(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記伝熱部材は、前記保持部材に対して、積層方向において隣り合う前記蓄電素子のリード端子と接触しない範囲で変位するように取り付けられている請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の蓄電モジュール。
前記伝熱部材および前記保持部材のうち、いずれか一方には、前記蓄電素子の厚み方向に突出する取付突部が設けられ、他方には前記取付突部を受け入れる取付孔が設けられている請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の蓄電モジュール。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1には、端部から正極および負極のリード端子が突出する蓄電素子を複数個、積層してなる蓄電モジュールが開示されている。この蓄電モジュールにおいて、隣り合う蓄電素子は、極性の相違する(逆極性の)リード端子同士を接続することにより直列に接続される。
【0005】
上記特許文献1に記載の蓄電モジュールにおいては、リード端子同士の短絡を防止するために、リード端子の両面側に絶縁板を配して挟持する構成としている。そのため、この蓄電モジュールにおいて、積層方向において隣り合う蓄電素子は絶縁板の厚み寸法の分、離れた状態で配されている。
【0006】
特許文献1の蓄電モジュールのように複数個の蓄電素子を積層してなる蓄電モジュールにおいては、充放電の繰り返し等により、蓄電素子から生じた熱がこもって高温になることがある。蓄電素子が高温になると、性能の低下が懸念される。
【0007】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、放熱性を向上した蓄電モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
蓄電モジュールの放熱性を向上する方法としては積層方向において隣り合う蓄電素子の間に、熱伝導性材料からなる伝熱部材を配置することが考えられる。
ここで、蓄電素子を保持する絶縁板等の絶縁部材と伝熱部材とを別々に(別体として)蓄電素子に配すると、振動などにより部材のずれが生じるため、絶縁部材と伝熱部材とを一体とするほうが好ましい。
【0009】
絶縁部材と伝熱部材を一体化して、蓄電素子を伝熱部材に載置し保持させた蓄電ユニットを複数積層する場合に、蓄電素子の厚み寸法と伝熱部材の厚み寸法との和が、絶縁部材の厚み寸法と同じであれば、積層方向において隣り合う蓄電ユニットの伝熱部材と蓄電素子との接触面積が大きくなる。しかしながら、蓄電素子の厚みには製造公差によるばらつきがあるため、積層方向において隣り合う伝熱部材と蓄電素子との接触面積が小さいものも存在する。このような場合には蓄電素子の放熱性が低下することが懸念された。
【0010】
上記事状に鑑み鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、側縁からリード端子が突出形成された蓄電素子と、前記蓄電素子の側縁を保持する保持部材と、前記蓄電素子を載置する載置面を有し当該蓄電素子から発生する熱を外部に伝導する伝熱部材と、を備え
、前記伝熱部材が、前記保持部材に対して、前記蓄電素子の厚み方向に変位可能な状態で取り付けられた蓄電ユニットを複数積層して
なる蓄電モジュールである。
【0011】
本発明において、伝熱部材は、保持部材に対して、蓄電素子の厚み方向に変位可能な状態で取り付けられている。したがって、本発明によれば、蓄電素子の厚みに合わせて伝熱部材が変位することで製造公差によるばらつきが吸収されるので、積層方向において隣り合う蓄電ユニットの伝熱部材と蓄電素子との接触面積が大きくなり、放熱性が向上する。
【0012】
本発明は以下の構成としてもよい。
前記保持部材には前記伝熱部材を抜け止めする抜け止め突部が形成されていてもよい。
このような構成とすると、伝熱部材が蓄電素子の厚み方向に大きく変位したとしても、保持部材に設けた抜け止め突部により伝熱部材が抜けることを防止することができる。
