(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記液滴吐出ヘッドに供給される前記吐出液の温度を予め定められた温度に近づくように制御する吐出液温度制御手段を備える請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の液滴吐出装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、液滴吐出ヘッドのノズル面にメンテナンス液を吹き付けることによる液滴吐出ヘッドの温度の低下を抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、吐出液が供給され、ノズル面に形成されたノズルから前記吐出液の液滴を吐出する液滴吐出ヘッドと、前記ノズル面にメンテナンス液を吹き付ける吹付装置と、前記メンテナンス液の温度を、前記液滴吐出ヘッドの温度に近づくように制
御するメンテナンス液温度制御手段と、を備える。
【0006】
請求項2の発明は、吐出液が供給され、ノズル面に形成されたノズルから前記吐出液の液滴を吐出する液滴吐出ヘッドと、前記ノズル面にメンテナンス液を吹き付ける吹付装置と、前記メンテナンス液の温度を、
前記液滴吐出ヘッドの温度以上となるように制御するメンテナンス液温度制御手段と、を備える。
【0007】
請求項3の発明は、
前記メンテナンス液温度制御手段は、前記メンテナンス液を前記液滴吐出ヘッドに対して0℃以上で15℃以下の範囲に制御又は前記メンテナンス液を60℃以下に制御する。
【0008】
請求項4の発明は、前記液滴吐出ヘッドの温度を予め定められた温度に近づくように制御するヘッド温度制御手段を備える。
【0009】
請求項5の発明は、前記液滴吐出ヘッドに供給される前記吐出液の温度を予め定められた温度に近づくように制御する吐出液温度制御手段を備える。
【0010】
請求項6の発明は、メンテナンス液の温度を、液滴吐出ヘッドの温度に近づくように制
御するメンテナンス液温度制御工程と、温度制御された前記メンテナンス液を、前記液滴吐出ヘッドにおける吐出液の液滴を吐出するノズルが形成されたノズル面に吹き付ける吹付工程と、備える。
請求項7の発明は、メンテナンス液の温度を、前記液滴吐出ヘッドの温度以上となるように制御するメンテナンス液温度制御工程と、
温度制御された前記メンテナンス液を、前記液滴吐出ヘッドにおける吐出液の液滴を吐出するノズルが形成されたノズル面に吹き付ける吹付工程と、
を備える液滴吐出ヘッドのメンテナンス方法。
請求項8の発明は、前記メンテナンス液温度制御工程は、前記メンテナンス液を前記液滴吐出ヘッドに対して0℃以上で15℃以下の範囲に制御又は前記メンテナンス液を60℃以下に制御する。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載に発明によれば、メンテナンス液温度制御手段を有していない構成と比較し、液滴吐出ヘッドのノズル面にメンテナンス液を吹き付けることによる液滴吐出ヘッドの温度の低下が抑制される。
【0012】
請求項2に記載に発明によれば、メンテナンス液温度制御手段を有していない構成と比較し、液滴吐出ヘッドのノズル面にメンテナンス液を吹き付けることによる液滴吐出ヘッドの温度の低下が抑制される。
【0013】
請求項3に記載に発明によれば、
メンテナンス液を液滴吐出ヘッドに対して0℃未満又は15℃よりも高温に制御又はメンテナンス液を60℃よりも高温に制御する構成と比較し、撥水材料の耐久性が向上する。
【0014】
請求項4に記載に発明によれば、ヘッド温度制御手段を有していない構成と比較し、液滴吐出ヘッドの温度の変動が抑制される。
【0015】
請求項5に記載に発明によれば、吐出液温度制御手段を有していない構成と比較し、吐出液の温度の変動が抑制される。
【0016】
請求項6に記載に発明によれば、メンテナンス液温度制御工程を有しない場合と比較し、液滴吐出ヘッドのノズル面にメンテナンス液を吹き付けることによる液滴吐出ヘッドの温度の低下が抑制される。
請求項7に記載に発明によれば、メンテナンス液温度制御工程を有しない場合と比較し、液滴吐出ヘッドのノズル面にメンテナンス液を吹き付けることによる液滴吐出ヘッドの温度の低下が抑制される。
