(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る半導体装置の配線基板を示す断面図である。
【
図2】本発明の実施の形態1に係る半導体装置の配線基板を示す上面図である。
【
図3】本発明の実施の形態1に係る半導体装置の配線基板を示す下面図である。
【
図6】半導体チップを配線基板10の上方に位置させた状態を示す断面図である。
【
図7】半導体チップのバンプと配線基板のバンプとを圧接させる様子を示す断面図である。
【
図8】配線基板の上面に半導体チップをフリップチップボンドした状態を示す上面図である。
【
図9】配線基板及び半導体チップをO
2プラズマに晒す様子を示す断面図である。
【
図10】半導体チップと配線基板の間隙にアンダーフィル樹脂を注入する様子を示す断面図である。
【
図11】配線基板及び半導体チップをベーク炉内に入れてベークを行う様子を示す断面図である。
【
図12】半導体チップの裏面に放熱樹脂を塗布する様子を示す断面図である。
【
図13】半導体チップの裏面にヒートスプレッダーを接着する様子を示す断面図である。
【
図14】配線基板、半導体チップ及びヒートスプレッダーをベーク炉内に入れてベークを行う様子を示す断面図である。
【
図15】半導体チップ上にヒートスプレッダーを搭載した状態を示す上面図である。
【
図16】配線基板の下面にフラックスを塗布する様子を示す断面図である。
【
図17】半田ボールを配線基板の上方に位置させた状態を示す断面図である。
【
図18】半田ボール37を載せた配線基板をリフロー炉内に入れ、リフローを行う様子を示す断面図である。
【
図19】半田ボールを接合した配線基板の下面図である。
【
図20】テストピン上に半田ボールを位置合わせした状態を示す断面図である。
【
図21】本発明の実施の形態1に係る半導体装置を示す断面図である。
【
図22】本発明の実施の形態2に係る半導体装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1に係る半導体装置の製造方法について図面を用いて説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態1に係る半導体装置の配線基板を示す断面図であり、
図2はその上面図であり、
図3はその下面図である。
【0015】
この配線基板10は、コア基板11の上面にビルドアップ基板12a,12bを重ね、下面にビルドアップ基板12c,12dを重ねて、真空プレス等を用いて熱圧着させて一体化させたものである。ただし、配線基板10の反りを防ぐために、コア基板11の上下には同じ枚数のビルドアップ基板を張り合わせている。
【0016】
そして、コア基板11及びビルドアップ基板12a〜12dは、それぞれガラスクロスに絶縁性樹脂を含浸させて板状に固形化した層を含む。ここで、ガラスクロスは、長いガラス繊維からなる織布でも、短いガラス繊維からなる不織布でもよい。そして、ガラスクロスの代わりに、絶縁性樹脂に比べて剛性が高い他の絶縁材料、例えばカーボンファイバー等からなるクロスを用いることもできる。
【0017】
また、絶縁性樹脂としては、例えばポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニルサルホン、ポリフタルアミド、ポリアミドイミド、ポリケトン、ポリアセタール、ポリイミド、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、テトラフルオロエチレン、エポキシ、及びビスマレイミド系樹脂等を用いることができる。
【0018】
また、コア基板11には、ドリルによりスルーホール13が形成されている。スルーホール13の径は100〜300μmであり、ここでは200μmである。そして、スルーホール13の側壁にはCu等からなるスルーホールビア14がメッキ法等により形成されている。また、コア基板11の上面に、Cu等からなる配線層15がめっき法及びフォトリソグラフィ等により形成されている。そして、コア基板11の下面に、Cu等からなる配線層16が同様にして形成されている。この配線層15と配線層16は、スルーホールビア14を介して接続されている。
【0019】
また、ビルドアップ基板12a〜12dにも、それぞれスルーホール17が形成されている。ただし、ビルドアップ基板12a〜12dはコア基板11に比べて薄く、微細な加工が容易であるため、ビルドアップ基板12a〜12dのスルーホール17はコア基板11のスルーホール13に比べて径が小さく、具体的には30〜100μmであり、ここでは50μmとする。このスルーホール17の形成にはUV−YGAレーザ、炭酸ガスレーザ、エキシマレーザ、プラズマを用いるドライエッチング法等を用いることができる。
