特許第5974512号(P5974512)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5974512情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5974512
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/11 20060101AFI20160809BHJP
   A61B 5/08 20060101ALI20160809BHJP
   G01S 13/50 20060101ALI20160809BHJP
【FI】
   A61B5/10 310A
   A61B5/08ZDM
   G01S13/50
【請求項の数】14
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-19662(P2012-19662)
(22)【出願日】2012年2月1日
(65)【公開番号】特開2013-158344(P2013-158344A)
(43)【公開日】2013年8月19日
【審査請求日】2014年11月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095957
【弁理士】
【氏名又は名称】亀谷 美明
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(72)【発明者】
【氏名】奥谷 大介
【審査官】 野田 洋平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−122732(JP,A)
【文献】 特開2010−243231(JP,A)
【文献】 特開2006−055504(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/06−5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の動きに応じてドップラーセンサにより検出されたドップラー信号を取得するデータ取得部と、
前記ドップラー信号の変化量を算出する変化量算出部と、
前記変化量を示す2次元ベクトルの、時間経過により生じる角度変化を示す角度情報を算出する角度情報算出部と、
前記2次元ベクトルの大きさを示す距離情報を算出する距離情報算出部と、
前記角度情報により示される前記角度変化を、前記距離情報に基づいて補正し、補正された前記角度変化に基づいて前記対象の前記動きに関する情報を検出する検出部と、
を備え
前記検出部は、前記角度情報により示される前記角度変化の方向が変化する変曲点の前に前記距離情報が極小値を示す点が前記変曲点となるように補正することを特徴とする、情報処理装置。
【請求項2】
前記検出部は、補正された前記角度変化を用いて、前記対象と前記ドップラーセンサとの距離の変位量を算出することを特徴とする、請求項に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記検出部は、補正された前記角度変化の周期性により前記対象の前記動きの周期を算出することを特徴とする、請求項に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記対象は生物であり、
前記対象の前記動きに関する前記情報は、生体情報であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
対象の動きに応じてドップラーセンサにより検出されたドップラー信号からフィルタリングにより直流成分を除去した時系列信号を取得するデータ取得部と、
前記時系列信号の変化量を算出する変化量算出部と、
前記変化量を示す2次元ベクトルの、時間経過により生じる角度変化を示す角度情報を算出する角度情報算出部と、
前記2次元ベクトルの大きさを示す距離情報を算出する距離情報算出部と、
前記角度情報により示される前記角度変化を、前記距離情報に基づいて補正し、補正された前記角度変化に基づいて前記対象の前記動きに関する情報を検出する検出部と、
を備え
前記検出部は、前記角度情報により示される前記角度変化の方向が変化する変曲点の前に前記距離情報が極小値を示す点に前記変曲点を補正することを特徴とする、情報処理装置。
【請求項6】
前記検出部は、補正された前記角度変化を用いて、前記対象と前記ドップラーセンサとの距離の変位量を算出することを特徴とする、請求項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記検出部は、補正された前記角度変化の周期性により前記対象の前記動きの周期を算出することを特徴とする、請求項5または6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
対象の動きに応じてドップラーセンサにより検出されたドップラー信号を取得するデータ取得ステップと、
前記ドップラー信号の変化量を算出する変化量算出ステップと、
前記変化量を示す2次元ベクトルの、時間経過により生じる角度変化を示す角度情報を算出する角度情報算出ステップと、
前記2次元ベクトルの大きさを示す距離情報を算出する距離情報算出ステップと、
