(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記紙粉除去手段は、前記紙粉取りローラの軸線方向端部に、前記紙粉貯留部を構成する壁部と、前記紙粉取りローラの回転駆動力を前記オーガに伝達するギヤ列と、を有し、
前記壁部は、前記紙粉取りローラ、前記オーガおよび前記ギヤ列を支持することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
前記紙粉除去手段は、前記紙粉取りローラに接触し、前記紙粉取りローラに付着した紙粉を掻き落とす掻取部材と、前記掻取部材を前記ローラに押し付ける押付部材と、を有していることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、レジストローラと紙粉取りローラは、搬送の精度を向上させるため、記録シートの厚みに応じて軸間距離を変更可能であることが望ましい。
【0006】
そこで、本発明は、レジストローラと紙粉取りローラの軸間距離を変更可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、記録シートに画像を形成する画像形成部と、画像形成部に記録シートを供給する給紙部と、給紙部よりも記録シートの搬送方向下流側、かつ、画像形成部よりも前記搬送方向上流側に配置されたレジストローラと、レジストローラと対向して配置される紙粉除去手段と、を備えている。
紙粉除去手段は、レジストローラとの間で記録シートを挟むことで当該記録シートから紙粉を回収する紙粉取りローラと、紙粉取りローラが回収した紙粉を貯留する紙粉貯留部と、紙粉貯留部に設けられるオーガと、を有している。
そして、紙粉除去手段は、紙粉取りローラがレジストローラに接触する接触位置と、紙粉取りローラがレジストローラから離間する離間位置との間を移動可能に構成されている。
【0008】
このように構成された画像形成装置によれば、紙粉除去手段が、接触位置と離間位置との間を移動可能であるため、搬送される記録シートの厚みに応じて、レジストローラと紙粉取りローラの軸間距離を変更することができる。また、レジストローラと紙粉取りローラの軸間距離を変更するときに、レジストローラは移動しないので、レジストローラによる記録シートの搬送精度を確保することができる。
【0009】
そして、前記した画像形成装置において、紙粉貯留部は、記録シートをレジストローラに向けて案内する第1ガイドを有することが望ましい。
【0010】
このように構成された画像形成装置によれば、紙粉貯留部と第1ガイドを別個に設ける場合に比べて、部品点数を削減することができる。
【0011】
また、前記した紙粉貯留部が第1ガイドを有する画像形成装置は、第1ガイドと対向して配置されることで前記第1ガイドとともに搬送路を形成する第2ガイドを備えてもよい。
【0012】
そして、前記した第2ガイドを備える画像形成装置において、紙粉貯留部は、第2ガイドに当接する当接部を有していることが望ましい。
【0013】
このように構成された画像形成装置によれば、当接部を第2ガイドに直接当接させることで、第1ガイドの第2ガイドに対する位置決めを正確にすることができる。
【0014】
また、前記した当接部は、紙粉貯留部の記録シートの搬送方向上流寄りに設けることができる。
【0015】
そして、前記した紙粉貯留部が当接部を有する画像形成装置において、紙粉除去手段は、当接部を支点に揺動することにより、接触位置と離間位置との間を移動可能であることが望ましい。
【0016】
このように構成された画像形成装置によれば、紙粉除去手段(紙粉貯留部)が揺動しても、第1ガイドと第2ガイドによって形成される搬送路の入り口の位置はほとんど変位しないので、確実に記録シートが第1ガイドと第2ガイドの間に進入することができる。
【0017】
また、前記した紙粉貯留部が第1ガイドを有する画像形成装置において、第1ガイドは、画像形成装置の筐体に形成された開口から画像形成部に給紙された記録シートをレジストローラに案内するように構成することができる。
【0018】