請求項8に記載に発明によれば、メンテナンス液を液滴吐出ヘッドに対して0℃未満又は15℃よりも高温に制御又はメンテナンス液を60℃よりも高温に制御する構成と比較し、撥水材料の耐久性が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
<インクジェット記録装置の全体構成>
まず、液滴吐出装置の一例としてのインクジェット記録装置10の全体構成について説明する。
【0019】
図1で示すように、インクジェット記録装置10は、記録用紙Pを送り出す用紙供給部12と、記録用紙Pの姿勢を制御するレジ調整部14と、インク滴を吐出して記録用紙Pに画像形成する記録ヘッド部16及び記録ヘッド部16のメンテナンスを行うメンテナンス部18を備える記録部20と、記録部20で画像形成された記録用紙Pを排出する排出部22と、を含んで構成されている。
【0020】
用紙供給部12は、記録用紙Pが積層されてストックされているストッカー24と、ストッカー24から1枚ずつ取り出してレジ調整部14に搬送する搬送装置26と、を含んで構成されている。レジ調整部14は、ループ形成部28と、記録用紙Pの姿勢を制御するガイド部材29と、を有している。そして、記録用紙Pはレジ調整部14を通過することによって、そのコシを利用してスキューが矯正されると共に搬送タイミングが制御されて、記録部20に供給される。一方、排出部22は、記録部20で画像が形成された記録用紙Pを、排紙ベルト23によってトレイ25に収納する。
【0021】
記録部20では、記録ヘッド部16とメンテナンス部18とが、上下に対向して設けられており、これらの間にはレジ調整部14から送り込まれた記録用紙Pが搬送される用紙搬送路27が設けられている。用紙搬送路27における各インクジェット記録ユニット30の搬送方向上流側と搬送方向下流側とには、それぞれ上下に対向するスターホイール17と搬送ロール19とが複数対設けられている。そして、スターホイール17と搬送ロール19とで記録用紙Pを挟持しつつ連続的に(停止することなく)搬送するように構成されている。
【0022】
記録ヘッド部16には、用紙搬送路27に沿って、予め定められた間隔で配列された複数のインクジェット記録ユニット30が設けられている。なお、インクジェット記録ユニット30は、例えば、いわゆるフルカラーの画像を記録するために、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色に対応して、少なくとも4つ設けられている。
【0023】
図2に示すように、各インクジェット記録ユニット30は、矢印PFで示す用紙搬送方向と直交する紙幅方向を長手方向として配置された支持部材34を備えており、この支持部材34に複数のインクジェット記録ヘッド100が取り付けられている。インクジェット記録ヘッド100における用紙搬送路27に対向する下面はノズル面150Aとされ(
図1参照)ている。このノズル面150Aには、記録用紙Pの紙幅方向にインクジェット記録ユニット30全体として一定のピッチとなるように、マトリックス状に複数のノズル151が形成されている。そして、ノズル151から吐出液の液滴の一例としてのインク滴が吐出されることで、記録用紙Pに画像が形成される。
【0024】
図1に示すように、メンテナンス部18は、各インクジェット記録ユニット30(インクジェット記録ヘッド100)に対して対向配置され、インクジェット記録ヘッド100のメンテンスを行う複数のメンテナンス装置21を有している。各メンテナンス装置21は、インクジェット記録ヘッド100のノズル面150Aを払拭するワイピングブレード15を有している。また、各メンテナンス装置21は、インクジェット記録ヘッド100のノズル面150Aをワイピングブレード15で払拭する払拭動作を行う前などに、ノズル面150Aにメンテナンス液を吹き付ける吹付装置200を有している(
図4参照、詳細は後述する)。
【0025】
なお、それぞれのインクジェット記録ユニット30による印字領域幅は、このインクジェット記録装置10での画像記録が想定される最大の記録用紙Pの用紙幅よりも広くなるように設定されており、インクジェット記録ユニット30を紙幅方向に移動させることなく、記録用紙Pの全幅にわたる画像記録が可能とされている。
【0026】
