特許第5974584号(P5974584)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5974584タッチパネル制御装置、タッチパネル制御方法、制御プログラム、および制御プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5974584
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】タッチパネル制御装置、タッチパネル制御方法、制御プログラム、および制御プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な媒体
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20160809BHJP
【FI】
   G06F3/041 510
   G06F3/041 534
【請求項の数】5
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2012-77280(P2012-77280)
(22)【出願日】2012年3月29日
(65)【公開番号】特開2013-206349(P2013-206349A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2014年12月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100152515
【弁理士】
【氏名又は名称】稲山 朋宏
(72)【発明者】
【氏名】河合 潤也
【審査官】 塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−067788(JP,A)
【文献】 特開2003−015815(JP,A)
【文献】 特開2004−185495(JP,A)
【文献】 特開2011−134069(JP,A)
【文献】 特表2011−501261(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0291944(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/01
3/03−3/0489
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル面上に押圧力が加えられているか否かを、前記パネル面に網目状に形成されたセル毎に特定することが可能なタッチパネルを制御するタッチパネル制御装置であって、
押圧力が加えられた前記セルである押圧セルを複数特定する第一特定手段と、
前記第一特定手段によって特定された複数の前記押圧セルの位置を示す位置情報を、記憶手段に記憶する記憶制御手段と、
前記第一特定手段によって特定された複数の前記押圧セルの位置に基づき、前記押圧セル間の離隔の程度を特定する第二特定手段と、
前記記憶手段に記憶された前記位置情報のうち、前記第二特定手段によって特定された前記離隔の程度が所定条件を満たす場合の一対の前記押圧セルの位置を示す前記位置情報を無効とする無効手段と、
前記記憶手段に記憶された前記位置情報のうち、前記無効手段によって無効とされた前記位置情報を除く前記位置情報によって示される前記押圧セルの中から、前記第二特定手段によって特定された前記離隔の程度が最も小さい一対の前記押圧セルを、前記押圧セル毎に複数選択し、選択した複数の前記押圧セルの中で、前記離隔の程度が最も大きい一対の前記押圧セルを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出された前記押圧セルの位置を、ユーザが指定した前記パネル面上の位置である指定位置として決定する決定手段と
を備えたことを特徴とするタッチパネル制御装置。
【請求項2】
前記第二特定手段は、
前記押圧セル間の位置関係と、前記離隔の程度とが対応付けられたテーブルを参照し、前記位置関係を調整することによって、前記押圧セル間の前記離隔の程度を特定することを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル制御装置。
【請求項3】
パネル面上に押圧力が加えられているか否かを、前記パネル面に網目状に形成されたセル毎に特定することが可能なタッチパネルを制御するタッチパネル制御方法であって、
押圧力が加えられた前記セルである押圧セルを複数特定する第一特定ステップと、
前記第一特定ステップによって特定された複数の前記押圧セルの位置を示す位置情報を、記憶手段に記憶する記憶制御ステップと、
前記第一特定ステップによって特定された複数の前記押圧セルの位置に基づき、前記押圧セル間の離隔の程度を特定する第二特定ステップと、
前記記憶手段に記憶された前記位置情報のうち、前記第二特定ステップによって特定された前記離隔の程度が所定条件を満たす場合の一対の前記押圧セルの位置を示す前記位置情報を無効とする無効ステップと、
前記記憶手段に記憶された前記位置情報のうち、前記無効ステップによって無効とされた前記位置情報を除く前記位置情報によって示される前記押圧セルの中から、前記第二特定ステップによって特定された前記離隔の程度が最も小さい一対の前記押圧セルを、前記押圧セル毎に複数選択し、選択した複数の前記押圧セルの中で、前記離隔の程度が最も大きい一対の前記押圧セルを抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップによって抽出された前記押圧セルの位置を、ユーザが指定した前記パネル面上の位置である指定位置として決定する決定ステップと
を備えたことを特徴とするタッチパネル制御方法。
【請求項4】
パネル面上に押圧力が加えられているか否かを、前記パネル面に網目状に形成されたセル毎に特定することが可能なタッチパネルのうち、押圧力が加えられた前記セルである押圧セルを複数特定する第一特定ステップと、
前記第一特定ステップによって特定された複数の前記押圧セルの位置を示す位置情報を、記憶手段に記憶する記憶制御ステップと、
前記第一特定ステップによって特定された複数の前記押圧セルの位置に基づき、前記押圧セル間の離隔の程度を特定する第二特定ステップと、
前記記憶手段に記憶された前記位置情報のうち、前記第二特定ステップによって特定された前記離隔の程度が所定条件を満たす場合の一対の前記押圧セルの位置を示す前記位置情報を無効とする無効ステップと、
前記記憶手段に記憶された前記位置情報のうち、前記無効ステップによって無効とされた前記位置情報を除く前記位置情報によって示される前記押圧セルの中から、前記第二特定ステップによって特定された前記離隔の程度が最も小さい一対の前記押圧セルを、前記押圧セル毎に複数選択し、選択した複数の前記押圧セルの中で、前記離隔の程度が最も大きい一対の前記押圧セルを抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップによって抽出された前記押圧セルの位置を、ユーザが指定した前記パネル面上の位置である指定位置として決定する決定ステップと
をコンピュータに実行させるための制御プログラム。
【請求項5】
パネル面上に押圧力が加えられているか否かを、前記パネル面に網目状に形成されたセル毎に特定することが可能なタッチパネルのうち、押圧力が加えられた前記セルである押圧セルを複数特定する第一特定ステップと、