【0020】
また、ビルドアップ基板12a〜12d上には、それぞれCu等からなる配線層18がめっき法及びフォトリソグラフィ等により形成されている。そして、スルーホール17にCu等の導電ペーストを充填することで、スルーホールビア19が形成されている。
【0021】
また、配線基板10の表面はソルダーレジスト20で覆われている。このソルダーレジスト20には開口が設けられ、最上位及び最下位の配線層18の一部が露出している。ソルダーレジスト20としては、エポキシ系、ポリイミド系、アクリル系、BT系等の電気的及び熱的に優れている樹脂を用いることができる。
【0022】
そして、露出している最上位の配線層18上に、鉛フリー半田からなるバンプ21aがメッキ法や蒸着法により形成されている。このバンプ21aは配線基板10上に格子状に並べられている。
図2においては、バンプ21aは、半導体チップ22が配置される領域にフルマトリックス状に配置されているが、様々な配列が適宜選択可能である。また、鉛フリー半田とは、鉛が含まれていないか、又は環境負荷が少ない程度(1wt%未満)の鉛しか含まれていない半田である。ここでは、鉛フリー半田として、SnにCuが1〜3%含有したものを用いる。
【0023】
図4は、半導体チップの側面図であり、
図5はその下面図である。半導体チップ22の実装面に、鉛フリー半田からなるバンプ21bがメッキ法や蒸着法により形成されている。半導体チップ22の部分拡大断面図を
図23に記載する。半導体チップ22は、シリコン基板100と、シリコン基板100上に形成されたMOSFETなどの半導体素子101と、SiO
2絶縁膜102、SiCNエッチングストッパ膜103、SiOC低誘電率膜104及びSiOF密着膜105の積層構造からなる層間絶縁膜と、この層間絶縁膜に埋め込まれたタングステンプラグやCu配線などからなるチップ内配線層106と、層間絶縁膜上に形成されたアルミパッド層107と、アルミパッド層107を露出するように開口が形成されたSiO
2/SiN積層膜からなる無機パシベーション膜108及びポリイミド膜(PiQ膜)からなる有機パシベーション膜109の積層膜と、アルミパッド層107上に形成された例えばTi/Cu/Ni積層膜からなるバリアメタル110と、バリアメタル110上に形成されたバンプ21bとを備えている。半導体チップ22内の層間絶縁膜として、SiO
2膜の誘電率K=4.3よりも低い誘電率の膜を使用する場合、層間絶縁膜の強度低下が問題となる。特に、一般的なSiO
2膜であるTEOS膜などに比較して、膜の密度を低下させることで誘電率を低減するポーラスLow−k膜においてはその問題は顕著であり、チップにかかる応力を低減する技術は、半導体装置の信頼性を向上する上で非常に重要となる。本実施の形態においては、低誘電率膜としてポーラスSiOC膜を採用する。このポーラスSiOC膜は、主にSi−CH3基を多く含むメチル含有ポリシロキサンであり、CH3の存在により分子構造内に間隙を生じるために多孔質となり、誘電率が低下している。また、半導体チップ22を構成する材料としては、上記に具体例を示したが、これらに限る物ではなく、例えば、低誘電率膜として、SiOCHベースのポーラス低誘電率膜や、Nano Clustering Silica膜などのポーラスシリカ系材料、ポーラスHSQと呼ばれるH含有ポリシロキサン、有機ポリマー膜、有機ポリマーのポーラス膜などが適宜使用可能である。
【0024】
次に、上記の配線基板10上に半導体チップ22をフリップチップボンドする工程について説明する。
【0025】
まず、
図6に示すように、ボンディングステージ24上の所定の位置に、配線基板10を載置する。そして、ボンディングヘッド25の下面に、バンプ21bを形成した面を下にして半導体チップ22を真空吸着する。そして、ボンディングヘッド25を水平移動させて、半導体チップ22を配線基板10の上方に位置させる。
【0026】
この際、ボンディングステージ24は、内蔵しているヒータ(不図示)により配線基板10を150℃程度に加熱する。同様に、ボンディングヘッド25は、内蔵しているヒータ(不図示)により半導体チップ22を150℃程度に加熱する。
【0027】
次に、
図7に示すように、ボンディングヘッド25を下降させ、半導体チップ22のバンプ21bと配線基板10のバンプ21aとを圧接させる。この状態で、ボンディングヘッド25により半導体チップ22を半田融点以上の260℃程度に加熱し、バンプ21a,21bを溶融した状態で、ボンディングヘッド25を水平方向又は垂直方向へ周期的に律動(スクラブ)させる。この結果、バンプ21aとバンプ21bが一体化してバンプ21が形成される。
