(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態が適用された画像形成装置1の概略構成を示した図である。この画像形成装置1には、記録材の一例としての用紙Pに対してトナー像を形成する画像形成部10が設けられている。また、画像形成装置1には、画像形成部10により用紙Pに形成されたトナー像を加熱および加圧し定着する定着装置20、および画像形成部10に用紙Pを供給する用紙供給部30が設けられている。
【0009】
ここで、画像形成装置1には、プロセスカートリッジ100が設けられている。このプロセスカートリッジ100は、画像形成装置1のフロント側(図中左側)に引き抜くことで画像形成装置1の本体部(装置本体)から取り外しできるようになっている。また、本実施の形態では、プロセスカートリッジ100を取り外すことにより、他のプロセスカートリッジ100を装着可能となっている。
プロセスカートリッジ100には、感光体ドラム11、帯電装置12、現像装置14、およびクリーニング装置16が設けられている。また、本実施の形態における画像形成装置1には、露光装置13および転写装置15が設けられている。
【0010】
また、画像形成装置1には、画像形成装置1の装置本体に対して着脱可能に設けられ、プロセスカートリッジ100に供給されるトナーを収容したトナーカートリッジ60が設けられている。
このトナーカートリッジ60には、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)などにより構成される記憶媒体61が取り付けられている。この記憶媒体61には、トナーカートリッジ60の種類を示す情報や、トナーカートリッジ60の内部に設けられた回転部材(トナーの搬送に用いられる回転部材)の回転数などトナーカートリッジ60の使用状況に関する情報が格納される。
【0011】
ここで、感光体ドラム11は、その外周面に感光層を備えており、図中矢印方向に回転する。また、帯電装置12は、感光体ドラム11に接触する帯電ロールを有し、感光体ドラム11を予め定められた電位に帯電する。
露光装置13は、レーザBmを感光体ドラム11に照射し帯電装置12により帯電した感光体ドラム11を選択的に露光して感光体ドラム11に静電潜像を形成する。現像装置14は、現像ロールを有し、感光体ドラム11上にトナー像を形成する。
【0012】
より具体的に説明すると、現像装置14には、例えば、負極性に帯電するトナー及び正極性に帯電するキャリアからなる2成分現像剤が収容されている。そして、現像装置14は、感光体ドラム11上に形成された静電潜像をトナーで現像して感光体ドラム11上にトナー像を形成する。
【0013】
現像装置14についてさらに説明すると、現像装置14は、現像ロール14aと、現像ロール14aを保持する現像ハウジング14b(
図2にも図示)と、を備える。また、現像装置14は、現像ハウジング14bにおいて現像ロール14aに近い側に配設されるオーガ14cと、現像ハウジング14bにおいて現像ロール14aから遠い側に配設されるオーガ14dと、を備える。
【0014】
現像ロール14aは、非磁性金属にて構成され回転可能な現像スリーブの内部に、複数の磁極が配列された磁石ロールを固定的に内包させたものである。なお、現像ロール14aの好ましい現像剤層厚さを得るために、現像ハウジング14bに金属製のトリマ(不図示)が設けられている。
現像ハウジング14bには、新規現像剤が供給される供給口(不図示)と、余剰現像剤が排出される排出口(不図示)と、が形成されている。また、現像ハウジング14bは、オーガ14cとオーガ14dとを互いに仕切ると共に両端部で互いに接続する仕切り壁(不図示)が設けられている。そして、オーガ14c,14dはともに、紙面垂直方向に延びる回転軸の周囲にスパイラル状の羽根を取り付けたもので構成されている。
【0015】
オーガ14cは、現像ハウジング14b内の現像剤を一方向に向けて攪拌搬送するように回転し、また、オーガ14dは、現像ハウジング14b内の現像剤を逆方向に向けて攪拌搬送するように回転する。これにより、現像ハウジング14b内の現像剤は、オーガ14cおよびオーガ14dによって攪拌されながら現像ハウジング14b内を循環搬送される。負の帯電極性を有するトナーは、正の帯電極性および磁性を有するキャリアとともに攪拌搬送されることで摩擦され、負極性に帯電する。
