特許第5975019号(P5975019)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5975019
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】排気浄化装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20160809BHJP
【FI】
   G03G21/00 538
   G03G21/00 510
【請求項の数】11
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2013-258472(P2013-258472)
(22)【出願日】2013年12月13日
(65)【公開番号】特開2015-114618(P2015-114618A)
(43)【公開日】2015年6月22日
【審査請求日】2015年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水野 浩
(72)【発明者】
【氏名】田代 茂
(72)【発明者】
【氏名】松浦 晋也
(72)【発明者】
【氏名】山口 真広
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正幸
(72)【発明者】
【氏名】吉川 彰一
【審査官】 藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−271272(JP,A)
【文献】 特開平10−149067(JP,A)
【文献】 特開平06−301260(JP,A)
【文献】 特開2012−022015(JP,A)
【文献】 特開2008−268427(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置の通気口から排気される空気を浄化する浄化ダクトを有する排気浄化装置において,
前記浄化ダクトの内部に連通し,画像形成装置の通気口と接続するための1以上の吸入口と,
前記浄化ダクトの内部の空気を外部に排出する排出口と,
前記浄化ダクトにおける前記吸入口から前記排出口までの間に設けられた,前記吸入口から前記排出口に向かう向きに空気を流すファンおよびその空気中の微粒子を回収するフィルターと,
前記吸入口における気流を検出する気流検出部と,
前記吸入口が画像形成装置の通気口に接続されている状態で,前記ファンを駆動して画像形成装置の通気口からの排気を浄化する通常モード,および,前記気流検出部が検出した気流により,前記吸入口が接続されている画像形成装置の通気口が,排気を行う通気口であるか否かを判別する取付判別モードを実行する制御部とを有し,
前記制御部は,
前記取付判別モードにより,前記吸入口であって,画像形成装置における排気を行う通気口以外の通気口に接続されていると判別されたものについては,画像形成装置の通気口との接続を無効とするための無効化制御を行い,
前記吸入口であって,接続が無効とされていないものが存在する場合に前記通常モードを行うものであることを特徴とする排気浄化装置。
【請求項2】
請求項1に記載の排気浄化装置において,
前記制御部は,前記取付判別モードの実行時には,
前記気流検出部が前記吸入口における前記浄化ダクトの外部から内部へ向かう向きの気流を検出した場合,前記吸入口が画像形成装置の排気を行う通気口に接続されていると判別し,
前記吸入口が画像形成装置の排気を行う通気口に接続されていると判別しない場合,前記吸入口が画像形成装置における排気を行う通気口以外の通気口に接続されていると判別するものであることを特徴とする排気浄化装置。
【請求項3】
請求項2に記載の排気浄化装置において,
前記制御部は,前記取付判別モードの実行時には,
前記気流検出部が前記吸入口における前記浄化ダクトの外部から内部へ向かう向きの気流を検出し,その気流の風量が予め定めた閾値風量以上の風量である場合に限り,前記吸入口が画像形成装置の排気を行う通気口に接続されていると判別するものであることを特徴とする排気浄化装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の排気浄化装置において,
前記制御部は,前記取付判別モードを,前記ファンを停止させた状態で実行するものであることを特徴とする排気浄化装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の排気浄化装置において,
前記浄化ダクト内の空気の流れ方向について前記ファンよりも上流の位置に設けられ,前記浄化ダクトの内部と外部とを連通させない閉状態と,前記浄化ダクトの内部と外部とを連通させる開状態とをとる開放部を有し,
前記開放部は,前記開状態をとることにより,前記吸入口の画像形成装置との接続を無効とするものであることを特徴とする排気浄化装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の排気浄化装置において,
ユーザーに情報を表示する表示部と,
ユーザーが入力することにより前記取付判別モードの実行が開始される入力部とを有し,
前記制御部は,
前記吸入口が画像形成装置の通気口に接続された後,最初に電源が投入されたときには,前記表示部に,前記入力部への入力を促す指示を表示させるものであることを特徴とする排気浄化装置。
【請求項7】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の排気浄化装置において
記制御部は
記気流検出部が前記吸入口における前記浄化ダクトの外部から内部へ向かう向きの気流を検出したときには,前記取付判別モードを実行し,
前記取付判別モードにより,画像形成装置における排気を行う通気口以外の通気口に接続されていると判別された前記吸入口がある場合には,前記無効化制御を行った後,前記通常モードを実行し,
前記取付判別モードにより,画像形成装置における排気を行う通気口以外の通気口に接続されていると判別された前記吸入口がない場合には,前記無効化制御を行わずに前記通常モードを実行するものであることを特徴とする排気浄化装置。
【請求項8】
請求項6に記載の排気浄化装置において,
前記制御部は,前記無効化制御では,前記表示部に,前記吸入口の画像形成装置との接続を無効とするための指示を表示させるものであることを特徴とする排気浄化装置。
【請求項9】
請求項5に記載の排気浄化装置において,
前記開放部の開閉動作を行う開放駆動部を有し,
前記制御部は,前記無効化制御では,前記開放駆動部により前記開放部を開状態とするものであることを特徴とする排気浄化装置。
【請求項10】
請求項9に記載の排気浄化装置において,
前記制御部は,
前記取付判別モードにより画像形成装置の排気を行う通気口に接続されていると判別された前記吸入口については,前記開放駆動部により前記開放部を閉状態とするものであることを特徴とする排気浄化装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれかに記載の排気浄化装置において,
複数の前記吸入口と,
複数の前記吸入口ごとに設けられた複数の前記ファンとを有し,
前記制御部は,
前記無効化制御を,前記取付判別モードにより,画像形成装置における排気を行う通気口以外の通気口に接続されていると判別された前記吸入口に対応する前記ファンを停止させた状態で通常モードを実行させることとするものであることを特徴とする排気浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,画像形成に伴って発生する副産物を含む画像形成装置の排気を浄化する排気浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より,複写機やプリンター,ファクシミリ,またはこれらの機能を複合的に備える複合機等の画像形成装置では,画像形成により,装置内において様々な副産物が発生することが知られている。副産物には,例えば,臭気,VOC(Volatile Organic Compounds:揮発性有機化合物),低分子シロキサンおよび粉塵(トナーや紙粉等)等が挙げられる。そして通常,画像形成装置では,機内で発生した副産物を排気ダクト内へと吸引し,吸引した副産物を,排気ダクトの排気経路の途中に設けた一定の規格に基づく機内フィルターによって捕集している。これにより,排気が一定の基準を満たした無害なものとなるようにされている。
【0003】
しかし,機内フィルターによってすべての副産物が完全に捕集されるわけではない。例えば,機内フィルターで捕集することのできる最小の大きさよりも小さい粒径の副産物は,機内フィルターの規格外であるため,これを通過して排気口から機外へ排出されている。よって,画像形成装置の一部のユーザーには,機内フィルターを通過することにより規格が満たされている排気についても,さらに浄化してほしいというニーズがある。
【0004】