ここで、印字領域幅とは、記録用紙Pの両端から印字しないマージンを引いた記録領域のうち最大のものが基本となるが、一般的には印字対象となる用紙最大幅よりも大きくとっている。これは、記録用紙Pが搬送方向に対して予め定められた許容範囲内で角度傾斜して(スキューして)搬送されるおそれがあるためと、縁無し印字の要望が高いためである。
【0027】
<インクジェット記録ヘッド>
つぎに、液滴吐出ヘッドの一例としてのインクジェット記録ヘッド100について説明する。なお、上下左右の説明は、インクジェット記録装置10のインクジェット記録ユニット30にインクジェット記録ヘッド100が装着された状態おける方向である(
図1参照)。
【0028】
図3に示すように、インクジェット記録ヘッド100は、マニホールド110と、記録ヘッド基板150と、記録ヘッド基板150を保護する保護カバー160と、記録ヘッド基板150と接続されたフレキシブル基板120と、フレキシブル基板120の外側に配置されたカバー部材130と、を含んで構成されている。
【0029】
マニホールド110には、インクが供給される供給口114と、インクが排出される排出口116と、を有している。また、マニホールド110の内部にはフィルター118が備えられている。マニホールド110の下側に、前述した記録ヘッド基板150が設けられている。記録ヘッド基板150には、前述したインク滴を吐出するノズル151(
図2参照)が形成されたノズル面150Aが下面に配置されている。また、記録ヘッド基板150の内部には、マニホールド110から供給されたインクが流れるインク流路や圧力室、及び圧力室に充填されたインクを加圧してノズル151(
図2参照)からインク滴を吐出する圧電素子等が設けられている。更に、圧電素子を駆動させるための電気回路も設けられている。
【0030】
フレキシブル基板120は、マニホールド110の両側面に沿って設けられている。そして、フレキシブル基板120の左右方向の外側には、正面視においてL字形状のカバー部材130が設けている。なお、カバー部材130は、第一カバー部132と第二カバー部134とで構成されている。また、カバー部材130の第二カバー部134の下面には、保護カバー160が接合されている。
【0031】
カバー部材130の第一カバー部132は、マニホールド110の側面に、フレキシブル基板120が挟まれた状態で、接着部材112によって接着接合されている。カバー部材130の第二カバー部134は、マニホールド110の側面及び記録ヘッド基板150の側面に、接着部材136によって接着接合されている。また、第一カバー部132と第二カバー部134とも、この接着部材136によって接着接合されている。そして、保護カバー160が、カバー部材130の第二カバー部134の下面に接着部材162によって接着接合されている。
【0032】
インクジェット記録ヘッド100には、主に記録ヘッド基板150の温度を昇温させるヘッド昇温装置152と主に記録ヘッド基板150の温度を検知するヘッド温度検知装置(温度センサ)154とが設けられている。そして、これらヘッド昇温装置152及びヘッド温度検知装置154は、制御装置300(
図4参照、詳細は後述する)に電気的に接続されている。
【0033】
<インク供給装置と吹付装置>
つぎに、インク供給装置と吹付装置について説明する。なお、矢印S1はインクの流れを表し、矢印S2はメンテナンス液の流れを表している。
【0034】
図4に示すように、インクジェット記録装置10は、インクジェット記録ヘッド100にインクを供給するインク供給装置180を備えている。インク供給装置180は、インクを貯留するメインインクタンク182とサブインクタンク184とを備えている。メインインクタンク182に貯留されたインクは、サブインクタンク184に送られ、サブインクタンク184からインクジェット記録ヘッド100のマニホールド110の供給口114に送られる。供給口114からマニホールド110に供給されたインクは、記録ヘッド基板150に供給されたのち、マニホールド110に戻り、排出口116から排出される。排出口116から排出されたインクは、メインインクタンク182に戻り循環する。
【0035】
サブインクタンク184には、サブインクタンク184内のインクを昇温させるインク昇温装置186と、サブインクタンク184内のインクの温度を検知するインク温度検知装置(温度センサー)188と、が設けられている。そして、これらインク昇温装置186及びインク温度検知装置188は、制御装置300(詳細は後述する)に電気的に接続されている。
