(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の処理に必要な第1の電力値以上の電力が供給されるときは前記第1の電力値以上の電力が第1の期間以上供給される供給電力を監視し、該供給電力が前記第1の電力値以上になった時に第1の通知を出力する電源監視部と、
前記供給電力により動作し、前記第1の通知を受け取った時に前記第1の電力値以上の電力の供給が不要な待機状態から前記第1の処理が可能な第1の動作状態に遷移して前記第1の期間内に前記第1の処理を完了し、前記第1の処理が完了した後に前記第1の動作状態から前記待機状態へ遷移する処理部と、
を備え、
前記処理部は、前記第1の処理が完了した時、中断可能な処理である第2の処理が可能な第2の動作状態に遷移し、前記供給電力が前記第1の電力値を下回った時、前記第2の処理を中断して前記第2の動作状態から前記待機状態に遷移する、処理装置。
前記処理部は、前記センサ部の出力電圧を監視し、前記第1の通知を受け取った後、前記センサ部の出力電圧が所定の電圧値以上になった場合、前記第1の処理を開始する、請求項5記載の処理装置。
前記電源監視部は、自装置に印加されている電圧を測定し、前記電圧が前記第1の電力値に対応する所定の電圧値以上である場合、前記供給電力が前記第1の電力値以上であると判定する、請求項1乃至7のいずれか1項記載の処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係る処理装置について説明する。本実施形態に係る処理装置は、図示しない所定の外部の電源(以降、外部電源と記載する。)からの供給電力によって動作する。外部電源は、所定の第1の電力値以上の電力を供給するときは、所定の第1の期間以上の期間にわたって供給する。ここで、「第1の電力値」とは、後述の処理部30が第1の処理を行うために必要な最小の供給電力以上の電力値である。「第1の期間」とは、処理部30が第1の処理を完了するために必要な時間よりも長い時間である。すなわち、外部電源は、常に一定の電力を供給するのではなく、処理部30が第1の処理を完了するために必要な期間だけ、第1の電力値以上の電力を供給する。
【0016】
本実施形態に係る処理装置のブロック構成図の一例を
図1に示す。
図1において、処理装置10は、電源監視部20および処理部30を備える。
【0017】
電源監視部20は、上述の外部電源から供給される供給電力を監視する。電源監視部20は、外部電源から供給された供給電力が、第1の電力値(処理部30が第1の処理を行うために必要な最小の供給電力以上の電力値)以上になった時、第1の通知を生成して処理部30へ出力する。
【0018】
処理部30は、電源監視部20から第1の通知を受け取った時、待機状態から第1の動作状態に遷移し、第1の処理を開始する。処理部30は、第1の期間が終了するまでに第1の処理を完了し、再度、待機状態に遷移する。
【0019】
ここで、「第1の動作状態」は、第1の電力値以上の電力の供給が必要な状態であり、処理部30が第1の処理を実行できる状態である。一方、「待機状態」は、第1の電力値以上の電力供給を必要としない状態である。待機状態において、処理部30に第1の電力値以上の電力が供給されても問題はない。処理部30の処理速度は、第1の期間が終了するまでに第1の処理を完了できるように、第1の処理の内容と第1の期間とに基づいて予め十分に高く設定されている。
【0020】
本実施形態に係る処理装置10の動作を示すタイムチャートの一例を
図2に示す。電源監視部20は、外部電源から供給電力が供給され、該供給電力を監視している。そして、
図2において、供給電力が第1の電力値以上となった時(時刻t0)、電源監視部20は第1の通知を生成して処理部30へ出力する。
【0021】
処理部30は、電源監視部20からの第1の通知を受け取った時(時刻t0)、待機状態から第1の動作状態に遷移する。処理部30は、第1の期間(t0〜t2)内に第1の処理を実施し、第1の処理が終了した時(時刻t1)、第1の動作状態から待機状態に遷移する。
【0022】
