特許第5975049号(P5975049)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5975049電源装置およびこれを備えた画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5975049
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】電源装置およびこれを備えた画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/00 20060101AFI20160809BHJP
   H02M 3/28 20060101ALI20160809BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20160809BHJP
【FI】
   H02J1/00 307C
   H02M3/28 H
   H02J1/00 304A
   H02J1/00 306B
   H02J1/00 306F
   H04N1/00 C
【請求項の数】12
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-25830(P2014-25830)
(22)【出願日】2014年2月13日
(65)【公開番号】特開2015-154567(P2015-154567A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2015年6月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110788
【弁理士】
【氏名又は名称】椿 豊
(72)【発明者】
【氏名】張 光栄
(72)【発明者】
【氏名】笠松 徹
(72)【発明者】
【氏名】青木 幹之
(72)【発明者】
【氏名】山田 洋平
【審査官】 大手 昌也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−078187(JP,A)
【文献】 特開2006−174658(JP,A)
【文献】 特開平11−327663(JP,A)
【文献】 特開2008−220103(JP,A)
【文献】 米国特許第06125048(US,A)
【文献】 特開平09−191569(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 1/00− 1/16、
H02M 3/00− 3/44、
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力の供給を行う電力供給部と、
リモートセンシング位置の電位が一定となるように前記電力供給部の出力電圧を定電圧制御する電力制御部と、
互いに並列に接続された状態で前記電力供給部に接続された複数の負荷ブロックと、
前記複数の負荷ブロックの各々の状態を、前記電力供給部からの電力の供給を受ける状態と電力の供給を受けない状態との間で切り替える制御を行う省電力回路と、
前記リモートセンシング位置を設定する設定手段とを備え、
前記設定手段は、前記省電力回路、および前記複数の負荷ブロックのうち電力の供給を受ける負荷ブロックの中で、消費電流が最も大きいものの入力側の接点、または動作保証最小電圧が最も大きいものの入力側の接点を、前記リモートセンシング位置として設定する、電源装置。
【請求項2】
前記省電力回路および前記複数の負荷ブロックの各々の消費電流に関する情報、ならびに前記省電力回路および前記複数の負荷ブロックの各々の動作保証最小電圧に関する情報のうち少なくともいずれか一方の情報を記憶する記憶手段をさらに備え、
前記設定手段は、前記記憶手段にて記憶した情報に基づいて前記リモートセンシング位置を設定する、請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記電源装置は、前記複数の負荷ブロックのうち少なくとも1つ、および前記省電力回路に対して電力の供給を行う通常状態と、前記複数の負荷ブロックに対して電力の供給を行わず、かつ前記省電力回路に対して電力の供給を行う省電力状態との間で動作状態を移行する、請求項1または2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記省電力回路は、前記電源装置が前記通常状態および前記省電力状態のいずれ場合にも、前記設定手段として前記リモートセンシング位置を設定する、請求項3に記載の電源装置。
【請求項5】
記省電力回路は、前記電源装置が前記省電力状態である場合に、前記設定手段として前記リモートセンシング位置を設定し、
前記複数の負荷ブロックのうちいずれか1つは、前記電源装置が前記通常状態である場合に、前記設定手段として前記リモートセンシング位置を設定する、請求項3に記載の電源装置。
【請求項6】
前記複数の負荷ブロック全体の消費電流が増加するように、前記複数の負荷ブロックの各々の状態を前記省電力回路が切り替える場合、前記設定手段は、前記複数の負荷ブロックの各々の状態を切り替える前に前記リモートセンシング位置を変更する、請求項3〜5のいずれかに記載の電源装置。
【請求項7】
前記複数の負荷ブロック全体の消費電流が減少するように、前記複数の負荷ブロックの各々の状態を前記省電力回路が切り替える場合、前記設定手段は、前記複数の負荷ブロックの各々の状態を切り替えた後で前記リモートセンシング位置を変更する、請求項3〜6のいずれかに記載の電源装置。
【請求項8】
前記電力供給部および前記電力制御部を搭載する第1の基板と、
前記複数の負荷ブロック、前記省電力回路、および前記設定手段を搭載し、前記第1の基板に電気的に接続された第2の基板とをさらに備えた、請求項1〜7のいずれかに記載の電源装置。
【請求項9】
前記設定手段は、前記省電力回路、および前記複数の負荷ブロックのうち電力の供給を受ける負荷ブロックの中で、消費電流が最も大きいものの入力側の接点を、前記リモートセンシング位置として設定する、請求項1〜8のいずれかに記載の電源装置。
【請求項10】
前記設定手段は、前記省電力回路、および前記複数の負荷ブロックのうち電力の供給を受ける負荷ブロックの中で、動作保証最小電圧が最も大きいものの入力側の接点を、前記リモートセンシング位置として設定する、請求項1〜8のいずれかに記載の電源装置。
【請求項11】
