(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記送信フレーム処理手段は、前記通知フレームに障害箇所及び障害要因の少なくとも一方を挿入することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の通信システム。
前記受信フレーム処理手段は、前記第2テーブルの検索において、異なる出力ポートの情報を持つ複数エントリを取得した場合、当該エントリ数と同数となるように前記通知フレームを複製することを特徴とする請求項3に記載の通信システム。
【背景技術】
【0002】
MPLS−TP(Multi Protocol Label Switching - Transport Profile)は、IETF(Internet Engineering Task Force)によって標準化がすすめられているパケットトランスポート技術である。従来、トランスポートネットワークはSONET/SDH(Synchronous Optical NETwork/Synchronous Digital Hierarchy)技術によって実現されていた。この技術に対し、MPLS−TPは、パケットサービスの収容に最適なパケットトランスポートネットワークを実現するために、既存のMPLS技術から抽出した機能と、新たな追加機能と、を定義している。
【0003】
MPLS−TPのネットワークアーキテクチャは、Data−Plane(D−Plane)、Management−Plane(M−Plane)、及びControl−Plane(C−Plane)から構成される。M−Planeでは、MPLS−TP網を構成する各装置やLSP(Label Switched Path)の監視、制御等が行われる。C−Planeでは、装置間のシグナリングが行われることにより、M−Planeの制御下にないLSPのセットアップ、メンテナンス等が行われる。D−Planeでは、既存のMPLSのラベルスイッチング処理、カプセル化処理に準じたデータ転送が行われるとともに、OAM(Operation Administration and maintenance)機能が実現される。
【0004】
MPLS−TPは、これらの3つのPlaneを論理的、または物理的に分離している。詳細には、D−PlaneがC/M−Planeから独立して動作するアーキテクチャとしている。これにより、IPレイヤへの依存性、複雑さが排除され、トランスポートネットワークに要求される堅牢性を確保している。また、OAM機能では、既存MPLSがIPレイヤに依存していたのに対し、MPLS−TPでは、IPレイヤに依存しない新たなOAM機能が追加されている。
【0005】
MPLS−TPのレイヤ構造は、3階層からなる。IETF標準のMPLS/PWE3Pseudo Wire Emulation)技術を利用して構成されるMPLS−TPのトランスポートレイヤは、"Transport Network Layer(トランスポートネットワークレイヤ)"と呼称される。このトランスポートネットワークレイヤの上位レイヤは、"Client Layer(クライアントレイヤ)"と呼称される。クライアントレイヤは、PWE3技術によって様々なレイヤ技術の収容が可能である。トランスポートネットワークレイヤの下位レイヤは、"Server Layer(サーバレイヤ)"と呼称される。サーバレイヤは、MPLS−TP網内のノード間の伝送において、各種レイヤ技術を利用可能にしている。
【0006】
MPLS−TPに準拠した装置により構成されるMPLS−TP網では、PEW3技術及びMPLS技術により、エッジノード(LER(Label Edge Router))間にエンドツーエンドの2階層のパス(PWパス、LSPパス)が構築される。クライアントレイヤから受信したフレームは、2段階のMPLSラベル(PWラベル、LSPラベル)によりカプセル化され、パス上を転送される。ここで、パスの特定区間においてMPLSラベルをスタックしてパスを階層化し、OAM機能が当該階層化した情報を解析することにより、その区間の監視や保守等が実現される。
【0007】
このOAM機能の一つとして、AIS(Alarm Indication Signal)機能が挙げられる。AIS機能は、下位レイヤにおいて障害が検出された場合に、影響を受ける上位レイヤのMEP(Maintenance end Point)に対して周期的にAISフレームを送信し、その障害に関連する他のアラーム(LOC(Loss Of Channel)等)を抑止する機能である。AISフレームを受信していたMEPは、当該AISフレームを受信しなくなった場合に検出した障害が復旧したとみなし、アラームの抑止を解除する。
【0008】
AIS機能を含むMPLS−TPのOAM機能は、非特許文献1及び2に規定されている。
【0009】
なお、トランスポートネットワークレイヤ内には、トランスポートサービスレイヤ(Transport Service Layer)、トランスポートパスレイヤ(Transport Path Layer)、及びセクションレイヤ(Section Layer)が定義されている。トランスポートサービスレイヤは、主にPW(Pseudowire)により実現される。トランスポートパスレイヤは、主にLSPにより実現される。セクションレイヤは、主にリンク(Link)により実現される。
【0010】
以下に、
図8を参照し、一般的なAIS通知機能の動作例を説明する。
