(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
誘電体フィルム上に第1の内部電極が形成された第1のフィルムおよび誘電体フィルム上に第2の内部電極が形成された第2のフィルムが、交互に複数積層された積層体と、
前記第1の内部電極に接続された第1の電極と、
前記第2の内部電極に接続された第2の電極と、
を有し、
前記第1のフィルムおよび第2のフィルムが積層された方向に視た前記積層体の、主面の形状は、台形である、積層型フィルムコンデンサを複数備えるコンデンサモジュールであって、
台形である前記主面を構成する辺のうちの上底および下底を除いた2辺の一方の集合からなる前記積層型フィルムコンデンサの一側面と、前記2辺の他方の集合からなる前記積層型フィルムコンデンサの他側面とを、他の前記積層型フィルムコンデンサの前記一側面と前記他の前記積層型フィルムコンデンサの前記他側面とに接触させて、複数の前記積層型フィルムコンデンサを同一平面上に並べることで、リング状を形成した、
コンデンサモジュール。
前記台形である前記主面を構成する辺のうちの上底および下底を除いた2辺の延長線上の交点における交差角が、前記同一平面上に並べる前記コンデンサモジュールの数をnとして、360°/nの関係を満たす、
請求項1に記載のコンデンサモジュール。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態に係る積層型フィルムコンデンサ100とコンデンサモジュール集合体300について説明する。
【0017】
図1に概略を示すように、コンデンサモジュール集合体300は、平面視台形状の積層型フィルムコンデンサ100を6個、リング状に組み合わせて構成される。
【0018】
そこで、まず、各積層型フィルムコンデンサ100について説明する。
【0019】
なお、理解を容易にするため、直交座標系のx、y、およびz軸を各図において示すように設定し、適宜参照する。z方向は、積層型フィルムコンデンサ100を構成するフィルムの積層方向であり、x方向は、台形形状の積層型フィルムコンデンサ100の上底と下底とに垂直な方向、y方向は、台形形状の積層型フィルムコンデンサ100の上底と下底とに平行な方向である。
【0020】
積層型フィルムコンデンサ100は、
図2の断面図(
図1に示すa−aの断面)に示すように、誘電体フィルム11(11_
1〜11_
13)と、誘電体フィルム11に配置された第1の内部電極12および第2の内部電極13と、第1のメタリコン部14と、第2のメタリコン部15と、を備える。
【0021】
なお、
図2では、発明の理解を容易にするために、誘電体フィルム11が13層積層された積層型フィルムコンデンサ100を図示しているが、積層型フィルムコンデンサ100の積層数は、これに限られるものではない。
【0022】
誘電体フィルム11は、樹脂などの誘電体材料から形成され、平面視で台形状に形成されている。誘電体フィルム11_
1〜11_
13は、互いに同一の形状に形成されている。
【0023】
第1の内部電極12は、誘電体フィルム11の一面に形成されている。誘電体フィルム11に第1の内部電極12が形成されたものを、以後、第1のフィルム20と呼ぶ。
【0024】
第2の内部電極13は、誘電体フィルム11の一面に形成されている。誘電体フィルム11に第2の内部電極13が形成されたものを、以後、第2のフィルム21と呼ぶ。
第1の内部電極12と第2の内部電極13とは、誘電体フィルム11を介して、互いに対向し、容量を形成する。
【0025】
第1のフィルム20と第2のフィルム21とは、互いにx方向にオフセットs分ずれ、且つ、それぞれのy方向の両端部が揃った状態で、z方向に積層されている。
【0026】
最上層の誘電体層11_
13は、第1の内部電極12の絶縁および保護のためのものであり、電極は形成されていない。
【0027】
第1のメタリコン部14は、積層体の、x方向一側部に配置され、第1の内部電極12に共通に接続された導電性の皮膜(電極)である。第1のメタリコン部14は、導電性の溶射材を、過熱溶融後に第1のフィルム20の一側部に吹き付ける処理(メタリコン処理)によって形成される。
【0028】
第2のメタリコン部15は、第1のフィルム20と第2のフィルム21とが積層された積層体の、x方向他側部に配置され、第2の内部電極13に共通に接続された導電性の皮膜(電極)である。第2のメタリコン部15は、メタリコン処理によって形成される。
【0029】
次に、積層型フィルムコンデンサ100を構成する第1のフィルム20と第2のフィルム21について
図3を参照して詳細に説明する。
【0030】
