(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記容量結合型非接触充電システムで採用される電源周波数は前記近距離無線通信システムで採用される通信周波数よりも低い、請求項1ないし4のいずれかに記載の端末装置。
前記アンテナコイルの巻回軸に直交する方向において前記アンテナコイルの外縁は前記機能層の外縁よりも内側に収められる、請求項1ないし5のいずれかに記載の端末装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、背景技術では、非対称ダイポール方式の容量結合型非接触充電システムでは、“電極面積が比較的広いこと”が要求される。そのため、携帯電話のような通信端末装置に上述した2つのシステムを単純に搭載すると、端末装置の大型化が避けられない。また、アクティブ電極の配置等によっては、非接触充電システムにおける電力伝送効率が大きく低下してしまうことがある。
【0006】
それゆえに、この発明の主たる目的は、サイズを小型化できかつ電力伝送効率の低下を抑制できる、端末装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に従う端末装置(10:実施例で相当する参照符号。以下同じ)は、近距離無線通信システム用のアンテナコイル(32, 32a1, 32b1)、
磁性体かつ誘電体であり、アンテナコイルの裏面に設けられた機能層(36)、
容量結合型非接触充電システムの送電用電源もしくは受電用負荷、送電用電源もしくは受電用負荷に接続され、機能層の裏面に設けられた
第1電極(38)、および送電用電源もしくは受電用負荷に接続される第2電極(14)を備える。
【0008】
好ましくは、
第2電極は、第1電極の裏面に設けられる。
【0009】
或る局面では、第1電極には第1電圧が印加され、第2電極には第1電圧よりも低い第2電圧が印加される。
【0010】
他の局面では、第1
電極の裏面に設けられたプリント配線板(12)がさらに備えられ、第2
電極はプリント配線板に埋め込まれたグランド層に相当する。
【0011】
好ましくは、容量結合型非接触充電システムで採用される電源周波数は近距離無線通信システムで採用される通信周波数よりも低い。
【0012】
好ましくは、アンテナコイルの巻回軸に直交する方向においてアンテナコイルの外縁は機能層の外縁よりも内側に収められる。
【0013】
好ましくは、アンテナコイルは筐体(CS1)を形成する壁に埋め込まれ、機能層は壁の内側面に貼り付けられる。
【0014】
好ましくは、アンテナコイルと磁界結合された給電コイル(32c)、および給電コイルに電力を供給する給電回路(16)がさらに備えられる。
【0015】
さらに好ましくは、アンテナコイルは平面視で第1
電極の外側に引き出されて巻回されたコイル端部(32a2, 32b2)を有し、給電コイルはコイル端部と磁界結合される。
【発明の効果】
【0018】
装置の小型化が図られる
とともに、小型化に起因する電力伝送効率の低下が抑制される。
【0019】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】この発明の一実施例の基本的構成を示す図解図である。
【
図2】(A)はこの実施例の移動体通信端末装置を上方から眺めた状態の一例を示す図解図であり、(B)は(A)に示す移動体端末装置のA−A断面図である。
【
図3】(A)はこの実施例の移動体通信端末に適用されるアンテナ素子の一例を示す平面図であり、(B)は(A)に示すアンテナ素子のB−B断面図である。
【
図4】(A)はリーダライタを上方から眺めた状態の一例を示す図解図であり、(B)は(A)に示すリーダライタのC−C断面図である。
【
図5】(A)はリーダライタに適用されるアンテナ素子の一例を示す平面図であり、(B)は(A)に示すアンテナ素子のD−D断面図である。
【
図6】(A)は送電装置を上方から眺めた状態の一例を示す図解図であり、(B)は(A)に示す送電装置のE−E断面図である。
【
図7】移動体通信端末をリーダライタに接近させた状態の一例を示す図解図である。
【
図8】移動体通信端末に設けられたアンテナ素子とリーダライタに設けられたアンテナ素子との間で発生した磁界の一例を示す図解図である。
【
図9】移動体通信端末およびリーダライタの等価回路図である。
【
