(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
流体が流れる管路を振動させて、前記管路の上流側の第1振動信号および下流側の第2振動信号に基づいて、前記管路を流れる流体の流量を測定するコリオリ質量流量計であって、
前記管路の固有振動数である前記第1振動信号および前記第2振動信号の周波数とは異なる周波数の基準信号を生成する基準信号生成部と、
前記第1振動信号と前記第2振動信号と前記基準信号との経路が複数に分岐されて、前記第1振動信号と前記第2振動信号との位相差および分岐された前記基準信号間の位相差を算出する位相差算出部と、
前記基準信号間の位相差に基づく近似演算により前記固有振動数における回路誤差を算出する回路誤差算出部と、
前記位相差算出部により算出された前記第1振動信号と前記第2振動信号との位相差に対して前記回路誤差の補正を行う回路誤差補正部と、
前記回路誤差補正部により補正された前記第1振動信号と前記第2振動信号との位相差に基づいて前記流量を算出する流量算出部と、
を備えたことを特徴とするコリオリ質量流量計。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の技術は、基準信号を分岐して、その位相差を用いてゼロ補償値を演算していることから、経路の位相ずれによる誤差を低減させることができる。且つ、ゼロ補償値のための位相差演算と流量測定のための位相差演算とを並行して行い、周波数変動を生じない基準信号を用いてゼロ補償値の演算を行っていることから、安定した流量測定を行うことができる点で極めて優れた効果を奏する技術になる。
【0008】
ところで、特許文献1の技術では、上流コイル信号と下流コイル信号と基準信号とを分岐して且つ切り替えを行っている。従って、複数の信号経路が並列して配置される。例えば、特許文献1の
図5では、切り替え回路により4つの信号経路(チャネル)が入力アンプに入力されている。
【0009】
このとき、各チャネルの信号同士が相互に重畳することがある。各チャネルの信号に他のチャネルの信号が重畳されることにより、流量測定に誤差が生じる。従って、流量測定の精度が低下する。
【0010】
特許文献1の技術では、基準信号生成回路が基準信号を生成しているが、基準信号は任意の周波数の信号を用いている。よって、上流コイル信号および下流コイル信号の周波数(固有振動数)と基準信号の周波数(基準信号周波数)とが一致することがある。固有振動数と基準信号周波数とが同じ周波数になると、信号の重畳成分は定数成分(オフセット成分)となり、各信号から重畳成分を除去・分離することは極めて困難になる。これにより、各チャネルの信号を用いて行われる流量測定の演算やゼロ補償値の演算に誤差が生じる。
【0011】
そこで、本発明は、振動信号および基準信号を複数の経路に分岐させて位相差を演算して流量測定を行うときに、信号の重畳が発生したとしても測定誤差を低減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以上の課題を解決するため、本発明のコリオリ質量流量計は、流体が流れる管路を振動させて、前記管路の上流側の第1振動信号および下流側の第2振動信号に基づいて、前記管路を流れる流体の流量を測定するコリオリ質量流量計であって、
前記管路の固有振動数である前記第1振動信号および前記第2振動信号の周波数とは異なる周波数の基準信号を生成する基準信号生成部と、前記第1振動信号と前記第2振動信号と前記基準信号との経路が複数に分岐されて、前記第1振動信号と前記第2振動信号との位相差および分岐された前記基準信号間の位相差を算出する位相差算出部と、前記基準信号間の位相差に基づ
く近似演算により前記固有振動数における回路誤差を算出する回路誤差算出部と、前記位相差算出部により算出された前記第1振動信号と前記第2振動信号との位相差に対して前記回路誤差の補正を行う回路誤差補正部と、
前記回路誤差補正部により補正された前記第1振動信号と前記第2振動信号との位相差に基づいて前記流量を算出する流量算出部と、
を備えたことを特徴とする。
【0013】
このコリオリ質量流量計によれば、基準信号の周波数を第1振動信号および第2振動信号とは異なる周波数に設定している。これにより、信号同士の重畳が発生したとしても、定数成分として重畳されることはなくなる。これにより、重畳成分を除去することが可能になり、測定誤差を低減させることができる。
【0014】
また、前記分岐された経路を伝送される各信号が他の経路を伝送される信号と重畳したときの重畳成分を除去するフィルタを備えていることを特徴とする。
【0015】
基準信号の周波数は第1振動信号および第2振動信号の周波数とは異なる周波数にしているため、重畳成分が生じたとしても、重畳成分を除去することが可能になる。そこで、重畳成分を除去するフィルタを設けることで、測定誤差をより低減させることができる。
【0016】
また、前記基準信号生成部は、それぞれ異なる周波数を持つ2つ以上の前記基準信号を時分割で出力し、前記回路誤差算出部は、1次以上の近似で前記回路誤差を算出することを特徴とする。
【0017】