【0036】
前述したようにインクジェット記録装置10のメンテナンス装置21には、ノズル面150Aをワイピングブレード15(
図1参照)で払拭(ワイピング)する払拭動作(ワイピング動作)を行う前などに、ノズル面150Aにメンテナンス液を吹き付ける吹付装置200を有している。
【0037】
吹付装置200は、メンテナンス液を噴射してノズル面150Aに吹き付ける吹付ヘッド250と、メンテナンス液を貯留するメインメンテナンス液タンク202及びサブメンテナンス液タンク204と、を含んで構成されている。
【0038】
メインメンテナンス液タンク202に貯留されたメンテナンス液は、サブメンテナンス液タンク204に送られ、サブメンテナンス液タンク204から吹付ヘッド250に送られる。そして、吹付ヘッド250から記録ヘッド基板150のノズル面150Aに向けてメンテナンス液を噴射して吹き付ける。
【0039】
なお、吹付ヘッド250からメンテナンス液を噴射させて吹き付ける機構は、どのような機構であってもよい。例えは、ポンプ等で加圧して、ノズルからメンテナンス液を噴射させる構成であってもよい。
【0040】
サブメンテナンス液タンク204には、サブメンテナンス液タンク204内のメンテナンス液を昇温させるメンテナンス液昇温装置212と、サブメンテナンス液タンク204内のメンテナンス液の温度を検知するメンテナンス液温度検知装置(温度センサー)214と、が設けられている。そして、メンテナンス液昇温装置212及びメンテナンス液温度検知装置214は、制御装置300(詳細は後述する)に電気的に接続されている。
【0041】
制御装置300は、CPU(Central Processing Unit(中央処理装置))やメモリ等を含んで構成されている。そして、ヘッド温度検知装置154、インク温度検知装置188、メンテナンス液温度検知装置214の検知結果に基づき(各温度に基づき)、ヘッド昇温装置152、インク昇温装置186、メンテナンス液昇温装置212を制御し、それぞれを予め定められた温度又は温度範囲に制御する。
【0042】
<温度制御>
つぎに、制御装置300による温度制御について説明する。なお、インクジェット記録ヘッド100の温度をHT、インクの温度をIT、メンテナンス液の温度をMTとする。
【0043】
メンテナンス装置21によるメンテナンス動作時以外の通常の印字において、制御装置300は、HTとITとをそれぞれ予め定められた温度となるように制御する。本実施形態では、HT=IT=30℃となるように制御している。
【0044】
一方、メンテナンス動作時に吹付ヘッド250からメンテナンス液を噴射させてノズル面150Aに吹き付ける動作を行う際において、制御装置300は、HT及びITを維持しつつ、MT≧HT(=IT)となるようにメンテナンス液の温度を制御する。つまり、吹付ヘッド250から噴射されるメンテナンス液の温度(MT)をインクジェット記録ヘッド100の温度(HT)以上となるようにメンテナンス液の温度を制御する。
【0045】
なお、本実施形態では、MTは30℃〜45℃に制御されている。また、本実施形態においては、MTは、接着部材112、136、162やシール部材、及びノズル面150等に形成された撥水材料の耐久性等を考慮して60℃以下にすることが望ましい。
【0046】
<作用及び効果>
つぎに、作用及び効果について説明する。
【0047】
前述したように、吹付ヘッド250から噴射されるメンテナンス液の温度(MT)をインクジェット記録ヘッド100の温度(HT)以上となるようにメンテナンス液の温度が制御されている(MT≧HT(=IT)なるように制御されている)。よって、メンテナンス液をノズル面150Aに吹き付けても、インクジェット記録ヘッド100の温度(HT)の低下が抑制される。よって、インクジェット記録ヘッド100の温度が低下することによるインクジェット記録ヘッド100を構成する各種部材の収縮やインクジェット記録ヘッド100の内部の閉空間又は略閉空間の局所的な陰圧の発生等が抑制又は防止される。
【0048】
なお、インクジェット記録ヘッド100の内部の閉空間又は略閉空間とは、インクジェット記録ヘッド100の内部の隙間や凹凸部分に形成される空間、更に記録ヘッド基板150の内部のインク流路や圧力室などが挙げられる。
【0049】
