特許第5974741号(P5974741)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5974741
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】排煙脱硫装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/50 20060101AFI20160809BHJP
   B01D 53/18 20060101ALI20160809BHJP
【FI】
   B01D53/50 245
   B01D53/18 150
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-197012(P2012-197012)
(22)【出願日】2012年9月7日
(65)【公開番号】特開2014-50797(P2014-50797A)
(43)【公開日】2014年3月20日
【審査請求日】2015年7月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】110000512
【氏名又は名称】特許業務法人山田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内藤 俊之
【審査官】 松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−253925(JP,A)
【文献】 特開2001−120946(JP,A)
【文献】 特開2001−246224(JP,A)
【文献】 特開2004−181327(JP,A)
【文献】 特開2010−162529(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0083592(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/34−53/85
B01D 53/92
B01D 53/96
B01D 53/14−53/18
B01D 19/00−19/04
B01D 29/00−29/48
B01D 35/00−35/04
B01D 35/08−35/30
B01F 1/00− 5/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼装置から排出される排ガスを導入して吸収液と接触させることにより排ガス中のSOを吸収した吸収液を溜める循環タンクを有する吸収塔と、前記循環タンクの側壁に備えた吸収液酸化用の空気吹込管と、前記循環タンクの側壁に備えて吸収液を攪拌し前記循環タンク内に吸収液による旋回流が形成されるように配置した攪拌機と、前記循環タンク内の吸収液を吸引口から取り出して吸収塔上部のスプレー装置に循環供給する循環ポンプとを有する排煙脱硫装置であって、
前記循環タンクの内側で前記側壁に接近し前記吸引口と間隔を隔てて対向した位置に、前記循環タンクの吸収液に没入する高さを有し且つ全面に貫通孔を備えた孔開きバッフル板が固定され、
前記孔開きバッフル板は、前記循環タンクの底板との間に下部開口を有し、側部両端と前記循環タンクの前記側壁との間に連通間隔を有する
ことを特徴とする排煙脱硫装置。
【請求項2】
前記孔開きバッフル板の前記側部両端の下部に脚部を突設し、該脚部を前記循環タンクの前記底板に固定することにより、前記孔開きバッフル板の下側に前記下部開口を形成したことを特徴とする請求項1に記載の排煙脱硫装置。
【請求項3】
前記孔開きバッフル板は、前記循環タンクの前記側壁に沿うように湾曲した形状を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の排煙脱硫装置。
【請求項4】
前記孔開きバッフル板は、前記循環タンクの前記側壁に沿うように複数の分割板が湾曲して配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の排煙脱硫装置。
【請求項5】
