(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
対向し合う第1及び第2の主面を有し、中央に超音波を励振する励振領域が設けられている第1の振動板と、前記第1の振動板の前記励振領域の周囲において、前記第1の主面から突出している第1の突出部と、前記励振領域の周囲において、前記第2の主面から突出している第2の突出部とを有する第1の振動子と、
対向し合う第3及び第4の主面を有し、中央に超音波を励振する励振領域が設けられている第2の振動板と、前記第2の振動板の前記励振領域の周囲において、前記第3の主面から突出している第3の突出部と、前記励振領域の周囲において、前記第4の主面から突出している第4の突出部とを有する第2の振動子とを備え、
前記第1の振動子の前記第2の突出部と、前記第2の振動子の前記第3の突出部とが接合されて前記第2の振動子上に前記第1の振動子が積層されており、第1の振動子と第2の振動子とが同じ周波数で互いに逆位相で振動する座屈音叉振動モードを利用している、超音波発生素子。
対向し合う第1及び第2の主面を有し、中央に超音波を励振する励振領域が設けられている第1の振動板と、前記第1の振動板の前記励振領域の周囲において、前記第1の主面から突出している第1の突出部と、前記励振領域の周囲において、前記第2の主面から突出している第2の突出部とを有する第1の振動子と、
対向し合う第3及び第4の主面を有し、中央に超音波を励振する励振領域が設けられている第2の振動板と、前記第2の振動板の前記励振領域の周囲において、前記第3の主面から突出している第3の突出部と、前記励振領域の周囲において、前記第4の主面から突出している第4の突出部とを有する第2の振動子とを用意する工程と、
前記第1の振動子の前記第2の突出部と、前記第2の振動子の前記第3の突出部とを接合する工程とを備える超音波発生素子の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の超音波発生装置において小型化を進めるには、第1,第2の圧電振動子を小さくする必要がある。しかしながら、第1,第2の圧電振動子が小さくなると、共振周波数が上昇し、音圧が低下する。音圧の低下を抑制するには、第1,第2の圧電振動子を薄くすればよい。しかしながら、薄くすると、第1,第2の圧電振動子においてクラックが生じやすくなる。特に、第1,第2の圧電振動子を枠体を介して接合するに際し、厚み方向に力が加わると、第1,第2の圧電振動子においてクラックが生じやすくなるという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、小型化を図ることができ、クラック等が生じ難い、超音波発生素子及びその製造方法を提供することにある。
【0007】
また、本発明の他の目的は、小型化を図ることができ、クラック等が生じ難い超音波発生素子を有する超音波発生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る超音波発生素子は、第1の振動子と、第2の振動子とを備える。
【0009】
第1の振動子は、第1の振動板と、第1の突出部と、第2の突出部とを有する。第1の振動板は、対向し合う第1及び第2の主面を有する。第1の振動板の中央に、超音波を励振する励振領域が設けられている。第1の突出部は、上記第1の振動板の上記励振領域の周囲において、上記第1の主面から突出している。上記第2の突出部は、上記励振領域の周囲において、上記第2の主面から突出している。
【0010】
第2の振動子は、第2の振動板と、第3の突出部と、第4の突出部とを有する。第2の振動板は、対向し合う第3及び第4の主面を有する。第2の振動板の中央に、超音波を励振する励振領域が設けられている。第3の突出部は、上記第2の振動板の励振領域の周囲において、上記第3の主面から突出している。第4の突出部は、上記励振領域の周囲において、上記第4の主面から突出している。
【0011】
本発明では、上記第1の振動子の上記第2の突出部と、上記第2の振動子の上記第3の突出部とが接合されて、上記第2の振動子上に上記第1の振動子が積層されている。また、本発明の超音波発生素子は、上記第1の振動子と上記第2の振動子とが同じ周波数で互いに逆位相で振動する座屈音叉振動モードを利用している。
【0012】
本発明に係る超音波発生素子のある特定の局面では、前記第1の振動子と前記第2の振動子とを接合している接合材層がさらに備えられている。