【0028】
その後、ボンディングヘッド25を半田融点より低い温度に冷却し、バンプ21を固化する。そして、ボンディングヘッド25による半導体チップ22の吸着を解除し、ボンディングヘッド25を上昇させて、ボンディングを終了させる。
図8は、配線基板の上面に半導体チップをフリップチップボンドした状態を示す上面図である。
【0029】
上記の工程により、フラックスを用いることなく配線基板10に半導体チップ22をバンプ21を介してフリップチップボンドを行うことができるため、フラックスの洗浄工程を省略することができる。また、フラックス残渣の膨張によりバンプ21内にボイドが形成されることがないため、信頼性を向上させることができる。
【0030】
次に、熱応力等によりバンプ21が損傷するのを防止するために、半導体チップ22と配線基板10との間にアンダーフィル樹脂を設ける工程について説明する。
【0031】
まず、
図9に示すように、配線基板10及び半導体チップ22をO
2プラズマに晒す。このO
2プラズマはアルゴンスパッタ等に比べて狭い隙間にも入り込むため、半導体チップ22と配線基板10の間隙にもO
2プラズマを供給することができる。
【0032】
このプラズマ処理によって、配線基板10や半導体チップ22の表面保護膜(例えばポリイミド膜などの有機樹脂膜)が清浄化され、また活性化(粗面化)される。これにより、後で形成するアンダーフィル樹脂との密着性を向上することができる。また、半導体チップ22と配線基板10の間隙におけるアンダーフィル樹脂の充填率を向上することができる。
【0033】
次に、
図10に示すように、半導体チップ22と配線基板10の間隙に、ペースト状または液状のアンダーフィル樹脂28を注入する。アンダーフィル樹脂28としては、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができ、フィラーなどを含有させてもよい。
【0034】
ここで、アンダーフィル樹脂として、ガラス転移温度(Tg)が100〜120℃、例えば110℃のものを用いる。ただし、Tgの測定方法には様々なものがあるが、ここではDMA法(引張り法)を用いる。
【0035】
次に、
図11に示すように、配線基板10及び半導体チップ22をベーク炉29内に入れ、従来よりも低温である125℃程度で6時間程度のベークを行う。これにより、アンダーフィル樹脂28を硬化する。
【0036】
このようにTgを100℃以上とすることで、一般的に動作信頼性が求められる125℃〜150℃程度でも、アンダーフィル樹脂の弾性率を確保することができる。このため、バンプを十分に保護することができる。
【0037】
また、Tgを120℃以下とすることで樹脂硬化温度(キュア温度)を低くすることができる。このため、アンダーフィル樹脂を硬化した後、樹脂硬化温度から低温へ変化させた場合の温度差を小さくすることができ、チップにかかる内部応力を小さくすることができる。
【0038】
次に、半導体チップ22の裏面(実装面と反対側の面)にヒートスプレッダーを接着する工程について説明する。
【0039】
まず、
図12に示すように、半導体チップ22の裏面に放熱樹脂31を塗布する。次に、
図13に示すように、半導体チップ22の裏面にヒートスプレッダー32を放熱樹脂31により接着する。なお、ヒートスプレッダー32の材質としては、放熱性を考慮して、Cu,Al,Al−Si−Cu合金などを用いることができる。
【0040】
スティフナーをコスト削減のため省略し、ヒートスプレッダーのチップ周囲に突出する部分と、配線基板上面との間に、チップの厚さと同等以上の隙間を有する形状とするため、放熱樹脂31が薄いと半導体チップ22にクラックやダメージが入り易くなる。一方、放熱樹脂31が厚いと熱の発散特性が悪くなる。従って、放熱樹脂31の厚み(ギャップ)を高精度に制御する必要がある。
【0041】
そこで、放熱樹脂31に混入するフィラーのサイズを最適化して、放熱樹脂31の厚みを制御する。ここでは、フィラーの平均粒径が13μmのものを用いる。ただし、フィラーのサイズには分布があるので、メッシュを用いて、粒径が45μm以上のものをカットする。これにより、放熱樹脂の厚みを60±20μmに制御することができる。
【0042】
即ち、放熱樹脂の所望の厚みをAとし、フィラーの最大粒径をBMAXとして、
A×4/5≧BMAX
