(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段は、前記複数の無線通信装置のそれぞれのデータ通信量に基づいて、前記複数の高周波信号の周波数、及び、前記複数の帯域幅、の少なくとも何れかを制御する、請求項18に記載の無線通信システム。
前記制御手段は、前記複数の無線通信装置のうちデータ通信量が所定値以上の無線通信装置に対して割り当てられている前記高周波信号の周波数を、前記複数の無線通信装置のうちデータ通信量が所定値未満の無線通信装置に対して割り当てられている前記高周波信号の周波数に切り替える、請求項18又は19に記載の無線通信システム。
前記制御手段は、前記複数の無線通信装置のうちデータ通信量が所定値以上の無線通信装置に対して割り当てられている前記高周波信号の周波数を、前記複数の無線通信装置の何れにも割り当てられていない周波数に切り替える、請求項18又は19に記載の無線通信システム。
前記制御手段は、前記複数の無線通信装置のうちデータ通信量が所定値以上の無線通信装置に対して割り当てられている帯域幅を広くするとともに、前記複数の無線通信装置のうちデータ通信量が所定値未満の無線通信装置に対して割り当てられている帯域幅を狭くする、請求項18〜21の何れか一項に記載の無線通信システム。
複数の前記無線通信装置のそれぞれに対して割り当てられる複数の前記高周波信号の周波数、及び、前記複数の無線通信装置のそれぞれに対して割り当てられる複数の帯域幅の、少なくとも何れかを制御する、請求項24に記載の無線通信装置の制御方法。
前記複数の無線通信装置のうちデータ通信量が所定値以上の無線通信装置に対して割り当てられている前記高周波信号の周波数を、前記複数の無線通信装置のうちデータ通信量が所定値未満の無線通信装置に対して割り当てられている前記高周波信号の周波数に切り替える、請求項25又は26に記載の無線通信装置の制御方法。
前記複数の無線通信装置のうちデータ通信量が所定値以上の無線通信装置に対して割り当てられている前記高周波信号の周波数を、前記複数の無線通信装置の何れにも割り当てられていない周波数に切り替える、請求項25又は26に記載の無線通信装置の制御方法。
前記複数の無線通信装置のうちデータ通信量が所定値以上の無線通信装置に対して割り当てられている帯域幅を広くするとともに、前記複数の無線通信装置のうちデータ通信量が所定値未満の無線通信装置に対して割り当てられている帯域幅を狭くする、請求項25〜28の何れか一項に記載の無線通信装置の制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について説明する。なお、図面は簡略的なものであるから、この図面の記載を根拠として実施の形態の技術的範囲を狭く解釈してはならない。また、同一の要素には、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0013】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、応用例、詳細説明、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0014】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(動作ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数等(個数、数値、量、範囲等を含む)についても同様である。
【0015】
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1にかかる無線通信装置の概略を示すブロック図である。本実施の形態にかかる無線通信装置は、高周波信号に含まれる振幅信号γを、高周波信号に含まれる位相信号θに同期してΔΣ変調する位相同期型ΔΣ変調器を備える。それにより、本実施の形態にかかる無線通信装置1は、スイッチングアンプ121に設けられたスイッチ素子のオンオフ遷移時の出力電流を少なくすることができるため、消費電力を低減することができる。以下、具体的に説明する。
【0016】
図1に示す無線通信装置1は、ベースバンド処理部11と、張り出し無線部12と、ベースバンド処理部11と張り出し無線部12とを接続する光ケーブル13と、アンテナ14と、を備える。なお、ベースバンド処理部11と張り出し無線部12とは分離して形成されており、光ケーブル13を介して信号の受け渡しが行われる。
【0017】
(ベースバンド処理部11)
ベースバンド処理部11は、位相同期型ΔΣ変調器111を備える。位相同期型ΔΣ変調器111は、ベースバンド信号を変調することで生成された高周波信号をΔΣ変調し、ΔΣ変調信号として出力する。
【0018】
(位相同期型ΔΣ変調器111)
位相同期型ΔΣ変調器111は、振幅検出器1111と、位相検出器1112と、パルス位相信号生成器1113と、ΔΣ変調器1114と、混合器(ミキサ)1115と、を備える。
【0019】
(振幅検出器1111)
振幅検出器1111は、ベースバンド処理部11にて生成された高周波信号に含まれる振幅信号γを検出する。以下、具体例を用いて詳細に説明する。
【0020】
図2は、振幅検出器1111の具体的構成の一例を示す図である。
図2に示す振幅検出器1111は、ダイオードD1と、抵抗素子R1と、コンデンサC1と、を有する。ダイオードD1は、入力電圧の2乗に比例した電流を出力する。したがって、ダイオードD1は、高周波信号の振幅値が大きいほど、時間平均値の大きな電流を出力する。ダイオードD1の後段に設けられた抵抗素子R1及びコンデンサC1は、フィルタ回路を構成しており、ダイオードD1の出力電流に含まれるDC成分のみを取り出す。このDC成分はダイオードD1の出力電流の時間平均値に等しい。したがって、高周波信号の振幅値が大きくなるほど、DC成分は大きくなる。換言すると、ダイオードD1に入力される高周波信号の振幅値とダイオードD1の出力電流のDC成分とは、単調増加の関係にあり、かつ、1対1の関係にある。このため、ダイオードD1の出力電流のDC成分から高周波信号の振幅値の情報を抽出することが可能である。
【0021】
(位相検出器1112)
位相検出器1112は、ベースバンド処理部11にて生成された高周波信号に含まれる位相信号θを検出する。以下、具体例を用いて詳細に説明する。
【0022】
図3は、位相検出器1112の具体的構成の一例を示す図である。
図3に示す位相検出器1112は、コンパレータCMP1を有する。コンパレータCMP1は、入力信号が正の値の場合にHレベルの出力信号を生成し、入力信号が負の値の場合にLレベルの出力信号を生成する。ここで、高周波信号は、位相が0°〜180°の場合に正の値を示し、位相が180°〜360°の場合に負の値を示す。したがって、コンパレータCMP1は、高周波信号の位相が0°〜180°の場合にHレベルの出力信号を生成し、高周波信号の位相が180°〜360°の場合にLレベルの出力信号を生成する。