【0016】
また、転写装置15は、ロール状部材を有し、転写装置15と感光体ドラム11との間(転写部Tp)に電界を形成することにより、感光体ドラム11上のトナー像を用紙Pに転写する。
また、クリーニング装置16は、感光体ドラム11に接触するクリーニングブレード16aを有し、このクリーニングブレード16aを用いて転写後に感光体ドラム11上に残留するトナー等を除去する。
【0017】
ここで、画像形成装置1には、トナーカートリッジ60をプロセスカートリッジ100にトナーを供給するためのトナー供給器71が設けられている。すなわち、トナー供給器71は、トナーカートリッジ60から新規現像剤を現像装置14に供給する供給筒71aと、供給筒71aの内部に回転可能に配設される供給オーガと、を備える。供給オーガが回転することで、トナーがトナーカートリッジ60から現像装置14に向けて搬送される。
また、画像形成装置1には、クリーニング装置16のクリーニングブレード16aにより除去されたトナー等である廃トナーを回収するトナー回収器72が設けられている。
なお、トナー供給器71およびトナー回収器72は、プロセスカートリッジ100に配設されている。
【0018】
一方、用紙供給部30は、
図1に示すように、用紙Pを画像形成部10に対して供給可能なように給紙部31を備えている。給紙部31は、用紙Pを収容する用紙収容部41、引き込みロール43および捌き機構45を備える。用紙収容部41は、上部に開口を有するとともに直方体状の形状を有しており、その内部に用紙Pを複数枚収容する。引き込みロール43は、用紙収容部41に収容される用紙束のうち最上位の用紙Pに接触し、この最上位の用紙Pを捌き機構45に向けて送り出す。捌き機構45は、例えば回転可能なフィードロールと回転が制限されたリタードロールとによって構成され、引き込みロール43により送り出された用紙Pを一枚ずつに捌く。
なお、給紙部31の下側に、他のサイズや他の種類の用紙Pを画像形成部10に対して供給可能なように別の給紙部を備える構成を採用することができる。
【0019】
また、用紙供給部30には、レジストレーションロール(レジロール)47が設けられている。このレジロール47は、回転を停止した状態で用紙Pの搬送を一時的に止め、予め定められたタイミングにて回転を行うことにより、転写部Tpに対してレジストレーション調整を施しながら用紙Pを供給する。
なお、別の給紙部(不図示)を備える構成を採用する場合には、別の給紙部(不図示)から搬送されてきた用紙Pをレジロール47に向けて搬送する搬送ロール(不図示)が設けられる。
【0020】
本実施の形態における画像形成装置1には、用紙Pが搬送される用紙搬送経路YRが設けられている。また、画像形成装置1には、定着装置20を通過した用紙Pが積載される用紙積載部YSが設けられている。
さらに、画像形成装置1には、定着装置20を通過した用紙Pの表裏を反転させてこの用紙Pを転写部Tpに再度供給する用紙反転機構50が設けられている。この用紙反転機構50には、定着装置20の下流側にて用紙搬送経路YRに接続され且つレジロール47の上流側にて用紙搬送経路YRに合流する反転用搬送経路SRが設けられている。また用紙反転機構50には、反転用搬送経路SR上の用紙Pを搬送する搬送ロール51が設けられている。
【0021】
画像形成装置1には、不図示のパーソナルコンピュータ(PC)等からの画像データを受信する受信部200が設けられている。また、画像形成装置1には、画像形成部10、定着装置20および用紙供給部30の動作全般を制御する制御部300が設けられている。
さらには、画像形成装置1には、受信部200にて受信された画像データに画像処理を施した後に露光装置13に画像データを出力する画像処理部400が設けられている。また、画像形成装置1には、表示パネルにより構成されユーザからの指示を受け付けるとともにユーザに対してメッセージ等を表示するユーザインタフェース(UI)500が設けられている。
【0022】