回路誤差を算出するために周波数の異なる基準信号を用いているが、回路誤差と周波数との関係は線形に比例する関係にならない。そこで、2つ以上の基準信号を用いて1次以上の近似で回路誤差を算出することで、回路誤差の算出精度を向上させることができる。
【0018】
また、前記基準信号の周波数は、前記回路誤差算出部による前記回路誤差を算出するときの近似の誤差と前記フィルタによる前記重畳成分の除去効果とに基づいて決定することを特徴とする。
【0019】
第1振動信号および第2振動信号の周波数と基準信号の周波数との差が大きくなると、近似による回路誤差の算出精度が低下する。一方、周波数の差が小さくなりすぎると、重畳成分の除去が難しくなる。このため、回路誤差の演算を行うときの近似の誤差と重畳成分の除去効果とに基づいて、基準信号の周波数を決定することで、回路誤差の算出精度を向上しつつ、重畳成分の除去が可能になる。
【0020】
また、前記第1振動信号および前記第2振動信号の周波数とは異なる周波数を記憶する基準信号周波数記憶部と、この基準周波数記憶部が記憶している周波数を選択して、前記基準信号生成部に出力する基準信号周波数選択部と、を備えたことを特徴とする。
【0021】
第1振動信号および第2振動信号の周波数とは異なる周波数を予め記憶しておくことで、固定的な周波数の基準信号を出力することが可能になる。このため、複雑な制御を要することなく、基準信号の周波数を選択することができる。
【0022】
また、前記第1振動信号と前記第2振動信号との位相差の演算と前記基準信号間の位相差の演算とは並行して行われることを特徴とする。
【0023】
流量測定のための位相差の演算と回路誤差を得るための位相差の演算とを並行して行うことにより、各信号の分岐数が多くなる。これにより、信号経路(チャネル)の数が多くなり、信号の重畳を生じやすくなるが、重畳成分を除去することができることから、流量測定の誤差を低減することができる。且つ、演算を並行して行うことから、流量測定を中断する時間の短縮化を実現できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、基準信号の周波数を第1振動信号および第2振動信号とは異なる周波数に設定している。これにより、信号同士の重畳が発生したとしても、定数成分として重畳されることはなくなるため、重畳成分を除去することができる。このため、測定誤差を低減させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態のコリオリ質量流量計1を示している。本実施形態ではコリオリ質量流量計はデジタル信号処理方式の直管型のコリオリ質量流量計を適用しているが、U字型のものを用いてもよい。コリオリ質量流量計1は、流体が流れる管路を加振して振動させ、管路の上流側および下流側の振動の位相差に基づいて、管路の流量を測定する。管路としては、例えばチューブを用いることができる。
【0027】
図1に示すように、コリオリ質量流量計1は検出器2と変換器3とを有して構成している。検出器2は上流側コイルL1と下流側コイルL2とドライブコイルL3と測温抵抗体RTD(Resistance Temperature Detector)とを有して構成している。ドライブコイルL3は変換器3から出力される駆動信号DRVに基づいて、図示しない管路の加振を行う。これにより、管路は振動する。
【0028】
上流側コイルL1は管路の上流側の振動を検出して、これを第1振動信号S1として変換器3に出力する。この第1振動信号S1は上流コイル信号である。下流側コイルL2は管路の下流側の振動を検出して、これを第2振動信号S2として変換器3に出力する。この第2振動信号S2は下流コイル信号である。測温抵抗体RTDは管路を流れる流体の温度を検出する温度センサであり、変換器3から出力される抵抗駆動信号RTDDRVに基づいて動作を行う。そして、検出した温度を温度信号TEMPとして変換器3に出力する。
【0029】
変換器3は検出器2と接続されており、第1振動信号S1および第2振動信号S2に基づいて、管路を流れる流体の質量流量を測定する。温度信号TEMPは温度変動を補償するために使用される。変換器3は基準信号生成回路10と第1切り替え回路11〜第4切り替え回路14と第1入力アンプ15〜第4入力アンプ18と位相差ADC19とデジタル信号処理回路20とCPU21とドライブ回路22とRTD駆動回路23と温度ADC24と第1出力回路25と第2出力回路26と表示器27とを備えて構成している。
【0030】
基準信号生成回路10は基準信号を生成する基準信号生成部である。この基準信号は経路の回路誤差を補正するための信号である。ここでは、
図1に示す経路1および経路2が回路誤差の補正対象である。基準信号生成回路10はデジタル信号処理回路20と接続されており、デジタル信号処理回路20により基準信号の周波数が基準信号周波数faとして設定される。そして、この基準信号周波数faの基準信号を出力する。
【0031】
基準信号生成回路10が出力する基準信号は4つに分岐して、基準信号S301〜S304になる。また、第1振動信号S1は途中で2つに分岐して、第1振動信号S1およびS102になる。また、第2振動信号S2は途中で2つに分岐して、第2振動信号S2およびS201になる。
