(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
インクを吐出させる複数のノズルにそれぞれ対応して配設され、該ノズルから吐出させるためのインクを収容する複数の圧力室と、前記圧力室にそれぞれ対応して配置され、該圧力室内のインクを前記ノズルから吐出させるための力を付与する複数のアクチュエータとを有するヘッド基板と、
複数の前記アクチュエータにそれぞれ設けられた個別電極及び複数の前記アクチュエータに共通に設けられた共通電極に対してそれぞれ電気的に接続するための配線端子を有する配線基板とを準備し、
準備した前記配線基板と前記ヘッド基板とを接着樹脂層を介して接合することによって、前記ヘッド基板の前記配線基板側の面に配置された前記アクチュエータの前記個別電極及び前記共通電極と前記配線基板の前記配線端子とが電気的に接続されるインクジェットヘッドの製造方法であって、
前記配線基板と前記ヘッド基板との接合方向において、前記個別電極は、前記共通電極よりも前記配線基板に近い位置に配置され、前記個別電極と前記共通電極のうちの前記共通電極のみに、前記配線端子と電気的に接続するための接続部品が設けられており、
前記配線端子に接続される前記接続部品の先端部の前記接合方向の位置と、前記配線端子に接続される前記個別電極の接続面の前記接合方向の位置とが、ほぼ同一とされており、
前記配線端子ははんだバンプであり、前記接続部品はスタッドバンプであることを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
インクを吐出させる複数のノズルにそれぞれ対応して配設され、該ノズルから吐出させるためのインクを収容する複数の圧力室と、前記圧力室にそれぞれ対応して配置され、該圧力室内のインクを前記ノズルから吐出させるための力を付与する複数のアクチュエータとを有するヘッド基板と、
複数の前記アクチュエータにそれぞれ設けられた個別電極及び複数の前記アクチュエータに共通に設けられた共通電極に対してそれぞれ電気的に接続するための配線端子を有する配線基板とを準備し、
準備した前記配線基板と前記ヘッド基板とを接着樹脂層を介して接合することによって、前記ヘッド基板の前記配線基板側の面に配置された前記アクチュエータの前記個別電極及び前記共通電極と前記配線基板の前記配線端子とが電気的に接続されるインクジェットヘッドの製造方法であって、
前記配線基板と前記ヘッド基板との接合方向において、前記個別電極は、前記共通電極よりも前記配線基板に近い位置に配置され、前記個別電極と前記共通電極の双方に、前記配線端子と電気的に接続するための接続部品がそれぞれ設けられており、
前記個別電極の前記接続部品と前記共通電極の前記接続部品の前記接合方向の高さをそれぞれ異ならせることにより、前記配線端子に接続される前記個別電極の前記接続部品の先端部の前記接合方向の位置と、前記配線端子に接続される前記共通電極の前記接続部品の先端部の前記接合方向の位置とが、ほぼ同一とされており、
前記配線端子ははんだバンプであり、前記接続部品はスタッドバンプであることを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
前記スタッドバンプの先端部側が塑性変形した状態で前記配線端子と電気的接続されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【背景技術】
【0002】
近年、複数の微細なノズルからインクを吐出して各種記録媒体に画像を形成するインクジェットヘッドは、より高精度、高精細な画像形成を実現するために、ノズルのより一層の高密度配置が求められている。
【0003】
インクジェットヘッドには、インクの共通流路がノズル列毎に設けられる他、インクに吐出圧力を付与するための圧力室や、共通流路から各圧力室へインクを供給するための個別流路が、複数のノズルに対して個別に設けられている。そのため、これら共通流路、圧力室及び個別流路をノズルの配列方向(水平方向)に並設してしまうと、複数のノズルを高密度に配置することが困難となる。
【0004】
そこで、従来、ノズルの上方に圧力室を設け、共通流路に代わる共通インク室を圧力室の更に上方に設けることによって、ノズルの配列方向の広がりを抑え、ノズルの高密度配置を可能にしたインクジェットヘッドが提案されている(特許文献1)。このインクジェットヘッドは、圧力室の上壁を薄板状に形成して振動板とし、この振動板の上面に圧電素子によって形成されるアクチュエータを積層することによってインクジェットヘッドの本体部分をなすヘッド基板を構成している。
【0005】
このようなインクジェットヘッドは、アクチュエータに給電するための各配線も高密度に形成する必要があるが、アクチュエータを有するヘッド基板の上面には、アクチュエータそのものの他に各圧力室にインク供給を行うための流路が開口しているため、配線を引きまわすだけの面積的な余裕はない。そこで、特許文献1では、各アクチュエータに対して給電するための配線を備えた配線基板を別途形成し、これをヘッド基板に対してアクチュエータの上方から積層して、ヘッド基板側の各電極と配線基板側の各配線とを電気的に接続する構造とすることで配線の高密度化を図っている。
