特許第5975070号(P5975070)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5975070
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】電気接続箱
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/16 20060101AFI20160809BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20160809BHJP
   H05K 7/06 20060101ALI20160809BHJP
   H01R 4/58 20060101ALI20160809BHJP
   H01R 4/38 20060101ALI20160809BHJP
【FI】
   H02G3/16
   B60R16/02 610A
   H05K7/06 C
   H01R4/58 C
   H01R4/38 C
   H01R4/38 B
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-145984(P2014-145984)
(22)【出願日】2014年7月16日
(65)【公開番号】特開2016-25673(P2016-25673A)
(43)【公開日】2016年2月8日
【審査請求日】2016年5月20日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山根 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 慶一
(72)【発明者】
【氏名】小林 健人
(72)【発明者】
【氏名】北 幸功
(72)【発明者】
【氏名】大井 智裕
(72)【発明者】
【氏名】愛知 純也
【審査官】 久保 正典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−031293(JP,A)
【文献】 特開2004−327185(JP,A)
【文献】 特開2011−076886(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/16
B60R 16/02
H01R 4/38
H01R 4/58
H05K 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バスバーと、
前記バスバーが固定されるケースと、
前記バスバーに接続される端子と、
前記端子と前記バスバーとの接続部を固定する固定部材と、
前記固定部材を保持する台部材とを備え、
前記固定部材と前記台部材とは、前記バスバーの接続部と重なる位置に配され、前記端子と前記バスバーとの接続部を固定すると、前記台部材が前記バスバーと接触する方向へ移動する電気接続箱。
【請求項2】
前記ケースは熱伝導性材料からなる放熱部材である請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記端子には電子部品が接続されている請求項1または請求項2に記載の電気接続箱。
【請求項4】
前記電子部品はコイルである請求項3に記載の電気接続箱。
【請求項5】
前記端子には配線部材が接続されている請求項1または請求項2に記載の電気接続箱。
【請求項6】
前記配線部材は電線である請求項5に記載の電気接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等に搭載される電気接続箱としては、例えば特許文献1に記載のものなどが知られている。この電気接続箱においては、Z字状に折り曲げたバスバーの一端部を放熱板に接触させるとともに、他端部をコイルに接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−99071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の電気接続箱においては、バスバーの位置が、放熱板との接触部の位置、およびコイルとの接続部の位置により規定される。ここでバスバーの放熱板との接触部を規定位置とした場合、たとえばバスバーのコイルとの接続部が規定位置よりも高ければ、バスバーが下方に押されて変形し、コイルと接触不良を起こし電気的接続信頼性が低下したり、温度上昇が発生する懸念がある。一方、規定位置よりも低ければ、バスバーが放熱板面から離れてバスバー上の部品の温度が上昇し動作不良となるおそれがあった。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、バスバーとバスバーに接続される部材との接触不良を防止し電気的な接続信頼性を高めた電気接続箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、バスバーと、前記バスバーが固定されるケースと、前記バスバーに接続される端子と、前記端子と前記バスバーとの接続部を固定する固定部材と、前記固定部材を保持する台部材とを備え、前記固定部材と前記台部材とは、前記バスバーの接続部と重なる位置に配され、前記端子と前記バスバーとの接続部を固定すると、前記台部材が前記バスバーと接触する方向へ移動する電気接続箱である。
【0007】
本発明において、固定部材と台部材とをバスバーの接続部と重なる位置に配したのちに端子とバスバーとの接続部を固定すると、固定部材と台部材とが、バスバーと接触する方向へ移動した後、バスバーと接触する。したがって、本発明によれば、バスバーとバスバーが接続される端子との接触状態が安定するのでバスバーとバスバーに接続される部材との接触不良および接触不良に伴う接点の温度上昇を防止し、電気的な接続信頼性を高めた電気接続箱を提供することができる。
【0008】
本発明は以下の構成であってもよい。
前記ケースは熱伝導性材料からなる放熱部材であってもよい。
このような構成とすると、ケースが放熱部材の機能を有するので、バスバーにおいて発生する熱が放熱部材を介してケース外に排出され放熱性が高まる。
【0009】