前記第一特定ステップによって特定された複数の前記押圧セルの位置を示す位置情報を、記憶手段に記憶する記憶制御ステップと、
前記第一特定ステップによって特定された複数の前記押圧セルの位置に基づき、前記押圧セル間の離隔の程度を特定する第二特定ステップと、
前記記憶手段に記憶された前記位置情報のうち、前記第二特定ステップによって特定された前記離隔の程度が所定条件を満たす場合の一対の前記押圧セルの位置を示す前記位置情報を無効とする無効ステップと、
前記記憶手段に記憶された前記位置情報のうち、前記無効ステップによって無効とされた前記位置情報を除く前記位置情報によって示される前記押圧セルの中から、前記第二特定ステップによって特定された前記離隔の程度が最も小さい一対の前記押圧セルを、前記押圧セル毎に複数選択し、選択した複数の前記押圧セルの中で、前記離隔の程度が最も大きい一対の前記押圧セルを抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップによって抽出された前記押圧セルの位置を、ユーザが指定した前記パネル面上の位置である指定位置として決定する決定ステップと
をコンピュータに実行させるための制御プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタイラス等をパネル面に接触させることによって筆記が行われるタッチパネルを制御するタッチパネル制御装置、タッチパネル制御方法、制御プログラム、および制御プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
スタイラスをパネル面に接触させることによって筆記が行われるタッチパネルが知られている。このようなタッチパネルでは、スタイラスによる筆記の過程で、スタイラスを所持する手の一部分(例えば手の腹部や指の関節等)、腕、腕時計、被服等が、スタイラスと共にパネル面に接触し、パネル面を押圧する場合がある。このような場合、スタイラスによって筆記された情報を特定するためには、スタイラスによって押圧されたパネル面の領域を、スタイラス以外の物体によって押圧されたパネル面の領域と区別する必要がある。
【0003】
接触領域の面積に応じて、指先が接触した領域と、手の腹の部分が接触した領域とを区別する技術が開示されている(例えば特許文献1参照)。この技術では、面積の最も小さな接触領域には、指先が接触していると判断される。一方、面積の大きな接触領域には、手の腹の部分が接触していると判断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−306752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スタイラス以外の物体がパネル面を押圧する場合の領域が、スタイラスがパネル面を押圧する場合の領域よりも常に大きいと仮定する。この場合、上述の技術を応用することによって、スタイラスが押圧した領域と、スタイラス以外の物体が押圧した領域とを区別することが可能とも考えられる。
【0006】
しかしながら、スタイラス以外の物体が押圧した領域が、スタイラスが押圧した領域よりも必ず大きいとは限らない。例えば、スタイラスよりも大きな物体がパネル面を押圧する場合でも、物体がパネル面に徐々に接近する過程における初期の段階では、物体の一部分のみがパネル面を押圧することになるので、押圧領域の面積は小さい。従って上述の技術が応用された場合でも、スタイラスが押圧した領域と、スタイラス以外の物体が押圧した領域とを明確に区別することができないという問題点がある。
【0007】
本発明の目的は、スタイラス等を用いてユーザが指定したパネル面の領域を、スタイラス等以外の物体がパネル面を押圧した領域と明確に区別して認識することが可能なタッチパネル制御装置、タッチパネル制御方法、制御プログラム、および制御プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一態様に係るタッチパネル制御装置は、パネル面上に押圧力が加えられているか否かを、前記パネル面に網目状に形成されたセル毎に特定することが可能なタッチパネルを制御するタッチパネル制御装置であって、押圧力が加えられた前記セルである押圧セルを複数特定する第一特定手段と、前記第一特定手段によって特定された複数の前記押圧セルの位置を示す位置情報を、記憶手段に記憶する記憶制御手段と、前記第一特定手段によって特定された複数の前記押圧セルの位置に基づき、前記押圧セル間の離隔の程度を特定する第二特定手段と、前記記憶手段に記憶された前記位置情報のうち、前記第二特定手段によって特定された前記離隔の程度が所定条件を満たす場合の一対の前記押圧セルの位置を示す前記位置情報を無効とする無効手段と、前記記憶手段に記憶された前記位置情報のうち、前記無効手段によって無効とされた前記位置情報を除く前記位置情報によって示される前記押圧セルの中から、前記第二特定手段によって特定された前記離隔の程度が最も小さい一対の前記押圧セルを、前記押圧セル毎に複数選択し、選択した複数の前記押圧セルの中で、前記離隔の程度が最も大きい一対の前記押圧セルを抽出する抽出手段と、前記抽出手段によって抽出された前記押圧セルの位置を、ユーザが指定した前記パネル面上の位置である指定位置として決定する決定手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
ユーザが意識的に押圧力を加えることによって指定するパネル面上の指定位置と、ユーザが無意識にパネル面を押圧する位置とは大きく離隔する傾向にある。例えば、ユーザがスタイラスを使用してパネル面上に指定位置を指定する場合、指定位置と、スタイラス以外の物体(例えば、スタイラスを所持する手の一部分(手の腹部や指の関節等)、腕、腕時計、被服等)がパネルを押圧する位置とは大きく離隔する傾向にある。このためタッチパネル制御装置は、離隔の程度が最も大きい一対の押圧セルを抽出し、少なくともいずれか一方の位置を、指定位置として特定する。これによってタッチパネル制御装置は、指定位置を、ユーザが無意識にパネル面を押圧する位置と明確に区別して認識することが容易に可能となる。
【0010】
又、ユーザが無意識にパネル面を押圧する位置は密集する傾向がある。このためタッチパネル制御装置は、離間の程度が最も小さい一対の押圧セルをはじめに選択することによって、密集した状態の押圧セルを、指定位置を決定する場合の押圧セルの対象から除外できる。従ってタッチパネル制御装置は、ユーザが無意識にパネル面を押圧する位置を効果的に排除し、指定位置を適切に決定することができる。
【0011】
又、タッチパネル制御装置は、指定位置と、ユーザが無意識にパネル面を押圧する位置とを明確に区別することができる。
【0012】
第一態様において、前記第二特定手段は、前記押圧セル間の位置関係と、前記離隔の程度とが対応付けられたテーブルを参照し、前記位置関係を調整することによって、前記押圧セル間の前記離隔の程度を特定してもよい。これによってタッチパネル制御装置は、押圧セル間の離隔の程度を容易に特定することができる。またタッチパネル制御装置は、テーブルに含める離間の程度を調節することによって、タッチパネルの使用態様や指定位置の指定方法等がユーザ毎に異なる場合であっても、離隔の程度を適切に特定することができる。
