(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5974549
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】スイッチング電源装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20160809BHJP
【FI】
H02M3/28 H
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-49359(P2012-49359)
(22)【出願日】2012年3月6日
(65)【公開番号】特開2013-187950(P2013-187950A)
(43)【公開日】2013年9月19日
【審査請求日】2015年1月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161562
【弁理士】
【氏名又は名称】阪本 朗
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 紘介
【審査官】
▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−092794(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源に並列接続されるトランス1次巻線と半導体スイッチとの直列回路と、前記トランスの2次巻線に接続される整流平滑回路と、前記整流平滑回路の出力電圧と基準電圧との誤差を増幅して前記トランスの1次側に帰還する出力電圧検出回路と、コンデンサの充放電動作を用いた発振回路と、前記発振回路の出力と前記出力電圧検出回路の出力とに基づいて、前記半導体スイッチを駆動するスイッチング信号を生成する制御回路と、を備え、前記整流平滑回路の出力に負荷を接続するスイッチング電源装置において、
前記スイッチング信号の周波数制御回路は、前記出力電圧検出回路の出力電圧から前記負荷が定常負荷に比べて軽負荷であることを判定する第1の設定回路と、前記出力電圧検出回路の出力電圧から前記負荷が定常負荷に比べて重負荷であることを判定する第2の設定回路と、前記出力電圧検出回路の出力電圧を前記コンデンサの充電又は放電の電流に変換する電圧−電流変換回路と、を備え、
前記負荷が軽負荷であると判定された場合には前記スイッチング信号の周波数を定常負荷時のスイッチング信号の周波数よりも低下させ、前記負荷が重負荷であると判定された場合には前記スイッチング信号の周波数を定常負荷時のスイッチング信号の周波数よりも高くし、
前記出力電圧検出回路の出力電圧と前記第1の設定回路からの電圧とを入力とし、前記出力電圧検出回路の出力電圧が第1の設定回路からの電圧より小さい時は前記出力電圧検出回路の出力電圧を、前記出力電圧検出回路の出力電圧が第1の設定回路からの電圧より大きい時は前記第1の設定回路からの出力電圧を、各々前記コンデンサの充電又は放電の電流に変換する
ことを特徴とするスイッチング電源装置。
【請求項2】
直流電源に並列接続されるトランス1次巻線と半導体スイッチとの直列回路と、前記トランスの2次巻線に接続される整流平滑回路と、前記整流平滑回路の出力電圧と基準電圧との誤差を増幅して前記トランスの1次側に帰還する出力電圧検出回路と、コンデンサの充放電動作を用いた発振回路と、前記発振回路の出力と前記出力電圧検出回路の出力とに基づいて、前記半導体スイッチを駆動するスイッチング信号を生成する制御回路と、を備え、前記整流平滑回路の出力に負荷を接続するスイッチング電源装置において、
前記スイッチング信号の周波数制御回路は、前記出力電圧検出回路の出力電圧から前記負荷が定常負荷に比べて軽負荷であることを判定する第1の設定回路と、前記出力電圧検出回路の出力電圧から前記負荷が定常負荷に比べて重負荷であることを判定する第2の設定回路と、前記出力電圧検出回路の出力電圧を前記コンデンサの充電又は放電の電流に変換する電圧−電流変換回路と、を備え、
前記負荷が軽負荷であると判定された場合には前記スイッチング信号の周波数を定常負荷時のスイッチング信号の周波数よりも低下させ、前記負荷が重負荷であると判定された場合には前記スイッチング信号の周波数を定常負荷時のスイッチング信号の周波数よりも高くし、