【0013】
本発明に係る超音波発生素子の他の特定の局面では、前記第1〜第4の突出部の内、少なくとも1つの突出部が、互いに隔てられている複数の突出部部分からなる。
【0014】
本発明に係る超音波発生装置は、本発明に従って構成されている超音波発生素子と、第1のケース材と、第2のケース材とを備える。上記第1のケース材に、上記超音波発生素子が搭載される。上記第2のケース材は、上記第1のケース材に接合されており、かつ上記第1のケース材と共に超音波発生素子を取り囲んでいる。上記第2のケース材には、超音波を外部に放出する超音波放出孔が設けられている。
【0015】
本発明に係る超音波発生素子の製造方法は、以下の各工程を備える。
【0016】
対向し合う第1及び第2の主面を有し、中央に超音波を励振する励振領域が設けられている第1の振動板と、前記第1の振動板の前記励振領域の周囲において、前記第1の主面から突出している第1の突出部と、前記励振領域の周囲において、前記第2の主面から突出している第2の突出部とを有する第1の振動子と、対向し合う第3及び第4の主面を有し、中央に超音波を励振する励振領域が設けられている第2の振動板と、前記第2の振動板の前記励振領域の周囲において、前記第3の主面から突出している第3の突出部と、前記励振領域の周囲において、前記第4の主面から突出している第4の突出部とを有する第2の振動子とを用意する工程。
【0017】
前記第1の振動子の前記第2の突出部と、前記第2の振動子の前記第3の突出部とを接合する工程。
【0018】
本発明に係る超音波発生素子の製造方法のある特定の局面では、前記第1の振動子と前記第2の振動子とを接合するに際し、接合材を用いて第1,第2の振動子を接合する。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る超音波発生素子では、第1の振動子の第2の突出部と、第2の振動子の第3の突出部とが接合されて、第1,第2の振動子が積層されているため、接合工程等において、第1,第2の振動子の励振領域に力が加わり難い。そのため、第1,第2の振動板の厚みを薄くすることができる。よって、小型化を進めたとしても、音圧の低下が生じ難く、かつ第1,第2の振動子におけるクラックも生じ難い。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態に係る超音波発生装置の正面断面図である。超音波発生装置1は、第1のケース材としての基板2を有する。基板2上に、本発明の実施形態としての超音波発生素子11が搭載されている。超音波発生素子11を囲むように、基板2に、第2のケース材3が接合されている。
【0023】
上記基板2は、セラミックスなどの適宜の剛性材料からなる。第2のケース材3は、開口を有する有底筒状であり、上記基板2と共に超音波発生素子11を取り囲んでいる。第2のケース材3の上面には、超音波放出孔3a,3aが設けられている。第2のケース材3は、金属やセラミックスなどの適宜の材料により形成され得る。
【0024】
本実施形態では、超音波発生素子11で発生された超音波が、超音波放出孔3aから外部に放出される。
【0025】
図2(a)及び(b)は、上記超音波発生素子11の外観を示す斜視図及び(a)中のB−B線に沿う部分の断面図である。
【0026】
超音波発生素子11は、第1の振動子12と第2の振動子13とを有する。第1の振動子12は、第1の振動板14を有する。第1の振動板14は、対向し合う第1及び第2の主面14a,14bを有する。第1の振動板14においては、中央に励振領域が構成されている。この励振領域は振動電極15〜17が圧電セラミックスを介して重なり合っている領域により構成されている。第1の振動板14は、複数の圧電セラミックスを積層した構造を有する。
【0027】
励振電極の15〜17の平面形状を
図3(a)〜(c)に示す。本実施形態では、励振電極15〜17は、円形の形状を有する。もっとも、励振電極15〜17の平面形状は特に限定されるものではない。励振電極15〜17は、それぞれ、引き回し電極15a,15a〜17a,17aに連ねられている。引き回し電極15a,15a〜17a,17aは、
図2では図示されていないが、第1の振動子12の外側面に至るように設けられている。
【0028】