【0013】
本発明の第二態様に係るタッチパネル制御方法は、パネル面上に押圧力が加えられているか否かを、前記パネル面に網目状に形成されたセル毎に特定することが可能なタッチパネルを制御するタッチパネル制御方法であって、押圧力が加えられた前記セルである押圧セルを複数特定する第一特定ステップと、前記第一特定ステップによって特定された複数の前記押圧セルの位置を示す位置情報を、記憶手段に記憶する記憶制御ステップと、前記第一特定ステップによって特定された複数の前記押圧セルの位置に基づき、前記押圧セル間の離隔の程度を特定する第二特定ステップと、前記記憶手段に記憶された前記位置情報のうち、前記第二特定ステップによって特定された前記離隔の程度が所定条件を満たす場合の一対の前記押圧セルの位置を示す前記位置情報を無効とする無効ステップと、前記記憶手段に記憶された前記位置情報のうち、前記無効ステップによって無効とされた前記位置情報を除く前記位置情報によって示される前記押圧セルの中から、前記第二特定ステップによって特定された前記離隔の程度が最も小さい一対の前記押圧セルを、前記押圧セル毎に複数選択し、選択した複数の前記押圧セルの中で、前記離隔の程度が最も大きい一対の前記押圧セルを抽出する抽出ステップと、前記抽出ステップによって抽出された前記押圧セルの位置を、ユーザが指定した前記パネル面上の位置である指定位置として決定する決定ステップとを備えたことを特徴とする。第二態様によれば、第一態様と同様の効果を奏することができる。
【0014】
本発明の第三態様に係る制御プログラムは、パネル面上に押圧力が加えられているか否かを、前記パネル面に網目状に形成されたセル毎に特定することが可能なタッチパネルのうち、押圧力が加えられた前記セルである押圧セルを複数特定する第一特定ステップと、
前記第一特定ステップによって特定された複数の前記押圧セルの位置を示す位置情報を、記憶手段に記憶する記憶制御ステップと、前記第一特定ステップによって特定された複数の前記押圧セルの位置に基づき、前記押圧セル間の離隔の程度を特定する第二特定ステップと、前記記憶手段に記憶された前記位置情報のうち、前記第二特定ステップによって特定された前記離隔の程度が所定条件を満たす場合の一対の前記押圧セルの位置を示す前記位置情報を無効とする無効ステップと前記記憶手段に記憶された前記位置情報のうち、前記無効ステップによって無効とされた前記位置情報を除く前記位置情報によって示される前記押圧セルの中から、前記第二特定ステップによって特定された前記離隔の程度が最も小さい一対の前記押圧セルを、前記押圧セル毎に複数選択し、選択した複数の前記押圧セルの中で、前記離隔の程度が最も大きい一対の前記押圧セルを抽出する抽出ステップと、前記抽出ステップによって抽出された前記押圧セルの位置を、ユーザが指定した前記パネル面上の位置である指定位置として決定する決定ステップとをコンピュータに実行させる。第三態様によれば、第一態様と同様の効果を奏することができる。
【0015】
本発明の第四態様に係る制御プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な媒体は、パネル面上に押圧力が加えられているか否かを、前記パネル面に網目状に形成されたセル毎に特定することが可能なタッチパネルのうち、押圧力が加えられた前記セルである押圧セルを複数特定する第一特定ステップと、前記第一特定ステップによって特定された複数の前記押圧セルの位置を示す位置情報を、記憶手段に記憶する記憶制御ステップと、前記第一特定ステップによって特定された複数の前記押圧セルの位置に基づき、前記押圧セル間の離隔の程度を特定する第二特定ステップと、前記記憶手段に記憶された前記位置情報のうち、前記第二特定ステップによって特定された前記離隔の程度が所定条件を満たす場合の一対の前記押圧セルの位置を示す前記位置情報を無効とする無効ステップと前記記憶手段に記憶された前記位置情報のうち、前記無効ステップによって無効とされた前記位置情報を除く前記位置情報によって示される前記押圧セルの中から、前記第二特定ステップによって特定された前記離隔の程度が最も小さい一対の前記押圧セルを、前記押圧セル毎に複数選択し、選択した複数の前記押圧セルの中で、前記離隔の程度が最も大きい一対の前記押圧セルを抽出する抽出ステップと、前記抽出ステップによって抽出された前記押圧セルの位置を、ユーザが指定した前記パネル面上の位置である指定位置として決定する決定ステップとをコンピュータに実行させる。第四態様によれば、第一態様と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】手書き入力システム1を示す図である。
図2】電子筆記装置11の電気的構成を示すブロック図である。
図3】導電シート40を示す図である。
図4】パネルモジュール19の図3におけるI−I線矢視方向断面図である。
図5】パネルモジュール19に押圧力が加えられた状態を示す図である。
図6】押圧セル61〜67を示す図である。
図7】第一テーブル241を示す図である。
図8】第一テーブル241を示す図である。
図9】メイン処理を示すフローチャートである。
図10】押圧セル81〜84を示す図である。
図11】無効化処理を示すフローチャートである。
図12】特定された押圧セルの位置情報に基づきプロットした結果を示す図である。
図13】特定された押圧セルの位置情報に基づきプロットした結果を示す図である。
図14】第二テーブル242を示す図である。
図15】第二テーブル243を示す図である。
図16】第二テーブル244を示す図である。
図17】第二テーブル245を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。図1を参照し、手書き入力システム1について説明する。手書き入力システム1は、汎用の筆記具12を用いて筆記された場合の筆跡を特定して電子化し、筆跡データとして保存するためのシステムである。手書き入力システム1は、電子筆記装置11およびPC14を備える。電子筆記装置11およびPC14は、通信ケーブル18を介して接続する。
【0018】
電子筆記装置11は、凹形状の載置部16を手前側の面に備える。載置部16の底面にタッチパネル17が設けられる。タッチパネル17の形状は略長方形である。タッチパネル17は、抵抗膜方式で駆動する。筆記具12による筆記動作に伴い、筆記具12の先端部によってタッチパネル17が押圧された場合、印加された押圧力の位置(以下、「押圧位置」という。)が特定される。これによって電子筆記装置11は、特定した押圧位置に基づいて筆跡を特定できる。
【0019】
例えばユーザは、タッチパネル17のうち、電子筆記装置11の手前側(以下、「タッチパネル17の手前側」という。)に紙媒体70を載置する。ユーザは、紙媒体70に対し、汎用の筆記具12(ボールペンやシャープペンシル等)を用いて筆記する。紙媒体70に線画が描画される。同時に、筆記具12による筆記動作によってタッチパネル17に押圧力が加えられ、筆跡が特定される。このようにしてユーザは、筆記具12によって紙媒体70に線画が描画されると同時に、筆記具12による筆跡を示す筆跡データを得ることができる。
【0020】
