(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、この発明を実施するための形態(以下「実施の形態」という)について添付の図面を参照しながら説明する。
【0031】
[実施の形態1]
図1から
図3は、実施の形態1に係る送風対象構造物の一例としての帯電装置を用いた画像形成装置を示すものである。
図1はその画像形成装置の概要を示し、
図2はその画像形成装置における帯電装置を示す、
図3は帯電装置の一部を示している。
【0032】
<画像形成装置(帯電装置を含む)の構成>
画像形成装置1は、
図1に示すように、支持フレーム、外装カバー等で構成される筐体10の内部空間に、現像剤としてのトナーで構成されるトナー像を形成して被記録材の一例としての用紙9に転写する作像ユニット20と、作像ユニット20に供給する用紙9を収容するとともに搬送する給紙装置30と、作像ユニット20で形成されたトナー像を用紙9に定着する定着装置35を設置している。実施の形態1では、作像ユニット20として1つのみで構成されるものを例示しているが、作像ユニットについては複数の作像ユニットで構成されるものであってもよい。
【0033】
上記作像ユニット20は、例えば公知の電子写真方式を利用して構成されるものであり、矢印Aで示す方向(図中において時計回りの方向)に回転駆動する感光体ドラム21と、感光体ドラム21の像形成領域となる周面を所要の電位に帯電させる帯電装置4と、帯電後の感光体ドラム21の表面に外部から入力される画像情報(信号)に基づく光(矢付き点線)を照射して電位差のある静電潜像を形成する露光装置23と、その静電潜像をトナーによりトナー像に現像する現像装置24と、そのトナー像を用紙9に転写する転写装置25と、転写後の感光体ドラム21の表面に残留するトナー等を除去する清掃装置26とで主に構成されている。
【0034】
このうち帯電装置4としては、コロナ放電器が使用されている。このコロナ放電器からなる帯電装置4は、
図2等に示すように、長方形状の天板40aとその天板40aの長手方向Bに沿って延びる長辺部から下方に垂れ下がった状態の側板40b,40cを有した外観形状からなる包囲部材の一例としてのシールドケース40と、シールドケース40の長手方向Bにおける両端部(短辺部)にそれぞれ取り付けられる図示しない2つの端部支持体と、この2つの端部支持体の間に、シールドケース40の内部空間を通過してほぼ直線状に張り渡した状態で取り付けられる2本のコロナ放電ワイヤ41A,41Bと、シールドケース40の下部開口部(放電開口部)に、その下部開口部を覆ってコロナ放電ワイヤ41と感光体ドラム21の周面との間に存在した状態で取り付けられる格子状のグリッド電極(電界調整板)42とを備えている、いわゆるスコロトロン型のコロナ放電器で構成されている。
図4等に示す符号40dは、2本のコロナ放電ワイヤ41A,41Bが配置される空間をシールドケース40の長手方向Bに沿って区切る隔壁である。
【0035】
また、帯電装置4は、2本のコロナ放電ワイヤ41A,41Bが、感光体ドラム21の周面と所要の間隔(例えば放電ギャップ)をあけて対向する状態でかつ感光体ドラム21の回転軸の方向に沿ってその像形成対象領域に少なくとも存在する状態になるようそれぞれ配置されている。また、帯電装置4は、画像形成時になると、図示しない電源装置から各放電ワイヤ41A,41B(と感光体ドラム21との間)に帯電用の電圧がそれぞれ印加されるようになっている。
【0036】
給紙装置30は、画像の形成に使用する所要のサイズ、種類等からなる複数枚の用紙9を積み重ねた状態で収容する、トレイ形式、カセット形式等の用紙収容体31と、その用紙収容体31に収容される用紙9を1枚ずつ搬送路にむけて送り出す送出装置32とを備え、給紙の時期が到来すると、用紙9を1枚ずつ送り出すようになっている。用紙収容体31は、利用態様に応じて複数装備される。
図1における矢付きの一点鎖線は、用紙9が主に搬送されて通過する搬送路を示す。この用紙の搬送路は、複数の用紙搬送ロール対33a,33bや、図示しない搬送ガイド部材等で構成されている。
【0037】
定着装置35は、用紙9が通過する導入口及び排出口が形成された筐体36の内部に、表面温度が加熱手段により所要の温度に加熱されて保持されるロール形態、ベルト形態等の加熱回転体37と、この加熱回転体37の軸方向にほぼ沿うように所要の圧力で接触して従動回転するロール形態、ベルト形態等の加圧回転体38とを備えている。この定着装置35は、その加熱回転体37と加圧回転体38とが接触して形成される接触部(定着処理部)に、トナー像が転写された後の用紙9を導入して通過させることで定着を行う。
【0038】
この画像形成装置1による画像形成は、次のようにして行われる。ここでは、用紙9の片面に画像を形成するときの基本的な画像形成動作を例に挙げて説明する。
【0039】
画像形成装置1では、その制御装置等が画像形成動作の開始指令を受けると、作像ユニット20において、回転始動する感光体ドラム21の周面が帯電装置4により所定の極性及び電位に帯電される。このとき、帯電装置4では、2本のコロナ放電ワイヤ41A,41Bに帯電用の電圧がそれぞれ印加されて各放電ワイヤ41A,41Bと感光体ドラム21の周面との間に電界を形成した状態でコロナ放電を発生させ、これにより感光体ドラム21の周面を所要の電位に帯電させる。この際、感光体ドラム21の帯電電位はグリッド電極42により調整される。
【0040】
続いて、帯電された感光体ドラム21の周面に対して、露光装置23から画像情報に基づく露光が行われて所要の電位差で構成される静電潜像が形成される。しかる後、感光体ドラム21に形成された静電潜像が、現像装置24を通過する際に、その現像ロール24aから供給される所要の極性に帯電された状態のトナーにより現像されてトナー像として顕像化される。