前記端子には電子部品が接続されていてもよい。
このような構成とすると、電子部品が接続される端子とバスバーとの電気的な接続信頼性を高めることができる。
【0010】
前記電子部品はコイルであってもよい。
このような構成とすると、コイルの発熱がバスバーに伝導するので、電気接続箱の温度上昇を防止することができる。
【0011】
前記端子には配線部材が接続されていてもよい。
このような構成とすると、配線部材が接続される端子とバスバーとの電気的な接続信頼性を高めることができる。
【0012】
前記配線部材は電線であってもよい。
このような構成とすると、電線と接続される端子とバスバーとの電気的な接続信頼性を高めることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、バスバーとバスバーに接続される部材との接触不良を防止し電気的な接続信頼性を高めた電気接続箱を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態1の電気接続箱の一部斜視図
図2】電気接続箱の一部側面図
図3図2のA−A線における一部断面図
図4図3で示した部分を枠体(ケース)に収容した状態を示す一部断面図
図5】枠体に収容した状態の電気接続箱の一部平面図
図6図5のB−B線における一部断面図
図7図5のC−C線における一部断面図
図8】固定部材により固定した後の一部断面図
図9図6のD−D線における一部断面図
図10】固定部材を取り付けた台部材の平面図
図11】固定部材を取り付けた台部材の側面図
図12図10のE−E線における断面図
図13】台部材の平面図
図14図13のF−F線における断面図
図15】実施形態2の電気接続箱の一部斜視図
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図14によって説明する。
本実施形態の電気接続箱10は、バスバー11と、バスバー11が固定されるケース15と、バスバー11に接続される端子32と、端子32とバスバー11との接続部11Aとを固定する固定部材25と、固定部材25を係止する台座部21を有する台部材20(固定部材を保持する台部材の一例)と、を備える。
【0016】
(バスバー11)
バスバー11は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属製板材を図3に示すように屈曲させてなる。バスバー11の一端部はコイル30(電子部品の一例)の端子32と接続される接続部11Aである。一方、バスバー11の他端部は、図1に示すように、回路基板13の裏面に接着シート(図示せず)を介して接着されるとともに、絶縁材(図示せず)を介して放熱部材16(ケース15の一例)の表面に接触するように固定されている。バスバー11の接続部11Aは、コイル30の端子32と、台部材20の台座部21との間に配されている。バスバー11の接続部11Aには、台部材20に取り付けられた固定部材25を挿通可能な固定部材挿入孔12が貫通して形成されている。回路基板13にはプリント配線技術により図示しない導電路が形成されるとともに、その表面側(図1における上面側)には、図1に示すように、トランジスタなどの電子部品14が実装されている。
【0017】
(ケース15)
ケース15は、図7に示すように、コイル30および台部材20が載置される放熱部材16と、枠状をなす枠体18と、枠体18の上方に配されるカバー(図示せず)と、を備える。放熱部材16は熱伝導性材料からなり、放熱部材16の下側面には多数の放熱フィン17が形成されている。枠体18は、図5および図9に示すように、放熱部材16の上に載置された部材の周縁に配されている。
【0018】
(コイル30)
コイル30は、図8に示すように、上下に配された2つのコイル保持部31の間で上下方向に移動可能に保持されている。コイル30の端部は、図1および図5に示すように、交差するように配され、台部材20に取り付けられた固定部材25を挿通可能な固定部材挿通孔33が貫通して形成された端子32として機能する。端子32の固定部材挿通孔33はバスバー11の接続部11Aに設けた固定部材挿入孔12と重なり合うように配される。
【0019】
(固定部材25)
固定部材25は図7に示すように、ボルト状をなすボルト部26とボルト部26に螺合するナット部29とを有する。ボルト部26は、頭部27を下方に配して足部28が台部材20の上方から突出するように取り付けられる。ボルト部26の足部28にはねじ部28Aが形成されており、このねじ部28Aにはナット部29が螺合するようになっている。ボルト部26の足部28には、バスバー11の固定部材挿入孔12および端子32の固定部材挿通孔33が挿通される。ボルト部26の頭部27は段差状をなしており、頭部27の上面はバスバーの下面と当接する台座27Aである(図7を参照)。頭部27の台座27Aよりも下方のフランジ部27Bは、ボルト部26の頭部27へのナット部29の螺合が完了すると台部材20の台座部21の下側面と接触するようになっている。
【0020】
(台部材20)
台部材20は、図11図14に示すように、固定部材25を保持する固定部材保持部22と、端子32とバスバー11とを固定する台座部21とを有する。固定部材保持部22には、固定部材25が挿入される固定部材挿入部23と固定部材25を係止する係止片24が設けられている。固定部材挿入部23は図13に示すように台部材20の側面から上面の一部を切り欠くことにより形成されている。
【0021】
(本実施形態の作用)
次に、本実施形態の作用について説明する。
台部材20の固定部材挿入部23に、図14における左側から固定部材25を挿入すると、固定部材25と係止片24に設けた係止突部24Aとが当接して係止片24が下方に撓み変形する。固定部材25の頭部27が固定部材保持部22内に収容されると係止片24が弾性復帰して、固定部材25の頭部27が固定部材保持部22に係止されるとともに固定部材25の足部28が台座部21から上方に突出した状態となって保持される(図12を参照)。
【0022】