前記省電力回路および前記複数の負荷ブロックの各々は、互いに並列に接続された状態で前記電力供給部から電力を供給される、請求項1〜10のいずれかに記載の電源装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の電源装置と、
画像形成を行う画像形成部とを備えた、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置およびこれを備えた画像形成装置に関し、より特定的には、消費電力量を低減することのできる電源装置およびこれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いた画像形成装置には、スキャナー機能、ファクシミリ機能、複写機能、プリンターとしての機能、データ通信機能、およびサーバー機能を備えたMFP(Multi Function Peripheral)、ファクシミリ装置、複写機、プリンターなどがある。
【0003】
図8は、従来の画像形成装置が通常状態にある場合の、電源基板および制御基板の回路構成を模式的に示すブロック図である。
【0004】
図8を参照して、従来の画像形成装置は、電源基板1001と、電線抵抗(ワイヤーハーネス)R105と、画像形成装置の各部材の動作を制御する制御基板1200とを備えている。電源基板1001と制御基板1200とは、電線抵抗R105を介して電気的に接続されている。電源基板1001は、電線抵抗R105を通じて制御基板1200に直流電力を供給する。
【0005】
電源基板1001は、トランスT101と、二次側整流平滑回路(コンデンサー)SM101と、定電圧制御部1010と、トランジスタTR101とを含んでいる。トランスT101はDC−DCコンバータである。トランジスタTR101はPチャネル型MOSFET(Metal−Oxide−Semiconductor Field−Effect Transistor)である。
【0006】
トランスT101の一次側のコイルにはトランジスタTR101のソースおよびドレインが接続されている。トランスT101の二次側のコイルには二次側整流平滑回路SM101が接続されている。二次側整流平滑回路SM101の一方の出力端子は電線抵抗R105の一端に接続されており、他方の出力端子は接地電位に接続されている。接点P110は、二次側整流平滑回路SM101の一方の出力端子と電線抵抗R105とを接続する導線上に位置する。定電圧制御部1010は、接点P110をリモートセンシング位置として採用し、接点P110の電位が一定となるように電源基板1001の出力電圧を定電圧制御する。
【0007】
制御基板1200は、抵抗素子R111、R112、R113、R114、およびR115と、スイッチSW111、SW112、SW113、およびSW114と、機能回路CR101、CR102、CR103、CR104、およびCR105とを含んでいる。
抵抗素子R111、R112、R113、R114、およびR115の各々は、パターン抵抗である。機能回路CR101は、HDD(Hard Disk Drive)ドライバーであり、たとえば4.75V(ボルト)〜5.25Vの動作保証電圧を有している。機能回路CR102は、USB(Universal Serial Bus)ドライバーであり、たとえば4.85V〜5.15Vの動作保証電圧を有している。機能回路CR103は、省電力回路であり、常時オンされる。機能回路CR104は、画像形成の制御を行う画像形成回路である。機能回路CR105は、ファクシミリの送受信の制御を行うファクシミリ回路である。
【0008】
抵抗素子R111、R112、R113、R114、およびR115の各々の一端は、電線抵抗R105に接続されている。抵抗素子R111、スイッチSW111、および機能回路CR101は、この順序で直列に接続されている。抵抗素子R112、スイッチSW112、および機能回路CR102は、この順序で直列に接続されている。抵抗素子R113および機能回路CR103は、この順序で直列に接続されている。抵抗素子R114、スイッチSW113、および機能回路CR104は、この順序で直列に接続されている。抵抗素子R115、スイッチSW114、および機能回路CR105は、この順序で直列に接続されている。機能回路CR103は、電源信号REM101、REM102、REM103、およびREM104の各々を送信することにより、画像形成装置が行う動作に応じてスイッチSW111、SW112、SW113、およびSW114の各々のオンオフを制御する。
【0009】
制御基板1200には、入力電圧の仕様が定められている。機能回路CR101、CR102、CR103、CR104、およびCR105の各々の入力側の接点の電圧が、制御基板1200の入力電圧の仕様を下回ると、その機能回路に不具合が生じるおそれがある。このため、電源基板1001の出力電圧は、電線抵抗R105や抵抗素子R111、R112、R113、R114、およびR115による電圧降下を考慮して、機能回路CR101、CR102、CR103、CR104、およびCR105の各々の入力側の接点P101、P102、P103、P104、およびP105の各々の電圧が、制御基板1200の入力電圧の仕様よりも常に高い値となるように制御される。
【0010】
たとえば、制御基板1200の入力電圧の仕様が5.0Vである場合には、接点P110の電圧は常時、5.1Vに定電圧制御される必要がある。
【0011】
接点P110の電圧が常時、5.1Vに定電圧制御される場合において、スイッチSW111、SW112、SW113、およびSW114がオンされたとき(制御基板1200を流れる電流の総量が最大の場合)を想定する。このときには、各機能回路CR101、CR102、CR103、CR104、およびCR105に電流が流れ、電線抵抗R105、ならびに各抵抗素子R111、R112、R113、R114、およびR115での電圧降下が大きくなる。その結果、接点P101の電圧は5.02Vとなり、接点P102の電圧は5.04Vとなり、接点P103の電圧は5.07Vとなり、接点P104の電圧は5.01Vとなり、接点P105の電圧は5.03Vとなり、接点P106の電圧は5.07Vとなる。これにより、機能回路CR101、CR102、CR103、CR104、およびCR105の各々の入力側の接点の電圧が、制御基板1200の入力電圧の仕様を下回る事態は回避される。
【0012】