【0041】
次いで、感光体ドラム21上に形成されたトナー像は、感光体ドラム21の回転により転写装置25と対向する転写位置まで搬送されると、このタイミングに合わせて給紙装置30から搬送路を通して供給される用紙9に対して転写装置25により転写される。この転写後の各感光体ドラム21の周面は、清掃装置26で清掃される。
【0042】
続いて、作像ユニット2においてトナー像が転写された用紙9は、感光体ドラム21から剥離された後に定着装置35に導入されるように搬送され、定着装置35における加熱回転体37と加圧回転体38との接触部を通過する際に加圧下で加熱されてトナー像が溶融して用紙9に定着される。この定着が終了した後の用紙9は、定着装置35から排出されて筐体10の外部等に形成される図示しない排紙収容部等に搬送されて収容される。
【0043】
以上により、1枚の用紙9の片面に対して1色のトナーで構成される単色画像が形成され、基本的な画像形成動作が終了する。複数枚の画像形成動作の指示がある場合には、上記した一連の動作がその枚数分だけ同様に繰り返されることになる。
【0044】
<送風装置の構成>
また、この画像形成装置1においては、帯電装置4の使用に伴い、そのコロナ放電ワイヤ41やグリッド電極42に、用紙9の紙粉、コロナ放電により生成される放電生成物、トナーの外添剤等の物質(不要物)が付着して汚染されることでコロナ放電が十分に又は均一に行われなくなって帯電むら等の帯電不良が発生することがある。
【0045】
このため、画像形成装置1では、
図1や
図4等に示されるように、帯電装置4に対し、その放電ワイヤ41及びグリッド電極42に不要物が付着することを防止又は抑制する目的で、シールドケース40の内部空間(放電ワイヤ41とグリッド電極42に対して)空気を突きつけるための送風装置5を併設している。また、帯電装置4では、
図2、
図3等に示されるように、そのシールドケース40の上面40aに、送風装置5からの空気を取り入れるための開口部43を形成している。
【0046】
送風装置5は、
図4等に示されるように、空気を送る回転ファンを有する送風機50と、その送風機50から送られる空気を取り入れて送風対象の帯電装置4にまで導いて排出させる送風ダクト51とを備えている。
【0047】
送風機50としては、例えば輻流型の送風ファンが使用され、所要の風量の空気を送るように駆動制御される。また、送風ダクト51は、
図4〜
図7に示されるように、送風機50から送られる空気を取り入れる入口52と、その入口52から取り入れた空気を吹きつけるべき長尺な帯電装置4の長手方向Bの部分(シールドケース40の上面40a又はその開口部43)と向き合う状態で配置されてその空気を長手方向Bと直交する方向に沿って流れるように出す出口53と、その入口52と出口53の間をつないで空気を流すための通路空間TSが形成された通路部54とを有した形状のものである。
【0048】
送風ダクト51の通路部54は、一端部が入口52を設けて開口され、他端部が閉鎖されており、全体が帯電装置4の長手方向Bに沿って延びるように形成された角筒形状の導入通路部54Aと、導入通路部54Aの他端部寄りの部位から通路空間の幅を広げた状態でほぼ水平方向(座標軸Xとほぼ平行する方向)にほぼ直角に曲げられて延びるように形成された角筒形状の第1曲げ通路部54Bと、第1曲げ通路部54Bの一端部から通路空間の幅が同じ状態のままで帯電装置4に近づけるよう下方に向かう鉛直方向(座標軸Yとほぼ平行する方向)に最終的に曲げられて延びるように形成された第2曲げ通路部54Cとで構成されている。第2曲げ通路部54Cの終端部には、その終端部の通路空間の断面形状よりも少し狭い開口形状からなる出口53が形成されている(ただし長方形状の長手方向の長さはほぼ同じである。)。第1曲げ通路部54B及び第2曲げ通路部54Cの通路空間TSはいずれも、その幅(長手方向Bに沿う寸法)がほぼ同じ寸法に設定されている。
【0049】
送風ダクト51の入口52は、開口形状がほぼ正方形になるよう形成されている。この入口52には、送風機50との間を接続して送風機50からの空気を送風ダクト51の入口52にまで送るための接続ダクト55が取り付けられている(
図6)。また、送風ダクト51の出口53は、その開口形状が帯電装置4の長手方向Bの部分と平行する長尺な形状(例えば長方形)になるよう形成されている。このため、送風ダクト51は、入口52と出口53とが互いに異なる開口形状で形成されている関係になっている。なお、入口52と出口53が同じ形状である場合も、その開口面積が互いに異なるよう形成されているとき(相似形状であるとき)には、互いに異なる開口形状で形成されている関係に含まれる。また、帯電装置4におけるシールドケース40の開口部43は、送風ダクト51の出口53の形状にほぼ対応するよう、その開口形状が出口53の長手方向と同じ方向に長い長方形で形成されている。
【0050】
ここで、このように入口52と出口53とが互いに異なる開口形状で形成されている送風ダクト51では、その入口52と出口53の間をつなぐ通路部54に通路空間TSの断面形状が途中で変更される部分が存在する。ちなみに、この送風ダクト51では、導入通路部54Aのほぼ正方形からなる通路空間TS1の断面形状が、第1曲げ通路部54Bにおいて(高さがかわらず)水平方向のみに広がった長方形からなる通路空間TS2の断面形状に変更されている。換言すれば、導入通路部54Aの通路空間TS1の断面形状は、第1曲げ通路部54Bにおいて急激に広くなった通路空間TS2の断面形状に変更されている。
【0051】
また、このような通路空間TSの断面形状が変化する部分が存在する送風ダクト51の場合は、その断面形状が変化する部分において空気の流れに剥離や渦等の乱れが生じ、このため入口52から均一な風速の空気を取り入れても出口53から出る空気はその風速が不均一になってしまう傾向がある。ただし、このように出口から出る空気の風速が最終的に不均一になる傾向は、通路空間TSにおける断面形状の変化の有無にかかわらず、送風ダクト51における空気を流す(進行)方向が変化する場合もほぼ同様に発生する。