画像形成装置の排気を浄化する方法として,すでに設置してある画像形成装置の付近に空気清浄機を配置することが考えられる。しかし,空気清浄機は,画像形成装置から一度,機外に排出された副産物を捕集するものである。このため,空気清浄機によっては,画像形成装置の排気のすべてを浄化することができないおそれがある。
【0005】
そこで,画像形成装置の排気口に,画像形成装置の排気をさらに浄化するための浄化フィルターを有する排気浄化装置を取り付けることが考えられる。これにより,画像形成装置の排気を排気口から直接,排気浄化装置の中にすべて取り込み,排気浄化装置の浄化フィルターによって浄化した空気を排気浄化装置から排出することができる。
【0006】
このような排気浄化装置には,排気浄化装置内の排気を行うためのファンが必要である。排気浄化装置の浄化フィルターは,画像形成装置の機内フィルターで捕集できないほど小さい粒径の副産物を捕集するため,機内フィルターよりも目が細かく,通風抵抗の大きいものとなる。その浄化フィルターの通風抵抗により,画像形成装置の排気を阻害しないためである。
【0007】
ところで,排気浄化装置の画像形成装置の排気口への取り付けは,ユーザーによって行われることが想定される。しかし,画像形成装置には,外部に開口している通気口として,機内からの排気を行うための排気口の他に,例えば,機内への吸気を行うための吸気口が設けられていることがある。このような画像形成装置において,ユーザーが,装置の外観より排気口と吸気口との判別を行うことは困難である。そして,ユーザーが誤って吸気口に排気浄化装置を接続してしまった場合,排気浄化装置の排気を行うファンが発生させる気流により,画像形成装置は吸気口からの吸気が適切に行えないおそれがある。これにより,画像形成装置に悪影響を及ぼしてしまうおそれがある。
【0008】
よって,排気浄化装置には,接続された通気口が排気口であるか否かを正確に判別し,接続された通気口が排気口でない場合には,その通気口の機能を阻害しないような対策を施しておくことが必要である。すなわち,画像形成装置の通気口を出入りする気流の検出を行い,その気流をできるだけ阻害しないようにすることが重要である。気流を検出し,その検出された気流に基づいて制御を行う技術として,例えば,特許文献1が挙げられる。
【0009】
特許文献1では,サーバルーム内のラックに配置された,稼働状態では内部の冷却のために吸排気を行う複数のサーバ装置にそれぞれ,吸気温度を測定する温度測定部と,吸排気している状態か否かを検出する検出部とを設けている。そして,検出部によって吸排気状態であると検出された稼働状態のサーバ装置の吸気温度のみに基づいて,サーバルーム内の空調制御を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2010−8024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら,上記の特許文献1は,サーバルーム内の温度を制御する空調に係る技術であり,画像形成装置の排気を浄化することを目的とする排気浄化装置へ適用できるものではない。
【0012】
本発明は,前記した従来の技術が有する問題点の解決を目的としてなされたものである。すなわちその課題とするところは,画像形成装置に取り付けて使用され,取り付けられた画像形成装置の各内部機器への悪影響や,形成される画像の品質低下を抑制しつつ,画像形成に伴って発生する副産物を適切に回収することのできる排気浄化装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この課題の解決を目的としてなされた本発明の排気浄化装置は,画像形成装置の通気口から排気される空気を浄化する浄化ダクトを有する排気浄化装置であって,浄化ダクトの内部に連通し,画像形成装置の通気口と接続するための1以上の吸入口と,浄化ダクトの内部の空気を外部に排出する排出口と,浄化ダクトにおける吸入口から排出口までの間に設けられた,吸入口から排出口に向かう向きに空気を流すファンおよびその空気中の微粒子を回収するフィルターと,吸入口における気流を検出する気流検出部と,吸入口が画像形成装置の通気口に接続されている状態で,ファンを駆動して画像形成装置の通気口からの排気を浄化する通常モード,および,気流検出部が検出した気流により,吸入口が接続されている画像形成装置の通気口が,排気を行う通気口であるか否かを判別する取付判別モードを実行する制御部とを有し,制御部は,取付判別モードにより,吸入口であって,画像形成装置における排気を行う通気口以外の通気口に接続されていると判別されたものについては,画像形成装置の通気口との接続を無効とするための無効化制御を行い,吸入口であって,接続が無効とされていないものが存在する場合に通常モードを行うものであることを特徴とする排気浄化装置である。
【0014】
本発明の排気浄化装置は,取付判別モードにより,吸入口の接続された画像形成装置の通気口が,排気を行うものか否かを判別することができる。そして,吸入口が画像形成装置における吸気を行う通気口以外の通気口に接続されていると判別されたものについては,接続を無効とする無効化制御を行う。これにより,取り付けられた画像形成装置の各内部機器への悪影響や,形成される画像の品質低下を抑制しつつ,画像形成に伴って発生する副産物を適切に回収することができる。
【0015】
また,上記に記載の排気浄化装置において,制御部は,取付判別モードの実行時には,気流検出部が吸入口における浄化ダクトの外部から内部へ向かう向きの気流を検出した場合,吸入口が画像形成装置の排気を行う通気口に接続されていると判別し,吸入口が画像形成装置の排気を行う通気口に接続されていると判別しない場合,吸入口が画像形成装置における排気を行う通気口以外の通気口に接続されていると判別するものであることが好ましい。吸入口の外部から内部の気流を検出できる気流検出部で済み,安価だからである。
【0016】
また,上記に記載の排気浄化装置において,制御部は,取付判別モードの実行時には,気流検出部が吸入口における浄化ダクトの外部から内部へ向かう向きの気流を検出し,その気流の風量が予め定めた閾値風量以上の風量である場合に限り,吸入口が画像形成装置の排気を行う通気口に接続されていると判別するものであることが好ましい。画像形成装置が自然対流や弱排気を目的とする通気口を有する場合に,このような通気口への吸入口の接続を無効とすることにより,その自然対流や弱排気を阻害することがないからである。
【0017】
また,上記に記載の排気浄化装置において,制御部は,取付判別モードを,ファンを停止させた状態で実行するものであることが好ましい。画像形成装置の通気口の気流を,ファンが駆動されることによって発生した気流によって阻害することがなく,誤判定を抑制することができるからである。
【0018】
また,上記に記載の排気浄化装置において,浄化ダクト内の空気の流れ方向についてファンよりも上流の位置に設けられ,浄化ダクトの内部と外部とを連通させない閉状態と,浄化ダクトの内部と外部とを連通させる開状態とをとる開放部を有し,開放部は,開状態をとることにより,吸入口の画像形成装置との接続を無効とするものであることが好ましい。吸入口の接続を,容易に無効とすることができるからである。
【0019】
また,上記に記載の排気浄化装置において,ユーザーに情報を表示する表示部と,ユーザーが入力することにより取付判別モードの実行が開始される入力部とを有し,制御部は,吸入口が画像形成装置の通気口に接続された後,最初に電源が投入されたときには,表示部に,入力部への入力を促す指示を表示させるものであることが好ましい。排気浄化装置の画像形成装置への取付状態が適切か否かの確認を吸入口の接続初期に判別し,適切でない場合にこれを解消できるからである。
【0020】
また,上記に記載の排気浄化装置において,制御部は,気流検出部が吸入口における浄化ダクトの外部から内部へ向かう向きの気流を検出したときには,取付判別モードを実行し,取付判別モードにより,画像形成装置における排気を行う通気口以外の通気口に接続されていると判別された吸入口がある場合には,無効化制御を行った後,通常モードを実行し,取付判別モードにより,画像形成装置における排気を行う通気口以外の通気口に接続されていると判別された吸入口がない場合には,無効化制御を行わずに通常モードを実行するものであることが好ましい。画像形成装置には,ジョブ毎に吸気と排気とを切り替える通気口を有するものがある。よって,そのような通気口に吸入口が接続されている場合,その接続の適否をジョブの実行毎に判別し,適切でない場合にこれを解消できるからである。
【0021】
また,上記に記載の排気浄化装置において,制御部は,無効化制御では,表示部に,吸入口の画像形成装置との接続を無効とするための指示を表示させるものであることが好ましい。ユーザーに適切な排気浄化装置の画像形成装置への取付状態を指示することができるからである。
【0022】