【0006】
ところで、ヘッド基板と配線基板とを接合する際は、アクチュエータの機械的変位を阻害しないように配線基板とアクチュエータとの間に所定の空間を確保すると同時に両基板の接着を行うための接着樹脂層を介在させている。このため、両基板の接合作業は、両基板を位置合わせすることによって、接着樹脂層の接着と、ヘッド基板側の各電極と配線基板側の各配線との電気的接続とを同時に行う必要がある。
【0007】
ここで、アクチュエータは、アクチュエータ毎に設けられる個別電極と、複数のアクチュエータに共通に設けられる共通電極とで圧電素子が挟まれた構造となっているため、個別電極の上面と共通電極の上面は、ヘッド基板と配線基板との接合方向の高さ位置が異なっている。ヘッド基板と配線基板との接合は、両基板とを加熱圧着することによって行われるが、この接合によって同時にヘッド基板側の各電極と配線基板側の各配線との電気的接続とを行う手法として、電極上と配線基板上とに各々対応する接続用バンプを設け、両者を圧着することで電気的接続を得る手法がある。この接続用バンプは塑性変形や熱溶融変形により相手方と接触或いは密着して電気的接続を成すものである。
【0008】
前述のように、個別電極の上面と共通電極の上面はヘッド基板と配線基板との接合方向の高さ位置が異なっているため、個別電極と配線基板側の配線との距離と、共通電極と配線基板側の配線との距離とは異なる距離となる。従って個別電極と配線基板上の配線とを接続する接続用バンプと、共通電極と配線基板上の配線とを接続する接続用バンプとでは圧着後の状態が異なってしまう。このように異なる距離を接続しようとすると、ヘッド基板と配線基板の圧着状態により、強固に接合されている部分と接合が不安定な部分とが存在し、多数の接続部分において全ての電気的接続部位を信頼性高く接続させて導通させることが難しいという問題がある。
【0009】
特許文献2には、アクチュエータに対する給電を、アクチュエータの更に上方に配置した駆動ICからワイヤボンドによって行うことが記載されているが、高密度に配列されたアクチュエータの個々にワイヤボンドを施すことは極めて煩雑である。このため、ヘッド基板と配線基板との接合によって、両基板の接着と同時に両基板間の電気的接続を信頼性高く確保することのできるインクジェットヘッド構造が望まれていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記従来事情に鑑みてなされたものであり、アクチュエータを有するヘッド基板と該アクチュエータに給電するための配線を有する配線基板とを、接着樹脂層を介して接合することによって、両基板の接着と同時に両基板間の電気的接続を信頼性高く確保することのできるインクジェットヘッド及びこれを搭載したインクジェット描画装置を提供することを課題とする。
【0012】
本発明の他の課題は、以下の記載により明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
【0014】
1. インクを吐出させる複数のノズルにそれぞれ対応して配設され、該ノズルから吐出させるためのインクを収容する複数の圧力室と、前記圧力室にそれぞれ対応して配置され、該圧力室内のインクを前記ノズルから吐出させるための力を付与する複数のアクチュエータとを有するヘッド基板と、
複数の前記アクチュエータにそれぞれ設けられた個別電極及び複数の前記アクチュエータに共通に設けられた共通電極に対してそれぞれ電気的に接続するための配線端子を有する配線基板とを準備し、
準備した前記配線基板と前記ヘッド基板とを接着樹脂層を介して接合することによって、前記ヘッド基板の前記配線基板側の面に配置された前記アクチュエータの前記個別電極及び前記共通電極と前記配線基板の前記配線端子とが電気的に接続されるインクジェットヘッドの製造方法であって、
前記配線基板と前記ヘッド基板との接合方向において、前記個別電極は、前記共通電極よりも前記配線基板に近い位置に配置され、前記個別電極と前記共通電極のうちの前記共通電極のみに、前記配線端子と電気的に接続するための接続部品が設けられており、
前記配線端子に接続される前記接続部品の先端部の前記接合方向の位置と、前記配線端子に接続される前記個別電極の接続面の前記接合方向の位置とが、ほぼ同一とされており、
前記配線端子ははんだバンプであり、前記接続部品はスタッドバンプであることを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
2. インクを吐出させる複数のノズルにそれぞれ対応して配設され、該ノズルから吐出させるためのインクを収容する複数の圧力室と、前記圧力室にそれぞれ対応して配置され、該圧力室内のインクを前記ノズルから吐出させるための力を付与する複数のアクチュエータとを有するヘッド基板と、