そして、部材収縮や局所的な陰圧によって発生する可能性がある接着部材112,136,162等の接着面やその他シール面からのメンテナンス液のインクジェット記録ヘッド100内部への浸入やこれに伴う接着部材劣化や電気回路の不具合、また、メンテナンス液がノズル151(
図2参照)から吸い込まれてインクと混じりインク品質が低下することによる印字品質低下等の不具合の発生が、抑制又は防止される。
【0050】
なお、吐出液の一例としてのインクの成分及びメンテナンス液の成分は、特に限定されるものではない。本実施形態では、顔料インクとされ、メンテナンス液はインクから顔料成分を除いた液体とされている。なお、メンテナンス液に、ノズル面150を清掃するクリーニング性能を向上させるための成分が添加されていてもよい。
【0051】
また、メンテナンス液の成分及びインクの成分によっては、メンテナンス液がノズル151から吸い込まれインクに混入するとインクが増粘する場合もある。そして、インクが増粘すると吐出性能に影響を受けて印字品質が低下することがある。しかし、前述したように本実施形態では、メンテナンス液を温度制御することで、メンテナンス液がノズル151から吸い込まれてインクと混じることが防止又は抑制されている。よって、インクの増粘による印字品質の低下が抑制又は防止される。
【0052】
ここで、メンテナンス液の温度がインクジェット記録ヘッド100の温度よりも低くても、メンテナンス液が温度制御されていない場合よりも(メンテンナンス液が低温の場合よりも)、ヘッド温度(HT)の低下が抑制される。よって、メンテンナンス液の温度MTとインクジェット記録ヘッドの温度HT(インクの温度IT)との温度差ΔT(℃)とインクジェット記録ヘッド100の内部の減圧状態との関係について、
図5を用いて説明する。
【0053】
図5の表において、インクジェット記録ヘッド100の内部に減圧状態(局部的陰圧)が発生しない場合(OKレベル)には○印、減圧状態(局部的陰圧)が発生する場合(NGレベル)には×印、減圧状態(局部的陰圧)が発生するが問題が生じない場合(OKレベル)は△印として示している。
【0054】
そして、この
図5の表に示されているように、ΔTが−5℃以上であれば、問題が発生ないことが判る。よって、MT−HT=ΔT≧−5℃となるように制御されていれば、部材収縮や局所的な陰圧による不具合が防止される。
【0055】
<変形例>
つぎに本実施形態の変形例について説明する。
【0056】
(第一変形例)
第一変形例は、
図6に示すように、ヘッド昇温装置152(
図4参照)が設けられていない構成となっている。第一変形例では、インクジェット記録ヘッド100の温度は、昇温されたインクによって制御される。そして、制御装置300は、MT≧HT又はMT−HT=ΔT≧−5℃となるようにメンテナンス液の温度を制御する。
【0057】
なお、
図6の構成において、ヘッド温度検知装置154が設けられていない構成であってもよい。この場合は、インクジェット記録ヘッド100の温度は、昇温され温度制御されたインクと略同じ温度とする。そして、制御装置300は、MT≧IT又はMT−IT=ΔT≧−5℃となるようにメンテナンス液の温度を制御する。
【0058】
(第二変形例)
第二変形例は、
図7に示すように、サブインクタンク184(
図4参照)が設けられていない構成、すなわちインク昇温装置186及びインク温度検知装置188が設けられていない構成となっている。第二変形例でも、制御装置300は、MT≧HT又はMT−HT=ΔT≧−5℃となるようにメンテナンス液の温度を制御する。
【0059】
なお、
図7の構成において、ヘッド昇温装置152が設けられていない構成であってもよい。この場合は、インクジェット記録ヘッド100及びインクの温度は外気温又は装置内温度等によって変動する。そして、この場合も同様に制御装置300は、MT≧HT又はMT−HT=ΔT≧−5℃となるようにメンテナンス液の温度を制御する。
【0060】
(第三変形例)
第三変形例は、
図8に示すように、ヘッド昇温装置152、ヘッド温度検知装置154、サブインクタンク184(インク昇温装置186及びインク温度検知装置188)が設けられていない構成となっている(
図4参照)
【0061】
この場合、インクジェット記録ヘッド100(及びインク)の温度は、外気温又は装置内温度等によって変動する。そして、制御装置300は、予め定められたMT、例えば、MT=40℃なるように制御する。
