特許第5974685号(P5974685)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5974685
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】表示装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0483 20130101AFI20160809BHJP
【FI】
   G06F3/0483
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-150400(P2012-150400)
(22)【出願日】2012年7月4日
(65)【公開番号】特開2014-13487(P2014-13487A)
(43)【公開日】2014年1月23日
【審査請求日】2015年3月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】特許業務法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 俊英
【審査官】 菊池 智紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−083889(JP,A)
【文献】 特開2012−088801(JP,A)
【文献】 特開2005−165760(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/085386(WO,A2)
【文献】 特開平07−225829(JP,A)
【文献】 特開2006−053605(JP,A)
【文献】 特開2013−140557(JP,A)
【文献】 島田恭宏 他,"仮想書籍ブラウジングシステムの試作",情報処理学会論文誌,2005年 7月15日,Vol.46,No.7,pp.1646-1660
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/00−3/0489
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示面を有する表示部と、
それぞれに順序が割り当てられた複数のページのうち、選択された1つのページを選択ページとして前記表示面に含まれる第1領域に表示させるとともに、前記第1領域と異なる第2領域に、前記選択ページ以外のページの部分を示す部分画像であり、ユーザが選択可能な部分画像を表示させる表示制御部と、
自装置の姿勢を示す情報を取得する第1取得部と、
前記第1取得部により取得された情報が示す姿勢に応じて、前記表示部に表示させる各部分画像の大きさを決定する決定部と、
ユーザが前記表示面に対して接触した位置を示す情報を取得する第2取得部と、
前記第2取得部により取得された情報が示す位置が前記第2領域内に有る場合に、当該位置に重なる部分画像に対応付けられたページを前記選択ページとして選択する選択部と
を具備することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記選択部は、前記第1取得部により取得された情報が示す姿勢に基づいて、自装置の加速度を求め、当該加速度が閾値以上である場合に、当該加速度に応じて予め決められたページを前記選択ページとして選択する
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
画像を表示する表示面を有する表示部を具備する表示装置のコンピュータを、
それぞれに順序が割り当てられた複数のページのうち、選択された1つのページを選択ページとして前記表示面に含まれる第1領域に表示させるとともに、前記第1領域と異なる第2領域に、前記選択ページ以外のページの部分を示す部分画像であり、ユーザが選択可能な部分画像を表示させる表示制御部と、
自装置の姿勢を示す情報を取得する第1取得部と、
前記第1取得部により取得された情報が示す姿勢に応じて、前記表示部に表示させる各部分画像の大きさを決定する決定部と、
ユーザが前記表示面に対して接触した位置を示す情報を取得する第2取得部と、
前記第2取得部により取得された情報が示す位置が前記第2領域内に有る場合に、当該位置に重なる部分画像に対応付けられたページを前記選択ページとして選択する選択部
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、前面と後面にポインティングデバイスを有する座標入力手段を備え、前面のポインティングデバイスに指を接触させてずらし、後面のポインティングデバイスに他の指を接触させてずらすことによって、重なって表示されている複数のオブジェクトをずらして表示する情報入力装置が記載されている。