【0013】
前記伝熱部材は、前記保持部材に対して、積層方向において隣り合う前記蓄電素子のリード端子と接触しない範囲で変位するように取り付けられていてもよい。
伝熱部材は熱伝導性を有する金属材料から構成されることがあるが、このような場合に、蓄電素子のリード端子と接触することによる短絡の発生が懸念される。そこで、上記のような構成とすると、伝熱部材の変位する範囲を、積層方向において隣り合う蓄電素子のリード端子と接触しない範囲とすることができ、伝熱部材とリード端子との接触に起因する短絡の発生を防止することができる。
【0014】
前記伝熱部材および前記保持部材のうち、いずれか一方には、前記蓄電素子の厚み方向に突出する取付突部が設けられ、他方には前記取付突部を受け入れる取付孔が設けられていてもよい。
このような構成とすると取付突部と取付孔を設けるだけで、伝熱部材を保持部材に取り付けるための構造を設けることができ、構造の簡素化を図ることができる。
【0015】
前記抜け止め突部は、前記蓄電素子の外周縁と対応して形成されていてもよい。
このような構成とすると、抜け止め突部が蓄電素子を伝熱部材に載置するときに、蓄電素子の位置決め部としても機能する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、放熱性を向上した蓄電モジュールを提供することを目的とする。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態1>
実施形態1の蓄電モジュール10を
図1ないし
図17によって説明する。以下の説明において、
図1における左側を前方とし右側を後方とし、
図3の上方を上とし下方を下とする。
本実施形態の蓄電モジュール10は、例えばIntegrated Starter Generator(ISG)用の蓄電モジュール10として用いられる。
【0019】
(蓄電モジュール10)
蓄電モジュール10は、
図1〜
図3に示すように、全体として略直方体形状をなしている。蓄電モジュール10の前側面および後側面(
図1における左右に配される面)からはそれぞれ、各蓄電素子23のリード端子25に接続された電線30が複数本、外部に導出されている。複数本の電線30は、それぞれ、一端が電圧検知端子28を介して蓄電素子23のリード端子25に接続され、他端が図示しない電圧検知コネクタに接続されている。
【0020】
蓄電モジュール10は、
図4に示すように、複数の蓄電素子23(本実施形態では6個の蓄電素子23)と、各蓄電素子23の両端部にそれぞれ取り付けられる保持部材40と、積層方向(上下方向)において隣り合う蓄電素子23の間に配される伝熱部材31と、これらを収容する金属製のケース11と、を備える。
【0021】
(ケース11)
ケース11は、蓄電ユニット22の積層体21を収容するケース本体12と、ケース本体12の上面に被せ付けられる蓋部13と、を備える。ケース本体12は、上面および前側面が開口している。ケース本体12の後側面の上端には、複数の電線30をケース11外に導出する電線導出孔(図示せず)が形成されている。ケース本体12の前側の開口部には絶縁蓋部材17が取り付けられている。
【0022】
蓋部13の上面の中央位置には、内側方向(下側方向)に突出する突出面13Aが形成されている。蓋部13の突出面13Aと、最上段(上から1段目)の蓄電素子23との間には緩衝材20が配置されている。蓋部13をケース本体12に取り付けることにより、緩衝材20が積層体21を押して固定し、振動や衝撃から積層体21を保護するとともに、各蓄電素子23を圧迫する。
【0023】
蓋部13の上面には、突出面13Aよりも外側に、蓋部13と、積層体21と、ケース本体12とを固定するための第1固定部材(図示せず)が配される固定孔14が貫通して形成されている。
【0024】
また、蓋部13の上面においては、前端部側に長方形状の蓋係止孔15が貫通して形成されている。蓋係止孔15は、前側に取り付けられる絶縁蓋部材17を係止する機能を有する。
【0025】
ケース本体12の前側の開口部に取り付けられた絶縁蓋部材17には、