図10】送電装置に移動体通信端末を接近させた状態の一例を示す図解図である。
【
図11】送電装置と移動体通信端末との間での容量結合状態を示す等価回路図である。
【
図12】他の実施例の移動体通信端末装置の一部を示す図解図である。
【
図13】その他の実施例の移動体通信端末装置に適用されるアンテナ素子の構造の一例を示す図解図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
[基本的構成]
【0022】
図1を参照して、この実施例の端末装置は、基本的に次のように構成される。アンテナコイル1(実施例のアンテナコイル32に相当)は、近距離離無線通信システムに利用される。機能層2(実施例の絶縁層36に相当)は、近距離無線通信システムにおいて磁性体として利用する一方、容量結合型非接触充電システムにおいて誘電体として利用するべく、アンテナコイル1の裏面に設けられる。
【0023】
第1金属層3(実施例の金属層38に相当)は、近距離無線通信システムにおいてシールドとして利用する一方、容量結合型非接触充電システムにおいて容量結合用の第1電極として利用するべく、機能層の裏面に設けられる。第2金属層4(実施例の金属層14に相当)は、容量結合型非接触充電システムにおいて容量結合用の第2電極として利用するべく第1金属層3の裏面に設けられる。
【0024】
近距離無線通信システム用の給電回路5に設けられた2つの出力端は、アンテナコイル1の一方端および他方端にそれぞれ接続される。キャパシタ6は、共振周波数を調整するべくアンテナコイル1の一方端および他方端の間に設けられる。容量結合型非接触充電システムにおける送電用の電源7に設けられた2つの出力端は、第1金属層3および第2金属層4にそれぞれ接続される。なお、電源7は、容量結合型非接触充電システムにおける受電用の負荷に代えてもよい。
【0025】
したがって、近距離無線通信システムにおいては、機能層2が磁性体として利用され、第1金属層3がシールドとして利用される。アンテナコイル1の渦電流損失は磁性体によって抑制され、アンテナコイル1の共振周波数の変動はシールドによって抑制される。
【0026】
これに対して、容量結合型非接触充電システムにおいては、機能層2が誘電体として利用され、第1金属層3が容量結合用の一方電極、第2金属層4が容量結合用の他方電極として利用され、第1金属層3と第2金属層4とで容量結合型非接触充電システムの送電側もしくは受電側のデバイスが構成されている。結合容量は誘電体によって増大され、電力は一方電極および他方電極を介して伝送される。
【0027】
近距離無線通信システムにおいてシールドとして利用される第1金属層3を容量結合型非接触充電システムにおける容量結合用の一方電極として利用することで、装置の小型化が図られる。また、近距離無線通信システムにおいて磁性体として利用される機能層2を容量結合型非接触充電システムにおいて誘電体として利用することで、小型化に起因する電力伝送効率の低下が抑制される。
[実施例]
【0028】
図2(A)〜
図2(B)を参照して、この実施例の移動体通信端末10は、近距離無線通信システムと容量結合型非接触充電システムとを備える端末であり、プリント配線板12および板状のアンテナ素子30が収められた筐体CS1を含む。
【0029】
筐体CS1は直方体状に形成され、筐体CS1の主面は長方形をなす。プリント配線板12の主面およびアンテナ素子30の主面もまた、長方形をなす。プリント配線板12の主面をなす長方形の長辺および短辺は、筐体CS1の主面をなす長方形の長辺および短辺よりも僅かに短い。これに対して、アンテナ素子30の主面をなす長方形の長辺および短辺は、プリント配線板12の主面をなす長方形の長辺および短辺よりも格段に短い。
【0030】
プリント配線板12およびアンテナ素子30は、これらの主面が筐体CS1の主面に対して平行に広がる姿勢で筐体CS1に収められる。ただし、アンテナ素子30は、その主面が筐体CS1の主面を形成する壁の裏側に貼り付けられた状態で、筐体CS1に収められる。
【0031】
以下では、筐体CS1の主面をなす長方形の長辺に沿う方向を“X軸方向”と定義し、筐体CS1の主面をなす長方形の短辺に沿う方向を“Y軸方向”と定義し、そして筐体CS1の高さ方向を“Z軸方向”と定義する。また、筐体CS1,プリント配線板12,アンテナ素子30、ならびに後述するアンテナ素子40,送電装置50については、Z軸の正側に面する主面を“上面”と定義し、Z軸の負側に面する主面を“下面”と定義する。この定義に従えば、アンテナ素子30の上面が筐体CS1の上面を形成する壁の裏側に貼り付けられる。