図8に示すシステムは、エッジノードとしてLER1及びLER5を有し、LSR(Label Switched Router)として、LSR2〜4を有する。LER1にはLSP MEPとして613及び614が設定され、LER5にはLSP MEPとして653及び654が設定されている。LSP MEP613と、LSP MEP653の間にはLSP581が構築され、LSP MEP614と、LSP MEP654の間にはLSP582が構築されている。さらに、各隣接装置間にはセクション区間591、592、593、594が構築されており、各セクションの端点には、SECTION MEP(511、521、522、531、532、541、542、551)が設定されている。
【0011】
ここで、LSR2及びLSR3を接続するセクション区間592に双方向リンクダウン障害が発生したことを想定する。この場合、SECTION MEP522及び531が障害を検出する。SECTION MEP522及び531は、当該セクション区間592により多重化されているLSP581及び582の各々に対応するAISフレームを作成する。そして、SECTION MEP522は、障害のあったセクション区間592と反対方向のLSP MEP613及び614に対してAISフレームを周期的に送信する。同様に、SECTION MEP531は、障害のあったセクション区間592と反対方向のLSP MEP653及び654に対してAISフレームを周期的に送信する。
【0012】
上記したように、障害区間と隣接するSECTION MEPは、全てのLSPに対応してAISフレームを生成し(たとえば上記のように2つのLSPがある場合には2つのAISフレームを生成し)、当該AISフレームを送信する。
【0013】
続いて、MPLS−TPに関連する技術、MPLS−TPを利用した技術を開示した文献を以下に説明する。
【0014】
特許文献1は、MIP(保守中間点)がAISフレームを検出し、上位のネットワーク監視システムに当該フレームの検出を通報する障害監視システムが開示している。しかしながら、当該文献では、セクション区間でのAISフレームの転送については言及していない。
【0015】
特許文献2は、多数レベルのOAMドメインを有するイーサネット(登録商標)OAMネットワーク内で故障情報を伝搬するシステムを開示している。当該システムは、OAM回送中でのEthAISフレームの伝搬において、MEPノードがAISフレームを受信し、当該MEPノードが受信したAISフレームを全て合体させて新規なAISフレームを生成する。MEPノードは、生成した新規なAISフレームを送信対象とする。
【発明を実施するための形態】
【0031】
<実施の形態1>
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態にかかる通信システムの構成を示すブロック図である。当該システムは、MPLS−TP網を形成するシステムである。当該システムは、通信装置1〜5を有する。通信装置1及び通信装置5は、LERとして動作する。通信装置2〜4は、LSRとして動作する。通信装置1のポート114と通信装置2のポート121は、伝送媒体を介して接続される。同様に、通信装置2のポート124と通信装置3のポート131は、伝送媒体を介して接続される。通信装置3のポート134と通信装置4のポート141は、伝送媒体を介して接続される。通信装置4のポート144と通信装置5のポート151は、伝送媒体を介して接続される。通信装置1のポート111及び通信装置5のポート154は、MPLS−TP網の外部装置と接続されている。
【0032】
通信装置1にはLSP MEPとして311及び312が設定され、通信装置5にはLSP MEPとして351及び352が設定されている。LSP MEP311と、LSP MEP351の間にはLSP81が構築され、LSP MEP312と、LSP MEP352の間にはLSP82が構築されている。さらに、各隣接装置間にはセクション区間91、92、93、94が構築されており、各セクションの端点には、SECTION MEP(211、221、222、231、232、241、242、251)が設定されている。
【0033】
次に、通信装置1〜5の内部構成を説明する。
図2は、通信装置1の内部構成を示すブロック図である。通信装置1は、ラベルテーブル11と、フレーム転送部12と、OAM処理部13と、AIS管理テーブル14と、を備える。
【0034】
ラベルテーブル11は、PWラベルテーブル15と、LSPラベルテーブル16と、を備える。PWラベルテーブル15は、フレームヘッダやポートの情報と、PWラベルの情報と、をフィールドとするエントリを複数有する。PWラベルテーブル15は、PW処理部17から参照される。LSPラベルテーブル16は、入力ラベルの情報を有する。詳細には、LSPラベルテーブル16は、LSPラベルの情報、出力ラベルの情報、ラベルの処理アクションの情報、及び出力ポートの情報をフィールドとするエントリを複数有する。LSPラベルテーブル16は、MPLS処理部18から参照される。
【0035】
フレーム転送部12は、PW処理部17と、MPLS処理部18と、を備える。PW処理部17は、既存のPWE3の規格に準じたラベル処理(ラベル検索、付与(Push)、削除(Pop)、変更(Swap)、TTL演算)を行う。同様に、MPLS処理部18は、MPLSの規格に準じたラベル処理を行う。さらに、PW処理部17及びMPLS処理部18は、サーバレイヤ及びクライアントレイヤのヘッダ付与、及び削除を行う。
【0036】
フレーム転送部12は、他の装置から受信したフレームが、ユーザフレームデータであるか、それともOAMフレームであるかの判定を行う。フレーム転送部12は、OAMフレームである場合には、当該OAMフレームをOAM処理部13に転送する。
【0037】
フレーム転送部12は、OAM処理部13(AIS処理部19)から入力されたフレームに対し、ラベル処理を行う。フレーム転送部12は、ラベル処理を行ったフレームをいずれかのポートを介して他の装置に送信する。