前記出力電圧検出回路の出力電圧と前記第2の設定回路からの電圧とを入力とし、前記出力電圧検出回路の出力電圧が第2の設定回路からの電圧より小さい時は前記出力電圧検出回路の出力電圧を、前記出力電圧検出回路の出力電圧が第2の設定回路からの電圧より大きい時は前記第2の設定回路からの出力電圧を、各々前記コンデンサの充電又は放電の電流に変換する
ことを特徴とするスイッチング電源装置。
【請求項3】
前記周波数制御回路は、前記出力電圧検出回路の出力電圧と前記第2の設定回路からの電圧とを入力とし、前記出力電圧検出回路の出力電圧が第2の設定回路からの電圧より小さい時は前記出力電圧検出回路の出力電圧を、前記出力電圧検出回路の出力電圧が第2の設定回路からの電圧より大きい時は前記第2の設定回路からの出力電圧を、各々前記コンデンサの充電又は放電の電流に変換することを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体スイッチのスイッチング動作により、直流電源から電圧の異なる別の直流に変換するスイッチング電源装置に関し、特に、負荷の大きさに応じてスイッチング周波数を制御し、装置の高効率化と、適用する部品の小型化を図る制御回路技術に関する。
【背景技術】
【0002】
図6に、特許文献1で公知の負荷の変動に応じてスイッチング周波数を変化させ、損失の低減による高効率化とスイッチング素子のピーク電流抑制による使用部品の小型化を図った回路例を示す。主回路方式はフライバック形で、制御方式は電流モード制御形である。
【0003】
主回路構成は、直流電源としてのコンデンサCiと並列にトランスTの1次巻線P1と半導体スイッチとしてのMOSFETQ1と電流検出抵抗Rsとの直列回路が、トランスTの2次巻線S1と並列に整流ダイオードD1と平滑コンデンサCoとからなる整流平滑回路が、各々接続され、平滑コンデンサCoの両端が直流出力端子Po(正極出力端子)、No(負極出力端子)に接続される。
【0004】
制御回路は、電流モード制御形で、主要部は集積回路(IC)として1チップ化されてリいる。直流出力電圧を基準値と比較して、この偏差が零になるように,1次側MOSFETQ1を流れる電流のピーク値を制御する制御方式である。
直流出力電圧は抵抗Ro1とRo2で分圧された電圧値をシャントレギュレータD2の制御端子に入力して偏差に応じた電流でフォトカプラPC1のダイオードを駆動して、1次側制御回路に接続されたフォトトランジスタの電流をプルアップ抵抗を介して電圧に変換し、これをフィードバック(帰還)電圧とする。
【0005】
一方、発振回路は、制御回路の基準電源電圧Vregで抵抗R1を介して発振用コンデンサC2を充電し、コンデンサC2の電圧が抵抗R2とR3で分圧された電圧に達したことをコンパレータCP2で判定して、トランジスタQ2をオンさせる。トランジスタQ2がオンするとコンデンサC2の電荷は放電され、同時に、トランジスタQ2自身もオフとなり、フリップフロップFFはセットされて、ノアゲートNOR、ドライブ回路、抵抗R7を介してMOSFETQ1がオンとなる。MOSFETQ1がオンすると、電流IQ1が直流入力電圧値とトランスのインダクタンス値で決まる傾斜で上昇する。この電流をシャント抵抗Rsの電圧として検出し、この電圧値が前述のフィードバック電圧値(FB端子の電圧値)に到達したことをコンパレータCP1で検出し、フリップフロップFFをリセットする。この結果、MOSFETQ1はオフとなる。この様な動作を繰り返すことにより、直流出力電圧は一定値に定電圧制御される。
【0006】
抵抗R1と発振用コンデンサC2との接続点とMOSFETQ1用のオンオフ信号を出力するOUT端子との間には、抵抗R8、R9及びコンデンサC3で構成された平均化回路が接続される。MOSFETQ1駆動用のオンオフ信号のオンデューティは直流出力端子(Po、No)間に接続される負荷の大きさに応じて変化する。即ち、負荷が軽い(軽負荷)時にはオンデューティは小さくなり、負荷が大きい(重負荷)時にはオンデューティは大きくなる。この結果、発振用コンデンサC2の充電時間は重負荷時には短くなり、スイッチング周波数が高くなる。また、軽負荷時にはコンデンサC2の充電時間は長くなり、スイッチング周波数が低くなる。軽負荷時にスイッチング周波数を低下させることにより、損失が低減され、装置の変換効率が向上する。また、重負荷時には周波数が上昇するため、MOSFETQ1の電流IQ1のピーク電流が抑制され、MOSFETQ1、トランスT、ダイオードD1などの使用部品が小型化される。