【0023】
(パルス位相信号生成器1113)
パルス位相信号生成器1113は、位相信号θに基づいてパルス波形のパルス位相信号を生成する。以下、詳細に説明する。
【0024】
位相検出器1112に設けられたコンパレータCMP1の出力波形は、理想的には矩形波となる。しかし、実際には、コンパレータCMP1の出力側には寄生的な抵抗及び容量が存在するため、コンパレータの出力波形は正弦波に近づく。そこで、パルス位相信号生成器1113は、正弦波に近づいた位相信号θを再び矩形波信号に成形する。
【0025】
パルス位相信号生成器1113は、位相検出器1112と同様に、コンパレータのみを有する構成であってもよいが、寄生パラメータにより矩形波が正弦波に戻ることを避けるため、当該コンパレータの後段に高い利得のアンプをさらに有するのが好ましい。それにより、パルス位相信号生成器1113は、正弦波に近づいた位相信号θを再び矩形波信号に成形することが可能となる。
【0026】
(ΔΣ変調器1114)
ΔΣ変調器1114は、振幅信号γをパルス位相信号に同期してΔΣ変調する。以下、詳細に説明する。
【0027】
ΔΣ変調器1114は、パルス位相信号生成器1113からの信号周期を持ってサンプリング動作する。したがって、ΔΣ変調器1114は、振幅検出器1111からの振幅情報の持つ周波数成分より高い周波数でサンプリング動作し、入力信号が有する多ビット情報を1ビット情報に変換して出力する。なお、ΔΣ変調器1114で発生する量子化雑音は、ナイキスト周波数で最も高くなり、周波数が低くなるほど小さくなる性質がある。
【0028】
ΔΣ変調器1114を入力信号の周波数よりも高い周波数で動作させることにより、入力信号をナイキスト周波数よりも十分低い周波数領域に押し込めることが可能である。このように、ΔΣ変調器1114を入力信号の周波数よりも高い周波数で動作させることにより、入力信号が量子化雑音の影響を受けにくくなる。
【0029】
(混合器1115)
混合器1115は、ΔΣ変調器1114の出力信号とパルス位相信号とを混合してΔΣ変調信号を生成する。以下、具体例を用いて詳細に説明する。
【0030】
図4は、混合器1115の具体的構成の一例を示す図である。
図4に示す混合器1115は、論理積回路AND1を有する。論理積回路AND1は、Σ変調器1114の出力信号がHレベルの場合、パルス位相信号をそのままΔΣ変調信号として出力し、ΔΣ変調器1114の出力信号がLレベルの場合、パルス位相信号に関わらずLレベルのΔΣ変調信号を出力する。
【0031】
ベースバンド処理部11は、位相同期型ΔΣ変調器111から出力されたΔΣ変調信号を光信号に変換した後、光ケーブル13を介して張り出し無線部12に伝送する。
【0032】
(張り出し無線部12)
張り出し無線部12は、ベースバンド処理部11から光ケーブル13を介して伝送された光信号をΔΣ変調信号に変換した後、当該ΔΣ変調信号を増幅してアンテナ14から無線送信する。張り出し無線部12は、ΔΣ変調信号を増幅するスイッチングアンプ121を備える。
【0033】
(スイッチングアンプ121)
図5は、スイッチングアンプ121の具体的構成の一例を示す図である。
図5に示すスイッチングアンプ121は、所謂D級アンプであって、ハイサイドゲート(スイッチ素子)100−1と、ローサイドゲート(スイッチ素子)100−2と、ハイサイドゲート100−1を駆動するハイサイドドライバ(ハイサイドアンプ)200−1と、ローサイドゲート100−2を駆動するローサイドドライバ(ローサイドアンプ)200−2と、を備える。本実施の形態では、ハイサイドゲート100−1及びローサイドゲート100−2がいずれもデプレッション型のNチャネル電界効果トランジスタである場合を例に説明する。
【0034】
ハイサイドゲート100−1では、ドレインが電源101−1に接続され、ソースが出力端子(外部出力端子)OUTに接続され、ゲートにハイサイドドライバ200−1の出力(第1制御信号)が供給される。本実施の形態では、電源101−1が30Vの電源電圧を生成する場合を例に説明する。ローサイドゲート100−2では、ドレインが出力端子OUTに接続され、ソースがグランド(0V)に接続され、ゲートにローサイドドライバ200−2の出力(第2制御信号)が供給される。
【0035】
ハイサイドゲート100−1は、ハイサイドドライバ200−1から出力された第1制御信号に基づいてオンオフする。ローサイドゲート100−2は、ローサイドドライバ200−2から出力された第2制御信号に基づいてハイサイドゲート100−1と相補的にオンオフする。そして、スイッチングアンプ121aは、ハイサイドゲート100−1とローサイドゲート100−2との間のノード(出力端子OUT)から、ΔΣ変調信号の値に応じた電圧レベル(30V又は0V)の増幅信号を出力する。つまり、スイッチングアンプ121は、ΔΣ変調信号のパルス波形を維持しつつ電力増幅する。
【0036】
(タイミングチャート)
図6は、無線通信装置1の動作を示すタイミングチャートである。具体的には、
図6には、位相検出器1112から出力された位相信号θ、パルス位相信号生成器1113から出力されたパルス位相信号、ΔΣ変調器1114の出力信号(パルス振幅信号)、混合器1115の出力信号、及び、スイッチングアンプ121の出力電流が示されている。
【0037】
混合器1115の出力信号(ΔΣ変調信号)の状態遷移点(即ち、立ち上がりエッジ、立ち下りエッジ)は、パルス位相信号の状態遷移点と一致する。また、パルス位相信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジは、それぞれ位相信号θの0°及び180°に一致する。したがって、混合器1115の出力信号(ΔΣ変調信号)の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジは、高周波信号の位相0°及び180°に一致する。
【0038】
スイッチングアンプ121は、入力信号と等しいパルス波形の出力信号を生成する。ここで、スイッチングアンプ121からフィルタ(不図示)に供給される電流は、スイッチングアンプ121の出力信号に包含される高周波信号成分(電圧)を負荷(アンテナ14)の抵抗値で割った値に近似的に等しい。即ち、スイッチングアンプ121からフィルタ(不図示)に供給される電流の波形と、高周波信号の波形と、は等しくなる。換言すると、スイッチングアンプ121の出力電流の位相と高周波信号の位相とは一致する。