特許文献2には、第1表示装置と第2表示装置とを有し、少なくとも第1表示装置にタッチパネルを備えた電子情報表示装置であって、タッチパネルへのタッチ入力に基づいて、第1記憶装置に記憶されている情報の選択、選択された情報を第1表示装置および第2表示装置のどちらに表示するかの選択、および、表示する順番の選択を受け付けて、それらの情報を第1表示装置および第2表示装置に表示させる電子情報表示装置が記載されている。
特許文献3には、表示装置により制御される画面が、資料の一部の内容を表す表紙ファイルに関連付けられるリンク領域と、ポインタがリンク領域内に表示されるとき、リンク領域に関連付けられる表紙ファイルを表示する表示領域と、少なくとも1つのリンク領域を含む制御領域とを備え、操作装置により表示位置を移動するポインタにより表示領域が指定されると、表示領域に表示されている表紙ファイルに関連付けられる資料が資料表示領域に表示される電子ファイリングシステムの電子ファイル表示方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−293280号公報
【特許文献2】特開2008−217647号公報
【特許文献3】特開2005−165986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、接触されたときに対応するページが表示される画像であってそのページの部分を示す部分画像の大きさを、装置の姿勢に応じて変更することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る表示装置は、画像を表示する表示面を有する表示部と、それぞれに順序が割り当てられた複数のページのうち、選択された1つのページを選択ページとして前記表示面に含まれる第1領域に表示させるとともに、前記第1領域と異なる第2領域に、前記選択ページ以外のページの部分を示す部分画像であり、ユーザが選択可能な部分画像を表示させる表示制御部と、自装置の姿勢を示す情報を取得する第1取得部と、前記第1取得部により取得された情報が示す姿勢に応じて、前記表示部に表示させる各部分画像の大きさを決定する決定部と、ユーザが前記表示面に対して接触した位置を示す情報を取得する第2取得部と、前記第2取得部により取得された情報が示す位置が前記第2領域内に有る場合に、当該位置に重なる部分画像に対応付けられたページを前記選択ページとして選択する選択部とを具備することを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項2に係る表示装置は、請求項1に記載の態様において、前記選択部は、前記第1取得部により取得された情報が示す姿勢に基づいて、自装置の加速度を求め、当該加速度が閾値以上である場合に、当該加速度に応じて予め決められたページを前記選択ページとして選択することを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項3に係るプログラムは、画像を表示する表示面を有する表示部を具備する表示装置のコンピュータを、それぞれに順序が割り当てられた複数のページのうち、選択された1つのページを選択ページとして前記表示面に含まれる第1領域に表示させるとともに、前記第1領域と異なる第2領域に、前記選択ページ以外のページの部分を示す部分画像であり、ユーザが選択可能な部分画像を表示させる表示制御部と、自装置の姿勢を示す情報を取得する第1取得部と、前記第1取得部により取得された情報が示す姿勢に応じて、前記表示部に表示させる各部分画像の大きさを決定する決定部と、ユーザが前記表示面に対して接触した位置を示す情報を取得する第2取得部と、前記第2取得部により取得された情報が示す位置が前記第2領域内に有る場合に、当該位置に重なる部分画像に対応付けられたページを前記選択ページとして選択する選択部として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1、3に係る発明によれば、接触されたときに対応するページが表示される画像であってそのページの部分を示す部分画像の大きさを、装置の姿勢に応じて変更することができる。
請求項2に係る発明によれば、予め決められたページを装置の姿勢に応じて選択することできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態である表示装置の外観上の構成を示す図である。
図2】表示装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】表示面に文書が表示された状態の一例を示す図である。
図4】表示装置の制御部の機能的構成を示す図である。
図5】表示装置の動作の流れを示すフロー図である。
図6】接触点に基づいて選択ページが選択される様子を説明するための図である。
図7】表示装置を傾けた状態の一例を示す図である。
図8】加速度が閾値以上であるときに表示面に表示される文書の一例を示す図である。
図9】部分画像の幅が変わる様子を説明するための図である。
