動自在に取り付けられ、その先端側に縦リンク43が連結されている。そして、縦リンク43の下端部に苗植付部4に回転自在に支承された連結軸44が挿入連結され、連結軸44を中心として苗植付部4がローリング自在に連結されている。
【0025】
メインフレーム15に固着した支持部材(図示せず)と上リンク40に一体形成したスイングアーム(図示せず)の先端部との間に昇降油圧式シリンダ46が設けられており、該シリンダ46を油圧で伸縮させることにより、上リンク40が上下に回動し、苗植付部4がほぼ一定姿勢のまま昇降する。
【0026】
苗植付部4は8条植の構成で、フレームを兼ねる伝動ケース50、マット苗を載せて左右往復動し、苗を一株分ずつ各条の苗取出口51a,…に供給すると共に横一列分の苗を全て苗取出口51a,…に供給すると苗送りベルト51b,…により苗を下方に移送する苗載せ台51、苗取出口51a,…に供給された苗を圃場に植え付ける苗植付
装置52,…、次行程における機体進路を表土面に線引きする左右一対の線引きマーカ22(
図1)等を備えている。
【0027】
苗植付部4の下部には左右一対の中央側の
センターフロート55b,55cとその外側にそれぞれ配置される
サイドフロート55a,55dからなる4つのフロート55a,55b,55c,55dが横一列(左右方向)に並列配置されている。これらフロート55a,55b,55c,55dを圃場の泥面に接地させた状態で機体を進行させると、フロート55a,55b,55c,55dが泥面を整地しつつ滑走し、その整地跡に苗植付
装置52,…により苗が植え付けられる。各フロート55a,55b,55c,55dは圃場表土面の凹凸に応じて前端側が上下動するように回動自在に取り付けられており、植付作業時には
センターフロート55b,55cの前部の上下動が
仰角制御センサ(図示せず)により検出され、その検出結果に応じ、前記昇降油圧式シリンダ46を制御する油圧バルブ(図示せず)を切り替えて苗植付部4を昇降させることにより、苗の植付深さを常に一定に維持する。
【0028】
施肥装置5は、肥料ホッパ60に貯留されている粒状の肥料を繰出部61,…によって一定量ずつ繰り出し、その肥料を施肥ホース62,…でフロート55a,55b,55c,55dの左右両側に取り付けた施肥ガイド(図示せず),…まで導き、施肥ガイド,…の前側に設けた作溝体24(
図1),…によって苗植付条の側部近傍に形成される施肥溝内に落とし込むようになっている。ブロア用電動モータ53で駆動するブロア58で発生させたエアが、左右方向に長いエアチャンバ59を経由して施肥ホース62,…に吹き込まれ、施肥ホース62,…内の肥料を風圧で強制的に搬送するようになっている。
【0029】
苗植付部4には整地装置の一例である整地ロータ27が取り付けられている。
図4に整地ロータ27とフロート55の配置関係を平面図で示す。整地ロータ27は中央整地ロータ(センターロータということがある)27bと該センターロータ27bの後方外側にそれぞれ配置される一対の側方整地ロータ(サイドロータということがある)27a,27aの組み合わせである。)が取り付けられている。
【0030】
また、苗載せ台51は苗植付部4の全体を支持する左右方向と上下方向に幅一杯の矩形の支持枠体65の支持ローラ65aをレールとして両側辺部材65bを左右方向にスライドする構成である。
さらに、走行車体2の前部左右両側には、補給用の苗を載せておく一対の予備苗載せ台38,38が機体の前後に張り出す位置と上下に並んだ位置とに回動可能に設けられている。
【0031】
一方の機体側面にある第1予備苗載せ台38a,第2予備苗載せ台38b,第3予備苗載せ台38cを上下三段に配置した場合の側面図を
図1に示す。