【0039】
スイッチングアンプ121を構成するハイサイドゲート100−1及びローサイドゲート100−2のオンオフ遷移点は、混合器1115の出力信号(ΔΣ変調信号)の状態遷移点と一致することを考慮すると、ハイサイドゲート100−1及びローサイドゲート100−2のオンオフ遷移点におけるスイッチングアンプ121の出力電流の位相は0°又は180°である。即ち、ハイサイドゲート100−1及びローサイドゲート100−2のオンオフ遷移点においては、出力電流は瞬間的にゼロとなる。
【0040】
このように、本実施の形態にかかる無線通信装置1は、高周波信号に含まれる振幅信号γを、高周波信号に含まれる位相信号θに同期してΔΣ変調する位相同期型ΔΣ変調器を備える。それにより、本実施の形態にかかる無線通信装置1は、スイッチングアンプ121に設けられたスイッチ素子のオンオフ遷移時の出力電流を少なくすることができるため、消費電力を低減することができる。
【0041】
さらに、本実施の形態にかかる無線通信装置1は、位相同期型ΔΣ変調器111を張り出し無線部12ではなくベースバンド処理部11内に備えている。それにより、本実施の形態にかかる無線通信装置1は、張り出し無線部12を小型化することができる。
【0042】
なお、本実施の形態では、ΔΣ変調器1114が2個の出力値(H,L)を有する出力信号を生成する場合を例に説明したが、これに限られない。ΔΣ変調器1114は、3個以上の出力値を有する出力信号を生成する構成に適宜変更可能である。また、ΔΣ変調器1114は、外部制御信号に応じた数の出力値を有する出力信号を生成する構成にも適宜変更可能である。この場合、スイッチングアンプ121は、ΔΣ変調信号の値に応じた電圧レベルの増幅信号を出力する。
【0043】
(無線通信装置1の具体的構成例)
図7は、無線通信装置1の詳細を示すブロック図である。なお、
図7に示す無線通信装置1は、一例にすぎず趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更されてもよい。
図7に示す無線通信装置1は、
図1でも既に説明したように、ベースバンド処理部11と、張り出し無線部12と、ベースバンド処理部11と張り出し無線部12とを接続する光ケーブル13と、アンテナ14と、を備える。なお、ベースバンド処理部11と張り出し無線部12とは分離して形成されており、光ケーブル13を介して信号の受け渡しが行われる。
【0044】
ベースバンド処理部11は、ベースバンド制御部(BB)112と、変調器(MOD)113と、多重化器(MUX)114と、フィルタ(Filter)115と、ピーク抑制器(Peak Red)116と、位相同期型ΔΣ変調器(PMC DMS)111と、SerDes部117と、OE変換部(第1OE変換部)118と、復調器(DEM)119と、を備える。
【0045】
張り出し無線部12は、OE変換部(第2OE変換部)122と、SerDes部123と、スイッチングアンプ(SW AMP)121と、フィルタ(帯域通過フィルタ)124と、低雑音増幅器(LNA)125と、混合器126と、ADコンバータ(ADC)127と、自動利得制御フィルタ(Filter AGC)128と、分離器(DEMUX)129と、を備える。
【0046】
まず、
図7に示す無線通信装置1の送信動作について簡単に説明する。
ベースバンド処理部11において、ベースバンド制御部112は、ベースバンド信号を生成する。変調器113は、ベースバンド信号を変調して高周波信号として出力する。多重化器114は、高周波信号を多重化して出力する。フィルタ115は、多重化器114の出力の中から所望の周波数帯域のみを通過させる。ピーク抑制器116は、フィルタ115の出力の中から閾値電圧以上のものを抑圧して出力する。位相同期型ΔΣ変調器111は、多重化器114、フィルタ115及びピーク抑制器116を経由して変調器113から供給された高周波信号を、ΔΣ変調信号に変換して出力する。SerDes部117は、ΔΣ変調信号をシリアライズする。OE変換部118は、SerDes部117から出力されたΔΣ変調信号(電気信号)を光信号に変換する。この光信号は、光ケーブル13を介して、張り出し無線部12に伝送される。この場合の光信号は、前述した位相同期ΔΣ変調波であるためサンプリング周波数は高周波信号周波数と一致している。
【0047】
張り出し無線部12において、OE変換部122は、ベースバンド処理部11から光ケーブル13を介して伝送された光信号をΔΣ変調信号(電気信号)に変換する。SerDes部123は、ΔΣ変調信号をデシリアライズする。スイッチングアンプ121は、SerDes部123から出力されたΔΣ変調信号のパルス波形を維持しつつ電力増幅する。フィルタ124は、高周波信号の周波数帯域に一致した通過帯域を有し、スイッチングアンプ121の出力信号に包含される高周波信号成分のみを選択的に通過させる。フィルタ124の後段にはアンテナ(負荷)14が接続され、これにより高周波信号が再生される。再生された高周波信号は、アンテナ14から空中に放射される(即ち、無線送信される)。
【0048】
次に、
図7に示す無線通信装置1の受信動作について簡単に説明する。
張り出し無線部12において、低雑音増幅器125は、アンテナ14によって受信された高周波信号を低雑音で増幅する。混合器126は、低雑音増幅器125の出力信号をダウンコンバート(周波数変換)する。ADコンバータ127は、混合器126の出力信号(アナログ信号)をデジタル信号に変換する。自動利得制御フィルタ128は、ADコンバータ127の出力信号に対してインタポレーション(interpolation)やデシメーション(decimation)といったフィルタリング処理を行う。分離器129は、自動利得制御フィルタ128の出力信号を分離化して出力する。SerDes部123は、分離器129の出力信号をシリアライズする。OE変換部122は、SerDes部123の出力信号(電気信号)を光信号に変換する。この光信号は、光ケーブル13を介して、ベースバンド処理部11に伝送される。
【0049】
ベースバンド処理部11において、OE変換部118は、張り出し無線部12から光ケーブル13を介して伝送された光信号を電気信号に変換する。SerDes部117は、この電気信号をデシリアライズする。復調器119は、SerDes部117の出力信号を復調してベースバンド信号として出力する。復調器119から出力されたベースバンド信号はベースバンド制御部112に供給される。
【0050】
次に、
図8〜
図10を参照して、
図7に示す無線通信装置1の変形例を説明する。
【0051】
(無線通信装置1の第1変形例)
図8は、
図7に示す無線通信装置1の第1変形例を無線通信装置1aとして示す図である。
