特許第5974785号(P5974785)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5974785
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】冷却制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60L 11/18 20060101AFI20160809BHJP
   B60W 10/30 20060101ALI20160809BHJP
   B60W 20/00 20160101ALI20160809BHJP
   B60W 10/26 20060101ALI20160809BHJP
   B60K 6/42 20071001ALI20160809BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20160809BHJP
   B60L 3/00 20060101ALI20160809BHJP
【FI】
   B60L11/18 C
   B60K6/20 380
   B60K6/20 330
   B60K6/42
   H02J7/00 301A
   B60L3/00 H
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-217461(P2012-217461)
(22)【出願日】2012年9月28日
(65)【公開番号】特開2014-72993(P2014-72993A)
(43)【公開日】2014年4月21日
【審査請求日】2015年7月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】特許業務法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】樋口 徹
【審査官】 武市 匡紘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−279833(JP,A)
【文献】 特開2010−081704(JP,A)
【文献】 実開平02−040933(JP,U)
【文献】 特開2005−176545(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/084350(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00−3/12
B60L 7/00−13/00
B60L 15/00−15/42
B60K 6/20−6/547
B60K 11/00−15/10
H02J 7/00−7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源から充電器を介して充電される車載バッテリを有する車両の前記充電器を冷却する冷却制御装置であって、
車体と開閉可能な扉とによって形成された空間に収容されて前記充電器を冷却する冷却ファンと、
前記扉の開閉を検出する扉開閉検出部と、
前記充電器を介した前記車載バッテリの充電中でありかつ、前記扉開閉検出部が扉が閉状態から開状態になったことを検出した時に前記冷却ファンを駆動している状態にするファン制御部と、
を有することを特徴とする冷却制御装置。
【請求項2】
前記ファン制御部は、前記冷却ファンを駆動している状態にすることとして、停止している冷却ファンの駆動を開始させることを特徴とする請求項に記載の冷却制御装置。
【請求項3】
前記ファン制御部は、前記冷却ファンを駆動している状態にすることとして、前記冷却ファンを予め設定されている回転速度よりも低い回転速度で駆動することを特徴とする請求項1又は2に記載の冷却制御装置。
【請求項4】
前記充電器の温度を検出する温度検出部をさらに有し、
前記ファン制御部は、前記冷却ファンを前記低い回転速度で駆動しているときに前記温度検出部が検出した温度が予め設定している温度よりも高くなった場合には前記冷却ファンの回転速度を増加させることを特徴とする請求項に記載の冷却制御装置。
【請求項5】
前記ファン制御部は、前記扉開閉検出部が扉が閉状態から開状態になったことを検出した後、前記冷却ファンが駆動している状態を周期的に変えることを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載の冷却制御装置。
【請求項6】
外部電源から充電器を介して充電される車載バッテリを有する車両の前記充電器を冷却する冷却制御装置であって、
車体と開閉可能な扉とによって形成された空間に収容されて前記充電器を冷却する冷却ファンと、
前記扉の開閉を検出する扉開閉検出部と、
前記扉開閉検出部が扉が閉状態から開状態になったことを検出した時に前記冷却ファンを駆動している状態にすることとして、停止している冷却ファンの駆動を開始させるファン制御部と、を有することを特徴とする冷却制御装置。