図2(b)に示すように、励振電極15〜17が圧電セラミックスを介して重なりあっている。この励振電極15,17と、励振電極16との間に電圧を印加することにより、励振電極16の上方の圧電セラミック層と、下方の圧電セラミック層とが逆相で伸縮する。従って、第1の振動子12は、バイモルフ型の振動子である。
【0029】
上記励振領域の周囲において、第1の主面14aには、第1の突出部18が設けられている。第1の突出部18は、第1の主面14aに対し第1の主面14aから遠ざかる方向、すなわち
図2(b)における上方に突出している。第1の突出部18は、本実施形態では、円形の開口部を有する枠状の形状を有している。もっとも、第1の突出部18は、円形以外の開口を有する枠状の形状を有していても良く、あるいは、枠状以外の形状を有していてもよい。すなわち閉じた枠の一部が切り欠かれている形状の突出部を第1の突出部18として設けてもよい。
【0030】
第2の主面14b側においても、励振領域の外側に第2の突出部19が設けられている。第2の突出部19は、第1の突出部18と平面視した場合同じ形状を有するように構成されている。もっとも、第2の突出部19の平面形状は第1の突出部18の平面形状と等しくなくともよい。
【0031】
本実施形態では、第2の突出部19は、第2の主面14bから遠ざかる方向、すなわち
図2(b)における下方に突出している。第2の突出部19の先端面、すなわち下面は平坦面とされている。
【0032】
上記第1の振動子12において、励振電極15〜17及び引き回し電極15a〜17aは、Al、Cu、Agなどの適宜の金属もしくは合金によりなる。
【0033】
また、前述したように、第1の振動板14は、圧電セラミックスからなる。このような圧電セラミックスとしては、チタン酸ジルコン酸鉛系セラミックスのような適宜の圧電セラミックスを用いることができる。
【0034】
また、第1,第2の突出部18,19は、本実施形態では、第1の振動板14を構成するセラミックスと同じセラミックスにより構成されている。もっとも、第1,第2の突出部18,19は、第1の振動板14を構成しているセラミックスと異なる材料により構成されていてもよい。
【0035】
第2の振動子13は、第1の振動子12とほぼ同様に構成されている。すなわち、第2の振動子13は、第2の振動板20を有する。第2の振動板20の中央には、圧電セラミックスを介して励振電極21〜23が重なり合っている。それによって励振領域が構成されている。この励振電極21〜23は、上記励振電極15〜17と同様に構成されている。第2の振動子13においても、励振領域の周囲において、第3の主面20aに第3の突出部24が形成されている。また、第4の主面20bには、第4の突出部25が形成されている。第3の突出部24及び第4の突出部25は、上記第1の突出部18及び第2の突出部19と同様に構成されている。なお、第3の突出部24の先端面すなわち上面が平坦面とされている。第2の振動子13もまた、励振電極21〜23を有するバイモルフ型の振動子である。
【0036】
図2(b)において、第1の振動子12における、励振電極15〜17で挟まれた圧電セラミックス層の分極方向を矢印で示す。第2の振動子13においても、励振電極21〜23で挟まれた圧電セラミックス層の分極方向を矢印で示す。
【0037】
第2の振動子13は、第1の振動子12と同じ周波数でかつ逆位相で振動するように構成されている。従って、超音波発生素子11では、第1,第2の振動子12,13が同じ周波数で、かつ互いに逆位相で振動する、座屈音叉振動モードが利用されて超音波が発生する。
【0038】
上記第1の振動子12の第2の突出部19と、第2の振動子13の第3の突出部24とが、接合材層26を介して接合されている。より具体的には、第2の突出部19の先端面と第3の突出部24の先端面とが接合材層26を介して接合されている。それによって、第2の振動子13上に第1の振動子12が積層され、一体化されている。
【0039】
上記超音波発生素子11では、第2の突出部19と第3の突出部24を利用して、第1,第2の振動子12,13が接合される。従って、後述する製造方法からも明らかなように、上記接合に際し、厚み方向に力を加えたとしても、力は、第2の突出部19と第3の突出部24とが接合される部分に集中する。すなわち、上記励振電極15〜17や励振電極21〜23が設けられている励振領域には力が加わり難い。
【0040】
よって、上記接合時や、超音波発生素子11の製造工程、例えば、超音波発生素子11を用いて超音波発生装置1を組み立てる際のハンドリング時に、第1及び第2の振動板14,20におけるクラックが生じ難い。
