【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明において、撥水性保護膜とは、ウェハ表面に形成されることにより、該ウェハ表面の濡れ性を低くする膜、すなわち撥水性を付与する膜のことである。本発明において撥水性とは、物品表面の表面エネルギーを低減させて、水やその他の液体と該物品表面との間(界面)で相互作用、例えば、水素結合、分子間力などを低減させる意味である。特に水に対して相互作用を低減させる効果が大きいが、水と水以外の液体の混合液や、水以外の液体に対しても相互作用を低減させる効果を有する。該相互作用の低減により、物品表面に対する液体の接触角を大きくすることができる。
【0008】
本発明の薬液を用いてウェハの処理を行うと、洗浄液等の液体がウェハの凹凸パターンの凹部から除去されるとき、すなわち、乾燥されるとき、少なくとも凹部表面に前記保護膜が形成されているので、該凹部に働く毛細管力が小さくなり、パターン倒れが生じにくくなる。
【0009】
本発明は、表面に凹凸パターンを有し該凹凸パターンの少なくとも凹部表面に酸化ケイ素を含むウェハの洗浄工程の後、乾燥工程の前において、前記ウェハの少なくとも凹部表面に撥水性保護膜を形成するための撥水性保護膜形成用薬液であり、前記薬液はケイ素化合物と非水溶媒とが含まれる薬液であって、前記ケイ素化合物が下記一般式[1]で表され、前記非水溶媒が、ラクトン系溶媒及びカーボネート系溶媒から選ばれる少なくとも1種の溶媒(I)と、該溶媒(I)以外のケイ素化合物を可溶な溶媒(II)が質量比で40:60〜97:3で構成されることを特徴とする、撥水性保護膜形成用薬液である。
R
1aSiX
4−a [1]
[式[1]中、R
1は、それぞれ互いに独立して、水素基、一部又は全ての水素元素がハロゲン元素に置き換えられていても良い炭素数が1〜18の1価の炭化水素基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基であり、ケイ素元素と結合する全ての前記炭化水素基に含まれる炭素数の合計は6以上である。また、Xは、それぞれ互いに独立して、ケイ素元素と結合する元素が窒素である1価の官能基、ケイ素元素と結合する元素が酸素である1価の官能基、ハロゲン基、ニトリル基、および、−CO−NH−Si(CH
3)
3からなる群から選ばれる少なくとも1つの基であり、aは1〜3の整数である。]
【0010】
ケイ素化合物は、凹凸パターンやウェハ表面のシラノール基と化学的に反応することが可能であり、その結果、前記ケイ素化合物のケイ素元素は、凹凸パターンやウェハ表面のケイ素元素とシロキサン結合を介して化学的に結合し、撥水性保護膜を形成し、前記表面に撥水性を発現することができる。前記一般式[1]のR
1で表される炭化水素基は疎水性基であり、該疎水性基が大きなもの、すなわちケイ素元素と結合する全ての前記炭化水素基に含まれる炭素数の合計が6以上のもの(言い換えると、R
1aで表される、a個のR
1基において含まれる合計炭素数が6以上のもの)で保護膜を形成すると、ウェハ表面により優れた撥水性を付与することができる。
【0011】
前記薬液に含まれる溶媒は非水溶媒である。前記薬液に含まれる溶媒が水であると、水により薬液中のケイ素化合物の反応性部位(前記一般式[1]のX)が加水分解してシラノール基(Si−OH)が生成し、該反応性部位は、このシラノール基とも反応するために、ケイ素化合物同士が結合して2量体が生成する。この2量体は、凹凸パターン表面やウェハ表面のシラノール基との反応性が低いため、凹凸パターン表面やウェハ表面に十分に撥水性を付与することができない、あるいは、撥水性を付与するのに要する時間が長くなる問題がある。そのため、前記薬液の原料や、後述する薬液を得るための薬液キットの原料は、水の含有量が少ないものが好ましい。
【0012】
前記薬液に含まれる非水溶媒は、ラクトン系溶媒及びカーボネート系溶媒から選ばれる少なくとも1種の溶媒(I)と、該溶媒(I)以外のケイ素化合物を可溶な溶媒(II)が質量比で40:60〜97:3で構成されるものである。溶媒(I)を用いる理由は、上述したケイ素化合物とシラノール基とのシランカップリン
グ反応において、該シランカップリング反応を促進する傾向があるためである。前記反応促進効果は、溶媒(I)を用いた場合、ウェハ表面の反応点であるシラノール基が溶媒和しないため、より反応活性になるために起こると考えられる。
【0013】