【0007】
制御方式として、電流モード制御形の従来例を説明したが、スイッチング電源の制御方式には電圧モード制御形と電流モード制御形の2種類がある。PWM(パルス幅変調)制御の違いを
図7に示す。
図7(a)に示すように、電流モード制御形のPWM波形は、発振器のオントリガー信号でオン信号となり、フィードバック電圧値(FB端子の電圧)をプルアップ抵抗などのレベルシフト回路で変換した電圧とスイッチング素子(MOSFET)に流れるピーク電流検出値を電圧に変換した電圧(IS端子の電圧)とをコンパレータCP3で比較して、ピーク電流検出値がフィードバック電圧値に達するとオフとする構成で得られる。ここで、IS端子に接続されているLEB(Leading Edge Braking)は、スイッチングのオン時にIS端子の電圧にのってくるスパイク電圧を検出しないように微少時間マスクするための機能である。
電圧モード制御形はフィードバック電圧値(FB端子の電圧)とランプ電圧発振器Oscの出力電圧値をコンパレータCP4で比較して得られる。発振器としては三角波発振器なども用いられる。詳細は特許文献3に説明されているので省略する。
【0008】
次に、特許文献2で公知の電圧モード制御形のスイッチング電源の従来例を、
図8、
図9に示す。
図8はフライバック型の主回路構成で、直流電源としてのコンデンサCiと並列にトランスT1の1次巻線Pと半導体スイッチとしてのMOSFETQ1との直列回路が、トランスTの2次巻線Sと並列に整流ダイオードD1と平滑コンデンサCoとからなる整流平滑回路が、各々接続され、平滑コンデンサCoの両端が直流出力端子Po(正極出力端子)、No(負極出力端子)に接続される。
【0009】
制御回路は、負荷の定常状態では直流出力の負荷状態を負荷状態検出回路LDで検出し、フォトカプラPC1で直流電圧の状態を1次側回路にフィードバック電圧として送り、このフィードバック電圧と三角波形を出力する発振器OSCの電圧とをコンパレータCP5で比較して、オンオフ波形を生成し、ドライフ回路DRVを介してMOSFETQ1を駆動する。フィードバック電圧は負荷が軽負荷になると小さくなるので、これを発振周波数低下回路OFLで検出して、発振器OSCの周波数を低下させる。
図9に、発振周波数低下回路OFLと発振回路OSC2の具体的な回路構成を示す。
コンパレータCP6でフィードバック電圧を基準値Vref2と比較し、軽負荷であるか定常負荷であるかを判定する。定常時はトランジスタQ10とQ11をオンさせ、軽負荷になるとトランジスタQ10とQ11をオフさせる動作である。定常時はコンデンサC4の充電は電流源IhとIiとの並列回路の電流で、同様に放電は電流源IjとIkとの並列回路の電流で行われる。トランジスタQ12とQ13はカレントミラー回路でトランジスタQ12の電流は電流源IjとIkとの並列回路の電流となる。一方、軽負荷時はトランジスタQ10とQ11をオフさせるため、コンデンサC4の充電は電流源Iiの電流で、放電は電流源Ikの電流で行われる。従って、
図10に示すように、軽負荷時にはスイッチング周波数を低下させることになり、損失が低減され、装置の変換効率が向上する。詳細は特許文献2に記載されているので、省略する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2002−369514号公報
【特許文献2】特開平9−98571号公報
【特許文献3】特開2010−259161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述のように、従来例1では、スイッチング素子の駆動信号のデューティで発振周波数を変動させているので、定常状態でのスイッチング周波数を安定化させるためには周波数変化の傾斜を大きくできない。従って、重負荷時のスイッチング素子のピーク電流抑制が不十分となる。
また、従来例2では、軽負荷時の損失を低減させることはできるが、重負荷時のスイッチング素子のピーク電流抑制ができない。