図2に示すように、正極および負極のバスバー27が導出されるバスバー導出口18が形成されている。
【0026】
絶縁蓋部材17の下端部には、
図2に示すように、複数の電線30を導出するための略方形状の切欠部19が設けられている。この絶縁蓋部材17は、ケース本体12の開口部を覆うだけでなく積層体21の前方の端面側に配されるリード端子25を絶縁保護する機能を有している。
【0027】
(積層体21)
ケース11には
図4に示すように、積層体21が収容されている。本実施形態において、積層体21は、保持部材40が取り付けられた伝熱部材31に蓄電素子23を載置してなる蓄電ユニット22を、複数積層してなるものである。積層体21を構成する蓄電ユニット22は、蓄電素子23と、保持部材40と、伝熱部材31と、を備える。
【0028】
(蓄電素子23)
蓄電ユニット22において、上面視略長方形状の蓄電素子23は、
図6に示すように、短辺方向の一対の縁部を保持部材40により保持されるとともに、保持部材40に取り付けられた伝熱部材31の載置面31Aの上に載置されている。
【0029】
各蓄電素子23は、
図6および
図8に示すように、外側面のうち面積の広い面を上下に配して、略平行に配置されている。これにより面積の広い面が伝熱部材31に接触することとなり放熱性に優れたものとなっている。積層方向において隣り合う蓄電素子23は、相違する極性のリード端子25が対向する位置に配されるように配置されている。
【0030】
各蓄電素子23はラミネート型の電池である。各蓄電素子23は、図示しない発電要素と、発電要素を包むとともに側縁が溶着されたラミネートフィルムと、発電要素に接続されるとともにラミネートフィルムの溶着された対向する端部から外側方向に突出するリード端子25と、を有する。ラミネートフィルムは蓄電素子23の電池容器24である。
【0031】
(リード端子25)
隣り合う蓄電素子23の極性の相違するリード端子25は、詳細は図示しないが、最上段の蓄電素子23の正極リード端子25および最下段の負極リード端子25を除き、互いに逆方向に屈曲されるとともに、その端部同士を接触するように重ね合わせて溶接することにより接続されている。
【0032】
最上段の蓄電素子23の正極リード端子25および最下段の蓄電素子23の負極リード端子25は、電圧検知端子28およびバスバー27に直接重ねられて接続されている。
【0033】
リード端子25のラミネートフィルムの端部側の領域は、末端側の領域よりも幅広な幅広領域25Aとされ、この幅広領域25Aの角部25Bが保持部材40の蓄電素子保持部45に嵌り込んで、蓄電素子23の移動が規制されるようになっている。
【0034】
(バスバー27)
最上段の蓄電素子23に接続されるバスバー27(第1バスバー27A)は、蓄電モジュール10の正極として機能する端子であり、最下段の蓄電素子23に接続されるバスバー27は、蓄電モジュール10の正極として機能する端子(第2バスバー27B)である。各バスバー27は、純アルミ、アルミ合金、銅または銅合金などの導電性材料からなり、絶縁蓋部材17のバスバー導出口18から導出される部分が外部機器と接続される端子部27Cである。
【0035】
(伝熱部材31)
伝熱部材31は熱伝導性材料からなる部材であり、隣り合う蓄電素子23の間に配置されている。本実施形態では、熱伝導性材料として、熱伝導性に優れたアルミニウムまたはアルミニウム合金が用いられる。伝熱部材31の長手方向における一対の側縁には、
図9に示すように、上方に起立する熱伝導壁32が4つずつ間隔をあけて形成されている。この熱伝導壁32は、積層体21をケース11に収容したときにケース内壁面12Aに接触するように配置されて、蓄電素子23から発生する熱をケース11に伝導する機能を有する。蓄電素子23から発生した熱は熱伝導壁32を介してケース11に伝わり、ケース11の外に放熱されるようになっている。
【0036】
本実施形態の熱伝導壁32は、
図14に示すように、蓄電素子23を載置する載置面31A(伝熱部材31の上面)に対して鈍角をなすように(