【請求項7】
外部電源から充電器を介して充電される車載バッテリを有する車両の前記充電器を冷却する冷却制御装置であって、
車体と開閉可能な扉とによって形成された空間に収容されて前記充電器を冷却する冷却ファンと、
前記扉の開閉を検出する扉開閉検出部と、
前記扉開閉検出部が扉が閉状態から開状態になったことを検出した時に前記冷却ファンを駆動している状態にすることとして、前記冷却ファンを予め設定されている回転速度よりも低い回転速度で駆動するファン制御部と、を有することを特徴とする冷却制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載バッテリを充電する充電器を冷却する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
プラグインハイブリッド自動車及びプラグイン電気自動車は、車両を駆動するモータに電力を供給する電力源として、充放電可能なバッテリを搭載している。
そして、このバッテリに家庭用電源等の外部電源から充電器を介して充電を行えるプラグインハイブリッド自動車及びプラグイン電気自動車が実用化に向けて開発されている。
【0003】
このような自動車では、車体と開閉可能な扉とによって形成されたボンネットルームなどの空間に充電器を冷却するための冷却ファンが収容される。
このような技術に関して、特許文献1には、充電器と冷却ファンとが収容された空間の扉が開状態の時に、冷却ファンを停止するとともに、充電器の温度を基にバッテリを充電したりその充電を停止したりする充電制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−81704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、充電中に冷却ファンが停止状態になると、充電器の冷却が十分に行えないために充電器の温度が上昇して充電に要する時間が長くなる恐れがある。また、充電器の温度上昇によって充電が途中で中止される恐れがある。
本発明の目的は、扉が開状態になったことに起因して、充電に要する時間が長くなったり、充電が途中で中止されたりしてしまうのを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、(1)本発明の一態様は、外部電源から充電器を介して充電される車載バッテリを有する車両の前記充電器を冷却する冷却制御装置であって、車体と開閉可能な扉とによって形成された空間に収容されて前記充電器を冷却する冷却ファンと、前記扉の開閉を検出する扉開閉検出部と、前記扉開閉検出部が扉が閉状態から開状態になったことを検出した時に前記冷却ファンを駆動している状態にするファン制御部と、を有することを特徴とする冷却制御装置を提供する。
【0007】
(2)本発明の一態様では、前記ファン制御部は、前記充電器を介した前記車載バッテリの充電中でありかつ前記扉開閉検出部が扉が閉状態から開状態になったことを検出した時に前記冷却ファンを駆動している状態にすることが好ましい。
【0008】
(3)本発明の一態様では、前記ファン制御部は、前記冷却ファンを駆動している状態にすることとして、停止している冷却ファンの駆動を開始させることが好ましい。
【0009】
(4)本発明の一態様では、前記ファン制御部は、前記冷却ファンを駆動している状態にすることとして、前記冷却ファンを予め設定されている回転速度よりも低い回転速度で駆動することが好ましい。
【0010】
(5)本発明の一態様では、前記充電器の温度を検出する温度検出部をさらに有し、前記ファン制御部は、前記冷却ファンを前記低い回転速度で駆動しているときに前記温度検出部が検出した温度が予め設定している温度よりも高くなった場合には前記冷却ファンの回転速度を増加させることが好ましい。
【0011】
(6)本発明の一態様では、前記ファン制御部は、前記冷却ファンを駆動している状態にすることとして、前記扉開閉検出部が扉が閉状態から開状態になったことを検出する以前から既に駆動している冷却ファンのその駆動している状態を変えることが好ましい。
【0012】
(7)本発明の一態様では、前記ファン制御部は、前記扉開閉検出部が扉が閉状態から開状態になったことを検出した後、前記冷却ファンが駆動している状態を周期的に変えることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
(1)の態様の発明によれば、扉が閉状態から開状態になった時に冷却ファンを駆動している状態にできるため、扉が閉状態から開状態になっても冷却ファンによって車載バッテリを冷却できる。これによって、(1)の態様の発明では、充電中の充電器の冷却が十分に行えないために充電に要する時間が長くなってしまうといったことを防止できる。さらに、(1)の態様の発明では、充電器の温度上昇によって充電が途中で停止してしまうようなことを防止できる。また、(1)の態様の発明では、充電器の温度上昇を抑制できるために充電を一時停止したり単位時間当たりの充電量を低下させたりすることがないため、充電時間を短縮できる。