なお、制御部300は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびHDD(Hard Disk Drive)(何れも不図示)により構成されている。CPUでは、処理プログラムが実行される。ROMには、各種プログラム、各種テーブル、パラメータ等が記憶されている。RAMは、CPUによる各種プログラムの実行時におけるワークエリア等として用いられる。
【0023】
ここで、用紙Pに画像が形成される際には、図示しないパーソナルコンピュータ等にて形成された画像データが受信部200にて受信され、受信部200から画像処理部400へ画像データが出力される。そして、画像処理部400にて、画像データに対して画像処理が施される。画像処理が施された画像データは、露光装置13に出力される。画像データを取得した露光装置13は、帯電装置12により帯電した感光体ドラム11を選択的に露光して静電潜像を形成する。形成された静電潜像は、現像装置14により例えば黒(K)のトナー像として現像される。
【0024】
一方、用紙供給部30では、画像形成のタイミングに合わせて引き込みロール43が回転し、用紙収容部41から用紙Pが供給される。そして、捌き機構45により一枚ずつに捌かれた用紙Pは、レジロール47まで搬送され、一旦、停止される。その後、感光体ドラム11の回転タイミングに合わせてレジロール47が回転し、用紙Pが転写部Tpに供給される。そして、この転写部Tpにおいて感光体ドラム11に形成されたトナー像が用紙Pに転写される。
【0025】
その後、トナー像が転写された用紙Pは、定着装置20にて定着処理を受け、排出ロール49によって用紙積載部YSに排出される。なお、用紙Pの第1面のみならず第2面にも画像が形成(用紙Pの両面に画像が形成)される際には、定着装置20を通過した用紙Pは、用紙反転機構50により表裏が反転されたうえで転写部Tpに再度供給される。転写部Tpにて、感光体ドラム11に形成されたトナー像が用紙Pの第2面に転写される。第2面にトナー像が転写された用紙Pは、定着装置20によって定着処理を受け、用紙積載部YSに排出される。
【0026】
ここで、プロセスカートリッジ100について、より詳細に説明する。なお、このプロセスカートリッジ100は、プロセスカートリッジ、ドラムカートリッジ、感光体カートリッジまたは現像ユニットということもできる。プロセスカートリッジ100は、トナーカートリッジ60を含まない。
プロセスカートリッジ100は、上述の感光体ドラム11、帯電装置12、現像装置14およびクリーニング装置16(これらを以下、トナー像形成部とよぶ場合がある)を備え、また、上述のトナー供給器71およびトナー回収器72を備える。
また、プロセスカートリッジ100は、トナーカートリッジ60が実装される容器実装部73と、プロセスカートリッジ100を画像形成装置1に対して取り付けたり取り外したりする際に利用される把手部74(
図2にも図示)と、を備える。
【0027】
プロセスカートリッジ100は、感光体ドラム11、帯電装置12、現像装置14、クリーニング装置16、トナー供給器71、トナー回収器72、容器実装部73および把手部74が一体化された交換ユニットである。このため、画像形成装置1のプロセスカートリッジ100が交換されると、感光体ドラム11、帯電装置12、現像装置14、クリーニング装置16、トナー供給器71およびトナー回収器72のすべてが新品に交換される。
なお、トナーカートリッジ60は、プロセスカートリッジ100の容器実装部73に着脱自在に実装されるので、プロセスカートリッジ100が画像形成装置1に実装されたままの状態で、容器実装部73からトナーカートリッジ60を取り外して新しいものに交換可能である。
【0028】
さらに説明すると、プロセスカートリッジ100は、画像形成装置1の装置本体に形成された内部空間を有する装着部2に装着される。なお、装着部2にプロセスカートリッジ100が装着された場合には、画像形成装置1の外面(前面および上面)の一部を構成する扉を上方に向けて開けると、トナーカートリッジ60と、プロセスカートリッジ100の容器実装部73および把手部74が露出する。
【0029】
なお、トナー回収器72は、廃トナーが内部に収容しきれない満杯状態になると使用不能になり、そのような場合にはプロセスカートリッジ100の交換が必要になる。このように、トナー回収器72の容量は、プロセスカートリッジ100の寿命が決まる要因の一つである。