しかし、溶媒(I)は疎水性基の大きなケイ素化合物を溶解させにくい。そこで、本発明者らは、かかる課題に鑑み、鋭意研究した結果、溶媒(I)に溶媒(II)を加えることで、ケイ素化合物の溶解性を改善しつつ、より優れた反応促進効果が得られ、またケイ素化合物濃度が低くても優れた撥水性付与効果を得られることを見出し、本発明に至った。溶媒(I)と溶媒(II)は、質量比で40:60〜97:3で構成される。前記薬液に含まれる非水溶媒100質量%中の溶媒(I)の含有率が40質量%未満であると、溶媒(I)を用いることによる反応促進効果のメリットが得にくく、一方、前記の溶媒(I)の含有率が97質量%超であると、疎水性基の大きなケイ素化合物を溶解させにくく、ケイ素化合物の溶け残りが存在する場合がある。溶媒(I)と溶媒(II)の比率は、より好ましくは質量比で70:30〜95:5である。前記薬液に含まれる非水溶媒100質量%中の溶媒(I)の含有率が70質量%以上であると、特にケイ素化合物の濃度が低くても、前記の反応促進効果によって優れた撥水性付与効果が得られるため好ましい。また、前記の溶媒(I)の含有率が95質量%以下であると、ケイ素化合物を溶解させ易く、溶け残りが存在しないため好ましい。
【0014】
このような溶媒(I)として、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、γ-ヘキサノラクトン、γ-ヘプタノラクトン、γ-オクタノラクトン、γ-ノナノラクトン、γ-デカノラクトン、γ-ウンデカノラクトン、γ-ドデカノラクトン、δ-バレロラクトン、δ-ヘキサノラクトン、δ-オクタノラクトン、δ-ノナノラクトン、δ-デカノラクトン、δ-ウンデカノラクトン、δ-ドデカノラクトン、ε-ヘキサノラクトン等のラクトン系溶媒や、プロピレンカーボネートなどのカーボネート系溶媒が挙げられる。この中でも、極性が高く、前記の反応促進効果に優れる、ラクトン系溶媒がより好ましい。
【0015】
また、前記ケイ素化合物は、プロトン性溶媒と反応しやすく、その結果、ケイ素化合物の反応性が低下しやすいため、前記非水溶媒として用いられる、前記溶媒(I)、及び溶媒(II)は、いずれも非プロトン性溶媒であることが好ましい。
【0016】
前記の溶媒(II)としては、炭化水素類、エステル類、エーテル類、ケトン類、含ハロゲン溶媒、スルホキシド系溶媒、水酸基を持たない多価アルコールの誘導体、N−H結合を持たない窒素元素含有溶媒が挙げられる。前記炭化水素類の例としては、トルエン、ベンゼン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどがあり、前記エステル類の例としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸エチルヘキシル、アセト酢酸エチ
ルなどがあり、前記エーテル類の例としては、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどがあり、前記ケトン類の例としては、アセトン、アセチルアセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトンなどがあり、前記含ハロゲン溶媒の例としては、パーフルオロオクタン、パーフルオロノナン、パーフルオロシクロペンタン、パーフルオロシクロヘキサン、ヘキサフルオロベンゼンなどのパーフルオロカーボン、1、1、1、3、3−ペンタフルオロブタン、オクタフルオロシクロペンタン、2,3−ジハイドロデカフルオロペンタン、ゼオローラH(日本ゼオン株式会社製)などのハイドロフルオロカーボン、メチルパーフルオロイソブチルエーテル、メチルパーフルオロブチルエーテル、エチルパーフルオロブチルエーテル、エチルパーフルオロイソブチルエーテル、アサヒクリンAE−3000(旭硝子株式会社製)、Novec HFE−7100、Novec HFE−7200、Novec7300、Novec7600(いずれもスリーエム社製)などのハイドロフルオロエーテル、テトラクロロメタンなどのクロロカーボン、クロロホルムなどのハイドロクロロカーボン、ジクロロジフルオロメタンなどのクロロフルオロカーボン、1,1−ジクロロ−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンなどのハイドロクロロフルオロカーボン、パーフルオロエーテル、パーフルオロポリエーテルなどがあり、前記スルホキシド系溶媒の例としては、ジメチルスルホキシドなどがあり、前記水酸基を持たない多価アルコール誘導体の例としては、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテルなどがあり、N−H結合を持たない窒素元素含有溶媒の例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、トリエチルアミン、ピリジンなどがある。
【0017】