【0038】
しかしながら、フレーム転送部12(PW処理部17、MPLS処理部18)は、OAM処理部13(AIS処理部19)から入力されるセクションレイヤのOAMフレームに対して前述のラベル処理は行わない。
【0039】
OAM処理部13は、AIS処理部19を備える。OAM処理部13は、MPLS−TP規格により定義されている各種のOAM機能を実行する処理部である。
【0040】
AIS処理部19は、障害検出時に、AIS管理テーブル14を参照して、AISフレームの送信経路となるLSPの識別子(LSP ID)、及び当該フレームの出力ポートを取得する。AIS処理部19は、取得したLSP IDを挿入したAISフレームを生成する。AIS処理部19は、生成したAISフレームを出力ポートの情報と共にフレーム転送部12に供給する。
【0041】
また、AIS処理部19は、他の通信装置からAISフレームを受信した場合に、通信装置1が終端装置であるか否かをAIS管理テーブル14、及びAISフレーム内に含まれるLSP IDを基に判定する。AIS処理部19は、終端装置であると判定した場合、AISフレームの受信をOAM処理部13に通知する。このとき、OAM処理部13は通知情報から判定したパスの障害状態をマスクする処理を行う。AIS処理部19は、終端装置ではないと判定した場合に、AISフレームの転送先(さらに別の通信装置)をAIS管理テーブル14から算出する。
【0042】
AIS管理テーブル14は、AIS処理部19から参照される。AIS管理テーブル14は、障害を検出した場合、または他の通信装置からAISフレームを受信した場合に参照される。AIS管理テーブル14の詳細は、
図3A〜
図3Eを参照して後述する。
【0043】
なお、通信装置2〜5は、
図2に示す構成と同一の構成を有すればよい。通信装置2は、上述の各処理部に対応するラベルテーブル21と、フレーム転送部22と、OAM処理部23と、AIS管理テーブル24と、を備える。通信装置3は、上述の各処理部に対応するラベルテーブル31と、フレーム転送部32と、OAM処理部33と、AIS管理テーブル34と、を備える。通信装置4は、上述の各処理部に対応するラベルテーブル41と、フレーム転送部42と、OAM処理部43と、AIS管理テーブル44と、を備える。通信装置5は、上述の各処理部に対応するラベルテーブル51と、フレーム転送部52と、OAM処理部53と、AIS管理テーブル54と、を備える。
【0044】
再び
図1及び
図3A〜
図3Eを参照し、各通信装置の動作を説明する。
図1の構成において、各装置が有するAIS管理テーブル(14、24、34、44、54)の構成を
図3A〜
図3Eに示す。
【0045】
LSRとして動作する通信装置2〜4のAIS管理テーブル(24、34、44)の構成を
図3B〜
図3Dに示す。当該管理テーブルでは、フィールドとして入力ポート、SECTION MEP ID、LSP ID、及び出力ポートが定義されている。入力ポートは、当該装置が監視対象とするセクションが接続するポートの情報である。SECTION MEP IDは、監視対象とするセクションのMEPを識別する情報である。LSP IDは、監視対象のセクションにて障害が発生した場合に、AISフレームを出力すべきLSPの識別子の情報である。出力ポートは、監視対象のセクションにて障害が発生した場合に、AISフレームを出力すべきポート番号である。
【0046】
ここで、各LSPが異なる入力ポートまたは出力ポートを持つ場合、当該LSPのLSP IDと出力ポートの組毎にエントリを登録する。例えば、
図3Bでは、通信装置2は、ポート121を介してSECTION MEP221を端点とするセクション(SECTION91)を監視し、当該セクションの障害時にLSP81及び82を送信経路として、出力ポート124からAISフレームを出力する。
【0047】
次にLERとして動作する通信装置1及び5のAIS管理テーブル(14、54)の構成を
図3A及び
図3Eに示す。当該テーブルのフィールド構成は
図3B〜
図3Dと同じである。LERとして動作する通信装置1及び5では、LSPを終端する。そのため、出力ポートには、「終端」であることを示す情報が登録される。
図3Aでは、LSP81及び82の入力ポートが同一(114)であるため、同一エントリに2つのLSP IDが登録される。
【0048】
なお、AIS管理テーブル及び各ラベルテーブルには、構築するMPLS−TP網に応じてエントリが定まり、本実施の形態ではすでにエントリが登録されているものとする。なお、PWラベルテーブルは、クライアントレイヤの伝送技術によっては、フレームのヘッダ、ポート、及びPWラベルの関係性を学習し、動的にエントリを登録する構成とすることも可能である。本実施の形態にかかる通信装置1〜5は、このようなPWラベルテーブルにも対応できる。
【0049】
次に、AISフレームの転送動作を
図1を参照して説明する。以下の説明では、通信装置2と通信装置3との間において双方向の通信不可障害が発生した場合について説明する。
【0050】
はじめに、通信装置3は、ポート131におけるリンクダウンを検出する。または、SECTION MEP231にてMPLS−TP OAM機能の一つである導通性監視(Continu
ity Check)を行っていた場合、導通性障害(Loss of Continu
ity(LOC))を検出する。すると、AIS処理部39は、障害を検出したポート131またはSECTION MEP231をキーとしてAIS管理テーブル34を検索する。AIS処理部39は、当該検索によりAISフレームを送信すべきLSPの識別子であるLSP81及び82と、出力ポート番号134と、を取得する。