かかる観点から、
図1に示すように、プロセスカートリッジ100において、トナー回収器72は、容器実装部73と上述のトナー像形成部との間に位置するものにし、なるべく大容量となるように構成されている。
【0030】
図2は、プロセスカートリッジ100の外観斜視図である。なお、同図は、プロセスカートリッジ100を感光体ドラム11側から見た状態を図示する。
図2に示すように、プロセスカートリッジ100が画像形成装置1の装着部2(
図1参照)に実装されると転写装置15に接触する感光体ドラム11が露出している。なお、感光体ドラム11は、画像形成装置1の装置本体側に取り付けられる駆動モータ3の回転駆動力により回転駆動される。
また、感光体ドラム11の下側には、上述した現像装置14の現像ハウジング14bが位置する。
【0031】
プロセスカートリッジ100の容器実装部73は、内容量が互いに異なるトナーカートリッジ60を実装可能な構造である。すなわち、プロセスカートリッジ100は、複数の速度域が設定される画像形成装置1に装着されるものである。そのため、プロセスカートリッジ100は、速い速度域に設定されるときには大容量のトナーカートリッジ60が実装可能に構成され、遅い速度域に設定されるときには少容量のトナーカートリッジ60が実装可能に構成される。なお、
図2に示すプロセスカートリッジ100では、少容量のトナーカートリッジ60が実装可能になっている。
【0032】
図3は、トナー回収器72を説明する図である。
図3に示すように、プロセスカートリッジ100のトナー回収器72は、廃トナーを収容する内部空間81aを有するカバー部81(
図2にも図示)と、カバー部81の内部空間81a内の廃トナーを回収する回収部82と、を備える。
【0033】
カバー部81の内部空間81aは、クリーニング装置16のクリーニングブレード16aの近傍にて廃トナーを取り込む取り込み口81b(
図2にも図示)を有する。この取り込み口81bは、クリーニングブレード16aに対して感光体ドラム11の回転方向下流側に位置するトナー規制部材81c(
図2にも図示)により、廃トナーがプロセスカートリッジ100の外部にこぼれないように構成されている。このトナー規制部材81cは、クリーニングブレード16aに隣接すると共に、感光体ドラム11に接して配設される。
【0034】
回収部82は、予め設定された厚さに形成され、カバー部81の内部空間81a内を横断するように配置される枠体83と、枠体83と一体に形成されるクランク軸84と、を有する。また、回収部82は、枠体83と一体に形成され、カバー部81の内部空間81aにて起立状態の立て壁部85を有する。
【0035】
回収部82の枠体83には、枠により仕切られた複数の矩形形状の領域が形成されており、例えば、紙張りされていない障子を床面に寝かしたような状態に配設されている。この枠体83の作用により、カバー部81の取り込み口81bから取り込まれた廃トナーを内部空間81aの奥方向(
図3の左方向)に移動させて回収貯蔵する。
【0036】
回収部82のクランク軸84は、枠体83の下流端部83a(
図3の左端)と上流端部83b(同図の右端)との間の中間部に位置する。このクランク軸82bは、回転駆動力を受けて一方向すなわち矢印方向(同図で時計方向)に回転する。
さらに説明すると、枠体83の下流端部83aは、カバー部81により支持されている一方で、上流端部83bは、カバー部81により支持されておらず、いわゆる自由端である。すなわち、クランク軸82bが矢印方向に回転すると、これに伴い、枠体83の下流端部83aが
図3の左右方向にスライド移動する一方で、枠体83の上流端部83bは、クランク軸82bのずれ量よりも大きな円を描くように往復運動する。これにより、取り込み口81b付近にある廃トナーは順次回収されていく。
【0037】
図4および
図5は、感光体ドラム11を説明する図である。
図4は、プロセスカートリッジ100を感光体ドラム11の位置で切断した場合の縦断面図であり、カバー部81の一部も切断している。
図5は、感光体ドラム11の分解斜視図である。
図4および
図5は、転写装置15側(
図1参照)から見た場合の感光体ドラム11を示している。
図4および