【0032】
第1切り替え回路11は第1振動信号S1と基準信号S301とを入力して、何れかの信号を選択的に切り替えて出力する。第2切り替え回路12は基準信号S302と第2振動信号S201とを入力して、何れかの信号を選択的に切り替えて出力する。第3切り替え回路13は第1振動信号S102と基準信号S303とを入力して、何れかの信号を選択的に切り替えて出力する。第4切り替え回路14は基準信号S304と第2振動信号S2とを入力して、何れかの信号を選択的に切り替えて出力する。
【0033】
第1入力アンプ15は第1切り替え回路11が選択した信号を増幅して出力する。第2入力アンプ16は第2切り替え回路12が選択した信号を増幅して出力する。第3入力アンプ17は第3切り替え回路13が選択した信号を増幅して出力する。第4入力アンプ18は第4切り替え回路14が選択した信号を増幅して出力する。
【0034】
第1入力アンプ15〜第4入力アンプ18により増幅された信号の経路をチャネルとする。ここでは4つのチャネル(CH1〜CH4)となっている。これら4つのチャネルCH1〜CH4から位相差ADC19に信号が入力される。位相差ADC19はアナログデジタルコンバータであり、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0035】
デジタル信号に変換された各チャネルCH1〜CH4の信号はデジタル信号処理回路20に入力される。デジタル信号処理回路20は第1振動信号S1(またはS102)と第2振動信号S2(またはS201)との位相差の演算を行う。この演算された位相差は管路を流れる流量を示す流量信号となる。また、デジタル信号処理回路20では、回路誤差を補正するために基準信号間の位相差の演算を行う。デジタル信号処理回路20の詳細については後述する。
【0036】
CPU21は、デジタル信号処理回路20が出力する流量信号に基づいて、管路を流れる流量の演算(流量演算)を行う。流体の流量は流体の温度変動によって測定誤差を生じるため、測温抵抗体RTDが測定する温度信号TEMPに基づいて、流量信号に対して補正を行うことで、流体の温度変動による測定誤差を補償する。これにより、CPU21は流量測定を行う。
【0037】
ドライブ回路22は駆動信号DRVを出力する。この駆動信号DRVはドライブコイルL3に入力されて、管路の加振が行われる。ドライブ回路22は第1振動信号S1または第2振動信号S2を正帰還して、第1振動信号S1および第2振動信号S2の周波数、つまり管路の固有の振動周波数(固有振動数)f0でドライブコイルL3を加振する。
【0038】
RTD駆動回路23は測温抵抗体RTDに動作電流を設定するための抵抗駆動信号RTDDRVを出力する。これにより、測温抵抗体RTDは流体の温度測定を行う。測温抵抗体RTDが測定した温度は温度信号TEMPとして温度ADC24に入力される。
【0039】
温度ADC24はアナログ信号の温度信号TEMPをデジタル信号に変換するアナログデジタルコンバータである。温度ADC24によりデジタル信号に変換された温度信号TEMPはCPU21に入力されて、前述したように流体の温度変動による測定誤差を補償するために用いられる。
【0040】
CPU21は流量測定を行い、流体の流量を示す流量データを第1出力回路25や第2出力回路26に出力する。第1出力回路25や第2出力回路26は流量データを外部に出力する。また、表示器27にも流量データが入力されて、流量データを表示する。表示器27には温度等の情報も表示することができる。
【0041】
また、
図1に示しているように、2点差線で囲んだ領域が経路1、経路2になる。経路1は第1切り替え回路11、第2切り替え回路12、第1入力アンプ15、第2入力アンプ16を含み、デジタル信号処理回路20にまで至る経路である。経路2は第3切り替え回路13、第4切り替え回路14、第3入力アンプ17、第4入力アンプ18を含み、デジタル信号処理回路20にまで至る経路である。
【0042】
図2は、デジタル信号処理回路20の構成を示している。このデジタル信号処理回路20は位相差算出部31と第1フィルタ32と第2フィルタ33と回路誤差算出部34と回路誤差補正部35と周波数算出部36と基準信号周波数選択部37とを備えて構成している。
【0043】
図1に示したように、第1切り替え回路11〜第4切り替え回路14はそれぞれ2つの信号のうち1つの信号を選択的に切り替えている。選択された信号には「´」をつけるものとする。従って、第1切り替え回路11のチャネルCH1からは、第1振動信号S1´もしくは基準信号S301´が入力される。
【0044】
同様に、第2切り替え回路12のチャネルCH2からは、第2振動信号S201´もしくは基準信号S302´が入力される。第3切り替え回路13のチャネルCH3からは第1振動信号S102´もしくは基準信号S303´が入力される。第4切り替え回路14のチャネルCH4からは第2振動信号S2´もしくは基準信号S304´が入力される。
【0045】
位相差算出部31はCH1〜CH4までの信号を入力して、入力した信号の位相差を算出する。