なお、下記特許文献1には、複数の負荷ボードに共通の電源電圧を供給する電源装置であって、複数の負荷装置の入力部の電圧を検出する複数のリモート検出手段と、リモート検出手段により得られた複数の検出値より、電源装置の出力電圧を決定し、出力する出力手段と、出力手段に定電圧制御を行う定電圧制御手段とを備えた電源装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2003−169470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
図9は、従来の画像形成装置が省電力状態にある場合の、電源基板および制御基板の回路構成を模式的に示すブロック図である。
【0015】
図9を参照して、画像形成装置が省電力状態(省エネモード)にある場合、スイッチSW111、SW112、SW113、およびSW114の全てがオフされる。この場合、制御基板1200の機能回路のうち機能回路CR103にのみ電流が流れ、制御基板1200を流れる電流の総量が小さくなるため、電線抵抗R105および抵抗素子R113での電圧降下がほぼゼロとなる。その結果、接点P103の電圧は、制御基板1200の入力電圧の仕様である5.0Vであれば足りるにもかかわらず、5.1Vと必要以上に高い値となり、消費電力量の増加を招いていた。
【0016】
画像形成装置をはじめとする電子機器に要求される省エネ規格は、近年厳しくなっている。厳しい省エネ規格に対応するためには、消費電力量を低減することが重要である。
【0017】
本発明は、上記課題を解決するためのものであり、その目的は、消費電力量を低減することのできる電源装置およびこれを備えた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の一の局面に従う電源装置は、電力の供給を行う電力供給部と、リモートセンシング位置の電位が一定となるように電力供給部の出力電圧を定電圧制御する電力制御部と、互いに並列に接続された状態で電力供給部に接続された複数の負荷ブロックと、複数の負荷ブロックの各々の状態を、電力供給部からの電力の供給を受ける状態と電力の供給を受けない状態との間で切り替える制御を行う省電力回路と、リモートセンシング位置を設定する設定手段とを備え、設定手段は、省電力回路、および複数の負荷ブロックのうち電力の供給を受ける負荷ブロックの中で、消費電流が最も大きいものの入力側の接点、または動作保証最小電圧が最も大きいものの入力側の接点を、リモートセンシング位置として設定する。
【0019】
上記電源装置において好ましくは、省電力回路および複数の負荷ブロックの各々の消費電流に関する情報、ならびに省電力回路および複数の負荷ブロックの各々の動作保証最小電圧に関する情報のうち少なくともいずれか一方の情報を記憶する記憶手段をさらに備え、設定手段は、記憶手段にて記憶した情報に基づいてリモートセンシング位置を設定する。
【0020】
上記電源装置において好ましくは、電源装置は、複数の負荷ブロックのうち少なくとも1つ、および省電力回路に対して電力の供給を行う通常状態と、複数の負荷ブロックに対して電力の供給を行わず、かつ省電力回路に対して電力の供給を行う省電力状態との間で動作状態を移行する。
【0021】
上記電源装置において好ましくは、省電力回路は、電源装置が通常状態および省電力状態のいずれ場合にも、設定手段としてリモートセンシング位置を設定する。
【0022】
上記電源装置において好ましくは、省電力回路は、電源装置が省電力状態である場合に、設定手段としてリモートセンシング位置を設定し、複数の負荷ブロックのうちいずれか1つは、電源装置が通常状態である場合に、設定手段としてリモートセンシング位置を設定する。
【0023】
上記電源装置において好ましくは、複数の負荷ブロック全体の消費電流が増加するように、複数の負荷ブロックの各々の状態を省電力回路が切り替える場合、設定手段は、複数の負荷ブロックの各々の状態を切り替える前にリモートセンシング位置を変更する。
【0024】
上記電源装置において好ましくは、複数の負荷ブロック全体の消費電流が減少するように、複数の負荷ブロックの各々の状態を省電力回路が切り替える場合、設定手段は、複数の負荷ブロックの各々の状態を切り替えた後でリモートセンシング位置を変更する。
【0025】
上記電源装置において好ましくは、電力供給部および電力制御部を搭載する第1の基板と、複数の負荷ブロック、省電力回路、および設定手段を搭載し、第1の基板に電気的に接続された第2の基板とをさらに備える。
【0026】
上記電源装置において好ましくは、設定手段は、省電力回路、および複数の負荷ブロックのうち電力の供給を受ける負荷ブロックの中で、消費電流が最も大きいものの入力側の接点を、リモートセンシング位置として設定する。
【0027】
上記電源装置において好ましくは、設定手段は、省電力回路、および複数の負荷ブロックのうち電力の供給を受ける負荷ブロックの中で、動作保証最小電圧が最も大きいものの入力側の接点を、リモートセンシング位置として設定する。
上記電源装置において好ましくは、省電力回路および複数の負荷ブロックの各々は、互いに並列に接続された状態で電力供給部から電力を供給される。
【0028】
本発明の他の局面に従う画像形成装置は、上述の電源装置と、画像形成を行う画像形成部とを備える。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、消費電力量を低減することのできる電源装置およびこれを備えた画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の一実施の形態における画像形成装置の構成を模式的に示すブロック図である。
図2】本発明の一実施の形態における画像形成装置が通常状態にある場合の、電源基板および制御基板の回路構成を模式的に示すブロック図である。
図3】機能回路情報テーブルの一例を示す図である。
図4】本発明の一実施の形態における画像形成装置が省電力状態にある場合の、電源基板および制御基板の回路構成を模式的に示すブロック図である。
図5】本発明の一実施の形態における画像形成装置の動作を示すフローチャートの前半部分である。
図6】本発明の一実施の形態における画像形成装置の動作を示すフローチャートの後半部分である。
図7】本発明の変形例における画像形成装置が通常状態にある場合の、電源基板および制御基板の回路構成を模式的に示すブロック図である。