図14の角θが90°より大きくなるように)上方に屈曲されており、上方に起立する壁部32Aは直線状をなして、ケース内壁面12Aに面接触するようになっている。
【0037】
伝熱部材31の長手方向に沿った一対の側縁には、
図13および
図14に示すように、長手方向の側縁と概ね平行に、断面視U字状の溝34がそれぞれ形成されている。伝熱部材31は熱伝導壁32が弾性変形することによって、蓄電素子23をケース内壁面12Aに高い接圧で接触するようになっている(
図5を参照)。
【0038】
さて、伝熱部材31は、
図13に示すように、短辺方向の両側縁に保持部材40に変位可能に取り付けられる取付孔36が形成された突出片35を2つずつ(合計4つ)有している。突出片35は対向する位置に設けられている。
【0039】
伝熱部材31の取付孔36には、後述する保持部材40の取付突部47が嵌り込むようになっている。伝熱部材31は、保持部材40に対して、蓄電素子23の厚み方向(上下方向)に変位可能な状態で取り付けられている。伝熱部材31は、積層方向において隣り合う蓄電素子23のリード端子25と接触しない範囲で変位する。
【0040】
伝熱部材31の2つの突出片35の間には保持部材40に対して位置決めされる位置決め突部37が設けられている。
【0041】
(保持部材40)
伝熱部材31の載置面31A上に載置された蓄電素子23の両側縁は、絶縁樹脂製の保持部材40により保持されている。保持部材40は1つの蓄電ユニット22につき2個ずつ(蓄電モジュール10全体としては12個)取り付けられている。12個の保持部材40を区別するときは、蓄電モジュール10の前方(
図4の左側)の保持部材40を、上から順に40A,40B,40C,40D,40E,40Fとし、蓄電モジュール10の後方(
図4の右側)の保持部材を上から順に40G,40H,40I,40J,40K,40Lとする。
【0042】
本実施形態において、上下方向において重なりあう保持部材40,40のうち、一方の保持部材40には、他方の保持部材40を係止する係合爪41が形成され、他方の保持部材40には係合爪41を受け入れる係合受け部42が設けられている。係合爪41と係合受け部42は相互に係合する構造となっている。上下方向において隣り合う保持部材40は2か所で係合している(
図6および
図7を参照)。
【0043】
本実施形態では、
図7及び
図8に示すように、複数の蓄電ユニット22を積層したときに、上下方向(積層方向)において隣り合う保持部材40,40の間に空間Sが形成されるようになっている。
【0044】
上下方向において隣り合う保持部材40,40の間の空間Sには、上下方向において、隣り合う極性の相違するリード端子25の接続部26(図示せず)が配されている。この空間Sには、隣り合う極性の相違するリード端子25を溶接する際の治具(図示せず)が挿入可能であり、保持部材40の
図7に示す側面または反対側の側面が治具を空間Sに挿入する挿入口43とされる。
【0045】
各保持部材40には、
図15および
図16に示すように、第1固定部材を挿通可能な2つの貫通孔44が貫通して設けられている。ここで
図15に示す保持部材40は最上段の蓄電ユニット22の前方に取り付けられる保持部材40Aであり、
図16に示す保持部材40は最上段の蓄電ユニット22の後方に取り付けられる保持部材40Gである。
【0046】
各保持部材40には、
図15及び
図16に示すように、リード端子25の幅広領域25Aの角部25Bが嵌り込む凹状の蓄電素子保持部45が形成されている。この蓄電素子保持部45により、リード端子25(蓄電素子23)は移動を規制される。
【0047】
各保持部材40には、
図9および
図10に示すように、蓄電素子23(電池容器24)の外周縁に対応して、伝熱部材31を抜け止めする抜け止め突部46が上方向(蓄電素子23の厚み方向)に突出形成されている。抜け止め突部46の上端には、
図9に示すように、伝熱部材31側に突出した抜け止め爪46Aが形成されている。抜け止め爪46Aの位置は、伝熱部材31を積層方向において隣り合う蓄電素子23のリード端子25と接触しない範囲で変位可能とする位置である。
【0048】
各保持部材40には、