複数の前記アクチュエータにそれぞれ設けられた個別電極及び複数の前記アクチュエータに共通に設けられた共通電極に対してそれぞれ電気的に接続するための配線端子を有する配線基板とを準備し、
準備した前記配線基板と前記ヘッド基板とを接着樹脂層を介して接合することによって、前記ヘッド基板の前記配線基板側の面に配置された前記アクチュエータの前記個別電極及び前記共通電極と前記配線基板の前記配線端子とが電気的に接続されるインクジェットヘッドの製造方法であって、
前記配線基板と前記ヘッド基板との接合方向において、前記個別電極は、前記共通電極よりも前記配線基板に近い位置に配置され、前記個別電極と前記共通電極の双方に、前記配線端子と電気的に接続するための接続部品がそれぞれ設けられており、
前記個別電極の前記接続部品と前記共通電極の前記接続部品の前記接合方向の高さをそれぞれ異ならせることにより、前記配線端子に接続される前記個別電極の前記接続部品の先端部の前記接合方向の位置と、前記配線端子に接続される前記共通電極の前記接続部品の先端部の前記接合方向の位置とが、ほぼ同一とされており、
前記配線端子ははんだバンプであり、前記接続部品はスタッドバンプであることを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
3. 前記スタッドバンプは、側面が階段状の円錐形状であり、先端部が突起形状であることを特徴とする前記1又は2記載のインクジェットヘッドの製造方法。
4. 前記スタッドバンプの先端部側が塑性変形した状態で前記配線端子と電気的接続されていることを特徴とする前記1〜3のいずれかに記載のインクジェットヘッドの製造方法。
5. 前記スタッドバンプは、金スタッドバンプであることを特徴とする前記4記載のインクジェットヘッドの製造方法。
6. 前記1〜5のいずれかに記載のインクジェットヘッドの製造方法により
インクジェットヘッドを製造する工程と、
製造した前記インクジェットヘッドをインクジェット描画装置に搭載する工程と、
を有することを特徴とするインクジェット描画装置の製造方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、アクチュエータを有するヘッド基板と該アクチュエータに給電するための配線を有する配線基板とを、接着樹脂層を介して接合することによって、両基板の接着と同時に両基板間の電気的接続を信頼性高く確保することのできるインクジェットヘッド及びこれを搭載したインクジェット描画装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明のインクジェットヘッドは、ヘッド基板と配線基板とが接着樹脂層を介して接合された積層体構造を有する。ヘッド基板は、インクを吐出させる複数のノズルと、ノズルにそれぞれ対応して配設され、該ノズルから吐出させるためのインクを収容する複数の圧力室と、圧力室にそれぞれ対応して配置され、該圧力室内のインクをノズルから吐出させるための力を付与するアクチュエータとを有している。
【0018】
アクチュエータは、ヘッド基板の上面に位置する圧力室上壁の外側に、該圧力室毎にそれぞれ設けられている。各アクチュエータの上面側には、PZT等の圧電素子からなるアクチュエータ本体を間に挟んで、アクチュエータ毎に個別電極を有し、ヘッド基板と接する下面側には、複数のアクチュエータの全てに共通に設けられる共通電極を有している。アクチュエータは、これら電極間に所定の駆動信号が印加されることによってアクチュエータ本体が変形し、圧力室の上壁によって形成される振動板を振動させることにより、圧力室内のインクに吐出のための圧力を付与する。
【0019】
なお、本発明における上下の方向は、ノズルからのインク吐出方向に沿う方向を基準とする。従って、本発明における上又は上面とは、インク吐出方向と反対方向又はインク吐出方向と反対方向に配向する面をいい、下又は下面とは、インク吐出方向又はインク吐出方向に配向する面をいう。
【0020】
配線基板は、アクチュエータの上面に露出する個別電極と該アクチュエータ形成領域以外のヘッド基板上面に露出する共通電極とに対してそれぞれ電気的に接続するための配線端子を有している。配線基板とヘッド基板とは接着樹脂層を介して積層され、所定の加熱温度で圧着されることによって、接着樹脂層によって接合される。この接合と同時に、ヘッド基板側の個別電極及び共通電極と配線基板側の配線端子とがそれぞれ電気的に接続される。
【0021】
接着樹脂層は、ヘッド基板と配線基板との間において、少なくともアクチュエータ形成領域及びその周囲を除いて設けられることにより、両基板間にアクチュエータの収容空間を確保するように基板同士を接着する。この接着樹脂層は、接着前の状態では所定の弾性率(0.1〜2.5GPa)を有し、接着時に所定の硬化温度(例えば200℃)に加熱されることによって硬化して接着機能を発揮する加熱硬化性接着樹脂層である。
【0022】