PC14は、電子筆記装置11によって作成された筆跡データを、通信ケーブル18を介して電子筆記装置11から取得する。PC14は、電子筆記装置11から取得した筆跡データをデータベースに記憶する。PC14は、データベースに記憶した筆跡データを解析することができる。またPC14は、電子筆記装置11によって作成された筆跡データに基づき、筆跡の解析処理を行ったり、筆記具12を用いて描かれた線画をディスプレイに表示したりできる。
【0021】
図2を参照して、電子筆記装置11の電気的構成について説明する。電子筆記装置11は、CPU21、ROM22、RAM23、フラッシュメモリ24、駆動回路25、通信制御部26、およびタッチパネル17を備える。CPU21は、電子筆記装置11全体の制御を司る。ROM22には、ブートプログラムおよび初期データが記憶される。RAM23には、一時的なデータが記憶される。フラッシュメモリ24には、CPU21のプログラム、および第一テーブル241(図7図8参照、後述)が記憶される。駆動回路25はタッチパネル17を駆動する。通信制御部26は、通信ケーブル18(図1参照)を介してPC14(図1参照)と通信を行う。タッチパネル17は、パネルモジュール19を備える。パネルモジュール19は、導電シート40、電圧印加部38、および電圧検出部39を備える。
【0022】
PC14は、ドライブ装置141を備える。ドライブ装置141は、記憶媒体142に記憶された情報を読み出すことができる。例えばPC14は、記憶媒体142に記憶されたCPU21のプログラムを読み出し、通信ケーブル18を介して電子筆記装置11にプログラムを送信する。CPU21は、PC14から送信されたプログラムを受信し、フラッシュメモリ24に記憶する。CPU21は、フラッシュメモリ24に記憶したプログラムに基づいて動作することが可能となる。
【0023】
図3を参照し、導電シート40の構成について説明する。導電シート40は、第一導電膜41および第二導電膜42を備える。第一導電膜41および第二導電膜42の形状は略長方形である。第一導電膜41および第二導電膜42の形状は、タッチパネル17(図1参照)の形状と略同一である。第一導電膜41および第二導電膜42は積層している。第一導電膜41は、第二導電膜42に対してタッチパネル17の手前側に配置する。第一導電膜41および第二導電膜42間に、複数のスペーサ45(図4参照)が設けられる。スペーサ45は、第一導電膜41および第二導電膜42を離間する。
【0024】
第一導電膜41は、複数の抵抗膜411を備える。抵抗膜411は透明である。抵抗膜411の形状は略長方形である。抵抗膜411の長手方向の長さは、第一導電膜41の短手方向の長さと同一である。抵抗膜411の短手方向の長さは、第一導電膜41の長手方向の長さよりも短く、筆記具12(図1参照)の先端部の直径よりも十分大きい。抵抗膜411は、第一導電膜41の長手方向に並行に並んでいる。隣接する抵抗膜411間の境界部分に隙間413が設けられる。隙間413の間隔は、抵抗膜411の短手方向の長さと比較して非常に小さい。以下、抵抗膜411の並ぶ方向(図3における上下方向)を、Y軸方向という。Y軸方向と直交する方向(図3における左右方向)を、X軸方向という。Y軸方向は、第一導電膜41の長手方向および抵抗膜411の短手方向に相当する。X軸方向は、第一導電膜41の短手方向および抵抗膜411の長手方向に相当する。それぞの抵抗膜411のうちX軸方向両端部に、電極412が設けられる。電極412には、電圧印加部38および電圧検出部39(図2参照)が接続される。電圧印加部38は、電極412を介して抵抗膜411に電圧を印加する。電圧検出部39は、電極412間の電圧を検出する。
【0025】
第二導電膜42は、複数の抵抗膜421を備える。抵抗膜421は透明である。抵抗膜421の形状は略長方形である。抵抗膜421の長手方向の長さは、第二導電膜42の長手方向の長さと同一である。抵抗膜421の短手方向の長さは、第二導電膜42の短手方向の長さよりも短く、筆記具12の先端部の直径よりも十分大きい。Y軸方向は、第二導電膜42および抵抗膜421の長手方向に相当する。X軸方向は、第二導電膜42および抵抗膜421の短手方向に相当する。抵抗膜421は、第二導電膜42の短手方向、即ちX軸方向に並んでいる。隣接する抵抗膜421間の境界部分に隙間423が設けられる。隙間423の間隔は、抵抗膜421の短手方向の長さよりも非常に短い。それぞの抵抗膜421のうちY軸方向両端部に、電極422が設けられる。電極422には、電圧印加部38および電圧検出部39(図2参照)が接続される。電圧印加部38は、電極422を介して抵抗膜421に電圧を印加する。電圧検出部39は、電極422間の電圧を検出する。
【0026】
図4に示すように、導電シート40の第一導電膜41のうち第二導電膜42と近接する側と反対側の面、即ちタッチパネル17(図1参照)の手前側に、フィルム32が積層される。フィルム32は、導電シート40を保護する。第一導電膜41および第二導電膜42間に、複数のスペーサ45が設けられる。スペーサ45は、第一導電膜41および第二導電膜42を離間する。第二導電膜42のうち第一導電膜41と近接する側と反対側の面側に、ガラス基板34が積層される。ガラス基板34は、導電シート40を支持する。積層された状態のフィルム32、導電シート40、およびガラス基板34、並びに、電圧印加部38および電圧検出部39(図2参照)が、パネルモジュール19に相当する。パネルモジュール19は、タッチパネル17の手前側に取り付けられる。
【0027】
パネルモジュール19に押圧力が印加された場合の様子について、図5を参照して説明する。以下、図5の上側および下側を、パネルモジュール19の上側および下側という。電子筆記装置11の載置部16(図1参照)の底面に紙媒体70(図1参照)が載置され、筆記具12を用いて紙媒体70に筆記が行われたとする。筆記具12の先端部は、載置部16の底面に設けられたタッチパネル17(図1参照)手前側のパネルモジュール19に押圧力を加える。図5に示すように、パネルモジュール19は、筆記具12による押圧力に伴って変形する。具体的には次の通りである。導電シート40に対して、フィルム32側から下方に向かう方向の押圧力が加わる。フィルム32および第一導電膜41は、下方に撓む。第一導電膜41の抵抗膜4111と、第二導電膜42の抵抗膜4211、4212とが接触する。
【0028】
押圧力が加えられた位置を検出する方法について説明する。第一導電膜41が備える抵抗膜411(図3参照)に設けられた電極412(図3参照)、および第二導電膜42が備える抵抗膜421(図3参照)に設けられた電極422(図3参照)間に、電圧印加部38(図2参照)から電圧が印加される。電極間に電圧が印加された状態で、筆記具12による筆記動作がタッチパネル17に対して実行される。図5に示すように、パネルモジュール19が変形したとする。
【0029】
第一導電膜41の抵抗膜4111と、第二導電膜42の抵抗膜4211、4212が接続することによって、抵抗膜4111に設けられた電極412間の電圧、および、抵抗膜4211、4212に設けられた電極422間の電圧が変化する。電極412、422に接続された電圧検出部39は、電極間の電圧を検出する。CPU21(図2参照)は、電圧検出部39によって検出された電圧を取得し、電極412、422間の電圧の変化を検出する。CPU21は、電圧が変化した電極412が設けられた抵抗膜4111と、電極422が設けられた抵抗膜4211、4212が交差する領域を、外部から押圧力が加えられた押圧位置として特定する。
