特許第5974637号(P5974637)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5974637
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】電動作業車両
(51)【国際特許分類】
   B62D 49/00 20060101AFI20160809BHJP
   B60L 15/00 20060101ALI20160809BHJP
   B60K 1/04 20060101ALI20160809BHJP
【FI】
   B62D49/00 E
   B60L15/00 Z
   B60K1/04 Z
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-123372(P2012-123372)
(22)【出願日】2012年5月30日
(65)【公開番号】特開2013-248918(P2013-248918A)
(43)【公開日】2013年12月12日
【審査請求日】2015年5月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】土居 義典
【審査官】 畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】 実開平06−027462(JP,U)
【文献】 特開2006−069357(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 49/00
B60K 1/04
B60L 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体(1)の前後に左右の前輪(3,3)および左右の後輪(4,4)を備え、機体(1)の後部に作業機(2)を連結した電動作業車両において、
ステアリングハンドル(11)の操作により前記左右の前輪(3,3)を操向して機体を旋回させる構成とし、
機体(1)の前部に機体フレーム(5)を構成し、該機体フレーム(5)の後方にミッションケース(19)を連結し、電動モータ(6)の動力をミッションケース(19)内の伝動装置に伝達し、ミッションケース(19)の後部に後輪伝動ケース(27)を設け、ミッションケース(19)内の伝動装置に伝動された動力を後輪伝動ケース(27)内の伝動軸(28)から後輪(4)に伝達する構成とし、
前記機体フレーム(5)に前輪伝動ケース(36)を設け、ミッションケース(19)内の動力の一部を前輪伝動ケース(36)内の伝動軸(37)から前輪(3)に伝達する構成とし、
前記前輪(3)の軸芯よりも前方に前記電動モータ(6)を設けるように構成し、
前記機体フレーム(5)を左右に並列する一対の機体フレーム(5a,5a)から構成し、これら左右の機体フレーム(5a,5a)間に形成される空間部(38)に電動モータ(6)を配置する構成としたことを特徴とする電動作業車両。
【請求項2】
前記電動モータ(6)は機体前方から着脱可能に構成したことを特徴とする請求項に記載の電動作業車両。
【請求項3】
前記電動モータ(6)の前後を支持する前プレート(40)と後プレート(41)を設け、バッテリ用載置フレーム(44)を前記前プレート(40)と後プレート(41)に連結して構成したことを特徴とする請求項に記載の電動作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力源に電動モータを使用し、この電動モータの配置構成を改良した電動作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
前輪の軸芯よりも後方に電動モータが配置されている構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第2585281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公報の技術においては、前輪の軸芯よりも後方に電動モータが配置されており、このため機体後部に作業機を装着して作業走行する場合、機体の重心位置が機体後部側寄りに移動してしまい、さらに前進で作業走行すると駆動反力が加わることで、機体前部に上向きの力が作用し機体後部に下向きに力が作用することで、機体の前後バランスが機体後部側寄りになってしまい、安定した作業走行ができないという欠点がある。特に、湿田等での4輪駆動での走行時には、前輪の駆動力が圃場面に伝達されにくくなるという欠点がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