このような接着樹脂層には感光性接着樹脂シートを好ましく用いることができる。感光性接着樹脂シートは、アクチュエータの収容空間となる不要部分を露光、現像処理によって容易に除去することができ、所望パターンの層形成が容易である。具体的な接着樹脂層としては、例えば東レ社製感光性ポリイミド接着シート、デュポン社製PerMXシリーズ(商品名)等を用いることができる。
【0023】
アクチュエータはヘッド基板の上面に形成されるため、該ヘッド基板上面から突出している。このため、ヘッド基板と配線基板との接合方向(以下、これを単に接合方向という。)において、個別電極が共通電極よりも配線基板に近い位置に配置されている。
【0024】
本発明の一つの実施形態では、この個別電極と共通電極のうちの共通電極のみに、配線基板に対応する配線端子と電気的に接続するための接続部品が設けられる。この場合、配線端子と接続される接続部品の先端部の接合方向の位置と、配線端子に接続される個別電極の接続面の接合方向の位置とが、ほぼ同一とされている。
【0025】
本発明の他の実施形態では、個別電極と共通電極の双方に、配線基板の配線端子と電気的に接続するための接続部品がそれぞれ設けられる。この場合、個別電極の接続部品と共通電極の接続部品の接合方向の高さをそれぞれ異ならせることにより、配線端子に接続される個別電極の接続部品の先端部の接合方向の位置と、配線端子に接続される共通電極の接続部品の先端部の接合方向の位置とが、ほぼ同一とされる。
【0026】
これらいずれの実施形態によっても、ヘッド基板側の電極(個別電極及び共通電極)と配線基板側の配線端子との電気的接続部位の接合方向の位置がほぼ均一化される。従って、両基板を接着樹脂層を介して接合する際に、圧着によって電気的接合を行う際の距離がほぼ同一となるため、各電気的接続部位の接続状態も均一化され、部分的な接触不良が発生することはなくなり、両基板の接着と同時に両基板間の電気的接続を信頼性高く確保することができる。
【0027】
なお、本発明において「接合方向の位置がほぼ同一」とは、共通電極が配線端子と導通する全ての電気的接続部位の接合方向の位置の共通電極上面からの距離の平均値をA、個別電極が配線端子と導通する全ての電気的接続部位の接合方向の位置の共通電極上面からの距離の平均値をBとしたとき、|A−B|の値が接着樹脂層の厚みの10%以下であることをいう。
【0028】
本発明において、接続部品は、はんだバンプ又はスタッドバンプを用いることができる。はんだバンプ又はスタッドバンプを用いることで、個別電極や共通電極上に容易に接続部品を形成することができる。
【0029】
特に、配線基板の配線端子にはんだバンプを使用し、ヘッド基板側の接続部品にスタッドバンプを使用することが好ましい。
【0030】
一般に、はんだバンプは、はんだペーストをスクリーン印刷によって配線基板にパターニングした後、はんだペースト毎の所望の温度でリフローすることにより、はんだペースト自身の表面張力で平面上のはんだペーストの形状が変化しボール状に形成される。また別の方法として、あらかじめボール状に形成されたはんだボールを配線基板の所定位置に配置することで、はんだバンプを形成することもできる。
【0031】
はんだバンプには、接着樹脂層の加熱硬化時の温度よりも低い温度で融解する低融点のはんだバンプが好ましく、特に共晶はんだにより形成されるバンプを好ましく用いることができる。共晶はんだとしては、Sn−In系共晶はんだ(融点118℃)、Sn−Bi系共晶はんだ(融点139℃)等が挙げられる。この他、接着樹脂層の加熱硬化時の温度よりも低い温度で融解するものであれば、一般の低融点はんだ、例えばSn−Bi−Agはんだ(Agは0〜1%)(融点139℃〜)等を用いることもできる。
【0032】
また、スタッドバンプは、金属細線(ワイヤ)を用いて放電加熱により金属ボールを形成し、超音波アシストにより金属ボールを電極表面に接合させ、キャピラリーで加圧した後、金属細線を引きちぎることで電極表面にバンプを形成する。このようなスタッドバンプは、一般に、キャピラリーで加圧された金属ボールから金属細線が引きちぎられることによって、根元に位置する金属ボール由来の台地状又はこぶ状の肩部を有し、側面が階段状の円錐形状をなしていると共に、先端部側がこの肩部から突出する金属細線の一部によって突起形状をなしており、金属ボールの大きさを可変することによって、様々な肩部高さのバンプを容易に形成することができる。従って、配線端子にはんだバンプを使用し、接続部品にスタッドバンプを使用することで、配線基板の配線形成の容易化と電気的接続部位の均一高さの容易化とを同時に図ることができる。
【0033】
なお、本発明において、スタッドバンプの「高さ」とは、金属ボールから引きちぎられた金属細線によって形成される突起部の先端部の高さをいい、金属ボールの部分のみの高さは「肩部高さ」という。
【0034】
スタッドバンプは、バンプ形成用に一般に使用される金属細線を用いて形成することができるが、その先端部側が塑性変形した状態で配線端子と電気的接続されていることが好ましい。これにより基板破損を発生させるおそれなく電気的接続の確実性を図ることができる。このようなスタッドバンプとしては、相手側と過度に接触しても容易に塑性変形することができる金スタッドバンプを使用することが好ましい。