上記のように、本実施形態に係る処理装置10は、第1の電力値以上の電力が供給されている第1の期間に、第1の動作状態に遷移して第1の処理を完了する。そのため、処理装置10は、電源の供給及び供給停止が非同期に行われても、第1の処理を正常に実行し、第1の処理を完了できる。処理装置10には、第1の処理を行うべき期間以上の所定の期間のみ電力を供給すればよく、常に電力を供給する必要がない。
【0023】
また、処理装置10は、供給電力が第1の電力値以上となった時に第1の処理を開始し、第1の期間内に処理を完了することから、第1の電力値以上の電力の供給を維持するための平滑安定化回路等を備える必要がない。従って、処理装置10を小型化、低コスト化できる。
【0024】
なお、外部電源の供給電力が十分でなく、第1の処理を実行中の処理部30の消費電力が無視できない場合、第1の処理を実行中の処理部30の消費電力と第1の処理を停止中の処理部30の消費電力との差分を考慮して、第1の電力値を決定する。具体的には、第1の電力値にその差分を加えた電力値を基準値として、電源監視部20が監視すればよい。
【0025】
本実施形態において、電源監視部20は外部電源の供給電力を監視したが、外部電源の出力電圧や供給電流を監視することもできる。
【0026】
(第2の実施形態)
第2の実施形態について説明する。本実施形態に係る処理装置100のブロック構成図の一例を
図3に示す。
図3において、本実施形態に係る処理装置100は、電圧印加部110、電圧監視部120、入出力部130、不揮発性記憶部140および処理部150を備える。
【0027】
電圧印加部110は、所定の電源から電力線500を介して電圧が印加され、印加された電圧を処理装置100の各部へ印加する。ここで、所定の電源は、第1の電圧値以上の電圧を印加する時には第1の期間以上印加する。
【0028】
電圧監視部120は、第1の電圧値を保持し、電圧印加部110に印加される電圧を監視する。電圧監視部120は、電圧印加部110に印加される電圧が、第1の電圧値以上になった時、処理部150へ第1の通知を出力する。なお、第1の電圧値とは、処理部150が第1の処理を行うために必要な最小の印加電圧以上の電圧値である。
【0029】
入出力部130は、少なくとも第1の期間の間、所望の情報を外部から取得し、取得した情報を電力線500を介して、外部へ送出する。
【0030】
不揮発性記憶部140には、入出力部130が取得した情報と、次に動作する際に必要な情報と、が登録される。
【0031】
処理部150は、電圧監視部120から第1の通知を受け取った時、待機状態から第1の動作状態に遷移し、第1の処理を開始する。本実施形態において、処理部150は、第1の処理が完了した後、第1の動作状態から第2の動作状態に遷移して第2の処理を行う。処理部150は、第2の動作状態において印加電圧が第1の電圧値を下回った時、第2の動作状態から待機状態に遷移する。
【0032】
ここで、「第2の処理」とは、処理の途中で中断可能な処理である。また、「第1の動作状態」は、第1の電力値以上の電力の供給が必要な状態であり、第1の処理を実行できる状態である。「待機状態」は、第1の電圧値以上の印加電圧を必要としない状態である。さらに、「第2の動作状態」は、印加されている電圧に応じて第2の処理を行う状態であり、印加電圧の低下に伴って自動的に待機状態に遷移する状態である。
【0033】
処理部150は、第1の処理として処理(a)、(b)、(c)を、第2の処理として処理(b)を行う。処理(a)は、不揮発性記憶部140に登録されている情報を確認する処理である。処理(b)は、入出力部130を制御して、所望の情報を取得し、電力線500を介して取得した情報を外部へ出力する処理である。処理(c)は、次に動作する際に必要な情報を不揮発性記憶部140に登録する処理である。
【0034】
本実施形態に係る処理装置100の動作について説明する。処理装置100の動作のタイムチャートの一例を
図4に示す。
図4において、電圧監視部120は、電圧印加部110に印加される印加電圧を監視し、印加電圧が第1の電圧値以上になった時(時刻t3)、第1の通知を処理部150へ出力する。
【0035】