【0052】
図15a〜cは、入口52と出口53とが互いに異なる開口形状で形成されている送風ダクトの代表例510A〜510Cを示すものであり、図中にはその各ダクド510における入口52に取り入れる空気の風速と出口53から出る空気の風速の各状態を矢印の長さでそれぞれ示している。
図15においては、各送風ダクト510をその上面側から見た状態で示している。また、図中において矢印の長さが同じ場合は風速が同じであることを示し、その長さが異なる場合は風速が異なっていることを示している。さらに、図中の点線は各ダクトの通路空間(を形成する側壁部)を示している。ちなみに、送風ダクト510B、510Cは、その空気を流す方向が途中で変更されているとともに通路空間の断面形状及び断面面積の少なくとも一方が変更されている構成例でもある。この他、
図15dに示す送風ダクト510Dは、入口52と出口53とが互いに同じ開口形状(かつ同じ開口面積)で形成されている構成例であり、その通気を流す方向のみが途中で変更されているダクトである。
【0053】
このような事情を踏まえて、この送風装置5では、送風ダクト51として、
図4〜
図7等に示すように、通路部54の通路空間TSの空気を流す方向(符合Eで示す矢印の方向)における異なる部位に空気の流れを抑制する2つの抑制部61,62を設けている。2つの抑制部のうち抑制部62は、通路部54の末端になる出口53に設けられる出口抑制部(最下流の抑制部)であり、もう1つの抑制部61は、通路部54の通路空間TSのうち出口流抑制部62よりも空気を流す方向の上流側の最初に位置する部位に設けられる上流側の抑制部である。
【0054】
上流側の抑制部61は、第1曲げ通路部54Bの通路空間TS2のうち空気を流す方向のほぼ中間の位置に設けられている。この上流側の抑制部61は、その通路空間TS2の一部を出口53の開口形状の長手方向(帯電装置4の長手方向Bと同じ方向)と平行する方向に沿った状態で遮断するとともに、その出口53の開口形状の長手方向に延びる形状の隙間63を有する形態で構成されている。
【0055】
実施の形態1における上流側の抑制部61は、第1曲げ通路部54Bの外形を変更せずに、その曲げ通路部54Bの通路空間TS2内に板状の仕切り部材64を存在させることで構成されている。具体的には、仕切り部材64は、第1曲げ通路部54Bの通路空間TS2における上方側の空間部分を塞ぎ、その仕切り部材の下端部64aが通路空間TS2の底部(内壁)55に対して所要の間隔(高さ)Hをあけた状態になるよう配置され、これにより、通路空間TS2の下部に隙間63が存在する構造を形成している。仕切り部材64は、ダクト51と同じ材料で一体に成形することで形成されるか、あるいはダクト51とは別の材料で形成される。
【0056】
隙間63の高さH,経路長M、及び幅(長手方向の長さ)Wは、導入通路部54Aから第1曲げ通路部54Bに流れ込んだ空気の風速を可能な限り均一化するという観点から選択設定され、またダクト51の寸法(容量)や、ダクト51又は帯電装置4に流すべき空気の単位時間当たりの流量なども考慮して設定される。例えば、隙間63の高さHについては、その幅Wの長手方向において同じ寸法である場合に限らず、上記観点などから一律に又は部分的に変更される寸法に設定することができる。
【0057】
一方、実施の形態1における出口抑制部62は、
図5、
図7等に示されるように、複数の通気部71を有する通気性部材70により、第2曲げ通路部54Cの終端(出口53)における通路空間(開口)を塞いだ状態にすることで形成されている。
【0058】
通気性部材70における複数の通気部71はいずれも、
図5、
図7等に示されるように、その各開口形状がほぼ円形で直線状に貫通するよう延びる貫通孔である。また、複数の通気部71は、例えば出口53の開口形状の長手方向(B)に沿って等間隔に並べかつその長手方向と直交する短手方向Cにも前記等間隔と同じ間隔で例えば4列存在させるように並べている。これにより、複数の通気孔71は、第2曲げ通路部54Cの終端部の通路空間又は出口53の開口形状の全域に点在して存在するように形成されている。このため、実施の形態1における通気性部材70は、板状の部材に複数の通気部(孔)71が点在するように形成された多孔板になっている。さらに、複数の通気部71は、出口53の開口領域に対してほぼ均一に点在して(ほぼ一定の密度で)存在するように形成されていることが好ましいが、出口53から出る空気がむらになって出ない限りは、わずかな粗密の状態になって存在するように形成されていても構わない。
【0059】
通気性部材70は、ダクト51と同じ材料で一体に成形することで形成したものでも、あるいはダクト51とは別の材料で形成したものでもよい。通気部(孔)71の開口形状、開口寸法、孔長さ、及び孔の存在密度については、第2曲げ通路部54Cから出口53を通して流れ出る空気の風速を可能な限り均一化するという観点から選択設定される。また、これらの値は、ダクト51の寸法(容量)や、ダクト51又は帯電装置4に流すべき空気の単位時間当たりの流量なども考慮して設定される。
【0060】
この送風装置5は、次のように作動する。
【0061】
送風装置5は、画像形成動作時などの駆動設定時期になると、まず送風機50が回転駆動して所要の風量の空気を送り出す。始動した送風機50から送られる空気(E)は、接続ダクト55を通して送風ダクト51の入口52から通路部54の通路空間TS内に取り入れられる。
【0062】
続いて、送風ダクト51に取り入れられた空気(E)は、