図3に示すように、位相差算出部31はヒルベルト変換器40と三角関数演算器43とを有して構成しており、ヒルベルト変換器40は第1FIRフィルタ41と第2FIRフィルタ42とを有して構成している。
【0046】
第1FIRフィルタ41および第2FIRフィルタ42はFIR(Finite Impulse Response)フィルタである。第1FIRフィルタ41および第2FIRフィルタ42にはCH1〜CH4の信号が分岐して両者に入力される。第1FIRフィルタ41は、入力信号と同じ位相の出力信号に変換する同相デジタルフィルタであり、第2FIRフィルタ42は、入力信号と90度異なる位相の出力信号に変換する異相デジタルフィルタである。
【0047】
第1FIRフィルタ41は入力信号に対して「A×sin(ωt)」なる形の信号を三角関数演算器43に出力する。第2FIRフィルタ42は入力信号に対して「A×cos(ωt)」なる形の信号を三角関数演算器43に出力する。
【0048】
三角関数演算器43は位相差の演算を行う。このとき、三角関数演算器43は複数の時刻の位相差をサンプリングして、位相差の平均値を演算している。従って、演算される位相差は平均化された状態になる。前述したように、CH1〜CH4までの信号に重畳成分が生じたときに、固有振動数f0と後述する基準信号周波数faとは異なる周波数になっているため、重畳成分は振動成分として出現する。そこで、三角関数演算器43で位相差の平均値を演算することで、重畳成分を除去することができる。従って、三角関数演算器43は重畳成分を除去するフィルタとしての機能を有している。
【0049】
三角関数演算器43は第1振動信号S1´と第2振動信号S201´との位相差を演算する。第1振動信号S1´と第2振動信号S201´とは経路1を伝送される信号であり、その位相差を演算する。これを、
図3において、「S1´―S201´位相差」(経路1)として示している。
【0050】
同様に、三角関数演算器43は第1振動信号S102´と第2振動信号S2´との位相差を演算する。第1振動信号S102´と第2振動信号S2´とは経路2を伝送される信号であり、その位相差を演算する。これを、
図3において、「S102´―S2´位相差」(経路2)として示している。
【0051】
また、三角関数演算器43は基準信号S301´と基準信号S302´との位相差を演算する。基準信号S301´と基準信号S302´とは経路1を伝送される信号であり、その位相差を演算する。これを、
図3において、「S301´―S302´位相差」(経路1)として示している。
【0052】
また、三角関数演算器43は基準信号S303´と基準信号S304´との位相差を演算する。基準信号S303´と基準信号S304´とは経路2を伝送される信号であり、その位相差を演算する。これを、
図3において、「S303´―S304´位相差」(経路2)として示している。
【0053】
図2に示すように、位相差算出部31が出力した位相差「S1´―S201´」(これを位相差φ1とする)および位相差「S102´―S2´」(これを位相差φ2とする)は第1フィルタ32に入力される。また、位相差算出部31が出力した位相差「S301´―S302´」(これを位相差φ3とする)および位相差「S303´―S304´」(これを位相差φ4とする)は第2フィルタ33に入力される。
【0054】
三角関数演算器43により各信号の重畳成分は除去されている。ただし、三角関数演算器43だけでは重畳成分を除去しきれない場合がある。このために、第1フィルタ32および第2フィルタ33を設けている。第1フィルタ32および第2フィルタ33も重畳成分を除去するフィルタとして機能する。
【0055】
第1フィルタ32は前記の位相差φ1(=S1´―S201´)および前記の位相差φ2(=S102´―S2´)の信号の重畳成分を除去する。前述したように、信号に重畳成分が生じると、固有振動数f0と基準信号周波数faとは異なる周波数になっているため、重畳成分は振動成分として重畳される。
【0056】
位相差φ1および位相差φ2はDC成分の信号となっており、第1フィルタ32は位相差φ1および位相差φ2のDC成分を通過させる。これにより、重畳成分は除去される。なお、第1フィルタ32は位相差φ1、位相差φ2の平均化を行うことにより、重畳成分を除去するようにしてもよい。
【0057】
第2フィルタ33は前記の位相差φ3(=S301´―S302´)および位相差φ4(=S303´―S304´)の信号の重畳成分を除去する。この場合も、固有振動数f0と基準信号周波数faとは異なる周波数になっているため、重畳成分は振動成分として重畳される。
【0058】
そこで、第2フィルタ33は位相差φ3および位相差φ4のDC成分を通過させる。これにより、重畳成分は除去される。なお、第2フィルタ33についても、位相差φ3、位相差φ4の平均化を行うことにより、重畳成分を除去するようにしてもよい。
【0059】
回路誤差算出部34は位相差φ3を用いて経路1の回路誤差を算出し、位相差φ4を用いて経路2の回路誤差を算出する。基準信号S301〜S304には第1振動信号S1および第2振動信号S2の固有振動数f0とは異なる基準信号周波数faの基準信号が用いられている。従って、位相差φ3または位相差φ4は単に回路誤差を示すものではない。