図10】変形例における指定ページの選択処理を説明するための図である。
図11】変形例において部分画像の幅が変わる様子を説明するための図である。
図12】変形例における部分画像の形状の一例を示す図である。
図13】変形例における小口領域の一例を示す図である。
図14】変形例において選択ページ領域の大きさが変わる様子を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.実施形態
図1は、本発明の一実施形態である表示装置1の外観上の構成を示す図である。表示装置1は、表示面10を備える電子機器である。表示面10は、画像を表示する面であり、かつ、ユーザの指による操作を受け付ける面である。表示面10は、ここでは縦長の長方形であるとする。なお、表示面10は、裸眼立体視などの方法により画像を立体的に知覚させるものであってもよい。
【0011】
本明細書および図面において、表示装置1の各構成の配置を説明するため、各構成が配置される空間をxyz右手系座標空間として表す。また、図に示す座標記号のうち、内側が白い円の中に黒い円を描いた記号は、紙面奥側から手前側に向かう矢印を表している。また、内側が白い円の中に交差する2本の線分を描いた記号は、紙面手前側から奥側に向かう矢印を表している。空間においてx軸に沿う方向をx軸方向という。また、x軸方向のうち、x成分が増加する方向を+x方向といい、x成分が減少する方向を−x方向という。また、y、z成分についても、y軸方向、+y方向、−y方向、z軸方向、+z方向、−z方向を定義する。また、後述するξηζ右手系座標空間についても、各軸の方向を定義する。なお、−z方向は、下向きの方向、すなわち、物体に重力がかかる方向であり、特に説明が無い場合、表示装置1は、表示面10が+z方向に向き、かつ、その横方向がx軸に、縦方向がy軸にそれぞれ平行になるように配置される。以下、この配置を基本配置という。
【0012】
表示装置1は、ユーザが表示面10に対して指で操作を行える程度のサイズであり、例えば、携帯電話機(スマートフォンを含む)、タブレットPC(Personal Computer)またはスレートPC、PDA(Personal Digital Assistant)である。表示装置1は、ユーザがこれを手に持って操作する程度のサイズであってもよいが、机の上に置いたりホルダに取り付けたりして操作するものであってもよい。なお、表示装置1は、必ずしも平板状でなくてもよい。
【0013】
図2は、表示装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。表示装置1は、制御部11と、記憶部12と、タッチスクリーン部13と、測定部14と、通信部15とを備える。なお、表示装置1は、図2に示した構成のほかに、スピーカやマイクロホン(またはその入出力部)、カメラ(ビデオカメラを含む)、バイブレータなどを備えてもよい。
【0014】
制御部11は、表示装置1の各部の動作を制御する手段である。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)などの演算処理装置や、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などの記憶装置を備え、ROMまたは記憶部12に記憶されたプログラムを実行することによって本発明に係るGUI(Graphical User Interface)を実現する。
【0015】
記憶部12は、データを記憶する手段である。記憶部12は、例えば、ハードディスク、フラッシュメモリなどの記録媒体を備え、制御部11が使用するデータを記憶する。記憶部12は、いわゆるリムーバブルディスク、すなわち着脱可能な記録媒体を含んでもよい。記憶部12は、制御部11が実行するプログラムや、表示面10に表示される文書を表す文書データを記憶する。ここで文書とは、それぞれに順序が割り当てられた複数のページによって構成され、各ページの領域に配置された文字、画像、またはこれらの組み合わせにより情報を表現するものである。文書は、表示装置1により画像として表示される。そして、文書データとは、文書を表すデータであって、機械により記憶され、読み出されるデータである。記憶部12は、同一のユーザが複数の表示装置1を利用したり、あるいは複数のユーザが同一の表示装置1を利用したりする場合には、各ユーザを識別するための識別情報を記憶していてもよい。
【0016】
タッチスクリーン部13は、画像を表示する手段であり、かつ、ユーザの操作を受け付ける手段である。タッチスクリーン部13は、より詳細には、表示面10に画像を表示する表示部131と、ユーザの指などが接触した位置を検出して表示面10に対するユーザの操作を受け付ける検出部132とを含んで構成される。
【0017】