前記攪拌機により前記循環タンク内に吸収液の旋回流が形成されて、前記孔開きバッフル板と前記吸引口との間を、吸収液が一方の入側の連通間隔から他方の出側の連通間隔に向かって流れる際における前記出側の連通間隔の位置に、前記攪拌機の1つを下流に向けて攪拌するよう配置したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の排煙脱硫装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収塔の内部で吸収液(石灰石スラリ)を排ガスと接触させることにより排ガス中の硫黄酸化物(以下SOという)を吸収し、SOを吸収した吸収液は循環タンクに一定量貯留し、循環タンクの吸収液に空気を吹き込んで気泡との接触により吸収液中のSOを酸化させて石膏を生成させ、循環タンクの吸収液は、循環タンク側壁の吸引口から循環ポンプにより抜き出して吸収塔上部に備えたスプレー装置に循環供給するようにした排煙脱硫装置に関し、特に、前記吸収液への気泡の混合・分散性を高めた状態において、空気が前記循環ポンプに吸引されるのを抑制するようにした排煙脱硫装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、大気汚染による自然環境の悪化がクローズアップされており、火力発電所等においては、化石燃料の燃焼に伴い発生する排ガス中のSOが大気汚染・酸性雨等の環境問題の主原因の一つと考えられることから、SO除去のための排煙脱硫装置の普及が進められている。
【0003】
現在の排煙脱硫装置は、石灰石−石膏法による湿式法が主流を占めており、中でも最も実績が多く、信頼性の高いスプレー方式の排煙脱硫装置が多く採用されている。このスプレー方式の排煙脱硫装置は脱硫性能が高く、基本技術はほぼ確立されている。
【0004】
このようなスプレー方式の排煙脱硫装置では、吸収液に空気を吹き込んで気泡との接触により吸収液中のSOを酸化させて石膏を生成しているため、循環タンク内の吸収液中に空気を吹き込む空気吹込装置(酸化装置)と、吸収液に対する気泡の混合・分散性を向上させ、且つ、循環タンク内の吸収液中の粒子(石灰石、石膏)が沈降するのを防止するための攪拌機とを備えている。近年では、空気を攪拌機の羽根で剪断することで微細にした気泡を吸収液に混合するようにした酸化攪拌装置が採用されて、酸化性能を向上させている。
【0005】
前記排煙脱硫装置に設けられる攪拌機による撹拌は、気泡を効果的に吸収液に混合・分散させると共に、粒子の沈降を防止する目的から、各攪拌機が独自の方向で撹拌することは好ましくなく、循環タンク内に吸収液による旋回流が形成されるように、各攪拌機を循環タンクに対して同一の接線方向に傾けて設置することが行われている。
【0006】
しかし、近年、通常の石炭よりもSO含有量の多い石炭をボイラで燃焼させることが要求される場合があり、このような場合には、酸化空気量を増加する、或いは、攪拌機の設置台数を増設することが必要となる。しかし、吸収液に空気を良好に混合・拡散させることは難しいという課題がある。
【0007】
このように、吸収液への空気の混合・拡散が難しいという課題があるなかで、酸化空気量を増加する、或いは、攪拌機の設置台数を増設した場合には、循環ポンプに空気が吸い込まれ易くなり、その結果、循環ポンプが振動(キャビテーション)を起こして寿命が短くなる問題、或いは、循環ポンプの性能が低下するという問題が生じる。
【0008】
そこで、吸収塔の内部における循環ポンプの吸引口側と、反吸引口側との間に、循環タンクの底板との間に開口部を有し循環タンクの上部までを二分割するようにしたバッフル板を設けたものがある(特許文献1参照)。
【0009】
しかし、特許文献1では、循環タンクを二分割するバッフル板を設けているために、複数の攪拌機によって循環タンクの内部に吸収液の旋回流を生じさせようとしても、前記バッフル板で流れが遮られるために、吸収液の流れに乱れが生じ、吸収液に対する気泡の混合・分散性を高められない問題があり、又、バッフル板と吸引口との間には吸収液の流れが生じ難いために、バッフル板と吸引口との間に粒子が堆積する問題がある。又、循環タンクの上部まで二分割するように設けられるバッフル板は構造が非常に大掛かりとなり、設備費が増加すると共に、メンテナンスが大変になるという問題がある。
【0010】
一方、上記特許文献1に対して、循環タンクの吸収液の内部に小型のバッフル板を備えるようにしたものがある(特許文献2、3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2002−253925号公報