図15および
図17に示すように、伝熱部材31の取付孔36に嵌り込む取付突部47が蓄電素子23の厚み方向(上方向)に突出形成されている。取付突部47は上面視長方形状をなしている。各保持部材40の2つの取付突部47の間には、伝熱部材31の位置決め突部37を受け入れる位置決め凹部49が設けられている。
【0049】
各保持部材40には、それぞれ、電圧検知端子28が保持される端子保持部50と、電圧検知端子28に接続された電線30を収容する電線収容溝51と、が設けられている。電線収容溝51には電線30の電圧検知端子28により圧着された圧着部29も保持されるようになっている。
【0050】
さらに、最上段の蓄電ユニット22の前方に配される保持部材40Aおよび最下段の蓄電ユニット22の前方に配される保持部材40Fには、それぞれ、バスバー27を保持するバスバー保持部52も設けられている。バスバー保持部52には、
図15に示すように、バスバー27が嵌めこまれる凹み部53と、凹み部53に嵌めこまれたバスバー27を抜け止めする複数の抜け止め凸部54とが形成されている。
【0051】
最上段に配される保持部材40A,40Gにはそれぞれ上方に突出形成され、積層体21をケース11内で固定する固定突部55が形成されている。
【0052】
各保持部材40の端部には、電線30を通す電線通し部56が設けられている。
後方に配される保持部材40G,40H,40I,40J,40K,40Lの電線通し部56に通された電線30は、積層体保持部材58に設けた電線保持部59にまとめて配索される。電線保持部59は、ケース本体12の後側面の上端に形成された電線導出孔からケース11外に突出するように配置される。電線導出孔からは、複数本の電線30がケース11の外部に導出される。
【0053】
また、最上段の後方に配される保持部材40Gには、積層体保持部材58が取り付けられるようになっている。具体的には保持部材40Gにおいては、積層体保持部材58を係止する凹状の係止部(係止凹部57)が形成されている。
【0054】
積層体保持部材58は、積層体21の後方の端面側に配されるリード端子25の接続部26とケース11との間に配され、リード端子25を絶縁保護する。積層体保持部材58には係止凹部57に嵌り込む係止爪部(図示せず)が形成されている。
【0055】
(本実施形態の蓄電モジュール10の組み立て方法)
次に本実施形態の蓄電モジュール10の組み立て方法について説明する。所定形状のリード端子25を備える蓄電素子23を合計6個準備する。
6枚の伝熱部材31の両側縁に、対応する保持部材40をそれぞれ取り付ける。伝熱部材31に保持部材40を取り付ける作業は、以下のようにして行う。伝熱部材31の位置決め突部37を保持部材40の位置決め凹部49に配置するとともに、伝熱部材31の突出片35を、保持部材40に設けた突出片受け部に配置して、伝熱部材31の取付孔36内に保持部材40の取付突部47を嵌めこむ。
【0056】
伝熱部材31が保持部材40の抜け止め突部46に当接すると、抜け止め突部46が撓み変形し、伝熱部材31が抜け止め爪46Aの下方に配されると、抜け止め突部46が弾性復帰して、伝熱部材31が保持部材40に対して抜け止めされる。
【0057】
次に、両側縁に保持部材40が取り付けられた伝熱部材31の所定位置に、電圧検知端子28と、必要に応じてバスバー27を取り付ける(
図12を参照)。
【0058】
電圧検知端子28の取り付け作業は、保持部材40の端子保持部50に電圧検知端子28を嵌めこんで取り付け、電線収容溝51に電線30を収容することにより実行することができる。
【0059】
バスバー27の取り付け作業は、以下のように行う。バスバー保持部52の凹み部53に、バスバー27を差し込むと、バスバー27と抜け止め凸部54が当接して、抜け止め凸部54が外側方向にたわみ変形する。バスバー27が凹み部53に嵌めこまれると、抜け止め凸部54が弾性復帰して、バスバー27の上方への移動を規制し抜け止め状態となる。
【0060】
次に、各伝熱部材31の載置面31Aに、蓄電素子23を載置することにより、蓄電ユニット22が得られる(
図9および