前記一般式[1]のXは、ウェハの反応サイトであるシラノール基に対して反応性を有する反応性部位であり、該反応性部位とウェハのシラノール基とが反応し、ケイ素化合物がシロキサン結合を介してウェハのケイ素元素と化学的に結合することによって前記保護膜が形成される。洗浄液を用いたウェハの洗浄に際して、ウェハの凹部から洗浄液が除去されるとき、すなわち、乾燥されるとき、前記凹部表面に前記保護膜が形成されていると、該凹部に働く毛細管力が小さくなり、パターン倒れが生じにくくなる。
【0018】
前記一般式[1]のXの一例であるケイ素元素に結合する元素が窒素の1価の官能基には、水素、炭素、ホウ素、窒素、リン、酸素、硫黄、ケイ素、ゲルマニウム、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などの元素が含まれていても良い。該官能基の例としては、イソシアネート基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、イソチオシアネート基、アジド基、アセトアミド基、−NHSi(CH
3)
3基、−NHSi(CH
3)
2C
4H
9基、−NHSi(CH
3)
2C
8H
17基、−N(CH
3)C(O)CH
3、−N(CH
3)C(O)CF
3、−N=C(CH
3)OSi(CH
3)
3、−N=C(CF
3)OSi(CH
3)
3、−NHC(O)−OSi(CH
3)
3、−NHC(O)−NH−Si(CH
3)
3、イミダゾール環(下式[4])、オキサゾリジノン環(下式[5])、モルホリン環(下式[6])、−NH−C(O)−Si(CH
3)
3、−N(H)
2−b(Si(H)
cR
43−c)
b(R
4は、一部又は全ての水素元素がフッ素元素に置き換えられていても良い炭素数が1〜18の1価の炭化水素基、bは1又は2、cは0〜2の整数)などがある。
【0019】
また、前記一般式[1]のXの一例であるケイ素元素に結合する元素が酸素の1価の官能基には、水素、炭素、ホウ素、窒素、リン、酸素、硫黄、ケイ素、ゲルマニウム、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などの元素が含まれていても良い。該官能基の例としては、アルコキシ基、−OC(CH
3)=CHCOCH
3、−OC(CH
3)=N−Si(CH
3)
3、−OC(CF
3)=N−Si(CH
3)
3、−O−CO−R
5(R
5は、一部又は全ての水素元素がフッ素元素等で置換されていても良い炭素数が1乃至18の1価の炭化水素基)、一部又は全ての水素元素がフッ素元素等で置換されていても良いアルキルスルホネート基などがある。
【0020】
また、前記一般式[1]のXの一例であるハロゲン基には、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基などがある。中でもクロロ基がより好ましい。
【0021】
前記一般式[1]で表されるケイ素化合物としては、例えば、C
4H
9(CH
3)
2SiCl、C
5H
11(CH
3)
2SiCl、C
6H
13(CH
3)
2SiCl、C
7H
15(CH
3)
2SiCl、C
8H
17(CH
3)
2SiCl、C
9H
19(CH
3)
2SiCl、C
10H
21(CH
3)
2SiCl、C
11H
23(CH
3)
2SiCl、C
12H
25(CH
3)
2SiCl、C
13H
27(CH
3)
2SiCl、C
14H
29(CH
3)
2SiCl、C
15H
31(CH
3)
2SiCl、C
16H
33(CH
3)
2SiCl、C
17H
35(CH
3)
2SiCl、C
18H
37(CH
3)
2SiCl、C
5H
11(CH
3)HSiCl、C
6H
13(CH
3)HSiCl、C
7H
15(CH
3)HSiCl、C
8H
17(CH
3)HSiCl、C
9H
19(CH
3)HSiCl、C
10H
21(CH
3)HSiCl、C
11H
23(CH
3)HSiCl、C
12H
25(CH
3)HSiCl、C
13H
27(CH
3)HSiCl、C
14H
29(CH
3)HSiCl、C
15H
31(CH
3)HSiCl、C
16H
33(CH
3)HSiCl、C
17H
35(CH
3)HSiCl、C
18H
37(CH
3)HSiCl、C
2F
5C
2H
4(CH
3)
2SiCl、C
3F
7C
2H
4(CH
3)
2SiCl、C
4F
9C
2H
4(CH
3)
2SiCl、C
5F
11C
2H
4(CH
3)
2SiCl、C
6F
13C
2H
4(CH
3)
2SiCl、C
7F
15C
2H
4(CH
3)
2SiCl、C
8F
17C
2H
4(CH
3)
2SiCl、(C
2H
5)
3SiCl、C
3H
7(C