請求項1に記載の発明は、機体(1)の前後に左右の前輪(3,3)および左右の後輪(4,4)を備え、機体(1)の後部に作業機(2)を連結した電動作業車両において、
ステアリングハンドル(11)の操作により前記左右の前輪(3,3)を操向して機体を旋回させる構成とし、機体(1)の前部に機体フレーム(5)を構成し、該機体フレーム(5)の後方にミッションケース(19)を連結し、電動モータ(6)の動力をミッションケース(19)内の伝動装置に伝達し、ミッションケース(19)の後部に後輪伝動ケース(27)を設け、ミッションケース(19)内の伝動装置に伝動された動力を後輪伝動ケース(27)内の伝動軸(28)から後輪(4)に伝達する構成とし、前記機体フレーム(5)に前輪伝動ケース(36)を設け、ミッションケース(19)内の動力の一部を前輪伝動ケース(36)内の伝動軸(37)から前輪(3)に伝達する構成とし、前記前輪(3)の軸芯よりも前方に前記電動モータ(6)を設けるように構成し、前記機体フレーム(5)を左右に並列する一対の機体フレーム(5a,5a)から構成し、これら左右の機体フレーム(5a,5a)間に形成される空間部(38)に電動モータ(6)を配置する構成としたことを特徴とする電動作業車両とした。
請求項2に記載の発明は、前記電動モータ(6)は機体前方から着脱可能に構成したことを特徴とする請求項に記載の電動作業車両とした。
請求項3に記載の発明は、前記電動モータ(6)の前後を支持する前プレート(40)と後プレート(41)を設け、バッテリ用載置フレーム(44)を前記前プレート(40)と後プレート(41)に連結して構成したことを特徴とする請求項に記載の電動作業車両とした。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明によれば、前輪の軸芯よりも前方に電動モータが配置されているので、機体後部に作業機を装着して作業走行する場合、機体の重心位置が機体後部側寄りに移動してしまのを防止でき、4輪駆動での走行時には、前輪の駆動力が効率良く圃場面に伝達される。また、左右の機体フレーム間の空間部に電動モータを配置することで、電動モータの上下方向の位置を低くでき、重心位置が低くなるので安定した走行が可能となる。
請求項2記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、電動モータの着脱やメンテナンスが容易となる。
請求項3記載の発明によれば、請求項2の効果に加え、バッテリを載置するフレームは電動モータの前後を支持する前プレートと後プレートに取り付ける構成としているので、別の取り付け部材が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】トラクタに作業機を連結した状態の左側面図
図2】トラクタの平面図
図3】トラクタの正面図
図4】伝動系を示す左側面図
図5】伝道系を示す平面図
図6】電動モータ取り付け部の正面図
図7】電動モータ取り付け部の斜視図
図8】操作パネルの一部の平面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1は、作業車両1(機体)の具体例として、農業機械であるトラクタの側面図を示している。
農用トラクタ1の機体後部に作業機2を昇降自在に取り付けている。
図2はトラクタ1を機体上方から見た平面図である。図3はトラクタ1の正面図を示している。
農用トラクタ1は機体の前後に左右一対の前輪3と後輪4を設けており、左右の前輪3,3間の上方に機体フレーム5(1個でも複数でもよい)を構成し、この機体フレーム5で電動モータ6を支持する構成としている。電動モータ6の上方にバッテリ9を収納したバッテリ収納箱体8を設けており、このバッテリ収納箱体8を覆うようにボンネット7を設けている。符号7aは、ボンネット7に取り付けている前照灯である。
前記電動モータ6の後方にミッションケース19を設けており、電動モータ6からミッションケース19内の伝動装置に伝動された動力を左右前輪3,3と左右後輪4,4に伝達する構成としている。ミッションケース19内の伝動装置としては、主変速装置29,副変速装置30,作業機2へ動力伝達するPTO軸の変速を行うPTO変速装置34等(図4参照)を構成しているが、主変速装置や副変速装置等を設けなくても、電動モータ9の回転を制御することで対応するように構成してもよい。