【0035】
本発明のインクジェット描画装置は、このようなインクジェットヘッドを搭載してなる。これにより、ヘッド基板と配線基板との間の電気的接続の信頼性が高いインクジェットヘッドにより、高品質の画像形成が可能なインクジェット描画装置とすることができる。
【0036】
本発明のインクジェットヘッドの製造方法の一つの実施形態では、インクを吐出させる複数のノズルにそれぞれ対応して配設され、該ノズルから吐出させるためのインクを収容する複数の圧力室と、前記圧力室にそれぞれ対応して配置され、該圧力室内のインクを前記ノズルから吐出させるための力を付与する複数のアクチュエータとを有し、該アクチュエータの上面には個別電極が設けられ、下面には共通電極が設けられており、ヘッド基板と配線基板との接合方向において、個別電極は共通電極よりも配線基板に近い位置に配置されているヘッド基板と、前記個別電極及び前記共通電極に対してそれぞれ電気的に接続するための配線端子を有する配線基板とを、接着樹脂層を介して接合することによって、前記ヘッド基板の前記個別電極及び前記共通電極と前記配線基板の前記配線端子とを電気的に接続するものであって、前記個別電極と前記共通電極のうちの前記共通電極のみに、前記配線端子と電気的に接続するための接続部品を、その先端部の前記接合方向の位置と、前記配線端子に接続される前記個別電極の接続面の前記接合方向の位置とがほぼ同一となるように設け、前記接着樹脂層を介して前記ヘッド基板と前記配線基板とを加熱圧着することによって、前記共通電極の前記接続部品及び前記個別電極とそれぞれ対応する前記配線端子とを電気的に接続する。
【0037】
また、本発明のインクジェットヘッドの製造方法の他の実施形態では、インクを吐出させる複数のノズルにそれぞれ対応して配設され、該ノズルから吐出させるためのインクを収容する複数の圧力室と、前記圧力室にそれぞれ対応して配置され、該圧力室内のインクを前記ノズルから吐出させるための力を付与する複数のアクチュエータとを有し、該アクチュエータの上面には個別電極が設けられ、下面には共通電極が設けられており、ヘッド基板と配線基板との接合方向において、個別電極は共通電極よりも配線基板に近い位置に配置されているヘッド基板と、前記個別電極及び前記共通電極に対してそれぞれ電気的に接続するための配線端子を有する配線基板とを、接着樹脂層を介して接合することによって、前記ヘッド基板の前記個別電極及び前記共通電極と前記配線基板の前記配線端子とを電気的に接続するものであって、前記個別電極と前記共通電極の双方に、前記配線端子と電気的に接続するための接続部品を、前記個別電極の前記接続部品と前記共通電極の前記接続部品の前記接合方向の高さをそれぞれ異ならせ、且つ、前記配線端子に接続される前記個別電極の前記接続部品の先端部の前記接合方向の位置と、前記配線端子に接続される前記共通電極の前記接続部品の先端部の前記接合方向の位置とがほぼ同一となるようにそれぞれ設け、前記接着樹脂層を介して前記ヘッド基板と前記配線基板とを加熱圧着することによって、前記共通電極の前記接続部品及び前記個別電極の前記接続部品とそれぞれ対応する前記配線端子とを電気的に接続する。
【0038】
これらいずれの実施形態によっても、アクチュエータを有するヘッド基板と該アクチュエータに給電するための配線を有する配線基板とを接着樹脂層を介して接合すると同時に両基板間の電気的接続を信頼性高く確保することができる。
【0039】
以下、本発明の具体例について図面を用いて更に説明する。
【0040】
図1は、本発明に係るインクジェットヘッドの断面図、
図2はその部分拡大断面図、
図3はインクジェットヘッドの製造工程を示す断面図、
図4は電気的接続部位の拡大図である。
【0041】
インクジェットヘッド1は、ヘッド基板10と配線基板20とが、接着樹脂層30によって積層一体化されている。配線基板20の上面には箱型形状のマニホールド40が設けられ、配線基板20との間で、内部にインクが貯留される共通インク室41を形成している。
【0042】
ヘッド基板10は、図中下層側から、Si(シリコン)基板によって形成されたノズルプレート11、ガラス基板によって形成された中間プレート12、Si(シリコン)基板によって形成された圧力室プレート13、SiO
2薄膜によって形成された振動板14とを有している。ノズルプレート11には下面に向けてノズル11aが開口している。
【0043】
圧力室プレート13には、吐出のためのインクを収容する圧力室13aが形成されており、その上壁が振動板14によって構成され、下壁が中間プレート12によって構成されている。中間プレート12には、圧力室13aの内部とノズル11aとを連通する連通路12aが貫通形成されている。
【0044】
アクチュエータ15は、PZTからなるアクチュエータ本体15aが、上面に均一厚みで形成された個別電極15bと下面に均一厚みで形成された共通電極15cとで挟まれてなる。共通電極15cは振動板14の表面に全てのアクチュエータ15に共通に形成されており、この共通電極15c上に、圧力室13aに1対1に対応するように個別にアクチュエータ本体15aとその上面の個別電極15bとが積層されている。