前記角度情報により示される前記角度変化を、前記距離情報に基づいて補正する補正ステップと、
補正された前記角度変化に基づいて前記対象の前記動きに関する情報を検出する検出ステップと、
を含み、
前記検出ステップは、前記角度情報により示される前記角度変化の方向が変化する変曲点の前に前記距離情報が極小値を示す点に前記変曲点を補正することを特徴とする、情報処理方法。
【請求項9】
前記検出ステップは、補正された前記角度変化を用いて、前記対象と前記ドップラーセンサとの距離の変位量を算出することを特徴とする、請求項に記載の情報処理方法。
【請求項10】
前記検出ステップは、補正された前記角度変化の周期性により前記対象の前記動きの周期を算出することを特徴とする、請求項に記載の情報処理方法
【請求項11】
対象の動きに応じてドップラーセンサにより検出されたドップラー信号からフィルタリングにより直流成分を除去した時系列信号を取得するデータ取得ステップと、
前記時系列信号の変化量を算出する変化量算出ステップと、
前記変化量を示す2次元ベクトルの、時間経過により生じる角度変化を示す角度情報を算出する角度情報算出ステップと、
前記2次元ベクトルの大きさを示す距離情報を算出する距離情報算出ステップと、
前記角度情報により示される前記角度変化を、前記距離情報に基づいて補正し、補正された前記角度変化に基づいて前記対象の前記動きに関する情報を検出する検出ステップと、
を含み、
前記検出ステップは、前記角度情報により示される前記角度変化の方向が変化する変曲点の前に前記距離情報が極小値を示す点に前記変曲点を補正することを特徴とする、情報処理方法。
【請求項12】
前記検出ステップは、補正された前記角度変化を用いて、前記対象と前記ドップラーセンサとの距離の変位量を算出することを特徴とする、請求項11に記載の情報処理方法。
【請求項13】
前記検出ステップは、補正された前記角度変化の周期性により前記対象の前記動きの周期を算出することを特徴とする、請求項11または12に記載の情報処理方法。
【請求項14】
コンピュータを、
対象の動きに応じてドップラーセンサにより検出されたドップラー信号を取得するデータ取得部と、
前記ドップラー信号の変化量を算出する変化量算出部と、
前記変化量を示す2次元ベクトルの、時間経過により生じる角度変化を示す角度情報を算出する角度情報算出部と、
前記2次元ベクトルの大きさを示す距離情報を算出する距離情報算出部と、
前記角度情報により示される前記角度変化を、前記距離情報に基づいて補正し、補正された前記角度変化に基づいて前記対象の前記動きに関する情報を検出する検出部と、
を備え
前記検出部は、前記角度情報により示される前記角度変化の方向が変化する変曲点の前に前記距離情報が極小値を示す点が前記変曲点となるように補正することを特徴とする、情報処理装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関し、特にドップラーセンサにより対象の動きを検出する情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
対象の動きに応じて反射波の周波数がシフトするドップラー効果を利用したドップラーセンサを用いて、対象の動きを検出するための方法が提案されてきている。例えば特許文献1には、人体から反射したドップラー信号が規定の周波数帯の成分を含んでいることを検出することにより、人が動作中又は呼吸していると判断するシステムが開示されている。また特許文献2には、自動車運転中の心拍及び呼吸を取得することを目的として、座席ベルトに配置したドップラーセンサを用いて、反射波に含まれる特徴的なポイントの反復パターンを抽出することにより生体情報を検知するシステムが開示されている。
【0003】
また特許文献3及び特許文献4には、ドップラーセンサの受信信号を極座標変換して得られる、信号の振幅成分及び位相成分を利用して生体情報を検出する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−71825号公報
【特許文献2】特開2010−540016号公報
【特許文献3】特開2006−55504号公報
【特許文献4】特開2010−120493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、いずれの方法であっても未だ検出精度は十分とはいえず、さらなる精度向上の要望があった。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、ドップラーセンサを用いた、対象の動きに関する情報の検出精度を向上することが可能な、新規かつ改良された情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、対象の動きに応じてドップラーセンサにより検出されたドップラー信号を取得するデータ取得部と、上記ドップラー信号の変化量を算出する変化量算出部と、上記変化量を示す2次元ベクトルの、時間経過により生じる角度変化を示す角度情報を算出する角度情報算出部と、上記2次元ベクトルの大きさを示す距離情報を算出する距離情報算出部と、上記角度情報により示される上記角度変化を、上記距離情報に基づいて補正し、補正された上記角度変化に基づいて上記対象の上記動きに関する情報を検出する検出部と、を有することを特徴とする情報処理装置が提供される。