図6等に示されるように、導入通路部54Aの通路空間TS1を通して第1曲げ通路部54Bの通路空間TS2に流れ込むよう送られる(
図6の矢印E1a,E1b等を参照)。第1曲げ通路部54Bに送り込まれる空気(E1)は、上流側の抑制部61の隙間63を通過してその進行方向(空気の流れる方向)がほぼ直角の方向に変えられた状態になって進む。
【0063】
この際、上流側の抑制部61の隙間63を通過するときの空気(E1)は、
図8等に示されるように、その流れが第1上流抑制部61の隙間63で抑制され(圧力が上昇した状態になり)、その隙間63から均一な状態になって流れ出ようとする。しかも、抑制部61の隙間63を通過した後に第1曲げ通路部54Bの通路空間TS2に流れ込むときの空気(E2)は、その隙間63から流れ出るときの向きが出口53の長手方向(B)とほぼ直交する方向に揃えられる。なお、
図8では便宜上、後述する非通気性部材(45)の図示を省略している。
【0064】
続いて、第2曲げ通路部54Cの通路空間TS2に流れ込んだ空気(E2)は、導入通路部54Aの通路空間TSや隙間63の空間よりも容積の広い第2曲げ通路部54Cの通路空間TS2に流れ込むことにより、その第2曲げ通路部54Cの通路空間TS2内で旋回したような状態になって滞留し、その風速のむらが低減される。
【0065】
このとき上流側の抑制部61の隙間63を通過して通路空間54cに流れ込んだ空気(E2)の一部E2aは、隙間63の経路に沿ってほぼ直線的に進む。また、それ以外の空気E2bは、第2曲げ通路部54Cの通路空間TS内に拡散するように曲がった状態で進む。特に、送風ダクト51の入口52から導入される風量が相対的に多い場合には、隙間63から直線的に進む空気E2aの流れが他の空気E2bよりも強くなる。
【0066】
最後に、第2曲げ通路部54Cの通路空間TS2に流れ込んで滞留した空気(E2)は、
図8に示すように、その曲げ通路部54Cの終端である出口53に設けられた出口抑制部62を構成する通気性部材70における複数の通気部(孔)71を通過することで、出口53から進行方向が変えられた状態で吹き出される(矢印E3を参照)。
【0067】
この際、出口53から吹き出される空気(E3)は、出口53の開口面積よりも相対的に狭い通気性部材70における複数の通気部71を通過することで流れが抑制された状態になって(このときも圧力が上昇した状態になり)送り出される。
【0068】
出口抑制部62を通過して出口53から吹き出される空気(E3)は、その出口53の領域においてほぼ均一に点在するとともに同じ条件で形成された複数の通気部71を通過することで、均一な状態になって出口53から送り出される。また、出口53から吹き出される空気(E3)は、出口53の長手方向Bとほぼ直交する方向で帯電装置4に向かう方向に進行方向を変えて送り出される。
【0069】
以上により、出口抑制部62を通過して出口53から出る空気(E3)はいずれも、その進行方向が出口53の長手方向とほぼ直交する方向になって送り出されるとともに、その風速がほぼ揃った状態になる。また、出口53から出る空気(E3)の風速は、出口53の開口形状(長方形)の長手方向(B)においてほぼ揃った状態になることに加え、その短手方向Cにおいてもほぼ揃った状態になる。
【0070】
そして、この送風装置5における送風ダクト51の出口53から送り出された空気(E3)は、
図8に示すように、帯電装置4のシールドケース40の上面40aにおける開口部43を通してケース40内に吹き込まれるようにして流入する。
【0071】
<帯電装置の詳細な構成>
ところで、この送風装置5の送風ダクト51から排出される空気は、
図9に例示するように、その風速の分布が、送風ダクト51の出口53の長手方向Bに沿う領域のうち長手方向Bと直交する短手方向Cの少なくとも一端側(例えば、後述するpost側となる端部53a:
図8)に存在する端部領域から排出される空気の風速が、その出口の端部領域以外の領域から排出される空気の風速よりも相対的に速くなり、不均一な状態になる場合がある。
【0072】
このように送風ダクト51の出口53から排出される空気(E3)の風速が出口53の一端側の端部領域とそれ以外の端部領域の間で相対的に異なるのは、送風ダクト51の抑制部61の存在や第2曲げ通路部54Cの存在等の影響を受けることにより、例えば、
図8に例示されるように、前述したように第2曲げ通路部54Cの通路空間TS2に対して直線的に進んで流れ込む空気(E2a)が発生し、その空気(E2a)が曲げ通路部54Cの曲げ方向Kの外側に存在する内壁部分55bに衝突した後、その一部が通路空間TS2で滞留することなく上記内壁部分55bの終端に近い出口53の一端53aにむけてそのまま流れ出ることが1つの要因である。また、送風ダクト51に導入する空気の量が相対的に多くなることも1つの要因である。
【0073】
ちなみに、
図9に例示する風速分布の測定結果は、以下の測定を行うことで得たものである。
【0074】
すなわち、このときの測定は、送風機50から平均風量が0.25m
3/分になる空気を導入し、そのときに送風ダクト51の出口53から吹き出て帯電装置4のシールドケース40の開口部43を通してケース40の内部に取り入れられたときの空気の風速(出口の長手方向Bの全域における風速)を測定している。風速は、風速計(デグリーコントロールズインク社製:UAS1200LP)を用いて測定している。具体的には、
図8に示すように、帯電装置4のシールドケース40の内部空間において感光ドラム21の回転方向Aの上流側になる端部位置P1(pre位置)とその回転方向Aの下流側になる端部位置P2(post位置)との2箇所において風速計を長手方向Bに移動させること測定した。pre位置P1は、放電ワイヤ41Aのほぼ下方に相当する位置である。また、post位置P2は、放電ワイヤ41Bのほぼ下方に相当する位置である。
【0075】