処理部150は、電圧監視部120から第1の通知を受け取った時(時刻t3)、待機状態から第1の動作状態に遷移し、第1の処理を開始する。つまり、処理部150は、不揮発性記憶部140に情報が登録されているか否かを確認し、情報が登録されている場合はその情報を確認する(処理(a))。次に、処理部150は、入出力部130を制御して所望の情報を取得し、取得した情報を電力線500を介して外部へ送出する(処理(b))。さらに、処理部150は、入出力部130を用いた情報の送受信が終了した後、次に動作する際に必要な情報があるか否か調査し、次に動作する際に必要な情報があった場合は不揮発性記憶部140に登録する(処理(c))。
【0036】
処理部150は、第1の処理(処理(a)、(b)、(c))が終了した時(時刻t4)、第1の動作状態から第2の動作状態に遷移する。処理部150は、第2の動作状態において、処理の途中で中断可能な第2の処理として、処理(b)を行う。処理部150は、電源から印加される印加電圧が第1の電圧値を下回った時(時刻t5)、第2の処理としての処理(b)を中断し、第2の動作状態から待機状態に遷移する。
【0037】
さらに、電圧印加部110に印加される電圧が第1の電圧値を下回った後で再度第1の電圧値を上回った時(時刻t6)、電圧監視部120は再び第1の通知を出力する。処理部150は、第1の動作状態(t6〜t7)において第1の処理を実施し、第2の動作状態(t7〜t8)において第2の処理を実施する。
【0038】
上記のように、本実施形態に係る処理装置100は、既存の電力線500を介して電圧印加部110に印加された電圧が、第1の電圧値より大きい期間のみに情報の送受信を行う。この場合、処理装置100に電池や平滑安定化装置を備える必要がなく、小型の処理装置100を提供できる。
【0039】
また、電圧の取得と情報の送信とは既存の電力線500を介して行うため、処理装置100導入時のコストを低くできる。
【0040】
さらに、本実施形態に係る処理装置100は、必要最小限の処理(第1の処理)が終わった後、第1の動作状態から第2の動作状態に遷移して、処理の途中で中断可能な第2の処理として、情報取得処理および情報出力処理を継続する。従って、処理の途中で供給電圧が低下することにより、処理装置100がダメージを受けることを避けることができると共に、取得および出力する情報を増大させることができる。
【0041】
(第2の実施形態の変形例)
第2の実施形態の変形例について説明する。本実施形態において、電圧監視部120は、印加電圧値が第1の電圧値以上になった時に第1の通知を出力する代わりに、印加電圧値が第1の電圧値の所定の割合値になった時に処理部150へ第2の通知を出力する。
【0042】
本実施形態では、第1の電圧値の所定の割合値として、第1の電圧値の80%値を用いる。以下、第1の電圧値の所定の割合値を第2の電圧値と記載する。第2の電圧値は、電圧を印加する電源の特性等に応じて、適宜設定できる。
【0043】
本実施形態に係る処理装置100の動作のタイムチャートの一例を
図5に示す。本実施形態において、電圧監視部120は、電源から印加された印加電圧が第1の電圧値の80%値(第2の電力値)になった時(時刻t9)、処理部150へ第2の通知を出力する。
【0044】
処理部150は、第2の通知を受け取った時、待機状態のまま第2の期間(t9〜t10)の計時を開始すると共に、比較的消費電力が小さい前述の処理(a)を行う。そして、第2の期間が経過した時(時刻t10)、処理部150は、印加電圧が第1の電圧値に達していると判断して、待機状態から第1の動作状態へ遷移し、前述の処理(b)、(c)を行う。さらに、処理部150は、第1の処理が終了した時(時刻t11)、第1の動作状態から第2の動作状態に遷移し、第2の処理として処理(b)を行う。そして、印加電圧が第1の電圧値を下回った時(時刻t12)、第2の動作状態から待機状態に遷移する。
【0045】
この場合、処理部150は、印加電圧が第1の電圧値に達する前から、消費電力が少ない一部の処理を実施できる。従って、印加電圧が高い第1の期間を、情報取得および情報出力等の消費電力が大きい処理を行う期間として有効に利用できると共に、第1の期間を長く設定できる。
【0046】
なお、処理部150が第2の期間を計時した後、待機状態から第1の動作状態に遷移することに限定されない。電圧監視部120が、印加電圧が第1の電圧値を上回った時に処理部150へ第1の通知を出力し、処理部150は、第1の通知を受け取った時に第1の動作状態に遷移することもできる。