表示部131は、液晶素子や有機EL(electroluminescence)素子により画像を表示する表示パネルと、この表示パネルを駆動する駆動回路などを備え、制御部11から供給されるデータに応じた画像を表示面10に表示させる。検出部132は、表示面10に対する指の接触を検出するセンサを備え、指の接触を検出した位置(以下「接触点」という)を示す接触点情報を制御部11に供給する。検出部132は、複数の接触点を同時に検出するいわゆるマルチタッチに対応していてもよい。
【0018】
測定部14は、表示装置1の姿勢を測定する装置である。測定部14は、例えば3軸の加速度センサを含み、表示装置1に定められた座標系の各座標軸に沿った加速度をそれぞれ測定する。そして、測定部14は、測定した加速度に基づいて表示装置1が重力方向に対して成す角度を求め、表示装置1の姿勢を示す姿勢情報を出力する。
【0019】
通信部15は、データを送受信する手段である。通信部15は、移動体通信網、インターネットなどの通信回線に接続するインタフェースであってもよいが、NFC(Near Field Communication)による無線通信のように、他の電子機器と通信回線を介さずに接続するものであってもよい。
【0020】
表示装置1の制御部11は、上述したプログラムを実行することにより、記憶部12から読み出した文書データに基づいて、表示面10に文書を表示する。図3は、表示面10に文書が表示された状態の一例を示す図である。図3(a)に示す通り、文書は表示面10の一部の領域に表示される。この領域を文書領域R0という。
【0021】
なお、文書領域R0は、表示面10の全ての領域であってもよい。図3(b)に示す通り、文書領域R0は、文書のうち選択された1つのページ(以下、選択ページという)の内容を表示する選択ページ領域R1と、文書に含まれる選択ページ以外の各ページにおける小口側の部分を表現する小口領域R2とを含む。ここで一般に「小口」とは、本の部分の名をいい、製本において、本の背を除いた三方の断ち口を意味するが、本願発明における「小口」とは、これを電子化された文書に当てはめたものを意味する。すなわち、本願発明における「小口」は、電子化された文書において、この文書を構成する複数のページの辺が集まって見える部分である。なお、本願発明において文書は、背を有する本に限られず、背を有しないで複数のページが積み重ねられた書類として表現されてもよい。
【0022】
図3(b)に示す例では、各ページの右側の辺を含む長方形の領域が、それぞれの小口側の部分として表現されている。各ページの小口側の部分としてそれぞれ表現された画像を、以下、部分画像という。
【0023】
図4は、表示装置1の制御部11の機能的構成を示す図である。制御部11は、上述したプログラムを実行することにより、取得部111、解釈部112、選択部113、決定部114、および表示制御部115として機能する。取得部111は、タッチスクリーン部13の検出部132が検出した接触点を示す接触点情報を取得する。また、取得部111は、測定部14が測定した姿勢を示す姿勢情報を取得する。
【0024】
解釈部112は、取得部111が取得した各情報に基づいて、ユーザの操作内容を解釈する。選択部113は、解釈部112によって解釈された結果に基づいて、文書中の選択ページを選択し、記憶部12から選択ページの内容を読み出す。決定部114は、上述した解釈の結果と、選択ページの内容とに基づいて、表示面10に表示する画像のレイアウトを決定する。表示制御部115は、決定部114が決定したレイアウトに基づいて表示部131を制御し、選択ページを選択ページ領域R1に表示させるとともに、選択ページ以外のページにおける小口側の部分を示す部分画像を小口領域R2に表示させる。
【0025】
図5は、表示装置1の動作の流れを示すフロー図である。表示装置1の制御部11は、検出部132から接触点情報を取得し(ステップS101)、接触点情報により示される接触点が小口領域R2内に有るか否かを判定する(ステップS102)。接触点が小口領域R2内に有る、と判定した場合(ステップS102;YES)、制御部11は、ユーザの操作に応じたページの選択を行う(ステップS103)。ここでは、文書に含まれるページの中から、上述の接触点に重なる部分画像に対応付けられたページを選択ページとして選択する。そして、制御部11は、タッチスクリーン部13の表示部131により、文書を表示面10に表示する(ステップS108)。
【0026】
図6は、接触点に基づいて選択ページが選択される様子を説明するための図である。図6に示す文書は、6ページで構成されている。図6(a)に示す文書は選択ページとして1ページ目が選択されている。したがって、選択ページ領域R1には、文書を構成する複数のページのうち、1ページ目の内容が表示され、小口領域R2には、2ページ目から6ページ目までの部分画像が表示されている。
【0027】