図5に示すように、感光体ドラム11は、外周面に感光層を備える筒状のドラム本体91と、ドラム本体91に挿入される棒状部材である駆動伝達軸92と、を備える。
【0038】
また、感光体ドラム11は、ドラム本体91と駆動伝達軸92との間に位置するフランジ部93,94と、を備える。このフランジ部93,94は、ドラム本体91および駆動伝達軸92と各端部で係合し、ドラム本体91を駆動伝達軸92に対して中心を位置決め(芯出し)する。フランジ部93,94は、互いに離間して配置され、ドラム本体91を保持する。
なお、感光体ドラム11のドラム本体91は、ドラム本体91内に配設される金属板95によりグランド(GND)が確保される。
【0039】
ここで、駆動伝達軸92の出力側(
図4または
図5での左端部)に位置するフランジ部93は、外周面にギア(平歯車)93aが形成されているものであり、また、駆動伝達軸92の入力側(
図4または
図5での右端部)に位置するフランジ部94は、フランジ部93とは異なり、ギアが形成されていない。
説明の便宜上、以下フランジ部93をギア付きフランジ部93と呼ぶことがあり、また、フランジ部94をギア無しフランジ部94と呼ぶことがある。なお、ギア付きフランジ部93は、摺動性の良い例えばポリカーボネート樹脂で形成し、ギア無しフランジ部94は、例えばABS樹脂で形成することが考えられる。
【0040】
さらに説明すると、感光体ドラム11は、画像形成装置1の装置本体側の駆動モータ3(
図2参照)の回転駆動力が入力されるカップリング96を備える。このカップリング96は、駆動伝達軸92の入力側(
図4または
図5での右端部)に位置する。
カップリング96と接するように、ベアリング97が装着される(
図4参照)。このベアリング97は、回転する部材ではなく、プロセスカートリッジ100に固定される。
【0041】
付言すると、駆動伝達軸92の出力側(
図4または
図5での左端部)には、ベアリング98が取り付けられる(
図4参照)。このベアリング98は、回転する部材ではなく、プロセスカートリッジ100に固定される。
また、駆動伝達軸92の出力側(
図4または
図5での左端部)には、後述の駆動系120を覆うカバー部材110(
図2にも図示)が取り付けられる(
図4参照)。
【0042】
感光体ドラム11の駆動伝達軸92をより詳細に説明すると、駆動伝達軸92は、駆動伝達軸92の一端部(入力側)に、円形外周面を切り欠いて形成した2つの平面部92aを有する。2つの平面部92aの間には、外周面が位置する。2つの平面部92aは、連続して形成されておらず、それぞれ別個に形成されている。
また、駆動伝達軸92は、駆動伝達軸92の他端部(出力側)にも、一端部の平面部92aと同じく、外周面を切り欠いて形成した2つの平面部92bを有する。
なお、駆動伝達軸92の他端部には、段付けされて直径が小さい縮径部92cが形成されている。この駆動伝達軸92の縮径部92cには、上述のベアリング98が装着される。
【0043】
そして、駆動伝達軸92の平面部92aはカップリング96と係合し、また、駆動伝達軸92の平面部92bはギア付きフランジ部93と係合する。このため、カップリング96に入力される回転駆動力は、駆動伝達軸92からギア付きフランジ部93に伝達される。ギア付きフランジ部93に伝達された回転駆動力は、フランジ部93のギア93aから後述の駆動系120へとさらに伝達される。
また、ギア無しフランジ部94はカップリング96と係合することから(
図4参照)、カップリング96に入力される回転駆動力は、ギア無しフランジ部94を介してドラム本体91に伝達される。
【0044】
このように、感光体ドラム11のカップリング96に入力される回転駆動力は、ドラム本体91を介することなく、ギア付きフランジ部93に伝達される。このため、ドラム本体91には、ギア付きフランジ部93に伝達される回転駆動力による負荷がかからず、ねじれ等が生じにくい。
【0045】
また、駆動伝達軸92の一端部(入力側)にギアを有しないカップリング96が取り付けられると共に、他端部(出力側)にギア付きフランジ部93が取り付けられる。すなわち、本実施の形態では、入力側と出力側の両方にギアを取り付ける構造を採用しない。このため、組み立て時にギア同士の位相合わせを行う必要がなく、組み立て作業性を向上させることが可能になる。
【0046】