予備苗載せ台38は走行車体2のフロアステップ35の下部に基部側を配置した支持機枠49に支持され、移動リンク部材39a,39b,39cを介してそれぞれ上下三段に構成され、第1予備苗載せ台38a、第2予備苗載せ台38b及び第3予備苗載せ台38cからなっている。
【0032】
移動リンク部材39bが機体に設けられた切替駆動装置(電動モータ)70の作動により回動することで、移動リンク部材39bに連結した予備苗載せ台38a,38b,38cが回動して、予備苗載せ台38a,38b,38cを
図1に示す上下三段の積層状態と予備苗載せ台38a,38b,38cをほぼ同一平面上に展開させる展開状態に切り替え可能となる。該予備苗載せ台38a,38b,38cが回動して展開状態と積層状態とに切替操作手段として切替スイッチ19(ボタン、レバーでもよい)(
図1,
図2)を座席31近傍に設ける。
【0033】
また部分条クラッチレバー17を操作すると、植付クラッチ機構のうち所定条の
苗植付装置52への駆動力を入切する部分条クラッチ(図示省略)が「切」作動してそれぞれ対応する条の
苗植付装置52の入切が行われる。
また、
図3に
は本実施例で使用する制御装置100のブロック図を示す。
【0034】
図4に中央整地ロータ(センターロータということがある)27bと一対の側方整地ロータ(サイドロータということがある)27a,27aと4つのフロート55a,55b,55c,55d)の配置状態を平面図で示す。
また、走行車体(機体)2の中央縦線を横断する方向でセンターフロート55b,55cの前方にセンターロータ27bが配置され、その両側にサイドロータ27a,27aが配置されている。センターロータ27bはフロート55a,55b,55c,55dの前方にあるサイドロータ27aより前方に配置されている。
【0035】
左右の整地ロータ27a,27aの駆動軸70a,70aへの動力は後輪ギヤケース18内のギヤから整地伝動シャフト
(第1ロータ伝動軸)72等を介して伝達される。また、並列配置された一対のサイドロータ27a,27aの駆動軸70a,70aに、それぞれ対応する側のサイドロータ27aの駆動軸70aの車体内側の端部から動力が伝達され、それぞれ左右の駆動軸70aには
第2ロータ伝動軸ケース73内の
第2ロータ伝動軸73aを介して動力伝達される。
【0036】
センターロータ27bの後方を各種部材で遮らない構成としたことにより、センターロータ27bの両脇を通り、左右のサイドロータ27a,27aの内側を通る水流Wを形成することができ、水流Wは機体左右方向中央部から後方に向いて流れるので、隣接条の苗を水流Wで押し流すことが防止され、苗の未植付区間の発生が防止される。
【0037】
また、
図5の整地ロータとフロート部分の平面図に示すように、左右のセンターフロート55b,55cの左右間に連結中央フロート56を着脱自在に配置している。また
図6に連結中央フロート56の平面図(
図6(a))と側面図(
図6(b))を示すように、該連結中央フロート56の前側は圃場面に接地する底面を有する舟形形状の接触部を形成し、連結中央フロート56の前後方向中央部から後端部に亘っては、圃場面から離間する非接地部を形成している。連結中央フロート56の前記接地部は左右方向の中央部ほど後側に突出したV字形状(平面視)とした。
【0038】
センターフロート55b,55cの左右間に連結中央フロート56を取り付けたことにより、連結中央フロート56と左右のセンターフロート55b,55cを取付板57と締結して一体のフロートとすることができるので、圃場の凹凸に正確に反応して苗植付部4が昇降するため、苗の植付精度が向上する。
【0039】
また、センターフロート55b,55cの接地部の後側を左右方向中央部ほど突出したV字型とすると共に、その後部を非接地部としたことにより、センターロータ27b及び左右のサイドロータ27a,27aの内側で生じた水流Wを後方に集めて排出することができるので、隣接条の苗を水流Wで押し流すことがなく、苗の未植付区間の発生が防止される。