【特許文献2】特開2001−120946号公報
【特許文献3】特開2001−246224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献2、3に示されるバッフル板は、循環タンクの吸収液内に没する高さを有して、循環ポンプの吸引口から間隔を隔てた循環タンク内に配置してあり、且つその側部両端は循環タンクの側壁に固定されており、従って、前記バッフル板は、平面的に見て前記吸引口を包囲する形状となっている。
【0013】
しかし、特許文献2、3に示すように、吸引口を包囲するように設置したバッフル板では、各攪拌機によって循環タンク内に吸収液による旋回流を形成するようにした場合、前記バッフル板によって流れが遮られて流れに乱れが生じることから、吸収液に対する気泡の混合・分散性が低下する問題がある。更に、特許文献2、3では、バッフル板と吸引口との間には吸収液の流れが発生せずに滞留するために、バッフル板と吸引口との間に粒子が堆積する問題がある。又、特許文献2、3では、攪拌機によって循環タンク内に吸収液の流れの乱れが生じるために、この吸収液の流れの乱れに乗った気泡を含む吸収液がバッフル板を乗り越えてバッフル板の内部(吸引口側)へ流れ込み、これによって、吸引口を介して循環ポンプに空気が吸引される可能性を有していた。
【0014】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなしたもので、吸収液に対する気泡の混合・分散性を高めた状態において、空気が循環ポンプに吸引されるのを抑制するようにした排煙脱硫装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、燃焼装置から排出される排ガスを導入して吸収液と接触させることにより排ガス中のSOを吸収した吸収液を溜める循環タンクを有する吸収塔と、前記循環タンクの側壁に備えた吸収液酸化用の空気吹込管と、前記循環タンクの側壁に備えて吸収液を攪拌し前記循環タンク内に吸収液による旋回流が形成されるように配置した攪拌機と、前記循環タンク内の吸収液を吸引口から取り出して吸収塔上部のスプレー装置に循環供給する循環ポンプとを有する排煙脱硫装置であって、
前記循環タンクの内側で前記側壁に接近し前記吸引口と間隔を隔てて対向した位置に、前記循環タンクの吸収液に没入する高さを有し且つ全面に貫通孔を備えた孔開きバッフル板が固定され、
前記孔開きバッフル板は、前記循環タンクの底板との間に下部開口を有し、側部両端と前記循環タンクの前記側壁との間に連通間隔を有する
ことを特徴とする排煙脱硫装置、に係るものである。
【0016】
上記排煙脱硫装置において、前記孔開きバッフル板の前記側部両端の下部に脚部を突設し、該脚部を前記循環タンクの前記底板に固定することにより、前記孔開きバッフル板の下側に前記下部開口を形成したことは好ましい。
【0017】
又、上記排煙脱硫装置において、前記孔開きバッフル板は、前記循環タンクの前記側壁に沿うように湾曲した形状を有することが好ましい。
【0018】
又、上記排煙脱硫装置において、前記孔開きバッフル板は、前記循環タンクの前記側壁に沿うように複数の分割板が湾曲して配置されていることが好ましい。
【0019】
又、上記排煙脱硫装置において、前記攪拌機により前記循環タンク内に吸収液の旋回流が形成されて、前記孔開きバッフル板と前記吸引口との間を、吸収液が一方の入側の連通間隔から他方の出側の連通間隔に向かって流れる際における前記出側の連通間隔の位置に、前記攪拌機の1つを下流に向けて攪拌するよう配置したことは好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、循環タンク内に吸収液の旋回流が形成されるように攪拌機による撹拌を行う際に、孔開きバッフル板と吸引口との間にも吸収液の流れが形成されて循環タンク内全体に安定した旋回流が形成されるので、吸収液に対する気泡の混合・拡散を安定して高めることができ、且つ、孔開きバッフル板と吸引口との間に吸収液の流れが生じることによりこの部位に粒子が堆積する問題を防止でき、更に、循環タンク内の吸収液が孔開きバッフル板の貫通孔を通って吸引口に吸引される際に孔開きバッフル板による気泡分離効果が働くため、循環ポンプに空気が吸引される問題を低減できるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】(a)は本発明の一実施例である湾曲した孔開きバッフル板を循環タンクに備えた排煙脱硫装置の切断平面図、(b)は(a)に備えた孔開きバッフル板をIB−IB方向から見た正面図である。