ここで、図6(a)に×印で示す接触点f1にユーザの指が接触したとすると、制御部11は、接触点f1が小口領域R2に有ると判断し、接触点f1に重なる部分画像に対応付けられたページを選択ページとして選択する。接触点f1は、4ページ目の小口側の部分を表す部分画像に含まれているので、制御部11は、4ページ目を選択ページとして選択する。その結果、表示面10には、図6(b)に示す文書が表示される。すなわち、選択ページ領域R1には、文書を構成する複数のページのうち、4ページ目の内容が表示される。また、小口領域R2は、選択ページ領域R1の左右両側に分割され、左側の小口領域R2には1ページ目から3ページ目までの部分画像が、右側の小口領域R2には5ページ目から6ページ目までの部分画像が、それぞれ表示される。
【0028】
なお、左側の小口領域R2に表示される部分画像は、各ページの左側の辺を含む長方形の領域を表している。図6(b)に×印で示す接触点f2にユーザの指が接触すると、接触点f2は、1ページ目の小口側の部分を表す部分画像に含まれているので、制御部11は1ページ目を選択し、表示面10は図6(a)に示す画像を表示する。
【0029】
一方、接触点が小口領域R2内に無い、と判定した場合(ステップS102;NO)、制御部11は、測定部14から姿勢情報を取得し(ステップS104)、姿勢情報に示される加速度が閾値(例えば、9.8m/s2など)以上であるか否かを判断する(ステップS105)。ここで、加速度とは、加速度センサが測定した各座標軸の加速度であってもよいし、例えばy軸に平行な回転軸といった、決められた軸を中心とする回転における加速度であってもよい。すなわち、姿勢を示す姿勢情報に基づいて求められる加速度であればよい。
【0030】
加速度が閾値以上である、と判断した場合(ステップS105;YES)、制御部11は、処理をステップS103に進める。すなわち、制御部11は、ユーザの操作に応じたページの選択を行う。ここでは、制御部11は、文書を構成する複数のページのうち、取得した姿勢情報に示される加速度に応じて予め決められたページを、選択ページとして選択する。
【0031】
図7は、表示装置1を傾けた状態の一例を示す図である。例えば図7に示す通り、ユーザは所持する表示装置1をy軸方向に平行な回転軸を中心に矢印方向に回転させて、表示面10を傾ける。これにより、表示装置1は、+x方向の側が−x方向の側よりも低い(−z方向)姿勢となる。ここで、表示装置1の表示面10における横方向をξ軸方向とし、縦方向をη軸方向とし、この表示面10が向いている方向を+ζ方向とする、ξηζ右手系座標空間を用いて説明する。このξηζ右手系座標空間は、表示面10を基準とした相対的な座標空間であるため、表示装置1の姿勢に関わらず、表示面10に表示される画像はξ軸およびη軸を含むξη平面上に表される。基本配置にあるとき、ξ軸はx軸に、η軸はy軸に、ζ軸はz軸にそれぞれ合致する。
【0032】
図8は、上述した加速度が閾値以上であるときに、表示面10に表示される文書の一例を示す図である。図7に矢印で示した方向に閾値以上の加速度で表示装置1を傾けると、文書の最後のページが選択されるように、予め決められている。したがって、制御部11は、最後のページである6ページ目を選択ページとして選択し、表示部131により、文書を表示面10に表示する。すなわち、選択ページ領域R1には、文書を構成する複数のページのうち、6ページ目の内容が表示され、小口領域R2は全て選択ページ領域R1の左側に配置されて、この小口領域R2に、1ページ目から5ページ目までの部分画像がそれぞれ表示される。なお、図7に矢印で示した方向とは逆の方向に閾値以上の加速度で表示装置1を傾けると、文書の最初のページが選択されるように、予め決められていてもよい。
【0033】
一方、加速度が閾値以上でない、と判断した場合(ステップS105;NO)、制御部11は、姿勢情報に基づいて、表示面10が、基本配置からy軸を中心として時計回りに回転した角度である回転角度を求め、この回転角度が閾値(例えば、15度など)以上であるか否かを判断する(ステップS106)。回転角度が閾値以上でない、と判断した場合(ステップS106;NO)、制御部11は、処理をステップS108に進める。
【0034】
回転角度が閾値以上である、と判断した場合(ステップS106;YES)、制御部11は、求めた回転角度に応じて、部分画像の幅を示す設定値を決定し(ステップS107)、処理をステップS108へ進める。
【0035】
図9は、部分画像の幅が変わる様子を説明するための図である。測定部14から取得した姿勢情報に示される加速度が閾値未満であり、この姿勢情報に示される回転角度が閾値以上である場合、表示面10に表示される文書の小口領域R2は、図9(a)の上段に示した形状から、図9(a)の下段に示した形状に変わる。このとき、制御部11は、部分画像の幅を示す設定値を決定するため、小口領域R2の幅は、waから、waよりも大きいwb(wa<wb)に変わる。すなわち、小口領域R2の幅は拡がる。なお、このとき選択ページ領域R1と小口領域R2との境界線であるL1は移動しない。
【0036】