【0051】
そして、AIS処理部39は、送信経路となるLSP81及び82の情報を付加したAISフレームを生成し、フレーム転送部32に出力ポート番号134の情報と共に供給する。ここで、AIS処理部39は、LSP81、LSP82のそれぞれに対応するAISフレームを生成するのではなく、LSP81及び82の情報を付加したAISフレームを生成する。換言すると、AIS処理部39は、LSP毎にAISフレームを生成するのではなく、LSPの情報を含めた1つのAISフレームを生成する。
【0052】
AISフレームは、障害が継続している間、MPLS−TP規格により定められた一定周期で送信され続ける。そのため、AIS処理部39は、この周期にてAISフレームを定期的に生成し、生成したAISフレームをフレーム転送部32に供給する。
【0053】
フレーム転送部32は、AIS処理部39から供給されたAISフレームに対してセクションレイヤのラベル処理を行わない。フレーム転送部32は、このAISフレームに対して伝送媒体のヘッダを付与して、出力ポート134から出力する。
【0054】
なお、
図8に示して説明した一般的なAIS転送処理では、LSP581とLSP582の出力ポートが同一であるにも関わらず、LSP毎にAISフレームが生成された。これにより、LSPのパス数が増えるにつれて通信装置内でのAISフレームの作成にかかる処理負荷が増大する。しかしながら、本実施の形態にかかる通信装置では、AISフレームは、LSPのパス数に依存せず、前述の周期毎に1つ生成すればよい。これにより、通信装置のAISフレーム作成にかかる処理負荷が軽減される。
【0055】
なお、AISフレームのフォーマットは、MPLS−TPの規格に準拠したフォーマットを利用すればよい。ここで、セクションレイヤでは、LSPラベル及びPWラベルは不要であるため、GALヘッダ及びACHヘッダと、AISのペイロードにLSP IDフィールドを追加した構成とすればよい。
【0056】
MPLS−TP規格は、特定情報を格納するTLVフィールドをAISフレームに定義することを許容している。そのため、TLVフィールド内にLSP IDを格納するフィールドを定義しても良い。なお、他の装置と送受信を行う際のAISフレームのヘッダフォーマットは、伝送媒体に応じて適宜変化する。
【0057】
通信装置4は、AISフレームをポート141から受信する。通信装置4内のフレーム転送部42は、当該フレームがユーザデータフレームであるか、OAMフレームであるかの判定を行い、当該判定後にAISフレームをOAM処理部43に転送する。さらに、OAM処理部43は、受信フレームがAISフレームであるため、当該AISフレームをAIS処理部49に転送する。AIS処理部49は、当該AISフレームの入力ポート141をキーとして、AIS管理テーブル44を検索する。AIS処理部49は、当該検索によりAISフレームを送信すべきLSPの識別子、及び出力ポート番号を取得する。
【0058】
ここで、AIS処理部49は、受信したAISフレームに格納されているLSP IDと、検索にて得られたLSP IDを比較する。両者が一致した場合、AIS処理部49は、検索により得られた出力ポートからAISフレームを送信することを決定する。一方、一致するLSP IDが存在しない場合、AIS処理部49は、AISフレームを破棄する。また、AIS管理テーブル44の検索において複数のLSP IDが登録されているエントリがヒットした場合、AIS処理部49は、各LSP IDと、AISフレーム内のLSP IDをそれぞれ比較し、そのエントリ内に記載の出力ポートからAISフレームを送信するか否かを決定する。AIS処理部49は、いずれかのLSP IDと一致すれば送信し、全く一致するLSP IDが無い場合には、その出力ポートから送信せずに廃棄する。また、AIS処理部49は、複数のエントリでLSP IDが一致し、出力すべき出力ポートが複数になった場合、その出力ポート数と等しくなるようにAISフレームを複製する。なお、LSP IDが一致、かつ、出力ポートが「終端」であった場合は、後述の終端処理が実行される。
【0059】
なお、複製時、AIS処理部49は、AISフレーム内のLSP ID情報を変更せず、そのまま転送する。これは、AIS処理部49がAISフレームを複製する場合の処理負荷を低減するためである。
【0060】
しかしながら、本来、AISフレームに格納されるべきLSP ID情報は、AIS処理部49による検索にヒットしたエントリ内の一致しているLSP IDだけでよい。そのため、AIS処理部49は、AISフレームから不要なLSP IDを削除してもよい。削除を行う場合、AIS処理部49の処理負荷は増大する。しかし、AISフレームのフレーム長を短く出来るため、トラフィック量の削減という効果を奏する。
【0061】
本例では、AIS処理部49は、ポート141を検索キーとしてAIS管理テーブル44を検索する。AIS処理部49は、検索結果としてLSP ID81、82、及び出力ポート144を取得する。AIS処理部49は、この取得したLSP IDと、受信したAISフレーム内のLSP IDが一致するため、受信したAISフレームをそのままポート144から送信することを決定する。AIS処理部49は、出力ポート144の情報とともにAISフレームをフレーム転送部42に供給する。フレーム転送部42は、このAISフレームをポート144から送信する。
【0062】
通信装置3は、MPLS−TP規則により定められた周期でAISフレームを送信してくる。そのため、通信装置4は、通信装置3からのAISフレームの受信の度に上記の処理を行うだけで良い。換言すると、通信装置4は、通信装置3からAISフレームを受信する毎にAISフレームを生成しない。