送風ダクト51としては、その全体の形状が
図4〜
図7等に示すようなものであって、その入口52が22mm×23mmの寸法からなるほぼ正方形の開口形状であり、出口53が350mm(長手方向Bの寸法)×17.5mm(短手方向Cの寸法)の寸法からなる長方形の開口形状であるものを使用した。また、上流側の抑制部61については、高さHが出口53の長手方向Bに沿う部位においてすべて1.5mm、経路長Mが8mm、幅Wが345mmとなる隙間63が存在するようにほぼ平板の仕切り部材64を配置して構成した。さらに、出口流抑制部62については、孔径が1mm、長さが3mmの通気孔71を、孔の密度が40.2個/cm
2となる条件で設けた多孔部材70により出口53を塞ぐ状態に配置して構成した。
【0076】
そこで、この画像形成装置1における帯電装置4では、送風ダクト51の出口53から排出される空気の風速分布が前述したように不均一になる場合の対策として、シールドケース40における開口部43を、その長手方向Bに沿う領域のうち長手方向Bと直交する短手方向Cの少なくとも一端側(ここではpost側)に存在する端部領域(E2:
図3)の通気率が、その端部領域(E2)以外の領域(E1:
図3)の通気率よりも小さい値になるよう構成した。
【0077】
帯電装置4における開口部43の少なくとも一端側の端部領域の通気率をそれ以外の領域の通気率よりも小さい値にするため、実施の形態1では、
図3、
図5等に示されるように、非通気性部材45を配置して構成している。非通気性部材45は、通気性を示さず通気率がゼロになる物性を有するものである。非通気性部材45は、シールドケース40の開口部43のうち、送風ダクト51の出口53から排出される空気の風速が前述したように相対的に速い端部領域E2(の全域又は一部領域)に対応する端部領域に配置される。ここでは、非通気性部材45として、開口部43のpost側になる端部43aに、開口部43の長手方向Bに沿って短手方向Cの寸法が所要の値K1となる細長い長方形状の板部材を設けた。
【0078】
また、非通気性部材45の短手方向Cにおける寸法(K1)は、開口部43の短手方向Cにおける(全)寸法Jに対して所定の割合の寸法になるが、例えば、送風ダクト51の出口53から排出される空気が開口部43を通過して取り入られるときの風速の不均一な状態が低減される効果の程度を試験等により確認にしながら設定される。この非通気性部材45の短手方向Cにおける寸法(K1)は、例えば、開口部43のpre側とそのpost側との風速差を低減する等の観点からすると、開口部43の短手方向Cにおける寸法Jに対して少なくとも20%以下の値になるよう設定することが望ましい。また、非通気性部材45の厚さは、例えば、シールドケース40を構成する部材の厚さと同じにすればよい。このような非通気性部材45としては、例えば、シールドケース40を構成する部材や、樹脂材料等の非通気性を有する材料等が使用される。なお、非通気性部材45は、シールドケース40の天板40aとほぼ平行した状態で設置されるが、例えば、非通気性部材45を設定しない開口部43の領域と向き合う端部がケース40の内部側に存在するよう傾いた状態で配置してもよい。
【0079】
帯電装置4は、この非通気性部材45を設置することにより、開口部43の短手方向Cのpost側に存在する端部領域(E2)の通気率が、その端部領域(E2)以外の領域(E1)の通気率よりも小さい値(ゼロ)に設定される。換言すれば、この帯電装置4における開口部43は、その短手方向Cのpost側に存在する端部領域(E2)が通気率ゼロの非通気性部材45により塞がれた状態にされる。
【0080】
そして、帯電装置4においては、
図10に示されるように、送風ダクト51の出口53の長手方向Bに沿う領域のうち長手方向Bと直交する短手方向Cの一端側であるpost側に存在する端部領域(53a)から、風速が相対的に速い状態で排出される空気(E3a)が、シールドケース40における開口部43のpost側の端部領域E2に配置された非通気性部材45により進路が阻まれる。
【0081】
この際、風速が相対的に速い状態で排出される空気(E3a)は、
図10に例示するように、非通気性部材45に突き当たって風速が低減された状態になり、しかも非通気性部材45が存在しない開口部43の領域(E1)に移動した後にケース40内に流入するようになる。一方、風速が相対的に遅い状態で排出される空気(E3b)は、非通気性部材45により進路を阻まれることなく、開口部43の領域(E1)を通過してケース40内に流入する。
【0082】
この結果、帯電装置4では、送風ダクト51の出口53から排出される空気(E3)を開口部43から風速の差を低減させた状態で取り入れることができる。
【0083】
図11は、開口部43に非通気性部材45を設置して通気率を一部調整した帯電装置4における風速分布の測定結果である。
【0084】
測定内容は、前述した測定方法と同様である。この測定では、帯電装置4のシールドケース40として、長手方向Bの寸法が370mm、短手方向の寸法Jが16mmの長方形からなる開口部43を形成したものを使用し、非通気性部材45として短手方向Cの寸法K1が3mm、厚さが1mmのものを開口部43のpost側の端部に設置した。
【0085】
図11に示す結果から、送風ダクト51の出口53から開口部43を通して取り込まれる空気(E3)のうち帯電装置4のpost側の端部領域E2における空気の風速(点線)が、非通気性部材45を設置しない構成の場合(
図8、
図9)に比べて、低減されていることがわかる。また、帯電装置4のpre側の端部領域(E3:
図12)における空気の風速(実線)が、非通気性部材45を設置しない構成の場合に比べて、少し増加していることがわかる。これは、非通気性部材45で進路を遮断されたpost側の端部領域E2における空気の一部が、それ以外の領域(E1)に回り込んで流れている現象によるものと推測される。従って、帯電装置4では、送風ダクト51の出口53から排出される空気(E3)を、開口部43において風速の差が低減された状態で取り入れていることがわかる。