【0030】
このようにパネルモジュール19は、筆記具12などの物体が接触することによって押圧力が加えられた押圧位置を、抵抗膜4111、4211が交差する領域(以下、「セル」ともいう。)単位で特定することができる。以下、押圧位置として特定されたセルを「押圧セル」という。図3に示すように、セルは、タッチパネル17の手前側に網目状に形成され、且つ、それぞれのセルを構成する抵抗膜411、421には、電極412、422が別々に設けられる。このためCPU21は、セルごとに押圧位置を特定できることになる。従ってCPU21は、タッチパネル17の多点を同時に押圧する力が加えられた場合でも、複数の押圧セルを同時に特定することができる。
【0031】
また図5のように、抵抗膜4211、4212間の境界部分に押圧力が加えられた場合、抵抗膜4111は、抵抗膜4211と抵抗膜4212に接触する。このためCPU21は、抵抗膜4111、4211が交差するセル、および、抵抗膜4111、4212が交差するセルの両方を、押圧セルとして特定する。このように、抵抗膜間411、421間の境界部分に押圧力が加えられた場合や、大きな物体によってタッチパネル17に押圧力が加えられた場合、CPU21は、隣接配置する複数の押圧セルを同時に特定する。
【0032】
ユーザが手で筆記具12(図1参照)を所持し、タッチパネル17(図1参照)に対して筆記動作を行うことを想定する。図3に示すように、通常ユーザは、手60の腹部や手首をタッチパネル17に載せて手60を安定させつつ、筆記具12によって筆記動作を行う。さらに、筆記動作の過程で、手首に装着された腕時計やアクセサリーがタッチパネル17に押し当てられる場合もある。このような場合にCPU21は、筆記具12の先端部によって押圧力が加えられた押圧セル61を特定する。またCPU21は、手60の腹部および手首によって押圧力が加えられた押圧セル63、65を特定する。さらにCPU21は、手首に装着された腕時計やアクセサリーによって押圧力が加えられた押圧セル67を特定する。
【0033】
図6は、網目状に配置したセル68のうち、特定された押圧セル61〜67の位置を示している。筆記具12(図3参照)の先端部の直径は、セルの辺長よりも十分小さいので、筆記具12は1つのセルを押圧する。このためCPU21は、1つのセルを押圧セル61として特定する。一方、手60(図3参照)の腹部や手首の面積は大きいので、手60の腹部や手首は、複数のセルを同時に押圧する。このためCPU21は、隣接配置する複数のセルを押圧セル63、65として特定する。他方、小さな腕時計やアクセサリーが手60に装着されている場合、腕やアクセサリーは1つのセルを押圧する。このためCPU21は、1つのセルを押圧セル67として特定する。
【0034】
筆記具12による筆跡を示す筆跡データを取得するために、CPU21は、筆記具12によって押圧力が加えられた押圧セル61を、他の押圧セル63〜67と特別して特定する必要がある。以下、筆記具12によって押圧力が加えられた押圧セル61を他の押圧セル63、65、67と区別して特定する方法の詳細について説明する。なお以下、図6に示すそれぞれのセル68を、左上端のセルからX軸方向およびY軸方向に向けて順番に割り当てた番号を用いて表記する。例えば左上端からX軸方向に向けて3番目、且つ、左上端からY軸方向に向けて4番目のセルである押圧セル61を、「押圧セル61(3,4)」のように表記する。
【0035】
押圧セル61〜67を特定した後、CPU21は、特定した押圧セル61(3,4)、63((8,12)、(9,12)、(10,12)・・・)、65((9,18)、(10,18)・・・)、67(6,17)間の離隔の程度を特定する。離隔の程度は、押圧セル間のX軸方向およびY軸方向の距離(単位/セル)を加算することによって算出される。例えば押圧セル61(3,4)と押圧セル63(8,12)との間の離隔の程度は、X軸方向に5セル分離隔し、Y軸方向に8セル分離隔しているので、13(=5+8)になる。また、例えば押圧セル65(9,18)と押圧セル65(10,19)との間の離隔の程度は、2(=1+1)になる。また、例えば押圧セル63(8,15)と押圧セル67(6,17)との間の離隔の程度は、4(=2+2)になる。以下、このようにして算出される離隔の程度を、「離隔距離」という。
【0036】
CPU21は、特定した押圧セル61〜67のうち対となる全ての組み合わせを抽出し、抽出した組み合わせごとに離隔距離を特定する。CPU21は、特定した離隔距離を、押圧セルの位置を示す位置情報に対応付けて第一テーブル241(図7参照)に記憶する。なお位置情報は、セル68のうち左上端のセルを基準とした場合の押圧セル61〜67のX軸方向およびY軸方向の位置(X,Y)を示す座標情報である。例えば図7で示されるように、位置情報(最も左の列)および離隔距離は第一テーブル241に記憶される。
【0037】
続いてCPU21は、第一テーブル241に記憶された位置情報のうち、離隔距離2を含む位置情報を無効とする。CPU21は、位置情報が無効である旨を示すフラグ情報を記憶することによって、対応する位置情報を無効にする。図7の第一テーブル241の場合、位置情報(3,4)、および(6,17)を除く位置情報は、すべて離隔距離2を含む。このためCPU21は、図8に示すように、(3,4)、および(6,17)を除く位置情報に、無効である旨を示すフラグ情報(図8中、×)を対応付けて記憶する。このようにしてCPU21は、離隔距離2を含む位置情報を無効にする。
【0038】
離隔距離2を含む位置情報を無効とする理由は次の通りである。筆記具12の先端部の直径は、セルの辺長よりも十分小さい。このため、筆記具12を用いてタッチパネル17が押圧される場合に、CPU21が同時に特定する可能性のある押圧セルの数は、1つまたは2つとなる場合が多い。押圧セルの数が2つとなる理由は、セルの辺どうしが隣接する隣接部分を筆記具12が押圧する場合、隣接するセルが押圧セルとして同時に特定されるためである。なお、セルの頂点どうしが隣接する隣接部分を筆記具12が押圧する場合、4つの押圧セルが同時に特定されることになる。しかしながら、4つの押圧セルが同時に特定される可能性は、1つまたは2つの押圧セルが同時に特定される場合と比較して小さい。
【0039】
一方、筆記具12による筆記動作時に筆記具12以外の物体によってタッチパネル17が押圧される場合、CPU21が特定する可能性のある押圧セルの数は、4つ以上となる場合が多い。また、特定される4つ以上の押圧セルは隣接配置する場合が多い。
【0040】
ここで、4つ以上の押圧セルが隣接配置する場合において、押圧セルごとに離隔距離が特定され、第一テーブル241(図7参照)に離隔距離が記憶された場合を想定する。この場合、離隔距離2を含む位置情報を無効とする処理が行われることによって、これらの押圧セルの位置情報は無効となる。このため、筆記具12以外の物体によって押圧された押圧セル63、65(図6参照)の位置情報(図8における、位置情報(3,4)、および(6,17)を除く位置情報)は無効となる。なお、隣接する4つ以上の押圧セルの並び方によっては、押圧セルの位置情報が無効とされない場合もある(図10参照、後述)。このような押圧セルは、後述する別の処理(無効化処理、図11参照)によって無効化される。詳細は後述する。
【0041】