【0014】
また、(1)の態様の発明によれば、扉が閉状態から開状態になった時に冷却ファンを駆動している状態にできるため、扉が開状態になった時に冷却ファンの駆動音によって冷却ファンが駆動中であることを使用者に知らせることができる。これによって、(1)の態様の発明では、冷却ファンの駆動状態を使用者に知らせる報知専用の機器を必要としない。
【0015】
また、(1)の態様の発明によれば、扉が閉状態から開状態になった時に冷却ファンを駆動している状態にできるため、扉が開状態になっているときに使用者が予期しないタイミングで冷却ファンが駆動を開始することを避けることができる。
【0016】
(2)の態様の発明によれば、既に車載バッテリが充電中であることで扉が閉状態から開状態になった後に冷却ファンが駆動を開始してしまう可能性が高くなっているような場合に、扉が閉状態から開状態になった時から冷却ファンを駆動しておくことができる。
【0017】
(3)の態様の発明によれば、冷却ファンが停止している場合には当該冷却ファンを駆動させることができる。
【0018】
(4)の態様の発明によれば、冷却ファンの回転速度を通常の回転速度よりも低くできるため、冷却ファンによる電力消費を抑えることができる。
【0019】
(5)の態様の発明によれば、充電器の温度が上昇した場合には冷却ファンの回転速度を増加させることで、充電器の温度上昇を抑制して充電器を保護できる。
【0020】
(6)の態様の発明によれば、扉が閉状態から開状態になった時に冷却ファンの駆動している状態を変えることで、扉が閉状態から開状態になった時に、冷却ファンの駆動音の変化によって冷却ファンが駆動中であることを使用者に知らせることができる。
【0021】
(7)の態様の発明によれば、扉が閉状態から開状態になった後、冷却ファンが駆動している状態を周期的に変えることで、扉が開状態になっている間、冷却ファンの駆動音の変化によって冷却ファンが駆動中であることを使用者に知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施形態に係るプラグイン電気自動車の構成例を示す図である。
図2】冷却システムの構成例を示す図である。
図3】ECU(Electronic Control Unit)の構成例を示すブロック図である。
図4】冷却ファンの駆動及び充電の実施状態を制御するための処理例の一部を示すフローチャートである。
図5】冷却ファンの駆動及び充電の実施状態を制御するための処理例の他の一部を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、プラグイン電気自動車を挙げている。
(構成)
図1には、プラグイン電気自動車(以下、単に車両という。)1の構成例(主に車両の充電システムの構成例)を示す。
【0024】
図1に示すように、車両1は、バッテリ2、インバータ3、モータ4、充電器5、及びECU(Electronic Control Unit)20を有している。ここで、バッテリ2は、駆動輪6を駆動するモータ4に電力を供給する電力源であり、充放電可能なバッテリである。インバータ3は、このバッテリ2から供給される電力によってモータ4を駆動する。また、充電器5は、家庭用電源等の外部電源7からの供給電力によってこのバッテリ2を充電する。この充電器5は、ECU20によって制御される。
【0025】
また、図2には、車両1における充電器5の冷却システム10の構成例を示す。
図2に示すように、冷却システム10は、ラジエタ11、冷却ファン12、ポンプ13、扉開閉センサ14、及び温度センサ15を有している。
ここで、ラジエタ11は、冷却水の循環路16によって充電器5と接続されている。また、冷却ファン12は、このラジエタ11を冷却することで当該ラジエタ11内を流れる冷却水を冷却する。この冷却ファン12は、電動ファンであり、不図示の駆動用モータによって駆動状態が調整される。ここで、駆動用モータは、ECU20によって制御される。また、ポンプ13は、循環路16内で冷却水を循環させるためのものである。本実施形態では、ポンプ13は、冷却水が図2に示す矢印Aに示す方向に流れるように循環路16に設けられている。このポンプ13は、ECU20によって制御される。
【0026】