また,上記に記載の排気浄化装置において,開放部の開閉動作を行う開放駆動部を有し,制御部は,無効化制御では,開放駆動部により開放部を開状態とするものであることが好ましい。画像形成装置における排気を行う通気口以外の通気口に接続されている吸入口がある場合,その画像形成装置の通気口との接続を自動で無効とすることができるからである。
【0023】
また,上記に記載の排気浄化装置において,制御部は,取付判別モードにより画像形成装置の排気を行う通気口に接続されていると判別された吸入口については,開放駆動部により開放部を閉状態とするものであることが好ましい。前回の取付判別モードの際には排気を行う通気口以外の通気口であると判別された場合,その通気口への吸入口の接続は自動で無効とされている。このような場合にも,一旦,無効化した後,その吸入口の接続された通気口が排気を行ったとき,無効化されている吸入口を無効状態から有効状態へ復帰させ,画像形成装置の排気を浄化することができるからである。
【0024】
また,上記に記載の排気浄化装置において,複数の吸入口と,複数の吸入口ごとに設けられた複数のファンとを有し,制御部は,無効化制御を,取付判別モードにより,画像形成装置における排気を行う通気口以外の通気口に接続されていると判別された吸入口に対応するファンを停止させた状態で通常モードを実行させることとするものであってもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば,画像形成装置に取り付けて使用され,取り付けられた画像形成装置の各内部機器への悪影響や,形成される画像の品質低下を抑制しつつ,画像形成に伴って発生する副産物を適切に回収することのできる排気浄化装置が提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】第1の形態に係る排気浄化装置を説明するための概略構成図である。
図2】取付初期判別モードを説明するためのフローチャートである。
図3】ジョブ毎判別モードを説明するためのフローチャートである。
図4】排気を検出するための構成の変形例について説明するための図である。
図5】第2の形態に係る排気浄化装置を説明するための概略構成図である。
図6】第2の形態に係る排気浄化装置の開放部およびシャッターについて説明するための図である。
図7】開放部およびシャッターの変形例について説明するための図である。
図8】第3の形態に係る排気浄化装置を説明するための概略構成図である。
図9】第4の形態に係る排気浄化装置を説明するための概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[第1の形態]
以下,本発明を具体化した第1の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,図1に概略構成を示すように,画像形成装置1の排気口に接続して用いられる,画像形成装置用の排気浄化装置100に係るものである。画像形成装置1は,電子写真方式によりトナー像をシート上に定着させて画像を形成するものである。
【0028】
図1に示す画像形成装置1において,左側が装置の前面2であり,右側が装置の背面3である。このため,前面2には,ユーザーが画像形成装置1を操作するための操作パネルなどが設けられている。また,図1に示すように,画像形成装置1は,その背面3に複数の通気口11a,11b,11c,11dを有している。
【0029】
通気口11a,11b,11c,11dのうち,通気口11a,11b,11dについては,画像形成装置1の装置内部の空気を機外へ排出するための排気口である。よって以下,通気口11a,11b,11dのことを,排気口11a,11b,11dともいう。これに対し,通気口11cについては,画像形成装置1の装置外部の空気を機内へ吸入するための吸気口である。よって以下,通気口11cのことを,吸気口11cともいう。
【0030】
通気口11a,11b,11c,11dの装置内部側にはそれぞれ,機内ダクト10a,10b,10c,10dが設けられている。機内ダクト10a,10b,10c,10dのそれぞれ通気口11a,11b,11c,11dと反対側の端は,機内で開口している開口部12a,12b,12c,12dである。
【0031】
開口部12a,12b,12c,12dのうち,開口部12a,12b,12dについては,機内における副産物の発生箇所などに開口している。具体的には,副産物は,シートへ適切に定着されなかったトナーや,定着処理時にトナーが溶融することにより生成される低分子シロキサンなどである。よって,開口部12a,12b,12dは,トナー像を形成するための現像装置や,形成されたトナー像のシートへの定着処理を行う定着装置の付近などに開口している。一方,開口部12cについては,ハードディスク装置など,機内の冷却を要する構成の付近に開口している。
【0032】
また,機内ダクト10a,10b,10c,10d内にはそれぞれ,機内ファン20a,20b,20c,20dが設けられている。機内ファン20a,20b,20c,20dはいずれも,画像形成装置1が画像形成等を行っている動作中において駆動される。機内ファン20a,20b,20c,20dのうち,機内ファン20a,20b,20dについては,機内ダクト10a,10b,10d内の空気を機外へ排出するためのものである。一方,機内ファン20cについては,機外の空気を機内ダクト10c内へ吸入するためのものである。
【0033】
また,機内ダクト10a,10b,10d内には,機内フィルター30a,30b,30dが設けられている。機内フィルター30a,30b,30dは,その位置を通過する空気に含まれている副産物を,一定の規格に基づいて回収するためのものである。
【0034】
そして,機内ファン20cが駆動されると,吸気口11cより機内ダクト10c内には機外の空気が吸入される。機内ダクト10c内へと吸入された空気は,開口部12cより吹き出される。これにより,画像形成装置1内の冷却対象が冷却される。
【0035】
一方,機内ファン20a,20b,20dが駆動されると,開口部12a,12b,12dの付近の空気はそれぞれ,機内ダクト10a,10b,10d内へと吸入される。このとき,開口部12a,12b,12dの付近の副産物についても,空気とともに,機内ダクト10a,10b,10d内へと吸入される。機内ダクト10a,10b,10d内の空気はそれぞれ,機内フィルター30a,30b,30dを通ることにより副産物が除去された後,排気口11a,11b,11dより画像形成装置1の外部に排出される。これにより,排気口11a,11b,11dから排出される空気が,一定の規格を満たした無害なものであるようにされている。
【0036】
しかし,画像形成装置1のユーザーには,このような一定の規格を満たすことにより無害化された排気についても,さらに浄化してほしいという要望があることがある。すなわち,排気口11a,11b,11dから排出される空気の中には,機内フィルター30a,30b,30dによって回収できない副産物が含まれていることがあるからである。
【0037】
排気口11a,11b,11dから排出される副産物には,例えば,機内フィルター30a,30b,30dによって捕集することのできる副産物の最小粒径よりもさらに小さい粒径の副産物などである。そして,図1に示す排気浄化装置100は,このような機内フィルター30a,30b,30dによって回収できない副産物を回収するためのものである。
【0038】
排気浄化装置100は,本体部110と,吸入部120a,120b,120c,120dと,ホースダクト部130a,130b,130c,130dとを有している。各吸入部120はそれぞれ,各ホースダクト部130によって本体部110と接続されている。
【0039】
本体部110は,内部に排気ファン112および浄化フィルター113を有している。排気ファン112は,排気浄化装置100内の空気を排出口111より排気浄化装置100の外へ排出するためのものである。浄化フィルター113は,画像形成装置1の機内フィルター30a,30b,30dよりも高性能なフィルターであり,機内フィルター30a,30b,30dによって回収できない副産物をも回収できるものである。具体的には,機内フィルター30a,30b,30dによって捕集することのできる副産物の最小粒径よりもさらに小さい粒径の副産物をも回収することができるものである。
【0040】
そして,排気浄化装置100は,排気ファン112を駆動することにより,排気浄化装置100内の空気を浄化フィルター113によって浄化した後,排出口111より排出することができる。
【0041】
各吸入部120はいずれも,画像形成装置の排気口への接続に用いられる部分であり,吸入口121が形成されている。排気ファン112が駆動された際には,吸入口121の排気浄化装置100の外部から内部へと空気の吸入がなされる。各吸入部120は,その吸入口121を画像形成装置の排気口に合わせて接続される。なお,吸入部120の画像形成装置の排気口への接続は,粘着テープやマグネットなどを用いて行うことができる。
【0042】