図8】従来の画像形成装置が通常状態にある場合の、電源基板および制御基板の回路構成を模式的に示すブロック図である。
図9】従来の画像形成装置が省電力状態にある場合の、電源基板および制御基板の回路構成を模式的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0032】
以下の実施の形態においては、電源装置が画像形成装置である場合について説明する。画像形成装置は、MFP、ファクシミリ装置、複写機、またはプリンターなどであってもよい。また電源装置は、画像形成装置以外のものであってもよく、画像形成装置以外の電子機器に電力を供給するものであってもよい。本明細書では、接地電位を0Vとして、各位置と接地電位との電位差を、各位置の電圧値として記している。
【0033】
[画像形成装置の構成]
【0034】
図1は、本発明の一実施の形態における画像形成装置の構成を模式的に示すブロック図である。
【0035】
図1を参照して、画像形成装置は、低圧電源100と、制御基板200とを主に備えている。低圧電源100は、商用電源からの交流電力を直流電力に変換し、制御基板200に、変換後の直流電力を供給する。
【0036】
低圧電源100は、ノイズフィルター(NF)101と、整流器103と、定電圧制御回路105と、定電圧制御回路107と、定着回路109とを含んでいる。整流器103は、NF101によってノイズが低減された交流電力を、直流電力に変換する。定電圧制御回路105は、整流器103によって変換された直流電力を、約24Vの定電圧に制御する。定電圧制御回路107は、整流器103によって変換された直流電力を、約5Vの定電圧に制御する。定着回路109は、NF101によってノイズが低減された交流電力の入力を受けて、ヒーター111に供給する電力を制御する。
【0037】
制御基板200は、ドライバー回路201と、画像形成回路203と、省電力回路(省エネ回路)250と、HDDドライバー回路205と、USBドライバー回路207と、ファクシミリ回路209とを含んでいる。ドライバー回路201は、定電圧制御回路105に接続されており、定電圧制御回路105から約24Vの電力の供給を受ける。画像形成回路203、省電力回路250、HDDドライバー回路205、USBドライバー回路207、およびファクシミリ回路209の各々は、定電圧制御回路107に接続されており、定電圧制御回路107から約5Vの電力の供給を受ける。
【0038】
ドライバー回路201は、画像形成回路203からの制御信号を受けて、所定の場合に、光源211、ファン213、HV(搬送ローラーなどを駆動する電源出力)215、およびモーター217などに電流を供給し、画像形成を行う。光源211、ファン213、HV215、およびモーター217は、画像形成を行う画像形成部を構成する。画像形成回路203は、画像形成の制御を行う。画像形成回路203は、センサー219からの信号を受信し、所定の場合にドライバー回路201に対して制御信号を送信する。画像形成回路203は、画処理IC(Integrated Circuit)203aを含んでいる。省電力回路250は、センサー221からの信号を受信し、画像形成回路203、HDDドライバー回路205、USBドライバー回路207、およびファクシミリ回路209の各々への電流の供給を制御する。省電力回路250は、演算IC250aと、CPLD(Complex Programmable Logic Device)250bを含んでいる。HDDドライバー回路205は、HDD223への情報の書き込み、およびHDD223からの情報の読み出しを制御する。USBドライバー回路207は、USB225が接続された場合に、USB225への情報の書き込み、およびUSB225からの情報の読み出しを制御する。ファクシミリ回路209は、ファクシミリの送受信の制御を行う。
【0039】
図2は、本発明の一実施の形態における画像形成装置が通常状態にある場合の、電源基板および制御基板の回路構成を模式的に示すブロック図である。
【0040】
図2を参照して、画像形成装置は、電源基板1(電力供給部の一例)と、電線抵抗(ワイヤーハーネス)R5と、画像形成装置の各部材の動作を制御する制御基板200とを備えている。電源基板1と制御基板200とは、電線抵抗R5を介して電気的に接続されている。電源基板1は、図1の定電圧制御回路107に含まれており、電線抵抗R5を通じて制御基板200に約5Vの直流電力を供給する。
【0041】
電源基板1は、トランスT1と、二次側整流平滑回路(コンデンサー)SM1と、定電圧制御部10と、トランジスタTR1とを含んでいる。トランスT1は、たとえばDC−DCコンバータである。トランジスタTR1は、たとえばPチャネル型MOSFETである。
【0042】
トランスT1の一次側のコイルにはトランジスタTR1のソースおよびドレインが接続されている。トランスT1の二次側のコイルには二次側整流平滑回路SM1が接続されている。二次側整流平滑回路SM1の一方の出力端子は、電源基板1の出力端子を通じて電線抵抗R5の一端に接続されており、他方の出力端子は接地電位に接続されている。定電圧制御部10は、後述する方法でリモートセンシング位置を決定し、決定したリモートセンシング位置の電圧が一定となるように電源基板1の出力電圧を定電圧制御する。
【0043】
定電圧制御部10は、抵抗素子R1、R2、R3、およびR4と、スイッチSW1と、トランジスタTR2と、ダイオードD1およびD2とを含んでいる。抵抗素子R3は可変抵抗素子である。トランジスタTR2はフォトトランジスタであり、ダイオードD1は発光ダイオードである。トランジスタTR2およびダイオードD1はフォトカプラを構成している。ダイオードD2はツェナーダイオードである。
【0044】
抵抗素子R1、ダイオードD1、およびダイオードD2は、この順序で直列に接続されている。抵抗素子R1の一端は、二次側整流平滑回路SM1の一方の出力端子に接続されており、他端はダイオードD1のアノードに接続されている。ダイオードD1のカソードはダイオードD2のカソードに接続されており、ダイオードD2のアノードは接地電位に接続されている。
【0045】
抵抗素子R2、抵抗素子R3、および抵抗素子R4は、この順序で直列に接続されている。抵抗素子R2における抵抗素子R3が接続されていない方の端部は、後述する省電力回路250内の接点P20に接続されている。抵抗素子R4における抵抗素子R3が接続されていない方の端部は、接地電位に接続されている。抵抗素子R3と抵抗素子R4とを接続する導線は、ダイオードD2のカソードに接続されている。
