(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5974772
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】搬送台車
(51)【国際特許分類】
B62B 5/00 20060101AFI20160809BHJP
B65G 47/52 20060101ALI20160809BHJP
B62B 3/04 20060101ALI20160809BHJP
【FI】
B62B5/00 C
B65G47/52 101A
B62B3/04 C
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-209866(P2012-209866)
(22)【出願日】2012年9月24日
(65)【公開番号】特開2014-65331(P2014-65331A)
(43)【公開日】2014年4月17日
【審査請求日】2015年8月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100066865
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一
(74)【代理人】
【識別番号】100066854
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 賢照
(74)【代理人】
【識別番号】100117938
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 謙二
(74)【代理人】
【識別番号】100138287
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 功
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(74)【代理人】
【識別番号】100068685
【弁理士】
【氏名又は名称】斎下 和彦
(72)【発明者】
【氏名】平井 邦寛
【審査官】
須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭60−005967(JP,U)
【文献】
実開平06−001335(JP,U)
【文献】
実開昭59−124632(JP,U)
【文献】
特開2006−103516(JP,A)
【文献】
国際公開第2004/043762(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 5/00
B62B 3/04
B65G 47/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
台車に取り付けられたローラーコンベア上の搬送物を、搬送先に受け渡す搬送台車において、
前記ローラーコンベアにおける前記搬送先に対向する端部から2番目のローラーの3番目のローラー側の外側に、該ローラーコンベアの搬送面に対して上方へ延びるストッパと、そのストッパに固定された係合部とを設けるとともに、
前記2番目のローラー及びストッパを、前記端部から1番目のローラーを軸として半回転可能に構成し、
前記2番目のローラー及びストッパが半回転したときに、前記係合部が前記搬送先の端部に係合することを特徴とする搬送台車。
【請求項2】
前記2番目のローラー及びストッパに接続するハンドルを設けた請求項1に記載の搬送台車。
【請求項3】
前記搬送先が他のローラーコンベアである請求項1又は2に記載の搬送台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は搬送台車に関し、更に詳しくは、台車に取り付けられたローラーコンベア上の搬送物を、安全かつ確実に搬送先に受け渡しすることができる搬送台車に関する。
【背景技術】
【0002】
一般の製造工場においては、手押し式の搬送台車を用いての重量物の移動が頻繁に行われている(例えば、特許文献1を参照)。その搬送台車の一種に、台車上にローラーコンベアを取り付けることで、搬送先への重量物の受け渡しを容易にしたものがある。このような搬送台車を用いて重量物を移動する場合には、作業員が重量物を積載した搬送台車を搬送先のコンベア等に突き合う位置まで移動させてから、搬送台車の車輪をロックして、台車上の重量物をローラーコンベアを利用して搬送先に流れ出すようにする。
【0003】
しかしながら、搬送台車と移送先のコンベア等との突き合わせ位置がズレていた場合や、搬送台車の車輪のロックが確実に掛かっていない場合には、重量物がローラーコンベアから落下してしまったり、搬送台車が動いて作業者に接触するなどして、思わぬ事故を引き起こすおそれがあった。そのため、ローラーコンベア上の搬送物を、安全かつ確実に搬送先に受け渡しすることができる搬送台車が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−103516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、台車に取り付けられたローラーコンベア上の搬送物を、安全かつ確実に搬送先に受け渡しすることができる搬送台車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成する本発明の搬送台車は、台車に取り付けられたローラーコンベア上の搬送物を、搬送先に受け渡す搬送台車において、前記ローラーコンベアにおける前記搬送先に対向する端部から2番目のローラーの3番目のローラー側の外側に、該ローラーコンベアの搬送面に対して上方へ延びるストッパと、そのストッパに固定された係合部とを設けるとともに、前記2番目のローラー及びストッパを、前記端部から1番目のローラーを軸として半回転可能に構成し、前記2番目のローラー及びストッパが半回転したときに、前記係合部が前記搬送先の端部に係合することを特徴とするものである。
【0007】