これは、以下に示す視覚効果をユーザに与える。すなわち、文書は、その文書を構成する複数のページが、仮想空間であるξηζ右手系座標空間において、図9(b)に示すように、+ζ方向に積み上げられているところを−ζ方向に向かって見ているかのように、表示装置1によって表示される。各ページは、ξη平面上に沿っている。
【0037】
ここで、η軸に平行な回転軸を中心にして、+ξ方向が下りの方向となるように表示面10が傾けられると、上述したように、小口領域R2の幅は拡げられる。すなわち、小口領域R2の辺のうち、表示面10が傾けられて低くなった側の辺が対向する辺から離れるように、小口領域R2の大きさが変化する。このとき、ユーザには、文書を構成する複数のページのうち、最上位に配置された1ページ目のページP1が、ξ軸方向に沿って移動せず、2ページ目以降のページP2,P3,…が、下(−ζ方向)に配置されたものほど、+ξ方向に移動しているように見える。これにより、ユーザは、あたかも2ページ目以降のページが重力の影響を受けて、表示面10に沿って滑りながら移動しているかのように文書を認識する。
【0038】
以上、説明したとおり、表示装置1は傾けられた角度に応じて文書の部分画像の幅を変えて表示するので、例えば、見たいページの部分画像が小さいためにそのページが選び難くなっている場合に、ユーザはその部分画像を拡大させるように表示装置1を傾ければよい。特に、マウスやキーボードなどの入力手段ではなく、タッチスクリーンへの接触によってページを選択する表示装置では、ユーザの指の大きさによって操作がしづらくなる場合があるところ、上記の構成によれば、表示装置1を傾けることで操作が容易になる。
【0039】
また、表示装置1は傾けられたときの加速度が閾値以上であると文書の最初や最後のページを表示するので、ユーザがこれらのページを見たい場合に、ユーザは素早く表示装置1を傾ければよく、表示面10に接触しなくてよい。
【0040】
2.変形例
以上が実施形態の説明であるが、この実施形態の内容は以下のように変形し得る。また、以下の変形例を組み合わせてもよい。
2−1.変形例1
上述した実施形態において、制御部11は、姿勢情報に基づいて、表示面10のy軸を中心とした時計回りの回転角度を求め、求めた回転角度に応じて、部分画像の幅を示す設定値を決定していたが、x軸を中心とした時計回りの回転角度を求めて、上記の設定値を決定してもよいし、これらを組み合わせて上記の設定値を決定してもよい。また、各軸を中心とした反時計回りの回転角度を求めて上記の設定値を決定してもよい。
【0041】
2−2.変形例2
上述した実施形態において、表示装置1は傾けられたときの加速度が閾値以上であると文書の最初や最後のページを表示していたが、これ以外のページを表示してもよい。例えば、表示装置1の制御部11は、ユーザの操作に応じて文書中のいずれかのページを指定ページとしてRAMや記憶部12に記憶しており、傾けられたときの加速度が閾値以上であると、表示装置1はその指定ページを表示してもよい。この場合、指定ページは、仮想的な栞や付箋が付されて他のページと区別して表示されてもよい。
【0042】
図10は、この変形例における指定ページの選択処理を説明するための図である。図10(a)に示す文書は、1ページ目が選択ページとして選択されており、4ページ目と5ページ目とにそれぞれ付箋t1,t2が付されているものとして表示されている。ここで、ユーザが、閾値以上の加速度で表示装置1を図7に示す矢印方向に回転させると、制御部11は、選択ページよりも後のページのうち、付箋が付されている最も前のページを選択ページとして新たに選択する。これにより、表示面10には、図10(b)に示す文書が表示される。
【0043】
なお、ユーザが、閾値以上の加速度で表示装置1を図7に示す矢印方向の反対方向に回転させると、制御部11は、選択ページよりも前のページのうち、付箋が付されている最も後のページを選択ページとして選択してもよい。
【0044】
また、加速度と比較する閾値を二段階にして、制御部11は、加速度が低い方の閾値を超えた場合に付箋が付されているページを選択し、高い方の閾値を超えた場合に最初または最後のページを選択するようにしてもよい。
【0045】
2−3.変形例3
上述した実施形態において、表示面10が傾けられると、小口領域R2の辺のうち、低くなった側の辺が対向する辺から離れるように、小口領域R2の大きさが変化していたが、小口領域R2の大きさの変化はこれに限られない。例えば、小口領域R2の大きさは、小口領域R2の辺のうち、傾けられて低くなった側の辺に向かって、その辺に対向する辺が近づくように変化してもよい。
【0046】