2H
5)
2SiCl、C
4H
9(C
2H
5)
2SiCl、C
5H
11(C
2H
5)
2SiCl、C
6H
13(C
2H
5)
2SiCl、C
7H
15(C
2H
5)
2SiCl、C
8H
17(C
2H
5)
2SiCl、C
9H
19(C
2H
5)
2SiCl、C
10H
21(C
2H
5)
2SiCl、C
11H
23(C
2H
5)
2SiCl、C
12H
25(C
2H
5)
2SiCl、C
13H
27(C
2H
5)
2SiCl、C
14H
29(C
2H
5)
2SiCl、C
15H
31(C
2H
5)
2SiCl、C
16H
33(C
2H
5)
2SiCl、C
17H
35(C
2H
5)
2SiCl、C
18H
37(C
2H
5)
2SiCl、(C
4H
9)
3SiCl、C
5H
11(C
4H
9)
2SiCl、C
6H
13(C
4H
9)
2SiCl、C
7H
15(C
4H
9)
2SiCl、C
8H
17(C
4H
9)
2SiCl、C
9H
19(C
4H
9)
2SiCl、C
10H
21(C
4H
9)
2SiCl、C
11H
23(C
4H
9)
2SiCl、C
12H
25(C
4H
9)
2SiCl、C
13H
27(C
4H
9)
2SiCl、C
14H
29(C
4H
9)
2SiCl、C
15H
31(C
4H
9)
2SiCl、C
16H
33(C
4H
9)
2SiCl、C
17H
35(C
4H
9)
2SiCl、C
18H
37(C
4H
9)
2SiCl、CF
3C
2H
4(C
4H
9)
2SiCl、C
2F
5C
2H
4(C
4H
9)
2SiCl、C
3F
7C
2H
4(C
4H
9)
2SiCl、C
4F
9C
2H
4(C
4H
9)
2SiCl、C
5F
11C
2H
4(C
4H
9)
2SiCl、C
6F
13C
2H
4(C
4H
9)
2SiCl、C
7F
15C
2H
4(C
4H
9)
2SiCl、C
8F
17C
2H
4(C
4H
9)
2SiCl、C
5H
11(CH
3)SiCl
2、C
6H
13(CH
3)SiCl
2、C
7H
15(CH
3)SiCl
2、C
8H
17(CH
3)SiCl
2、C
9H
19(CH
3)SiCl
2、C
10H
21(CH
3)SiCl
2、C
11H
23(CH
3)SiCl
2、C
12H
25(CH
3)SiCl
2、C
13H
27(CH
3)SiCl
2、C
14H
29(CH
3)SiCl
2、C
15H
31(CH
3)SiCl
2、C
16H
33(CH
3)SiCl
2、C
17H
35(CH
3)SiCl
2、C
18H
37(CH
3)SiCl
2、C
3F
7C
2H
4(CH
3)SiCl
2、C
4F
9C
2H
4(CH
3)SiCl
2、C
5F
11C
2H
4(CH
3)SiCl
2、C
6F
13C
2H
4(CH
3)SiCl
2、C
7F
15C
2H
4(CH
3)SiCl
2、C
8F
17C
2H
4(CH
3)SiCl
2、C
6H
13SiCl
3、C
7H
15SiCl
3、C
8H
17SiCl
3、C
9H
19SiCl
3、C
10H
21SiCl
3、C
11H
23SiCl
3、C
12H
25SiCl
3、C
13H
27SiCl
3、C
14H
29SiCl
3、C
15H
31SiCl
3、C
16H
33SiCl
3、C
17H
35SiCl
3、C
18H
37SiCl
3、C
4F
9C
2H
4SiCl
3、C
5F
11C
2H
4SiCl
3、C
6F
13C
2H
4SiCl
3、C
7F
15C
2H
4SiCl
3、C
8F
17C
2H
4SiCl
3などのクロロシラン化合物、あるいは、前記クロロシラン化合物のクロロ基を、メトキシ基やエトキシ基などの炭素数が1〜18のアルコキシ基や、−OC(CH
3)=CHCOCH
3、−OC(CH
3)=N−Si(CH
3)
3、−OC(CF
3)=N−Si(CH
3)
3、−O−CO−R
5(R
5は、一部又は全ての水素元素がフッ素元素等で置換されていても良い炭素数が1乃至18の1価の炭化水素基)、一部又は全ての水素元素がフッ素元素等で置換されていても良いアルキルスルホネート基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、アジド基、アセトアミド基、−NHSi(CH
3)
3基、−NHSi(CH
3)
2C
4H
9
基、−NHSi(CH
3)
2C
8H
17基、−N(CH
3)C(O)CH
3、−N(CH
3)C(O)CF
3、−N=C(CH
3)OSi(CH
3)
3、−N=C(CF
3)OSi(CH
3)