【0063】
次に、通信装置5は、通信装置4からポート151を介してAISフレームを受信する。通信装置5内のフレーム転送部52は、OAMフレーム判定を行い、このAISフレームをAIS処理部59に供給する。
【0064】
AIS処理部59は、入力ポート151をキーとしてAIS管理テーブル54を検索する。AIS処理部59は、検索結果としてLSP ID81及び82と、出力ポートとして「終端」という情報と、を取得する。次に、AIS処理部59は、検索により取得したLSP ID(81、82)と、AISフレーム内に格納されたLSP ID(81、82)と、が一致するか否かを判定する。AIS処理部59は、両者が一致するため、検索により得られた出力ポート情報を参照する。
【0065】
AIS処理部59は、出力ポートが「終端」であるため、通信装置5がLSPの終端点であると判定する。当該判定に応じて、通信装置5は、AISフレームの転送を停止して、終端処理を行う。AIS処理部59は、LSP ID81及び82の情報を付与したAISフレームの受信通知をOAM処理部53に対して行う。
【0066】
OAM処理部53は、この通知から当該AISフレームが送信されるべきLSP(81、82)を認識する。OAM処理部53は、その後、あたかもLSP81及び82からAISフレームを受信したかのようにOAM処理を行う。詳細には、OAM処理部53は、LSP81及び82に対する障害状態(導通性障害(LOC))のマスク処理を行う。
【0067】
各通信装置が上述の処理を行うことにより、
図1に示すシステムは、MPLS−TP規格のAIS機能の要求を満たしながら、一般的なMPLS−TP網が抱える前述のAIS機能の課題を解決できる。
【0068】
なお、
図1の構成では、通信装置2から通信装置1に対してAISフレームの通知を行う必要がある。これは、通信装置2が通信装置3と同様の処理を行えばよい。また、LSPを終端する通信装置1は、通信装置5と同様の処理を行えばよい。
【0069】
続いて、本実施の形態にかかる通信装置の効果と、一般的なMPLS−TP規格による転送処理と比較して説明する。
【0070】
図8により示すAISフレームの転送処理では、前述のように通信装置(AISフレームの送信装置、中継装置、受信装置)において処理負荷が大きくなるという問題、及びMPLS標準規定を遵守できなくなる恐れがあるという問題があった。さらに、
図8により示すAISフレームの転送処理では、同一経路のLSPを多重化した場合であっても、障害を検出した通信装置は、LSP毎にAISフレームを生成し、生成したAISフレームを全て送信していた。そのため、LSPの増加に応じてネットワーク内におけるトラフィック量が増加し、帯域が圧迫されるという問題が生じていた。
【0071】
一方、本実施の形態にかかる通信装置は、LSPの数に依存せず、AISフレームの生成時に出力対象となる出力ポートの数だけしかAISフレームを生成しない。そのため、AISフレームの生成処理の負荷を軽減することができる。さらに、AISフレームの作成数が減少することにより、通信装置は、規定の送信周期内にAISフレームを生成できる可能性が高くなる。また、通信装置が送信するAISフレームの数が減少するため、トラフィック量を軽減することもできる。
【0072】
さらに、AISフレームを転送する通信装置は、転送対象とするAISフレーム数を減少することができる。これは、送信元となる通信装置がAISフレームの生成時に出力対象となる出力ポートの数だけしかAISフレームを生成しないためである。そのため、中継装置(AISフレームを転送する通信装置)の処理負荷も軽減することができる。
【0073】
さらにまた、本実施の形態では、AISフレームを終端する通信装置は、受信するAISフレーム数を
図8を参照して説明したAISフレームの受信手法に比べて減少させることができる。そのため、終端装置における処理負荷を軽減できる。
【0074】
すなわち、送信装置、中継装置、終端装置のいずれも処理負荷を軽減できるとともに、MPLS-TP網内でやり取りされるトラフィック量を削減できる。
【0075】
<実施の形態2>
本実施の形態にかかるシステムは、LSPの端点が異なる装置の場合であっても上述の課題を解決できることを特徴とする。
【0076】
図4は、本実施の形態にかかる通信システムの構成を示すブロック図である。当該システムは、MPLS−TP網を形成するシステムである。当該システムは、通信装置1〜7を有する。通信装置1、通信装置5、及び通信装置7は、LERとして動作する。通信装置2〜4及び通信装置6は、LSRとして動作する。各通信装置は、
図4に図示するように、ポートを介して接続している。
【0077】
通信装置1にはLSP MEPとして311及び312が設定され、通信装置5にはLSP MEPとして351が設定され、通信装置7にはLSP MEPとして371が設定されている。各隣接装置間にはセクション区間91〜96が構築されている。通信装置3と通信装置6との間には、セクション区間95が設定されている。通信装置6と通信装置7との間には、セクション区間96が設定されている。
【0078】
なお、通信装置1〜7は、
図2に示す内部構成を有すればよい。通信装置6は、
図2に示す各処理部に対応するラベルテーブル61と、フレーム転送部62と、OAM処理部63と、AIS管理テーブル64と、を備える。通信装置7は、
図2に示す各処理部に対応するラベルテーブル71と、フレーム転送部72と、OAM処理部73と、AIS管理テーブル74と、を備える。
【0079】
図5A〜
図5Eは、
図4に示す各通信装置内のAIS管理テーブルを示す図である。なお、
図5では、通信装置3〜7内のAIS管理テーブル(34、44、54、64、74)を示している。