次に、台座部21から上方に突出した足部28にバスバー11および端子32を順に重ねて取り付ける。具体的には、図7に示すように、固定部材25の足部28をバスバー11の固定部材挿入孔12と端子32の固定部材挿通孔33に挿通させる。バスバー11および端子32を取り付けた足部28にナット部29を螺合させることにより端子32とバスバー11の接続部11Aとを固定部材25の台座27Aに固定する。ボルト部26の頭部27のフランジ部27Bと台部材20とが当接した後、さらにナット部29を螺合させると、固定部材25(ボルト部26の頭部27)と台部材20(の台座部21)がバスバー11と接触する方向(上方向)へ移動し、図8に示すように台座部21とバスバー11(の接続部11A)とが接触する。
ここで、台座部21の上側面は固定部材25の台座27A面と同等以下に設定されているので、バスバー11の下側面と台部材20の台座部21の上側面とが面接触するとともに、バスバー11の下側面とボルト部26の台座27Aとが面接触する。さらに、端子32の下側面はバスバー11の上面と面接触し、台部材20の台座部21の下側面とボルト部26のフランジ部27Bとが面接触する。
【0023】
(本実施形態の効果)
以下本実施形態の効果について説明する。
本実施形態において、固定部材25(ボルト部26の頭部27およびナット部29)と台部材20の台座部21とを、バスバー11の接続部11Aと重なる位置に配したのちに端子32とバスバー11との接続部11Aを固定すると、固定部材25と台座部21がバスバー11と接触する方向へ移動した後、バスバー11と接触する。したがって、本実施形態によれば、バスバー11とバスバー11が接続される端子32との接触状態が安定するのでバスバー11とバスバー11に接続される端子32との接触不良および接触不良に伴う接点の温度上昇を防止し、電気的な接続信頼性を高めた電気接続箱10を提供することができる。
【0024】
特に本実施形態によれば、端子32とバスバー11の接続部11A、バスバー11の接続部11Aと台部材20、バスバー11の接続部11Aとボルト部の頭部27の台座27A、台部材20とボルト部の頭部のフランジ部27Bとがそれぞれ面接触しているので、電気的な接続信頼性を確実に高めることができる。
【0025】
また、本実施形態によれば、ケース15は熱伝導性材料からなる放熱部材16であるから、ケース15が放熱機能を有し部品点数を削減することができるうえに、バスバー11において発生する熱が放熱部材16を介してケース15外に排出されるので、放熱性が高まる。
【0026】
また、本実施形態によれば、端子32にはコイル30が接続されているから、コイル30の発熱がバスバー11に伝導するので電気接続箱10の温度上昇を防止することができる。
特に、本実施形態によれば、コイル30の端部が端子32として機能するので、コイル30に別途端子を取り付ける必要がない。
【0027】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図15によって説明する。
本実施形態の電気接続箱40は、端子41に接続されている部材が電線46(配線部材の一例)であるという点で実施形態1と相違する。実施形態1と同様の構成については同じ符号を付し重複した説明は省略する。
バスバー11の接続部11Aに接続される端子41は、バスバー11に重ねられるバスバー接続部43と、電線46が接続される電線接続部44とを備える。
端子41のバスバー接続部43には略円形をなし固定部材25のボルト部26が挿入される固定部材挿入孔42が設けられている。電線接続部44は電線46の端末に圧着されるようになっており、バスバー接続部43と連なっている。
電線46は導体48を絶縁樹脂製の絶縁被覆47により被覆してなる電線46であって、端子41と接続される端末においては絶縁被覆47の剥離除去により導体48が露出している。その他の構成はおおむね実施形態1と同様である。
本実施形態によっても、電気的な接続信頼性を高めた電気接続箱40を提供することができる。また、本実施形態においても、端子41とバスバー11、バスバー11と台部材20、バスバー11とボルト部26の頭部27の台座27A、台部材20とボルト部26の頭部27のフランジ部27Bとがそれぞれ面接触しているので、電気的な接続信頼性を確実に高めることができる。
【0028】
また、本実施形態によれば、端子41には電線46が接続されているから、電線46と接続される端子41とバスバー11との電気的な接続信頼性を高めることができる。
【0029】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、ケース15は熱伝導性材料からなる放熱部材16である例を示したが、放熱部材を備えない構成であってもよいし放熱部材とは別にケースを備えていてもよい。
(2)上記実施形態では、端子32にコイル30が接続される例を示したが、端子32にはコイル30以外の電子部品が接続されていてもよい。また、上記実施形態では、コイル30の端部が端子32として機能する例を示したが、コイルとは別体の端子を備える構成であってもよい。
(3)上記実施形態ではバスバー11が回路基板13に接続された構成のものを示したが、回路基板を備えないものであってもよい。
(4)上記実施形態では端子41に電線46が接続される例を示したが、端子41には電線以外の配線部材が配されていてもよい。
(5)上記実施形態では、バスバー11の下側面と台部材20の台座部21の上側面が面接触する構成を示したが、台座部の上側面が固定部材の台座よりも突出している場合等のようにバスバーと台部材の台座部とが接触しない構成であってもよい。また固定部材として台座を有さない構成のものを用いてもよい。
【符号の説明】
【0030】
10,40…電気接続箱
11…バスバー
11A…バスバーの接続部
13…回路基板
15…ケース
16…放熱部材(ケース)
17…放熱フィン
18…枠体
20…台部材
21…台座部
22…固定部材保持部
25…固定部材
26…ボルト部
27…頭部
28…足部
28A…ねじ部
29…ナット部
30…コイル(電子部品)
32,41…端子
46…電線(配線部材)
47…絶縁被覆
48…導体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15