図3(a)に示すように、第1のフィルム20を構成する誘電体フィルム11は、台形に形成されている。誘電体フィルム11の上底(例えば辺ab)は、例えば、数十mm程度、誘電体フィルム11の下底(例えば辺cd)は、例えば、数十mm〜数百mm程度、誘電体フィルム11の厚さは、例えば、数μ〜数十μm程度である。
【0031】
誘電体フィルム11の4つの辺のうち、上底abと下底cdとは、平行に、一方、辺bcと辺adとは、それらの延長線が60°で交差するように形成されている。
【0032】
また、誘電体フィルム11は、延長線の交点pと辺abの両端とを結ぶ2つの直線の長さが互いに等しく(辺paと辺pbとが等しく)、交点pと辺cdの両端とを結ぶ2つの直線の長さが互いに等しく(辺pcと辺pdとが等しく)なるように形成されている。
【0033】
第1の内部電極12は、誘電体フィルム11上にAl、Cu、Ag等の金属を蒸着し、蒸着膜をパターニングすることにより形成される。第1の内部電極12は、メタリコン部14に接続するため下底cdに達し、他の側辺ad,bcについては、絶縁を確保するため、距離mだけ離れた位置まで形成されている。また、上辺abについては、距離gだけ離れた位置まで形成されている。なお、距離gと距離mとは、同じであっても、異なっていてもよい。
【0034】
図3(b)に示すように、第2のフィルム21の誘電体フィルム11は、第1のフィルム20の誘電体フィルム11と同一の形状及びサイズを有する。
【0035】
第2の内部電極13は、誘電体フィルム11上にAl、Cu、Ag等の金属を蒸着し、蒸着膜をパターニングすることにより形成される。第2の内部電極13は、メタリコン部15に接続するため、上底abに達し、他の辺ad,bcについては、絶縁を確保するため、距離mだけ離れた位置まで形成されている。また、下辺cdについては、距離gだけ離れた位置まで形成されている。なお、距離gと距離mとは、同じであっても、異なっていてもよい。
【0036】
次に、上記構成を有する積層型フィルムコンデンサ100の製造方法を、
図4と
図5とを参照して説明する。
【0037】
まず、誘電体フィルム板110を準備し、一方の幅広面に、
図4(a)に示すように、第1の内部電極12と第2の内部電極13に対応するパターンの金属膜を、あらかじめ定めた数、蒸着とパターニングにより形成する。
【0038】
その後、誘電体フィルム板110を、その幅広方向に切断し、
図4(b)に示すように、第1の内部電極12と第2の内部電極13とが連なった連続体120を製造する。
【0039】
続いて、連続体120を、第1の内部電極12と第2の内部電極13とを分離するように切断し、
図4(c)に示すように、第1のフィルム20と第2のフィルム21とを製造する。
【0040】
次に、第1のフィルム20と第2のフィルム21とを、交互にz方向に積層する。このとき、第1のフィルム20と第2のフィルム21とは、y方向のそれぞれの両端を揃えて、
図5(a)に示すように、x方向については互いにオフセットs分だけずらして積層する。また、最上層には内部電極の絶縁および保護のために、金属膜が未形成で、フィルム20,21と同じ大きさの誘電体フィルム11を積層する。
【0041】
その後、これらを圧着処理して積層体を形成する。このとき、誘電体フィルム11の電極12又13の形成されていない幅mの端部領域は相互に未着し、外部と第1の内部電極12及び第2の内部電極13を絶縁する。
【0042】
その後、
図5(b)に示すように、積層体のx方向一側部に、メタリコン処理によって導電性溶射材を吹き付け、第1の内部電極12の端部に接続された第1のメタリコン部14を形成する。これにより、第1の内部電極12と第1のメタリコン部14とが電気的に相互に接続される。
【0043】
続いて、
図5(c)に示すように、積層体のx方向他側面に、メタリコン処理によって、第2の内部電極13の端部に接続された第2のメタリコン部15を形成する。これにより、複数の第2の内部電極13と第2のメタリコン部15とが電気的に相互に接続される。
【0044】
このようにして製造された積層型フィルムコンデンサ100では、
図6(a)に示すように、第1のフィルム20および第2のフィルム21が積層方向から視た積層体の主面(面ABCDと面EFGHと)の形状が、台形である。また、積層型フィルムコンデンサ100では、積層体の主面(面ABCDと面EFGHと)同士が平行である。
【0045】
製造された積層型フィルムコンデンサ100に、
図6(b)に示すように、第1の外部電極(バスバー)30を、第1のメタリコン部14(第1のメタリコン部14については下面に隠れていて図に描かれていない)に取り付け、第2の外部電極(バスバー)31を、第2のメタリコン部15に取り付けることで、コンデンサモジュール200が製造される。
【0046】