の関係を有するようにフィラーを選択する。これにより、放熱樹脂の厚みを所望の厚みを中心とした一定の範囲内に制御することができる。放熱樹脂31としては、作業性の容易さや、熱伝導率の高さから、シリコーン系の熱硬化型放熱樹脂を用いるのが好ましい。シリコーン系放熱樹脂は、シリコーンオイルを基材に、アルミナなど熱伝導性の高い粉末を配合した樹脂である。硬化前の状態では、粘性の高いグリース状の製品であるため、治具の位置制御を利用することによって、放熱樹脂31の厚さを比較的容易に、かつ、かなり高い精度で制御することができる。放熱樹脂31の粘性としては、少なくともアンダーフィル樹脂28の注入時の粘性よりも高い物が好ましい。フィラーの最大粒径BMAXとしては、放熱樹脂の厚みAの4/5以下に限らないが、放熱樹脂の厚みが最も小さくなる部分AMINよりも、フィラーの最大粒径BMAXが小さくなる関係であることが好ましい。BMAXが、AMINと同じ、又はそれよりも大きくなると、ヒートスプレッダー32と半導体チップ22裏面との間に、フィラーが挟み込まれる可能性が高くなる。特に、本実施の形態のように、半導体チップ22の周囲に、スティフナーなど、ヒートスプレッダー32を強固に支える構造を有さない場合は、ヒートスプレッダーを貼り付ける工程において、荷重制御のみによって放熱樹脂の厚みを制御しようとすると、ヒートスプレッダー32と半導体チップ22との間に挟まれたフィラーによって、半導体チップ22裏面にクラックが入り、半導体装置の信頼性を落とす可能性がある。
【0043】
また、フィラーの形状を球形にして、半導体チップ22やヒートスプレッダー32に対するダメージを小さくする。ここで、フィラーの形状が厳密に球形でない場合は、フィラーの粒径は、最も長い所の径とする。
【0044】
次に、
図14に示すように、配線基板10、半導体チップ22及びヒートスプレッダー32をベーク炉29内に入れてベークを行い、放熱樹脂31を硬化する。これにより、半導体チップ22上にヒートスプレッダー32を搭載する。
【0045】
図15は、半導体チップ22上にヒートスプレッダー32を搭載した状態を示す上面図である。ヒートスプレッダー32は配線基板10に比べて小さくする。これにより、コストを低減することができる。ただし、放熱性を確保するために、ヒートスプレッダー32は半導体チップ22より大きくする。
【0046】
次に、配線基板10の下面に、外部接続端子となる半田ボールを接合する工程について説明する。
【0047】
まず、
図16に示すように、配線基板10の上面を下にして、配線基板10の上面(半導体チップ22を搭載した面)であってヒートスプレッダー32よりも外側の部分と配線基板10の側面とに接する保持手段33により配線基板10を保持する。これにより、半導体チップ22及びヒートスプレッダー32へストレスを与えることなく配線基板10を保持することができる
【0048】
そして、配線基板10を保持した状態で、配線基板10の下面にマスク34を介してフラックス35を塗布する。これにより、配線基板10の下面で露出している配線層18にフラックス35が塗布される。ただし、フラックス35の代わりに半田ペーストを塗布してもよい。
【0049】
次に、
図17に示すように、ボール搭載ヘッド36の下面に、鉛フリー半田からなる半田ボール37を真空吸着する。そして、ボール搭載ヘッド36を水平移動させて、半田ボール37を配線基板10の上方に位置させる。そして、ボール搭載ヘッド36を下降させて、半田ボール37を配線基板10のフラックス35上に搭載する。その後、ボール搭載ヘッド36による半田ボール37の吸着を解除し、ボール搭載ヘッド36を上昇させる。
【0050】
次に、
図18に示すように、半田ボール37を上に向けて配線基板10を保持手段33により保持した状態でコンベア38に載せ、リフロー炉39内に入れ、リフローを行って、半田ボール37を配線基板10に接合する。その後、洗浄を行ってフラックス35を除去する。
図19は、半田ボールを接合した配線基板の下面図である。
【0051】
次に、
図20に示すように、配線基板10の半田ボール37を接合した面を下に向けて、バネ等の弾性部材からなるテストピン41上に半田ボール37を位置合わせする。そして、上側から押え治具42により配線基板10を押えることで、配線基板10の半田ボール37をテストピン41に押し付ける。ただし、押え治具42はヒートスプレッダー32及び半導体チップ22を内包する空間を有し、配線基板10の上面であってヒートスプレッダー32よりも外側の部分を押える。
【0052】
この状態で、テストピン41と半田ボール37との間で電気信号をやり取りすることで、配線基板10及び半導体チップ22の電気的テストを行う。