そして、このような構成(すなわち、冷却ファン12を含む構成)は、車体と開閉可能な扉17とによって形成された空間に収容されている。また、充電器5は、冷却ファン12が収容された空間と同一空間に収容されていても良いし、冷却ファン12が収容された空間とは別の空間に収容されていても良い。扉開閉センサ14は、その扉17の開閉状態を検出する。そして、扉開閉センサ14は、検出値をECU20に出力する。また、温度センサ15は、循環路16内を循環する冷却水の温度を検出する。本実施形態では、温度センサ15は、循環路16における充電器5の出口側に配置されて冷却水の温度を検出する。この温度センサ15は、冷却水の温度を検出することで充電器5の温度を検出している。そして、温度センサ15は、検出値をECU20に出力する。
【0027】
ECU20は、車両1における各種制御を行う。このECU20は、例えば、マイクロコンピュータ及びその周辺回路を有している。例えば、ECU20は、CPU、ROM、RAM等によって構成されている。ROMには、1又は2以上のプログラムが格納されている。CPUは、ROMに格納されている1又は2以上のプログラムに従って各種処理を実行する。
【0028】
図3には、このECU20の構成例を示す。
図3に示すように、ECU20は、充電制御部21、充電開始要求判定部22、ファン制御部23、ファン駆動状態判定部24、扉開閉判定部25、及び冷却水温度判定部26を有している。
【0029】
また、図4及び図5には、冷却ファン12の駆動及び充電の実施状態を制御するための処理例のフローチャートを示す。この図4及び図5に示す処理は、所定の時間間隔で繰り返し実行される。以下に、この図4及び図5に示す処理手順に沿って、図3に示すECU20の各部の処理内容を具体的に説明する。
【0030】
図4に示すように、先ず、ステップS1では、充電開始要求判定部22は、充電開始要求が有るか否かを判定する。充電開始要求判定部22は、充電開始要求が有ると判定すると、ステップS2に進む。また、充電開始要求判定部22は、充電開始要求が無いと判定すると、すなわち、既に充電を開始している場合、ステップS9に進む。
【0031】
ステップS2では、扉開閉判定部25は、扉開閉センサ14の検出信号を基に扉17が閉状態であるか否かを判定する。扉開閉判定部25は、扉17が閉状態であると判定すると、ステップS3に進む。扉開閉判定部25は、扉17が閉状態でないと判定すると、すなわち、扉17が開いている場合、ステップS7に進む。
【0032】
ステップS3では、扉開閉判定部25は、扉17の前回の開閉状態が閉状態であるとの設定(又は登録)を行う。
次に、ステップS4では、冷却水温度判定部26は、温度センサ15の検出値を基に冷却水温度Tが温度判定用しきい値Tthよりも大きいか否かを判定する。これは、冷却水温度Tが温度判定用しきい値Tthよりも大きいか否かを判定することで、充電器5の温度が充電器温度判定用しきい値よりも大きいか否かを判定している。ここで、温度判定用しきい値Tthは、予め設定されている値である。温度判定用しきい値Tthは、例えば、実験的、経験的、又は理論的に設定されている。冷却水温度判定部26は、冷却水温度Tが温度判定用しきい値Tthよりも大きいと判定すると、ステップS5に進む。また、冷却水温度判定部26は、冷却水温度Tが温度判定用しきい値Tth以下であると判定すると、ステップS6に進む。
【0033】
ステップS5では、ファン制御部23は、高回転速度で冷却ファン12を駆動する。ここで、高回転速度は、充電器5を十分に冷却できる程度の回転速度である。そして、ファン制御部23は、充電器5の温度(又は冷却水温度)に応じて回転速度を制御する。また、ステップS5では、充電制御部21は、充電器5を駆動して充電を実施する。そして、当該図4に示す処理が終了する。
【0034】
また、ステップS6では、ファン制御部23は、冷却ファン12を駆動しない(すなわち、冷却ファン12を停止させたままにする)。また、ステップS6では、充電制御部21は、充電器5を駆動して充電を実施する。そして、当該図4に示す処理が終了する。
ステップS7では、扉開閉判定部25は、扉17の前回の開閉状態が開状態であるとの設定(又は登録)を行う。
【0035】
次に、ステップS8では、ファン制御部23は、冷却ファン12を駆動しない(すなわち、冷却ファン12を停止させたままにする)。また、ステップS8では、充電制御部21は、充電器5を駆動して充電を実施する。そして、当該図4に示す処理が終了する。
また、ステップS9では、扉開閉判定部25は、扉開閉センサ14の検出信号を基に扉17が閉状態であるか否かを判定する。扉開閉判定部25は、扉17が閉状態であると判定すると、ステップS10に進む。扉開閉判定部25は、扉17が閉状態でないと判定すると、すなわち、扉17が開いている場合、図5に示すステップS14に進む。
【0036】
ステップS10では、扉開閉判定部25は、扉17の前回の開閉状態が閉状態であるとの設定(又は登録)を行う。
次に、ステップS11では、冷却水温度判定部26は、温度センサ15の検出値を基に冷却水温度Tが温度判定用しきい値Tthよりも大きいか否かを判定する。冷却水温度判定部26は、冷却水温度Tが温度判定用しきい値Tthよりも大きいと判定すると、ステップS12に進む。また、冷却水温度判定部26は、冷却水温度Tが温度判定用しきい値Tth以下であると判定すると、ステップS13に進む。