3、−NHC(O)−OSi(CH
3)
3、−NHC(O)−NH−Si(CH
3)
3、イミダゾール環、オキサゾリジノン環、モルホリン環、−NH−C(O)−Si(CH
3)
3、−N(H)
2−b(Si(H)
cR
43−c)
b(R
4は一部又は全ての水素元素がフッ素元素に置き換えられていても良い炭素数が1〜18の1価の炭化水素基、bは1又は2、cは0〜2の整数)、フルオロ基、ブロモ基、ヨード基、ニトリル基、または、−CO−NH−Si(CH
3)
3に置き換えた化合物などが挙げられる。
【0022】
上記のケイ素化合物のうち、前記一般式[1]のR
1で表される炭化水素基の水素元素がハロゲン元素で置換される場合、撥水性能を考慮すると置換するハロゲン元素としてはフッ素元素であることが好ましい。
【0023】
また、前記撥水性保護膜形成用薬液は、前記一般式[1]で表されるケイ素化合物を2種以上含有するものであっても良い。
【0024】
また、前記撥水性保護膜形成用薬液は、10℃乃至160℃の温度で保持された状態のものであると、前記ケイ素化合物が薬液中に溶解された状態になりやすく、より均一な薬液になりやすいため好ましく、該温度は、特には50〜120℃が好ましい。なお、後述する保護膜形成工程においても、該薬液が、10℃乃至160℃の温度で保持された状態のものであると、より短時間で前記保護膜を形成しやすいため好ましく、該温度は、特には50〜120℃が好ましい。
【0025】
前記一般式[1]において4−aで表されるケイ素化合物のXの数が1であると(すなわちa=3であると)、前記保護膜を均質に形成できるのでより好ましい。また、一般式[1]で表されるケイ素化合物のうち、R
1が、炭素数が4〜18の、一部又は全ての水素元素がハロゲン元素に置換されていても良い炭化水素基1個と、メチル基2個からなるもの(つまり、下記一般式[2]で表される化合物)は、凹凸パターン表面やウェハ表面のシラノール基との反応性がより高いので好ましい。これは、疎水性基による立体障害が、凹凸パターン表面やウェハ表面のシラノール基に対するケイ素化合物の反応性に大きな影響を与えるためであり、ケイ素元素に結合する炭化水素基は最も長い一つを除く残り二つは短い方が好ましいからである。
R
2(CH
3)
2SiX [2]
[式[2]中、R
2は一部又は全ての水素元素がハロゲン元素に置き換えられていても良い炭素数が4〜18の1価の炭化水素基であり、Xはケイ素元素と結合する元素が窒素である1価の官能基、ケイ素元素と結合する元素が酸素である1価の官能基、ハロゲン基、ニトリル基、および、−CO−NH−Si(CH
3)
3からなる群から選ばれる少なくとも1つの基である。]
【0026】
また、ウェハ表面のシラノール基に対するケイ素化合物の反応性を考慮すると、前記ケイ素化合物は下記一般式[3]で表されるケイ素化合物であることがより好ましい。
R
2(CH
3)
2Si−N(R
3)
2 [3]
[式[3]中、R
2は一部又は全ての水素元素がハロゲン元素に置き換えられていても良い炭素数が4〜18の1価の炭化水素基であり、R
3はメチル基、エチル基、プロピル基、又はブチル基である。]
【0027】
前記一般式[3]で表されるケイ素化合物としては、例えば、C
4H
9(CH
3)
2SiN(CH
3)
2、C
5H
11(CH
3)
2SiN(CH
3)
2、C
6H
13(CH
3)
2SiN(CH
3)
2、C
7H
15(CH
3)
2SiN(CH
3)
2、C
8H
17(CH
3)
2SiN(CH
3)
2、C
9H
19(CH
3)
2SiN(CH
3)
2、C
10H
21(CH
3)
2SiN(CH
3)
2、C
11H
23(CH
3)
2SiN(CH
3)
2、C
12H
25(CH
3)
2SiN(CH
3)
2、C
13H
27(CH
3)
2SiN(CH
3)
2、C
14H
29(CH
3)
2SiN(CH
3)
2、C
15H
31(CH
3)
2SiN(CH
3)
2、C
16H
33(CH
3)
2SiN(CH
3)
2、C
17H
35(CH
3)
2SiN(CH
3)
2、C
18H
37(CH
3)
2SiN(CH
3)
2、C
5H
11(CH
3)HSiN(CH
3)
2、C
6H
13(CH
3)HSiN(CH
3)
2、C
7H
15(CH
3)HSiN(CH
3)
2、C
8H
17(CH
3)HSiN(CH
3)
2、C
9H
19(CH
3)HSiN(CH
3)
2、C
10H
21(CH
3)HSiN(CH
3)
2、C
11H
23(CH
3)HSiN(CH
3)
2、C
12H
25(CH
3)HSiN(CH
3)
2、C
13H
27(CH
3)HSiN(CH
3)
2、C
14H
29(CH