そして、前記した画像形成装置において、紙粉除去手段は、紙粉取りローラの軸線方向端部に、紙粉貯留部を構成する壁部と、紙粉取りローラの回転駆動力をオーガに伝達するギヤ列と、を有していてもよい。
この場合、壁部は、紙粉取りローラ、オーガおよびギヤ列を支持するように構成することが望ましい。
【0019】
このように構成された画像形成装置によれば、紙粉取りローラを支持する壁部が、オーガおよびギヤ列を支持しているので、紙粉除去手段が接触位置と離間位置との間を移動したときに、ギヤ列を構成するギヤ同士の軸間距離が変動しない。これにより、紙粉取りローラの回転駆動力を確実にオーガに伝達することができる。
【0020】
また、前記した画像形成装置において、紙粉除去手段は、紙粉取りローラに接触し、紙粉取りローラに付着した紙粉を掻き落とす掻取部材と、掻取部材をローラに押し付ける押付部材と、を有していることが望ましい。
【0021】
このように構成された画像形成装置によれば、紙粉取りローラが回収した紙粉を、掻取部材によって紙粉貯留部に確実に掻き落とすことができる。
【0022】
そして、前記した画像形成装置は、紙粉除去手段の紙粉取りローラの軸線方向外側に、紙粉除去手段を揺動可能に支持するフレームを備えていてもよい。
この場合、画像形成装置は、フレームに支持され、紙粉取りローラをレジストローラに向けて押圧するリンク部材をさらに備える構成とすることができる。
【0023】
また、前記したリンク部材は、フレームに回動可能に支持される軸支部と、軸支部から紙粉取りローラに向けて延びる第1アーム部と、軸支部から第1アーム部とは異なる方向に延びる第2アーム部と、第2アーム部に係合し、第1アーム部が紙粉取りローラをレジストローラに向けて押圧するように、第2アーム部を付勢する付勢部材と、を有していてもよい。
【0024】
そして、前記したフレームには、紙粉除去手段が接触位置と離間位置を移動するときに紙粉取りローラの移動を案内する長孔が形成されていてもよい。
【0025】
また、前記したリンク部材を備える画像形成装置は、画像形成部を構成する複数のカートリッジと、複数のカートリッジを保持し、画像形成装置から引き出し可能な引出部材と、を備えていてもよい。
この場合、引出部材は、画像形成装置から引き出されるとき、紙粉除去手段の上方を通過する構成とすることができる。
【0026】
このように、引出部材が紙粉除去手段の上方を通過する構成であっても、紙粉除去手段を離間位置から接触位置に向けて付勢するリンク部材が、紙粉除去手段の軸線方向端部に設けられているので、紙粉除去手段を離間位置から接触位置に向けて付勢する部材を、紙粉除去手段の上方に配置する場合に比べて、画像形成装置を上下に小型化することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、紙粉除去手段が、接触位置と離間位置との間を移動可能であるため、搬送される記録シートの厚みに応じて、レジストローラと紙粉取りローラの軸間距離を変更することができる。また、レジストローラと紙粉取りローラの軸間距離を変更するときに、レジストローラは移動しないので、レジストローラによる記録シートの搬送精度を確保することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明においては、まず、画像形成装置の一例としてのカラープリンタ1の全体構成を説明した後、本発明の特徴部分の詳細を説明することとする。
【0030】
以下の説明において、方向は、カラープリンタ使用時のユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、
図1において、紙面に向かって左側を「前側(手前側)」、紙面に向かって右側を「後側(奥側)」とし、紙面に向かって手前側を「右側」、紙面に向かって奥側を「左側」とする。また、紙面に向かって上下方向を「上下方向」とする。
【0031】
<カラープリンタの全体構成>
図1に示すように、カラープリンタ1は、筐体2内に、記録シートの一例としての用紙Sを供給する給紙部3と、給紙された用紙Sに画像を形成する画像形成部4と、画像が形成された用紙Sを排出する排紙部9とを主に備えている。