ここで、駆動伝達軸92の平面部92a,92bは、カップリング96およびギア付きフランジ部93に対する回り止めないし滑り止めとして機能する。すなわち、駆動伝達軸92の平面部92a,92bがそれぞれカップリング96およびギア付きフランジ部93と係合することで、カップリング96、駆動伝達軸92およびギア付きフランジ部93が一体化され、これにより、カップリング96に入力された回転駆動力が、互いに接続する部材同士の滑り等による損失の発生を防止することが可能になる。また、上述したように、カップリング96に入力された回転駆動力によるドラム本体91への不要な負荷がかからず、画像形成に対する障害発生を抑制することが可能になる。
【0047】
次に、感光体ドラム11の組み立て順序について
図5を用いて説明する。
ドラム本体91に駆動伝達軸92を通し、ギア付きフランジ部93に駆動伝達軸92の縮径部92cおよび平面部92bを挿入して係合させる。これにより、駆動伝達軸92とギア付きフランジ部93との相互の位置関係が規定される。
そして、駆動伝達軸92をギア無しフランジ部94に挿入し、その後に、カップリング96を駆動伝達軸92の平面部92aに挿入して係合させる。これにより、カップリング96と駆動伝達軸92との相互の位置関係が規定される。なお、ギア無しフランジ部94とカップリング96との相互の位置関係も規定される。
さらには、ドラム本体91の一端側をギア無しフランジ部94に係合させて接着剤で固着し、他端側をギア付きフランジ部93を軽圧入する。このようにして感光体ドラム11が組み立てられる。なお、本実施の形態では、ギア付きフランジ部93を軽圧入することにより、ドラム本体91とギア付きフランジ部93とが完全に独立で回転するものではなく、一体的に回転する。この場合、感光体ドラム11のカップリング96に入力される回転駆動力は、ドラム本体91を介してギア付きフランジ部93に伝達されるとも言える。しかし、ドラム本体91のみで一端側から他端側に回転を伝達させる構成と比して、駆動伝達軸92の存在により、ドラム本体91にかかる負荷は低減される。別の言い方をすると、感光体ドラム11は、駆動伝達軸92の一端部(
図5での右端部)側と駆動伝達軸92の他端部(
図5での左端部)側との両側で回転駆動されることから、ドラム本体91へのねじれ等が生じにくい。なお、必要に応じて、ドラム本体91とギア付きフランジ部93と接着剤等で固着してもよい。
【0048】
付言すると、本実施の形態では、駆動伝達軸92の入力側の部品をカップリング96およびギア無しフランジ部94の2つで構成する。かかる構成を採用することにより、感光体ドラム11を組み立てる際に、ギア無しフランジ部94を駆動伝達軸92に対して位置合わせを行う必要がない。
【0049】
なお、本実施の形態では、横断面円形状の棒状部材で駆動伝達軸92を構成した上で、平面部92a,92bを形成しているが、他の構成例も考えられる。例えば、横断面が円形状の駆動伝達軸92に回り止めを行うための平面部92a,92b以外の形状部分、例えばキー溝等を形成する構成例や、横断面が多角形の形状や矩形の形状の棒状部材を用いる構成例も考えられる。
【0050】
図6は、感光体ドラム11の駆動伝達軸92から伝達される回転駆動力の駆動系120を説明する図である。なお、
図6では、駆動系120を覆うカバー部材110(
図2または
図4参照)を取り外した状態を示している。
図6に示す駆動系120は、ギア付きフランジ部93のギア93aから現像装置14に駆動モータ3(
図2参照)の駆動力を伝達する第1の駆動伝達経路と、ギア付きフランジ部93のギア93aからトナー回収器72(
図1参照)のクランク軸84に駆動モータ3(
図2参照)の駆動力を伝達する第2の駆動伝達経路と、を備える。
このため、現像装置14に回転駆動力を供給する駆動源およびトナー回収器72に回転駆動力を供給する駆動源を、駆動モータ3(
図2参照)とは別に設ける必要がない。したがって、本実施の形態のように、駆動源の数を減らすことで駆動系の構成を簡素化することが可能になり、また、装置本体の内部スペースの有効活用を図り、装置本体の小型化に寄与することが可能になる。
【0051】