【0007】
また上記検出部は、上記角度情報により示される上記角度変化の方向が変化する変曲点の前に上記距離情報が極小値を示す点に上記変曲点を補正してよい。
【0008】
また上記検出部は、補正された上記角度変化を用いて、上記対象と上記ドップラーセンサとの距離の変位量を算出してよい。
【0009】
また上記検出部は、補正された上記角度変化の周期性により上記対象の上記動きの周期を算出してよい。
【0010】
また上記対象は生物であり、上記対象の上記動きに関する上記情報は、生体情報であることを特徴としてよい。
【0011】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、対象の動きに応じてドップラーセンサにより検出されたドップラー信号からフィルタリングにより直流成分を除去した時系列信号を取得するデータ取得部と、上記時系列信号の変化量を算出する変化量算出部と、上記変化量を示す2次元ベクトルの、時間経過により生じる角度変化を示す角度情報を算出する角度情報算出部と、上記角度情報により示される上記角度変化に基づいて上記対象の上記動きに関する情報を検出する検出部と、を有する、情報処理装置が提供される。
【0012】
また上記2次元ベクトルの大きさを示す距離情報を算出する距離情報算出部をさらに有し、上記検出部は、上記角度変化を、上記距離情報に基づいて補正し、補正された上記角度変化に基づいて上記対象の上記動きに関する情報を検出してもよい。
【0013】
また上記検出部は、上記角度情報により示される上記角度変化の方向が変化する変曲点の前に上記距離情報が極小値を示す点に上記変曲点を補正してよい。
【0014】
また上記検出部は、補正された上記角度変化を用いて、上記対象と上記ドップラーセンサとの距離の変位量を算出してよい。
【0015】
また上記検出部は、補正された上記角度変化の周期性により上記対象の上記動きの周期を算出してよい。
【0016】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、対象の動きに応じてドップラーセンサにより検出されたドップラー信号を取得するデータ取得ステップと、上記ドップラー信号の変化量を算出する変化量算出ステップと、上記変化量を示す2次元ベクトルの、時間経過により生じる角度変化を示す角度情報を算出する角度情報算出ステップと、上記2次元ベクトルの大きさを示す距離情報を算出する距離情報算出ステップと、上記角度情報により示される上記角度変化を、上記距離情報に基づいて補正する補正ステップと、補正された上記角度変化に基づいて上記対象の上記動きに関する情報を検出する検出ステップと、を含むことを特徴とする、情報処理方法が提供される。
【0017】
また上記検出ステップは、上記角度情報により示される上記角度変化の方向が変化する変曲点の前に上記距離情報が極小値を示す点に上記変曲点を補正してもよい。
【0018】
また上記検出ステップは、補正された上記角度変化を用いて、上記対象と上記ドップラーセンサとの距離の変位量を算出してもよい。
【0019】
また上記検出ステップは、補正された上記角度変化の周期性により上記対象の上記動きの周期を算出してもよい。
【0020】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、対象の動きに応じてドップラーセンサにより検出されたドップラー信号からフィルタリングにより直流成分を除去した時系列信号を取得するデータ取得ステップと、上記時系列信号の変化量を算出する変化量算出ステップと、上記変化量を示す2次元ベクトルの、時間経過により生じる角度変化を示す角度情報を算出する角度情報算出ステップと、上記角度情報により示される上記角度変化に基づいて上記対象の上記動きに関する情報を検出する検出ステップと、を含むことを特徴とする、情報処理方法が提供される。
【0021】
また上記2次元ベクトルの大きさを示す距離情報を算出する距離情報算出ステップをさらに含み、上記検出ステップは、上記角度変化を、上記距離情報に基づいて補正し、補正された上記角度変化に基づいて上記対象の上記動きに関する情報を検出してもよい。
【0022】
また上記検出ステップは、上記角度情報により示される上記角度変化の方向が変化する変曲点の前に上記距離情報が極小値を示す点に上記変曲点を補正してもよい。
【0023】
また上記検出ステップは、補正された上記角度変化を用いて、上記対象と上記ドップラーセンサとの距離の変位量を算出してもよい。
【0024】
また上記検出ステップは、補正された上記角度変化の周期性により上記対象の上記動きの周期を算出してもよい。