図8に示す無線通信装置1aは、
図7に示す無線通信装置1と比較して、位相同期型ΔΣ変調器111をベースバンド処理部11ではなく張り出し無線部12内に備える。具体的には、位相同期型ΔΣ変調器111は、スイッチングアンプ121の直前に設けられる。
図8に示す無線通信装置1aのその他の構成及び動作については、
図7に示す無線通信装置1と同様であるため、その説明を省略する。
【0052】
このように、位相同期型ΔΣ変調器111が張り出し無線部12内に設けられた場合でも、消費電力は低減される。ただし、位相同期型ΔΣ変調器111がベースバンド処理部11内に設けられた場合のほうが張り出し無線部12の小型化に有利である。
【0053】
(無線通信装置1の第2変形例)
無線通信装置1の第2変形例として、フィルタ124を可変フィルタに置き換えてもよい。可変フィルタ124は、複数の通過帯域のうち何れかの通過帯域に切り替え可能なフィルタ、又は、通過帯域を変更可能なフィルタである。
【0054】
ベースバンド処理部11に設けられた位相同期ΔΣ変調器111のサンプリング周波数の変更に伴って、張り出し無線部12に設けられた可変フィルタ124の通過帯域の周波数を変更することが可能になるため、ベースバンド処理部11は、直接、無線周波数を発生及び制御することが可能になる。
【0055】
(無線通信装置1の第3変形例)
図9は、
図7に示す無線通信装置1の第3変形例を無線通信装置1bとして示す図である。
図9に示す無線通信装置1bは、
図7に示す無線通信装置1と比較して、OE変換部118,122を備えず、かつ、光ケーブル13に代えてイーサネットケーブル13aを備える。
図9に示す無線通信装置1bのその他の構成及び動作については、
図7に示す無線通信装置1と同様であるため、その説明を省略する。
【0056】
イーサネットケーブル13aは、ベースバンド処理部11から出力されたΔΣ変調信号をイーサネット(登録商標)規格で張り出し無線部12に伝送する。
図9に示す無線通信装置1bは、
図7に示す無線通信装置1と同等の効果を奏することができる。
【0057】
(無線通信装置1の第4変形例)
図10は、
図7に示す無線通信装置1の第4変形例を無線通信装置1cとして示す図である。
図10に示す無線通信装置1cは、
図7に示す無線通信装置1と比較して、光ケーブル13に代えて無線でベースバンド処理部11から張り出し無線部12にΔΣ変調信号を伝送する。
【0058】
ベースバンド処理部11は、OE変換部118に代えて、無線送受信用の回路(変調器211、アップコンバータ212、パワーアンプ213、フィルタ214、低雑音増幅器215、ダウンコンバータ216、及び、復調器217)を備える。張り出し無線部12は、OE変換部122に代えて、無線送受信用の回路(フィルタ221、低雑音増幅器222、ダウンコンバータ223、復調器224、変調器225、アップコンバータ226、パワーアンプ227)を備える。ベースバンド処理部11と張り出し無線部12との間の無線での送受信方法については、一般的な方法が用いられているため、詳細な説明を省略する。
【0059】
図10に示す無線通信装置1cは、
図7に示す無線通信装置1と同等の効果を奏することができる。
【0060】
次に、
図11〜
図16を参照して、スイッチングアンプ121の変形例を説明する。
【0061】
(スイッチングアンプ121の第1変形例)
図11は、スイッチングアンプ121の第1変形例をスイッチングアンプ121aとして示す図である。なお、
図11には、フィルタ124及び負荷(アンテナ)14も示されている。
【0062】
スイッチングアンプ121aは、ハイサイドゲート(スイッチ素子)100−1と、ローサイドゲート(スイッチ素子)100−2と、ハイサイドゲート100−1を駆動するハイサイドドライバ(ハイサイドアンプ)200−1と、ローサイドゲート100−2を駆動するローサイドドライバ(ローサイドアンプ)200−2と、を備える。本実施の形態では、ハイサイドゲート100−1及びローサイドゲート100−2がいずれもデプレッション型のNチャネル電界効果トランジスタである場合を例に説明する。
【0063】
ハイサイドゲート100−1では、ドレインが電源101−1に接続され、ソースが出力端子(外部出力端子)OUTに接続され、ゲートにハイサイドドライバ200−1の出力(第1制御信号)が供給される。本実施の形態では、電源101−1が30Vの電源電圧を生成する場合を例に説明する。ローサイドゲート100−2では、ドレインが出力端子OUTに接続され、ソースがグランド(0V)に接続され、ゲートにローサイドドライバ200−2の出力(第2制御信号)が供給される。
【0064】
ハイサイドドライバ200−1は、抵抗素子(第1抵抗素子)203−1と、スイッチ素子としてのNチャネル電界効果トランジスタ(第1トランジスタ;以下、単にトランジスタと称す)201−1と、を有する。なお、抵抗素子203−1とトランジスタ201−1とにより入力スイッチングアンプが構成される。抵抗素子203−1の一端は、出力端子OUTに接続され、抵抗素子203−1の他端は、トランジスタ201−1のドレインに接続される。トランジスタ201−1では、ソース(電圧供給端子)が電源202−1に接続され、ゲートにΔΣ変調信号が供給される。そして、ハイサイドドライバ200−1は、抵抗素子203−1とトランジスタ201−1との間のノードから第1制御信号を出力する。なお、本実施の形態では、電源202−1が−5Vの電源電圧を生成する場合を例に説明する。また、本実施の形態では、抵抗素子203−1の抵抗値が2Ωである場合を例に説明する。
【0065】
ローサイドドライバ200−2は、抵抗素子203−2と、スイッチ素子としてのNチャネル電界効果トランジスタ(以下、単にトランジスタと称す)201−2と、を有する。なお、抵抗素子203−2とトランジスタ201−2とにより入力スイッチングアンプが構成される。抵抗素子203−2の一端は、電源204−2に接続され、抵抗素子203−2の他端は、トランジスタ201−2のドレインに接続される。トランジスタ201−2では、ソースが電源202−2に接続され、ゲートにΔΣ変調信号の反転信号が供給される。そして、ローサイドドライバ200−3は、抵抗素子203−2とトランジスタ201−2との間のノードから第2制御信号を出力する。なお、本実施の形態では、電源204−2が0Vの電源電圧を生成し、電源202−2が−5Vの電源電圧を生成する場合を例に説明する。また、本実施の形態では、抵抗素子203−2の抵抗値が2Ωである場合を例に説明する。
【0066】