この搬送台車においては、2番目のローラー及びストッパに接続するハンドルを設けることで、作業員が容易に半回転作業をすることができる。また、搬送先としては、他のローラーコンベアが挙げられる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の搬送台車によれば、搬送台車と搬送先とが係合部を介して確実に連結されるとともに、ローラーコンベアの端部側のローラーの1つが搬送台車のローラーコンベアと搬送先との間に位置して搬送物の移動中の落下を防止するので、搬送物を確実かつ安全に受け渡すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態からなる搬送台車の側面図である。
【
図2】本発明の実施形態からなる搬送台車の上面図である。
【
図3】反転コンベアの動作を説明する拡大側面図である。
【
図4】搬送物の受け渡し作業の最初の工程を説明する側面図である。
【
図5】搬送物の受け渡し作業の最初の工程を説明する上面図である。
【
図6】搬送物の受け渡し作業の次の工程を説明する側面図である。
【
図7】搬送物の受け渡し作業の次の工程を説明する上面図である。
【
図8】
図7に一点鎖線で示すX−X矢視の断面図である。
【
図9】本発明の別の実施形態からなる搬送台車の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
図1、2は、本発明の実施形態からなる搬送台車を示す。
【0012】
この搬送台車1は、複数の可動式の車輪2により支持される基台3上に取り付けられた左右一対のローラーコンベア4A、4Bを備えており、後部5に立設された把手6を介した作業員の手押しにより移動するものである。各ローラーコンベア4A、4Bは、並列に配置された回転自在な複数のローラー7A、7Bをそれぞれ有して構成され、各ローラー7A、7Bの頂点により形成される仮想の搬送面8上に積載された搬送物(図示せず)をスライドさせて搬送台車1の前部9から搬送先へ受け渡しするようになっている。
【0013】
このような搬送台車1において、各ローラーコンベア4A、4Bの前端部10A、10Bから1番目のローラー7A
1、7B
1及び2番目のローラー7A
2、7B
2は、その1番目のローラー7A
1、7B
1を軸として半回転可能な反転コンベア11A、11Bをそれぞれ構成している。更に、その反転コンベア11A、11Bの後端部には、3番目のローラー7A
3、7B
3と2番目のローラー7A
2、7B
2との間において搬送面8に対して上方へ延びるストッパ12A、12Bが設けられており、そのストッパ12A、12Bの裏面には断面L字状の係合雄部13A、13Bが固定されている。これらの反転コンベア11A、11Bは、各ローラーコンベア4A、4Bの2番目のローラー7A
2、7B
2の回転軸同士を延長接続してなる可動軸14を、
図3に示すように、1番目のローラー7A
1、7B
1の回りに回動することで、同時に半回転させることができるようになっている。
【0014】
ストッパ12A、12Bの表面には、ゴムなどの弾性体からなる凸部15A、15Bが設けられており、ローラーコンベア4A、4B上の搬送物を傷つけることなく流れ落ちるのを防止している。なお、各ローラーコンベア4A、4Bの後端部にも、同様の凸部を有するストッパ16A、16Bが設けられている。
【0015】
この搬送台車1を用いた搬送先への搬送物の受け渡しを
図4〜7に従って以下に説明する。
【0016】
まず、
図4、5に示すように、作業員が把手6を介して搬送台車1を移動させて、搬送先17の端部18に、搬送台車1の前部9を突き合わせる。この搬送先17は、左右一対の固定ローラーコンベア19A、19Bを備えており、それらの搬送面の高さは、搬送台車1のローラーコンベア4A、4Bの搬送面8と同じになるように支持台20により調整されている。搬送先17の端部18と固定ローラーコンベア19A、19Bの1番目のローラー21A
1、21B
1との間には、所定の幅の間隙22A、22Bが形成されている。また、搬送先17の端部18の中段には、搬送台車1の係合雄部13A、13Bと係合可能な断面凹状の係合雌部23A、23Bが設置されているとともに、端部18の上部には段状の切欠きからなる受け部24が形成されている。
【0017】
そして、
図6、7に示すように、可動軸14を回動させることで反転コンベア11A、11Bを半回転させ、その可動軸14を搬送先17の受け部24に載置する。それにより、
図8に示すように、反転コンベア11A、11Bにおけるローラー7A
2、7B
2が固定ローラーコンベア19A、19Bの1番目のローラー21A
1、21B
1と端部18との間に位置すると同時に、係合雄部13A、13Bが間隙22A、22Bを通過して、係合雌部23A、23Bにそれぞれ係合することで、搬送台車1と搬送先17とが連結される。
【0018】
このように、搬送台車1と搬送先17とが確実に連結されるとともに、反転コンベア11A、11Bの1つのローラー7A
2、7B
2が、搬送台車1のローラーコンベア4A、4Bと搬送先17の固定ローラーコンベア19A、19Bとの間に位置して搬送物の移動中の落下を防止するので、搬送物を確実かつ安全に受け渡すことができるのである。
【0019】
なお、搬送台車1は、搬送物を搬送先17へ受け渡した後は、可動軸14を逆向きに回動させて反転コンベア11A、11Bを元の位置に戻してから、作業員により他の場所へ移動する。
【0020】
上記の実施形態に係る説明では、搬送台車1から搬送先17へ搬送物を受け渡す場合を例示したが、搬送元から搬送台車1へ搬送物を積載する際にも適用できることは言うまでもない。
【0021】
上記の搬送台車1においては、
図9に示すように、可動軸14の一端部に略直角方向へ延びるハンドル25を取り付けることで、作業員が反転コンベア11A、11Bを半回転させる作業を容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0022】
1 搬送台車
4A、4B ローラーコンベア
7A、7B ローラー
8 搬送面
11A、11B 反転コンベア
12A、12B ストッパ
13A、13B 係合雄部
17 搬送先
19A、19B 固定ローラーコンベア
23A、23B 係合雌部
25 ハンドル