【0037】
ステップS12では、ファン制御部23は、高回転速度で冷却ファン12を駆動する。また、ステップS12では、充電制御部21は、充電器5を駆動して充電を実施する。そして、当該図4に示す処理が終了する。
また、ステップS13では、ファン制御部23は、冷却ファン12を駆動しない(すなわち、冷却ファン12を停止させたままにする)。また、ステップS13では、充電制御部21は、充電器5を駆動して充電を実施する。そして、当該図4に示す処理が終了する。
【0038】
図5に示すステップS14では、扉開閉判定部25は、先になされている扉開閉状態の設定情報又は登録情報を基に、扉17の前回(すなわち、前回処理時)の開閉状態が閉状態であるとの設定(又は登録)がなされているか否かを判定する。扉開閉判定部25は、扉17の前回の開閉状態が閉状態であるとの設定(又は登録)がなされているとの判定をすると、ステップS15に進む。また、扉開閉判定部25は、扉17の前回の開閉状態が閉状態であるとの設定(又は登録)がなされていないとの判定をすると、すなわち、扉17の前回の開閉状態が開状態の場合、ステップS19に進む。
【0039】
ステップS15では、扉開閉判定部25は、扉17の前回の開閉状態が開状態であるとの設定(又は登録)を行う。
次に、ステップS16では、ファン駆動状態判定部24は、冷却ファン12が駆動中であるか否かを判定する。ファン駆動状態判定部24は、冷却ファン12が駆動中であると判定すると、ステップS17に進む。また、ファン駆動状態判定部24は、冷却ファン12が駆動中でないと判定すると、ステップS18に進む。
【0040】
ステップS17では、ファン制御部23は、回転速度を切り換えて冷却ファン12を駆動する。ここで、ファン制御部23は、回転速度を切り換えることとして、回転速度を増加させる又は回転速度を減少させる。また、ステップS17では、充電制御部21は、充電器5を駆動して充電を実施する。そして、図4及び図5に示す処理が終了する。
【0041】
また、ステップS18では、ファン制御部23は、低回転速度で冷却ファン12を駆動する。ここで、ファン制御部23は、通常の冷却制御用回転速度よりも低い回転速度で冷却ファン12を駆動する。また、通常の冷却制御用回転速度は、予め設定されている回転速度である。例えば、通常の冷却制御用回転速度は、充電器5を冷却するために最低限必要とされる回転速度である。この場合、ステップS18では、ファン制御部23は、充電器5を冷却する目的としてではなく、使用者に冷却ファン12が駆動していることを知らせることを目的して、当該冷却ファン12を駆動することになる。また、ステップS18では、充電制御部21は、充電器5を駆動して充電を実施する。そして、図4及び図5に示す処理が終了する。
【0042】
また、ステップS19では、扉開閉判定部25は、扉17の前回の開閉状態が開状態であるとの設定(又は登録)を行う。
次に、ステップS20では、冷却水温度判定部26は、温度センサ15の検出値を基に冷却水温度Tが温度判定用しきい値Tthよりも大きいか否かを判定する。冷却水温度判定部26は、冷却水温度Tが温度判定用しきい値Tthよりも大きいと判定すると、ステップS21に進む。また、冷却水温度判定部26は、冷却水温度Tが温度判定用しきい値Tth以下であると判定すると、ステップS22に進む。
【0043】
ステップS21では、ファン制御部23は、高回転速度で冷却ファン12を駆動する。また、ステップS21では、充電制御部21は、充電器5を駆動して充電を実施する。そして、図4及び図5に示す処理が終了する。
また、ステップS22では、ファン制御部23は、低回転速度で冷却ファン12を駆動する。また、ステップS22では、充電制御部21は、充電器5を駆動して充電を実施する。そして、図4及び図5に示す処理が終了する。
図4及び図5に示す処理は以上のような内容になる。
【0044】
(動作、作用等)
次に、車両1における動作、及びその作用等の一例について説明する。
車両1は、充電開始要求が有った場合において、扉17が閉状態であり、かつ冷却水温度Tが温度判定用しきい値Tthよりも高いときには、高回転速度で冷却ファン12の駆動を開始させるとともに充電の開始させる(前記ステップS1乃至前記ステップS5)。
【0045】
しかし、車両1は、充電開始要求が有った場合において、扉17が閉状態であっても、冷却水温度Tが温度判定用しきい値Tth以下であるときには、冷却ファン12の駆動を開始させることなく充電だけを開始させる(前記ステップS1乃至前記ステップS4、前記ステップS6)。
【0046】