【0045】
個別電極15b上には、接続部品としての金スタッドバンプ16(融点1063℃)が配線基板20に向けて突出形成されている。金スタッドバンプ16は、
図4に示すように、根元に位置して個別電極15bから台地状又はこぶ状に盛り上がるように形成されることにより、側面が階段状の円錐形状をなす肩部(個別電極15bに接する基部)16aと、その肩部16aの上面中央付近から上方に突出する突起部16bとを有している。
【0046】
また、共通電極15c上にも、同じく接続部品としての金スタッドバンプ17(融点1063℃)が配線基板20に向けて突出形成されている。金スタッドバンプ17も、
図4に示すように、根元に位置して共通電極15cから台地状又はこぶ状に盛り上がるように形成されることにより、側面が階段状の円錐形状をなす肩部(共通電極15cに接する基部)17aと、その肩部17aの上面中央付近から上方に突出する突起部17bとを有している。
【0047】
ここで、金スタッドバンプ16が形成される個別電極15bの上面は、アクチュエータ15がヘッド基板10上に突出形成されていることから、金スタッドバンプ17が形成される共通電極15cの上面よりも高く、接合方向において共通電極15cの上面の位置よりも配線基板20に近い位置にある。このため、個別電極15b上の金スタッドバンプ16の先端部の接合方向(
図4における上下方向)の高さ(BL2)と、共通電極15c上の金スタッドバンプ17の先端部の接合方向の高さ(BH2)とをそれぞれ異ならせることにより、金スタッドバンプ16の先端部の接合方向の位置(共通電極15cの上面からH+BL2だけ離れた位置)と、金スタッドバンプ17の先端部の接合方向の位置(共通電極15cの上面からBH2だけ離れた位置)とがほぼ同一となるようにしている。また、ここでは、金スタッドバンプ16の肩部16aの接合方向の位置(共通電極15cの上面からH+BL1だけ離れた位置)と、金スタッドバンプ17の肩部17aの接合方向の位置(共通電極15cの上面からBH1だけ離れた位置)もほぼ同一となっている。
【0048】
金スタッドバンプ16、17の高さを異ならせるには、金細線からバンプを形成する時の金ボールの大きさを、所望の高さに応じて変化させればよい。
【0049】
なお、BL1は、個別電極15bの上面から金スタッドバンプ16の肩部16aの上端までの高さであり、例えば20〜50μmとすることができる。BL2は、個別電極15bの上面から金スタッドバンプ16の突起部16bの先端部までの高さであり、例えば50〜100μmとすることができる。また、Hは共通電極15cの上面から個別電極15bの上面までの高さであり、これはアクチュエータ本体15aの厚みによって様々であるが、例えば5〜50μmとすることができる。
【0050】
また、BH1は、共通電極15cの上面から金スタッドバンプ17の肩部17aの上端までの高さであり、H+BL1とほぼ同一高さとなる条件で、例えば25〜100μmとすることができる。BH2は、共通電極15cの上面から金スタッドバンプ17の突起部17bの先端部までの高さであり、H+BL2とほぼ同一高さとなる条件で、例えば55〜150μmとすることができる。
【0051】
更に、SLは、はんだバンプ26aの下部電極25aの下面からの突出高さ、SHは、はんだバンプ26bの下部電極25bの下面からの突出高さであり、両者がほぼ同一の突出高さとなる条件で、例えばそれぞれ20〜60μmとすることができる。
【0052】
配線基板20は、Si基板からなる基板本体21の上面に、SiO
2からなる配線保護層22を介して、個別電極15b用の上部配線23aと共通電極15c用の上部配線23bが形成されている。これら上部配線23a、23bには、駆動IC27が実装されたFPC(フレキシブルプリント回路基板)28が、配線基板20の端部においてACF(異方性導電フィルム)によって電気的に接続されている。
【0053】
個別電極15b用の上部配線23aの一部は、基板本体21に形成された貫通孔21aによって基板本体21の下面に臨んでおり、該基板本体21の下面にSiO
2からなる配線保護層24を介して形成された下部配線25aと導通している。アクチュエータ15に面する配線保護層24には、下部配線25aの一部が露出しており、その露出した下部配線25aに、個別電極15bと導通を図るための配線端子としてのはんだバンプ26aが、金スタットバンプ16に対応する位置にヘッド基板10に向けて突出形成されている。
【0054】
また、共通電極15c用の上部配線23bの一部は、基板本体21に形成された貫通孔21bによって基板本体21の下面に臨んでおり、該基板本体21の下面にSiO
2からなる配線保護層24を介して形成された下部配線25bと導通している。アクチュエータ15に面する配線保護層24には、下部配線25bの一部が露出しており、その露出した下部配線25bに、共通電極15cと導通を図るための配線端子としてのはんだバンプ26bが、金スタットバンプ17に対応する位置にヘッド基板10に向けて突出形成されている。