【0060】
回路誤差算出部34には周波数算出部36から固有振動数f0および基準信号周波数選択部37から基準信号周波数faが入力されている。よって、位相差φ3、φ4、固有振動数f0、基準信号周波数faを用いて回路誤差を近似する演算を行う。
【0061】
位相差φ3は経路1の回路誤差を示しており、位相差φ4は経路2の回路誤差を示している。回路誤差算出部34は位相差φ3を用いて経路1の回路誤差を演算して、経路1回路誤差(Δφ1とする)を出力する。また、回路誤差算出部34は位相差φ4を用いて経路2の回路誤差(Δφ2とする)を演算して、経路2回路誤差を出力する。経路1回路誤差Δφ1および経路2回路誤差Δφ2は回路誤差補正部35に入力される。
【0062】
回路誤差補正部35は第1フィルタ32を通過した位相差φ1またはφ2に対して、経路1回路誤差Δφ1または経路2回路誤差Δφ2を用いて補正を行う。
図1に示した経路1と経路2とは異なる経路になり、環境条件の違い等により各経路が異なる影響を受けて位相ずれを発生する。この位相ずれが経路の回路誤差となる。この回路誤差はゼロ補償値とも呼ばれる。従って、回路誤差補正部35は回路誤差の補正を行う。
【0063】
回路誤差補正部35が回路誤差を補正した位相差φ1および位相差φ2は管路を流れる流量を示す。従って、デジタル信号処理回路20は回路誤差を補正した位相差φ1および位相差φ2を流量信号としてCPU21に出力する。
【0064】
周波数算出部36は周波数を算出する。このために、
図2に示すように、CH1から第1振動信号S1´およびCH3から第1振動信号S102´を入力している。これらの信号の周波数は固有振動数f0であり、第1振動信号S1´または第1振動信号S102´に基づいて、周波数算出部36は固有振動数f0を算出する。
【0065】
なお、第2振動信号S2(および第2振動信号S201)の周波数も固有振動数f0になる。よって、これらの信号を周波数算出部36に入力して、固有振動数f0を算出するようにしてもよい。
【0066】
周波数算出部36が算出した固有振動数f0は回路誤差算出部34に入力されると共に、基準信号周波数選択部37にも入力される。基準信号周波数選択部37は固有振動数f0とは異なる周波数を選択する。この選択した周波数が前述した基準信号周波数faである。基準信号周波数faは「fa=f0+a」であり、固有振動数f0に対してaの分だけ異なった周波数になっている。
【0067】
基準信号周波数選択部37が選択した基準信号周波数faは回路誤差算出部34に出力されると共に、基準信号生成回路10に対しても出力される。従って、基準信号生成回路10は基準信号周波数faの基準信号を出力して、この基準信号が分岐して基準信号S301〜S304になる。
【0068】
以上が構成である。次に、動作について説明する。
図1に示すドライブ回路22が駆動信号DRVを出力することで、ドライブコイルL3が管路を加振して振動させる。検出器2の上流側コイルL1は振動を検出して第1振動信号S1を出力する。また、下流側コイルL2は振動を検出して第2振動信号S2を出力する。
【0069】
また、RTD駆動回路23は抵抗駆動信号RTDDRVを出力する。これにより、測温抵抗体RTDは管路を流れる流体の温度を測定する。この測定した温度は温度信号TEMPとして出力される。よって、第1振動信号S1、第2振動信号S2および温度信号TEMPが変換器3に入力される。
【0070】
前述したように、経路1と経路2とでは経路の回路誤差を生じている。つまり、周囲温度変動や回路、配線の経年変化等により、経路の環境条件が変化する。これにより、経路の回路誤差を発生する。回路誤差を発生すると、位相ずれを生じて、正確な流量測定を行うことができない。このため、回路誤差の補正を行う。
【0071】
経路1において回路誤差の演算を行い、経路2ではこれと並行して流量測定を行うための位相差の演算を行う。これにより、流量測定のための位相差の演算を行っている間に回路誤差の演算を行うことができる。このため、流量測定を中断して回路誤差を測定することがなくなり、無駄な時間を削減すると共に、安定した流量測定が行われる。流量測定のための位相差の演算と回路誤差の演算とは時分割で交互に行われる。
【0072】
つまり、経路1の回路誤差の演算を行うのと並行して、経路2の信号を用いて流量測定のための位相差演算を行う。これを一定時間行い、次に経路2の回路誤差の演算を行うのと並行して、経路1の信号を用いて流量測定のための位相差演算を行う。この位相差演算を行うときに、前回得られた回路誤差の補正を行うことにより、正確な流量測定を行う。以上の動作を時分割で交互に繰り返す。
【0073】
まず、経路1の回路誤差の演算を行い、経路2の信号を用いて流量測定のための位相差演算を行う場合について説明する。第1切り替え回路11は基準信号S301を選択する。従って、チャネルCH1は基準信号S301´となり、第1入力アンプ15により基準信号S301´が増幅される。そして、位相差ADC19により基準信号S301´はデジタル信号に変換されて、デジタル信号処理回路20に入力される。