【0062】
或いは、インクジェット記録ヘッド100(及びインク)の温度は、外気温又は装置内温度と略同じになると仮定し、制御装置300は別途測定された外気温GT又は装置内温度GTに基づいて、MT≧GT(=HT)又はMT−GT(=HT)=ΔT≧−5℃となるようにメンテナンス液の温度を制御してもよい。
【0063】
(その他の変形例)
インク昇温装置186、ヘッド昇温装置152、インク昇温装置186、及びインク温度検知装置188の有無の組み合わせは、第一変形例〜第三変形例で説明した以外の組み合わせであってもよい。
【0064】
<その他>
尚、本発明は上記実施形態に限定されない。
【0065】
例えば、メンテナンス液の昇温は、サブメンテナンス液タンク204に貯留して昇温したがこれに限定されない。サブメンテナンス液タンク204が無くメインメンテナンス液タンク202内のメンテナンス液を昇温させるようにしてもよい。或いは、吹付ヘッド250を昇温させてもよい。要はメンテンナンス液を昇温させることが可能であれは、どのような昇温場所及び昇温方法であってもよい。
【0066】
また、メンテナンス液の温度検知は、サブメンテナンス液タンク204に貯留したメンテナンス液を測定したがこれに限定されない。吹付ヘッド250の温度を検知してもよいし、流路S2を流れるメンテンナンス液の温度を測定してもよい。
【0067】
更に、予め定められたMT,HT,ITが外気温や装置内温度よりも低くなる可能性がある場合(例えば、HTが30℃の場合、外気温が30℃よりも高くなるような場所に設置する場合や装置内の熱源によって装置内の温度が30℃以上に上昇する場合等)、昇温装置に加え冷却装置を設けて温度制御してもよい。この場合も、制御装置300は、MT≧HT(又はIT)又はMT−HT(又はIT)=ΔT≧−5℃となるように制御する。
【0068】
更に、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得ることは言うまでもない。
【0069】
なお、本発明の液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置においては、画像記録の対象となる「記録媒体」には、液滴吐出ヘッドが液滴を吐出する対象物であれば広く含まれる。また、液滴が記録媒体上に付着されることで得られる記録媒体上のドットのパターンが、本発明の液滴吐出装置で得られる「画像」あるいは「記録画像」に広く含まれる。したがって、本発明の液滴吐出装置は、記録用紙上への文字や画像の記録に用いられるものに限定されない。また、記録媒体には、記録用紙やOHPシートなどが含まれるのはもちろんであるが、これら以外にも、たとえば、配線パターン等が形成される基板などが含まれる。また、「画像」には、一般的な画像(文字、絵、写真など)のみならず、上記したような配線パターンや3次元物体、有機薄膜などが含まれる。吐出する液体も着色インクに限定されるわけではない。例えば、高分子フィルムやガラス上に着色インクを吐出して行うディスプレイ用のカラーフィルターの作製、溶融状態のハンダを基板上に吐出して行う部品実装用のバンプの形成、有機EL溶液を基板上に吐出させて行うELディスプレイパネルの形成、溶融状態のハンダを基板上に吐出して行う電気実装用のバンプの形成など、様々な工業的用途を対象とした液滴吐出装置一般に対して、本発明の液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0070】
10 インクジェット記録装置(液滴吐出装置の一例)
100 インクジェット記録ヘッド(液滴吐出ヘッドの一例)
150A ノズル面
151 ノズル
152 ヘッド昇温装置(ヘッド温度制御手段の一例)
154 ヘッド温度検知装置(ヘッド温度制御手段の一例)
186 インク昇温装置(インク温度制御手段の一例)
188 インク温度検知装置(インク温度制御手段の一例)
200 吹付装置(メンテナンス液温度制御手段の一例)
212 メンテナンス液昇温装置(メンテナンス液温度制御手段の一例、メンテナンス液昇温手段の一例)
214 メンテナンス液温度検知装置(メンテナンス液温度制御手段の一例)
300 制御装置(メンテナンス液温度制御手段の一例、ヘッド温度制御手段の一例、インク温度制御手段の一例))