【0055】
各はんだバンプ26a、26bは、ここではSn−Bi系共晶はんだ(融点139℃)によってスクリーン印刷されることによって形成されており、
図4に示すように、リフロー後に下部配線25a、25bの表面からそれぞれヘッド基板10に向けて同一高さ(SL=SH)で半球状に盛り上がることによって、その先端面(下端面)は球面状となっている。
【0056】
インクジェットヘッド1の製造に際し、これらヘッド基板10と配線基板20とは、
図3に示すように、各々別々に作製した後、ヘッド基板10の上面と配線基板20の下面とを対面させ、接着樹脂層30を介して積層一体化される。
【0057】
接着樹脂層30は、熱硬化性の感光性接着樹脂シート(ここでは硬化温度200℃とする。)であり、ヘッド基板10と配線基板20との間に該接着樹脂層30の厚み分の間隔を設けるべく、配線基板20の配線保護層24の表面(下面)に対して予め貼着される。そして、この接着樹脂層30付きの配線基板20を、接着樹脂層30の貼着面をヘッド基板10側に配向させ、且つ、各はんだバンプ26a、26bと、これに対応する各金スタッドバンプ16、17とが電気的に接続されるように位置合わせし、接着樹脂層30をヘッド基板10の共通電極15c上面に対して積層した後、所定の硬化温度に加熱され及び圧着されることによって、ヘッド基板10と配線基板20とが接着樹脂層30を介して接着される。
【0058】
接着樹脂層30は、配線基板20への貼着後でヘッド基板10との積層前に、アクチュエータ15及びその周囲に相当する領域が露光、現像によって除去される。これにより、ヘッド基板10と配線基板20との間に、アクチュエータ15(アクチュエータ本体15aと個別電極15b)の収容空間31が形成される。この収容空間31には、同時に金スタッドバンプ17の周囲の領域も露光、現像によって除去されることで、該金スタッドバンプ17も収容される。
【0059】
接着樹脂層30には、予め上下に貫通する貫通孔32が同じく露光、現像によって形成されており、その一端(上端)は、配線基板20に形成されているインク供給路29と連通し、他端(下端)は、ヘッド基板10と接合されることによって、該ヘッド基板10の振動板14及び共通電極15cを貫通する開口14aを通して圧力室13aの内部と連通している。インク供給路29は配線基板20の上面に開口しており、その開口部29aから共通インク室41内のインクを流入させて圧力室13a内に供給可能としている。
【0060】
圧力室13a内に供給されたインクは、駆動IC27から与えられる駆動信号によってアクチュエータ15が変形し、振動板14が振動することで、吐出のための圧力が付与され、連通路12aを通ってノズル11aから微小液滴として吐出される。
【0061】
ヘッド基板10と配線基板20との接合時、個別電極15b或いは共通電極15cと配線基板20との電気的接続を要する部位の距離に関わらず、金スタッドバンプ16の先端部の接合方向の位置と金スタッドバンプ17の先端部の接合方向の位置とがほぼ同一とされているため、はんだバンプ26a、26bと金スタッドバンプ16、17間の距離はほぼ一定となり、両者が接合し合うことによって形成される電気的接続部位の接合方向の位置がほぼ均一化されているため、金スタットバンプ16、17とはんだバンプ26a、26bとの間の押し付け状態もほぼ均一化され、部分的な接触不良が発生することはなくなる。
【0062】
金スタッドバンプ16、17とはんだバンプ26a、26bとの電気的接続は、
図4に示すように、ヘッド基板10と配線基板20とが加熱され及び圧着されることによって、金スタッドバンプ16、17の突起部16b、17bが、はんだバンプ26a、26b内に侵入(食い込み)するように行われている。
【0063】
すなわち、接着樹脂層30の硬化温度(200℃)で加熱され及び圧着されると、この加熱温度よりも融点が高い金スタッドバンプ16、17はその形状を維持したままであるが、この加熱温度よりも融点が低いはんだバンプ26a、26bは溶融状態となり、接合時の金スタッドバンプ16、17の突起部16b、17bの侵入を許容し、互いのオーバーラップ分を吸収する。また、加熱圧着時に接着樹脂層30が圧縮されることにより該接着樹脂層30に僅かに加圧潰れが生じ、その厚み寸法が小さくなる方向に変化するが、金スタッドバンプ16、17の突起部16b、17bが溶融したはんだバンプ26a、26b内に食い込むことで、この接着樹脂層30の厚み寸法変化分も吸収する。これにより、金スタッドバンプ16、17の先端部は、はんだバンプ26a、26bの内部に両者同程度に食い込んだ状態となり、金スタッドバンプ16、17とはんだバンプ26a、26bとの間の確実な電気的接続が保証される。
【0064】
更に、金スタッドバンプ16、17は、特に突起部16b、17bが容易に塑性変形可能であるため、ヘッド基板10と配線基板20との接合時に押し付けすぎが生じても、