また、車両1は、充電開始要求が有った場合において、既に扉17が開状態であるときにも、冷却ファン12の駆動を開始させることなく充電だけを開始させる(前記ステップS1、前記ステップS2、前記ステップS8)。
また、車両1は、既に充電を開始している場合において、扉17が閉状態であり、かつ冷却水温度Tが温度判定用しきい値Tthよりも高いときには、高回転速度で冷却ファン12の駆動を開始させるとともに充電を開始させる(前記ステップS1、前記ステップS9乃至前記ステップS12)。
【0047】
しかし、車両1は、既に充電を開始している場合において、扉17が閉状態であっても、冷却水温度Tが温度判定用しきい値Tth以下であるときには、冷却ファン12の駆動を開始させることなく充電だけを開始させる(前記ステップS1、前記ステップS9乃至前記ステップS11、前記ステップS13)。
また、車両1は、既に充電を開始している場合において、扉17が前回処理時の閉状態から今回処理時に開状態となり(すなわち、扉17が閉状態から開状態になった時であり)、冷却ファン12が駆動中であるときには、冷却ファン12の回転速度を変えるとともに充電を継続する(前記ステップS1、前記ステップS9、前記ステップS14乃至前記ステップS17)。
【0048】
しかし、車両1は、既に充電を開始している場合において、扉17が前回処理時の閉状態から今回処理時に開状態となっても、冷却ファン12が駆動中でないときには、低回転速度で冷却ファン12の駆動を開始させるとともに充電を継続する(前記ステップS1、前記ステップS9、前記ステップS14乃至前記ステップS16、前記ステップS18)。
【0049】
また、車両1は、既に充電を開始している場合において、扉17が前回処理時も今回処理時も開状態であり(すなわち、扉17が開状態に維持されている時であり)、冷却水温度Tが温度判定用しきい値Tthよりも高いときには、高回転速度で冷却ファン12を駆動するとともに充電を継続する(前記ステップS1、前記ステップS9、前記ステップS14、前記ステップS19乃至前記ステップS21)。これによって、車両1は、扉17が開状態になった時から低回転速度で冷却ファン12を駆動し続けている場合に、冷却水温度Tが温度判定用しきい値Tthよりも高くなったときには、冷却ファン12の回転速度を高回転速度に切り換えるようになる。これは、扉17が開状態になった時には、低回転速度で冷却ファン12の駆動を開始することで、電力消費を抑えつつ使用者に冷却ファン12が駆動中であることを報知していたが、その後、冷却水温度Tが温度判定用しきい値Tthよりも高くなったことで、高回転速度(すなわち、冷却ファン12の冷却用の回転速度)で冷却ファン12を駆動して充電器5を冷却しなければならなくなったためである。
【0050】
一方、車両1は、既に充電を開始している場合において、扉17が前回処理時も今回処理時も開状態であり、冷却水温度Tが温度判定用しきい値Tth以下であるときには、低回転速度で冷却ファン12を駆動するとともに充電を継続する(前記ステップS1、前記ステップS9、前記ステップS14、前記ステップS19、前記ステップS20、前記ステップS22)。
【0051】
なお、前述の実施形態の説明では、冷却システム10は、例えば、冷却制御装置を構成する。また、扉開閉センサ14は、例えば、扉開閉検出部を構成する。
(本実施形態の変形例等)
本実施形態では、ファン制御部23は、充電が実施中であるか否かにかかわらず、扉17が閉状態から開状態になった場合には、冷却ファン12を駆動している状態にしても良い。
【0052】
また、本実施形態では、ファン制御部23は、扉17が閉状態から開状態になった後、冷却ファン12が駆動している状態を周期的に変えても良い。例えば、ファン制御部23は、冷却ファン12の回転速度を周期的に切り換える。
また、本実施形態では、プラグイン電気自動車を挙げて説明している。しかし、本実施形態は、これに限定されない。例えば、本実施形態は、プラグインハイブリッド自動車にも適用できる。
【0053】
また、本発明の実施形態を具体的に説明したが、本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらすすべての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、請求項1により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、すべての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。
【符号の説明】
【0054】
1 車両、2 バッテリ、4 モータ、5 充電器、10 冷却システム、12 冷却ファン、14 扉開閉センサ、15 温度センサ、20 ECU、21 充電制御部、22 充電開始要求判定部、23 ファン制御部、24 ファン駆動状態判定部、25 扉開閉判定部、26 冷却水温度判定部
図1
図2
図3
図4
図5