各ホースダクト部130は,ユーザーが自由に曲げることができるフレキシブルに動作可能なダクトである。このため,本形態の排気浄化装置100は,例えば,画像形成装置1の通気口11とは配置の異なる通気口を有する画像形成装置にも取り付けることができる。例えば,装置の背面だけでなく,側面に排気口を有する画像形成装置にも接続することができる。
【0043】
各吸入部120はそれぞれ,内部に風量センサー140を備えている。風量センサー140は,その検出部141を各吸入部120の吸入口121へ向けて配置されている。このため,風量センサー140は,吸入口121より排気浄化装置100の内部へと流入してくる空気の流れの流量を検出することができるものである。つまり,吸入部120が画像形成装置の排気口に接続されている場合,画像形成装置の排気を検出することができる。
【0044】
一方,排気浄化装置100内から吸入口121を通って外部に流出する空気の流れについては,風量センサー140によって検出することができない。このため,風量センサー140により,吸入部120内の吸入口121からホースダクト部130へ流れる気流を検出することができる。なお,風量センサー140に替えて,さらに,排気浄化装置100内から吸入口121を通って外部に流出する空気の流れをも検出できるものを用いてもよい。
【0045】
さらに,本体部110の上部には,制御部190と表示部191とが設けられている。表示部191は,図1中右面に設けられている表示パネル192に,後述するユーザーへの指示などを適宜表示するものである。制御部190は,排気浄化装置100の各部の制御を行うものである。本形態の制御部190は,各風量センサー140によって検出された気流に基づいて,排気ファン112の動作や表示部191の表示などを制御するものである。
【0046】
本形態の排気浄化装置100は,画像形成装置の排気を浄化する通常モードと,排気浄化装置100の画像形成装置への取り付けが適切か否かを判別する取付判別モードとを有する。通常モードや取付判別モードの実行は,制御部190によって行われる。通常モードは,排気ファン112を駆動させ,排気浄化装置100の内部の空気を浄化フィルター113を通して排出口111より排出するモードである。
【0047】
通常モードは,排気浄化装置100が取り付けられている画像形成装置が動作中であり,かつ,取付判別モードの実行中でない場合に実行される。画像形成装置が動作中であるか否かは,各吸入部120のいずれかの風量センサー140が画像形成装置の排気を検出しているか否かによって行うことができる。
【0048】
図1に示す画像形成装置1は,前述したように,画像形成等の動作時に機内ファン20が駆動され,排気口11a,11b,11dより排気を行う。よって,その排気は,画像形成装置1の排気口11a,11b,11dにそれぞれ接続されている吸入部120a,120b,120dの内部に排出される。従って,吸入部120a,120b,120dの風量センサー140のいずれかが画像形成装置1の排気を検出することにより,画像形成装置1が動作中か否かを判別することができる。
【0049】
そして,通常モードでは,排気ファン112が駆動されることにより,吸入部120が接続されている画像形成装置の排気口から排出された空気を,浄化フィルター113を通過させて浄化した後,排出口111より排出すことができる。
【0050】
一方,取付判別モードは,排気浄化装置100の画像形成装置への取り付けが適切か否かを判別するモードである。排気浄化装置100の画像形成装置への取り付けは,各吸入部120を画像形成装置の排気口へ接続することにより行う。すなわち,図1の画像形成装置1については,吸入部120は,画像形成装置1の排気口11a,11b,11dにのみ接続されることが好ましい。
【0051】
図1において,排気浄化装置100の吸入部120a,120b,120c,120dはそれぞれ,画像形成装置1の通気口11a,11b,11c,11dに接続されている。しかし,画像形成装置1の通気口11のうち,通気口11cは吸気口である。このため,吸気口11cに吸入部120cを取り付けた状態で通常モードを実行した場合,機内ファン20cによる吸気口11cからの吸気を阻害することとなる。
【0052】
排気ファン112が駆動された際には,吸入部120c内部の空気,すなわち,吸気口11cの吸気対象である空気が排気浄化装置100の本体部110へ向かって流れてしまうためである。このため,機内ダクト10cの開口部12c付近の冷却が適切に行えず,冷却対象の動作に悪影響を与えるおそれがある。すなわち,図1に示す取付状態は,排気浄化装置100が画像形成装置1に適切に取り付けられていない状態であり,この状態で通常モードを実行することは好ましくない。
【0053】
図1に示すような適切でない取付状態は,ユーザーが排気浄化装置100を購入し,これをすでに設置してある画像形成装置1に自ら取り付けを行った場合などに生じ得る。画像形成装置1の外観上,排気口11a,11b,11dと吸気口11cとは似ている。また,排気口11a,11b,11dや吸気口11cにおける空気の流れが弱い場合,その気流の向きをユーザーが正確に判別することはできない。すなわち,ユーザーが,画像形成装置1の排気口11a,11b,11dと吸気口11cとの判別を行うことは困難だからである。
【0054】
そこで,本形態の排気浄化装置100では,取付判別モードにより,排気浄化装置100の画像形成装置への取り付けが適切か否かの判別を行う。これにより,図1に示すような適切でない取付状態を解消し,適切な取付状態とすることができる。図1においては,吸入部120cが二点鎖線で示すように吸気口11cへ接続されていない状態が,排気浄化装置100の画像形成装置1への適切な取付状態である。
【0055】
取付判別モードは,例えば,排気浄化装置100が画像形成装置へ取り付けられ,排気浄化装置100の電源が投入された場合に実行される。この画像形成装置への排気浄化装置100の取り付け初期に行われる取付判別モードを,以下,取付初期判別モードという。また,取付判別モードには,取付初期判別モードの他,排気浄化装置100の取り付けられた画像形成装置のジョブの実行毎に行われるジョブ毎判別モードがある。
【0056】
図2は,取付初期判別モードを実施するための手順を示すフローチャートである。まず,排気浄化装置100が画像形成装置に取り付けられ,排気浄化装置100の電源が投入されたとき,制御部190は,ユーザーに取付初期判別モードの実施指示を入力するよう指示を行う(S101)。具体的には,表示部191の表示パネル192に,「取付初期判別モードを実施して下さい。」などの表示を行う。ユーザーへの取付初期判別モードの実施指示(S101)は,ユーザーによって取付初期判別モードの実施指示が入力されるまで行う(S102:NO)。
【0057】
なお,取付初期判別モードの実施指示をユーザーによって入力するため,本体部110には取付初期判別モードを開始するための入力部を設けておけばよい。また,排気浄化装置100に警告ランプを設けておき,表示部191にユーザーへの指示表示がされているときには警告ランプを点灯させることとしてもよい。
【0058】
次に,ユーザーによって排気浄化装置100の取付初期判別モードの実施指示が入力されたとき(S102:YES),取付初期判別モードの実行を開始する(S103)。取付初期判別モードの実行中において,排気ファン112は停止状態とされる。そして,制御部190は,ユーザーに排気浄化装置100が取り付けられている画像形成装置を動作させるよう指示を行う(S104)。具体的には,表示部191の表示パネル192に,「画像形成装置を動作させて下さい。」などの表示を行う。さらに,表示部191には,画像形成装置に画像形成動作を行わせる枚数,例えば10枚の印刷を行わせるための表示を行ってもよい。
【0059】
続いて,排気浄化装置100の取り付けられた画像形成装置の動作が開始されたとき,吸入部120の接続されている通気口がいずれも排気口であるか否かを判別する(S105)。つまり,風量センサー140によって排気が検出された吸入部120については,排気口に接続されていると判別する。一方,風量センサー140によって排気が検出されない吸入部120については,排気口でない通気口に接続されていると判別する。
【0060】
図1においては,画像形成装置1が動作したとき,画像形成装置1の排気口11a,11b,11dからは排気がなされる。よって,それらの排気はそれぞれ,吸入部120a,120b,120dの内部になされ,これらの風量センサー140によって検出される。つまり,吸入部120a,120b,120dの各風量センサー140が排気を検出することにより,吸入部120a,120b,120dが画像形成装置1の排気口11a,11b,11dに接続されていると判別することができる。
【0061】