【0040】
中央連結フロート56をセンターフロート55b,55cに対して着脱自在としたことにより、不要なときは中央連結フロート56を取り外すことができるので、様々な作業条件に適した形態で作業が行えるため、作業能率が従来技術より向上する。
【0041】
本実施例の苗植付部4では、左右のセンターフロート55b,55cとサイドフロート55a,55dの回動支点を走行車体2の左右方向の同一直線P上に配置し、回動支点(図示せず)よりも前方に中央連結フロート56の接地部が位置するようにフロート55a,55b,55c,55dを走行車体2に装着する構成とした。
【0042】
このように前記サイドフロート55a,55b,55c,55dの回動支点の位置を揃えると共に、前記回動支点よりも前方に中央連結フロート56の設置部が位置するように装着する構成としたことにより、圃場の凹凸を早めに検知して中央連結フロート56と左右のセンターフロート55b,55cを上下回動させることができるので、苗を植え付けるときに苗植付部4の高さを適切な高さとすることができ、苗の植付深さが安定する。
【0043】
図7に他の実施例の整地ロータ部分の平面図を示す。本実施例では、左右の整地伝動ケース73,73の後端部の外側に、間隔を空けて左右の側方ロータ27a1,27a1をそれぞれ装着し、左右の整地伝動ケース73,73の外側と左右の側方ロータ27a1,27a1の間に水流Wの通過する左右の空間部S1,S1を形成し、左右の整地伝動ケース73,73の後端部の内側にできる間隔に後部中央ロータ27a2を装着し、前記左右の側方ロータ27a1,27a1と後部中央ロータ27a2
の間に
は後部駆動軸70aを設
ける。
【0044】
また左右の整地伝動ケース73,73の前端部の左右内側に第1中央ロータ27b1、27b1を設け、左右外側に第2中央ロータ27b2,27b2を設け、第1中央ロータ27b1、27b1と第2中央ロータ27b2,27b2には共通する前部駆動軸70bを設け、左右の第1中央ロータ27b1、27b1の間に水流Wが通過する中央空間部S2を形成した。
【0045】
図7に示すように、左右の側方ロータ27a1,27a1を左右の整地伝動ケース73,73からそれぞれ離間させて左右の空間部S1,S1を形成すると共に、左右の第1中央ロータ27b1,27b1の間に水流Wの通過する中央空間部S2を形成した構成により、この空間部S1,S1,S2から水流Wを後方に案内することができるので、整地ロータ27が機体左右両側に強い水流Wを発生させることが防止され、水流Wによる苗の押し倒しが防止されて、作業者が手作業で苗を植え直す作業が不要となる。
【0046】
また、整地伝動ケース73,73の後端部の左右間に第2中央ロータ27a2を設けたことにより、左右の第1中央ロータ27b1,27b1が均さなかった圃場面を第2中央ロータ27a2が均すことができるので、圃場の凹凸が小さくなり、苗の植付深さが安定する。
【0047】
さらに、左右の第2中央ロータ27b2,27b2が植付伝動ケース73,73の左右外側に突出していることにより、植付伝動ケース73,73と左右の側方ロータ27a1,27a1の左右空間部S1,S1に対応する圃場面を先に均すことができるので、圃場の凹凸が小さくなり、苗の植付深さが安定する。
【0048】
整地ロータ27の駆動部の斜視図(
図8(a))とその歯車伝動系の構成図(
図8(b))と側面図(
図8(c))に、整地伝動ケース73,73内の伝動系から中央ロータ27bと左右の側方ロータ27a,27aにエンジン側の伝動系から整地伝動シャフト72を介して動力が伝達される構成を示す。この構成は整地伝動ケース73の長手方向が整地ロータ27と同じ高さにあるので、圃場面に整地伝動ケース73が接触しやすく、この整地伝動ケース73の接触部分で圃場面の水流Wが遮断されやすい。