図10を参照)。伝熱部材31に蓄電素子23を載置するときには、蓄電素子23の電池容器24の4つの角部24Aを、抜け止め突部46に対応するように配置する。本実施形態において、抜け止め突部46は電池容器24(蓄電素子23)の角部24A(外周縁)に対応して設けられているので、蓄電素子23の位置決めが容易である。
伝熱部材31に対して位置決めした蓄電素子23を、そのリード端子25の角部25Bが、各保持部材40の蓄電素子保持部45に嵌るように伝熱部材31の載置面31Aに載置すると、蓄電ユニット22が得られる。
【0061】
次に、蓄電ユニット22を下から上に積層していく。ここで、蓄電素子23の厚み寸法には製造公差があるため、蓄電素子23の厚み寸法と伝熱部材31厚み寸法の和が保持部材40の厚み寸法と同一にならない場合もある。本実施形態の伝熱部材31は保持部材40に対して蓄電素子23の厚み方向に変位可能に取り付けられているので、下から上に蓄電ユニット22を積層する際に伝熱部材31が変位する(
図8を参照)。
【0062】
ここで、伝熱部材31が例えば上方に変位しすぎると、伝熱部材31が保持部材40から抜けてしまうが、本実施形態では保持部材40に抜け止め突部46が設けられているので、伝熱部材31は抜け止めされる。
【0063】
また、保持部材40の抜け止め爪46Aの位置は、伝熱部材31を積層方向において隣り合う蓄電素子23のリード端子25と接触しない範囲で変位可能とする位置であるので、伝熱部材31の変位量が大きくても、上下方向で隣り合う蓄電素子23のリード端子25とは接触しない。
【0064】
6つの蓄電ユニット22を積層すると、積層方向において重なりあう保持部材40の一方の係合爪41と他方の係合受け部42とが相互に係合して一体化され、
図6〜
図8に示すような積層体21が得られる。このとき6段に積層された保持部材40の貫通孔44が重なって、1つの貫通した孔となるとともに隣り合う保持部材40間に空間Sが形成される。
【0065】
この積層体21においては、伝熱部材31が蓄電素子23の厚み方向に変位することで製造公差が吸収され、伝熱部材31の載置面31Aとは反対側の面31Bは積層方向において隣り合う(下方に配される)蓄電素子23と面接触する。
【0066】
次に、上下に隣り合う保持部材40の間の挿入口43から空間S内に溶接用の治具を挿入して、上下方向において、隣り合う2つのリード端子25の端部同士を接合する。2つのリード端子25の端部を重ねた部分をリード端子25の突出する方向に対し交差する方向に挿入した一対の治具で挟んで、レーザー光を照射することにより溶接することで、隣り合う極性の相違するリード端子25同士を接続する。
【0067】
このようにして得られた積層体21の後方の端面側に積層体保持部材58を取り付けて積層体21を保持状態とする。
【0068】
次に電線30を電線通し部56に挿通させて、前方の保持部材40の電線通し部56に挿通された電線30を下方に配索し、後方の保持部材40の電線通し部56に挿通された電線30を積層体保持部材58の電線保持部59に挿通させる。
次に、積層体保持部材58の電線保持部59を、ケース本体12の電線導出孔12Bに嵌めこみつつ、積層体21をケース本体12に収容する。積層体21をケース本体12内に収容すると、伝熱部材31の熱伝導壁32が弾性変形し、積層体21がケース本体12の底壁部に載置されると、熱伝導壁32が弾性復帰し、熱伝導壁32の上方に起立する壁部32Aがケース内壁面12Aに面接触するように配される(
図5を参照)。
【0069】
次に、絶縁蓋部材17をケース本体12の前側の開口部に取り付ける。具体的には、絶縁蓋部材17の切欠部19から積層体21の前側から導出される電線30を導出させるとともに、絶縁蓋部材17のバスバー導出口18からバスバー27を導出させるようにして、絶縁蓋部材17をケース本体12に取り付ける。次に、蓋部13をケース本体12の上面を覆うように被せ付けると、
図1に示すような、蓄電モジュール10が得られる。
【0070】