図11は、この変形例において部分画像の幅が変わる様子を説明するための図である。測定部14から取得した姿勢情報に示される加速度が閾値未満であり、この姿勢情報に示される回転角度が閾値以上である場合、表示面10に表示される文書の小口領域R2は、図11(a)の上段に示した形状から、図11(a)の下段に示した形状に変わる。このとき、制御部11は、部分画像の幅を示す設定値を決定するため、小口領域R2の幅は、wcから、wcよりも小さいwd(wc>wd)に変わる。すなわち、小口領域R2の幅は狭まる。このとき選択ページ領域R1と小口領域R2との境界線は+ξ方向に移動するが、小口領域R2の右辺を通る境界線であるL2は移動しない。
【0047】
これは、以下に示す視覚効果をユーザに与える。すなわち、文書は、その文書を構成する複数のページが、仮想空間であるξηζ右手系座標空間において、図11(b)に示すように、+ζ方向に積み上げられているところを−ζ方向に向かって見ているかのように、表示装置1によって表示される。各ページは、ξη平面上に沿っている。ここでは、文書はn枚のページで構成されているとする。
【0048】
ここで、η軸に平行な回転軸を中心にして、+ξ方向が下りの方向となるように表示面10が傾けられると、上述したように、小口領域R2の幅は狭められる。すなわち、小口領域R2の辺のうち、表示面10が傾けられて低くなった側の辺に向かって、その辺に対向する辺が近づくように変化する。このとき、ユーザには、文書を構成する複数のページのうち、最下位に配置されたnページ目のページP(n)が、ξ軸方向に沿って移動せず、(n−1)ページ目よりも上のページP(n−1),P(n−2),…が、上(+ζ方向)に配置されたものほど、+ξ方向に移動しているように見える。これにより、ユーザは、あたかも(n−1)ページ目よりも上のページが重力の影響を受けて、表示面10に沿って滑りながら移動しているかのように文書を認識する。
【0049】
2−4.変形例4
上述した実施形態において、部分画像は、各ページの右側または左側の辺を含む長方形の領域によって表現されていたが、上側または下側の辺を含む長方形の領域によって表現されていてもよい。また、部分画像は、右側または左側の辺を含む長方形の領域と、上側または下側の辺を含む長方形の領域とを組み合わせた差金状の領域によって表現されていてもよい。
【0050】
図12は、この変形例における部分画像の形状の一例を示す図である。図12に示す例では、各ページの右側の辺を含む長方形と上側の辺を含む長方形とを組み合わせた差金状の領域が、それぞれの小口側の部分として表現されている。この場合、変形例1で示した通り、y軸を中心とした回転角度とx軸を中心とした回転角度とをそれぞれ求めてこれらを組み合わせて部分画像の幅と高さをそれぞれ示す各設定値を決定してもよい。すなわち、制御部11によって実現される決定部114は、取得部111により取得された情報が示す姿勢に応じて、表示部131に表示させる各部分画像の大きさを決定すればよい。
【0051】
具体的に制御部11は、x軸を中心とした時計回りまたは反時計回りの回転角度を求めて、この回転角度に応じて、部分画像のうち、上側の辺を含む長方形の高さを示す設定値を決定する。そして、制御部11は、y軸を中心とした時計回りまたは反時計回りの回転角度を求めて、この回転角度に応じて、部分画像のうち、右側の辺を含む長方形の幅を示す設定値を決定すればよい。
【0052】
2−5.変形例5
上述した実施形態において、小口領域R2は、文書に含まれる選択ページ以外の各ページにおける小口側の部分を全て表現していたが、小口領域R2により表現される小口側の部分は、文書に含まれる選択ページ以外のページのうち、一部のページの上記部分であってもよい。
【0053】
図13は、この変形例における小口領域R2の一例を示す図である。図13に示す小口領域R2は、選択ページ領域R1の右側に配置される。以下、各部分画像に設定される幅の合計をwgとし、選択ページ領域R1と小口領域R2との境界線であるL1から、表示面10の右辺までのξ軸方向に沿った距離をwhとする。
【0054】
図13に示す通り、表示装置1が傾けられて小口領域R2が+ξ方向に拡がる場合、wgがwhを上回る場合がある(wg>wh)。このとき、全ての部分画像を+ξ方向につなげた領域は、表示面10からはみ出るので、表示装置1の制御部11は、図13に示す通り、小口領域R2を表示面10で表示される範囲に収める。したがって、この小口領域R2は、幅がwhとなり、文書に含まれる選択ページ以外のページのうち、一部のページにおける小口側の部分を表現する。図13に示す例では、小口領域R2に含まれる部分画像は、2ページ目から4ページ目の部分画像となる。
【0055】
2−6.変形例6
上述した実施形態または変形例において、制御部11は、表示装置1の姿勢に応じて、表示部131に表示させる各部分画像の大きさを決定していたが、これに加えて選択ページ領域R1の大きさを決定してもよい。
【0056】
図14は、この変形例において選択ページ領域R1の大きさが変わる様子を説明するための図である。図14(a)に示す通り、表示面10には、高さがheであり幅がweである選択ページ領域R1に1ページ目の内容が表示され、高さがheであり幅がwaである小口領域R2が、選択ページ領域R1の右側に表示される。weとwaの合計はwである(we+wa=w)。