【0047】
また、本実施形態では、印加電圧が第1の電圧値を下回った時、第2の処理を中断して第2の動作状態から待機状態に遷移したが、これに限定されない。例えば、印加電圧が第1の電圧値を下回った時、第2の動作状態から待機状態に遷移し、待機状態で比較的消費電力が小さい上述の処理(c)を再度行うこともできる。
【0048】
(第3の実施形態)
第3の実施形態について説明する。本実施形態に係るセンサ装置のブロック構成図の一例を
図6に示す。
図6において、本実施形態に係るセンサ装置200は、電圧制御部210、センサ部220、出力部230、不揮発性記憶部240および処理部250を備える。
【0049】
電圧制御部210は、既存の交流電力網から交流電力線600を介して印加された電圧を監視すると共に、センサ装置200の各部に電圧を印加する。
図6において、電圧制御部210は、電圧取得部211、電圧監視部212および電圧印加部213を備える。電圧取得部211は、既存の交流電力網から交流電力線600を介して電圧が印加される。本実施形態において、電圧取得部211は、交流電力線600側を1次側とするトランスで形成することにより、交流電力線600を流れる電流に応じた電圧を取得する。電圧監視部212は、第1の電圧値を保持し、電圧取得部211に印加された電圧が第1の電圧値以上になった時、処理部250および電圧印加部213に第1の通知を出力する。電圧印加部213は、電圧監視部212から第1の通知を受け取った場合、センサ装置200の各部に、第1の期間より長い第3の期間の間、電圧を印加する。
【0050】
センサ部220は、センサ装置200の周辺の環境に関するデータを計測し、計測データを処理部250へ送信する。本実施形態では、センサ部220として電流センサを適用する。該センサ部220は、交流電力線600側を1次側とするトランスで構成され、交流電力線600を流れる電流を計測して処理部250へ入力する。
【0051】
出力部230は、交流電力線600を伝送路とするPLC(Power Line Communication)インターフェイスを備え、センサ部が計測した電流値の計測結果もしくは不揮発性記憶部240に登録されている環境情報を、交流電力線600から既存の交流電力網を経由させて、外部へ出力する。
【0052】
不揮発性記憶部240には、処理部250が保存した環境情報と、次に動作する際に必要な情報と、が登録される。
【0053】
処理部250は、
図6に示すように、情報取得部251、情報送信部252および動作切替部253を備える。情報取得部251は、センサ部220から取得した交流電力線600の電流値の計測データをデジタルデータに変換し、電流値の計測結果として情報送信部252へ入力する。さらに、情報取得部251は、繰り返し出力する必要がある等の計測結果があれば環境情報として不揮発性記憶部240に保存する。情報送信部252は、出力部230を制御して情報取得部251より入力された電流値の計測結果もしくは不揮発性記憶部240に保存した環境情報を、交流電力線600から既存の交流電力網を経由させて、外部へ出力させる。動作切替部253は、情報取得部251と情報送信部252との動作を切り替える。なお、動作切替部253は、情報取得部251および情報送信部252が動作を完了できる期間で、且つ、なるべく短い期間で、それらを切り替える。
【0054】
処理部250は、電圧制御部210から第1の通知を受け取った時、待機状態から第1の動作状態へ遷移し、第1の処理を開始する。本実施形態において、処理部250は、第1の処理として、不揮発性記憶部240に保存されている情報の確認処理(処理(d))と、情報取得部251による情報取得処理(処理(e))と、情報送信部252による情報出力処理(処理(f))と、次に動作する際に必要な情報の登録処理(処理(g))とを行う。さらに、処理部250は、第1の処理が終了した後、第1の動作状態から第2の動作状態に遷移し、第2の処理として処理(e)、(f)を行う。そして、電圧制御部210からの印加電圧が低下した時、第2の処理を中断して第2の動作状態から待機状態に遷移する。
【0055】
本実施形態に係るセンサ装置200の処理のタイムチャートの一例を