第1の外部電極(バスバー)30と第2の外部電極(バスバー)31とは、積層型フィルムコンデンサ100を外部回路に接続するための金属板である。第1の外部電極30と第2の外部電極31とは、例えば圧着、メッキ部等により、メタリコン部14,15に接続されている。
【0047】
第1の外部電極30は、外部回路接続用の第1の外部電極端子30aを備え、第2の外部電極31は外部回路接続用の第2の外部電極端子31aを備える。
【0048】
なお、コンデンサモジュール200は、容器(コンデンサモジュール200の外形と相似である外形の容器)に収容され、容器に充填された封止材で固定される。この容器と封止材については、図示を省略している。
【0049】
以上、単体の積層型フィルムコンデンサ100と、その積層型フィルムコンデンサ100に端子を接続したコンデンサモジュール200と、について説明した。次に、複数のコンデンサモジュール200から構成される、リング状のコンデンサモジュール集合体300について、
図7(a),(b)を参照して説明する。
【0050】
コンデンサモジュール集合体300は、コンデンサモジュール200のy方向一側部(側面ADHE)と、他側部(側面BCGF)とを、他のコンデンサモジュール200の他側部(側面BCGF)と一側部(側面ADHE)とに接触させて6個同一平面上に並べることで、リング状に配列したものである。
【0051】
リング状に配列された6個のコンデンサモジュール200の第1の外部電極端子30aは、環状の第1の配線32により相互に接続されている。第1の配線32は、第1の外部電極端子30aに、例えば溶接されている。同様に、6個のコンデンサモジュール200の第2の外部電極端子31aは、環状の第2の配線33に、溶接により、接続されている。
【0052】
このコンデンサモジュール集合体300は、例えば、
図8に示すように、インバータ310と、インバータ310から出力された三相電力で動作する三相モータ320と、を備える電力変換システム350に搭載される。
【0053】
インバータ310は、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor;絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)、IGBTのオンオフ制御を行う制御回路等を有する。インバータ310は、バッテリ等の直流電源から直流電力が供給された場合、その直流電力を三相電力に変換する。そして、インバータ310は、三相電力を、三相モータ320に供給する。一方、インバータ310は、三相モータ320から発電電力(三相電力)が供給された場合、その三相電力を直流電力に変換する。そして、インバータ310は、直流電力を、バッテリ等に供給する。
【0054】
コンデンサモジュール集合体300は、インバータ310の隣に、三相モータ320の回転軸330を開口に挿通した状態で配置され、第1の配線32と第2の配線33とは、それぞれ、インバータ310とバッテリとを接続する配線に接続される。
【0055】
以上のように、コンデンサモジュール集合体300、コンデンサモジュール200、積層型フィルムコンデンサ100では、第1のフィルム20および第2のフィルム21が積層された方向に視た積層体の主面(面ABCDと面EFGHと)の形状が、台形である。
【0056】
このため、積層型フィルムコンデンサ100、或いは、コンデンサモジュール200の側面ADHEと側面BCGFとを、他の積層型フィルムコンデンサ100、或いは、他のコンデンサモジュール200の側面ADHEと側面BCGFとに接触させて同一平面上に並べることで、リング状が形成可能である。
【0057】
このリング状(開口を形成して1周回する態様)を形成する積層型フィルムコンデンサ100、或いは、コンデンサモジュール200のうち、ある積層型フィルムコンデンサ100、或いは、コンデンサモジュール200に不具合が発生した場合、その不具合が発生した積層型フィルムコンデンサ100、或いは、コンデンサモジュール200を交換すればよい。従って、本実施の形態の積層型フィルムコンデンサ100、コンデンサモジュール200およびコンデンサモジュール集合体300によれば、コンデンサの部分的な交換を可能にすることで、コンデンサの交換費用を抑制することができる。
【0058】
また、積層型フィルムコンデンサ100、或いは、コンデンサモジュール200の面ABCD(または面EFGH)の上底と下底とを除いた2辺の延長線上の交点における交差角が、360°/n(nはコンデンサモジュール200の数)の関係を満たしている。
【0059】
このため、複数の積層型フィルムコンデンサ100、或いは、コンデンサモジュール200でリング状を実現する場合、積層型フィルムコンデンサ100、或いは、コンデンサモジュール200を、隙間なく接触させて、並べることができる。従って、本実施の形態の積層型フィルムコンデンサ100、コンデンサモジュール200およびコンデンサモジュール集合体300によれば、誘電体フィルムが例えば直方体である積層型フィルムコンデンサ或いはフィルムコンデンサで、リング状を形成する場合と比較して、空間の有効利用が可能である。