3)HSiN(CH
3)
2、C
15H
31(CH
3)HSiN(CH
3)
2、C
16H
33(CH
3)HSiN(CH
3)
2、C
17H
35(CH
3)HSiN(CH
3)
2、C
18H
37(CH
3)HSiN(CH
3)
2、C
2F
5C
2H
4(CH
3)
2SiN(CH
3)
2、C
3F
7C
2H
4(CH
3)
2SiN(CH
3)
2、C
4F
9C
2H
4(CH
3)
2SiN(CH
3)
2、C
5F
11C
2H
4(CH
3)
2SiN(CH
3)
2、C
6F
13C
2H
4(CH
3)
2SiN(CH
3)
2、C
7F
15C
2H
4(CH
3)
2SiN(CH
3)
2、C
8F
17C
2H
4(CH
3)
2SiN(CH
3)
2、(C
2H
5)
3SiN(CH
3)
2、C
3H
7(C
2H
5)
2SiN(CH
3)
2、C
4H
9(C
2H
5)
2SiN(CH
3)
2、C
5H
11(C
2H
5)
2SiN(CH
3)
2、C
6H
13(C
2H
5)
2SiN(CH
3)
2、C
7H
15(C
2H
5)
2SiN(CH
3)
2、C
8H
17(C
2H
5)
2SiN(CH
3)
2、C
9H
19(C
2H
5)
2SiN(CH
3)
2、C
10H
21(C
2H
5)
2SiN(CH
3)
2、C
11H
23(C
2H
5)
2SiN(CH
3)
2、C
12H
25(C
2H
5)
2SiN(CH
3)
2、C
13H
27(C
2H
5)
2SiN(CH
3)
2、C
14H
29(C
2H
5)
2SiN(CH
3)
2、C
15H
31(C
2H
5)
2SiN(CH
3)
2、C
16H
33(C
2H
5)
2SiN(CH
3)
2、C
17H
35(C
2H
5)
2SiN(CH
3)
2、C
18H
37(C
2H
5)
2SiN(CH
3)
2、(C
4H
9)
3SiN(CH
3)
2、C
5H
11(C
4H
9)
2SiN(CH
3)
2、C
6H
13(C
4H
9)
2SiN(CH
3)
2、C
7H
15(C
4H
9)
2SiN(CH
3)
2、C
8H
17(C
4H
9)
2SiN(CH
3)
2、C
9H
19(C
4H
9)
2SiN(CH
3)
2、C
10H
21(C
4H
9)
2SiN(CH
3)
2、C
11H
23(C
4H
9)
2SiN(CH
3)
2、C
12H
25(C
4H
9)
2SiN(CH
3)
2、C
13H
27(C
4H
9)
2SiN(CH
3)
2、C
14H
29(C
4H
9)
2SiN(CH
3)
2、C
15H
31(C
4H
9)
2SiN(CH
3)
2、C
16H
33(C
4H
9)
2SiN(CH
3)
2、C
17H
35(C
4H
9)
2SiN(CH
3)
2、C
18H
37(C
4H
9)
2SiN(CH
3)
2、C
5H
11(CH
3)Si[N(CH
3)
2]
2、C
6H
13(CH
3)Si[N(CH
3)
2]
2、C
7H
15(CH
3)Si[N(CH
3)
2]
2、C
8H
17(CH
3)Si[N(CH
3)
2]
2、C
9H
19(CH
3)Si[N(CH
3)
2]
2、C
10H
21(CH
3)Si[N(CH
3)
2]
2、C
11H
23(CH
3)Si[N(CH
3)
2]
2、C
12H
25(CH
3)Si[N(CH
3)
2]
2、C
13H
27(CH
3)Si[N(CH
3)
2]
2、C
14H
29(CH
3)Si[N(CH
3)
2]
2、C
15H
31(CH
3)Si[N(CH
3)
2]
2、C
16H
33(CH
3)Si[N(CH
3)
2]
2、C
17H
35(CH
3)Si[N(CH
3)
2]
2、C
18H
37(CH
3)Si[N(CH
3)
2]
2、C
3F
7C
2H
4(CH
3)Si[N(CH
3)
2]
2、C
4F
9C
2H
4(CH
3)Si[N(CH
3)
2]
2、C
5F
11C
2H
4(CH
3)Si[N(CH
3)
2]
2、C
6F
13C
2H
4(CH
3)Si[N(CH
3)
2]
2、C
7F
15C
2H
4(CH
3)Si[N(CH
3)
2]
2、C
8F
17C
2H
4(CH
3
)Si[N(CH
3)
2]
2、C
6H
13Si[N(CH
3)
2]
3、C
7H
15Si[N(CH
3)
2]
3、C
8H
17Si[N(CH
3)
2]
3、C
9H
19Si[N(CH
3)
2]
3、C
10H
21Si[N(CH
3)
2]
3、C
11H
23Si[N(CH
3)
2]
3、C
12H
25Si[N(CH
3)
2]
3、C