これに対し、1つまたは2つの押圧セルについて、押圧セルごとに離隔距離が特定され、第一テーブル241に離隔距離が記憶された場合を想定する。この場合、離隔距離2を含む位置情報を無効とする処理が行われても、位置情報(図7における(3,4)、および(6,17))は無効とならない。このため、筆記具12によって押圧された押圧セル61の位置情報(図8における(3,4))は無効とならない。
【0042】
以上のようにCPU21は、第一テーブル241のうち離隔距離2を含む位置情報を無効とすることによって、筆記具12以外の物体によって押圧された押圧セルを無効化できる。一方、筆記具12によって押圧された押圧セルは無効化されないので、CPU21は、筆記具12によって押圧力が加えられた押圧セル61を、筆記具12以外の物体によって押圧力が加えられた押圧セル63、65と明確に区別して特定できる。
【0043】
続いてCPU21は、第一テーブル241(図8参照)を参照し、無効化された位置情報を除く位置情報に対応付けられた離隔距離のうち最小となる離隔距離(以下、「最小離隔距離」という。)を、位置情報ごとに選択する。図8の場合、(3,4)(押圧セル61、図6参照)に対応する離隔距離から最小遠隔距離13が選択される。同様に、(6,17)(押圧セル67、図6参照)に対応する離隔距離から最小遠隔距離4が選択される。
【0044】
最後にCPU21は、選択された最小離隔距離のうち最大となる最小離隔距離に対応付けられた位置情報を、筆記具12によって押圧された押圧セルの位置情報として決定する。図8の場合、最小離隔距離13である位置情報(3,4)(押圧セル61、図6参照)が、筆記具12によって指定された位置(以下、「指定位置」ともいう。)を示す位置情報として決定される。
【0045】
最大となる最小離隔距離に対応付けられた位置情報を、指定位置の位置情報として特定する理由は、次の通りである。筆記具12を用いた筆記動作によって押圧された押圧セル61と、筆記具12以外の物体(例えばユーザの手60(図3参照)の腹部、手首、腕時計、アクセサリー等)によって押圧された押圧セル63〜67とは、位置が大きく離隔する場合が多い(例えば図3参照)。このためCPU21は、最小離隔距離が最大となる場合の位置情報を抽出し、筆記具12による筆記動作によって指定されたタッチパネル17上の位置、即ち指定位置の位置情報として決定する。これによってCPU21は、筆記具12によって指定された指定位置を、ユーザが無意識にタッチパネル17を押圧した位置と明確に区別して認識することが容易に可能となる。
【0046】
また、位置情報に対応付けられた離隔距離から最小離隔距離を選択して比較する理由は次の通りである。筆記具12以外の物体によって押圧された押圧セルは、隣接配置すると同時に、押圧セルどうしが近傍に配置する場合が多い。例えば図6では、筆記具12以外の物体によって押圧された押圧セル63〜67は、それぞれ近傍(導電シート40の右下部分)に配置している。一方、筆記具12によって押圧された押圧セル61は、押圧セル63〜67から離間して配置している。このためCPU21は、最小離隔距離どうしを比較し、最大の最小離隔距離を抽出することによって、指定位置を決定する場合の比較対象から押圧セル63〜67を排除できる。これによってCPU21は、ユーザが無意識にタッチパネル17を押圧した場合の押圧セル63〜67を効果的に排除し、指定位置を適切に決定することができる。
【0047】
図9を参照し、CPU21によって実行されるメイン処理について説明する。メイン処理は、電子筆記装置11の電源がONされた場合に、フラッシュメモリ24に記憶されたプログラムをCPU21が実行することによって開始される。CPU21は、導電シート40(図3参照)の抵抗膜411(図3参照)の両側に設けられた電極412(図3参照)、および抵抗膜421(図3参照)の両端に設けられた電極422(図3参照)間に、電圧印加部38(図2参照)を介して電圧を印加する。CPU21は、電極412、422間の電圧を、電圧検出部39(図2参照)を介して検出する。
【0048】
CPU21は、電圧検出部39を介して検出した電圧に基づき、抵抗膜411、421の接触を検出したか判断する(S11)。抵抗膜411、421の接触を検出しない場合(S11:NO)、押圧セルは特定されない。抵抗膜411、421の接触を継続して監視するために、処理はS11に戻る。
【0049】
抵抗膜411、421の接触を検出した場合(S11:YES)、パネルモジュール19に押圧力が印加されたことになるので、CPU21は、押圧セルを特定する(S13)。CPU21は、特定された押圧セルの位置を示す位置情報を、第一テーブル241(図7図8参照)に記憶する(S15)。CPU21は、S13で特定した押圧セルと、第一テーブル241に既に記憶されている位置情報によって示される他の押圧セルとの間の離隔距離が、S35(後述)ですべて特定されているか判断する(S17)。特定されていない離隔距離がある場合(S17:NO)、CPU21は、S13で特定した押圧セルと他の押圧セルとの組み合わせのうち、離隔距離を特定していない組み合わせを選択し、離隔距離を特定する(S35)。CPU21は、特定した離隔距離を、押圧セルの位置情報に対応付けて第一テーブル241に記憶する(S36)。
【0050】
CPU21は、S35で特定した離隔距離が2であるかを判断する(S37)。離隔距離が2である場合(S37:YES)、CPU21は、位置情報が無効であることを示すフラグ情報を、押圧セルの位置情報に対応付けて第一テーブル241に記憶する。これによってCPU21は、第一テーブル241に記憶された位置情報を無効化する(S39)。CPU21は、フラッシュメモリ24の前周期テーブル(図示外)に、無効化した位置情報を記憶する(S40)。前周期テーブルは、後述する無効化処理(S23参照)において使用される。詳細は後述する。処理はS17に戻る。一方、S35で特定した離隔距離が2以外である場合(S37:NO)、S13で特定した押圧セルと他の押圧セルとの組み合わせのうち、離隔距離を特定していない組み合わせを選択し、離隔距離を繰り返し特定するために、処理はS17に戻る。離隔距離が繰り返し特定された結果、離隔距離がすべて特定された場合(S17:YES)、処理はS27に進む。なおこの時点で、図8で示される情報が第一テーブル241に記憶されたことになる。
【0051】
CPU21は、第一テーブル241を参照し、無効化された位置情報を除く位置情報に対応付けられた離隔距離のうち最小離隔距離を、位置情報ごとに選択する(S27)。次にCPU21は、選択した最小離隔距離のうち最大となる最小離隔距離に対応付けられた位置情報を特定する(S29)。最後にCPU21は、第一テーブル241に記憶された位置情報のうち、S29で選択した位置情報を除く位置情報を削除する(S31)。CPU21は、第一テーブル241に記憶された位置情報を、筆記データとしてフラッシュメモリ24に記憶する。処理はS19に進む。
【0052】