【0025】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータを、対象の動きに応じてドップラーセンサにより検出されたドップラー信号を取得するデータ取得部と、上記ドップラー信号の変化量を算出する変化量算出部と、上記変化量を示す2次元ベクトルの、時間経過により生じる角度変化を示す角度情報を算出する角度情報算出部と、上記2次元ベクトルの大きさを示す距離情報を算出する距離情報算出部と、上記角度情報により示される上記角度変化を、上記距離情報に基づいて補正し、補正された上記角度変化に基づいて上記対象の上記動きに関する情報を検出する検出部と、を有する情報処理装置として機能させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように本発明によれば、ドップラーセンサによる、対象の動きの検出精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の第1及び第2の実施形態に係る生体情報検出装置の機能構成を示すブロック図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る生体情報検出装置のセンシング部の内部構成の一例を示すブロック図である。
図3】本発明の第1及び第2の実施形態に係る生体情報検出装置の動作例を示すフローチャートである。
図4】本発明の第1の実施形態に係る生体情報検出装置が用いるドップラー信号を二次元平面上に示した図である。
図5】同実施形態に係る生体情報検出装置が用いるパラメータを示す説明図である。
図6】本発明の第2の実施形態に係る生体情報検出装置のセンシング部の内部構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0029】
<1.第1の実施形態>
[構成例]
まず、図1及び図2を参照して、本発明の第1の実施形態に係る生体情報検出装置100aの構成について説明する。図1は、本発明の第1及び第2の実施形態に係る生体情報検出装置の機能構成を示すブロック図である。図2は、本発明の第1の実施形態に係る生体情報検出装置のセンシング部の内部構成の一例を示すブロック図である。
【0030】
なお、以下の説明中において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合もある。例えば、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成を、必要に応じて生体情報検出装置100a、および生体情報検出装置100bのように区別する。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。例えば、生体情報検出装置100a、および生体情報検出装置100bなどを特に区別する必要が無い場合には、単に生体情報検出装置100と称する。
【0031】
生体情報検出装置100は、センシング部101と、データ蓄積部102と、変化量算出部103と、角度情報算出部104と、距離情報算出部105と、生体情報検出部106と、を主に有する。なお、ここで説明する生体情報検出装置100は、ドップラーセンサを用いて対象の動きを検出する検出装置の一例である。なおここで図1に示される生体情報検出装置100の構成については第1の実施形態と第2の実施形態とで共通する。しかし、図2に示されるセンシング部101の内部構成については第1の実施形態と第2の実施形態とで構成が異なる。このため、第1の実施形態と第2の実施形態とで共通しない箇所について述べるときにはセンシング部101aと称する。
【0032】
センシング部101は、ドップラーセンサにより対象の動きを検知する機能を有する。センシング部101は、対象に対して放射した電磁波又は超音波である放射波が対象で反射した反射波を取得し、放射波の周波数と反射波の周波数との差分の周波数を有するドップラー信号を出力することができる。生体情報検出装置100は、このドップラー信号を解析することによって対象の生体情報を検出する。なおここで用いられるドップラーセンサは、音波式のドップラーセンサであってもよく、電波式のドップラーセンサであってもよい。
【0033】
ここで本実施形態に係るセンシング部101aのより詳細な構成について図2を参照しながら説明する。センシング部101aは、局部発振器201と、第1分配器202と、送信アンテナ203と、受信アンテナ204と、第2分配器205と、第1混合器206と、第2混合器207と、第3分配器208と、第1ローパスフィルタ209と、第2ローパスフィルタ210と、第1AD(Analog/Digital)コンバータ211と、第2ADコンバータ212とを主に有する。
【0034】
局部発振器201からの出力信号は、第1分配器202により分配されて片方の出力信号は、送信アンテナ203から対象に向かって出射される。またもう片方の出力信号は、さらに第3分配器208に供給される。第3分配器208は、供給された出力信号をさらに分配して第1混合器206と第2混合器207とにそれぞれ供給する。
【0035】
また受信アンテナ204は、送信アンテナ203から出射した信号が対象に反射した反射信号を受信する。受信した信号は第2分配器205により分配され、片方の信号は位相器により位相が90度遅らされる。反射信号はそれぞれ第1混合器206、ローパスフィルタ209、及びADコンバータ211、或いは、第2混合器207、ローパスフィルタ210、及びADコンバータ212のいずれかを介して、ドップラー信号V(t)及びドップラー信号V(t)となる。なおここで用いられた添字のIとQとは、In−phase:同相、Quadrature:直角位相を示す。このドップラー信号V(t)及びドップラー信号V(t)は、各信号の振幅をA、波長をλ、時刻tにおけるセンサと対象との間の距離をR(t)、初期位相をφ、直流オフセットをO、ノイズ成分をwとすると、下記の数式1で表される。