13H
27Si[N(CH
3)
2]
3、C
14H
29Si[N(CH
3)
2]
3、C
15H
31Si[N(CH
3)
2]
3、C
16H
33Si[N(CH
3)
2]
3、C
17H
35Si[N(CH
3)
2]
3、C
18H
37Si[N(CH
3)
2]
3、C
4F
9C
2H
4Si[N(CH
3)
2]
3、C
5F
11C
2H
4Si[N(CH
3)
2]
3、C
6F
13C
2H
4Si[N(CH
3)
2]
3、C
7F
15C
2H
4Si[N(CH
3)
2]
3、C
8F
17C
2H
4Si[N(CH
3)
2]
3、C
4H
9(CH
3)
2SiN(C
2H
5)
2、C
5H
11(CH
3)
2SiN(C
2H
5)
2、C
6H
13(CH
3)
2SiN(C
2H
5)
2、C
7H
15(CH
3)
2SiN(C
2H
5)
2、C
8H
17(CH
3)
2SiN(C
2H
5)
2、C
9H
19(CH
3)
2SiN(C
2H
5)
2、C
10H
21(CH
3)
2SiN(C
2H
5)
2、C
11H
23(CH
3)
2SiN(C
2H
5)
2、C
12H
25(CH
3)
2SiN(C
2H
5)
2、C
13H
27(CH
3)
2SiN(C
2H
5)
2、C
14H
29(CH
3)
2SiN(C
2H
5)
2、C
15H
31(CH
3)
2SiN(C
2H
5)
2、C
16H
33(CH
3)
2SiN(C
2H
5)
2、C
17H
35(CH
3)
2SiN(C
2H
5)
2、C
18H
37(CH
3)
2SiN(C
2H
5)
2、C
4F
9C
2H
4(CH
3)
2SiN(C
2H
5)
2、C
4F
9C
2H
4(CH
3)
2SiN(C
2H
5)
2、C
5F
11C
2H
4(CH
3)
2SiN(C
2H
5)
2、C
6F
13C
2H
4(CH
3)
2SiN(C
2H
5)
2、C
7F
15C
2H
4(CH
3)
2SiN(C
2H
5)
2、C
8F
17C
2H
4(CH
3)
2SiN(C
2H
5)
2、(C
2H
5)
3SiN(C
2H
5)
2、C
3H
7(C
2H
5)
2SiN(C
2H
5)
2、C
4H
9(C
2H
5)
2SiN(C
2H
5)
2、C
5H
11(C
2H
5)
2SiN(C
2H
5)
2、C
6H
13(C
2H
5)
2SiN(C
2H
5)
2、C
7H
15(C
2H
5)
2SiN(C
2H
5)
2、C
8H
17(C
2H
5)
2SiN(C
2H
5)
2、C
9H
19(C
2H
5)
2SiN(C
2H
5)
2、C
10H
21(C
2H
5)
2SiN(C
2H
5)
2、C
11H
23(C
2H
5)
2SiN(C
2H
5)
2、C
12H
25(C
2H
5)
2SiN(C
2H
5)
2、C
13H
27(C
2H
5)
2SiN(C
2H
5)
2、C
14H
29(C
2H
5)
2SiN(C
2H
5)
2、C
15H
31(C
2H
5)
2SiN(C
2H
5)
2、C
16H
33(C
2H
5)
2SiN(C
2H
5)
2、C
17H
35(C
2H
5)
2SiN(C
2H
5)
2、C
18H
37(C
2H
5)
2SiN(C
2H
5)
2、(C
4H
9)
3SiN(C
2H
5)
2、C
5H
11(C
4H
9)
2SiN(C
2H
5)
2、C
6H
13(C
4H
9)
2SiN(C
2H
5)
2、C
7H
15(C
4H
9)
2SiN(C
2H
5)
2、C
8H
17(C
4H
9)
2SiN(C
2H
5)
2、C
9H
19(C
4H
9)
2SiN(C
2H
5)
2、C
10H
21(C
4H
9)
2SiN(C
2H
5)
2、C
11H
23(C
4H
9)
2SiN(C
2H
5)
2、C
12H
25(C
4H
9)
2SiN(C
2H
5)
2、C
13H
27(C
4H
9)
2SiN(C
2H
5)
2、C
14H
29(C
4H
9)
2SiN(C
2H
5)
2、C
15H
31(C
4H
9)
2SiN(C
2H
5)
2、C
16H
33(C
4H
9)
2SiN(C
2H
5)
2、C
17H
35(C
4H
9)
2SiN(C
2H
5)
2、C
18H
37(C
4H
9)
2SiN(C
2H
5)
2などの化合物や、上記の窒素元素に結合したメチル基やエチル基がプロピル基やブチル基に置き換わった化合物が挙げられる。
【0028】