一方,画像形成装置1の吸気口11cに接続されている吸入部120cについては当然,風量センサー140が排気を検出することはない。よって,図1に示す取付状態である場合,吸入部120a,120b,120c,120dが接続されている通気口11a,11b,11c,11dがすべて,排気口ではないと判別する(S105:NO)。この場合には,排気口以外の通気口11cとの接続を無効とするよう,ユーザーに指示を行う(S106)。具体的には,表示部191の表示パネル192に,「吸入部120cの接続が解除されていることを確認して下さい。」などの表示を行う。
【0062】
これにより,ユーザーは,吸入部120cを吸気口11cから取り外して図1に二点鎖線で示す接続の無効とされた状態とすることができる。つまり,吸入部120a,120b,120dのみが排気口11a,11b,11dに接続された,排気浄化装置100が画像形成装置1に適切に取り付けられている状態とすることができる。よって,取付初期判別モードにより,排気浄化装置100が画像形成装置1に適切に取り付けられていない状態を解消し,適切な取付状態とすることができる。ステップS106の指示後,排気浄化装置100の取付初期判別モードは終了する(S107)。
【0063】
一方,吸入部120a,120b,120c,120dがそれぞれ通気口11a,11b,11c,11dに接続されている状態において,例えば,図1と異なり,通気口11cが排気口であった場合,吸入部120はいずれも排気口に接続されていることとなる。よって,この場合には,吸入部120a,120b,120c,120dが接続されている通気口11a,11b,11c,11dがすべて,排気口であると判別し(S105:YES),取付初期判別モードを終了する(S107)。
【0064】
よって,取付初期判別モードにより,ユーザーが画像形成装置1の吸気口11cに誤って排気浄化装置100の吸入部120cを接続していた場合に,その接続を無効とし,適切な取付状態とすることができる。これにより,その後,排気浄化装置100の通常モードが実行された場合に,画像形成装置1の吸気口11cにおける吸気を阻害することはない。従って,画像形成装置1へ影響を与えることなく,排気浄化装置100によって画像形成装置1の排気を浄化することができる。
【0065】
次に,排気浄化装置100の取り付けられた画像形成装置のジョブの実行毎に行われるジョブ毎判別モードを実施するための手順について図3により説明する。ジョブ毎判別モードは,例えば,上記の取付初期判別モード(図2)の実行時に,吸気口に接続された吸入部120の接続が適切に無効化されていない場合に意義がある。さらに,画像形成装置が,実行するジョブごとに排気と吸気とを切り替える通気口を有するものである場合に意義がある。
【0066】
図3に示すように,制御部190は,まず,画像形成装置のジョブが開始されるまで,ジョブが開始されたか否かの判別を行う(S201:NO)。そして,いずれかの吸入部120の風量センサー140によって画像形成装置の排気が検出されたことによりジョブが開始されたと判別されたとき(S201:YES),ジョブ毎判別モードの実行を開始する(S202)。ジョブ毎判別モードの実行中においても,排気ファン112は停止状態とされる。
【0067】
ジョブ毎判別モードでは,前述した取付初期判別モードと同様,各吸入部120の風量センサー140が排気を検出したか否かにより,これらが接続されている通気口がすべて排気口であるか否かを判別する(S203)。
【0068】
つまり,ジョブの開始時に図1の取付状態である場合,吸入部120cは吸気口11cに接続されているため,吸入部120が接続されている通気口11がすべて,排気口ではないと判別する(S203:NO)。よって,排気口以外の通気口11cに接続されている吸入部120cの接続を無効とするよう,ユーザーに指示を行う(S204)。これにより,ユーザーは,吸入部120cを吸気口11cから取り外し,適切な取付状態とすることができる。そして,排気浄化装置100は,ジョブ毎判別モードを終了させ(S205),通常モードを実行して画像形成装置1の排気の浄化を行う(S206)。
【0069】
一方,吸入部120の接続されている通気口がすべて排気口であると判別される場合(S203:YES),ジョブ毎判別モードを終了して(S205)通常モードを実行する(S206)。通常モードはその後,吸入部120の風量センサー140が検出する画像形成装置の排気がすべて停止された時に,ジョブが完了したと判別して終了することとすればよい。そして,通常モードを終了して排気ファン112を停止させ,ステップS201へ戻って次のジョブの開始まで待機状態とする(S201)。
【0070】
よって,ジョブ毎判別モードにより,排気口でない通気口への吸入部120の接続が取付初期判別モードにおいて適切に無効化されていない場合にも,画像形成装置のジョブの実行毎に再度,ユーザーにこれを知らせることができる。また,画像形成装置が実行するジョブごとに排気と吸気とを切り替える通気口を有するものである場合にも,画像形成装置のジョブごとに,排気浄化装置100の画像形成装置への適切な取付状態をユーザーへ指示することができる。なお,当然,通常モードは,接続が無効とされていない吸入部120が存在する場合にのみ行うこととすれば良い。すべての吸入部120について接続が無効とされている場合,通常モードを実行する意味がないからである。
【0071】
また,上記の取付判別モードはいずれも,画像形成装置の通気口が排気口と吸気口とである場合について説明している。しかし,画像形成装置には,内部に機内ファンなどが設けられていない自然対流を目的とした通気口や,弱排気を目的とする通気口を有するものもある。これらのような通気口については,吸入部120を接続しない方が好ましい。吸入部120が接続されることにより,その通気口からは自然対流や弱排気よりも多くの風量の排気がなされてしまうおそれがあるからである。よって,制御部190は,排気風量について予め定めた閾値以上の排気風量が検出された通気口のみを排気口であると判別することとしてもよい。
【0072】
つまり,取付初期判別モード(図2)のステップS105において,風量センサー140によって検出される排気風量が予め定めた閾値以上の排気風量である場合に,その吸入部120が画像形成装置の排気口に接続されていると判別することが好ましい。ジョブ毎判別モード(図3)のステップS203においても同様である。これにより,吸入部120が自然対流や弱排気を目的とする通気口へ接続されていた場合であっても,取付判別モードにおける指示によってその通気口への吸入部120の接続を無効化することができる。
【0073】
また,上記においては,吸入部120の接続された通気口が排気口か否かの判別を,排気風量を検出する風量センサー140によって行っているが,これに限られるものではない。例えば,図4に示すように,吸入部120の内部に可動部145と検出部146とを有する構成としてもよい。図4に実線で示す可動部145の位置は,吸入口121から吸入部120の内部に空気が流入してきていないときの位置である。そして,可動部145は,吸入部120が排気口に接続され,その排気口から排気がなされたとき,その排気によって図4に二点鎖線で示す位置へと移動する。検出部146は,図4に二点鎖線で示す位置にあるときの可動部145を検出するものである。よって,図4に示すような構成によっても,吸入部120の接続された通気口が排気口か否かの判別を行うことができる。なお,吸入部120が吸気口に接続され,接続されている吸気口から吸気がなされた場合であっても当然,可動部145は図4に二点鎖線で示す位置へ移動することはない。
【0074】
また,図3で説明したジョブ毎判別モードについては,ステップS206の通常モードが開始された後にも,予め定めた時間が経過する毎に再度,行うこととしてもよい。画像形成装置には,ジョブの実行中にも,排気と吸気とを切り替える通気口を有するものがある。そして,ジョブの実行中に吸入部120の接続された通気口が排気から吸気に切り替えられた場合に,その通気口への吸入部120の接続を無効化し,その通気口における吸気を適切に行わせることができるからである。
【0075】
また,通常モードでは,排気浄化装置100内の排気経路における浄化フィルター113よりも上流側の圧力を,大気圧以下となるようにすることが好ましい。排気浄化装置100の浄化フィルター113よりも上流側が正圧である場合,吸入部120が接続された画像形成装置の排気口からの排気を阻害することとなる。そして,画像形成装置は,排気が適切に行えない場合,形成する画像の品質が低下してしまうおそれがあるからである。さらには,画像形成装置が故障してしまうおそれがあるからである。
【0076】
加えて,通常モードでは,排気浄化装置100の浄化フィルター113よりも上流側の圧力を,絶対圧力と大気圧との差であるゲージ圧において,−30Pa〜0Paの範囲内の圧力となるようにすることが好ましい。排気浄化装置100の浄化フィルター113よりも上流側の圧力が低すぎる場合には,吸入部120の接続された画像形成装置の排気口からの排気を強めすぎてしまうことがある。そして,排気の強められた排気口が,例えば,トナーを加熱により用紙に定着させる定着装置の付近の排気を行うものである場合,その加熱が適切に行えず,画像品質を低下させてしまうおそれがあるからである。