ハイサイドゲート100−1は、ハイサイドドライバ200−1から出力された第1制御信号に基づいてオンオフする。ローサイドゲート100−2は、ローサイドドライバ200−2から出力された第2制御信号に基づいてハイサイドゲート100−1と相補的にオンオフする。そして、スイッチングアンプ121aは、ハイサイドゲート100−1とローサイドゲート100−2との間のノード(出力端子OUT)から、ΔΣ変調信号の値に応じた電圧レベルの増幅信号を出力する。
【0067】
なお、上記したように、本実施の形態では、ハイサイドゲート100−1及びローサイドゲート100−2がいずれもデプレッション型のNチャネル電界効果トランジスタである場合を例に説明している。したがって、ハイサイドゲート100−1及びローサイドゲート100−2は、例えば、ゲート−ソース間が同電位の場合にオンし、ゲート−ソース間が−5Vの場合にオフする。具体的には、ハイサイドゲート100−1は、第1制御信号が30Vの場合にオンし、−5Vの場合にオフする。ローサイドゲート100−2は、第2制御信号が0Vの場合にオンし、−5Vの場合にオフする。
【0068】
続いて、
図12A及び
図12Bを参照して、スイッチングアンプ121aの動作について説明する。
【0069】
まず、
図12Aを参照して、スイッチングアンプ121aがハイサイド側電圧(電源101−1の電源電圧30V)を出力する場合の動作について説明する。
【0070】
スイッチングアンプ121aは、ハイサイド側電圧を出力する場合、ハイサイドゲート100−1をオンし、ローサイドゲート100−2をオフする必要がある。そのため、ハイサイドドライバ200−1は、トランジスタ201−1をオフしてハイサイドゲート100−1のゲート−ソース間を同電位にすることで、ハイサイドゲート100−1をオンする。この状態では、抵抗素子203−1には電流が流れないため、ハイサイドドライバ200−1における消費電力は理想的にはゼロになる。一方、ローサイドドライバ200−2は、トランジスタ201−2をオンしてローサイドゲート100−2のゲート−ソース間を−5Vにすることで、ローサイドゲート100−2をオフする。この状態では、抵抗素子203−2に電流が流れる。このとき、抵抗素子203−2での電圧降下は5Vで、電流値は2.5Aになる。そのため、瞬間的に発生する消費電力は12.5W程度に低く抑えられる。
【0071】
次に、
図12Bを参照して、スイッチングアンプ121aがローサイド側電圧(グランドの接地電圧0V)を出力する場合の動作について説明する。
【0072】
スイッチングアンプ121aは、ローサイド側電圧を出力する場合、ローサイドゲート100−2をオンし、ハイサイドゲート100−1をオフする必要がある。そのため、ローサイドドライバ200−2は、トランジスタ201−2をオフしてローサイドゲート100−2のゲート−ソース間を同電位にすることで、ローサイドゲート100−2をオンする。この状態では、抵抗素子203−2には電流が流れないため、ローサイドドライバ200−2における消費電力は理想的にはゼロになる。一方、ハイサイドドライバ200−1は、トランジスタ201−1をオンしてハイサイドゲート100−1のゲート−ソース間を−5Vにすることで、ハイサイドゲート100−1をオフする。この状態では、抵抗素子203−1に電流が流れる。ただし、このとき、抵抗素子203−1の一端に接続された出力端子OUTが0Vであるため、抵抗素子203−1での電圧降下は5Vで、電流値は2.5Vになる。そのため、瞬間的に発生する消費電力は12.5W程度に低く抑えられる。
【0073】
このように、
図11に示すスイッチングアンプ121aは、ハイサイドゲート100−1のソース(出力端子OUT)を電源として利用することにより、抵抗素子203−1での電圧降下を小さくして消費電力を低減することができる。
【0074】
(スイッチングアンプ121の第2変形例)
図13は、スイッチングアンプ121の第2変形例をスイッチングアンプ121bとして示す図である。なお、
図13には、フィルタ124及び負荷(アンテナ)14も示されている。
【0075】
図13に示すスイッチングアンプ121bでは、
図11に示すスイッチングアンプ121aと比較して、ハイサイドドライバ200−1及びローサイドドライバ200−2の構成が異なる。
【0076】
具体的には、
図13に示すハイサイドドライバ200−1は、
図11に示すハイサイドドライバ200−1の構成に加え、複数のインバータがカスケード接続されたインバータ列(中継アンプ)205−1と、ダイオード206−1と、コンデンサ207−1と、をさらに備える。本実施の形態では、コンデンサ207−1の蓄電量が5Vである場合を例に説明する。
【0077】
インバータ列205−1は、抵抗素子203−1とトランジスタ201−1との間のノードの電圧を増幅して第1制御信号として出力する。なお、インバータ列205−1の高電位側電源端子は、ハイサイドゲート100−1のソース(出力端子OUT)に接続され、インバータ列205−1の低電位側電源端子は、ダイオード206−1のアノードに接続されている。ダイオード206−1のカソードは、抵抗素子203−1とトランジスタ201−1との間のノードに接続されている。コンデンサ207−1の一端は、インバータ列205−1の高電位側電源端子に接続され、コンデンサ207−1の他端は、インバータ列205−1の低電位側電源端子に接続されている。
【0078】
ここで、
図13に示すハイサイドドライバ200−1は、インバータ列205−1の初段のインバータのサイズを小さくすることにより、高速動作を維持しつつ抵抗素子203−1の抵抗値を大きくすることができる。抵抗素子203−1の抵抗値を大きくすれば、トランジスタ201−1がオンしているときに抵抗素子203−1に流れる電流量が少なくなるため、消費電力の増大はさらに抑制される。
【0079】
さらに、
図13に示すハイサイドドライバ200−1は、ダイオード206−1を備えることにより、ハイサイドドライバ200−1の入力端子(即ち、トランジスタ201−1のゲート)の電圧が接地電圧0Vを下回ることを回避することができる。
【0080】
なお、
図13に示すハイサイドドライバ200−1では、トランジスタ201−1がオンしている場合に、ダイオード206−1によってコンデンサ207−1への充電が行われ、トランジスタ201−1がオフしている場合に、コンデンサ207−1に蓄電された電荷によりインバータ列205−1に電力が供給される。
【0081】
一方、
図13に示すローサイドドライバ200−2は、
図11に示すローサイドドライバ200−2の構成に加え、複数のインバータがカスケード接続されたインバータ列(中継アンプ)205−2をさらに備える。また、
図13には、−5Vの電源電圧を生成する電源206−2がさらに示されている。
【0082】