【0086】
以上のようにして帯電装置4の開口部43を通してシールドケース40の内部に取り入れられた空気は、
図10等に示されるように、そのケース40の内部空間の中央に存在する隔壁40dを境に区分された2つの空間内を通過した後、シールドケース40とグリッド電極42との間の隙間やグリッド電極42における空隙を通過しながら最後にケース40の外部に放出される。このときコロナ放電ワイヤ41A,41Bとグリッド電極42を通過する空気は、送風ダクト51の出口53の長手方向B及び短手方向Cの両方向においてほぼ揃った風速で出口53から出るため、その2本の放電ワイヤ41A,41Bとグリッド電極42にもほぼ等しい状態で吹きつけられる。
【0087】
これにより、帯電装置4における2本の放電ワイヤ41A,41Bとグリッド電極42にそれぞれ付着しようとする紙粉、トナーの外添剤、放電生成物などの不要物を遠ざけることができる。この結果、帯電装置4における放電ワイヤ41A,41Bやグリッド電極42に不要物がまばらに付着することが原因で放電性能(帯電性能)にむら等の劣化が発生することが防止され、感光ドラム21の周面をより均一(その軸方向と回転方向Aに沿う周方向との双方に対して均一)に帯電することが可能になる。また、この帯電装置4を備えた作像ユニット20で形成されるトナー像ひいては用紙9に最終的に形成される画像は、帯電むら等の帯電不良に起因した画質不良(濃度むら等)の発生が低減された良好な画像として得られるようになる。
【0088】
[実施の形態2]
図12は、実施の形態2に係る帯電装置4Bの要部を示すものである。この帯電装置4Bは、非通気性部材を開口部43の異なる位置に配置して変更した以外は実施の形態1に係る帯電装置4と同じ構成からなるものである。これ以降の説明及び図面では、実施の形態1に係る帯電装置4と共通する構成部分に同じ符号を付し、その説明について必要な場合を除いて省略する(これ以後の各実施の形態においても同様とする)。
【0089】
すなわち、この帯電装置4Bでは、
図12に示されるように、シールドケース40の開口部43のpre側になる端部43bに非通気性部材46を設置して、開口部43の短手方向Cのpre側に存在する端部領域(E3)の通気率が、その端部領域(E3)以外の領域(E4)の通気率よりも小さい値(ゼロ)に設定している。
【0090】
つまり、この帯電装置4Bは、その帯電装置4Bに適用する送風装置5の送風ダクト51から排出される空気が、
図13aに例示するように、その風速の分布が、送風ダクト51の出口53の長手方向Bに沿う領域のうち短手方向Cの一端側(すなわち、pre側となる端部53b)に存在する端部領域から排出される空気の風速(実線)が、その出口の端部領域以外の領域から排出される空気の風速(点線)よりも相対的に速くなるので、それに適合するように構成したものである。ちなみに、このような風速分布となる送風ダクト51は、例えば、実施の形態1における送風ダクト51と対比した場合、開口部43のpre側になる端部から例えば3mm程度の範囲を非通気性部材46により塞ぐよう構成している。
【0091】
非通気性部材46としては、開口部43のpre側になる端部43bに、開口部43の長手方向Bに沿って短手方向Cの寸法が所要の値K2となる細長い長方形状の板部材を設けた。
【0092】
そして、この帯電装置4Bにおいては、送風ダクト51の出口53の長手方向Bに沿う領域のうち短手方向Cの一端側であるpre側に存在する端部領域(53b)から、風速が相対的に速い状態で排出される空気が、シールドケース40における開口部43のpre側の端部領域E3に配置された非通気性部材46により進路が阻まれる。この結果、帯電装置4Bでは、送風ダクト51の出口53から排出される空気(E3)を開口部43から風速の差を低減させた状態で取り入れることができる。
【0093】
図13bは、開口部43に非通気性部材46を設置して通気率を一部調整した帯電装置4Bにおける風速分布の測定結果である。この測定では、非通気性部材46として短手方向Cの寸法K1が3mm、厚さが1mmのものを開口部43のpre側の端部に設置した。
図13bに示す結果からは、特に、帯電装置4Bによれば、送風ダクト51の出口53から排出される空気を開口部43において風速の差がより一層低減された状態で取り入れていることがわかる。
【0094】
[実施の形態3]
図14は、実施の形態3に係る帯電装置4Cの要部を示すものである。この帯電装置4Cは、非通気性部材として長手方向Bにおいて短手方向Cの寸法が異なる形状のものを配置して変更した以外は実施の形態1に係る帯電装置4と同じ構成からなるものである。
【0095】
すなわち、この帯電装置4Cでは、
図14に示されるように、短手方向Cの寸法Kが長手方向Bにおいて画像形成装置1のIN側(裏面側)からOUT側(正面側)にずれるにつれて徐々に大きくなる平面形状(直角三角形)の非通気性部材47を、シールドケース40の開口部43のpost側になる端部43aに設置している。
図14における符号KaがIN側における短手方向Cのほぼ最小の寸法を示し、符号KbがOUT側における短手方向Cの最大の寸法を示している。これにより、開口部43の短手方向Cのpost側に斜めの状態で存在する端部領域(E5)の通気率が、その端部領域以外の領域の通気率よりも小さい値(ゼロ)に設定している。
【0096】
つまり、この帯電装置4Cは、その帯電装置4Cに適用する送風装置5の送風ダクト51から排出される空気が、