【0077】
なお,排気浄化装置100の浄化フィルター113よりも上流側の圧力の制御は,例えば,排気ファン112の駆動電圧を制御し,排気ファン112による排出口111からの空気の排出量を調整することによって行うことができる。また,排気浄化装置100の浄化フィルター113よりも上流側の圧力は,例えば,その位置に圧力センサーを設けることによって検出することができる。
【0078】
以上詳細に説明したように,本形態の排気浄化装置100は,吸入口121の形成された吸入部120を画像形成装置の排気口に接続し,通常モードにより排気を浄化することができる。また,画像形成装置の排気口以外の通気口に吸入部120が接続されていた場合,取付判別モードによって,適切な取付状態をユーザーへ指示することができる。これにより,画像形成装置に取り付けて使用され,取り付けられた画像形成装置の各内部機器への悪影響や,形成される画像の品質低下を抑制しつつ,画像形成に伴って発生する副産物を適切に回収することのできる排気浄化装置が実現されている。
【0079】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。従って本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,浄化フィルターは,ホースダクト部内にそれぞれ設けることとしてもよい。また例えば,吸入部およびホースダクト部の数はいくつであってもよい。また例えば,上記のタンデム方式のカラープリンターとした画像形成装置1に限らず,1つの感光体の周囲に各色の現像装置が設けられている,いわゆる4サイクル方式のものにも適用することができる。また例えば,モノクロの複写機やプリンター,ファクシミリ,またはこれらの機能を複合的に備える複合機等にも適用可能である。
【0080】
[第2の形態]
第2の形態について説明する。本形態に係る排気浄化装置は,第1の形態と異なり,ホースダクト部に開放部を有する。そして,排気口以外の通気口に接続された吸入部が存在していた場合,開放部を操作することにより,吸入部を取り外すことなくその接続を無効化することができる。
【0081】
図5に本形態の排気浄化装置200を示す。排気浄化装置200は,第1の形態と異なるホースダクト部230を有する。その他の吸入部120や本体部110などについては,第1の形態と同様である。また,本形態の排気浄化装置200についても,第1の形態と同様,画像形成装置1に取り付けることができる(図1)。さらに,画像形成装置1の通気口11とは配置の異なる通気口を有する画像形成装置にも取り付けることができる。
【0082】
図5に示すように,本形態の排気浄化装置200のホースダクト部230にはそれぞれ,図5に示すように,開放部240が設けられている。また,本形態のホースダクト部230には,その排気経路における開放部240よりも下流にそれぞれ,シャッター250が設けられている。
【0083】
図6は,開放部240およびシャッター250について説明するための図である。開放部240は,図6中に二点鎖線で示す開状態と,図6中に実線で示す閉状態とをとることができる。開放部240の開状態では,ホースダクト部230に形成されている開口部231において,ホースダクト部230の内側と外側とを連通させ,空気を開口部231に通過させることができる。一方,開放部240の閉状態では,開口部231におけるホースダクト部230の内側と外側との空気の流れが遮断され,空気は開口部231を通過することができない。
【0084】
シャッター250についても,図6中に二点鎖線で示す閉状態と,図6中に実線で示す開状態とをとることができる。シャッター250の閉状態では,シャッター250の設けられている位置において,ホースダクト部230内の空気の流れを遮断することができる。一方,シャッター250の開状態では,シャッター250の位置でのホースダクト部230内の空気の流れが遮断されることはない。
【0085】
排気浄化装置200において,画像形成装置の排気口に接続されている吸入部120については,その吸入部120のホースダクト部230の開放部240を閉状態とし,シャッター250を開状態とする。吸入部120の接続された画像形成装置の排気口より排出される空気は,開放部240が閉状態であるため,開口部231から外部へ漏れることはない。
【0086】
また,吸入部120の接続された画像形成装置の排気口より排出される空気は,シャッター250が開状態であるため,排気ファン112が駆動されたときに,シャッター250の位置を通過して本体部110へと流れる。よって,ホースダクト部230の開放部240を閉状態とし,シャッター250を開状態とした状態で排気ファン112を駆動することにより,そのホースダクト部230の吸入部120が接続されている画像形成装置の排気口からの排気を浄化することができる。
【0087】
一方,画像形成装置の排気口以外の通気口に接続されている吸入部120については,そのホースダクト部230の開放部240を開状態とし,シャッター250を閉状態とする。開放部240が開状態であるため,吸入部120の接続された画像形成装置の排気口でない通気口は,例えば,開口部231を通じてホースダクト部230の外から空気を吸入することができる。
【0088】
また,シャッター250が閉状態であるため,吸入部120の接続された画像形成装置の排気口でない通気口は,例えば,開口部231を通じて外気を吸入する際,排気ファン112によって排気浄化装置200内に発生する気流の影響を受けることはない。よって,開放部240を開状態とし,シャッター250を閉状態としたホースダクト部230の吸入部120については,その吸入部120が接続されている通気口における空気の流れを阻害することはない無効状態とすることができる。
【0089】
そして,本形態の排気浄化装置200についても,第1の形態と同様,通常モードと,取付判別モードとを行うことができる。また,排気浄化装置200においても,取付判別モードとして,取付初期判別モード(図2)とジョブ毎判別モード(図3)とを行うことができる。これら取付判別モードの手順については,第1の形態と同様である。
【0090】
つまり,取付初期判別モード(図2)においては,吸入部120の接続されている通気口がすべて排気口ではない場合(S105:NO),排気口以外の通気口に接続されている吸入部120の接続を無効とするよう,ユーザーに指示を行う(S106)。また,ジョブ毎判別モード(図3)においても,吸入部120の接続されている通気口がすべて排気口ではないと判別される場合(S203:NO),排気口以外の通気口に接続されている吸入部120の接続を無効とするよう,ユーザーに指示を行う(S204)。
【0091】
そして,本形態の排気浄化装置200において,排気口以外の通気口に接続されていると判別された吸入部120について,ユーザーは,その吸入部120のホースダクト部230の開放部240を開状態とするとともに,シャッター250を閉状態とする。これにより,吸入部120を取り外す場合よりも容易に,吸入部120を取り外したときと同様,その吸入部120の接続を無効化することができる。
【0092】
また,排気浄化装置200では,吸入部120を取り外すことなく,吸入部120を無効化することができるため,例えば,吸入部120の画像形成装置の通気口への接続を接着剤を用いて行うことができる。このため,吸入部120と画像形成装置の通気口との接続を第1の形態よりも強固に行うことができ,さらに,その接続部分からの排気漏れなども低減することができる。
【0093】
なお,取付判別モードにおいては,排気口に接続されていると判別された吸入部120については,そのホースダクト部230の開放部240を閉状態とし,シャッター250を開状態とするよう,表示部191によってユーザーへ指示することが好ましい。その後の通常モードにおいて,開放部240からの排気漏れ等を抑制することができるからである。
【0094】
また,各ホースダクト部230の開放部240とシャッター250とは,連動して動作できるようにしてもよい。吸入部120の無効化などを容易に行えるからである。また,開放部240とシャッター250とをいずれも,開状態あるいは閉状態とするなどの間違いを防ぐことができるからである。
【0095】
さらに,排気浄化装置200は,例えば,図7に示すように,開放部240の開閉動作を行う開放駆動部260と,シャッター250の開閉動作を行うシャッター駆動部270とを有することが好ましい。これにより,ユーザーが,開放部240およびシャッター250の開閉動作を自ら行う手間を省くことができるからである。また,取付判別モードを,排気浄化装置200によって自動で,確実に行うことができるからである。
【0096】