図5に示すように、突起部16b、17bが相手側の面(下部配線25a、25bの下面)に当接して塑性変形することができ、基板破損が生じるおそれはない。しかも、突起部16b、17bが塑性変形するまでヘッド基板10と配線基板20との距離を近付けることができるので、バンプ同士がオーバーラップし得る許容範囲(接着樹脂層30の寸法変化分の吸収可能範囲)を、突起部16b、17bの高さ分だけ広くすることができ、より確実な電気的接続を得ることが可能である。
【0065】
なお、
図5は金スタッドバンプ16とはんだバンプ26aとの電気的接続部位を示しているが、金スタッドバンプ17とはんだバンプ26bとの電気的接続部位の場合も同じである。
【0066】
以上の実施形態では、個別電極15bと共通電極15cの双方にそれぞれ接続部品としての金スタッドバンプ16、17を設けたが、
図6は、共通電極15c側のみに接続部品としての金スタッドバンプ17を設けた実施形態を示している。
【0067】
この場合、個別電極15bがはんだバンプ26aと導通する電気的接続部位は、個別電極15bの上面である。すなわち、この個別電極15bの上面が接続面となる。金スタッドバンプ17は、肩部17aと突起部17bとを有するが、この突起部17bの先端部の接合方向の位置(共通電極15cの上面からBH2だけ離れた位置)を、個別電極15bの接続面の接合方向の位置(共通電極15cの上面からHだけ離れた位置)とほぼ同一とし、この突起部17bの先端部をはんだバンプ26bとの電気的接続部位とすることにより、それぞれ同一の突出高さ(SL=SH)を有するはんだバンプ26a、26bとの電気的接続のために、ヘッド基板10と配線基板20とを加熱圧着した際、金スタッドバンプ17の突起部17bが溶融したはんだバンプ26b内に侵入するため、個別電極15bとはんだバンプ26aとを確実に電気的接続させることができる。
【0068】
図7は、かかるインクジェットヘッド1を搭載したインクジェット描画装置の一例を示す概略斜視図である。
【0069】
インクジェット描画装置100は、装置基台101上に、インクジェット描画を行うためのインクジェットヘッド1、上面に基材Wを載置して支持するためのステージ102、ステージ102をθ方向に回転移動させるためのθ回転機構103、ステージ102及びθ回転機構103を共にY方向に沿って直線移動させるY移動機構104、ステージ102及びθ回転機構103を共にX方向に沿って直線移動させるX移動機構105をそれぞれ備えている。
【0070】
なお、X方向とY方向とは水平面上で互いに直交する方向である。
【0071】
インクジェットヘッド1は、装置基台101上の端部近傍においてX方向に沿って平行に架設されたガントリ106に、スライダ107及びθ回転機構108を介して、そのノズル面が下面となるように取り付けられ、その下方に配置されるステージ102上の被記録材Wの表面と平行に対向するように配置されている。インクジェットヘッド1は、スライダ107がガントリ106に沿ってスライド移動することによりX方向に沿って往復移動し、また、θ回転機構108によって、X、Y方向と直交する法線方向であるZ方向に沿う方向を軸としてθ方向に回転移動し、更に、Z移動機構109によってθ回転機構108と共にZ方向に昇降移動することができるようになっている。
【0072】
ステージ102は、X方向に沿って延びるX移動機構105上に、θ回転機構103を介して設けられた平面視矩形状の定盤であり、その上面は被記録材Wを載置するための水平な載置面とされ、該載置面がインクジェットヘッド1のノズル面に対して所定の高さ位置となるように配設されている。このステージ102は、θ回転機構103と共にX移動機構105に沿ってスライド移動することによってX方向に沿って直線移動し、このX移動機構105が、それぞれY方向に沿って延びるY移動機構104に沿ってスライド移動することによって、θ回転機構103と共にY方向に沿って直線移動し、更に、θ回転機構103によって、インクジェットヘッド1のノズル面に対して平行を維持したまま、Z方向に沿う方向を軸としてθ方向に回転移動することができるようになっている。
【0073】
インクジェット描画装置100は、インクジェットヘッド1とステージ102とを相対的に移動させ、そのときの各位置情報に応じて、所定の吐出パターンデータに基づいてインクジェットヘッド1からの液滴の吐出を制御し、ステージ102上の被記録材W表面に着弾させることで、所望の描画を行う。
【0074】
なお、以上の説明では、接着樹脂層30を予め配線基板20側に貼着した状態でヘッド基板10と接合するようにしたが、接着樹脂層30を予めヘッド基板10側に貼着した状態で配線基板20をヘッド基板10及び接着樹脂層30と接合するようにしてもよい。
【0075】
また、以上の説明では、ヘッド基板10と配線基板20との加熱圧着時、ヘッド基板10にノズル11aが設けられている状態としたが、ヘッド基板10は、加熱圧着時に、ノズルプレート11が未だ積層されていないことによりノズル11aを有していない状態であってもよい。