【0032】
また、筐体2には、
図2に示すように、前面に開口部22と手差し口23(開口)が形成されている。
【0033】
開口部22は、上端が後述するプロセスカートリッジ50よりも上方に位置し、下端が後述する紙粉除去手段100の上端と略同じ高さとなるように形成されている。そして、開口部22は、筐体2に設けられたフロントカバー21を開くことにより、開放可能となっている。
【0034】
手差し口23は、開口部22よりも下方に形成されている。この手差し口23は、
図1に示すように、フロントカバー21の一部である手差しトレイ21Aを開くことにより、開放可能となっている。そして、手差し口23に差し込まれた用紙Sは、筐体2内に形成された手差し経路2B(搬送路)を通って、後述するレジストローラ対33へ向けて搬送される。
【0035】
給紙部3は、用紙Sを収容する給紙トレイ31と、給紙トレイ31から用紙Sを画像形成部4へ搬送する用紙搬送装置32とを備えている。
【0036】
給紙部3では、給紙トレイ31内の用紙Sが、用紙搬送装置32によって一枚ずつ分離されて上方へ送られ、給紙部3と画像形成部4を繋ぐ用紙Sの搬送経路2A上(給紙部3よりも用紙Sの搬送方向下流側、かつ、画像形成部4よりも用紙Sの搬送方向上流側)に配置されたレジストローラ対33の間を通過して画像形成部4に供給される。
【0037】
レジストローラ対33は、画像形成部4に用紙Sを供給する前に用紙Sの先端が当てられることで用紙Sを一旦停止させ、これにより用紙Sの斜行を修正するとともに、用紙Sにおける画像形成のタイミングなどを調整するものである。
【0038】
レジストローラ対33は、図示しないモータから駆動力が伝達される紙粉取りローラ33Aと、筐体2に回転可能に設けられたレジストローラ33Bとから構成されている。なお、紙粉取りローラ33Aは、後述するように、紙粉除去手段100の一部として設けられている。
【0039】
画像形成部4は、スキャナユニット41と、複数のカートリッジの一例としての4つのプロセスカートリッジ50と、引出部材42と、転写ユニット70と、定着ユニット80とを備えている。
【0040】
スキャナユニット41は、筐体2内の上部に設けられ、図示しないレーザ光源と、符号を省略して示すポリゴンミラー、複数のレンズおよび複数の反射鏡とを備えている。画像データに基づいてレーザ光源から出射されたレーザ光は、ポリゴンミラーや反射鏡で反射され、レンズを通過して、各感光ドラム51の表面で高速走査される。
【0041】
プロセスカートリッジ50は、給紙トレイ31とスキャナユニット41との間で前後に並んで配置され、感光ドラム51や、公知の帯電器(符号省略)、現像ローラ52、トナー収容室(符号省略)などを備えて構成されている。
【0042】
引出部材42は、4つのプロセスカートリッジ50を着脱可能に保持している。そして、引出部材42は、
図2に示すように、フロントカバー21を開くことによって開放された開口部22を通して、筐体2の外側へ引出可能に構成されている。なお、引出部材42は、筐体2から引き出されるとき、後述する紙粉除去手段100の上方を通過する。
【0043】
図1に戻り、転写ユニット70は、給紙部3とプロセスカートリッジ50との間に設けられ、駆動ローラ71と、従動ローラ72と、搬送ベルト73と、転写ローラ74とを備えている。
【0044】
駆動ローラ71および従動ローラ72は、前後方向に離間して平行に配置され、その間にエンドレスベルトからなる搬送ベルト73が張設されている。搬送ベルト73は、その外側の面が各感光ドラム51に接している。また、搬送ベルト73の内側には、各感光ドラム51との間で搬送ベルト73を挟持する転写ローラ74が、各感光ドラム51に対向して4つ配置されている。この転写ローラ74には、転写時に定電流制御によって転写バイアスが印加される。
【0045】
定着ユニット80は、プロセスカートリッジ50の後方に設けられ、加熱ローラ81と、加熱ローラ81に対向配置されて加熱ローラ81を押圧する加圧ローラ82とを備えている。また、加熱ローラ81の下流側には、用紙Sを排紙部9に向けて搬送する搬送ローラ83が設けられている。