図7に示す。
図7(a)において、既存の交流電力網から交流電力線600に印加される交流電圧の波形の一例を点線で示す。また、
図7(a)において、交流電力線600に接続され前記交流電圧で動作する電化機器(図示なし)が接続されることにより交流電力線600に流れる電流の波形の一例を実線で示す。交流電力線600に流れる電流は電化機器により異なる波形を持つ。
図7(b)に、交流電力線600から電圧制御部210に印加される電圧の波形の一例を示す。
図7(c)に、電圧制御部210が印加する電圧の波形の一例を示す。さらに、
図7(d)に、任意の第3の期間における処理部250の動作の一例を示す。
【0056】
図7(a)において、既存の交流電力網と電圧制御部210とを接続する交流電力線600に、点線で示した正弦波の交流電圧が印加され、実線で示した電流が流れている時、電圧制御部210の電圧取得部211には、
図7(b)の実線で示した電圧が印加される。そして、電圧取得部211に印加された電圧が第1の電圧値以上となった時(時刻t13)、電圧監視部212が処理部250と電圧印加部213へ第1の通知を出力する。
【0057】
電圧制御部210の電圧印加部213は、電圧監視部212から第1の通知を受け取った時(時刻t13)、センサ装置200の各部に
図7(c)に示した電圧を第3の期間(t13〜t16)印加する。ここで、第3の期間は第1の期間よりも長い期間である。
【0058】
一方、処理部250は、電圧制御部210の電圧監視部212から第1の通知を受け取った時(時刻t13)、
図7(d)に示すように、待機状態から第1の動作状態に遷移し、第1の処理(処理(d)〜(g))を実施する。
【0059】
本実施形態では、処理部250は、第1の動作状態において、前回登録した情報の確認処理(処理(d))を行う。さらに、処理部250は、動作切替部253が情報取得部251と情報送信部252とを切り替えることにより、情報取得処理(処理(e))と情報出力処理(処理(f))とを繰り返し行う。そして、処理部250は、処理(e)と処理(f)とがある決められた回数繰り返された時(時刻t14)、次に動作する際に必要な情報があるか否かを確認し、情報がある場合には不揮発性記憶部240へ登録する(処理(g))。
【0060】
さらに、第1の処理(処理(d)、(e)、(f)、(g))が終了した時(時刻t15)、第1の動作状態から第2の動作状態へ遷移する。処理部250は、第2の動作状態において、処理(e)、(f)を、第3の期間が終了するまで繰り返す。ここで、動作切替部253は、情報取得部251および情報送信部252が各動作を完了できる期間で、且つ、なるべく短い期間で、それらを複数回切り替える。この場合、環境情報を取得後、速やかに外部へ出力でき、印加電圧が急激に低くなる瞬断等が発生した場合でも、失われる環境情報を最小限に抑えることができる。そして、第3の期間が終了して電圧制御部210からの印加電圧が低下した時(時刻t16)、処理部250は、第2の処理を中断して第2の動作状態から待機状態へ遷移する。
【0061】
この場合、必要最低限の処理は第1の動作状態で完了しており、今後のセンサ動作には影響を与えない。さらに、第2の処理の途中で供給電力が不足して処理が中断した場合でも、第2の動作状態で取得および送信動作を繰り返すことにより、取得及び送信する情報を増大させることができる。
【0062】
上記のように、本実施形態に係るセンサ装置200は、既存の交流電力網から印加される電圧が、第1の電圧値以上である期間のみに環境情報の取得および出力を行う。この場合、センサ装置200に、電池や、交流電源から安定した直流電圧を生成するための平滑安定化装置を備える必要がない。従って、電池や平滑安定化装置の設置を必要としない、小型のセンサ装置200を提供できる。また、電圧の取得と情報の出力とは既存の交流電力線600を介して行うため、センサ装置200導入時のコストを低くできる。
【0063】
さらに、本実施形態に係るセンサ装置200は、環境情報の取得動作と出力動作とをなるべく短い期間で切り替えることにより、取得した環境情報を速やかに外部へ出力できる。従って、瞬断等が発生した場合でも、失われる環境情報を最小限に抑えることができる。
【0064】