図5A〜
図5Eに示すAIS管理テーブルの各構成は、
図3A〜
図3Eに示すものと同様である。
【0080】
次に、AISフレームの転送動作を
図4を参照して説明する。以下の説明では、通信装置2と通信装置3との間において双方向の通信不可障害が発生した場合について説明する。
【0081】
はじめに、通信装置3は、通信障害を検出する。そして、通信装置3内のAIS処理部39は、障害にかかるポート131またはSECTION MEP231をキーとしてAIS管理テーブル34を検索する。AIS処理部39は、検索結果として2つのエントリを取得する。1つ目のエントリは、LSP IDと出力ポートの組が(LSP ID81、134)であり、2つ目のエントリは、LSP IDと出力ポートの組が(LSP ID82、135)である。
【0082】
AIS処理部39は、当該検索結果に異なる出力ポートのエントリが有るため、2つのAISフレームを生成する。1つ目のAISフレームには、LSP ID81の情報が挿入される。AIS処理部39は、LSP ID81の情報を挿入したAISフレームを出力ポート134の情報と共にフレーム転送部32に供給する。2つ目のAISフレームには、LSP ID82の情報が挿入される。AIS処理部39は、LSP ID82の情報を挿入したAISフレームを出力ポート135の情報と共にフレーム転送部32に供給する。
【0083】
フレーム転送部32は、LSP ID81の情報を挿入したAISフレームを出力ポート134から送信する。フレーム転送部32は、LSP ID82の情報を挿入したAISフレームを出力ポート135から送信する。
【0084】
これらのAISフレームを受信した通信装置4、6(LSR)及び通信装置5、7(LER)は、実施の形態1と同様の処理を行う。
【0085】
上述のようにLSRとして動作する通信装置3は、AISフレームを送信すべきLSPの出力ポートが複数のポートとなる場合でも、セクション単位でAISフレームを生成することができる。これにより、LSPの端点が、異なる通信装置に存在する場合であっても正確にAISフレームを転送することができる。
【0086】
なお、本構成において、セクション区間91に障害が発生した場合を検討する。この場合、通信装置2は、LSP ID81及び82の情報を含むAISフレームを通信装置3に転送する。通信装置3は、受信したAISフレームを複製し、一方のAISフレームを通信装置4に転送し、他方のAISフレームを通信装置6に転送する。終端となる通信装置5は、自身がLSP81の終端であることをAIS管理テーブル54の検索により認識できるため、LSP81にかかる終端処理のみを行う。同様に、終端となる通信装置7は、自身がLSP82の終端であることをAIS管理テーブル74の検索により認識できるため、LSP82にかかる終端処理のみを行う。
【0087】
<実施の形態3>
実施の形態1及び2にかかる各通信装置は、LSPにかかる階層(トランスポートパスレイヤ)でのAISフレームの転送を扱った。本実施の形態にかかる各通信装置は、複数階層にまたがるAISフレームの転送を行えることを特徴とする。詳細には、本実施の形態にかかる各通信装置は、Single Segment−PWモデル、Multi Segment−PWモデル(PSME(PW SPME ME))、LSME(LSP SPME ME)等の構成においてもAISフレームの転送を行う。
【0088】
各通信装置の構成は、
図2に示す構成と略同様であるため、異なる点のみを以下に説明し、その詳細な説明は省略する。これらの通信モデル(たとえばSingle Segment−PWモデル)において、障害を検出した通信装置は、AISフレーム内にパスの識別子(LSP ID、PW ID)に加えてレイヤ(階層)を区別する情報を挿入すればよい。各通信装置のAIS管理テーブル内には、パスの識別子(LSP ID、PW ID)のフィールドに加えて、使用するパスの階層にかかるフィールドを設ければ良い。各通信装置は、障害を検出した後に行うAIS管理テーブルの検索において、当該パスの階層にかかる当該フィールドも比較対象とすればよい。
【0089】
上記の拡張を行うことにより、本発明は、標準規格に記載されている各種ネットワーク参照モデルにも適用することができる。
【0090】
<実施の形態4>
本実施の形態にかかる各通信装置は、AISフレーム内にパス識別子(LSP ID)のみならず、障害にかかる各種情報を挿入することを特徴とする。本実施の形態においても各通信装置の構成は、
図2に示す構成と略同様であるため、異なる点のみを以下に説明し、その詳細な説明は省略する。
【0091】
障害を検出した通信装置は、LSP IDを挿入する処理と同様に、各種情報を挿入する。挿入する情報の一例として、例えば障害セクション区間の識別子、障害要因(LOC、リンクダウン等)が挙げられる。他の処理は、実施の形態1と同様である。
【0092】
当該AISフレームは、終端装置まで転送される。そのため、終端となる通信装置は、障害の生じた位置、障害の要因等を把握することができる。
【0093】
標準規格に定められた一般的なAIS転送を行うシステムでは、AISフレームを受信したパスの端点(LSP MEP)装置は、障害の生じた位置や障害の要因を把握することはできない。そのため、これらのシステムでは、管理者はNMS(Network Management System)が収集する障害情報を分析して障害の生じた位置、障害の要因を取得する。NMSは、MPLS−TP網を構成する各装置、回線を統合的に監視するシステムである。しかしながら、MPLS−TP網が大規模化するにつれて、管理者はNMSの収集した情報を分析することが困難になる。よって、AISフレーム内に障害にかかる情報を挿入することにより、管理者の負担を軽減できる。すなわち、管理者がNMSにより収集した障害情報を分析する手間を軽減、または分析処理を不要とできる。