図7の構成では,取付初期判別モード(図2)において,制御部190は,排気口以外の通気口に接続されている吸入部120がある場合(S105:NO),その吸入部120の接続無効指示(S106)に替えて,その吸入部120の無効化を行う。また,ジョブ毎判別モード(図3)においても同様に,排気口以外の通気口に接続されている吸入部120がある場合(S203:NO),その吸入部120の接続無効指示(S204)に替えて,その吸入部120の無効化を行う。つまり,排気口以外の通気口に接続されている吸入部120のホースダクト部230の開放部240を,開放駆動部260によって開状態とする。さらに,シャッター250を,シャッター駆動部270によって閉状態とする。
【0097】
加えて,排気浄化装置200においても,制御部190は,排気風量について予め定めた閾値以上の排気風量が検出された通気口のみを排気口であると判別することとしてもよい。自然対流や弱排気を目的とする通気口を有する画像形成装置にも,適切に取り付けることができるからである。また,吸入部120の接続された通気口が排気口か否かの判別を,風量センサー140ではなく,図4の構成により行ってもよい。加えて,ジョブ毎判別モードについては,通常モードの実行が開始された後でも,一定時間の経過毎に実行することとしてもよい。また,通常モードでは,排気浄化装置200の浄化フィルター113よりも上流側の圧力が,大気圧以下となるようにすることが好ましい。さらには,排気浄化装置200の浄化フィルター113よりも上流側の圧力が,−30Pa〜0Paの範囲内の圧力となるようにすることがより好ましい。
【0098】
以上詳細に説明したように,本形態の排気浄化装置200は,各吸入部120のホースダクト部230に,開放部240を有する。このため,吸入部120の無効化を,吸入部120を取り外すことなく,容易に行うことができる。また,吸入部120を画像形成装置の通気口に接続したまま無効化できる。このため,一旦,無効化した後,その吸入部120の接続された通気口が排気を行ったとき,無効化されている吸入部120を無効状態から有効状態へ復帰させ,画像形成装置の排気の浄化を行うことができる。
【0099】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。従って本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,浄化フィルターは,ホースダクト部内にそれぞれ設けることとしてもよい。また例えば,吸入部およびホースダクト部の数はいくつであってもよい。
【0100】
また例えば,ホースダクト部には少なくとも開放部があればよく,排気ファンによる気流が画像形成装置の通気口の機能を阻害するおそれがない場合には,シャッターは必ずしも必要ではない。また例えば,開放部やシャッターは,吸入部に設けられていてよい。また例えば,開放部やシャッターを自動で開閉できる構成とする場合,駆動部は開放部ごと,シャッターごとになくてもよい。すなわち,駆動部を1つとし,駆動部と各開放部および各シャッターを,タイミングベルトなどで連結して駆動させる構成とすることもできる。
【0101】
また例えば,上記のタンデム方式のカラープリンターとした画像形成装置1に限らず,1つの感光体の周囲に各色の現像装置が設けられている,いわゆる4サイクル方式のものにも適用することができる。また例えば,モノクロの複写機やプリンター,ファクシミリ,またはこれらの機能を複合的に備える複合機等にも適用可能である。
【0102】
[第3の形態]
第3の形態について説明する。本形態に係る排気浄化装置は,多種の画像形成装置に対応することのできる上記の形態の汎用品とは異なり,特定の画像形成装置に対応した専用品である。
【0103】
図8に,本形態の排気浄化装置300を示す。排気浄化装置300は,合流ダクト部310と,吸入部320a,320b,320c,320dとを有している。吸入部320にはそれぞれ,図8中左側に吸入口321が形成されている。吸入口321はいずれも,排気浄化装置300の取り付け対象となる特定の画像形成装置の排気口に対応する位置に形成されている。また,排気浄化装置300は,上記の形態のような,ユーザーが自由に曲げることができるフレキシブルに動作可能なホースダクト部を有さないものである。このため,排気浄化装置300は,特定の画像形成装置の専用品である。
【0104】
また,各吸入部320内の吸入口321の付近には,風量センサー330が設けられている。本形態においても,風量センサー330は,吸入部320が画像形成装置の排気口に接続されている場合にその排気を検出することができる。
【0105】
また,吸入部320にはそれぞれ,開放部340およびシャッター350が設けられている。シャッター350は,開放部340よりも排気経路における下流に設けられている。開放部340およびシャッター350はともに,第2の形態と同様,開状態と閉状態とをとることができるものである。
【0106】
図8に示すように,吸入部320はいずれも,合流ダクト部310に接続されている。また,合流ダクト部310内には,排気ファン312および浄化フィルター313が設けられている。排気ファン312および浄化フィルター313はともに,排気経路について,吸入部320の合流ダクト部310への接続箇所のいずれよりも下流に配置されている。
【0107】
排気ファン312は,排気浄化装置300内の空気を排出口311より外部へ排出するためのものである。浄化フィルター313は,排気浄化装置300の取り付け対象となる画像形成装置の機内フィルターよりも高性能なフィルターであり,機内フィルターよって回収できない副産物をも回収できるものである。
【0108】
さらに,排気浄化装置300についても,各部の制御を行う制御部390と,表示パネル392にユーザーへの指示などを適宜表示するための表示部391とを有している。そして,本形態においても,制御部390は,通常モードと取付判別モードとを実行する。また,排気浄化装置300においても,取付判別モードとして,取付初期判別モード(図2)とジョブ毎判別モード(図3)とを行うことができる。これら取付判別モードの手順については,上記の形態と同様である。
【0109】
ここで,本形態の排気浄化装置300は,特定の画像形成装置の専用品である。このため,専用の画像形成装置に取り付けられていた場合には,取付初期判別モードは不要である。各吸入部320はいずれも,吸入口321が専用の画像形成装置の排気口に対応した位置に配置されているからである。しかし,専用の画像形成装置以外の画像形成装置であっても,通気口の配置が排気浄化装置300の吸入口321に対応していた場合,ユーザーは誤って取り付けてしまうことがある。
【0110】
よって,ユーザーが排気浄化装置300を誤って専用の画像形成装置以外の画像形成装置に取り付けた場合,吸入口321の接続された通気口がすべて,排気口であるとは限らない。そして,吸入口321が,例えば吸気口に接続されているときなどには,第2の形態と同様,その吸入口321の吸入部320の無効化をユーザーに指示することができる。吸入部320の無効化についても,第2の形態と同様,開放部340を開状態とし,シャッター350を閉状態とすることにより行う。これにより,排気浄化装置300が取り付けられた画像形成装置の故障などを抑制することができる。
【0111】
また,ジョブ毎判別モードでは,誤って専用の画像形成装置以外の画像形成装置に取り付けられていた場合に,ジョブ毎に,吸入部320の無効化をユーザーに指示することができる。また,第2の形態と同様,専用の画像形成装置が,ジョブ毎に吸気と排気とを切り替える通気口を有するものである場合にも意義がある。
【0112】
なお,取付判別モードにおいては,排気口に接続されていると判別された吸入部320については,その開放部340を閉状態とし,シャッター350を開状態とするよう,表示部391によってユーザーへ指示することが好ましい。その後の通常モードにおいて,開放部340からの排気漏れ等を抑制することができるからである。
【0113】
また,各吸入部320の開放部340とシャッター350とは,連動して動作できるようにしてもよい。吸入部320の無効化などを容易に行えるからである。また,開放部340とシャッター350とをいずれも,開状態あるいは閉状態とするなどの間違いを防ぐことができるからである。
【0114】
さらに,排気浄化装置300についても,第2の形態の図7において説明したように,開放部340およびシャッター350の開閉動作を行う駆動部を有することが好ましい。ユーザーが自ら,開放部340およびシャッター350の開閉動作を行う手間を省くことができるからである。また,取付判別モードを,排気浄化装置300によって自動で,確実に行うことができるからである。
【0115】
加えて,排気浄化装置300においても,制御部390は,排気風量について予め定めた閾値以上の排気風量が検出された通気口のみを排気口であると判別することとしてもよい。専用の画像形成装置以外の画像形成装置に誤って取り付けられ,吸入部320が自然対流や弱排気を目的とする通気口に接続された場合にも,その画像形成装置の故障などを抑制することができるからである。また,吸入部320の接続された通気口が排気口か否かの判別を,風量センサー330ではなく,図4の構成により行ってもよい。加えて,ジョブ毎判別モードについては,通常モードの実行が開始された後でも,一定時間の経過毎に実行することとしてもよい。また,通常モードでは,排気浄化装置300の浄化フィルター313よりも上流側の圧力が,大気圧以下となるようにすることが好ましい。さらには,排気浄化装置300の浄化フィルター313よりも上流側の圧力が,−30Pa〜0Paの範囲内の圧力となるようにすることがより好ましい。