CPU21は、一ストローク分の筆記動作が完了したか判断する(S19)。一ストロークとは、連続する線分の開始から終了までを示す。CPU21は、第一テーブル241に有効な位置情報が残っていない場合、一ストローク分の筆記動作が完了したと判断する。なお、一ストローク分の筆記動作が完了したと判断される場合として、(1)押圧セルが検出されない場合、および、(2)検出された押圧セルの位置情報のすべてがS39で無効化された場合とがある。一ストローク分の筆記動作が完了していない場合(S19:NO)、CPU21は、周期的に押圧セルを特定するために、所定時間待機する(S21)。所定時間の経過後、CPU21は、一ストローク分の筆記動作が完了するまで押圧セルを繰り返し特定するため、処理はS13に戻る。
【0053】
一ストローク分の筆記動作が完了したとする(S19:YES)。フラッシュメモリ24には、一ストローク分の筆記動作に対応する筆記データが記憶された状態になる。CPU21は、筆記データに含まれる位置情報を、必要に応じて無効化するために、無効化処理(図11参照)を実行する(S23)。無効化処理の概要は以下の通りである。
【0054】
図10は、筆記具12以外の物体(例えば、手60(図3参照)の腹部や手首等)が導電シート40に徐々に近づき、最終的に導電シート40を押圧する過程で、CPU21によって周期的(第一周期401〜第四周期404)に特定される押圧セル81〜84を示している。導電シート40に物体が近づくに従い、物体と導電シート40との接触面積は徐々に大きくなる。このため特定される押圧セルの数は、時間の経過に伴って徐々に大きくなる。例えば第一周期401では、導電シート40に物体が僅かに接触した状態であるため、物体のうち一部分のみが導電シート40を押圧する。このため、押圧セル81のみが特定される。第一周期401から所定時間経過後の第二周期402では、導電シート40と物体との間の距離が近接することによって、物体のより大きな部分が導電シート40を押圧する。このため、隣接する複数の押圧セル82が特定される。第三周期403では、押圧セル82の数よりも大きい数の押圧セル83が特定され、第四周期404では、押圧セル83よりもさらに大きい数の押圧セル84が特定される。
【0055】
S37、S39(図9参照)においてCPU21は、第一テーブル241のうち離隔距離2に対応付けられた位置情報を無効化している。位置情報の無効化により、CPU21は、筆記具12によって押圧された押圧位置と、筆記具12以外の物体によって押圧された押圧位置とを区別する。ここで、S37、S39の無効化処理が行われた後、一ストローク分の筆記動作が完了した場合を想定する。この場合、第四周期404では、押圧セル84すべての位置情報に離隔距離2が対応付けられることになるので、押圧セル84の位置情報はすべて無効化される。このため、筆記具12以外の物体によって押圧された押圧セル84は、筆記具12によって押圧された押圧セルを決定する場合の選択対象から除外される。
【0056】
これに対し、第三周期403では、押圧セル84のうち中心の押圧セル831には最小離隔距離として1が対応付けられ、離隔距離2は対応付けられない。一方、周囲の押圧セル832に対して離隔距離2が対応付けられる。このため、押圧セル832の位置情報は無効化され、押圧セル831の位置情報は無効化されない。また、第一周期401および第二周期402では、押圧セル81、82には離隔距離2が対応付けられないので、押圧セル81、82の位置情報は無効化さない。このため、押圧セル81、82、831は筆記具12以外の物体によって押圧されているにも関わらず、筆記具12によって押圧された押圧セルを決定する場合の選択対象となる。従って、筆記具12によって押圧された押圧セルとして押圧セル81、82、831が誤って特定されている可能性がある。
【0057】
そこでCPU21は、次のようにして、押圧セル81、82、831の位置情報を無効化する。S19(図9参照)において、CPU21が(1)押圧セルが検出されないことによって一ストローク分の筆記動作が完了したと判断したとする。一ストローク分の筆記データに対応する前周期テーブルに、押圧セル84の位置情報が記憶されていたとする。CPU21は、筆記データに含まれる位置情報のうち、無効化した押圧セル84と同一位置にある押圧セル81、82、831の位置情報を無効化する。このようにしてCPU21は、筆記具12以外の物体が押圧された場合の押圧セルのうち、押圧セルの特定時点(S37、S39(図9参照))の処理時点)で無効化しきれない押圧セルの位置情報を、過去に遡って無効化することができる。従ってCPU21は、筆記具12以外の物体によって押圧された位置が、筆記具12によって押圧された位置と誤って認識されることを抑止できる。CPU21は、筆記具12によって押圧された押圧セルを正確に特定することができる。
【0058】
一方、CPU21が、(2)検出された押圧セルの位置情報のすべてがS39で無効化されることによって一ストローク分の筆記動作が完了したと判断したとする。この場合、筆記動作自体は継続して行われていることになるので、前周期テーブルに基づき過去に遡って位置情報を無効化すると同時に、継続中の筆記動作の後段階の位置情報も無効化する必要がある。そこでCPU21は、筆記データに含まれる位置情報を次のようにして無効化する。はじめにCPU21は、上述の(1)と同様の方法で、無効化した押圧セル84と同一位置にある押圧セル81、82、831の位置情報を無効化する。加えてCPU21は、前周期テーブルに記憶された情報を、フラッシュメモリ24の後周期テーブル(図示外)に記憶する。CPU21は、次のストローク分の筆記動作が完了した段階で、後周期テーブルを参照する。CPU21は、後周期テーブルに、押圧セル84の位置情報が含まれている場合に、押圧セル84と同一位置にある押圧セルの位置情報を無効化する。これによって、実際には一つのストロークが継続している二つの筆記動作に対応する位置情報を無効化できる。このようにCPU21は、ユーザが筆記具12以外の物体をタッチパネル17に押圧させた場合の押圧セルのうち、押圧セルの特定時点で無効化しきれない押圧セルの位置情報を、過去に無効化された押圧セルの位置情報に基づいて無効化することができる。従ってCPU21は、筆記具12によって押圧された押圧セルを更に正確に特定できる。
【0059】
無効化処理について、図11のフローチャートを参照して詳説する。CPU21は、一ストローク分の筆記データを、フラッシュメモリ24から取得する(S50)。CPU21は、S19(図9参照)で(1)の理由によって一ストローク分の筆記動作が完了したと判断しており、且つ、S50で取得した一ストローク分の筆記データに対応する前周期テーブルが、フラッシュメモリ24に記憶されているか判断する(S51)。前周期テーブルがフラッシュメモリ24に記憶されている場合(S51:YES)、CPU21は、S50で取得した筆記データのうち、前周期テーブルに記憶された位置情報と同一の位置情報を無効化する(S55)。処理はS59に進む。一方、前周期テーブルがフラッシュメモリ24に記憶されていない場合(S51:NO)、処理はS59に進む。
【0060】
CPU21は、S19(図9参照)で(2)の理由によって一ストローク分の筆記動作が完了したと判断しており、且つ、S50で取得した筆記データのストロークよりも一つつ前のストロークに対応する後周期テーブルが、フラッシュメモリ24に記憶されているか判断する(S59)。後周期テーブルがフラッシュメモリ24に記憶されている場合(S59:YES)、CPU21は、S50で取得した筆記データのうち、後周期テーブルに記憶された位置情報と同一の位置情報を無効化する(S63)。無効化処理は終了し、処理はメイン処理(図9参照)に戻る。一方、後周期テーブルがフラッシュメモリ24に記憶されていない場合(S59:NO)、無効化処理は終了し、処理はメイン処理(図9参照)に戻る。