【0036】
【数1】
【0037】
再び図1を参照すると、データ蓄積部102は、センシング部101から出力するドップラー信号を保持する記憶部である。データ蓄積部102は、データ格納用の装置であり、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置、および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含むことができる。ここで記憶媒体としては、例えばフラッシュメモリ、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)、PRAM(Phase change Random Access Memory)、及びEEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)などの不揮発性メモリや、HDD(Hard Disk Drive)などの磁気記録媒体などが用いられてよい。
【0038】
変化量算出部103は、ドップラー信号の変化量を算出する機能を有する。変化量算出部103は、ドップラー信号に対して前処理を行ったのちに、ドップラー信号の時系列差分Vを算出する。ここで行われる前処理は、センサからの出力信号から所望の情報を適切に抽出することができる状態を保持したまま、処理量を低減するための処理であってよい。例えば、前処理は、サブサンプリング処理及びフィルタリング処理を含む。例えばサブサンプリング処理は、ドップラーセンサを1kHzでサンプリングした場合に、秒間1000サンプルの冗長性を低減するために10サンプル毎の平均値をとることにより100Hzサンプリングに変換する処理を指す。またフィルタリング処理は、波形の周波数成分のうち、所望の情報が含まれる周波数帯域以外の帯域をフィルタリングするよりを指す。例えば生体信号は、数Hz程度の比較的低い周波数に現れる。このため、2Hzのローパスフィルタを適用することにより余分な高周波領域の影響を低減させてもよい。
【0039】
角度情報算出部104は、変化量算出部103により得られた系列を極座標変換し、角度情報θを抽出する。また距離情報算出部105は、変化量算出部103により得られた系列を極座標変換し、距離情報Dを抽出する。
【0040】
生体情報検出部106は、変化量算出部103、角度情報算出部104、及び距離情報算出部105により取得された情報に基づいて、生体情報を検出する機能を有する。ここで検出される生体情報は、例えば対象である被験者の呼吸のペース(周期性)、呼吸の有無、呼吸の切り替わり点(吸う、吐くの切り替わり点)、及び対象との距離の変位の少なくともいずれかであってよい。なお生体情報検出部106は、対象の動きに関する情報を検出する検出部の一例である。ここでは対象は人物であり、生体情報を検出する場合について説明したが、本技術を他の対象に適用することもできる。例えば対象は、人物以外の生物であってもよい。また対象は、生物に限らず、物体であってもよい。
【0041】
なお、生体情報検出部106は、角度情報算出部104により算出された角度情報により示される角度変化を、距離情報算出部105により算出された距離情報に基づいて補正することができる。また生体情報検出部106は、この補正後の角度変化を用いて、生体情報を検出する。より具体的には、生体情報検出部106は、角度情報により示される変曲点より前において距離情報が極小値を示す点を探索する。そして、生体情報検出部106は、探索された極小値を示す点が変曲点となるように角度変化を補正することができる。なおこの変曲点は、呼吸においては息を吸っている状態と息を吐いている状態との切り替り時点を示す。
【0042】
以上、本実施形態に係る生体情報検出装置100の機能の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材や回路を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。また、各構成要素の機能を、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置がこれらの機能を実現する処理手順を記述した制御プログラムを記憶したROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの記憶媒体から制御プログラムを読出し、そのプログラムを解釈して実行することにより行ってもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用する構成を変更することが可能である。
【0043】
なお、上述のような本実施形態に係る生体情報検出装置100の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、パーソナルコンピュータ等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
【0044】