【0046】
このように構成される画像形成部4では、まず、各感光ドラム51の表面が、帯電器により一様に帯電された後、スキャナユニット41で露光される。これにより、露光された部分の電位が下がって、各感光ドラム51上に画像データに基づく静電潜像が形成される。その後、現像ローラ52によって、トナー収容室内のトナーが、感光ドラム51の静電潜像に供給されることで、感光ドラム51上にトナー像が担持される。
【0047】
次に、搬送ベルト73上に供給された用紙Sが各感光ドラム51と各転写ローラ74との間を通過することで、各感光ドラム51上に形成されたトナー像が用紙S上に転写される。そして、用紙Sが加熱ローラ81と加圧ローラ82との間を通過することで、用紙S上に転写されたトナー像が熱定着される。以上のようにして、用紙Sに画像を形成することができる。画像が形成された用紙Sは、搬送ローラ83によって排紙部9の搬送経路91に搬送された後、排出ローラ92によって筐体2の外部に排出される。
【0048】
<紙粉除去手段周辺の詳細構成>
次に、本発明の特徴部分である紙粉除去手段100周辺の構成について説明する。
【0049】
紙粉除去手段100は、
図1に示すように、筐体2の前側に設けられている。また、
図1および
図3に示すように、筐体2内の紙粉除去手段100の周辺には、本体フレーム200と、搬送経路2Aや手差し経路2Bを構成する第2ガイド210と、レジストローラ33Bと、紙粉除去手段100の移動を規定し、紙粉取りローラ33Aをレジストローラ33Bに付勢するためのリンク部材300とが設けられている。
【0050】
本体フレーム200と第2ガイド210は、筐体2を構成している。そして、本体フレーム200は、レジストローラ33B、紙粉除去手段100およびリンク部材300を支持している。
【0051】
図3に示すように、本体フレーム200は、紙粉取りローラ33Aやレジストローラ33Bの軸線方向(左右方向)に延びるフレーム本体201を有している。フレーム本体201は、前面に、搬送経路2Aの後側を構成するガイド面201Aが形成されている。
【0052】
また、本体フレーム200は、フレーム本体201の左右両端部に、紙粉除去手段100やレジストローラ33Bを支持する一対の保持板220と、第2ガイド210を支持する一対の固定部230を有している。
【0053】
一対の保持板220は、紙粉除去手段100の左右方向外側に配置されるフレームの一例であり、各保持板220は、フレーム本体201の上から前方へ向けて延びている。
【0054】
そして、各保持板220は、後端部に、貫通孔である第1開口222が形成されている。また、各保持板220の第1開口222の前斜め上方には、第1開口222に向かう方向に長い長孔221が形成されている。長孔221は、後述する紙粉取りローラ33Aのローラ軸331が係合する孔であり、第1開口222側の端部は、紙粉取りローラ33Aのローラ軸331が当接したときに、紙粉取りローラ33Aがレジストローラ33Bに接触するような位置に配置されている。そして、保持板220の後方には、保持板220から左右方向外側に突出する支持軸223が設けられている。
【0055】
固定部230は、ガイド面201Aの左右方向外側から前方へ向けて延び、先端部が保持板220よりも前方へ突出している。そして、固定部230の先端部の上面には、上方へ向けて突出する突起部231が形成されている。
【0056】
第2ガイド210は、
図4(a)に示すように、本体フレーム200の前方に配置され、手差し経路2Bを形成する第1面213と、搬送経路2Aを形成する第2面214を有している。
【0057】
第1面213は、第2ガイド210の上面に形成され、前から後へ向かうにつれて、後述する紙粉取りローラ33Aとレジストローラ33Bの間へ向けて延びている。第1面213は、手差し経路2Bの下側を構成している。
【0058】
第2面214は、第2ガイド210の後面に形成され、下から上に向かうにつれて、紙粉取りローラ33Aとレジストローラ33Bの間へ向けて後方に延びている。第2面214は、本体フレーム200のガイド面201Aと対向して配置されており、ガイド面201Aとの間で搬送経路2Aを形成している。