次に、蓋部13とケース本体12の底壁部との間において、積層体21の端部に配されている保持部材40の貫通孔44に第1固定部材を貫通させた状態で、図示しない治具に蓋部13の固定孔14、中空の第1固定部材およびケース本体12の底壁部の固定孔(図示せず)を挿入して位置合わせを行った後、ビスまたはピンを用いて蓋部13とケース本体12を固定する。このようにして蓄電モジュール10が完成する。
【0071】
(本実施形態の作用および効果)
次に、本実施形態の作用および効果について説明する。
本実施形態において、伝熱部材31は、保持部材40に対して、蓄電素子23の厚み方向に変位可能な状態で取り付けられている。したがって、本実施形態によれば、蓄電素子23の厚みに合わせて伝熱部材31が変位することで製造公差によるばらつきが吸収されるので、積層方向において隣り合う蓄電ユニット22の伝熱部材31と蓄電素子23との接触面積が大きくなり、放熱性が向上する。
【0072】
また、本実施形態によれば、保持部材40には伝熱部材31を抜け止めする抜け止め突部46が形成されているから、伝熱部材31が蓄電素子23の厚み方向に大きく変位したとしても、保持部材40に設けた抜け止め突部46により伝熱部材31が抜けることを防止することができる。
【0073】
また、本実施形態によれば、伝熱部材31は、保持部材40に対して、積層方向において隣り合う蓄電素子23のリード端子25と接触しない範囲で変位するように取り付けられているから、伝熱部材31の変位する範囲を、積層方向において隣り合う蓄電素子23のリード端子25と接触しない範囲とすることができ、伝熱部材31とリード端子25との接触に起因する短絡の発生を防止することができる。
【0074】
また、本実施形態によれば、保持部材40には、蓄電素子23の厚み方向に突出する取付突部47が設けられる一方、伝熱部材31には取付突部47を受け入れる取付孔36が設けられているから、取付突部47と取付孔36を設けるだけで、伝熱部材31を保持部材40に取り付けるための構造を設けることができ、構造の簡素化を図ることができる。
【0075】
さらに、本実施形態によれば、抜け止め突部46は、蓄電素子23の外周縁と対応して形成されているから、抜け止め突部46が蓄電素子23を伝熱部材31に載置するときに、蓄電素子23の位置決め部としても機能し、位置合わせが容易なものとなる。
【0076】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、伝熱部材31を抜け止めする抜け止め突部46が形成されている保持部材40を示したが、抜け止め突部のない保持部材であってもよい。
(2)上記実施形態では、抜け止め突部46が、蓄電素子23の外周縁と対応して4つ形成されている保持部材40を示したが、抜け止め突部の数は4つ以外(例えば1〜3、5以上)であってもよいし、蓄電素子の外周縁と対応しない位置に形成されていてもよい。
(3)上記実施形態では、抜け止め突部46の上端に設けた抜け止め爪46Aの位置を、伝熱部材31を積層方向において隣り合う蓄電素子23のリード端子25と接触しない範囲で変位可能とする位置に設定した例を示したが、抜け止め爪46A以外の方法により、伝熱部材が、保持部材に対して、積層方向において隣り合う蓄電素子のリード端子と接触しない範囲で変位するように取り付けられている構成としてもよい。
(4)上記実施形態では、保持部材40に蓄電素子23の厚み方向に突出する取付突部47が設けられ、伝熱部材31に取付突部47を受け入れる取付孔36が設けられている例を示したが、保持部材に取付孔を設けて、伝熱部材に取付孔に嵌り込む取付突部を設けてもよい。
(5)上記実施形態では、ケース内壁面12Aと接触する熱伝導壁32が設けられている伝熱部材31を示したが、熱伝導壁の設けられていない伝熱部材であってもよい。
(6)上記実施形態では、伝熱部材31がアルミニウムまたはアルミニウム合金製である例を示したが、熱伝導性の材料からなる伝熱部材であれば、構成材料は限定されない。
(7)上記実施形態では、蓄電素子23が電池である例を示したが、蓄電素子は、コンデンサなどであってもよい。
(8)上記実施形態では、ISG用の蓄電モジュール10に用いる例を示したが、他の用途の蓄電モジュールに用いてもよい。