【0094】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。例えば、上述の説明では、各通信装置がAISフレームを転送することについて説明したが、必ずしもこれに限られず、LCK(Lock ReportingまたはLocked Signal)フレームを転送してもよい。各通信装置は、AISフレームに代わりLCKフレームを転送対象とし、上記した処理と同様の処理を行えばよい。
【0095】
図2に示す通信装置1の各処理部(フレーム転送部12、OAM処理部13、PW処理部17、MPLS処理部18、AIS処理部19)の処理は、任意のコンピュータ内で動作するプログラムとして実現することが可能である。プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0096】
また、各テーブル(ラベルテーブル11、AIS管理テーブル14)の情報は、上述のコンピュータ可読媒体に格納される。
【0097】
通信装置1の各処理部をプログラムとして動作させる場合のハードウェア構成の一例を
図6に示す。例えば、このハードウェア構成では、中央処理装置(CPU)401とメモリ402とを含んでいる。CPU401とメモリ402とは、バスを介して補助記憶装置としてのハードディスク装置(HDD)403に接続される。このシステムは、典型的には、ユーザ・インターフェース・ハードウェアを備える。ユーザ・インターフェース・ハードウェアとしては、例えば、入力をするためのポインティング・デバイス(マウス、ジョイスティック等)やキーボード等の入力装置404や、視覚データをユーザに提示するための液晶ディスプレイなどの表示装置405がある。ハードディスク装置403等の記憶媒体にはオペレーティングシステムと共同してCPU401等に命令を与え、このシステムの各部の機能を実施するためのコンピュータ・プログラムを記憶することができる。すなわち、プログラムがメモリ402上に展開され、CPU401がプログラムに従って処理を行い、他のハードウェア構成と協働することによって、通信装置1の各ブロックが構成されている。このように、通信装置1による各処理は、CPU401において所定のプログラムが実行されることで実現する形態としてもよい。また、通信装置のこれらの処理および各テーブルを全てLSIで実現する形態としてもよい。
【0098】
図7を参照して、本発明の概要を再度説明する。
図7は、本発明の実施の形態1にかかる通信装置1を簡略的に記載したブロック図である。
【0099】
上述のように、AIS処理部19(送信フレーム処理部、受信フレーム処理部に相当)は、AIS管理テーブル14を参照し、送信すべきLSP
の出力ポートの数に応じてAISフレームを生成する。AIS処理部は、LSPのパス数と同数のAISフレームは作成しない。
【0100】
フレーム転送部12は、セクションレイヤのラベル処理は行わず、AISフレームを送受信する。
【0101】
これにより、AISフレームの作成数を減少できるため、送信装置のAISフレームの作成負荷を軽減できる。さらに、送信されるAISフレームの数が減少するため、転送処理および受信処理にかかる負荷も軽減することができる。
【0102】
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0103】
(付記1)
障害時に通知フレームを送信する送信装置と、前記通知フレームを受信または転送する受信装置と、を備える通信システムであって、
前記送信装置は、関連するセクション区間、及び障害通知パスに関する第1セクション情報を保持し、障害時に障害箇所と、前記第1セクション情報に基づいて、出力パスの情報を前記通知フレームに挿入し、出力元となるポートを決定する送信フレーム処理部と、
前記送信フレーム処理部から前記通知フレーム及び前記ポートの情報を受信し、当該ポートから前記通知フレームを送信するフレーム送信部と、を備え、
前記受信装置は、前記通知フレームを受信するとともに、指示に応じて前記通知フレームを転送するフレーム送受信部と、
前記通知フレームの受信時に、前記第1セクション情報に対応する第2セクション情報と、前記通知フレームと、に基づいて、障害状態のマスク処理または前記通知フレームの転送の制御を行う受信フレーム処理部と、を備える、通信システム。
【0104】
(付記2)
前記送信装置は、前記第1セクション情報を保持する第1のテーブルを有し、
前記第1のテーブルは、セクション区間と接続した入力ポート、入力先のセクション端点、前記通知フレームの出力経路となるパス、及びセクション区間と接続した出力ポート、をフィールドとするエントリを、前記第1セクション情報として格納し、
前記送信フレーム処理部は、障害時に障害箇所の入力ポートまたはセクション端点をキーとして前記第1テーブルを検索し、当該検索により得られるパスの情報を前記通知フレームに挿入するとともに、当該検索により得られる前記出力ポートを前記通知フレームの出力元のポートと決定することを特徴とする、付記1に記載の通信システム。
【0105】
(付記3)
前記受信装置は、前記第2セクション情報を保持し、前記第1のテーブルと同一のフィールドを持つ第2テーブルを保持し、
前記受信フレーム処理部は、前記通知フレームの受信時に、当該通知フレームの入力ポートをキーとして前記第2テーブルを検索し、当該検索により得られた出力ポートの情報がパスの終端を示す値である場合に前記通知フレームにより、障害状態のマスク処理を行い、