図2】(a)は図1に備えた孔開きバッフル板を図1(a)のII方向から見た切断側面図、(b)は(a)の孔開きバッフル板を傾斜して備えた場合の切断側面図である。
図3】(a)は図1の孔開きバッフル板を循環タンクの側壁に沿うように配置した複数の分割板によって構成した実施例を示す切断平面図、(b)は図1の湾曲した孔開きバッフル板を直線の孔開きバッフル板とした実施例を示す切断平面図である。
図4】本発明を適用した排煙脱硫装置の全体構成を示す切断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
【0023】
図4は本発明の排煙脱硫装置の全体構成を示すもので、排煙脱硫装置1は、ボイラ等の燃焼装置から排出される排ガスGを排ガス導入管2により導入して吸収液Kと接触させる吸収塔3を有しており、該吸収塔3の下部には、排ガスG中のSOを吸収した吸収液Kを溜める循環タンク4が一体に形成されている。
【0024】
前記循環タンク4の側壁4aには、吸収液酸化用の空気を吸収液Kの内部に吹き込む空気吹込管5と、前記空気吹込管5の吹込口5aに近接して配置され、前記吹込口5aから吹き込まれる空気を吸収液K内に混合・拡散させる複数の攪拌機6を設けている。6aは攪拌機6のスクリューである。
【0025】
前記循環タンク4の側壁4aにおける底板4bに近い位置には、循環タンク4の吸収液Kを取り出す吸引口7が設けてあり、更に、該吸引口7により吸引した吸収液Kを吸収塔3の上部に設けたスプレー装置8に循環供給する循環ポンプ9を設けている。図1(a)では3台の循環ポンプ9を備えた場合を示している。図4中、10は吸収塔3の上端に接続される排ガス導出管11に備えたミスト捕集部である。
【0026】
前記循環タンク4の側壁4aに複数備えられる攪拌機6は、図1(a)に示す如く、前記循環タンク4内に吸収液Kによる旋回流Rを形成するように、循環タンク4の側壁4aに対して接線的に同方向に角度αを有して配置されており、前記攪拌機6の攪拌方向前方の近接位置に前記空気吹込管5の吹込口5aが対応して配置されている。又、前記攪拌機6は、図4に示す如く、撹拌方向が水平よりも下向きの角度βになるように設置されている。
【0027】
前記循環タンク4の内部における前記吸引口7と間隔を隔てた位置には、図4及び図1に示す如く、循環タンク4の吸収液Kに没入する高さを有し且つ全面に貫通孔12が形成された孔開きバッフル板13を設置している。
【0028】
前記孔開きバッフル板13は、図1(b)に示す如く、側部両端14a,14bの下部に脚部15が突設されており、該脚部15を前記循環タンク4の底板4bに対して垂直に固定することにより、前記孔開きバッフル板13の下側に下部開口16を形成している。図1(b)の脚部15は2個備えた場合を示しているが、3個以上の脚部15を備えてもよい。前記孔開きバッフル板13は、パンチングメタル、或いは網板等を用いて形成することができ、前記孔開きバッフル板13の材質には吸収塔3と同じ材質であるステンレス鋼(SUS316L)、ステンレスクラッド鋼、フレークライニング材、ゴムライニング材等を用いることができる。
【0029】
又、図1(a)の孔開きバッフル板13は、円筒形状を有する前記循環タンク4の側壁4aに沿うように湾曲した形状(円弧状)を有しており、更に、孔開きバッフル板13の側部両端14a,14bと循環タンク4の側壁4aとの間には連通間隔17a,17bを有しており、これにより、孔開きバッフル板13の側部両端14a,14bと循環タンク4の側壁4aとの間には流路17が形成されている。
【0030】
更に、前記攪拌機6により前記循環タンク4内に吸収液Kの旋回流Rが形成されて、前記孔開きバッフル板13と前記吸引口7との間を、吸収液Kが一方の入側の連通間隔17aから他方の出側の連通間隔17bに向かって流路17を流れる際における前記出側の連通間隔17bの位置に、一つの攪拌機6'を下流に向けて攪拌するよう設置している。
【0031】