【0059】
また、第2ガイド210は、
図3に示すように、第1面213や第2面214の左右方向外側に、一対の支持部211と、一対の被固定部212とを有している。
【0060】
一対の支持部211は、その上面で、後述する紙粉貯留部110を支持する部分である。
【0061】
一対の被固定部212は、左右方向に延びる平板状に形成されており、左側の被固定部212には、穴212Aが形成され、右側の被固定部212には、左右方向に長い長穴212Bが形成されている。
【0062】
このように構成された第2ガイド210は、穴212Aと長穴212Bが、本体フレーム200の固定部230に設けられた突起部231にそれぞれ係合することにより、本体フレーム200に対して位置決めされている。
【0063】
レジストローラ33Bは、左右方向に長いローラであり、表面にゴム層が設けられている。このレジストローラ33Bは、左右両端部が、保持板220の第1開口222に挿通されることにより、本体フレーム200の一対の保持板220に支持されている。
【0064】
紙粉除去手段100は、レジストローラ33Bに対向して配置され、レジストローラ対33に挟まれた用紙Sから紙粉を除去する装置である。
【0065】
紙粉除去手段100は、紙粉取りローラ33Aと、紙粉取りローラ33Aが回収した紙粉を貯留するための紙粉貯留部110を備えている。そして、紙粉除去手段100は、紙粉貯留部110内に、紙粉取りローラ33Aから紙粉を掻き取るための掻取部材120(
図4(a)参照)と、掻き取られた紙粉を拡散させるためのオーガ130と、掻取部材120を紙粉取りローラ33Aに押し付けるための押付部材140(
図4(b)参照)とを備えている。また、紙粉貯留部110は、紙粉取りローラ33Aの回転駆動力をオーガ130に伝達するためのギヤ列150も備えている。
【0066】
紙粉取りローラ33Aは、左右方向に長いローラであり、レジストローラ33Bに対向して配置されている。紙粉取りローラ33Aは、金属製のローラ軸331の周面が、フッ素樹脂で被覆された構成となっている。そして、この紙粉取りローラ33Aは後述する掻取部材120と摺接することによって、周面が摩擦帯電し、レジストローラ33Bとの間で挟んだ用紙Sの紙粉を吸着(回収)可能となっている。
【0067】
このように構成された紙粉取りローラ33Aは、後述する紙粉貯留部110に支持されており、ローラ軸331の左右両端部が、紙粉貯留部110の外側まで長く延びている。
【0068】
そして、紙粉取りローラ33Aの左端には、ユニバーサルジョイントを介して、モータと連結された図示しない入力ギヤが接続されている。これにより、紙粉取りローラ33Aとレジストローラ33Bが用紙Sを挟んだときに、紙粉取りローラ33Aが上に変位しても、当該変位が入力ギヤに影響を与えないようになっている。また、紙粉取りローラ33Aの右端には、ギヤ列150を構成する第1ギヤ151が固定されている。
【0069】
紙粉貯留部110は、前述したように、紙粉取りローラ33Aが回収した紙粉を貯留するためのケースである。紙粉貯留部110は、底壁111、前壁112および左右一対の側壁113,114を有し、これらの壁111,112,113,114により、紙粉を貯留するための空間が形成されている。なお、紙粉貯留部110には、紙粉を貯留する空間の上方を覆う蓋が設けられているが、
図3〜
図7では、図を見やすくするため図示を省略している。
【0070】
底壁111は、
図5に示すように、前から後へ向かう方向、つまり、用紙Sの搬送方向(以下、単に「搬送方向」という。)下流側に向かうにつれて上方(詳細には、レジストローラ対33の間)へ向かうように傾斜している。そして、前壁112は、底壁111の搬送方向上流側端部から上方に延びている。また、左右一対の側壁113,114は、底壁111の紙粉取りローラ33Aの軸線方向(以下、単に「軸線方向」という。)端部から上方へ向けて延びた後、搬送方向下流側に向けて延び、底壁111より搬送方向下流側へ突出している。
【0071】