従って、本発明の課題は、定常状態では安定な周波数でのスイッチングが可能で、軽負荷時は低損失化を図り、重負荷時はスイッチング素子のピーク電流を抑制することのできるスイッチング電源装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の課題を解決するために、第1の発明においては、直流電源に並列接続されるトランス1次巻線と半導体スイッチとの直列回路と、前記トランスの2次巻線に接続される整流平滑回路と、前記整流平滑回路の出力電圧と基準電圧との誤差を増幅して前記トランスの1次側に帰還する出力電圧検出回路と、コンデンサの充放電動作を用いた発振回路と、前記発振回路の出力と前記出力電圧検出回路の出力とに基づいて、前記半導体スイッチを駆動するスイッチング信号を生成する制御回路と、を備え、前記整流平滑回路の出力に負荷を接続するスイッチング電源装置において、
前記スイッチング信号の周波数制御回路は、前記出力電圧検出回路の出力電圧から前記負荷が定常負荷に比べて軽負荷であることを判定する第1の設定回路と、前記出力電圧検出回路の出力電圧から前記負荷が定常負荷に比べて重負荷であることを判定する第2の設定回路と、
前記出力電圧検出回路の出力電圧を前記コンデンサの充電又は放電の電流に変換する電圧−電流変換回路と、を備え、
前記負荷が軽負荷であると判定された場合には前記スイッチング信号の周波数を定常負荷時のスイッチング信号の周波数よりも低下させ、前記負荷が重負荷であると判定された場合には前記スイッチング信号の周波数を定常負荷時のスイッチング信号の周波数よりも高く
し、
前記出力電圧検出回路の出力電圧と前記第1の設定回路からの電圧とを入力とし、前記出力電圧検出回路の出力電圧が第1の設定回路からの電圧より小さい時は前記出力電圧検出回路の出力電圧を、前記出力電圧検出回路の出力電圧が第1の設定回路からの電圧より大きい時は前記第1の設定回路からの出力電圧を、各々前記コンデンサの充電又は放電の電流に変換する。
【0013】
第2の発明においては、
直流電源に並列接続されるトランス1次巻線と半導体スイッチとの直列回路と、前記トランスの2次巻線に接続される整流平滑回路と、前記整流平滑回路の出力電圧と基準電圧との誤差を増幅して前記トランスの1次側に帰還する出力電圧検出回路と、コンデンサの充放電動作を用いた発振回路と、前記発振回路の出力と前記出力電圧検出回路の出力とに基づいて、前記半導体スイッチを駆動するスイッチング信号を生成する制御回路と、を備え、前記整流平滑回路の出力に負荷を接続するスイッチング電源装置において、
前記スイッチング信号の周波数制御回路は、前記出力電圧検出回路の出力電圧から前記負荷が定常負荷に比べて軽負荷であることを判定する第1の設定回路と、前記出力電圧検出回路の出力電圧から前記負荷が定常負荷に比べて重負荷であることを判定する第2の設定回路と、前記出力電圧検出回路の出力電圧を前記コンデンサの充電又は放電の電流に変換する電圧−電流変換回路と、を備え、
前記負荷が軽負荷であると判定された場合には前記スイッチング信号の周波数を定常負荷時のスイッチング信号の周波数よりも低下させ、前記負荷が重負荷であると判定された場合には前記スイッチング信号の周波数を定常負荷時のスイッチング信号の周波数よりも高くし、
前記出力電圧検出回路の出力電圧と前記第2の設定回路からの電圧とを入力とし、前記出力電圧検出回路の出力電圧が第2の設定回路からの電圧より小さい時は前記出力電圧検出回路の出力電圧を、前記増幅回路の出力電圧が第2の設定回路からの電圧より大きい時は前記第2の設定回路からの出力電圧を、各々前記コンデンサの充電又は放電の電流に変換する
【0015】
第3の発明においては、第1の発明における、前記周波数制御回路は、前記出力電圧検出回路の出力電圧と前記第2の設定回路からの電圧とを入力とし、前記出力電圧検出回路の出力電圧が第2の設定回路からの電圧より小さい時は前記出力電圧検出回路の出力電圧を、前記
出力電圧検出回路の出力電圧が第2の設定回路からの電圧より大きい時は前記第2の設定回路からの出力電圧を、各々前記コンデンサの充電又は放電の電流に変換する。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、発振器の制御回路として、出力電圧検出回路の出力電圧から負荷が定常負荷に比べて軽負荷であることを判定する第1の設定回路と、出力電圧検出回路の出力電圧から負荷が定常負荷に比べて重負荷であることを判定する第2の設定回路と、を備え、負荷が軽負荷であると判定された場合にはスイッチング信号の周波数を定常負荷時のスイッチング信号の周波数よりも低下させ、負荷が重負荷であると判定された場合にはスイッチング信号の周波数を定常負荷時のスイッチング信号の周波数よりも高くするようにしている。