【0053】
以上の工程により、
図21に示すような本発明の実施の形態1に係る半導体装置が完成する。その後、上記の半導体装置は、半田ボール37を用いてマザーボード等に実装される。
【0054】
この半導体装置は、従来は配線基板を補強し前記ヒートスプレッダーの平坦性を持たせるために設けられていたスティフナーをコスト削減のために省略し、ヒートスプレッダーのチップ周囲に突出する部分の大部分と、配線基板上面との間に、チップの厚さと同等以上の隙間を有する形状としている。アンダーフィル樹脂28の量が多い場合には、ヒートスプレッダーのチップ周囲に突出する部分のごく一部と、配線基板上面との間を埋めるような形状になる場合があるが、スティフナーを有する場合に比較して、配線基板の補強の効果はごく限定的である。このように、チップ周囲の配線基板上面の大部分が露出する形状においては、配線基板自体の剛性の向上が重要となる。そして、配線基板10において、コア基板11だけでなく、ビルドアップ基板12a〜12dもガラスクロスを含有する。
【0055】
即ち、配線基板10は、それぞれ径が異なるスルーホールが設けられた複数の絶縁基板(コア基板11とビルドアップ基板12a〜12d)を有し、各絶縁基板がガラスクロスを含有する。また、配線基板10は、径が100μm以下のスルーホールが設けられた絶縁基板(ビルドアップ基板12a〜12d)を有し、この絶縁基板もガラスクロスを含有する。
【0056】
これにより、配線基板10全体として剛性を高くすることができる。従って、コスト削減のためにスティフナーを省略した場合でも、配線基板10の反りや歪みを防ぐことができる。また、ビルドアップ基板12a〜12dを構成する絶縁層には、コア基板11に比較して、より微細なスルーホールの形成が要求される。スルーホールの直径を小さくすることにより、配線を配置できる部分の面積が広くなり、配線レイアウトの自由度が向上する。特に、半導体チップ22に形成される電極の数、すなわちバンプ21の数が、例えば数百個以上と多い場合には、バンプ21と接続する最上層の配線層18のレイアウト自由度の確保が重要となる。そこで、最上層の配線層18と接続するスルーホールビア19がその内部に形成されるビルドアップ基板12bには、微細加工における加工精度の確保が不可欠となる。本実施の形態においては、ビルドアップ基板12a〜12dの加工精度を確保するため、ビルドアップ基板12a〜12dが含有するガラスクロスの厚さを、コア基板11が含有するガラスクロスの厚さよりも薄くしている。また、ビルドアップ基板12a〜12dの厚さも、コア基板11よりも薄くしている。このように、コア基板11に比較して、薄いガラスクロスを使用し、かつビルドアップ基板12a〜12d各層も薄くする事により、ビルドアップ基板12a〜12dの剛性を保ちつつ、加工精度を向上し、微細なスルーホール17の形成を容易にしている。また、本実施の形態に記載のように、半導体チップ22として、従来のSiO
2層間絶縁膜の替わりに、例えばTEOS膜に比較して脆弱なポーラス低誘電率膜などを有するものを用いる場合、ガラスクロスによって強度を増したビルドアップ基板12a〜12dを採用することは特に有効である。即ち、ビルドアップ基板12a〜12dの強度を増すことによって、半導体チップ22に及ぼす内部応力を軽減でき、半導体チップ22内部の脆弱層での剥離の発生を防ぐことができる。また、半導体チップ22として、その主面上には、ポリイミドパシベーション膜などの有機系パシベーション膜が形成されていることが好ましい。ポリイミドなど有機系パシベーション膜は、SiN膜など無機系パシベーション膜に比較して、アンダーフィル樹脂28との密着性が高い。有機系パシベーション膜で半導体チップ22の主面上を覆うことにより、アンダーフィル樹脂28と、半導体チップ22との界面での剥離を防ぐことができる。アンダーフィル樹脂28と半導体チップ22との界面のほぼ均等な接着状態を維持することにより、局所的な応力集中による低誘電率膜内部での剥離などの問題の発生を未然に防ぐことができる。本実施の形態において、配線基板10として、各層にガラスクロスを含有することで高い剛性を有するものを用いる場合について記載した。しかし、配線基板の各層の剛性を向上させる手段としては、ガラス繊維を布状に織ったガラスクロスを用いる方法に限らず、ガラス繊維で形成した不織布型のガラスクロスを用いる方法や、短いガラス繊維を強化剤として含有させる方法などが適宜選択可能である。また、繊維の材質としても、シリカを基材とするガラスに限らず、カーボンファイバーを使用した物などを適宜選択可能である。
【0057】
実施の形態2.