インバータ列205−2は、抵抗素子203−2とトランジスタ201−2との間のノードの電圧を増幅して第2制御信号として出力する。なお、インバータ列205−2の高電位側電源端子は、グランドに接続され、インバータ列205−2の低電位側電源端子は、−5Vの電源電圧を生成する電源206−2に接続されている。
【0083】
ここで、
図13に示すローサイドドライバ200−2は、インバータ列205−2の初段のインバータのサイズを小さくすることにより、高速動作を維持しつつ抵抗素子203−2の抵抗値を大きくすることができる。抵抗素子203−2の抵抗値を大きくすれば、トランジスタ201−2がオンしているときに抵抗素子203−2に流れる電流量が少なくなるため、消費電力の増大はさらに抑制される。
【0084】
続いて、
図14A及び
図14Bを参照して、スイッチングアンプ121bの動作について説明する。
【0085】
まず、
図14Aを参照して、スイッチングアンプ121bがハイサイド側電圧(電源101−1の電源電圧30V)を出力する場合の動作について説明する。
【0086】
スイッチングアンプ121bは、ハイサイド側電圧を出力する場合、ハイサイドゲート100−1をオンし、ローサイドゲート100−2をオフする必要がある。そのため、ハイサイドドライバ200−1は、トランジスタ201−1をオフしてハイサイドゲート100−1のゲート−ソース間を同電位にすることで、ハイサイドゲート100−1をオンする。このとき、コンデンサ207−1に蓄電された5Vの電荷によりインバータ列205−1に電力が供給される。この状態では、抵抗素子203−1及びダイオード206−1には電流が流れず、また、インバータ列205−1での消費電力も状態遷移損失分(fCV^2)程度と低い。したがって、ハイサイドドライバ200−1における消費電力は低く抑えられる。一方、ローサイドドライバ200−2は、トランジスタ201−2をオンしてローサイドゲート100−2のゲート−ソース間を−5Vにすることで、ローサイドゲート100−2をオフする。この状態では、
図12Aで説明したように、抵抗素子203−2での消費電力は低く抑えられる。また、上記したように、インバータ列205−2の初段のインバータサイズを小さくして抵抗素子203−2の抵抗値を大きくすることにより、抵抗素子203−2での消費電力はさらに低く抑えられる。
【0087】
次に、
図14Bを参照して、スイッチングアンプ121bがローサイド側電圧(グランドの接地電圧0V)を出力する場合の動作について説明する。
【0088】
スイッチングアンプ121bは、ローサイド側電圧を出力する場合、ローサイドゲート100−2をオンし、ハイサイドゲート100−1をオフする必要がある。そのため、ローサイドドライバ200−2は、トランジスタ201−2をオフしてローサイドゲート100−2のゲート−ソース間を同電位にすることで、ローサイドゲート100−2をオンする。この状態では、抵抗素子203−2には電流が流れず、また、インバータ列205−2での消費電力も状態遷移損失分(fCV^2)程度と低い。したがって、ローサイドドライバ200−2における消費電力は低く抑えられる。一方、ハイサイドドライバ200−1は、トランジスタ201−1をオンしてハイサイドゲート100−1のゲート−ソース間を−5Vにすることで、ハイサイドゲート100−1をオフする。この状態では、抵抗素子203−1に電流が流れる。ただし、このとき、
図12Bで説明したように、抵抗素子203−1での消費電力は低く抑えられる。また、上記したように、インバータ列205−1の初段のインバータサイズを小さくして抵抗素子203−1の抵抗値を大きくすることにより、抵抗素子203−1での消費電力はさらに低く抑えられる。
【0089】
このように、
図13に示すスイッチングアンプ121bは、ハイサイドゲート100−1のソース(出力端子OUT)を電源として利用することにより、抵抗素子203−1での電圧降下を小さくして消費電力を低減することができる。さらに、
図13に示すスイッチングアンプ121bは、インバータ列205−1,205−2を備えることにより、抵抗素子203−1,203−2の抵抗値を大きくすることができるため、消費電力をさらに低減することができる。
【0090】
(スイッチングアンプ121の第3変形例)
図15は、スイッチングアンプ121の第3変形例をスイッチングアンプ121cとして示す図である。なお、
図15には、フィルタ124及び負荷(アンテナ)14も示されている。
【0091】
図15に示すスイッチングアンプ121cでは、
図11に示すスイッチングアンプ121aと比較して、ハイサイドドライバ200−1及びローサイドドライバ200−2の構成が異なる。
【0092】
具体的には、
図15に示すハイサイドドライバ200−1は、
図11に示すハイサイドドライバ200−1の構成に加え、複数のインバータがカスケード接続されたインバータ列(中継アンプ)205−1をさらに備える。また、スイッチングアンプ121の外部にはDC−DCコンバータ400が設けられている。本実施の形態では、DC−DCコンバータ400が5Vの出力電圧を生成する場合を例に説明する。
【0093】
インバータ列205−1は、抵抗素子203−1とトランジスタ201−1との間のノードの電圧を増幅して第1制御信号として出力する。なお、インバータ列205の高電位側電源端子は、ハイサイドゲート100−1のソース(出力端子OUT)及びDC−DCコンバータ400の一方の出力端子に接続され、インバータ列205−1の低電位側電源端子は、DC−DCコンバータ400の他方の出力端子に接続されている。
【0094】
図15に示すハイサイドドライバ200−1は、DC−DCコンバータ400からの電力供給により、電源の安定性を向上させることができる。なお、DC−DCコンバータ400については、公知の構成を利用できるため、その説明を省略する。
【0095】
ここで、
図15に示すハイサイドドライバ200−1は、インバータ列205−1の初段のインバータのサイズを小さくすることにより、高速動作を維持しつつ抵抗素子203−1の抵抗値を大きくすることができる。抵抗素子203−1の抵抗値を大きくすれば、トランジスタ201−1がオンしているときに抵抗素子203−1に流れる電流量が少なくなるため、消費電力の増大はさらに抑制される。
【0096】
図15に示すローサイドドライバ200−2については、
図13に示すローサイドドライバ200−2と同様であるため、その説明を省略する。
【0097】
(スイッチングアンプ121の第4変形例)
図16は、スイッチングアンプ121の第4変形例をスイッチングアンプ121dとして示す図である。なお、
図16には、フィルタ124及び負荷(アンテナ)14も示されている。
【0098】
図16に示すスイッチングアンプ121dは、