終端を示す値ではない場合に、当該検索により得られたパスと、前記通知フレームに挿入されたパスが一致するか否かを判定し、一致する場合に、当該検索により得られる出力ポートを前記通知フレームの転送先と決定して前記フレーム送受信部に通知する、ことを特徴とする付記2に記載の通信システム。
【0106】
(付記4)
前記送信フレーム処理部は、前記通知フレームに障害箇所及び障害要因の少なくとも一方を挿入することを特徴とする付記1乃至付記3のいずれか1項に記載の通信システム。
【0107】
(付記5)
前記受信フレーム処理部は、前記第2テーブルの検索において、異なる出力ポートの情報を持つ複数エントリを取得した場合、当該エントリ数と同数となるように前記通知フレームを複製することを特徴とする付記3または付記4に記載の通信システム。
【0108】
(付記6)
前記受信フレーム処理部は、前記第2テーブルの検索の結果に応じて、前記通知フレームに挿入したパスの情報を更新することを特徴とする付記3乃至付記5のいずれかに記載の通信システム。
【0109】
(付記7)
前記通知フレームは、AIS(Alarm Indication Signal)フレームであり、
前記送信装置と前記受信装置は、前記AISフレームを送受信することを特徴とする付記1乃至付記6のいずれかに記載の通信システム。
【0110】
(付記8)
関連するセクション区間、及び障害通知パスに関する第1セクション情報を保持し、障害時に障害箇所と、前記第1セクション情報に基づいて、障害通知に用いる通知フレームの出力パスの情報を前記通知フレームに挿入し、出力元となるポートを決定する送信フレーム処理部と、
前記送信フレーム処理部から前記通知フレーム及び前記ポートの情報を受信し、当該ポートから前記通知フレームを送信するフレーム送信部と、を備える送信装置。
【0111】
(付記9)
前記第1セクション情報を保持する第1のテーブルを有し、
前記第1のテーブルは、セクション区間と接続した入力ポート、入力先のセクション端点、前記通知フレームの出力経路となるパス、及びセクション区間と接続した出力ポート、をフィールドとするエントリを、前記第1セクション情報として格納し、
前記送信フレーム処理部は、障害検出時に障害箇所の入力ポートまたはセクション端点をキーとして前記第1テーブルを検索し、当該検索により得られるパスの情報を前記通知フレームに挿入するとともに、当該検索により得られる前記出力ポートを前記通知フレームの出力元のポートと決定することを特徴とする、付記8に記載の送信装置。
【0112】
(付記10)
前記送信フレーム処理部は、前記通知フレームに障害箇所及び障害要因の少なくとも一方を挿入することを特徴とする付記8または付記9に記載の送信装置。
【0113】
(付記11)
前記通知フレームは、AIS(Alarm Indication Signal)フレームであり、
前記フレーム送信部は、前記AISフレームを送受信することを特徴とする付記8乃至10のいずれか1項に記載の送信装置。
【0114】
(付記12)
障害検出の通知を行い、通知パスの情報が埋め込まれた通知フレームを受信する通信装置であって、
関連するセクション区間、及び障害通知パスに関するセクション情報を保持するテーブルと、
前記通知フレームを受信するとともに、指示に応じて前記通知フレームを転送するフレーム送受信部と、
前記通知フレームの受信時に、前記テーブルと、前記通知フレームと、に基づいて、障害状態のマスク処理または前記通知フレームの転送の制御を行う受信フレーム処理部と、を備える、通信装置。
【0115】
(付記13)
前記テーブルは、セクション区間と接続した入力ポート、入力先のセクション端点、前記通知フレームの出力経路となるパス、及びセクション区間と接続した出力ポート、をフィールドとするエントリを前記セクション情報として格納し、
前記受信フレーム処理部は、前記通知フレームの受信時に、当該通知フレームの入力ポートをキーとして前記第テーブルを検索し、当該検索により得られた出力ポートの情報がパスの終端を示す値である場合に前記通知フレームにより、障害状態のマスク処理を行い、
終端を示す値ではない場合に、当該検索により得られたパスと、前記通知フレームに挿入されたパスが一致するか否かを判定し、一致する場合に、当該検索により得られる出力ポートを前記通知フレーム
が出力されるポートと決定して前記フレーム送受信部に通知する、ことを特徴とする付記12に記載の通信装置。
【0116】
(付記14)
前記受信フレーム処理部は、前記テーブルの検索において、異なる出力ポートの情報を持つ複数エントリを取得した場合、当該エントリ数と同数となるように前記通知フレームを複製することを特徴とする付記13に記載の通信装置。
【0117】
(付記15)
前記受信フレーム処理部は、前記テーブルの検索の結果に応じて、前記通知フレームに挿入したパスの情報を更新することを特徴とする付記12乃至付記14のいずれかに記載の通信装置。
【0118】
(付記16)
障害検出を通知する通知フレームの送信方法であって、
障害検出時に障害箇所の入力ポートまたはセクション端点から算出される出力経路の情報を前記通知フレームに挿入するとともに、障害箇所の入力ポートまたはセクション端点から算出される前記出力ポートから前記通知フレームを出力する、障害通知フレーム送信方法。
【0119】
(付記17)
付記16に記載の障害通知フレーム送信方法をコンピュータに行わせるためのプログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0120】
この出願は、2011年9月27日に出願された日本出願特願2011−210567を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。