本実施形態では、センサ部220として、交流電力線600側を1次側とするトランスで構成した電流センサを用いたが、これに限定されない。センサ部220として、センサ装置200の周辺環境温度を計測する温度センサ、周辺環境湿度を計測する湿度センサ、周辺環境照度を計測する照度センサ等を適用することもできる。
【0065】
さらに、本実施形態において、出力部230はPLCインターフェイスを備え、環境情報を既存の交流電力網を経由させて外部へ出力したが、これに限定されない。例えば、無線インターフェイス、有線インターフェイス、赤外線インターフェイス等を適用することもできる。
【0066】
また、本実施形態では、
図7(b)に示すように、印加される電圧の絶対値が第1の電圧値以上である場合に所定の処理を実施したが、例えば、交流電圧のプラス側の電圧が第1の電圧値以上の場合にのみ実施することもできる。
【0067】
さらに、
図7(c)において、電圧制御部210が印加する電圧を全て矩形で記載したが、交流電力線600から印加される電圧の状態によっては、第1の期間が経過した後、電圧制御部210が印加する電圧が途中で低下する場合がある。この場合、処理250は電圧が低下した時点で第2の処理を中断して第2の動作状態から待機状態に遷移する。
【0068】
(第3の実施形態の変形例)
第3の実施形態の変形例について説明する。本実施形態において、センサ部220は、センサ装置200の周辺の環境に関する計測結果と共に、センサ部220の出力電圧を処理部250へ出力する。
【0069】
処理部250は、第3の電圧値を保持し、電圧制御部210から第1の通知を受け取った時(
図7の時刻t13)、上述の処理(d)を開始すると共に、センサ部220から受け取った出力電圧と第3の電圧値との比較を開始する。そして、センサ部220の出力電圧が第3の電圧値を上回った時、処理(e)、(f)、(g)を行う。
【0070】
すなわち、本実施形態に係る処理部250は、第1の通知を受け取った時、センサ部220の計測結果を用いない処理(d)のみを実施し、センサ部220の出力電圧が第3の電圧値を上回った時、センサ部220の計測結果を用いる処理(e)を開始する。
【0071】
電圧制御部210が時刻t13から各部への電圧印加を開始し、センサ部220は時刻t13から計測を開始することから、処理部250はセンサ部220が計測結果を送信し始めるまでセンサ部220の計測結果に関する処理を延期する。この場合、無効である可能性が高い計測結果を取得してしまうことを抑制できると共に、電力が無駄に消費されることを避けることができる。
【0072】
ここで、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0073】
(付記1)第1の電力以上の電力が第1の期間以上供給される電源を監視し、前記電源の電力が前記第1の電力以上になったことを検出する電源監視部と、前記電源の電力が前記第1の電力以上になったとき動作状態に遷移して処理を開始し、前記第1の期間内に前記処理を終了して待機状態に遷移する処理部を備えることを特徴とする装置。
【0074】
(付記2)前記電源監視部は、前記電源の電圧を測定し、前記電源の電圧が前記第1の電力より決められる第1の電圧値以上であることを検出することを特徴とする付記1記載の装置。
【0075】
(付記3)前記第1の期間内に、前記処理の結果を外部に出力する出力部を備えることを特徴とする付記1乃至2のいずれかに記載の装置。
【0076】
(付記4)前記電源が切断された後も情報の保持が可能な不揮発性記憶部を備え、前記処理部は、前記第1の期間内に、前記処理の結果を前記不揮発性記憶部に保存することを特徴とする付記1乃至3のいずれかに記載の装置。
【0077】
(付記5)前記電源は、前記第1の電圧値以上の供給及び前記切断を繰返し、前記処理部は、前記動作状態に遷移したとき、前記不揮発性記憶部に保存された前記処理の結果を用いて前記処理を行うことを特徴とする付記4記載の装置。
【0078】
(付記6)前記電源監視部は、前記電源の電圧が前記第1の電圧値以下の第2の電圧を検出してから第2の期間経過した時、前記電源の電圧が前記第1の電圧値以上であることと判断することを特徴とする付記1乃至5のいずれかに記載の装置。