【0116】
以上詳細に説明したように,本形態の排気浄化装置300は,特定の画像形成装置の専用品である。しかし,専用の画像形成装置以外の画像形成装置に取り付けられた場合にも,その画像形成装置の各内部機器への悪影響や,形成される画像の品質低下を抑制しつつ,画像形成に伴って発生する副産物を適切に回収することができる。また,ジョブ毎に吸気と排気とを切り替える吸気口を有する画像形成装置においても,その各内部機器への悪影響や,形成される画像の品質低下を抑制しつつ,画像形成に伴って発生する副産物を適切に回収することができる。
【0117】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。従って本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,浄化フィルターは,各吸入部ごとにそれぞれ設けることとしてもよい。また例えば,吸入部の数はいくつであってもよい。
【0118】
また例えば,排気ファンによる気流が画像形成装置の通気口の機能を阻害するおそれがない場合には,シャッターは必ずしも必要ではない。また例えば,開放部やシャッターを自動で開閉できる構成とする場合,駆動部は開放部ごと,シャッターごとになくてもよい。すなわち,駆動部を1つとし,駆動部と各開放部および各シャッターを,タイミングベルトなどで連結して駆動させる構成とすることもできる。
【0119】
また例えば,上記のタンデム方式のカラープリンターとした画像形成装置に限らず,1つの感光体の周囲に各色の現像装置が設けられている,いわゆる4サイクル方式のものにも適用することができる。また例えば,モノクロの複写機やプリンター,ファクシミリ,またはこれらの機能を複合的に備える複合機等にも適用可能である。
【0120】
[第4の形態]
第4の形態について説明する。本形態に係る排気浄化装置は,特定の画像形成装置に対応した専用品であり,吸入部ごとに排気ファンを有するものである。
【0121】
図9に,本形態の排気浄化装置400を示す。排気浄化装置400は,合流ダクト部410と,吸入部420a,420b,420c,420dとを有している。吸入部420にはそれぞれ,図9中左側に吸入口421が形成されている。吸入口421はいずれも,排気浄化装置400の取り付け対象となる特定の画像形成装置の排気口に対応する位置に形成されている。また,排気浄化装置400は,第1および第2の形態のような,ユーザーが自由に曲げることができるフレキシブルに動作可能なホースダクト部を有さないものである。このため,排気浄化装置400は,特定の画像形成装置の専用品である。
【0122】
また,各吸入部420内の吸入口421の付近には,風量センサー430が設けられている。本形態においても,風量センサー430は,吸入部420が画像形成装置の排気口に接続されている場合にその排気を検出することができる。
【0123】
図9に示すように,吸入部320はいずれも,合流ダクト部410に接続されている。また,合流ダクト部410内には,浄化フィルター412が設けられている。浄化フィルター412は,本形態においても,排気浄化装置400の取り付け対象となる画像形成装置の機内フィルターよって回収できない副産物をも回収できるものである。
【0124】
本形態の排気浄化装置400においては,各吸入部420にそれぞれ,排気ファン440が設けられている。各排気ファン440はそれぞれ,各吸入部420の空気を吸入口421から合流ダクト部410に向かう向きへと流すことにより,排気浄化装置400内の空気を排出口411より外部へ排出するためのものである。
【0125】
さらに,排気浄化装置400についても,各部の制御を行う制御部490と,表示パネル492にユーザーへの指示などを適宜表示するための表示部491とを有している。そして,本形態においても,制御部490は,通常モードと取付判別モードとを実行する。また,排気浄化装置400においても,取付判別モードとして,取付初期判別モードとジョブ毎判別モードとを行うことができる。
【0126】
本形態の排気浄化装置400の制御部490は,取付初期判別モード(図2)において,排気口以外の通気口に接続されている吸入部420がある場合(S105:NO),その吸入部420の接続無効指示(S106)に替えて,その吸入部420の無効化を行う。また,ジョブ毎判別モード(図3)においても同様に,排気口以外の通気口に接続されている吸入部420がある場合(S203:NO),その吸入部420の接続無効指示(S204)に替えて,その吸入部420の無効化を行う。排気浄化装置400における吸入部420の無効化は,その吸入部420の排気ファン440により行う。
【0127】
すなわち,取付判別モードにおいて無効化された吸入部420については,その後,通常モードが実行されたときにおいても排気ファン440を駆動せず,停止したままとされる。これにより,排気ファン440が停止している吸入部420内の空気は合流ダクト部410へと流れず,その吸入部420の接続されている画像形成装置の通気口の機能を阻害することはない無効状態とすることができる。
【0128】
なお,取付判別モードにおいては,排気口に接続されていると判別された吸入部420については,排気ファン440の停止による無効化を解除し,その後の通常モードにおいて,排気ファン440を駆動させることが好ましい。
【0129】
加えて,排気浄化装置400においても,制御部490は,排気風量について予め定めた閾値以上の排気風量が検出された通気口のみを排気口であると判別することとしてもよい。専用の画像形成装置以外の画像形成装置に誤って取り付けられ,吸入部420が自然対流や弱排気を目的とする通気口に接続された場合にも,その画像形成装置の故障などを抑制することができるからである。また,吸入部420の接続された通気口が排気口か否かの判別を,風量センサー430ではなく,図4の構成により行ってもよい。加えて,ジョブ毎判別モードについては,通常モードの実行が開始された後でも,一定時間の経過毎に実行することとしてもよい。また,通常モードでは,排気浄化装置400の浄化フィルター412よりも上流側の圧力が,大気圧以下となるようにすることが好ましい。さらには,排気浄化装置400の浄化フィルター412よりも上流側の圧力が,−30Pa〜0Paの範囲内の圧力となるようにすることがより好ましい。
【0130】
なお,排気浄化装置400の浄化フィルター412よりも上流側の圧力を負圧となるよう通常モードを実行したときには,無効化されている吸入部420内の空気についても,合流ダクト部410へと流れることとなる。しかし,その空気の流れはわずかであり,無効化されている吸入部420に接続されている画像形成装置の通気口の機能を阻害することはない。また,無効化されている吸入部420内の空気の合流ダクト部410へ流れる量が多い場合には,吸入部420に第2および第3の形態のような開放部やシャッターを設けることとしてもよい。
【0131】
以上詳細に説明したように,本形態の排気浄化装置400は,吸入部420に排気ファン440が設けられている。そして,取付判別モードで無効化された吸入部420については,その後の通常モードにおいて,排気ファン440を停止状態とする。これにより
取り付けられた画像形成装置の各内部機器への悪影響や,形成される画像の品質低下を抑制しつつ,画像形成に伴って発生する副産物を適切に回収することができる。
【0132】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。従って本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,浄化フィルターは,各吸入部ごとにそれぞれ設けることとしてもよい。また例えば,吸入部の数はいくつであってもよい。
【0133】
また例えば,上記のタンデム方式のカラープリンターとした画像形成装置に限らず,1つの感光体の周囲に各色の現像装置が設けられている,いわゆる4サイクル方式のものにも適用することができる。また例えば,モノクロの複写機やプリンター,ファクシミリ,またはこれらの機能を複合的に備える複合機等にも適用可能である。
【符号の説明】
【0134】
1…画像形成装置
11…通気口
100,200,300,400…排気浄化装置
110…本体部
111…排出口
112…排気ファン
113…浄化フィルター
120…吸入部
121…吸入口
130…ホースダクト部
140…風量センサー
190…制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9