図15に示すスイッチングアンプ121cと比較して、インバータ列205−1の低電位側電源端子と、抵抗素子203−1及びトランジスタ201−1間のノードと、の間に、ダイオード206−1をさらに備える。スイッチングアンプ121dのその他の構成及び動作については、スイッチングアンプ121cと同様であるため、その説明を省略する。
【0099】
図16に示すスイッチングアンプ121dは、
図15に示すスイッチングアンプ121cと同等の効果を奏することができる。さらに、
図16に示すスイッチングアンプ121dは、ダイオード206−1を備えることにより、ハイサイドドライバ200−1の入力端子(即ち、トランジスタ201−1のゲート)の電圧が接地電圧0Vを下回ることを回避することができる。
【0100】
上気したスイッチングアンプ121a〜121dに設けられたローサイドドライバ200−2は、インバータ列205−2を備えていても備えていなくてもどちらでもよい。また、スイッチングアンプ121a〜121dでは、インバータ列205−1,205−2の代わりに一般的なアンプが用いられてもよい。
【0101】
<実施の形態2>
図17は、実施の形態2にかかる無線通信装置1dの詳細を示すブロック図である。
図17に示す無線通信装置1dは、
図7に示す無線通信装置1と比較して、直流信号を生成する電源218をさらに備える。
【0102】
ベースバンド処理部11において、OE変換部118は、ΔΣ変調信号及び電源218からの直流信号を重畳して光信号に変換する。張り出し無線部12において、OE変換部122は、ベースバンド処理部11から光ケーブル13を介して伝送された光信号をΔΣ変調信号及び直流信号に変換する。そして、張り出し無線部12は、OE変換部122により変換された直流信号を電源にして動作する。
【0103】
それにより、無線通信装置1dは、張り出し無線部12に電源を設ける必要が無くなるため、当該張り出し無線部12をさらに小型化することが可能になる。
【0104】
(無線通信装置1dの変形例)
図18は、
図17に示す無線通信装置1dの変形例を無線通信装置1eとして示す図である。
図18に示す無線通信装置1eは、
図17に示す無線通信装置1dと比較して、OE変換部118,122に代えてバイアスティー219,220を備え、かつ、光ケーブル13に代えてイーサネットケーブル13aを備える。
【0105】
ベースバンド処理部11において、バイアスティー(重畳部)219は、ΔΣ変調信号及び電源218からの直流信号を重畳して重畳信号として出力する。張り出し無線部12において、バイアスティー(分離部)220は、ベースバンド処理部11からイーサネットケーブル13aを介して伝送された重畳信号をΔΣ変調信号及び直流信号に分離して出力する。そして、張り出し無線部12は、バイアスティー220により分離された直流信号を電源にして動作する。
【0106】
それにより、無線通信装置1eは、張り出し無線部12に電源を設ける必要が無くなるため、当該張り出し無線部12をさらに小型化することが可能になる。
【0107】
以上のように、上記実施の形態にかかる無線通信装置は、位相同期型ΔΣ変調器を用いて、高周波信号に含まれる振幅信号γを、高周波信号に含まれる位相信号θに同期してΔΣ変調している。それにより、本実施の形態にかかる無線通信装置1は、スイッチングアンプ121に設けられたスイッチ素子のオンオフ遷移時の出力電流を少なくすることができるため、消費電力を低減することができる。
【0108】
さらに、本実施の形態にかかる無線通信装置1は、位相同期型ΔΣ変調器111を張り出し無線部12ではなくベースバンド処理部11内に備えている。それにより、本実施の形態にかかる無線通信装置1は、張り出し無線部12を小型化することができる。
【0109】
なお、関連する技術では、所望の変調精度を得るために、高周波信号に対しΔΣ変調器のサンプリング周波数を十分に高くする必要があった。例えば、特許文献3に開示された構成では、高周波信号に対してΔΣ変調器のサンプリング周波数を好適には10倍程度、少なくとも2倍以上とする必要があった。それにより、張り出し無線部(12)とベースバンド処理部(11)とを接続する手段(例えば、光モジュール)が伝送する信号周波数は高くなってしまっていた。その結果、光モジュールのコストが増大したり、消費電力が大きくなったりするなどの問題があった。一方、本実施の形態にかかる無線通信装置1では、そのような問題は生じない。
【0110】
<実施の形態3>
図19は、実施の形態3にかかる無線通信システム2の構成例を示すブロック図である。上記したように、無線通信装置1は、キャリア周波数に応じた周波数のクロック信号(パルス位相信号生成器1113の出力信号)に同期して動作するため、張り出し無線部12のキャリア周波数をベースバンド処理部11から直接制御して決定することが可能である。そこで、本実施の形態にかかる無線通信システム2は、複数の無線通信装置1のそれぞれに対して割り当てられる複数の無線周波数(高周波信号の周波数)、及び、複数の無線通信装置1のそれぞれに対して割り当てられる複数の帯域幅(帯域リソース)、の少なくとも何れかを制御することにより、平均的なトラフィック容量を向上させている。以下、具体的に説明する。
【0111】
図19に示す無線通信システム2は、n(nは2以上の整数)個の無線通信装置1(以下、無線通信装置1_1〜1_nとも称す)と、制御部21と、を備える。無線通信装置1_1〜1_nは、それぞれ、ベースバンド処理部11_1〜11_nと、張り出し無線部12_1〜12_nと、を有する。
【0112】
なお、無線通信システム2には、C−RAN(Cloud Radio Access NetworkまたはCentralized Radio Access Network)方式の無線通信技術が採用されている。具体的には、制御部21及びベースバンド処理部11_1〜11_nは、近傍配置(集中配置)されている。それにより、無線通信システム2は、複数のベースバンド処理部により一部の構成要素が共用されるため、複数のベースバンド処理部を分散配置した場合よりもコストを低減することができる。また、無線通信システム2は、セルを跨ってベースバンドのリソースを制御することができるため、複数のベースバンド処理部を分散配置して、ベースバンド処理部と張り出し無線部とが存在するセル内に閉じたリソース制御を行う場合よりもトラフィック容量を向上させたり、不図示のコアネットワークに対する負荷を軽減することができる。つまり、本実施の形態にかかる無線通信システム2は、C−RAN方式において一般的な有利な効果を奏することができる。以下、制御部21及びベースバンド処理部11_1〜11_nを纏めて集中配置ベースバンド処理部20とも称する。
【0113】