【0032】
図3(A)〜
図3(B)を参照して、アンテナ素子30は、近距離無線通信システムに用いられ、主面が長方形をなす絶縁シート36を素体とする。絶縁シート36は、フェライト焼結体またはフェライト粉末を含有する樹脂層に相当する。絶縁シート36の上面にはアンテナコイル32が設けられ、絶縁シート36の下面には金属層38が設けられる。アンテナコイル32は、Z軸回り方向に巻回された平面コイルに相当し、絶縁シート36の上面に貼り付けられた支持フィルム34によって支持される。Z軸に直交する方向において、アンテナコイル32の外縁は絶縁シート36の外縁よりも内側に収まる。金属層38の主面の面積は、絶縁シート36の主面の面積つまりアンテナ素子30の主面の面積と一致する。また、金属層38の側面は、絶縁シート36の側面に対して面一となる。
【0033】
なお、アンテナコイル32としては、複数層のループ状パターンを積層してなる積層型コイルを採用してもよい。また、アンテナコイル32のターン数等は、適宜変更できる。さらに、絶縁シート36は、少なくともアンテナコイル32のコイル開口を覆うように設けられていればよいが、アンテナコイル32の全体を覆うように設けられていることが好ましい。また、金属層38としては、金属箔のような薄膜タイプの金属であってもよいし、印刷等によって形成された厚膜タイプの金属であってもよい。
【0034】
図2(A)〜
図2(B)に戻って、プリント配線板12の上面には、近距離無線通信システム用の給電回路(RFIC)16が設けられる。アンテナコイル32の一方端は導電線18aを介して給電回路16の一方端に接続され、アンテナコイル32の他方端は導電線18bを介して給電回路16他方端に接続される。
【0035】
プリント配線板12の内部には、金属層14が埋め込まれる。金属層14の主面の面積は、プリント配線板12の主面の面積よりも僅かに小さい。また、金属層14は、その主面がプリント配線板12の主面に対して平行に広がる姿勢で、プリント配線板12に埋め込まれる。
【0036】
プリント配線板12の下面には、容量結合型非接触充電システム用の負荷回路20が設けられる。アンテナ素子30を形成する金属層38は導電線22を介して負荷回路20のプラス側端子に接続され、プリント配線板12に埋め込まれた金属層14は図示しない配線を介して負荷回路20のマイナス側端子に接続される。なお、負荷回路20は、図示しないバッテリに通じる。
【0037】
移動体通信端末10は、近距離無線通信システムを利用して
図4(A)〜
図4(B)に示すリーダライタ40と通信を行う。
図4(A)〜
図4(B)によれば、リーダライタ40は、板状のアンテナ素子42と近距離無線通信用のRFIC50とが収められた直方体状の筐体CS2を含む。筐体CS2の主面は長方形をなし、アンテナ素子42の主面もまた長方形をなす。ここで、アンテナ素子42の主面をなす長方形の長辺および短辺は、筐体CS2の主面をなす長方形の長辺および短辺よりも格段に短い。
【0038】
図5(A)〜
図5(B)を参照して、アンテナ素子42は、主面が長方形をなす絶縁シート44を素体とする。アンテナコイル46は、Z軸回り方向に巻回される姿勢で、絶縁シート44の上面に埋め込まれる。
【0039】
図4(A)〜
図4(B)に戻って、アンテナコイル46の一方端は導電線48aを介してRFIC50の一方端と接続され、アンテナコイル46の他方端は導電線48bを介してRFIC50の他方端と接続される。
【0040】
移動体通信端末10はまた、容量結合型非接触充電システムを利用して
図6(A)〜
図6(B)に示す送電装置60から電力を受ける。
図6(A)〜
図6(B)によれば、送電装置60は、いずれもが板状に形成されたアクティブ電極62およびパッシブ電極64とチップ状の送電モジュール66とが収められた筐体CS3を含む。
【0041】
筐体CS3は直方体状に形成され、筐体CS3の主面は長方形をなす。アクティブ電極62およびパッシブ電極64の主面もまた、長方形をなす。ここで、パッシブ電極64の主面をなす長方形の長辺および短辺は、筐体CS3の主面をなす長方形の長辺および短辺よりも僅かに小さい。これに対して、アクティブ電極62の主面をなす長方形の長辺および短辺は、パッシブ電極64の主面をなす長方形の長辺および短辺よりも格段に小さい。