なお上述の生体情報検出装置100は、呼吸における息を吸う、吐くの切り替わりを精度よく検出することができる。すなわち生体情報検出装置100は、対象の動きの方向が切り替わる時点を精度よく検出することができる検出装置の一例である。具体的には、生体情報検出装置100は、ドップラーセンサの受信信号の極座標変換によって得られる位相情報に加えて、受信信号の変化量に含まれる速度成分の変化を抽出することで、生体情報の距離変化の向きが変化する時点を正確に検出することができる。このような効果をもたらすための上記各構成要素の機能の詳細について、以下の動作説明中において説明する。
【0045】
[動作例]
次に図3図5を参照しながら、本発明の一実施形態に係る生体情報検出装置100の動作例について説明する。図3は、本発明の第1及び第2の実施形態に係る生体情報検出装置の動作例を示すフローチャートである。図4は、本発明の第1の実施形態に係る生体情報検出装置が用いるドップラー信号を二次元平面上に示した図である。図5は、同実施形態に係る生体情報検出装置が用いるパラメータを示す説明図である。
【0046】
まずセンシング部101によりセンシングが行われる(S101)。センシング部101は、対象の動きを検知する。具体的には、センシング部101は、送信アンテナ203から対象に向かって信号を放射し、対象により反射された反射信号を受信アンテナ204により受信する。そして位相が90度異なるドップラー信号V(t)及びドップラー信号V(t)が出力される。データ蓄積部102にこのドップラー信号V(t)及びドップラー信号V(t)は記憶される。
【0047】
次に、ドップラー信号V(t)及びドップラー信号V(t)に対する前処理が行われる(S102)。この前処理は、続く処理において出力信号から生体情報を適切に抽出することができる状態を保持したまま処理量を低減するために行われる。例えば前処理は、サブサンプリング処理、又はフィルタリング処理が含まれてよい。例えば1kHzでサンプリングされた場合には、秒間1000サンプルが取得される。しかしここで10サンプルごとの平均値をとることにより、100Hzサンプリングに変換して冗長さを低減することができる。また波形の周波数成分のうち、フィルタリング処理により所望の信号が含まれる帯域が抽出されてもよい。例えば生体信号は、数Hz程度の比較的低い周波数に現れる。そこで例えば2Hzのローパスフィルタを適用することにより余分な高周波領域の影響を低減させることができる。
【0048】
次に変化量算出が行われる(S103)。変化量算出部103は、ドップラー信号V(t)及びドップラー信号V(t)それぞれにおける時系列差分を算出する。信号の位相変化は、センサと対象との距離変化Rに比例する(数式3参照)。
【0049】
【数2】
【0050】
ここで図4を参照すると、ドップラー信号V及びドップラー信号Vを2次元平面上にプロットしたグラフが示される。このように、信号の位相変化は、直流オフセットを中心とした円の回転で表される。ここでVは、2次元平面において、回転の中心Oと時点kにおける信号の成分(V(k),V(k))からなるベクトルを示す。対象がセンサに接近するときのプロットの軌跡、すなわちVの軌跡は、反時計回りを描く。また対象がセンサから離反するときのVの軌跡は、時計回りを描く。
【0051】
ここで図5を参照する。信号ベクトルVの変化量のなす角、すなわちDとDk+Δtのなす角θは、信号の位相変化の大きさを表す。またDの大きさは、位相変化の速さに依存する。
【0052】
【数3】
【0053】
再び図3を参照すると、変化量を算出した後、回転角を算出する(S104)。ここでは、ベクトルDとDk+Δtのなす角θの回転角及び回転方向を算出する。2つのベクトルのなす角と回転方向とは、以下の数式5に示されるように、ベクトルの内積及び外積を用いて取得される。
【0054】
【数4】
【0055】
θは、−π<θ≦πの範囲の値をとり、正の値の場合は図4の反時計回りの状態に対応し、負の値の場合は図4の時計回りの状態に対応する。次に、ステップS104において算出された回転角θに基づいて変曲点が抽出される。具体的には、θの正負の符号が反転する点が変曲点として記憶される。
【0056】
また一方、距離算出処理が行われる(S106)。距離算出処理においては、信号ベクトルDの大きさ|D|を算出する。この距離|D|は、続く変曲点修正処理(S107)において、ステップS105の変曲点抽出処理により抽出された変曲点を補正するために利用される。
【0057】
ドップラーセンサと対面した人間である対象が、呼吸によって胸部が前後に変動するときを考える。息を吸って胸部が膨らんだときには、センサと対象との距離が接近するためθは正の値となる。続いて息を吐くときには胸部の変位が息を吸うときとは逆となり距離|D|が減少して極小値をとった後、θが負の値となり|D|は増加に転じる。
【0058】
従って、ステップS107の変曲点修正処理においては、ステップS105においてθの符号が反転する点に基づいて抽出された変曲点を基に、この変曲点以前で|D|が極小値をとる点を探索し、この点を変曲点とする。この処理は、ドップラーセンサ受信信号の位相変化の大きさに基づいて抽出した変曲点を、位相変化の速さに基づいて補正する処理ともいえる。
【0059】