【0049】
そこで、
図9に圃場面に接触しないように整地伝動ケース73に整地ロータ27を取り付けた構成を示す。
図9(a)は整地ロータ27の駆動部の斜視図であり、
図9(b)に整地ロータ27の歯車伝動系の構成図を示し、
図8(c)には整地伝動ケース73に整地ロータ27を取り付けた場合の側面図を示す。
【0050】
図9に示す構成では左右の整地伝動ケース73,73を後上り傾斜姿勢で配置し、該左側の整地伝動ケース73のみの後端部外側に第1延長伝動ケース74を設けると共に、該第1延長伝動ケース74の外側下端部に左側の第2延長伝動ケース75を設ける。また右側の整地伝動ケース73の外側に右側の第2延長伝動ケース75を設ける。
【0051】
該左右の第2延長伝動ケース75,75内の伝動系75a,75aには左右の側方ロータ27a,27aを接続するので、第2延長伝動ケース75,75の長手方向は上下方向に配置される。第2延長伝動ケース75内の伝動系75a,75aの下端部に左右の側方ロータ27aに接続している。
【0052】
エンジン側の伝動系から整地伝動シャフト72を介して第1延長伝動ケース74内の
第一延長伝動軸74aに動力が伝達される。該
第一延長伝動軸74aの一端に取り付けられたベベルギヤ74a1から左側の
整地伝動ケース73内の
第2ロータ伝動軸73aに動力伝達され、また
第一延長伝動軸74aの他端に取り付けられたスプロケット74a2と左側の第2延長伝動ケース75内のスプロケット70a1の間にチェーン75a1を掛け渡すことで、整地ロータ27aの駆動軸70aが伝動される。左側のスプロケット70a1とチェーン75a1を左伝動系75aとする。
【0053】
また、前記整地伝動シャフト72から伝動された駆動力は、左側の伝動ケース73内の
第2ロータ伝動軸73aから前部駆動軸70bに送られてセンターロータ27bを回転させると共に、右側の伝動ケース73に内装された右
第2ロータ伝動軸73aに動力伝達された後に、該右
第2ロータ伝動軸73aの端部のベベルギヤ73a1を経由して、該ベベルギヤ73a1に噛合する右第2伝動軸75bのベベルギヤ75b1に動力伝達される。右第2
延長伝動軸75bの動力は右第2延長伝動ケース75内の右第2
延長伝動軸75bの端部のスプロケット75b1とチェーン75a1からなる右伝動系75a’に伝動され、該右伝動系75a’から右駆動軸70aのスプロケット70a1を回転させ、右駆動軸70aが右側の整地ロータ27aを回動させる。
【0054】
上述のように左右の第2延長伝動ケース75,75の長手方向は上下方向に配置されるので、整地伝動ケース73,73を後上り傾斜姿勢とすることができる。これにより当該整地伝動ケース73,73の後側ほど圃場面から離間する構成となるので、水流Wが整地伝動ケース73,73に当たり、反射して機体左右両側に流れることが防止され、水流Wが圃場に植え付けた苗を押し流すことが防止できる。
【0055】
長手方向が上下を向いた左右の第2延長伝動ケース75,75の外側に側方ロータ27a,27aを設けたことにより、左右の側方ロータ27a,27aを圃場面に接地させることができるので、圃場の凹凸が整地され、苗の植付深さが安定する。
【0056】
ところで、苗植付部4に苗植付部の昇降時の加速度を検知する加速度センサ78を設け、また苗植付部4の上昇または下降、及び昇降位置を検知する昇降センサ(リンクセンサ)79をリンクベースフレーム42の上リンク40の取り付け部に設け、またメインフレーム15またはボンネット32の内部に走行車体の前後傾斜を検知する傾斜センサ80を設けている。
【0057】