また、紙粉貯留部110は、
図3に示すように、紙粉取りローラ33Aやオーガ130を支持可能に形成されている。具体的には、左右一対の側壁113,114は、搬送方向下流端(底壁111よりも搬送方向下流側へ突出した部分)に、紙粉取りローラ33Aのローラ軸331が挿通される第2開口113A,114Aが形成されている。また、左側の側壁113は、第2開口113Aの前方に、貫通孔113Bが形成されている。そして、右側の側壁114(壁部)は、第2開口114Aの前方に、オーガ用軸受部114Bが設けられている。オーガ用軸受部114Bは、右側の側壁114から外側へ突出した略円筒状に形成されており、内部に、後述するオーガ130の右端部が挿通可能となっている。
【0072】
そして、紙粉貯留部110は、
図5に示すように、紙粉貯留部110の搬送方向上流寄り(詳細には、前壁112)における軸線方向両端部に、下方へ向けて突出する当接部112Aを有している。
【0073】
また、紙粉貯留部110の底壁111は、
図4(a)に示すように、下側の面が、第2ガイド210の第1面213と対面して手差し経路2Bの上側を構成し、手差し経路2Bから給紙された用紙Sをレジストローラ対33(レジストローラ33B)に向けて案内する第1ガイド111Aとなっている。
【0074】
掻取部材120は、
図4(b)に示すように、支持部材121と押圧部材122とから構成されている。
【0075】
支持部材121は、先端部にスポンジ等から形成された押圧部材122が固定されており、この先端部に設けられた押圧部材122が紙粉取りローラ33Aに搬送方向上流側から接触するように配置されている。そして、支持部材121は、紙粉貯留部110内に設けられている押付部材140によって、押圧部材122が紙粉取りローラ33Aの表面に押し付けられるように付勢されている。
【0076】
具体的に、押付部材140は、支持部材121が固定された回動部材141と回動部材141を付勢するバネ142とから構成されている。回動部材141は、紙粉取りローラ33Aの搬送方向上流側において、後述するオーガ130の左右両端部に軸支されており、下端部に、掻取部材120の支持部材121の基端部が繋がっている。バネ142は、回動部材141に係合し、回動部材141が図示反時計回りに回動するように、回動部材141を付勢している。
【0077】
なお、本実施形態においては、掻取部材120の支持部材121と押付部材140の回動部材141は、一体に形成されている。
【0078】
オーガ130は、
図4(a)に示すように、掻取部材120が掻き取った紙粉を、軸線方向中央部から両端部へ向けて搬送するように構成されており、紙粉取りローラ33Aと押圧部材122の接触部の近傍、かつ、紙粉貯留部110の底壁111の上方に配置されている。
【0079】
オーガ130は、
図3に示すように、左端部が、貫通孔113Bに配置され、右端部が、オーガ用軸受部114Bに配置されることにより、紙粉貯留部110の左右一対の側壁113,114に回転可能に支持されている。
【0080】
ギヤ列150は、前述した紙粉取りローラ33Aの右端部に固定されている第1ギヤ151のほか、オーガ130の右端部に固定される第2ギヤ152と、第1ギヤ151と第2ギヤ152に噛合する中間ギヤ153とを有している。
【0081】
第2ギヤ152は、オーガ用軸受部114Bを介して、紙粉貯留部110の右側の側壁114に回転可能に支持されている。また、中間ギヤ153は、右側の側壁114に設けられている符号を省略して示す軸受部に嵌合し、当該軸受部を介して右側の側壁114に回転可能に支持されている。なお、第1ギヤ151も、紙粉取りローラ33Aを介して、右側の側壁114に支持されている。
【0082】
以上のように構成された紙粉除去手段100は、紙粉貯留部110から突出した紙粉取りローラ33Aのローラ軸331の左右両端部が、保持板220の長孔221に係合することにより、後端部が本体フレーム200に支持されている。また、紙粉除去手段100は、当接部112Aが、第2ガイド210の支持部211に直接当接していることにより、前端部が第2ガイド210に支持されるとともに、第1ガイド111Aが第2ガイド210に対して位置決めされている。