制御部21は、無線通信装置1_1〜1_nのそれぞれのデータ通信量や周波数利用状況の情報等に基づいて、無線通信装置1_1〜1_nのそれぞれに対して割り当てられる複数の無線周波数、及び、無線通信装置1_1〜1_nのそれぞれに対して割り当てられる複数の帯域幅、の少なくとも何れかを制御する。
【0114】
例えば、制御部21は、無線通信装置1_1〜1_nのうちデータ通信量が所定値以上の無線通信装置(例えば、携帯電話からのアクセスが多い無線通信装置)に対して割り当てられている無線周波数を、データ通信量が所定値未満の無線通信装置(例えば、携帯電話からのアクセスが少ない無線通信装置)に対して割り当てられている無線周波数に切り替える。あるいは、制御部21は、無線通信装置1_1〜1_nのうちデータ通信量が所定値以上の無線通信装置に対して割り当てられている無線周波数を、複数の無線通信装置1_1〜1_nの何れに対しても割り当てられていない無線周波数に切り替える。それにより、無線通信システム2は、アクセスの集中している無線通信装置の無線周波数を、他の無線通信装置にてほとんど使用されていない無線周波数に切り替えることができるため、平均的なトラフィック容量を向上させることができる。
【0115】
また、制御部21は、無線通信装置1_1〜1_nのうちデータ通信量が所定値以上の無線通信装置に対して割り当てられている帯域幅を広くするとともに、無線通信装置1_1〜1_nのうちデータ通信量が所定値未満の無線通信装置に対して割り当てられている帯域幅を狭くする。それにより、無線通信システム2は、帯域幅を効率よく使用できるようになるため、平均的なトラフィック容量を向上させることができる。さらに、無線通信システム2は、データ通信量が少ない場合に帯域幅を縮小するため、消費電力の増大を抑制することができる。
【0116】
図20は、
図19に示す無線通信システム2を模式的に示す図である。
図20の例では、張り出し無線部12_1,12_2がセルAの領域内に設けられ、張り出し無線部12_3,12_4がセルBの領域内に設けられている。セルA,Bは、それぞれ屋外の領域であってもよいし、屋内の領域(例えば、建屋内の各フロア)であってもよい。
図20に示すように、本実施の形態にかかる無線通信システム2では、同じセルに属する無線通信装置間の無線周波数及び帯域幅の制御のみならず、異なるセルに属する無線通信装置間の無線周波数及び帯域幅の制御が行われていることがわかる。
【0117】
なお、無線通信システム2に設けられた各無線通信装置1は、割り当てられる無線周波数及び帯域幅が切り替わることを考慮して、張り出し無線部12に設けられたフィルタ124を可変フィルタにしておくことが好ましい。なお、可変フィルタとは、例えば、複数の無線周波数のうち何れかの無線周波数を通過帯域として切り替え又は変更可能なフィルタのことである。あるいは、可変フィルタとは、例えば、通過帯域幅を切り替え可能又は変更可能なフィルタのことである。さらには、可変フィルタとは、無線周波数及び通過帯域幅の何れも切り替え又は変更可能なフィルタのことである。
【0118】
図21は、無線通信システム2に設けられた各無線通信装置1の具体例を無線通信装置1fとして示す図である。
図21に示す無線通信装置1fは、
図7に示す無線通信装置1と比較して、フィルタ124に代えて、可変フィルタとして選択回路130,131及びフィルタ124a,124bを備える。
【0119】
選択回路130及びフィルタ124aは、スイッチングアンプ121の後段に設けられている。フィルタ124aは、異なる通過帯域を有する複数のフィルタの集合体である。選択回路130は、フィルタ124aに含まれる複数のフィルタの中から、割り当てられた無線周波数及び帯域幅に応じたフィルタを選択する。また、選択回路131及びフィルタ124bは、低雑音増幅器125の後段に設けられている。フィルタ124bは、異なる通過帯域を有する複数のフィルタの集合体である。選択回路131は、フィルタ124bに含まれる複数のフィルタの中から、割り当てられた無線周波数及び帯域幅に応じたフィルタを選択する。
【0120】
図21に示す無線通信装置1fのその他の構成及び動作については、
図7に示す無線通信装置1の場合と同様であるため、その説明を省略する。
【0121】
このように、本実施の形態にかかる無線通信システム2は、複数の無線通信装置1のそれぞれに対して割り当てられる複数の無線周波数(高周波信号の周波数)、及び、複数の無線通信装置1のそれぞれに対して割り当てられる複数の帯域幅(帯域リソース)、の少なくとも何れか制御することにより、平均的なトラフィック容量を向上させたり、消費電力の増大を抑制したりすることができる。
【0122】
また、本実施の形態にかかる無線通信システム2は、上記したように、キャリア周波数に応じた周波数のクロック信号に同期して動作する複数の無線通信装置1を備える。それにより、本実施の形態にかかる無線通信システム2は、各無線通信装置1に割り当てられる無線周波数及び帯域幅を、キャリア周波数を変更するだけで速やかに変更することができる。このような制御は、周波数限定される高周波回路(例えば、分布定数線路、容量素子、インダクタ等のアナログ回路により構成されたアンプ等)を張り出し無線部内に有する無線通信装置、を複数備えた無線通信システムでは、実現できない。仮に、周波数限定されるアンプを各張り出し無線部内に複数設けて無線周波数を可変にしたとしても、回路の再構成(例えば、ベースバンドでの帯域制限フィルタ特性を再構成するため、張り出し装置内のFPGA(Field Programmable Gate Array)の再起動を伴う再コンフィグレーション実行)によりサービスの一時中断が必要となってしまう。
【0123】
本実施の形態では、無線通信システム2が、無線通信装置1を複数備えた場合を例に説明したが、これに限られない。無線通信システム2は、無線通信装置1に代えて無線通信装置1a〜1eの何れかを複数備えた構成に適宜変更可能である。なお、無線通信装置1a〜1eの何れかが用いられた場合でも、無線通信装置1が用いられた場合と同様に、割り当てられる無線周波数及び帯域幅が切り替わることを考慮して、各張り出し無線部12に設けられたフィルタ124を可変フィルタにしておくことが好ましい。
【0124】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0125】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0126】
この出願は、2012年12月25日に出願された日本出願特願2012−281150を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。