図9に例示するように、その風速の分布が、送風ダクト51の出口53の長手方向Bに沿う領域のうち短手方向Cの一端側(すなわち、post側となる端部53a)に存在する端部領域から排出される空気の風速(実線)が、その出口の端部領域以外の領域から排出される空気の風速(点線)よりも相対的に速くなり、しかも、厳密には画像形成装置1のIN側からOUT側に位置がずれるにつれて徐々に速くなるので、それに更に適切に適合するよう構成したものである。
【0097】
そして、この帯電装置4Cにおいては、送風ダクト51の出口53の長手方向Bに沿う領域のうち短手方向Cの一端側であるpost側に存在する端部領域(53a)から、風速が相対的に速い状態で排出される空気が、シールドケース40における開口部43のpost側の端部領域E2に配置された非通気性部材47により進路が阻まれる。しかも、この帯電装置4Cにおいては、送風ダクト51の出口53の長手方向Bにおける画像形成装置1のIN側からOUT側に位置がずれるにつれて徐々に速くなって排出される空気が、IN側からOUT側にむけて短手方向Cの寸法Kが次第に(傾斜して)大きくなる形状の非通気性部材47により進路が個々に異なるように対応して阻まれる。この結果、帯電装置4Cでは、送風ダクト51の出口53から排出される空気(E3)を開口部43から風速の差をより適切に低減させた状態で取り入れることができる。
【0098】
図15は、送風ダクト51の出口53から排出されて帯電装置4の開口部43を通して取り入れられるときの空気の風速分布と、その風速分布に適合した非通気性部材47の形状(短手方向Cの寸法K)との関係を模式的に示すものである。
【0099】
すなわち、
図15aに例示するように、開口部43を通して取り入れられる空気の風速として「小」、「中」及び「大」の3つの大小レベルのものがあり、そのうち「中」及び「大」の風速部分が開口部43のpost側の端部に存在するとともに画像形成装置1のIN側とOUT側に分かれた状態で存在する場合には、非通気性部材47の形状(短手方向Cの寸法K)について一般に次のように構成する。つまり、開口部43の「中」の風速部分が存在する端部領域に対しては、非通気性部材47として短手方向Cの寸法Kが相対的に小さい形状部分を配置する。また、開口部43の「大」の風速部分が存在する端部領域に対しては非通気性部材47として短手方向Cの寸法Kが相対的に大きい形状部分を配置すればよい。ちなみに、「大」の風速部分とは、例えば
図9に例示する風速分布の測定結果においてpost側の点線で示すデータ線のうち二点鎖線の円で囲った部分などが該当する。
【0100】
この実施の形態3では、非通気性部材47として短手方向Cの寸法Kが画像形成装置1のIN側からOUT側に位置がずれるにつれて一定の割合で増える形状(直線的に傾斜する形状)のものを例示している。しかし、非通気性部材47としては、このような割合で増える形状に限定されず、開口部43における実際の風速分布の状態に対応させて非通気性部材47の長手方向Bにおいて各短手方向Cの寸法Kを種々の値に設定(変更)した形状にすることができる。
【0101】
[実施の形態4]
図16は、実施の形態4に係る帯電装置4Dの要部を示すものである。この帯電装置4Dは、非通気性部材45に代えて複数の通気部48を有する通気性部材49を配置した以外は実施の形態1に係る帯電装置4と同じ構成からなるものである。
【0102】
すなわち、この帯電装置4Dでは、
図16に示されるように、シールドケース40の開口部43のpost側になる端部43aに通気性部材49を設置して、開口部43の短手方向Cのpost側に存在する端部領域(E2)の通気率が、その端部領域(E2)以外の領域(E1)の通気率よりも小さい値に設定している。
【0103】
通気性部材49における複数の通気部48はいずれも、
図16や
図17に示されるように、その各開口形状がほぼ同じ孔径d1の円形で直線状に貫通するよう延びる貫通孔である。また、複数の通気部48は、例えば4列存在させるように並べて配置しており、詳しくはシールドケース40の開口部43の長手方向Bに沿って等しい間隔(tb)で並べかつその短手方向Cにも等しい間隔(tc)で並べている。長手方向の間隔(tb)と短手方向の間隔(tc)は、同じ値に設定されている。これにより、複数の通気部(孔)48は、開口部43のうち通気率を相対的に小さい値にすべき端部領域の全域に点在して存在するように形成されている。このため、実施の形態1における通気性部材49は、板状の部材に複数の通気部(孔)48が点在するように形成された多孔板になっている。また、通気性部材49の厚さmは、特に限定されないが、例えばシールケース40の構成部材の厚さとほぼ同じに設定される。さらに、複数の通気部(孔)48は、開口部43のうち通気率を相対的に小さい値にすべき端部領域に対してほぼ均一に点在して(ほぼ一定の密度で)存在するように形成されていることが好ましいが、開口部43を通過する空気がむらになって出ない限りは、わずかな粗密の状態になって存在するように形成されていても構わない。
【0104】
この通気性部材49は、シールドケース40と同じ材料で一体に成形することで形成したものでも、あるいはシールドケース40とは別の材料で形成したものでもよい。通気部(孔)48の開口形状、開口寸法、孔長さ、及び孔の存在密度については、通気率の設定内容に応じて選択設定される。
【0105】
ちなみに、通気率については、例えば通気性部材49が前記したような複数の通気部48として貫通孔を形成した多孔板である場合、その多孔板の表面の総面積に対する全貫通孔の開口面積(各孔の開口面積をすべて合計した値)の占有率になる。つまり、この場合における通気率Dは「(全貫通孔の開口面積/板部材の総面積)×100」との式で表わされるものになる。また、通気性部材49がこれ以外の部材である場合における通気率については後述する。
【0106】