【0057】
ここで、ユーザにより表示装置1が傾けられると、制御部11は、表示装置1の姿勢に応じて各部分画像の幅(大きさ)を決定する。その結果、図14(b)に示す通り、小口領域R2の幅はwaよりも大きいwbに変化する(wa<wb)。このとき、制御部11は、選択ページ領域R1と小口領域R2の幅の合計がwに維持されるように、選択ページ領域R1の幅を決定する。すなわち、制御部11は、選択ページ領域R1の幅をweよりも小さいwfに設定する(we>wf)。その結果、選択ページ領域R1と小口領域R2の幅の合計がwに維持される(wf+wb=w)。
【0058】
また、制御部11は、選択ページ領域R1のアスペクト比を維持しながら、その大きさを決定してもよい。上述した通り、小口領域R2の幅をwaよりも大きいwbに変化させ、選択ページ領域R1の幅をweよりも小さいwfに変化させたとき、制御部11は、選択ページ領域R1のアスペクト比が維持されるように、選択ページ領域R1の高さをheからhfに変化させる。ここで、選択ページ領域R1のアスペクト比は変化の前後で維持される(he:we=hf:wf)。
【0059】
2−7.変形例7
上述した実施形態において、表示装置1が備える測定部14は、3軸の加速度センサを含み、表示装置1に定められた座標系の各座標軸に沿った加速度をそれぞれ測定することで、表示装置1が重力方向に対して成す角度を求め、表示装置1の姿勢を示す姿勢情報を出力していたが、加速度センサ以外のセンサを有していてもよい。また、表示装置1は測定部14を備えていたが、制御部11が表示装置1の姿勢を示す姿勢情報を取得するのは、測定部14からに限られない。例えば、表示装置1が配置される空間に表示装置1を監視するカメラなどの撮像装置が設置されており、この撮像装置によって撮像された画像を、例えば通信部15を介して制御部11が、表示装置1の姿勢を示す姿勢情報として取得してもよい。また、制御部11が取得するのは、撮像された画像に限られず、その画像に基づいて外部装置により求められた姿勢情報であってもよい。表示装置1の姿勢を外部から検出する装置は撮像装置に限られず、例えば、超音波や赤外線などを使った装置などであってもよい。要するに、制御部11が取得する姿勢情報が、例えば、重力方向に対する表示面10の傾き度合いといった、表示装置1の姿勢を示していればよい。
【0060】
なお、上述した実施形態において、表示装置1は、表示面10に表示されている各ページがあたかも重力の影響を受けて、表示面10に沿って滑りながら移動しているかのように、ユーザに対して文書を認識させていたが、ユーザに対する文書の認識のさせ方はこれに限られない。例えば、表示装置1は、ユーザの目の位置を特定し、特定したその位置から文書中のページが遠ざかるように表示面10が傾けられると、遠ざかった分だけユーザの目の位置から遠ざかるように移動しているかのように、各ページを認識させてもよい。この場合、表示装置1は、表示面10の側にカメラなどの撮像装置を有しており、表示面10を視認するユーザの顔を認識して、そのユーザの目の位置を特定すればよい。つまり、表示装置1は、ユーザとの相対的な位置関係に応じて文書の各ページを移動させるように構成されてもよい。これにより、例えば無重力空間のようにユーザが重力を認識できない空間においても、表示装置1は、自身の姿勢に応じて操作される。
【0061】
2−8.変形例8
上述した実施形態において、制御部11は、取得した姿勢情報に示される加速度が閾値以上であると判断した場合に、文書を構成する複数のページのうち、加速度に応じて予め決められたページを選択ページとして選択していたが、加速度に応じてページを選択しなくてもよい。この場合、制御部11は、姿勢情報に示される加速度を閾値と比較しなくてもよく、姿勢情報から加速度を求めなくてもよい。
【0062】
2−9.変形例9
表示装置1の制御部11によって実行される各プログラムは、磁気テープや磁気ディスクなどの磁気記録媒体、光ディスクなどの光記録媒体、光磁気記録媒体、半導体メモリなどの、コンピュータ装置が読み取り可能な記録媒体に記憶された状態で提供し得る。また、このプログラムを、インターネットなどの通信回線を経由してダウンロードさせることも可能である。なお、上記の制御部11によって例示した制御手段としてはCPU以外にも種々の装置が適用される場合があり、例えば、専用のプロセッサなどが用いられる。
【符号の説明】
【0063】
1…表示装置、10…表示面、11…制御部、111…取得部、112…解釈部、113…選択部、114…決定部、115…表示制御部、12…記憶部、13…タッチスクリーン部、131…表示部、132…検出部、14…測定部、15…通信部
図1
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