【0061】
図9に示すように、無効化処理(S23)の終了後、CPU21は、フラッシュメモリ24に記憶された筆記データに含まれる位置情報を、筆記具12によって指定されたタッチパネル17上の指定位置を示す位置情報として決定する(S33)。メイン処理は終了する。
【0062】
図12は、筆記具12を用いて筆記動作が行われた場合に特定された押圧セルの位置情報に基づき、押圧位置をプロットした結果を示している。ユーザは、タッチパネル17上に載置した紙媒体70(図1参照)の上側に、「お疲れ様です。」の文字を描画している。図12に示すように、押圧位置101は「お疲れ様です。」の文字を形成している。加えて、押圧位置101(「お疲れ様です。」)の右下部分に、多数の押圧位置102が分布している。押圧位置102は、筆記具12を用いて筆記動作が行われた場合に、筆記具12を所持する手の腹部や手首等によって押圧された押圧位置を示している。
【0063】
図13は、CPU21がメイン処理(図9参照)を実行することによって決定された指定位置をプロットした結果を示している。図12の場合と同様、「お疲れ様です。」の文字が指定位置103によって形成されている。一方、図12の場合と異なり、指定位置103の右下側には、筆記具12を所持する手の腹部や手首等によって押圧された押圧位置はほとんど検出されない。このように、上述のメイン処理がCPU21によって実行された場合、筆記具12以外の物体によって押圧された押圧セルは無効化されるので、筆記具12以外の物体によって押圧された押圧位置は筆記データから効果的に排除される。
【0064】
以上説明したように、CPU21は、最も大きい最小離隔距離に対応する押圧セルを抽出し、その位置を指定位置として特定できる。CPU21は、筆記具12によって押圧された押圧セルを、筆記具12以外の物体によって押圧された押圧セルと明確に区別して認識することが容易に可能となる。またCPU21は、押圧セルの位置情報を無効化した場合、他の周期で取得した位置情報も併せて無効化することができる。このためCPU21は、筆記具12によって押圧された押圧セルを正確に区別して認識できる。
【0065】
なお本発明は、上述の実施形態に限定されず、種々の変更が可能である。上述では、タッチパネル17の外部に設けられたCPU21が、押圧位置を特定するための処理を行なっていた。これに対し、タッチパネル17がCPU、ROM、RAM、フラッシュメモリ等を備えていても良い。そして、タッチパネル17が備えるCPUが、上述したCPU21による処理を代わりに実行しても良い。またPC14のCPU21が、上述したCPU21による処理を代わりに実行しても良い。
【0066】
上述では、いわゆる抵抗膜方式で駆動するタッチパネル17を想定したが、本発明はこれに限定されない。他の駆動方式に基づいて動作するタッチパネル17であってもよい。
【0067】
上述の実施形態では、押圧セル間のX軸方向およびY軸方向の距離を加算することによって、離隔距離が特定された。これに対し、押圧セルの位置関係と離隔距離とが対応付けられた第二テーブル242(図14参照)、243(図15参照)、244(図16参照)、245(図17参照)を適用することによって、離隔距離が特定されてもよい。第二テーブル242〜245では、中心位置(図中「○」にて表記する)の押圧セルから、周囲の他の押圧セルまでの離隔距離が示されている。CPU21は、第二テーブル242〜245の中心位置に対象とする押圧セルを配置することによって、対象とする押圧セルと他の押圧セルとの間の離隔距離を容易に特定することができる。例えばCPU21は、図14の第二テーブル242を適用することによって、上述の実施形態で説明した方法で算出される離隔距離と同一の離隔距離を容易に特定することができる。
【0068】
また、例えば図15の第二テーブル243が適用された場合、筆記具12によって押圧された押圧セルの位置情報が、S37、S39の無効化処理によって無効化されることを適切に抑制できる。理由は次の通りである。筆記具12によって押圧された場合に特定される押圧セルの数は、1、2、4のいずれかである。複数の押圧セルが特定される場合、これらは常に隣接する。ここで第二テーブル243が適用された場合、隣接する押圧セル間の離隔距離は常に1となる。このため、筆記具12によって押圧された押圧セルは、S37、S39(図9参照)の無効化処理における無効化の条件である「離隔距離2」に合致せず、無効化されない。
【0069】
また図16の第二テーブル244または、図17の第二テーブル245は、ユーザの筆記具12の使用方法や筆記方法等に応じて使い分けられる。これによってCPU21は、筆記具12以外の物体によって押圧された押圧セルの位置情報を、S37、S39による無効化処理によって効果的に無効化させることができる。
【0070】
以上のようにCPU21は、第二テーブル242〜245を適用することによって、離隔距離を容易に特定することができる。またCPU21は、格納される離間距離の組み合わせや配置がそれぞれ異なる第二テーブル242〜245を使い分けることによって、筆記具12の使用態様や筆記方向、タッチパネル17の使用法等がユーザ毎に異なる場合であっても、離隔距離を適切に特定することができる。
【0071】
メイン処理(図9参照)の結果、複数の押圧セルが抽出された場合等には、タッチパネル17の上側に配置する押圧セルを、筆記具12によって押圧された押圧セルとして特定してもよい。筆記具12による筆記動作が行われた場合、筆記具12によって押圧された押圧セルは、通常、手の腹部や手首等よりもタッチパネル17の上側に配置する場合が多いためである。これによってCPU21は、押圧セルの位置情報の中から、指定位置を示す位置情報を容易に決定することができる。
【0072】
上述では、S35、S39(図9参照)における位置情報の無効化の条件を、「離隔距離2」とした。これに対してCPU21は、離隔距離2以外の場合に、第一テーブル241に記憶された位置情報を無効化してもよい。例えばCPU21は、離隔距離3、4の場合に、第一テーブル241に記憶された位置情報を無効化してもよい。
【0073】
なお、S13の処理を行うCPU21が本発明の「第一特定手段」に相当する。S35の処理を行うCPU21が本発明の「第二特定手段」に相当する。S27、S29の処理を行うCPU21が本発明の「抽出手段」に相当する。S33の処理を行うCPU21が本発明の「決定手段」に相当する。S15の処理を行うCPU21が本発明の「記憶制御手段」に相当する。S37、S39の処理を行うCPU21が本発明の「無効手段」に相当する。S13の処理が本発明の「第一特定ステップ」に相当する。S35の処理が本発明の「第二特定ステップ」に相当する。S27、S29の処理が本発明の「抽出ステップ」に相当する。S33の処理が本発明の「決定ステップ」に相当する。
【符号の説明】
【0074】
1 入力システム
11 電子筆記装置
12 筆記具
17 タッチパネル
24 フラッシュメモリ
60 セル
241 第一テーブル
242、243、244、245 第二テーブル
図1
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