また油圧式無段変速装置(HST)23の図示しないトラニオン軸の斜板の傾斜角度を変更するためのサーボモータ82を設けているので、前記昇降センサ79が上昇を検知し、所定高さ(例:最大上昇)に苗植付部4が上昇したとき、傾斜センサ80が前後方向の所定角度(例:10〜15度)以上の車体の傾斜を検知すると、サーボモータ82を作動させてトラニオン軸の斜板の傾斜角度を小さくして油圧式無段変速装置23の出力を下げ、車速を低下させる制御構成を制御100に備えている。
【0058】
上記制御構成により、苗植付部4を高く上昇させて重心が上がり、機体が前のめりになっていると、自動的に油圧式無段変速装置23の出力が小さくなって減速する構成(もともとトラニオン軸の回転角度が小さい場合は、サーボモータ82が動かない。)としたことにより、機体のバランスが悪い状態では自動的に低速走行とすることができるので、走行姿勢が安定する。
【0059】
図10に整地ロータ27の部分斜視図を示す実施例では、センターロータ27bとサイドロータ27a,27aの間の整地伝動ケース73,73の両側部分を残して、その中央部分では
第2ロータ伝動軸73a,73aを露出させている。こうして整地伝動ケース73,73付近を走行車体2の前方から後方に向けて流れる水流Wが、前記露出した
第2ロータ伝動軸73a,73aの下方を通り、矢印方向に進むことになる。
このため、
第2ロータ伝動軸73a,73aの下方を通る水流Wは機体の中央部後方に向けて流れ、苗を植え付けた隣接条側に流れないので、隣接条に悪影響を及ぼさない。
【0060】
さらに、線引きマーカ22が収納されたときに線引きマーカ22を検知するセンサを設けておき、該センサが、線引きマーカ22が収納されたことを検知すると、苗移植機は枕地植を行っていると判断して、通常の苗植付時の走行速度より遅い走行速度で苗移植機を移動させる。通常、枕地は比較的硬くて耕耘し難く、また表面の凹凸が多い。そこで、枕地では通常の苗植付時の走行速度より遅い走行速度で苗移植機を移動させながらエンジン回転数を上昇させて運転することで枕地での苗植付性能が、走行速度が速い場合より良くなる。
【0061】
圃場の周囲の四辺、いわゆる枕地は土が固くなりやすい傾向にあると共に、植付作業中の旋回でタイヤ跡が残るため、他の場所に比べて凹凸が多い。このため、エンジン回転数を高めると共に低速走行とすることにより、走行トルクが増加するため、凹部にはまり込んだり、凸部を乗り越えられずに植付作業走行が滞ることが防止される。
【0062】
図11には苗ストッパ85と前板86を設けた苗載台(苗タンク)51の平面図を示し、
図12には苗タンク51に設けた苗ストッパ85と前板86の苗タンク側面図を示す。また
図13(a),
図13(b)にはそれぞれ前板86の側面図と平面図を示す。
【0063】
苗タンク51の底部には苗タンク51上の苗床が苗タンク51から不用意に落下しないように苗ストッパ85を着脱自在に取り付ける。この苗ストッパ85の苗タンク51への取り付けは苗タンク51の底部にある前板86と苗床との間に差し込むだけで取り付け可能である。なお、苗タンク51の下部には延長部苗載せ体51cがあり、この延長部苗載せ体51cに苗ストッパ85の下端部を取り付ける。
【0064】
従来の大型機体は、軽トラックの荷台から苗植付部がはみ出さないよう、はみ出し得る苗タンク51を回動させて隣接する苗タンク51の上方に位置させることができる。このとき、苗を載せる面が下側になるので、現行の苗押え体の保持力では苗を保持できないので、延長部に苗を載せられず、圃場に到着してから、あるいは一旦苗を取り外してから苗を延長部の苗タンク51にセットする必要があり、作業能率が低下する問題がある。このため、
図11,
図12に示すように、苗ストッパ85を苗タンク51に装着すると、延長部の苗タンク51に苗を積んだまま田植機の輸送ができるので、作業能率が従来より向上する。