【0074】
第2切り替え回路12は基準信号S302を選択する。従って、チャネルCH2は基準信号S302´となり、第2入力アンプ16により基準信号S302´が増幅される。そして、位相差ADC19により基準信号S302´はデジタル信号に変換されて、デジタル信号処理回路20に入力される。
【0075】
第3切り替え回路13は第1振動信号S102を選択する。従って、チャネルCH3は第1振動信号S102´となり、第3入力アンプ17により第1振動信号S102´が増幅される。そして、位相差ADC19により第1振動信号S102´はデジタル信号に変換されて、デジタル信号処理回路20に入力される。
【0076】
第4切り替え回路14は第2振動信号S2を選択する。従って、チャネルCH4は第2振動信号S2´となり、第4入力アンプ18により第2振動信号S2´が増幅される。そして、位相差ADC19により第2振動信号S2´はデジタル信号に変換されて、デジタル信号処理回路20に入力される。
【0077】
図2を参照して、デジタル信号処理回路20の動作について説明する。前述したように、チャネルCH1は基準信号S301´であり、チャネルCH2は基準信号S302´であり、チャネルCH3は第1振動信号S102´であり、チャネルCH4は第2振動信号S2´である。これら4つの信号は、
図2に示す位相差算出部31に入力される。
【0078】
前述したように、4つのチャネルCH1〜CH4を伝送される各信号は相互に重畳されることがある。各信号に重畳成分が加わると、これらの信号を用いて行う各種の演算に誤差を生じさせる。例えば、位相差算出部31の演算に誤差を生じ、回路誤差算出部34の演算にも誤差を生じる。その結果、流量測定に誤差を生じ、最終的に得られる流量値の正確性が低下する。
【0079】
基準信号S301および基準信号S302の周波数(基準信号周波数fa)は、第1振動信号S1および第2振動信号S2の周波数(固有振動数f0)とは異なる周波数に設定されている。従って、各信号に重畳成分が発生するが、基準信号周波数faと固有振動数f0とは異なる周波数にしているため、重畳成分は各信号に振動成分として重畳される。
【0080】
この重畳成分が測定誤差を生じさせる原因となる。そこで、三角関数演算器43により重畳成分の除去を行う。
図3に示すように、基準信号S301´と基準信号S302´と第1振動信号S102´と第2振動信号S2´とはそれぞれヒルベルト変換器40を構成する第1FIRフィルタ41と第2FIRフィルタ42とに入力される。
【0081】
第1FIRフィルタ41では入力信号を「A×sin(ωt)」の形で出力し、第2FIRフィルタ42では入力信号を「A×cos(ωt)」の形で出力する。そして、三角関数演算器43で位相差を演算する。三角関数演算器43では複数の時刻でサンプリングして位相差の演算を行い、各時刻の位相差の平均化を行っている。これにより、各信号に重畳した振動成分は平均化される。その結果、信号から重畳成分が除去される。
【0082】
ここでは、第1振動信号S102´と第2振動信号S2´との位相差が演算されて、位相差算出部31から出力される。この位相差φ2は管路を流れる流体の流量を示しており、位相差φ2の信号が第1フィルタ32に入力される。重畳成分が生じていないときの位相差φ2の信号はDC信号となる。
【0083】
ただし、三角関数演算器43で十分に重畳成分が除去されていないときには、位相差φ2の信号に重畳成分が重畳している。前述したように、固有振動数f0と基準信号周波数faとは異なる周波数にしていることから、位相差φ2のDC信号成分に重畳成分が振動成分として重畳している。
【0084】
そこで、第1フィルタ32は位相差φ2のDC信号のみを通過させることで、重畳成分を除去することができる。これにより、第1フィルタ32によるフィルタリング作用を受けた位相差φ2の信号は重畳成分が除去された状態で(つまり、DC成分の信号として)回路誤差補正部35に入力される。
【0085】
一方、三角関数演算器43では基準信号S303´とS304´との位相差の演算が行われて、位相差φ3が第2フィルタ33に入力される。重畳成分が生じていないときの位相差φ3の信号はDC信号となる。ただし、この場合も、三角関数演算器43で十分に重畳成分が除去されていないときには、位相差φ3の信号に重畳成分が重畳している。この重畳成分も振動成分として重畳している。
【0086】
そこで、第2フィルタ33は位相差φ3のDC信号のみを通過させることで、重畳成分を除去することができる。これにより、第1フィルタ32によるフィルタリング作用を受けた位相差φ3の信号は重畳成分が除去された状態で回路誤差算出部34に入力される。
【0087】
回路誤差算出部34では位相差φ3に基づいて、経路1の回路誤差を算出する。位相差φ3は経路1の回路誤差を直接的に示しているものではない。これは、位相差φ3を得るための基準信号S303´およびS304´の周波数が固有振動数f0とは異なる基準信号周波数faとしているためである。
【0088】
回路誤差と周波数との関係は、必ずしも線形に比例する関係にはならない。従って、固有振動数f0と異なる基準信号周波数faとしているため、位相差φ3は経路1の回路誤差を直接的に示しているものではない。