10は計器盤、11は左右前輪3,3の操向を行うステアリングハンドルである。左右の後輪6,6上方と両者間の内方はフェンダー12,12で覆われ、この左右のフェンダー12,12間の機体上に座席13を設けており、運転者が着座して運転する。
農用トラクタ1の機体後端に設けた左右のリンク14,14で作業機2を昇降自在に支持している。作業機2の例として圃場を耕すロータリを示しているが、ロータリ以外の作業機(鋤,代掻き装置等)を連結するように構成してもよい。
符号15はミッションケース19内の主変速装置29を変速する主変速レバー、符号16はPTO変速装置34を変速してPTO軸の回転数を変更するPTO変速レバーである。符号17は作業機2の昇降を行う作業機昇降レバー、符号18は作業機2で耕す深さを調整する耕深調整レバーである。符号20副変速装置30を変速する副変速レバーである。20は安全フレームであり、トラクタ1が転倒したときに座席13に着座している運転者を保護するものである。
主変速装置29は、中立、前進3段変速、後進1段変速を選択可能に構成している。また、副変速装置30は、中立、低速、高速を選択可能に構成している。PTO変速装置34は、中立、1段変速、2段変速、3段変速、逆転変速を選択可能に構成している。
符号21は電動モータ6の回転数を変更するアクセルペダルであり、符号22は電動モータ22の回転数を制御するアクセルレバーである。符号23はクラッチペダルであり、ミッションケース19内に設けているクラッチ26の断続を行う。符号24は右側後輪4にブレーキを掛ける右ブレーキペダルであり、符号25は左側後輪4にブレーキを掛ける左ブレーキペダルである。路上走行時には、左右のブレーキペダル24,25を連結して走行し、圃場内を作業走行するときには左右のブレーキペダル24,25の連結を解除して作業走行する。このようにすることで、作業走行時に旋回するときには、旋回内側の後輪にブレーキを掛けることで、旋回半径を小さくして旋回できる。
【0009】
図4は側面図であり、図5は平面図であるが、いずれも伝動系の構成を明確化するために、余分な部品を取り除いて示している。
電動モータ6の出力軸31に伝動接続体32を接続し、この伝動接続体32にミッション入力軸33を連結している。ミッション入力軸33に伝達された動力は、ミッションケース19内のクラッチ26,主変速装置29,副変速装置30を経由して後輪伝動ケース27内に伝達され、後輪駆動軸28から後輪4を駆動する構成としている。
また、ミッションケース19内で変速された動力の一部は、出力軸35,前輪伝動ケース36,前輪駆動軸37から前輪3を駆動する構成としている。
前輪3の軸芯、即ち前輪駆動軸37の軸芯よりも前方に電動モータ6を設ける構成としている。このように、前輪3の軸芯よりも前方に電動モータ6が配置されているので、機体1の後部に作業機2を装着して作業走行する場合、機体1の重心位置が機体後部側寄りに移動してしまのを防止でき、4輪駆動での走行時には、前輪3の駆動力が効率良く圃場面に伝達される。
また、ステアリングハンドル11は、支持パイプ59で支持されている。そして、支持パイプ59は、支持枠体59aを介して後述する後機体フレーム5bに固着(溶接)する構成としている。また、前記支持パイプ59は、第一フレーム枠体60と第二フレーム枠体61で支持されている。そして、第一フレーム枠体60と支持パイプ59間にプレート62を固着して設け、このプレート62にコントローラ63やその他の電子機器を配置する構成としている。
符号36aは前輪伝動ケース36を取り付ける取り付け体であり、後述する機体フレーム5の前機体フレーム5aに固着(溶接)して構成している。電動モータ6の下部位置は、前記取り付け体36aよりも下方位置に配置することで、電動モータ6をより低い位置に配置可能となる。
図5に示しているように、電動モータ6を支持する機体フレーム5は、左右に並列する一対の機体フレーム5,5の構成として、これら左右の機体フレーム5,5間に形成される空間部38に電動モータ6を配置する構成とする。このように、左右の機体フレーム5,5間の空間部38に電動モータ6を配置することで、電動モータ6の上下方向の位置を低くでき、機体の重心位置が低くなるので安定して走行が可能となる。