そして、この帯電装置4Dにおいては、送風ダクト51の出口53の長手方向Bに沿う領域のうち短手方向Cの一端側であるpost側に存在する端部領域(53a)から、風速が相対的に速い状態で排出される空気が、シールドケース40における開口部43のpost側の端部領域E2に配置された通気性部材49により一部の通過が規制され、その通気性部材49における複数の通気部48のみを通して通過する。つまり、通気性部材49の通気率に応じた分の空気だけが通過する。この結果、帯電装置4Dでは、送風ダクト51の出口53から排出される空気(E3)を開口部43から風速の差をより的確に低減させた状態で取り入れることができる。
【0107】
<実施の形態4の変形例>
実施の形態4では、通気性部材49として、複数の通気部(孔)48が同じ条件で均等に配置された構成のものを例示したが、以下に示すように複数の通気部(孔)48を異なる条件で配置したものを適用することもできる。
【0108】
図18の構成例は、送風ダクト51の出口53から排出されて帯電装置4の開口部43を通して取り入れられるときの空気の風速分布と、その風速分布に適合した通気性部材49における通気部48の配置内容との関係を模式的に示すものである。
【0109】
すなわち、
図18aに例示するように、開口部43を通して取り入れられる空気の風速として「小」、「中」及び「大」の3つの大小レベルのものがあり、そのうち「中」及び「大」の風速部分が開口部43のpost側の端部に存在するとともに画像形成装置1のIN側とOUT側に分かれた状態で存在する場合には、通気性部材49の通気部48の配置について一般に次のように構成する。つまり、開口部43の「中」の風速部分が存在する端部領域に対しては、通気性部材49における複数の通気部(孔)48を長手方向Bにおける間隔tb1が相対的に小さい値となる間隔で配置する。また、開口部43の「大」の風速部分が存在する端部領域に対しては、通気性部材49における複数の通気部(孔)48の長手方向Bにおける間隔tbを、「中」の風速部分における通気部(孔)48の間隔tb1よりも大きな値となる間隔tb2等で配置する。
【0110】
また、例えば、開口部43の「大」の風速部分が存在する端部領域のなかで風速がIN側からOUT側にずれにつれて次第に大きくなるよう変化する場合に対しては、通気性部材49における複数の通気部(孔)48の長手方向Bにおける間隔tbを、N側からOUT側にずれにつれて次第に大きくなる各間隔tb2、tb3(>tb2)、tb4(>tb3)に設定して配置すればよい。さらに、開口部43の「大」の風速部分が存在する端部領域のなかで風速がpre側からpost側にずれにつれて次第に大きくなるよう変化する場合に対しては、通気性部材49における複数の通気部(孔)48の短手方向Cにおける間隔tcを、pre側からpost側にずれにつれて次第に大きくなる各間隔に設定して配置すればよい。
【0111】
通気性部材49としては、例えば、ファルター等に適用される不織布等の多孔質部材(複数の通気部48が不規則な形状で貫通した隙間で構成されているもの)を用いて構成することもできる。ちなみに、通気性部材49として上記した多孔質部材を適用した場合は、その通気性部材49の通気性の測定については、例えば、日本工業規格(JIS)のL1096に基づく「織物(不織布など)の通気性を評価するフラジール形の測定方法」に準じて行うことができる。具体的には、フラジール形の通気度試験機などを使用して、通気性部材49を配置した開口部43の通気性とその通気性部材49を配置しない開口部43の通気性をそれぞれ測定し、その通気性部材49を配置しない場合の通気性に対する比率(百分率)を求めることで通気性部材49の通気率を間接的に求めることができる。
【0112】
[他の実施の形態]
実施の形態1〜4では、送風対象構造物である帯電装置4として、グリッド電極42を設置しない形式の帯電装置、いわゆるコロトロン型の帯電装置を適用してもよい。また、帯電装置4は、コロナ放電ワイヤ41として1本使用するものや3本以上使用するものであってもよい。帯電装置4は、コロナ放電ワイヤ41やグリッド電極42を清掃する清掃装置を備えたものであってもよい。この清掃装置を装備する帯電装置4の場合には、シールドケース40の開口部43と清掃装置の構成部品との位置関係などを配慮して、開口部43の通気率を調整するための適切な構成を採用する。
【0113】
また、送風装置5(送風ダクト51)からの空気を送風する送風対象構造物としては、感光ドラム21等の除電を行うコロナ放電器や、感光ドラム以外の被帯電体を帯電又は除電させるコロナ放電器であってもよい他、コロナ放電器以外の空気の吹きつけが必要である長尺な構造物であっても構わない。また、画像形成装置以外の装置等において使用されて、空気の吹きつけが必要である構造物であってもよい。
【0114】
さらに、送風装置5の送風ダクト51として、複数の抑制部として2つの抑制部61,62を設ける構成例を示したが、3個以上設けた送風ダクトを適用しても構わない。また、出口抑制部62以外の抑制部については、ダクト51の通路部54の通路空間TSにおいてその断面形状が変更される部位や、その通路空間TSにおいて空気を流す方向が変更された後(直後など)の部位に設けることが好ましい。また、送風ダクト51としては、その全体の形状が実施の形態1等で例示した場合に限らず、他の形状のものを適用することができ、例えば、
図19に例示したような送風ダクト510(510A〜510D)を適用してもよい。この他、出口から排出される空気の風速が相対的に異なる送風ダクトであれば適用可能である。
【0115】
また、画像形成装置1については、送風ダクト51等を採用した送風装置5を適用する必要がある長尺な対象構造物やその送風装置5を備えたコロナ放電器4を装備するものであれば、その画像形成方式等の構成については特に限定されない。画像形成装置については、必要であれば、現像剤以外の材料で構成される画像を形成する画像形成装置であっても構わない。