この結果、軽負荷時は損失を低減させ、定常時は変動の少ない安定なスイッチング動作ができ、重負荷時はスイッチング素子のピーク電流を十分に抑制することが可能となり、高効率で、小型の部品を使用可能なスイッチング電源装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施例を示す発振周波数制御回路図である。
【
図4】本発明を適用した時のFB電圧−Fswの特性図である。
【
図7】電流モード制御と電圧モード制御のPWM回路原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の要点は、出力電圧検出回路の出力電圧をフィードバック電圧として入力するコンデンサの充電又は放電の電流に変換する電圧−電流変換回路を用いて、出力電圧検出回路の出力電圧から負荷が定常負荷に比べて軽負荷であることを判定する第1の設定回路と、出力電圧検出回路の出力電圧から負荷が定常負荷に比べて重負荷であることを判定する第2の設定回路とを備え、負荷が軽負荷であると判定された場合にはスイッチング信号の周波数を定常負荷時のスイッチング信号の周波数よりも低下させ、負荷が重負荷であると判定された場合には前記スイッチング信号の周波数を定常負荷時のスイッチング信号の周波数よりも高くする点である。
【実施例1】
【0019】
図1は本発明の第1の実施例示す発振周波数制御回路例で、
図2はフィードバック端子FBの電圧Vfbと基準電圧設定器Ref1の基準電圧Vref1に基づいて、発振回路の周波数を決めるためのコンデンサの充電電流Ioscを決めるための周波数制御回路例である。
【0020】
図2において、セレクト回路SCの入力にはフィードバック端子FBからのフィードバック電圧Vfbと基準電圧設定器Ref1の基準電圧Vref1が、セレクト回路SCの出力には増幅器GA1の+入力が、増幅器GA1の出力にはトランジスタQxのベースが、トランジスタQXのコレクタと制御回路電源VDDとの間にはMOSFETM0とM1で構成されたカレントミラー回路CM1が、トランジスタQxと制御電源のグランドGNDとの間には抵抗Roscが、各々接続された回路構成である。セレクト回路SCはフィードバック電圧Vfbが基準電圧Vref1より大きい時には基準電圧Vref1を、フィードバック電圧Vfbが基準電圧Vref1より小さい時にはフィードバック電圧Vfbを、各々出力する。増幅器GA1、トランジスタQx及び抵抗Roscは増幅器GA1の入力電圧を電流に変換する回路で、カレントミラー回路CM1はMOSFETM0に流れる電流に応じた電流をMOSFETM1で電流Ioscとして出力する回路である。トランジスタQxの電流は増幅器の出力電圧を抵抗Roscで割算した電流となる。従って、出力電流Ioscは、
図3に示すように、フィードバック電圧Vfbが基準電圧Vref1より大きい時には基準電圧Vref1で決まる電流を、フィードバック電圧Vfbが基準電圧Vref1より小さい時にはフィードバック電圧Vfbで決まる電流を、各々出力する。
【0021】
図1は上記原理に基づいた回路構成である。Ia〜Igは電流源、CM1、CM2はカレントミラー回路、Qa、Qb、Qc、Qd1、Q7、Q8はPNPトランジスタ、Qx、Qd2、Q5、Q6はNPNトランジスタ、GA2は増幅器、Rb1〜Rb3、Rd1、Rd2、Roscは抵抗である。Vref_Lは負荷が軽負荷であることを判定する第1の設定回路の出力電圧で、Vref_Hは負荷が重負荷であることを判定する第2の設定回路の出力電圧である。
図4にフィードバック電圧の変化に対するスイッチング周波数Fswの変化を示す。ここで、スイッチング周波数Fswは
図1の回路の出力であるIoscに対応していると考えることができる。
【0022】