機体フレーム5は、前機体フレーム5aとこの前機体フレーム5aの後部に固着(溶接)した後機体フレーム5bから構成されている。さらに、左右の後機体フレーム5b,5bの後部を左右連結フレーム5cで固着(溶接)している構成である。この左右連結フレーム5cをミッションケース19にボルト39で固定する構成としている。前機体フレーム5aと後機体フレーム5bの接続部分においては、後機体フレーム5bの内側に補強フレーム5dを溶接して、機体フレーム5全体の強度を向上する構成としている。
図6は正面図であるが、特に電動モータ6の取り付け部分の拡大図を示している。図7は電動モータ6の取り付け部分を示す斜視図である。左右の前機体フレーム5aの前端部をそれぞれ機体外側に向かってL字状に折り曲げており、この部分に電動モータ6を支持する前プレート40をボルト43で固定する構成としている。また、前記補強フレーム5dの前端部と、左右の前機体フレーム5aの内側に電動モータ6を支持する後プレート41を溶接して固着する構成としている。このような構成とすることで、電動モータ6を支持する前プレート40と後プレート41は、機体フレーム5の強度を向上する強度メンバーともなっている。
そして、前プレート40と後プレート41の間に電動モータ6を配置し、ボルト42で電動モータ6を前プレート40と後プレート41に取り付ける構成としている。後プレート41に対して電動モータ6を取り付けているボルト42を外し、左右の前機体フレーム5aに対して前プレート40を取り付けているボルト43を外すと、電動モータ6は前プレート40とともに機体1の前方に向かって外せる構成としている。このように、電動モータ6を機体1の前方から着脱可能に構成しているので、電動モータ6の着脱やメンテナンスが容易となる。
また、電動モータ6の下方は、コの字状の保護カバー58で覆う構成としている。保護カバー58は、電動モータ6を取り付けている前プレート40と後プレート41に対してボルト59で取り付けている構成である。
図4に示しているように、電動モータ6の上方にバッテリ9を配置する構成としている。前述したように、上下方向の位置を低くした電動モータ6の上方にバッテリ9を設けることで、バッテリ9の上下方向の位置も低くなり、機体1の重心位置を低く抑えることができるので、安定した走行が可能となる。
バッテリ9はバッテリ収容箱体8内に収容されている。バッテリ収容箱体8にはコの字状のバッテリ用載置フレーム44を固着(溶接又はボルト止め)しており、バッテリ用載置フレーム44を前記電動モータ6を支持する前プレート40と後プレート41に対してボルト45で取り付ける構成としている。このように、バッテリ9は電動モータ6を支持する前プレート40と後プレート41に取り付ける構成としているので、別の取り付け部材が不要となる。
図1に示しているように、バッテリ9と電動モータ6を接続する電線46は、機体フレーム5に沿って配策してクランプ47で固定しているので、配策が容易となる。電線46は短くすることが望ましい。短くすることで、電線の抵抗によるロスを低下できるようになる。
前記作業機2の昇降は油圧シリンダで行っているので、油圧系作動するポンプをミッションケース19内の動力で駆動する構成としている。このため、電動モータ6の逆転はできない構成としている。また、油圧系を作動させるポンプを駆動するための別の電動モータを設ける構成としてもよい。
図1に示しているように、ステアリングハンドル11を支持するハンドルポスト48の左側に開閉可能なカバー50を構成し、カバー50の内側にスイッチ式の主電源49を設けている。この主電源49を入りにする前に、安全のため主変速レバー15、副変速レバー20、PTO変速レバー16が中立状態であることを確認する必要がある。主電源49はメインブレーカであり、入りにすることでバッテリ9が接続されるが、後述するキースイッチを入り操作するまでは、コントローラ回路には電源が接続されないので、アクセルペダル21やアクセルレバー22を操作しても電動モータ6は回転せず、機体1は動かない構成としている。
図2に示す符号51は操作パネルであり、この拡大図を図8に示している。始動するためには、クラッチペダル23を踏み込み、操作パネル51に設けている押しボタンスイッチ52(プリチャージ用スイッチ)を5秒程度押した後、キースイッチ53を始動まで回して、緑色のLEDランプ54が点灯するのを確認する。前記押しボタンスイッチ52でコントローラに給電され、キースイッチ53の操作によりメインリレーが働き、電動モータ6のコントローラとバッテリ9が接続されて電動モータ6が稼動できる構成としている。