【0060】
また、コンデンサモジュール集合体300をこのように配置することで、三相モータ320の回転軸330近傍のデッドスペースを有効利用しつつ、三相モータ320を力行運転している際に、直流電源がインバータ310に印加する直流電圧に重畳したサージを低減でき、また、三相モータ320が回生動作している際に、インバータ310から出力された直流電圧に重畳したサージを低減できる。
【0061】
上記実施の形態においては、第1の内部電極12と第2の内部電極13とを金属蒸着膜で形成する例を示したが、電極は任意の導体で形成可能である。例えば、金属箔で形成することも可能である。この場合、金属箔の厚さによっては、積層・圧着工程で、誘電体膜11の端部(電極が形成されていない部分)が密着しない可能性がある。このような場合には、幅g及びmの電極非形成領域に、金属箔とほぼ同一の厚さの絶縁膜を配置して、積層・圧着すればよい。
【0062】
また、電極非形成領域の幅g及びmは一定値である必要なく、位置に応じて変化させたり、第1のフィルム20と第2のフィルム21とで異ならせてもよい。
【0063】
(実施の形態2)
上述したコンデンサモジュール200では、第1の外部電極端子30aと第2の外部電極端子31aとは、別々の面に配置されていた。しかし、これに限られるものではなく、第1の外部電極端子30aと第2の外部電極端子31aとを、同一の面に配置してもよい。
【0064】
第1の外部電極端子30aと第2の外部電極端子31aとを同一の面に配置することを可能とする第1のフィルム50と第2のフィルム51とを、
図9(a),(b)に示す。
【0065】
第1のフィルム50は、実施の形態1と同一構成の誘電体フィルム11と、誘電体フィルム11の第1面に配置された第1の内部電極41と、第1の内部電極41に接続された第1の引出導体42と、を備える。
【0066】
第1の内部電極41は、金属膜から構成されている。この金属膜は、Al、Cu、Ag等の電気伝導体の膜であり、箔又は蒸着膜等で形成される。
【0067】
第1の内部電極41には、長方形状の第1の引出導体42が接続されている。第1の引出導体42の中央部分は、辺adからT1離れた位置に配置されている。第1の引出導体42の一端は第1の内部電極41に接続され、第1の引出導体42の他端は誘電体フィルム11の下底cdに接した状態に形成される。第1の引出導体42は、箔又は蒸着膜等で、第1の内部電極41と一体に形成される。
【0068】
なお、第1の内部電極41と第1の引出導体42とが金属箔で形成される場合、幅g,mが小さいと上下の誘電体フィルム11間の隙間が圧着後もなくならないことがある。そのようなときには、第1の内部電極41と第1の引出導体42との周囲には、絶縁膜が形成されてもよい。
【0069】
第2のフィルム51は、実施の形態1と同じ構成の誘電体フィルム11と、誘電体フィルム11の第1面に配置された第2の内部電極43と、第2の内部電極43に接続された第1の引出導体44と、を備える。
【0070】
第2の内部電極43は、金属膜から構成されている。この金属膜は、Al、Cu、Ag等の電気伝導体の膜であり、箔又は蒸着膜等で形成される。第2の内部電極43は、第1の内部電極41と対向配置されて容量を形成する。
【0071】
第2の内部電極43には、長方形状の第2の引出導体44が接続されている。第2の引出導体44の中央部分は、辺adからT2離れた位置に配置されている。第2の引出導体44の一端は第2の内部電極43に接続され、第2の引出導体44の他端は誘電体フィルム11の第1面の下底cdに接した状態に形成される。第2の引出導体44は、箔又は蒸着膜等で、第2の内部電極43と一体に形成される。
【0072】
上述の通り、第2の引出導体44の中央部分は、辺adからT2離れた位置に配置され、一方、第1の引出導体42の中央部分は、辺adからT1離れた位置に配置されており、平面視で第1の引出導体42と第2の引出同載44とは重ならず一定距離離間した位置に配置されている。
【0073】
上述した第1のフィルム50と第2のフィルム51とは、x,y方向のそれぞれの両端を揃えて、
図10の断面図(
図11(a)のb−b断面図)に示すように、交互に積層される。そして、内部電極12,13の絶縁および保護のために、最上層に、金属膜が未形成の、フィルム50,51と同じ大きさの誘電体フィルム11を積層される。
【0074】