図4は、回路誤差(単位はrad)と周波数(単位はHz)との関係性の一例を示したものである。
【0089】
従って、
図2に示す回路誤差算出部34は回路誤差の近似演算を行う。このために、回路誤差算出部34には、第2フィルタ33で重畳成分が除去された位相差φ3、周波数算出部36から出力される固有振動数f0、基準信号周波数選択部37が選択した基準信号周波数faが入力されている。
【0090】
ここでは、基準信号は1つの基準信号周波数faのみが用いられているため、1次近似の演算を行う。経路1の回路誤差は前述したようにΔφ1としている。このとき、経路1の回路誤差Δφ1は、以下の式1に示すように1次近似がされる。
【0092】
これにより、経路1の回路誤差Δφ1を近似して算出することができる。この経路1の回路誤差Δφ1が回路誤差算出部34に入力される。前述したように、経路1の回路誤差Δφ1の演算と経路2を用いた位相差φ2の演算とは並行して行われている。そして、次に、経路2の回路誤差Δφ2の演算と経路1を用いた位相差φ1の演算とが並行して行われる。
【0093】
この動作を時分割で交互に行っている。従って、回路誤差補正部35に入力された経路1の回路誤差Δφ1は、次の時分割のタイミングで演算される位相差φ1に対して補正がされる。これにより、経路1の回路誤差Δφ1を補正した位相差φ1が得られる。つまり、経路1の回路誤差の補償(ゼロ補償)が行われる。そして、この位相差φ1が流量信号としてCPU21に出力される。
【0094】
CPU21では、位相差φ1を示す流量信号に基づいて、流量測定を行う。このときに、温度信号TEMPによる補正を行うことで、流体の温度による測定誤差を補償した流量測定を行うことができる。これを流量データとして、第1出力回路25や第2出力回路26、表示器27に出力する。
【0095】
以上説明したように、基準信号生成回路10は、基準信号周波数faが第1振動信号S1および第2振動信号S2の固有振動数f0とは異なる周波数の基準信号を生成して出力している。各チャネルCH1〜CH4の信号に他の信号の重畳成分が生じると、測定誤差を生じるが、このとき基準信号周波数faと固有振動数f0とが同じ周波数であると、重畳成分は定数成分(オフセット成分)として重畳するため、重畳成分を除去することができない。
【0096】
しかし、本実施形態では、基準信号周波数faと固有振動数f0とを異なる周波数にしているため、信号に重畳成分が生じたとしても、この重畳成分は振動成分として出現する。よって、フィルタ処理により重畳成分を除去することが可能になり、測定誤差を低減することができる。
【0097】
以上において、三角関数演算器43、第1フィルタ32、第2フィルタ33を用いて、重畳成分を除去している。つまり、これらは重畳成分を除去するフィルタとしての機能を果たすことになる。ただし、これらのフィルタを設けなくても、測定誤差の低減を図ることはできる。
【0098】
前述したように、基準信号周波数faと固有振動数f0とは異なる周波数に設定している。これにより、信号に重畳成分が生じたときに、定数成分ではなく振動成分として重畳される。この振動成分の振幅の中心に着目すれば、実質的に振動成分を除去した信号とすることができる。従って、格別のフィルタを設けることなく、重畳成分による影響を低減することができる。
【0099】
また、三角関数演算器43による平均化効果が十分であれば、第1フィルタ32および第2フィルタ33を用いることなく、重畳成分を除去することができる。この場合には、第1フィルタ32および第2フィルタ33を設けなくてもよい。
【0100】
また、
図3に示すヒルベルト変換器40と三角関数演算器43とにより位相差の演算を行うと同時に、平均化効果により重畳成分の除去を行っている。位相差の演算はヒルベルト変換器40および三角関数演算器43ではない、他の回路により位相差の演算を行ってもよい。その場合には、第1フィルタ32および第2フィルタ33を設けることが望ましい。
【0101】
また、本実施形態では、経路1の回路誤差Δφ1の演算と経路2の位相差φ2の演算とを並行して行い、次に経路2の回路誤差Δφ2の演算と経路1の位相差φ1の演算とを並行して行い、この動作を時分割で交互に繰り返す例について説明したが、これに限定されない。
【0102】
回路誤差の演算と流量測定のための位相差の演算とを交互に行うような場合についても本実施形態を適用できる。この場合には、
図1に示した経路1と経路2とのうち何れか1つのみを使用して、回路誤差の演算と位相差の演算とを行うことができる。従って、回路構成としては単純になる。
【0103】
ただし、回路誤差の演算と流量測定のための位相差の演算とを並行して行うことで、無駄な待ち時間をなくすことができるという効果が得られると共に、この場合には、複数のチャネルが必要になるため、信号の重畳が発生しやすくなる。そこで、本実施形態のように、基準信号周波数faと固有振動数f0とを異ならせることで、重畳成分を除去する必要性が大きくなる。従って、本実施形態を適用することが有効である。
【0104】