この状態でアクセルペダル21やアクセルレバー22を操作すると、電動モータ6の回転が上昇する。アクセルペダル21やアクセルレバー22の回動基部にはポジションセンサが設けられており、ポジションセンサ値がコントローラに入力されると、必要な電流値を計算してバッテリ9からの電流値を制御して、電動モータ6の回転を制御する構成としている。走行は前記主変速レバー15、副変速レバー20、PTO変速レバー16を操作して、路上走行や作業走行を行う。
符号55は電動モータ6の正逆転を切換えるスイッチであるが、常時「正転」にしておく。逆転にすると電動モータ6は逆転するが、前述したように、油圧系の油圧ポンプが駆動できなくなるので、使用しない構成としている。
機体1を前進させる場合には、前記主変速レバー15を前進の位置(1速から3速)に操作する。後進時は機体を停車させて、主変速レバー15を後進の位置に操作する。副変速レバー20を低速又は高速位置に操作する。そして、クラッチペダル23から足を離してミッションケース19内のクラッチ26を接続すると、機体の走行を開始する。
運転中のスピード操作(電動モータ6の回転数制御)については、アクセルペダル21を操作することで行う。アクセルレバー22は作業走行をするときに使用するものであり、操作した位置から手を離してもアクセルレバー22の位置が保持される構成としている。作業走行については、アクセルレバー22を操作して、電動モータ6からの出力回転を一定にする。これにより、作業時の走行スピード(走行速度)と作業機2(ロータリ)の回転速度は一定に保持される。ブレーキ操作は、前述した左右のブレーキペダル24,25を踏み込み操作する。
運転操作の終了後は、主変速レバー15、副変速レバー20、PTO変速レバー16を中立位置に操作し、キースイッチ53を停止位置にする。そして、主電源49を切り位置に操作する。
符号56は電圧計であり、下限値(例えば、87.0V)になれば警報音が出て充電を促す構成としている。上限値(例えば、102.0V)になれば満充電なので、別の音は出てこれ以上充電の必要がないことを促す構成としている。
前記バッテリ9はリチウムイオンバッテリであるが、これとは別に鉛バッテリ9aもバッテリ収容箱体8内に搭載している。鉛バッテリ9aは小型であるので、搭載場所はどこでもよい。鉛バッテリ9aの役目は、ライトの点灯や警告用ホーンに使用し、メインのバッテリ9から充電する構成としている。
作業走行時において、作業機(ロータリ)2の耕うん部2aに土や石などが噛みこんで停止した場合においては、キースイッチ53を停止位置にする(主電源49は切りにしない)。その後、前述した主電源49入り後の操作を再び行い。即ち、クラッチペダル23を踏み込み、操作パネル51に設けている押しボタンスイッチ52(プリチャージ用スイッチ)を5秒程度押した後、キースイッチ53を始動まで回して、緑色のLEDランプ54が点灯するのを確認する。前記押しボタンスイッチ52でコントローラに給電され、キースイッチ53の操作によりメインリレーが働き、電動モータ6のコントローラとバッテリ9が接続されて電動モータ6が稼動できる状態になる。そして、主変速レバー15、副変速レバー20、PTO変速レバー16を中立位置に操作し、アクセルペダル21を踏み電動モータ6を回転させながら作業機昇降レバー17を上げ側に操作して、作業機(ロータリ2を上昇させる構成とする。そして、再びキースイッチ53を停止位置にし、主電源49も切り位置にして安全を確保してから、作業機2のメンテナンスを行う構成とする。
前記バッテリ9(リチウムイオン)は、30個を直列にしており、約100Vの高電圧となっているため、注意が必要である。このため、図4に示すように、絶縁体57(厚手の樹脂性カバー)を設ける構成としている。
【符号の説明】
【0010】
1 機体(トラクタ)
2 作業機
3 前輪
4 後輪
5 機体フレーム
5a 機体フレーム(前機体フレーム)
6 電動モータ
9 バッテリ
11 ステアリングハンドル
19 ミッションケース
27 後輪伝動ケース
28 後輪の伝動軸
36 前輪伝動ケース
37 前輪の伝動軸
38 空間部
40 電動モータを支持する前プレート
41 電動モータを支持する後プレート
44 バッテリ用載置フレーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8