より具体的には、第1の駆動伝達経路は、現像装置14の現像ロール14aの端部に位置し、ギア付きフランジ部93のギア93aと噛み合うギア131と、現像装置14のオーガ14cの端部に位置するギア133と、現像装置14のオーガ14dの端部に位置するギア135と、を含んで構成される。また、第1の駆動伝達経路は、ギア131と噛み合うと共にギア133とも噛み合うアイドラ132と、ギア133と噛み合うと共にギア135とも噛み合うアイドラ134と、を含んで構成される。これらギア131等は、直列的に配置される。
このように、第1の駆動伝達経路では、ギア付きフランジ部93のギア93aから、ギア131、アイドラ132、ギア133、アイドラ134およびギア135の順に回転駆動力が伝達される。
【0052】
また、第2の駆動伝達経路は、ギア付きフランジ部93のギア93aと噛み合うギア141と、クランク軸84の端部に位置するギア145と、を含んで構成される。また、第2の駆動伝達経路は、ギア141と噛み合うギア143とギア145と噛み合うギア144とを同軸に備える二段ギア142を含んで構成される。
より詳細には、二段ギア142において、ギア145と噛み合うギア144は、ギア141と噛み合うギア143よりも大径である。したがって、二段ギア142は、ギア141により入力される回転駆動力の回転速度を減じてギア145に出力する。このため、ギア145への出力として、減速比に比例したトルクが得られる。
このように、二段ギア142は減速部として機能する。なお、ギア141,143〜145のピッチ円は、設計条件によって適宜設定される。
【0053】
さらに説明すると、二段ギア142の減速機能によって、感光体ドラム11でのバンディング発生の防止を図っている。すなわち、第2の駆動伝達経路にて必要となる回転駆動力は、第1の駆動伝達経路の場合よりも大きい。言い換えると、トナー回収器72(
図1参照)のクランク軸84が回転動作する際に、感光体ドラム11の回転に悪影響を与え、これにより、バンディングが発生することが想定される。
本実施の形態では、二段ギア142の減速機能によって、感光体ドラム11の回転に与える悪影響を低減し、バンディング発生を防止している。
なお、第1の駆動伝達経路を構成するギア131等について精度を高めることで、上述のバンディング発生の防止に寄与することができる。
【0054】
なお、装置本体側の駆動モータ3は駆動源の一例であり、感光体ドラム11は像形成体の一例であり、駆動伝達軸92は回転軸の一例であり、現像装置14は現像器の一例であり、転写装置15は転写部の一例であり、ギア付きフランジ部93は取り出し部の一例である。
また、現像装置14の現像ロール14a、オーガ14cおよびオーガ14dは回転部材の一例であり、回収部82の枠体83およびクランク軸84は回収部材の一例である。また、二段ギア142は減速部の一例である。また、カップリング96は、歯車以外の伝達部材の一例である。
【0055】
ここで、駆動系120を駆動伝達軸92の入力側に配置することも考えられる。しかしながら、駆動伝達軸92の入力側における装置本体には、駆動モータ3(
図2参照)が配設されている。また、駆動伝達軸92の出力側における装置本体には、高電圧基板(不図示)等が配設されている。そのため、駆動系120を駆動モータ3(
図2参照)等が配置されている駆動伝達軸92の入力側に配置した場合には、駆動系120を構成するギア131等の厚さ寸法だけ、駆動モータ3(
図2参照)等をずらす必要がある。そして、駆動モータ3(
図2参照)等をずらした分だけ、装置本体の幅寸法(
図1の紙面垂直方向の寸法)が広がってしまう。
【0056】
駆動系120を駆動伝達軸92の出力側に配置して駆動伝達軸92により回転駆動力を伝達する構造(本実施の形態)ではなく、駆動伝達軸92を省略して駆動系120を駆動モータ3の側(
図4または
図5の右側)に配置する構成例も考えられるものの、装置本体の内部レイアウトの関係上、結果的に装置本体の外形が大型化してしまう。
すなわち、本実施の形態のように、駆動系120を駆動モータ3の側とは反対の側(
図4または
図5の左側)に配置する振り分け構造を採用することで、装置本体の外形が大型化するのを抑制可能になる。
【0057】
このように、本実施の形態では、感光体ドラム11に隣接する現像装置14およびトナー回収器72に回転駆動力を供給する駆動系の構成を簡素化することが可能になる。