前記孔開きバッフル板13は、図2(a)に示すように、前記循環タンク4の底板4bに対して垂直に設置してもよく、又、図2(b)に示すように、前記循環タンク4の底板4bに対して上端が吸引口7側へ近付くように傾けて設置してもよい。
【0032】
次に、上記実施例の作動を説明する。
【0033】
図4において、図示しないボイラ等の燃焼装置からの排ガスGは、排ガス導入管2から吸収塔3の内部に導入され、スプレー装置8から噴霧される吸収液Kと気液接触することによりSOが吸収されると共に煤塵が除去されて清浄な排ガスとなり、排ガス導出管11に備えたミスト捕集部10により同伴されるミストが除去された後、排出される。
【0034】
一方、吸収塔3の内部で気液接触によりSOを吸収した吸収液Kは、吸収塔3内を下降して循環タンク4に一時的に溜められる。循環タンク4では、空気吹込管5より供給される空気が攪拌機6によって微細化されて吸収液K中に溶解する。循環タンク4内では、吸収液Kに吸収された硫黄酸化物(SO)が、吸収液K中に含まれる石灰石(CaCO)と反応し、更に循環タンク4に供給される空気によって酸化されて石膏(CaSO・2HO)となる。
【0035】
この時、循環タンク4の側壁4aに複数備える攪拌機6を、図1(a)に示すように前記循環タンク4内に吸収液Kの旋回流Rが形成されるように配置すると、前記孔開きバッフル板13はその側部両端14a,14bが循環タンク4の側壁4aとの間に連通間隔17a,17bを有していることから、前記孔開きバッフル板13と吸引口7との間の流路17にも吸収液Kの流れが形成され、よって、前記循環タンク4の内部全体に吸収液Kの旋回流Rが形成される。
【0036】
更に、前記孔開きバッフル板13による出側の連通間隔17bの位置に、1つの攪拌機6'を下流に向けて攪拌するように配置したので、この攪拌機6'は孔開きバッフル板13と吸引口7との間の流路17の吸収液Kを吸引するため、前記流路17における吸収液Kの流れを助けることができる。
【0037】
このように、孔開きバッフル板13と吸引口7との間の流路17にも吸収液Kの確実な流れが形成されて、循環タンク4内に安定した旋回流Rが形成されるので、吸収液Kに対する気泡の混合・拡散を安定して行わせることができる。
【0038】
又、孔開きバッフル板13と吸引口7との間の流路17に吸収液Kの流れが形成され、更に、孔開きバッフル板13の下部には下部開口16が備えられているので、前記孔開きバッフル板13と吸引口7との間の流路17、及び、孔開きバッフル板13の周辺に粒子が沈降して堆積する問題を防止できる。
【0039】
更に、循環タンク4内の吸収液Kは孔開きバッフル板13の貫通孔12を通って吸引口7に吸引されるようになるが、吸収液Kが孔開きバッフル板13の貫通孔12を通る際には流路が絞られて圧力が高められることにより気泡が分離されるという気泡分離効果が働くため、吸引口7から循環ポンプ9に空気が吸引される問題は低減される。
【0040】
又、前記孔開きバッフル板13は構成が簡単であるため低コストで実施することができ、更に、運転停止時のメンテナンス作業も容易になる利点がある。
【0041】
図3(a)は、前記図1に示した孔開きバッフル板13を複数の分割板18により構成して、該複数の分割板18を前記循環タンク4の側壁4aに沿うように湾曲して配置した実施例を示している。図3(a)の実施例によれば、小さい面積の分割板18を用いることによって孔開きバッフル板13を容易に製造し、設置することができる。
【0042】
図3(b)は、前記図1に示した湾曲した孔開きバッフル板13を直線状の孔開きバッフル板19とした場合を示すものであり、このような直線状の孔開きバッフル板19においても、前記湾曲した孔開きバッフル板13と同等の作用効果を発揮することができる。
【0043】
尚、本発明の排煙脱硫装置は、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0044】
1 排煙脱硫装置
3 吸収塔
4 循環タンク
4a 側壁
4b 底板
5 空気吹込管
6 攪拌機
6' 攪拌機
7 吸引口
8 スプレー装置
9 循環ポンプ
12 貫通孔
13 孔開きバッフル板
14a,14b 側部両端
15 脚部
16 下部開口
17a,17b 連通間隔
18 分割板
G 排ガス
K 吸収液
R 旋回流
図1
図2
図3
図4