図4の区間aを決める回路がトランジスタQaのベース電圧を第2の設定電圧Vref_Hとした回路で、区間bを決める回路が増幅器、トランジスタQb抵抗Rb1〜Rb3で構成された回路で、区間cを決める回路がトランジスタQcのベース電圧を第1の設定電圧Vref_Lとした回路で、区間dを決める回路がトランジスタQd1、Qd2、抵抗Rd1、Rd2で構成された回路である。フィードバック電圧Vfbが高くなりトランジスタQbのベース電圧VGA2がVref_Hを超えると、トランジスタQaがオンとなり、トランジスタQxのベース電圧はVref_Hとなる。この時トランジスタQxを流れる電流IQxはVref_Hを抵抗Roscで割算した電流となり、発振器の周波数を決めるコンデンサの充電電流Ioscはこれに応じた電流となる。
【0023】
フィードバック電圧Vfbが低くなりトランジスタQbのベース電圧VGA2がVref_Hより小さくなると、トランジスタQaはオフとなり、フィードバック電圧Vfbに応じた電圧が増幅器GA2→トランジスタQb→トランジスタQ5→トランジスタQ7の経路でトランジスタQxのベースに与えられる。この時トランジスタQxを流れる電流IQxは増幅器GA2の出力電圧VGA2を抵抗Roscで割算した電流となり、発振器の周波数を決めるコンデンサの充電電流Ioscはこれに応じた電流となる。
【0024】
フィードバック電圧Vfbが低下し、増幅器GA2の出力電圧VGA2が第1の設定電圧Vref_Lより低くなると、トランジスタQcがオンとなり、トランジスタQ6→トランジスタQ6→トランジスタQ7の経路で、トランジスタQxのベース電圧はVref_Lとなる。この時トランジスタQxを流れる電流IQxは第1の設定電圧Vfb_Lを抵抗Roscで割算した電流となり、発振器の周波数を決めるコンデンサの充電電流Ioscはこれに応じた電流となる。
【0025】
フィードバック電圧Vfbが第1の設定電圧Vref_Lより小さくなると、トランジスタQd1→トランジスタQd2→抵抗Rd2の経路で電流が流れ、この電流に応じた電流がカレントミラー回路CM2に流れ、トランジスタQ8のベース電圧はフィードバック電圧Vfbに応じた電圧となる。この時トランジスタQxを流れる電流IQxはフィードバック電圧Vfb*Rd1/Rd2を抵抗Roscで割算した電流となり、発振器の周波数を決めるコンデンサの充電電流Ioscはこれに応じた電流となる。以上のような動作により、フィードバック電圧Vfbに対するスイッチング素子のスイッチング周波数Fswは
図4のようになる。
即ち、軽負荷ではスイッチング周波数は低下し、重負荷ではスイッチング周波数は上昇する。
【0026】
図5は、本発明を適用した場合の各種特性図である。
図5(a)が装置の出力電流Ioutに対するフィードバック電圧特性、
図5(b)が装置の出力電流Ioutに対するスイッチング素子のスイッチング周波数特性、
図5(c)が、装置の出力電流Ioutに対するスイッチング素子のピーク電流特性である。スイッチング周波数は軽負荷時は低下し、定常負荷時は一定で、重負荷時は上昇することがわかる。また、スイッチング素子の重負荷時のピーク電流は、従来に比べて抑制されることがわかる。
【0027】
尚、上記実施例にはフライバック形のスイッチング電源回路に適用した例を示したが、主回路方式はフライバック形に限らずフォワード形に対しても同様に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、スイッチング電源の周波数制御に関するものであり、各種機器の電源回路、電源回路用集積回路(IC)などへの適用が可能である。
【符号の説明】
【0029】
Ci、Co、C1〜C4、Co2、Cfb・・・コンデンサ
Q1、M0、M1・・・MOSFET GA1、GA2・・・増幅器
Q2、Q5、Q6、Qx、Qd2・・・NPNトランジスタ
Q7、Q8、Q10〜Q15、Qa、Qb、Qc、Qd1・・・PNPトランジスタ
PC1・・・フォトカプラ LS1,LS2・・・レベルシフタ
CP1〜CP8・・・コンパレータ D1、D3〜D5・・・ダイオード
FF・・・フリップフロップ DRV・・・ドライブ回路
NOR・・・ノアゲート SC・・・セレクト回路
R1〜R9、R12〜R14、R11〜R14、Ro1〜Ro5、Rosc・・・抵抗
Rb1〜Rb3、Rd1、Rd2、Rs・・・抵抗
D2・・・シャントレギュレータ T、T1・・・トランス
Ref1、Ref2・・・基準電圧 OFL・・・発振周波数低下回路
LD・・・負荷状態検出回路 Osc1、Osc2・・・発振器
Ia〜Ik・・・電流源 CM1、CM2・・・カレントミラー回路