【0046】
トランジスタTR2のエミッタはスイッチSW1に接続されており、コレクタは接地電位に接続されている。トランジスタTR1のゲートは、スイッチSW1に接続されている。
【0047】
ダイオードD2のカソード側の電圧は、リモートセンシング位置である接点P20の電圧に応じた電圧となる。リモートセンシング位置の電圧が基準値を超えると、ダイオードD2が降伏し、スイッチSW1から接地電位に電流が流れる。この電流を検知すると、スイッチSW1はトランジスタTR1をオフし、電源基板1の出力電圧を低下させる。これにより、リモートセンシング位置が常に一定電圧となるように、電源基板1の出力電圧は定電圧制御される。
【0048】
制御基板200は、抵抗素子R11、R12、R13、R14、およびR15と、スイッチ(パワースイッチ)SW11、SW12、SW13、およびSW14と、省電力回路250と、機能回路CR1、CR2、CR3、およびCR4とを含んでいる。抵抗素子R11、R12、R13、R14、およびR15の各々は、パターン抵抗である。省電力回路250、ならびに機能回路CR1、CR2、CR3、およびCR4の各々は、互いに並列に接続された状態で電源基板1に接続されている。機能回路CR1、CR2、CR3、およびCR4の各々は、電源基板1から供給された電力を消費する負荷ブロックの一例であり、たとえば図1における画像形成回路203、HDDドライバー回路205、USBドライバー回路207、またはファクシミリ回路209などが該当する。制御基板200の入力電圧の仕様はたとえば5.0Vであり、省電力回路250、ならびに機能回路CR1、CR2、CR3、およびCR4の各々が正常に動作するためには、省電力回路250、ならびに機能回路CR1、CR2、CR3、およびCR4の各々の入力側の接点P1、P2、P3、P4、およびP5の電圧は、制御基板200の入力電圧の仕様を常に上回る必要がある。
【0049】
抵抗素子R11、R12、R13、R14、およびR15の各々の一端は、制御基板200の入力端子を通じて電線抵抗R5に接続されている。抵抗素子R11、スイッチSW11、および機能回路CR1は、この順序で直列に接続されている。抵抗素子R11とスイッチSW11とを接続する導線上に接点P1が設けられている。抵抗素子R12、スイッチSW12、および機能回路CR2は、この順序で直列に接続されている。抵抗素子R12とスイッチSW12とを接続する導線上に接点P2が設けられている。抵抗素子R13および省電力回路250は、この順序で直列に接続されている。抵抗素子R13と省電力回路250とを接続する導線上に接点P3が設けられている。抵抗素子R14、スイッチSW13、および機能回路CR3は、この順序で直列に接続されている。抵抗素子R14とスイッチSW13とを接続する導線上に接点P4が設けられている。抵抗素子R15、スイッチSW14、および機能回路CR4は、この順序で直列に接続されている。抵抗素子R15とスイッチSW14とを接続する導線上に接点P5が設けられている。接点P1、P2、P3、P4、およびP5の各々の電位は、接続された機能回路の動作に応じて変動する。
【0050】
省電力回路250の演算IC250aは、セレクターSR1と、CPU(Central Processing Unit)251と、ROM(Read Only Memory)253と、メモリ255とを含んでいる。セレクターSR1は、接点P20、P21、P22、P23、P24、およびP25を含んでいる。接点P21は接点P1と接続されており、接点P22は接点P2と接続されており、接点P23は接点P3と接続されており、接点P24は接点P4と接続されており、接点P25は接点P5と接続されている。セレクターSR1は、接点P21、P22、P23、P24、およびP25のうちから1つの端子を選択して、接点P20と電気的に接続する回路である。
【0051】
電源信号(リモート信号)REM1、REM2、REM3、およびREM4の各々は、機能回路CR1、CR2、CR3、およびCR4の各々へ電力の供給を行うか否かを制御する信号である。CPU251は、電源信号REM1、REM2、REM3、およびREM4の各々を送信することにより、スイッチSW11、SW12、SW13、およびSW14の各々のオンオフを制御する。その結果、機能回路CR1、CR2、CR3、およびCR4の各々の状態は、電源基板1からの電力の供給を受ける状態と電力の供給を受けない状態との間で切り替えられる(以降、この切り替えを電力供給状態の切り替えと呼ぶことがある)。またCPU251は、セレクターSR1を制御する。ROM253は、CPU251の制御プログラムを記憶する。メモリ255は、機能回路情報テーブルなどの各種データを記憶する。
【0052】
図3は、機能回路情報テーブルの一例を示す図である。なお、図3中の機能回路1、機能回路2、機能回路3、および機能回路4は、それぞれ図1の機能回路CR1、機能回路CR2、機能回路CR3、および機能回路CR4に相当する。
【0053】
図3を参照して、機能回路情報テーブルは、画像形成装置の機能回路および省電力回路の各々における消費電流の情報を記したテーブルである。また、機能回路1はUSBドライバー回路であるものとする。この場合、USBデバイス接続時の機能回路1の消費電流は、USBデバイス非接続時の機能回路1の消費電流に比べて大きくなる。
【0054】
機能回路情報テーブルでは、消費電流または動作保証最小電圧の大きさは、大きい方から小さい方に向かって、USBデバイス接続時の機能回路1、機能回路3、機能回路4、機能回路2、USBデバイス非接続時の機能回路1、および省電力回路という順序になっている。
【0055】
[画像形成装置の動作]
【0056】
続いて、画像形成装置の動作について、図2および図4を用いて説明する。
【0057】
図2を参照して、画像形成装置の電源がオンされると、省電力回路250には電源基板1から電力が供給される。画像形成装置は起動し、通常状態となる。画像形成装置の動作状態は、通常状態と、通常状態よりも消費電力の低い省電力状態との間で移行する(さらに、別の状態との間で移行するものであってもよい)。また、画像形成装置が省電力状態にある場合において、ユーザーの動作指示を受け付けた場合は、画像形成装置は通常状態に移行する。画像形成装置の動作状態に関わらず、省電力回路250には常に電源基板1から電力が供給される。