【0041】
前述したように、小型化を進めるには、第1,第2の振動子12,13を小さくする必要がある。すなわち、励振領域を小さくする必要があるが、音圧が低下する。音圧を低下させないためには、励振領域の厚みを薄くすればよい。しかしながら、従来の超音波発生素子では、励振領域における振動板の厚みを薄くするとクラックが生じやすいという致命的な問題があった。
【0042】
これに対して、本実施形態によれば、励振領域における第1,第2の振動板14,20の厚みを薄くしたとしても、上記のようにクラックが生じ難い。従って、超音波発生素子11では、音圧の低下をもたらすことなく、小型化を図ることが可能となる。
【0043】
また、従来では接合材層を用いた接合に際し、励振領域の周縁に接合材層が設けられていた。このため、厚み方向に力を加えた場合に接合材層が励振領域に流れこみ、励振領域の励振が妨げられてしまうという問題があった。
【0044】
これに対して、本実施形態によれば、第2の突出部19の先端面と第3の突出部24の先端面とに接合材層26が設けられているので、接合材層26が励振領域に流れこみ難く、励振領域の励振が妨げられ難い。従って、超音波発生素子11では、音圧の低下をもたらすことなく、小型化を図ることが可能となる。
【0045】
図4(a)及び(b)は、上記超音波発生素子11の各側面に設けられた外部電極31,32を説明するための側面図である。
図1、
図2(a)、
図2(b)及び
図4(a)に示すように、超音波発生素子11の1つの側面には、外部電極31が形成されている。この外部電極31は、前述した引き回し電極15a,17aに電気的に接続される。また引き回し電極21a,23aにも接続される。引き回し電極21a,23aは、上記励振電極21,23に連ねられている。
【0046】
図1、
図2(a)、
図2(b)及び
図4(b)に示すように、超音波発生素子11の別の側面には、外部電極32が形成されている。外部電極32は、引き回し電極16aに電気的に接続されている。また、外部電極32は、引き回し電極22aにも接続されている。引き回し電極22aは、第2の振動子13の励振電極22に連ねられている。
【0047】
なお、
図1、
図2(a)及び
図2(b)に示す外部電極31,32は分かりやすくするために誇張して表現している。実際には外部電極31,32の厚みは第1,第2の振動子12,13に対して極めて薄い。第1の突出部18の突出方向の面と、第1の突出部18の突出方向の面を覆うように設けられている外部電極31,32の面との高さはほぼ同一である。同様に、第4の突出部25の突出方向の面と、第4の突出部25の突出方向の面を覆うように設けられている外部電極31,32の面の高さはほぼ同一である。
【0048】
次に、上記超音波発生素子11の製造方法の一例を
図5〜
図7を参照して説明する。
【0049】
まず、
図5に示すマザーのセラミックグリーンシート41〜44を図中の矢印で示すように積層する。マザーのセラミックグリーンシート41〜44は、圧電セラミックスを主体とするセラミックグリーンシートである。
【0050】
マザーのセラミックグリーンシート41,44には、それぞれ、パンチングにより開口部41a,44aが形成されている。この開口部41a,44aは、最終的に第1の突出部または第2の突出部で囲まれる開口部を構成することになる。
【0051】
セラミックグリーンシート43の上面には、導電ペースト15Aがスクリーン印刷されている。導電ペースト15Aは、焼成後に励振電極15となる。
【0052】
また、セラミックグリーンシート42の上面には、導電ペースト16Aがスクリーン印刷されている。下面には、導電ペースト17Aがスクリーン印刷されている。導電ペースト16A,17Aは、焼成後に、励振電極16,17となる。
【0053】
なお、上記導電ペーストを用いずに、金属材料を他の薄膜形成方法や厚膜形成方法により形成し、励振電極15〜17を形成してもよい。
【0054】
本実施形態では、上記マザーのセラミックグリーンシート41〜44を積層し、さらにマザーのセラミックグリーンシート44及びマザーのセラミックグリーンシート41を追加し、積層する。このようにして、