図22は、本発明の実施の形態2に係る半導体装置を示す断面図である。実施の形態1との相違は、配線基板10として、コア基板を用いず、径が100μm以下のスルーホールが設けられた薄い絶縁基板43a〜43dを真空プレス等により熱圧着させて一体化させたものを用いる。ただし、各絶縁基板43a〜43dは、それぞれガラスクロスに絶縁性樹脂を含浸させて板状に固形化した層を含む。その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0058】
これにより、配線基板10全体として剛性を高くすることができる。従って、コスト削減のためにスティフナーを省略した場合でも、配線基板10の反りや歪みを防ぐことができる。
【0059】
実施の形態3.
実施の形態3では、放熱樹脂31に混入するフィラーとして実施の形態1よりも小さいものを用いて、放熱性を向上させる。具体的には、平均粒径が5.8μm、最大粒径が24μmのフィラーを用いる。
【0060】
そして、放熱樹脂31の厚みを制御するために、放熱樹脂31に球形ジルコニアからなるスペーサを混入する。具体的には、平均粒径25μm、最大粒径33μmのスペーサを用いる。このスペーサにより、放熱樹脂31の厚みを60±20μmに制御することができる。
【0061】
即ち、放熱樹脂の所望の厚みをAとし、スペーサの平均粒径をCとして、
A×9/10≧C
の関係を有するようにスペーサを選択する。これにより、放熱樹脂の厚みを所望の厚みを中心とした一定の範囲内に制御することができる。
【0062】
そして、フィラーの最大粒径をBMAX、スペーサの最大粒径をCMAXとして、
CMAX>BMAX
の関係を有するようにスペーサを選択する。これにより、フィラーではなくスペーサにより放熱樹脂の厚みを制御することができる。
【0063】
また、フィラーの平均粒径をBとし、スペーサの最小粒径をCMINとし、フィラーの専有率90%を占める粒径をB90%として、
C>BMAX
CMIN>B
CMIN>B90%
の何れかの関係を有するようにスペーサを選択する。これにより、スペーサの利用効率を向上することができる。
【0064】
また、放熱性を向上させるために、スペーサの放熱樹脂における含有率は10volume%以下、好ましくは5volume%以下にする。
【0065】
実施の形態4.
実施の形態4では、半導体チップ22とヒートスプレッダー32を接着する放熱樹脂31のフロー性を以下の値に設定する。ここで、放熱樹脂31のフロー性を、室温25℃中において10mm上方から1gの放熱樹脂を平面上に滴下させ、その放熱樹脂の広がりを測定することで決めるものとする。
【0066】
従来は、この測定方法において広がりが19mmのフロー性の放熱樹脂を用いていた。しかし、スティフナーを省略した場合、半導体チップ22上にヒートスプレッダー32を搭載した後の搬送において、マウントしてからキュアするまではまだ樹脂は固まってない液体状態なので、振動・傾斜によってヒートスプレッダー32のずれが発生するという問題があった。
【0067】
これに対し、実施の形態4では、上記の測定方法において広がりが4mm以上12mm以下、例えば8mmのフロー性の放熱樹脂を用いる。このように、広がりが12mm以下のフロー性の放熱樹脂を用いることにより、ヒートスプレッダー32のずれを防ぐことができる。また、広がりが4mm以上のフロー性の放熱樹脂を用いることにより、半導体チップ22上に放熱樹脂31を塗布した場合に十分に濡れ広がるため、ボイドの発生を防ぐことができる。