【0058】
画像形成装置が通常状態にある場合には、省電力回路250は、電源信号REM1、REM2、REM3、およびREM4のうち少なくとも1つをオン信号(電力の供給を行う信号)とすることで、スイッチSW11、SW12、SW13、およびSW14のうち少なくとも1つをオンする。これにより、機能回路CR1、CR2、CR3、およびCR4のうち少なくとも1つに対して、電力が供給される。
【0059】
また省電力回路250は、省電力回路250、ならびに機能回路CR1、CR2、CR3、およびCR4のうち電力の供給を受ける機能回路の中で、消費電流が最も大きい回路を特定する。そして省電力回路250は、特定した回路の入力側の接点をリモートセンシング位置として設定する。すなわち、省電力回路250は、接点P1、P2、P3、P4、およびP5の中の1つの接点をリモートセンシング位置として設定する。リモートセンシング位置として設定された接点は、CPU251の制御により、接点P21、P22、P23、P24、またはP25を通じて、接点P20と電気的に接続される。これにより、リモートセンシング位置の電圧が定電圧制御部10にフィードバックされる。
【0060】
ここでは、省電力回路250が電源信号REM1、REM2、REM3、およびREM4を全てオン信号とする場合(ただし、機能回路1はUSBデバイスを非接続)を想定する。この場合、スイッチSW11、SW12、SW13、およびSW14の全てがオンし、機能回路CR1、CR2、CR3、およびCR4の全てが電力の供給を受ける。
【0061】
省電力回路250は、機能回路情報テーブルに基づいて、省電力回路250、および電力の供給を受ける機能回路CR1、CR2、CR3、およびCR4の中で、消費電流が最も大きい回路である機能回路CR3を特定する。そして省電力回路250は、セレクターSR1において接点P20を接点P24と接続することにより、機能回路CR3の入力側の接点P4を、リモートセンシング位置として設定する。
【0062】
リモートセンシング位置の電圧の基準値は、制御基板200の入力電圧の仕様と同じ値である5.0Vに設定される。すなわち、定電圧制御部10は、機能回路CR3の入力側の接点P4の電圧が5.0Vとなるように、電源基板1の出力電圧(接点P10の電圧)を定電圧制御する。その結果、機能回路CR1、機能回路CR2、省電力回路250、および機能回路CR4の各々の入力側の接点P1、P2、P3、およびP5の電圧も5.0V以上に保たれる。これは次の理由による。機能回路CR1、機能回路CR2、省電力回路250、および機能回路CR4の各々の消費電流は、機能回路CR3の消費電流よりも小さいため、電源基板1の出力端子から接点P1、P2、P3、およびP5の各々までの電圧降下量は、電源基板1の出力端子から接点P4までの電圧降下量よりも小さい。その結果、接点P1、P2、P3、およびP5の電圧は、接点P4の電圧よりも常に高くなる。
【0063】
図4は、本発明の一実施の形態における画像形成装置が省電力状態にある場合の、電源基板および制御基板の回路構成を模式的に示すブロック図である。
【0064】
図4を参照して、画像形成装置が通常状態にある場合において、ユーザーの動作指示を一定時間受け付けないときは、画像形成装置は省電力状態に移行する。
【0065】
画像形成装置が省電力状態にある場合には、省電力回路250は、電源信号REM1、REM2、REM3、およびREM4の全てをオフ信号(電力の供給を行わない信号)とすることで、スイッチSW11、SW12、SW13、およびSW14の全てをオンする。これにより、機能回路CR1、CR2、CR3、およびCR4の全てにおいて、電力の供給が停止され、省電力回路250にのみ電力が供給される。
【0066】
また、画像形成装置が省電力状態にある場合には、機能回路CR1、CR2、CR3、およびCR4の全てにおいて電力の供給が停止されるので、省電力回路250は、省電力回路250を消費電流が最も大きい回路として特定し、省電力回路250の入力側の接点P3をリモートセンシング位置として設定する。接点P3は、CPU251の制御により、接点P23を通じて接点P20と電気的に接続される。
【0067】
リモートセンシング位置の電圧の基準値は、制御基板200の入力電圧の仕様と同じ値である5.0Vのままである。画像形成装置が省電力状態にある場合、省電力回路250にのみ電力が供給されるため、制御基板200に流れる消費電流の合計量(電線抵抗R5に流れる電流)が少なくなり、電源基板1の出力端子から接点P3までの電圧降下量がほぼゼロになる。その結果、電源基板1の出力電圧(画像形成装置の入力電力)を、5.0Vと低くすることができ、画像形成装置が省電力状態にある場合の消費電力量を低減することができる。
【0068】
なお、機能回路CR1、CR2、CR3、およびCR4のうち少なくともいずれか1つの電力供給状態の切り替えのタイミング(電源信号REM1、REM2、REM3、およびREM4のうち少なくともいずれか1つにおけるオン信号とオフ信号との間の切り替えのタイミング)と、リモートセンシング位置の切り替えのタイミング(接点P20と接続する接点の切り替えのタイミング)とは、いずれが時間的に先であってもよい。しかし、機能回路CR1、CR2、CR3、およびCR4のうち少なくともいずれか1つの電力供給状態の切り替える際に、電力の供給を受ける状態の機能回路に突入電流が流れ、システムリセットがなされる事態を回避するためには、次の方法を採用することが好ましい。
【0069】
たとえば、画像形成装置が省電力状態から通常状態に移行する場合のように、機能回路CR1、CR2、CR3、およびCR4全体の消費電流が増加するように、機能回路CR1、CR2、CR3、およびCR4のうち少なくともいずれか1つの電力供給状態を切り替える場合、省電力回路250は、機能回路CR1、CR2、CR3、およびCR4のうち少なくともいずれか1つの電力供給状態を切り替える前に、リモートセンシング位置を変更する。また、画像形成装置が通常状態から省電力状態に移行する場合のように、機能回路CR1、CR2、CR3、およびCR4全体の消費電流が減少するように、機能回路CR1、CR2、CR3、およびCR4のうち少なくともいずれか1つの電力供給状態を切り替える場合、省電力回路250は、機能回路CR1、CR2、CR3、およびCR4のうち少なくともいずれか1つの電力供給状態を切り替えた後で、リモートセンシング位置を変更する。