図6に示すマザーの積層体45を得る。マザーの積層体45を得た後に、静水圧を加えて、セラミックグリーンシート同士を密着させる。この厚み方向に加圧する工程において、加圧力はマザーのセラミックグリーンシート41及びマザーのセラミックグリーンシート44に加わるため、上記導電ペースト15A、17Aが重なり合っている部分には、加圧力が加わり難い。
【0055】
次に、上記マザーの積層体45を、
図6の一点鎖線C,Cに沿って切断する。それによって、積層体チップを得る。
【0056】
得られた積層体チップ46を
図7(a)及び(b)に平面図及び正面断面図で示す。上記積層体チップ46を焼成することにより、
図2(b)に示されている第1の振動子12を得ることができる。本発明によれば、励振領域の周囲に第1の突出部18及び第2の突出部19を設けているので、切断の際に生じる第1の振動子12のクラックを抑制でき、製造による良品率を高めることができる。
【0057】
上記第1の振動子12を得る工程と同様にして、第2の振動子13を得ることができる。そして、得られた第1,第2の振動子12,13を、接合材層26を介して接合する。この場合、予め、第1の振動子12の第2の突出部19の先端面を研磨し、前述した平坦面としておくことが望ましい。また、第2の振動子13の第3の突出
図24の先端面も研磨により、平坦面としておくことが望ましい。このようにすると、接合強度を上げることができる。そして、第2の突出部19の先端面と第3の突出部24の先端面とを、接合材層26を介して接合する。
【0058】
接合に際しては、
図2(b)の上下方向、すなわち第2の振動子13を第1の振動子12側に押しつける力が働く。しかしながら、この力は、上記接合界面に作用し、前述したように、励振領域には至らない。従って、第1,第2の振動板14,20のクラックを引き起こすことなく、第1,第2の振動子12,13を確実に接合することができる。上記のようにして、超音波発生素子11を得ることができる。
【0059】
なお、上記実施形態では、マザーの積層体45を切断して積層体チップとした後に、焼成を行っていた。これに代えて、マザーの積層体45を焼成した後に、前述した一点鎖線C,Cに沿って切断し、個々の第1の振動子12を得てもよい。
【0060】
また、上記マザーの積層体45と同様にして、第2の振動子13を構成するマザーの積層体を用意する。そして、マザーの積層体45と、第2の振動子13を構成するためのマザーの積層体とを積層し、圧着し、一体焼成してもよい。その場合には、焼成後に、マザーの焼結体を切断することにより、上記超音波発生素子11を得ることができる。すなわち、接合材を用いることなく、第1,第2の振動子12,13が接合されている超音波発生素子を提供することができる。従って、本発明においては第1,第2の振動子は、接合材を用いずに第2の突出部19と第3の突出部24とが接合されて、一体化されていてもよい。
【0061】
図8は、本発明の超音波発生素子の他の実施形態を示す斜視図である。本実施形態の超音波発生素子51では、第1,第2の振動子12,13が接合材層26を介して接合されている。第2の振動子13では、複数の第4の突出部部分25A1〜25A4は、第2の振動板20の第4の主面20bから遠ざかる方向、すなわち
図8における下方に突出している。すなわち、第4の突出部が、枠状ではなく、独立した複数の突出部部分25A1〜25A4で構成されている。第4の突出部部分25A1〜25Aは、第4の主面20bの矩形形状のコーナー部分に設けられている。
【0062】
従って、
図1に示した基板2に超音波発生素子11を搭載するに際しての台座としての機能を第4の突出部部分25A1〜25A4に持たせることができる。
【0063】
このように、第2の振動子13の第4の突出部25については、台座としての機能を果たすように、複数の突出部部分に分割されていてもよい。同様に、
図2(b)に示した第1の突出部18、第2の突出部19または第3の突出部24についても、複数の突出部部分に分割されていてもよい。
【0064】
なお、上述の実施形態では、第1の振動板14は、チタン酸ジルコン酸鉛系セラミックスからなっているが、これに限るものではない。例えば、ニオブ酸カリウムナトリウム系やアルカリニオブ酸系セラミックス等の非鉛系圧電セラミックスの圧電材料などからなっていてもよい。
【0065】
なお、上述の実施形態では、
図1に示すように、第4の突出部25の先端面は、外部電極31,32によって覆われた状態で基板に直接接触しているが、第4の突出部25の先端面は基板に直接接触していてもよい。