【0083】
そして、紙粉除去手段100は、紙粉取りローラ33Aのローラ軸331が、長孔221に案内されて移動することにより、紙粉取りローラ33Aがレジストローラ33Bに接触する接触位置(
図6に示す位置)と、紙粉取りローラ33Aがレジストローラ33Bから離間する離間位置(
図7に示す位置)との間を移動可能となっている。
【0084】
リンク部材300は、
図6に示すように、紙粉取りローラ33Aをレジストローラ33Bに向けて押圧するための部材であり、本体フレーム200に回動可能に支持されている。
【0085】
リンク部材300は、本体フレーム200の各保持板220に軸支される軸支部310と、軸支部310から延びる第1アーム部320および第2アーム部330を有した側面視略L字状に形成されている。
【0086】
軸支部310は、孔311が形成されており、この孔311に保持板220の支持軸223が係合している。
【0087】
第1アーム部320は、軸支部310から紙粉取りローラ33A側、つまり、前側に向けて長孔221が延びる方向と略直交する方向に延びるように形成されている。そして、第1アーム部320には、孔321が形成されており、この孔321に、紙粉取りローラ33Aのローラ軸331が係合している。
【0088】
第2アーム部330は、軸支部310から第1アーム部320とは異なる方向、具体的には、下側に向けて延びるように形成されている。
【0089】
このように構成されたリンク部材300は、付勢部材の一例としての圧縮ばね340によって、第1アーム部320が紙粉取りローラ33Aをレジストローラ33Bに向けて押圧するように、第2アーム部330が付勢されている。
【0090】
具体的に、圧縮ばね340は、一端が本体フレーム200に支持され、他端が第2アーム部330の先端に係合している。そして、圧縮ばね340は、第2アーム部330を後方へ向けて付勢することで、リンク部材300を図示反時計回りに付勢し、第1アーム部320を下方へ向けて付勢している。
【0091】
次に、以上のように構成されたカラープリンタ1の作用および効果について説明する。
印刷を行う際、給紙トレイ31または手差し口23より給紙された用紙Sは、
図1に示すように、搬送経路2Aまたは手差し経路2Bを通って、レジストローラ対33へ向けて搬送される。用紙Sが、レジストローラ対33に突き当てられて先端位置が規制されると、紙粉取りローラ33Aおよびレジストローラ33Bが回転する。このとき、ギヤ列150によって、紙粉取りローラ33Aの回転駆動力がオーガ130へ伝達され、オーガ130も回転する(
図3参照)。
【0092】
そして、レジストローラ対33の間を用紙Sが通過すると、紙粉取りローラ33Aが、当該用紙Sの表面に付着している紙粉を回収する。そして、紙粉取りローラ33Aに回収された紙粉は、掻取部材120に掻き取られ、オーガ130によって軸線方向に拡散されながら紙粉貯留部110内に落下し、貯留される。
【0093】
ところで、例えば、用紙Sとして通常の厚みを有する普通紙が給紙され、紙粉取りローラ33Aとレジストローラ33Bに挟まれるときには、
図6に示すように、紙粉除去手段100は、接触位置に配置される。
【0094】
そして、例えば、用紙Sとして普通紙よりも厚い厚紙が給紙され、紙粉取りローラ33Aとレジストローラ33Bの間に進入すると、
図7に示すように、紙粉取りローラ33Aが押し上げられて、紙粉取りローラ33Aが長孔221に沿ってレジストローラ33Bから離間する。
【0095】
このとき、紙粉貯留部110は、搬送方向上流寄りに設けられている当接部112Aが、第2ガイド210の支持部211に当接した状態で、搬送方向下流寄りの部分(紙粉取りローラ33A側)が持ち上がる。つまり、紙粉除去手段100は、当接部112Aを支点に離間位置に向けて揺動する。
【0096】
このように、カラープリンタ1は、紙粉除去手段100が、接触位置と離間位置との間を移動可能であるため、搬送される用紙Sの厚みに応じて、レジストローラ33Bと紙粉取りローラ33Aの軸間距離を変更することができる。これにより、レジストローラ対33の搬送の精度を確保することができる。