【0070】
図5および図6は、本発明の一実施の形態における画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【0071】
図5を参照して、画像形成装置の電源がオンされ、省電力回路250に電力が供給される(省電力回路がオンする)と(S1)、省電力回路250のCPU251は、機能回路CR1、CR2、CR3、およびCR4の各々の電源信号を決定する(S3)。次にCPU251は、機能回路CR1、CR2、CR3、およびCR4の各々の決定した電源信号、および機能回路CR1、CR2、CR3、およびCR4の各々の消費電流の大小関係の情報に基づいて、リモートセンシング位置を設定し、定電圧制御を行う(S5)。具体的には、CPU251は、省電力回路250、および電流の供給を受ける機能回路の中で、消費電流が最も大きいものの入力側の接点をリモートセンシング位置として設定する。リモートセンシング位置の設定後、CPU251は、機能回路CR1、CR2、CR3、およびCR4の各々の決定した電源信号を送信することにより、画像形成装置を起動し(S7)、ユーザーの動作指示を待機する(S9)。次にCPU251は、USBデバイスなどのデバイスの装着がセンサーなどで検出されたか否かを判別する(S11)。
【0072】
ステップS11において、デバイスの装着がセンサーなどで検出されたと判別した場合(S11でYES)、CPU251は、省電力回路250のCPU251は、機能回路CR1、CR2、CR3、およびCR4の各々の電源信号を決定する(S13)。次にCPU251は、機能回路CR1、CR2、CR3、およびCR4の各々の決定した電源信号、および機能回路CR1、CR2、CR3、およびCR4の各々の消費電流の大小関係の情報に基づいて、リモートセンシング位置を設定し、定電圧制御を行う(S15)。これにより、デバイスの動作電圧が保障される。具体的には、CPU251は、デバイスのインターフェース回路の入力側の接点(入力端)を、リモートセンシング位置として設定する。これにより、デバイスの動作電圧が保障される。CPU251は、デバイスを動作させ(S17)、その後ユーザーの動作指示を待機し(S19)、ステップS21の処理へ進む。
【0073】
ステップS11において、デバイスの装着がセンサーなどで検出されないと判別した場合(S11でNO)、CPU251はステップS21の処理へ進む。
【0074】
ステップS21において、CPU251は、ユーザーのプリント指示を受け付けたか否かを判別する(S21)。
【0075】
ステップS21において、プリント指示を受け付けたと判別した場合(S21でYES)、CPU251は、機能回路CR1、CR2、CR3、およびCR4の各々の電源信号を決定する(S23)。次にCPU251は、機能回路CR1、CR2、CR3、およびCR4の各々の決定した電源信号、および機能回路CR1、CR2、CR3、およびCR4の各々の消費電流の大小関係の情報に基づいて、リモートセンシング位置を設定し、定電圧制御を行う(S25)。具体的には、CPU251は、省電力回路250、および電流の供給を受ける機能回路の中で、消費電流が最も大きいものの入力側の接点をリモートセンシング位置として設定する。リモートセンシング位置の設定後、CPU251は、プリント動作を行い(S27)、次にユーザーの動作指示を待機し(S29)、図6のステップS31の処理へ進む。
【0076】
ステップS21において、プリント指示を受け付けないと判別した場合(S21でNO)、CPU251は図6のステップS31の処理へ進む。
【0077】
図6を参照して、ステップS31において、CPU251は、画像形成装置が省電力状態に移行する指示(省エネ指示)を受信したか否かを判別する(S31)。ステップS31において、画像形成装置が省電力状態に移行する指示を受信したと判別した場合(S31でYES)、CPU251は、機能回路CR1、CR2、CR3、およびCR4の全ての電源信号をオフ信号とすることを決定し、省電力回路250以外の回路をオフする(S33)。次にCPU251は、省電力状態への移行が完了すると(S35)、機能回路CR1、CR2、CR3、およびCR4の各々の決定した電源信号、および機能回路CR1、CR2、CR3、およびCR4の各々の消費電流の大小関係の情報に基づいて、リモートセンシング位置を設定し、定電圧制御を行う(S37)。具体的には、CPU251は、省電力回路250の入力側の接点をリモートセンシング位置として設定する。このように、CPU251は、省電力回路250以外の回路をオフした後でリモートセンシング位置を変更する。リモートセンシング位置の設定後、CPU251はステップS39の処理へ進む。
【0078】
ステップS31において、画像形成装置が省電力状態に移行する指示を受信しないと判別した場合(S31でNO)、CPU250はステップS39の処理へ進む。
【0079】
ステップS39において、CPU251は、ユーザーのプリント指示を受け付けたか否かを判別する(S39)。
【0080】
ステップS39において、プリント指示を受け付けたと判別した場合(S39でYES)、CPU251は、機能回路CR1、CR2、CR3、およびCR4の各々の電源信号を決定する(S41)。次にCPU251は、機能回路CR1、CR2、CR3、およびCR4の各々の決定した電源信号、および機能回路CR1、CR2、CR3、およびCR4の各々の消費電流の大小関係の情報に基づいて、リモートセンシング位置を設定し、定電圧制御を行う(S43)。具体的には、CPU251は、省電力回路250、および電流の供給を受ける機能回路の中で、消費電流が最も大きいものの入力側の接点をリモートセンシング位置として設定する。リモートセンシング位置の設定後、CPU251は、通常状態に移行し、プリント動作を行う(S45)。続いてCPU251は、画像形成装置の電源がオフされたか否かを判別する(S47)。
【0081】
ステップS47において、画像形成装置の電源がオフされたと判別した場合(S47でYES)、CPU251は、画像形成装置の電源をオフし(S49)、処理を終了する。
【0082】
ステップS47において、画像形成装置の電源がオフされないと判別した場合(S47でNO)、CPU251は図5のステップS11の処理へ進む。
【0083】
[変形例]
【0084】