そして、第1の引出導体42を、メッキ処理によって、粒子の細かい金属の皮膜で覆い(不図示)、その金属の皮膜に、メタリコン処理によって溶射材を吹き付け、第1のメタリコン部45を形成する。また、第2の引出導体44を、メッキ処理によって、粒子の細かい金属の皮膜で覆い(不図示)、その金属の皮膜に、メタリコン処理によって溶射材を吹き付け、第2のメタリコン部46を形成する。これにより、
図11(a),(b)に示す、積層型フィルムコンデンサ400が完成する。
【0075】
その後、積層型フィルムコンデンサ400を外部回路に接続するための第1の外部電極(バスバー)47と第2の外部電極(バスバー)48とが、例えば圧着、メッキ部等により、第1のメタリコン部45と第2のメタリコン部46とに、それぞれ取り付けられる。これにより、コンデンサモジュール500が完成する。
【0076】
第1の外部電極47は、外部回路接続用の第1の外部電極端子47aを備え、第2の外部電極48は、外部回路接続用の第2の外部電極端子48aを備える。なお、本実施の形態では、第1の外部電極端子47aは、第2の外部電極端子48aよりも長い。
【0077】
なお、コンデンサモジュール500は、容器(コンデンサモジュール500の外形と相似である外形の容器)に収容され、容器に充填された封止材で固定される。この容器と封止材については、図示を省略している。
【0078】
また、
図10では、発明の理解を容易にするために、誘電体フィルム11が13層積層された積層型フィルムコンデンサ400を図示しているが、積層型フィルムコンデンサ400の積層数は、これに限られるものではない。
【0079】
以上、単体の積層型フィルムコンデンサ400と、その積層型フィルムコンデンサ400に端子を接続したコンデンサモジュール500と、について説明した。次に、複数のコンデンサモジュール500から構成される、リング状のコンデンサモジュール集合体600について説明する。
【0080】
コンデンサモジュール集合体600は、
図12(a),(b)に示すように、実施の形態1のコンデンサモジュール集合体300と同様、コンデンサモジュール400の、台形を構成する辺(辺ab、辺bc)のうちの一方の集合からなる一側面(側面ADHE)と、他方の集合からなる他側面(側面BCGF)とを、他のコンデンサモジュール400の一側面(側面ADHE)と他側面(側面BCGF)とに接触させて、コンデンサモジュール400を複数、同一平面上に並べることで、リング状を形成したものである。
【0081】
コンデンサモジュール集合体600は、例えば、前述の電力変換システム350に搭載される。電力変換システム350は、前述のインバータ310と、インバータ310から出力された三相電力で動作する前述の三相モータ320と、を備える。
【0082】
コンデンサモジュール集合体600は、
図8に示す実施の形態1のコンデンサモジュール集合体300と同様、インバータ310の隣に、三相モータ320の回転軸330を開口に挿通した状態で配置される。
【0083】
コンデンサモジュール集合体600は、
図12(a),(b)に示すように、例えば6つのコンデンサモジュール500と、各コンデンサモジュール500の第1の外部電極端子47aに接続された環状の第1の配線61と、各コンデンサモジュール500の第2の外部電極端子48aに接続された環状の第2の配線62と、を備える。
【0084】
第1の配線61は、上述のように接触した状態で並べられたコンデンサモジュール500の第1の外部電極端子47a同士を接続するための、例えば、環状の金属導体である。第1の配線61は、第1の外部電極端子47aに、例えば溶接されている。
【0085】
また、第2の配線62は、上述のように接触した状態で並べられたコンデンサモジュール500の第2の外部電極端子48a同士を接続するための、例えば、第1の配線61で形成される環よりも径が小さい、環状の金属導体である。第2の配線62は、第2の外部電極端子48aに、例えば溶接されている。
【0086】
以上のように、コンデンサモジュール集合体600、コンデンサモジュール500、積層型フィルムコンデンサ400では、第1のフィルム50および第2のフィルム51が積層された方向に視た積層体の主面(面ABCDと面EFGHと)の形状が、台形である。
【0087】
このため、積層型フィルムコンデンサ400、或いは、コンデンサモジュール500の側面ADHEと側面BCGFとを、他の積層型フィルムコンデンサ400、或いは、他のコンデンサモジュール500の側面ADHEと側面BCGFとに接触させて同一平面上に並べることで、リング状が形成可能である。
【0088】
このリング状(開口を形成して1周回する態様)を形成する積層型フィルムコンデンサ400、或いは、コンデンサモジュール500のうち、ある積層型フィルムコンデンサ400、或いは、コンデンサモジュール500に不具合が発生した場合、その不具合が発生した積層型フィルムコンデンサ400、或いは、コンデンサモジュール500を交換すればよい。従って、本実施の形態の積層型フィルムコンデンサ400、コンデンサモジュール500およびコンデンサモジュール集合体600によれば、コンデンサの部分的な交換を可能にすることで、コンデンサの交換費用を抑制することができる。