【0079】
(付記7)前記電源監視部は、交流電力の流れる電力線から前記電力線の交流電流の周期と同期したタイミングで電源電圧を間欠的に生成することを特徴とする付記1乃至6のいずれかに記載の装置。
【0080】
(付記8)前記電源監視部が、前記電力線から電力を取得する電圧取得部と、前記電力線の交流電力波形と同期したタイミングで信号を生成する交流周期検出部と、前記処理部への電力伝達を制御する電力伝達部と、を備えることを特徴とする付記7記載の装置。
【0081】
(付記9)周辺環境情報を取得する機能を有するセンサ部を備え、前記処理部は、前記第1の期間内にセンサ部からのセンサ出力を用いて前記処理を行うことを特徴とする付記1乃至8のいずれかに記載の装置。
【0082】
(付記10)前記処理部は、前記第1の期間内に前記センサ出力が第3の電圧以上になったことを検出したとき、前記処理部が前記動作状態に遷移し前記処理を開始することを特徴とする付記9記載の装置。
【0083】
(付記11)前記処理部が、前記第1の期間内にセンサ情報を取得するデータ取得動作と、前記センシング動作で取得した情報を送信するデータ送信動作と、を完了させることを特徴とする付記1乃至10のいずれかに記載の装置。
【0084】
(付記12)前記処理部が、前記第1の期間が終っても前期電源の電圧が前記第1の電圧値を下回るまで、前記データ取得動作および前記データ送信動作を少なくとも一回以上交互に繰り返すことを特徴とする付記11記載の装置。
【0085】
(付記13)前記処理部が、前記データ取得動作をするデータ取得部と、前記データ送信動作をするデータ送信部と、前記データ取得部と前記データ送信部を非同期で制御する動作切替部と、を備えることを特徴とする付記11乃至12のいずれかに記載の装置。
【0086】
(付記14)前記処理部が、前記データ取得動作において前記センサ出力をデジタル値へ変換し、変換が終わると同時に前記データ送信動作が開始され、デジタル化された前記センサ出力を前記出力部を介して送信することを特徴とする付記1乃至13のいずれかに記載の装置。
【0087】
(付記15)前記処理部が、送信したデータを受信する装置の有無にかかわらず、前記データ送信動作を行うことを特徴とする付記1乃至14いずれかに記載の装置。
【0088】
(付記16)前記センサ部が、前記電力線を1次側とするトランスで構成される電流センサを用いることを特徴とする付記1乃至15いずれかに記載の装置。
【0089】
(付記17)前記センサ部が、周辺環境情報の取得機能を有するセンサを用いることを特徴とする付記1乃至15いずれかに記載の装置。
【0090】
(付記18)前記出力部が、前記電力線を伝送路とした通信用インターフェイスを有することを特徴とする付記1乃至17いずれかに記載の装置。
【0091】
(付記19)前記出力部が、前記電力線と異なる伝送路を用いたデータ通信機能を有することを特徴とする付記1乃至17いずれかに記載の装置。
【0092】
(付記20)第1の電圧値以上の電圧が第1の期間以上供給される電源を監視するステップと、前記電源の電圧が前記第1の電圧値以上になったことを検出したとき動作状態に遷移して処理を開始するステップと、前記第1の期間内に前記処理を終了して前記電源の切断が可能な待機状態に遷移するステップを備えることを特徴とする装置制御方法。
【0093】
(付記21)前記第1の期間内に前記データ取得ステップと前記データ送信ステップをそれぞれ一回ずつ処理をする動作状態へ遷移するステップと前記データ取得ステップと前記データ送信ステップを交互に繰り返す待機状態へ遷移するステップを備えることを特徴とする付記20記載の装置制御方法。
【0094】
以上、本発明の好適実施形態について説明したが、単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではない。本発明は、要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が可能である。
【0095】
この出願は、2010年9月10日に出願された日本出願特願2010−202726を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。