また、前記撥水性保護膜形成用薬液中のケイ素化合物濃度は、0.1〜4質量%であることが好ましい。本発明の薬液では、前述のように溶媒(I)によるシランカップリング反応の促進効果により、ケイ素化合物濃度が0.1質量%以上であれば、ウェハ表面に優れた撥水性を付与することができるため好ましい。また、該薬液のコストを考慮すれば、ケイ素化合物の濃度は低いほうが好ましく、その上限は4質量%が好ましい。
【0029】
また、前記薬液には、保護膜形成剤であるケイ素化合物と、凹凸パターン表面やウェハ表面のシラノール基との反応を促進させるために、さらに酸が含まれることが好ましい。このような酸として、トリフルオロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸、ペンタフルオロプロピオン酸、無水ペンタフルオロプロピオン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、無水トリフルオロメタンスルホン酸、硫酸、塩化水素などの水を含まない酸が好適に用いられる。特に、反応促進効果を考慮すると、トリフルオロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、無水トリフルオロメタンスルホン酸、硫酸、塩化水素などの酸が好ましく、当該の酸は水分を含んでいないことが好ましい。
【0030】
特に、一般式[1]における疎水性基R
1の炭素数が大きくなると、立体障害のために、凹凸パターン表面やウェハ表面のシラノール基に対するケイ素化合物の反応性が低下する場合がある。この場合は、水を含まない酸を添加することで、凹凸パターン表面やウェハ表面のシラノール基とケイ素化合物との反応が促進され、疎水性基の立体障害による反応性の低下を補ってくれる場合がある。
【0031】
酸の添加量は、前記ケイ素化合物の総量100質量%に対して、0.01〜100質量%が好ましい。添加量が少なくなると反応促進効果が得られにくい。また、過剰に添加しても反応促進効果は向上せず、逆に反応促進効果が低下する場合もある。さらに、不純物として凹凸パターン表面やウェハ表面に残留する懸念もある。このため、前記酸の添加量は、0.01〜100質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜50質量%である。これを考慮すると、酸の前記薬液総量に対する添加量は、前記薬液の総量100質量%に対して、0.0001〜50質量%が好ましく、より好ましくは0.001〜33質量%である。
【0032】
また、本発明は、上記の撥水性保護膜形成用薬液を得るための撥水性保護膜形成用薬液キットであり、該薬液キットが、前記一般式[1]で表されるケイ素化合物と、溶媒(I)及び/又は溶媒(II)とを有する処理液Aと、酸と、前記の溶媒(I)及び/又は溶媒(II)とを有する処理液Bからなることを特徴とする、撥水性保護膜形成用薬液キットである。
【0033】
前記薬液キットは、別々に保管された処理液Aと処理液Bとを混合することで、前記薬液とするものであり、ケイ素化合物、溶媒(I)、及び、溶媒(II)は、前述の撥水性保護膜形成用薬液で記載したものと同様のものを用いることができる。なお、処理液A及びBに含まれる溶媒(I)と溶媒(II)の含有比率は特に限定されないが、処理液Aと処理液Bとを混合して前記薬液を得た際に、該薬液に含まれる溶媒(I)と溶媒(II)が、質量比で40:60〜97:3で構成されるように調製される。
【0034】
また、前記薬液キットで用いられる溶媒(I)は、極性が高く、前記の反応促進効果に優れる、ラクトン系溶媒であることが好ましい。
【0035】
また、前記薬液キットで用いられるケイ素化合物は前記一般式[2]で表されるケイ素化合物であることが好ましい。
【0036】
また、前記薬液キットで用いられるケイ素化合物は前記一般式[3]で表されるケイ素化合物であることが好ましい。
【0037】
また、本発明は、表面に凹凸パターンを有し該凹凸パターンの少なくとも凹部表面に酸化ケイ素を含むウェハの洗浄において、以下に示す工程、
前記ウェハ表面を洗浄液で洗浄する、洗浄工程、
前記ウェハの少なくとも凹部に撥水性保護膜形成用薬液を保持し、該凹部表面に撥水性保護膜を形成する、撥水性保護膜形成工程、
ウェハ表面の液体を除去する、乾燥工程、
前記凹部表面から撥水性保護膜を除去する、撥水性保護膜除去工程
を含み、撥水性保護膜形成工程において上記の撥水性保護膜形成用薬液、又は上記の撥水性保護膜形成用薬液キットから得られる撥水性保護膜形成用薬液を用いることを特徴とする、ウェハの洗浄方法である。
【0038】
また、撥水性保護膜除去工程は、ウェハ表面を光照射すること、ウェハを加熱すること、ウェハ表面をプラズマ照射すること、ウェハ表面をオゾン曝露すること、及び、ウェハをコロナ放電することから選ばれる少なくとも1つの処理方法で行われることが好ましい。