なおここでθの正負の符号が反転する点をそのまま変曲点として用いた場合には、符号が反転する付近でドップラーセンサからの出力にノイズが混入した場合に変曲点の精度が低下する。これに対して本実施形態に係る生体情報検出装置100によれば、ドップラーセンサ受信信号の位相変化の速さに応じた距離|D|の情報を用いるため、変曲点の精度を向上させることができる。また|D|の極小値をそのまま変曲点とした場合には、変位の向きが変化するために速度が減少した場合、すなわち呼吸において息を吸っている状態から吐く状態に変わるときと、同一方向に変位しているが単純に速度が減少した場合、すなわち呼吸において息を吸っている状態から一旦息を止めて再び吸い始めるときと、を区別することができない。これに対して生体情報検出装置100によれば、θの正負の符号が反転する点の近傍で|D|が極小値をとる点に修正されるため、同一方向に変位しているが単純に速度が減少した場合の極小値を誤って変曲点とする可能性を低減し、変曲点の精度を向上させることができる。
【0060】
上記のように、精度の高い変曲点が求められると、この変曲点に基づいた生体情報が算出される(S108)。例えばここで求められる生体情報としては呼吸による胸の変位量、及び呼吸の周期などが挙げられる。
【0061】
上記の数式3に示されたように、対象の距離変化は、信号の位相変化に比例する。そこで連続する2つの変曲点間におけるθの総和を用いてセンサと対象との間の距離変化Rを算出することができる(数式6)。ここで添字lは、吸う状態又は吐く状態が連続する区間、すなわちステップS107で得られたある変曲点から次の変曲点までの区間を表す。人の呼吸においてRは、一回の呼吸(吸う、または吐く)の胸の変位に対応する。
【0062】
【数5】
【0063】
なお、呼吸の周期は、変化量ベクトルの角度変化θを、ある程度の期間(例えば数十秒〜数分)連続して取得し、その周波数成分を分析することによって得られる。例えばθの系列をフーリエ変換して得られたスペクトル強度が最大値をとるときの周波数が、呼吸の周波数に相当する。ドップラーセンサの出力信号に呼吸以外の成分が混入している場合には、呼吸の周期が分間12〜20回であることを利用して、これに対応する周波数の区間0.20〜0.33Hzの最大スペクトル強度を取得してもよい。
【0064】
[まとめ]
以上説明したように、本実施形態に係る生体情報検出装置100aによれば、ドップラーセンサを用いることにより生体情報を非接触で取得することができる。またドップラー信号の位相の変化量に加えて位相の変化速度の情報が用いられるため、対象とドップラーセンサとの間の距離変化の向きが変わるタイミングをより正確に捕捉することができるようになる。例えばこの距離変化の向きが変わるタイミングとは、呼吸においては息を吸っている状態と吐いている状態との切り替りのタイミングに相当する。この切り替りのタイミングを正確に捕捉することにより、呼吸を「吸う」「吐く」それぞれの1回分の切出しを行うことができるようになる。これにより、より詳細な呼吸の状態を分析することが可能となる。例えば呼吸の状態とは、呼吸の程度(呼吸の深さ)、呼吸の程度の個人差、より短期間の呼吸のペース、呼吸の荒さの変化などが挙げられる。呼吸1回分の胸の変位量を捉えることができるため、このような呼吸の状態を詳細に分析することができる。
【0065】
なお、上記第1の実施形態においては、対象は人物であり、対象の生体情報、具体的には呼吸を検出する生体情報検出装置100について説明したが、本発明の技術的範囲はかかる例に限定されない。例えばここで開示された技術は、周期性をもつ生体情報、例えば心拍、寒さ又は加齢などによる身体の震え、運動時の筋肉の微細振動などにも適用されてよい。また対象は生物に限らず、物体などであってもよい。例えば対象は建造物や地面などであってもよく、地震による対象の振動を検出する検出装置に本発明の技術を適用してもよい。
【0066】
なお、人物の生体情報を検出するために本技術を適用した場合には、例えば生体情報検出装置を用いた見守りサービスを提供することができる。見守りサービスとは、例えば無人で人物の状態を見守り、異常な状態が検出された場合には通知を行うサービスである。例えば見守りサービスは、一人暮らしの老人宅、または病院における利用が想定される。
【0067】
<2.第2の実施形態>
[構成]
次に、本発明の第2の実施形態について図6を参照しながら説明する。図6は、本発明の第2の実施形態に係る生体情報検出装置のセンシング部の内部構成の一例を示すブロック図である。
【0068】
本発明の第2の実施形態に係る生体情報検出装置100bは、第1の実施形態に係る生体情報検出装置100aとセンシング部101の内部構成が異なる。生体情報検出装置100bの機能構成は、図1に示した生体情報検出装置100の機能構成と同様であるためここでは説明を省略し、以下差異点について主に説明する。
【0069】
センシング部101bは、局部発振器301と、第1分配器302と、送信アンテナ303と、受信アンテナ304と、第2分配器305と、第1混合器306と、第2混合器307と、第3分配器308と、第1ローパスフィルタ309と、第2ローパスフィルタ310と、第1ADコンバータ311と、第2ADコンバータ312と、第1ハイパスフィルタ313と、第2ハイパスフィルタ314と、を主に有する。
【0070】