【0089】
また、積層型フィルムコンデンサ400、或いは、コンデンサモジュール500の面ABCD(または面EFGH)の上底と下底とを除いた2辺の延長線上の交点における交差角が、360°/n(nはコンデンサモジュール200の数)の関係を満たしている。
【0090】
このため、複数の積層型フィルムコンデンサ400、或いは、コンデンサモジュール500でリング状を実現する場合、積層型フィルムコンデンサ400、或いは、コンデンサモジュール500を、隙間なく接触させて、並べることができる。従って、本実施の形態の積層型フィルムコンデンサ400、コンデンサモジュール500およびコンデンサモジュール集合体600によれば、誘電体フィルムが例えば直方体である積層型フィルムコンデンサ或いはフィルムコンデンサで、リング状を形成する場合と比較して、空間の有効利用が可能である。
【0091】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、この発明は上述の実施の形態に限定されず、種々の変形および応用が可能である。
【0092】
上述した積層型フィルムコンデンサ100,400では、第1の内部電極12,41と第2の内部電極13,44とは、1つの誘電体フィルム11に、容量を形成する電極が1つずつ形成されていたが、これに限られるものではなく、容量を形成する電極が複数、1つの誘電体フィルム11に、形成されていてもよい(分割電極でもよい)。
【0093】
また、上述した積層型フィルムコンデンサ100,400、或いは、コンデンサモジュール200,500を接触させて並べた場合に、所望の大きさの開口が形成でき、1周回できれば、積層型フィルムコンデンサ100,400、或いは、コンデンサモジュール200,500のそれぞれは、同一の大きさでなくてもよい(大きさに許容されるばらつきがあってもよい)。
【0094】
また、上述の積層型フィルムコンデンサ100,400(或いは、コンデンサモジュール200,500)を配列することにより、開口を有する6角形のコンデンサモジュール集合体300を形成する例を示したが、任意のn角形のコンデンサモジュール集合体を形成可能である。この場合、上述の積層型フィルムコンデンサ100、400(或いは、コンデンサモジュール200,500)の、辺ADの延長線と辺BCの延長線との交差角が、360°/nとなるように構成すればよい。例えば、交差角を30°(n=12)にすることで、開口が形成された、12角形のコンデンサモジュール集合体300を形成することができる。また、差角を、120°(n=3)にすることで、3角形のコンデンサモジュール集合体300を形成することができる。
【0095】
また、各実施の形態では、正多角形を構成したコンデンサモジュール集合体300,600を例示したが、これに限られるものではない。コンデンサモジュール集合体300,600は、リング状であれば、正多角形である必要はない。また、積層型フィルムコンデンサ100,400の平面形状も、他の積層型フィルムコンデンサ100,400と組み合わせてリング状を形成可能であれば、任意である。
【0096】
また、実施の形態1では、第1の配線32と第1の外部電極端子30aとの接続、および、第2の配線33と第2の外部電極端子31aとの接続は、溶接であった。また、実施の形態2では、第1の配線61と第1の外部電極端子47aとの接続、および、第2の配線62と第2の外部電極端子48aとの接続は、溶接であったが、これに限られるものではない。即ち、第1の配線32と第1の外部電極端子30aとの接続、および、第2の配線33と第2の外部電極端子31aとの接続は、例えば、ネジ止めであってもよい。同様に、第1の配線61と第1の外部電極端子47aとの接続、および、第2の配線62と第2の外部電極端子48aとの接続は、例えば、ネジ止めであってもよい。このようにネジ止めを採用することで、コンデンサの部分的な交換を更に容易できる。
【0097】
本発明は、本発明の広義の思想と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態および変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。即ち、本発明の範囲は、上述した実施の形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして、請求の範囲内およびそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。