上述の実施の形態においては、画像形成装置が通常状態および省電力状態のいずれも場合にも、省電力回路250がリモートセンシング位置を設定する例について示した。本発明の居ては、画像形成装置が省電力状態である場合には、省電力回路250がリモートセンシング位置を設定し、画像形成装置が通常状態である場合には、任意の機能回路がリモートセンシング位置を設定してもよい。
【0085】
図7は、本発明の変形例における画像形成装置が通常状態にある場合の、電源基板および制御基板の回路構成を模式的に示すブロック図である。
【0086】
図7を参照して、ここでは、画像形成装置が通常状態である場合には、画像形成回路である機能回路CR3(動作時回路の一例)がリモートセンシング位置を設定する例について説明する。機能回路CR3は画像形成回路203であるものとする。
【0087】
セレクターSR1は、省電力回路250の演算IC250aとは別構成となっている。画像形成回路203は、画処理IC203aと、演算IC203bとを含んでいる。演算IC203bは、CPU231と、ROM233と、メモリ235とを含んでいる。ROM233は、CPU231の制御プログラムを記憶する。メモリ235は、機能回路情報テーブルなどの各種データを記憶する。
【0088】
CPU231は、画像形成装置が通常状態(プリント状態や待機状態など)にある場合に、電源信号REM1、REM2、REM3、およびREM4の各々を送信することにより、スイッチSW11、SW12、SW13、およびSW14の各々のオンオフを制御する。またCPU231は、画像形成装置が通常状態にある場合に、リモートセンシング位置を設定し、セレクターSR1を制御する。
【0089】
CPU251は、画像形成装置が省電力状態にある場合に、電源信号REM1、REM2、REM3、およびREM4の各々を送信することにより、スイッチSW11、SW12、SW13、およびSW14の各々のオンオフを制御する。またCPU251は、画像形成装置が省電力状態にある場合に、省電力回路250の入力側の接点P3をリモートセンシング位置として設定し、セレクターSR1を制御する。
【0090】
[実施の形態の効果]
【0091】
上述の実施の形態においては、電源基板のリモートセンシング電位が、消費電流の大きい省電力回路または機能回路の入力側の接点に設定される。これにより、定電圧制御の際の基準値を設定する際に、電線抵抗(ワイヤーハーネス)および制御基板のパターン抵抗での電圧降下を考慮しなくても、画像形成装置が大電流で動作する場合に、省電力回路および機能回路の各々の入力側の端部の電圧が、制御基板の入力電圧の仕様を満足するようになる。また、画像形成装置が小電流で動作する場合には、電源基板のリモートセンシン電位が、省電力回路の入力側の接点に設定される。これにより、画像形成装置の入力電力を低くすることができ、画像形成装置が省電力状態にある場合の消費電力量を低減することができる。
【0092】
[その他]
【0093】
上述の実施の形態における定電圧制御部、機能回路、または省電力回路などの構成は一例であり、これらの構成は任意である。
【0094】
機能回路情報テーブルは、画像形成装置の省電力回路および機能回路の各々における動作保証最小電圧の大小関係の情報を記したテーブルであってもよい。動作保証最小電圧とは、省電力回路または機能回路の安定的な動作が保証された電圧の範囲中の最小の電圧値である。この場合、省電力回路は、機能回路情報テーブルに基づいて、省電力回路、および電力の供給を受ける機能回路の中で、動作保証最小電圧が最も大きい回路を特定し、特定した回路の入力側の接点をリモートセンシング位置として設定する。
【0095】
上述の実施の形態における処理は、ソフトウェアにより行なっても、ハードウェア回路を用いて行なってもよい。また、上述の実施の形態における処理を実行するプログラムを提供することもできるし、そのプログラムをCD−ROM、フレキシブルディスク、ハードディスク、ROM、RAM、メモリカードなどの記録媒体に記録してユーザーに提供することにしてもよい。プログラムは、CPUなどのコンピューターにより実行される。また、プログラムはインターネットなどの通信回線を介して、装置にダウンロードするようにしてもよい。
【0096】
上述の実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0097】
1,1001 電源基板
10,1010 定電圧制御部
100 低圧電源
101 ノイズフィルター(NF)
103 整流器
105,107 定電圧制御回路
109 定着回路
111 ヒーター
200,1200 制御基板
201 ドライバー回路
203 画像形成回路
203a 画処理IC(Integrated Circuit)
203b,250a 演算IC
250b CPLD(Complex Programmable Logic Device)
205 HDD(Hard Disk Drive)ドライバー回路
207 USB(Universal Serial Bus)ドライバー回路
209 ファクシミリ回路
211 光源
213 ファン
215 HV
217 モーター
219,221 センサー
223 HDD
225 USB
231,251 CPU(Central Processing Unit)
233,253 ROM(Read Only Memory)
235,255 メモリ
250 省電力回路
CR1,CR2,CR3,CR4,CR101,CR102,CR103,CR104,CR105 機能回路
D1,D2 ダイオード
P1,P2,P3,P4,P5,P10,P20,P21,P22,P23,P24,P25,P101,P102,P103,P104,P105,P106,P110 接点
R1,R2,R3,R4,R11,R12,R13,R14,R15,R111,R112,R113,R114,R115 抵抗素子
R5,R105 電線抵抗
REM1、REM2,REM3,REM4,REM101,REM102,REM103,REM104 電源信号
SM1,SM101 二次側整流平滑回路
SR1 セレクター
SW1,SW11,SW12,SW13,SW14,SW111,SW112,SW113,SW114 スイッチ
T1,T101 トランス
TR1,TR2,TR101 トランジスタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9