ここで、局部発振器301、第1分配器302、送信アンテナ303、受信アンテナ304、第2分配器305、第1混合器306、第2混合器307、第3分配器308、第1ローパスフィルタ309、第2ローパスフィルタ310、第1ADコンバータ311、及び第2ADコンバータ312は、センシング部101aにおける局部発振器201、第1分配器202、送信アンテナ203、受信アンテナ204、第2分配器205、第1混合器206、第2混合器207、第3分配器208、第1ローパスフィルタ209、第2ローパスフィルタ210、第1ADコンバータ211、及び第2ADコンバータ212と、それぞれ同様であるためここでは説明を省略する。
【0071】
つまり第1の実施形態に係るセンシング部101aと第2の実施形態に係るセンシング部101bとの差異点は、第1ローパスフィルタ309と第1ADコンバータ311との間に第1ハイパスフィルタ313を有し、第2ローパスフィルタ30と第2ADコンバータ312との間に第2ハイパスフィルタ314を有する点である。
【0072】
この第1ハイパスフィルタ313及び第2ハイパスフィルタ314は、入力された信号の直流成分を除去する。これにより生体情報検出装置100bは、さらに正確に生体情報を検出することができる。
【0073】
[動作例]
次に、同実施形態に係る生体情報検出装置100bの動作例について説明する。なお、ここで説明する動作の流れについては図3に示した流れと同様であり、処理の内容が一部異なる。このため、ここでは図3を参照しながら第1の実施形態と異なる差異点について主に説明する。
【0074】
ステップS101のセンシング処理においては、センシング部101bにより得られた、位相の異なる2つの出力信号V’(t)及びV’(t)は、ハイパスフィルタの効果により以下の数式7で示される。
【0075】
【数6】
【0076】
なおここでV(t)及びV(t)はハイパスフィルタを適用しないで得られた2波であり、数式(1)及び数式(2)で表される。またfcはカットオフ周波数、trは時間分解能を表す。
【0077】
得られた出力信号V’(t)及びV’(t)について、I成分を横軸、Q成分を縦軸とする2次元平面において回転の中心Oと時点kにおける信号の成分(V’(t),V’(t))からなるベクトルV’を考える。ハイパスフィルタの効果により、第1の実施形態とは異なり第2の実施形態においては軌跡が円を描くとは限らない。カットオフ周波数と動作の継続時間によるが、例えば八の字の軌跡を描く。しかし、ベクトルV’の変化量D’(数式8)の大きさ|D’|は、位相変化の速さに依存する。またD’とD’k+Δtのなす角θ’(数式9)は、位相変化の大きさを表す。従って本実施形態においても第1の実施形態の場合と同様にθ’及び|D’|は、位相変化方向の切り替りを検出するために用いることができる。
【0078】
検出方法については、ここでは詳細な説明を省略するが、θ’のみを利用して位相変化のタイミングを検出してもよいし、θ’及び|D’|を組み合わせて用いてもよい。θ’及び|D’|を組み合わせて用いる場合の検出方法については第1の実施形態と同様である。
【0079】
【数7】
【0080】
[まとめ]
以上説明したように、本実施形態に係る生体情報検出装置100bによれば、ハイパスフィルタを用いることによって直流成分除去が行われるため、生体情報のみを検出することができるようになる。これにより、生体情報の検出精度を向上させることができる。また、ハイパスフィルタを適用した上で位相変化の速度の情報を用いることによって、第1の実施形態と同様に対象とドップラーセンサとの間の距離変化の向きが切り替わるタイミングをより正確に検出することができる。
【0081】
なお、第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に人物以外の対象に対して本技術を適用することができる。また同様に、生体情報以外の対象の動きに関する情報を検出することに本技術を適用してもよい。
【0082】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0083】
例えば、上記実施形態では、ドップラーセンサと、このドップラーセンサにより取得された信号を処理する機能とを有する生体情報検出装置について説明されたが、本発明はかかる例に限定されない。例えばドップラーセンサは、生体情報検出装置と別体のハードウェアであってもよい。すなわちセンシング部101はドップラーセンサからの出力信号を取得するデータ取得部の一例であり、データ取得部は生体情報検出装置の外部からデータを取得してもよい。
【0084】
尚、本明細書において、フローチャートに記述されたステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的に又は個別的に実行される処理をも含む。また時系列的に処理されるステップでも、場合によっては適宜順序を変更することが可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0085】
100 生体情報検出装置(情報処理装置)
101 センシング部(データ取得部)
102 データ蓄積部
103 変化量算出部
104 角度情報算出部
105 距離情報算出部
106 生体情報検出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6