【実施例】
【0029】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の内容をより具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0030】
1.成形体及び軽量即時脱型ブロックの製造
[使用材料]
軽量即時脱型ブロックを製造するために、以下に示す材料を準備した。
(1)セメント
・普通ポルトランドセメント(密度3.16g/cm
3)
(2)骨材
・高炉スラグ細骨材
使用した高炉スラグ細骨材の粒度、実積率及び表乾密度を表1に示す。なお、表1中、縦方向の項目である「10mm以下」、「10〜2.5mm」及び「10〜5.0mm」の数値範囲は骨材粒度分布を示し、横方向の項目である「10mm」、「5mm」及び「2.5mm」等の数値はふるいの呼び寸法を示す。また、「ふるいの呼び寸法及びふるいを通るものの質量百分率」の項目欄に記載された「100」、「74」及び「19」等の数値は通過百分率(質量%)を示す。
【0031】
【表1】
【0032】
(3)混和剤
・AE剤(商品名:ブロックミックスS、ノニオン系、グレースケミカルズ株式会社製)
・高性能減水剤(商品名:マイテイ21VS、ポリカルボン酸系、花王株式会社製)
(4)練混ぜ水
・上水道水
【0033】
[コンクリートの配合]
上述のセメント、骨材、混和剤及び水を所定の比率で配合して、配合No.1〜13のコンクリートを調製した。それぞれのコンクリートの配合を表2に示す。表2の配合は充填率を100%とした場合の単位量である。つまり、コンクリート中の空隙がないものと仮定した場合の単位量を示している。
【0034】
【表2】
【0035】
[コンクリートの練混ぜ]
表2に示した配合No.1〜13のコンクリートの練り混ぜは次の手順で行った。すなわち、パドルミキサ内に、骨材及びセメントを投入して30秒間空練りした後、水及び混和剤を加えて2分間練り混ぜた。
【0036】
[供試体の成形]
練り混ぜたコンクリートを以下の方法(1)又は(2)によって成形し、成形体を作製した。
(1)テーブルバイブレータによる成形
図1は、テーブルバイブレータによる成形に用いた装置を模式的に示す図である。
図1に示す装置のテーブルバイブレータ1は正面図で示し、テーブルバイブレータ1の上に載置された部材は端面図で示している。
図1に示すように、テーブルバイブレータ1上に鉄板3を載せ、更に鉄板3の上にφ10×20cmの円柱型枠7を載せた。円柱型枠7及び鉄板3をボルト5によりテーブルバイブレータ1に固定した。円柱型枠7内に一定量(0.785L)のコンクリート11を投入して上面を平坦に均した後、おもり9(3kg)を静かに載せ、振動締固めすることにより供試体(成形体)を得た。振動条件は、振動数5000vpm、振幅0.5mm、振動時間15秒間とした。
【0037】
(2)加圧振動成形機による成形
ILB成形機(株式会社タイガーマシン製作所製)を使用して以下の要領で供試体(成形体)を作製した。試験は、(1)で示したテーブルバイブレータによる成形にて単位容積質量が1.9t/m
3以下となった水準とした。供試体寸法は、100×200×60mmとした。型枠内に一定量(設定充填率に相当する容積分)の試料を投入して上面を平坦に均した後、加圧振動成形した。加圧振動条件は、圧力5N/mm
2、振動数3600vpm、振動時間10秒間とした。
【0038】
[供試体の養生]
上記方法によって得られた供試体について、表3に示す条件で蒸気養生を行った。その後、20℃の恒温室で気中保管した。以上の手順によって、軽量即時脱型ブロックを製造した。
【0039】
【表3】
【0040】
表2に示す配合No.1〜13のコンクリートを用いて、表4に示す実施例1〜11及び比較例1〜8の即時脱型ブロックをそれぞれ製造した。
【0041】
2.供試体及び即時脱型ブロックの測定及び試験
[単位容積質量の測定方法]
各実施例及び比較例で得られた供試体又は即時脱型ブロックの質量及び容積を測定し、これらの測定値から単位容積質量を求めた。テーブルバイブレータで成形して得られた供試体については成形直後に、加圧振動成形で成形したILB供試体については材齢7日に測定した。
【0042】
[曲げ強度試験方法]
曲げ強度試験は、ILB供試体から得られた即時脱型ブロックについて実施した。材齢7日において、JIS A 5371:2010「プレキャスト無筋コンクリート製品(推奨仕様B−3 インターロッキングブロック)」の曲げ強度試験方法に準じて行った。
【0043】
[透水性試験方法]
透水性試験は、ILB供試体から得られた即時脱型ブロックについて実施した。材齢7日において、JIS A 5371:2010「プレキャスト無筋コンクリート製品(推奨仕様B−3 インターロッキングブロック)」の透水性試験方法に準じて行った。
【0044】
[試験結果]
試験結果を表4に示す。実施例及び比較例の内容は、次のとおりである。
・比較例1は基準とする配合である。表4中の「軽量化率」は、比較例1を基準とした場合の軽量化率を示している。
・比較例2及び比較例3は、比較例1の骨材粒度の範囲を狭めたものである。
・比較例4は、比較例1の単位骨材容積を増加させたものである。
・実施例1及び実施例2は、単位骨材容積を比較例4と同一としたまま、骨材粒度の範囲を狭めたものである。
・比較例5は、比較例1の単位骨材容積を減少させたものである。
・比較例6及び比較例7は、比較例5の骨材粒度の範囲を狭めたものである。
・実施例3は、実施例2の混和剤を高性能減水剤に変え、また、水セメント比を小さくしたものである。
・実施例4及び実施例5は、実施例3の単位骨材容積を大きくしたものである。
・実施例6は、実施例3の水セメント比を小さくしたものである。
・比較例8及び実施例7〜実施例11は、比較例1及び実施例2〜6と同一配合について、加圧振動成形機で成形したものである。
【0045】
【表4】
【0046】
[評価]
以上の実施例及び比較例の結果から、水セメント比が17〜35%、骨材粒度分布が10〜2.5mm、単位骨材容積が790〜850L/m
3、混和剤としてAE剤又は高性能減水剤を使用したコンクリートであれば、軽量骨材や起泡剤を用いなくても、従来の標準的な即時脱型ブロックよりも軽量である単位容積質量1.9t/m
3以下のブロックが得られることが確認された。また、透水性は従来よりも大幅に高く、供用中に砂・埃等による目詰まりによる透水性の低下が発生した場合にも、所要の透水性を確保できることが確認された。