【0097】
また、紙粉取りローラ33Aの表面はフッ素樹脂で被覆され、レジストローラ33Bの表面はゴムで被覆されていることにより、用紙Sとの間に生じる摩擦力が、レジストローラ33Bの表面の方が紙粉取りローラ33Aの表面よりも大きい。これにより、もし、レジストローラ33Bが傾いてしまうと、レジストローラ対33に突き当てられた用紙Sの先端も傾いてしまうおそれがある。本実施形態では、レジストローラ33Bと紙粉取りローラ33Aの軸間距離を変更するために、用紙Sとの間に生じる摩擦が小さい紙粉取りローラ33Aを移動させ、レジストローラ33Bは移動させないので、レジストローラ33Bによる用紙Sの搬送精度を確保することができる。
【0098】
そして、ギヤ列150を構成する第2ギヤ152および中間ギヤ153が、紙粉取りローラ33Aを支持する紙粉貯留部110に支持されているので、紙粉除去手段100(紙粉取りローラ33A)が接触位置と離間位置との間を移動しても、ギヤ列150を構成する各ギヤの軸間距離がほとんど変位しない。これにより、紙粉取りローラ33Aの回転駆動力を確実にオーガ130に伝達することができる。
【0099】
また、紙粉除去手段100は、紙粉貯留部110の搬送方向上流寄りに設けられている当接部112Aを支点として揺動するので、手差し経路2Bを構成している第1ガイド111Aの搬送方向上流端の位置が、あまり変動しない。これにより、用紙Sを良好に第1ガイド111Aと第2ガイド210の間へ搬送することができる。
【0100】
そして、厚紙がレジストローラ33Bと紙粉取りローラ33Aの間を通過した後は、リンク部材300によって、紙粉取りローラ33Aが、長孔221に沿ってレジストローラ33Bに接近するように移動し、紙粉除去手段100が接触位置に戻る。
【0101】
なお、本実施形態では、引出部材42が、紙粉除去手段100の上方を通って筐体2から引き出されるように構成されているが、リンク部材300が、紙粉取りローラ33Aの軸線方向外側に配置されている保持板220に設けられているため、引出部材42は、紙粉除去手段100のすぐ上を通ることができる。そのため、例えば、リンク部材を紙粉取りローラ33Aの上方に配置し、紙粉取りローラ33Aをレジストローラ33Bに向けて押圧するように構成した場合に比べて、筐体2を上下方向に小型化することができる。
【0102】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0103】
前記実施形態では、第1ガイド111Aは、手差し口23から給紙された用紙Sをレジストローラ33Bに案内するように構成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第1ガイド111Aは、給紙部3と画像形成部4を繋ぐ搬送経路を形成し、給紙トレイ31から給紙された用紙Sをレジストローラ33Bに案内するように構成されていてもよい。
【0104】
そして、前記実施形態では、押付部材140が回動部材141とバネ142から構成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、掻取部材120の支持部材121を板ばねで形成して押付部材とし、板ばねの弾性力によって、押圧部材122を紙粉取りローラ33Aに押し付けてもよい。
【0105】
また、前記実施形態では、付勢部材として圧縮ばね340を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、付勢部材は、トーションばね等であってもよい。
【0106】
そして、前記実施形態では、記録シートの一例として、厚紙、はがき、薄紙などの用紙Sを採用したが、本発明はこれに限定されず、例えば、OHPシートであってもよい。
【0107】
前記実施形態では、カラープリンタ1に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、その他の画像形成装置、例えば複写機や複合機などに本発明を適用してもよい。