また、基準信号生成回路10は固有振動数f0とは異なる1種類の基準信号(基準信号周波数fa)を生成して出力しているが、2種類以上の異なる周波数の基準信号を発生するようにしてもよい。例えば、基準信号周波数fa(=f0+a)の基準信号と基準信号周波数fb(=f0+b)の基準信号とを出力するようにしてもよい。
【0105】
2種類以上の異なる周波数の基準信号を用いると、回路誤差算出部34による回路誤差の近似演算の精度が向上する。つまり、基準信号周波数faのみを用いる場合には、1点による1次近似の演算を行うが、基準信号周波数faおよびfbを用いる場合には、2点による1次近似の演算を行うことができる。
【0106】
2種類の基準信号周波数faおよびfbを用いるときには、基準信号生成回路10は時分割で交互に基準信号周波数faの基準信号と基準信号周波数fbの基準信号とを出力する。基準信号周波数faの基準信号を出力したときに得られる前述した位相差φ3(=S303´−S304)をφ31とし、基準信号周波数fbの基準信号を出力したときに得られる位相差φ3をφ32とすると、経路1の回路誤差Δφ1は以下の式2となる。
【0108】
この場合には、2点による1次近似を行うことができるため、経路1の回路誤差Δφ1は、基準信号周波数faのみを用いた場合と比較して、近似の精度が向上する。従って、より正確な経路1の回路誤差Δφ1を得ることができ、流量測定の誤差をより低減することができる。
【0109】
また、3種類の異なる基準信号周波数の基準信号を用いて、回路誤差を演算してもよい。3種類の基準信号を用いた場合は、3点による2次近似の演算を行なうことになる。この場合には、さらに正確な経路1の回路誤差Δφ1を得ることができる。勿論、4種類以上の異なる基準信号周波数の基準信号を用いてもよい。
【0110】
また、基準信号周波数faはfa=f0+aである。また、基準信号周波数fbはfb=f0+bである。このときのaやbは動的に変化させてもよい。ただし、基準信号周波数は固定的に設定してもよい。
図5は基準信号周波数fa、fbを固定的に保持している例を示している。
【0111】
図5は
図2の構成に対して、基準信号周波数保持部38を追加している。基準信号周波数保持部38は基準信号周波数fa、fbを固定的に保持している。これらは固有振動数f0とは異なる周波数になる。なお、基準信号周波数faのみを保持していてもよい。
【0112】
基準信号周波数選択部37は周波数算出部36から基準信号を入力しておらず、基準信号周波数保持部38から基準信号周波数fa、fbを入力している。そして、基準信号周波数fa、fbを回路誤差算出部34に入力させている。これにより、経路1の回路誤差Δφ1を算出することができる。
【0113】
基準信号周波数保持部38が保持する基準信号周波数fa、fbは変更不能にしてもよいし、ユーザが指定できるパラメータとしてもよい。また、基準信号周波数fa、fbは検出器2の種類やサイズに応じて選択されるようにしてもよい。
【0114】
また、基準信号周波数fa(fbも同様)は、回路誤差を算出するときの近似の誤差とフィルタによる重畳成分の除去効果とに基づいて決定することができる。基準信号周波数faはfa=f0+aであり、つまり固有振動数f0に対してaの分だけ異なる周波数になっている。
【0115】
このとき、基準信号周波数faと固有振動数f0との差が大きすぎると、つまりaの値が大きすぎると、回路誤差算出部34が行う回路誤差の演算の近似の誤差が大きくなる。換言すれば、基準信号周波数faと固有振動数f0との差が小さければ、つまりaの値が小さければ、近似の誤差を小さくすることができる。
【0116】
一方、基準信号周波数faと固有振動数f0との差が小さすぎると、基準信号周波数faと固有振動数f0とが近接するため、信号が重畳したときの重畳成分が定数成分(オフセット成分)に近くなる。このため、各種のフィルタを用いたとしても、重畳成分を除去することが難しくなる。これにより、測定誤差を低減させることができなくなる。
【0117】
従って、基準信号周波数faの選択は、回路誤差を算出するときの近似の誤差が大きくならない程度に、且つ信号が重畳したときの重畳成分を除去可能な程度に設定することで、測定誤差をより低減させることができる。
【0118】
また、
図2では位相差算出部31と回路誤差補正部35との間に第1フィルタ32を設けるようにしたが、
図6に示すように、第1フィルタ32を回路誤差補正部35の後段に配置してもよい。第2フィルタ33は回路誤差算出部34よりも前段に配置する必要がある。つまり、重畳成分を除去した位相差の信号を用いて回路誤差の演算を行うことで、演算精度を向上させている。
【0119】
一方、第1フィルタ32は第1振動信号S1と第2振動信号S2との位相差の信号から重畳成分を除去するためのフィルタである。従って、回路誤差補正部35により補正を行った後に重畳成分を除去することによっても、位相差の信号から重畳成分を除去することができ、測定誤差を低減させることができる。
【0120】
また、
図2では、第1フィルタ32および第2フィルタ33は位相差算出部31の後段に配置した構成を示したが、第1フィルタ32および第2フィルタ33は位相差算出部31の前段に配置する構成としてもよい。