【0042】
アクティブ電極62は、その主面が筐体CS3の主面に対して平行に広がる姿勢で、筐体CS3の上面を形成する壁の裏側に貼り付けられる。また、パッシブ電極64は、その主面が筐体CS3の主面に平行に広がる姿勢で、アクティブ電極62よりもZ軸方向における負側の位置に配置される。Z軸方向から眺めたとき、アクティブ電極62の中央はパッシブ電極64の中央と一致する。
【0043】
送電モジュール66は、パッシブ電極64よりもZ軸方向における負側の位置に配置される。また、送電モジュール66は、後述する交流電源66pwを含む。アクティブ電極62は導電線68aによって交流電源66pwのプラス側端子と接続され、パッシブ電極64は導電線68bによって交流電源66pwのマイナス側端子と接続される。
【0044】
近距離無線通信を行うときは、移動体通信端末10の上面がリーダライタ40の上面に対向する姿勢で、移動体通信端末10がリーダライタ40に近づけられる(
図7参照)。移動体通信端末10に設けられた給電回路16は、アンテナ素子30に設けられたアンテナコイル32に近距離無線通信用信号(=高周波電流)を供給する。この結果、アンテナコイル32の周辺に
図8に示す要領で磁界が形成され、アンテナ素子42に設けられたアンテナコイル46に近距離無線通信用信号が誘導される。RFIC50は、こうして誘導された近距離無線通信用信号に従う処理を実行する。RFIC50から出力された近距離無線通信用信号は、上述と逆の経路でアンテナ素子30に伝達され、給電回路16に与えられる。
【0045】
アンテナ素子30においては、アンテナコイル32の下に絶縁シート36が設けられ、かつ絶縁シート36の下に金属層38が設けられる。近距離無線通信システムにおいて、絶縁シート36は磁性体として利用され、金属層38はシールドとして利用される。アンテナコイル32の渦電流損失は磁性体によって抑制され、プリント配線板12に実装された電子部品の影響によるアンテナコイル32の共振周波数の変動はシールドによって抑制される。
【0046】
図8に示す磁界結合の状態を表す等価回路を
図9に示す。給電回路16の一方端はキャパシタC1の一方端と接続され、給電回路16の他方端はキャパシタC1の他方端と接続される。インダクタL1は、キャパシタC1と並列接続される。RFIC48の一方端はキャパシタC2の一方端と接続され、RFIC48の他方端はキャパシタC2の他方端と接続される。インダクタL2は、キャパシタC2と並列接続される。移動体通信端末10側の共振周波数はインダクタL1およびキャパシタC1によって定義され、リーダライタ40側の共振周波数はインダクタL2およびキャパシタC2によって定義される。
【0047】
なお、キャパシタC1は導電線18aおよび18bの間の浮遊容量によって形成され、キャパシタC2は導電線48aおよび48bの間の浮遊容量によって形成される。また、インダクタL1の大きさはアンテナコイル32の巻回数および絶縁シート(磁性体)36の特性に依存し、インダクタL2の大きさはアンテナコイル46の巻回数に依存する。ただし、別に準備されたコンデンサ素子によってキャパシタC1またはC2を形成するようにしてもよい。
【0048】
容量結合型非接触充電を行うときは、移動体通信端末10の上面が送電装置60の上面に対向する姿勢で、移動体通信端末10が送電装置60に載置される(
図10参照)。このとき、移動体通信端末10側では、金属層38がアクティブ電極として機能し、金属層14がパッシブ電極として機能し、そして絶縁シート36が誘電体として機能する。送電モジュール66で生成された交流電圧は、アクティブ電極62およびパッシブ電極64に印加され、結合容量に従う大きさの交流電圧が移動体通信端末10側のアクティブ電極およびパッシブ電極に励起される。励起された交流電圧は、負荷回路20に供給される。なお、アンテナコイル32は、アクティブ電極間の容量を補うための容量補助電極として機能する。
【0049】
図10に示す容量結合の状態に相当する等価回路を
図11に示す。送電装置60においては、交流電源66pwがアクティブ電極62およびパッシブ電極64の間に設けられる。一方、移動体通信端末10においては、負荷回路20がアクティブ電極としての金属層38とパッシブ電極としての金属層14の間に設けられる。さらに、金属層38とアクティブ電極52との間に、誘電体としての絶縁シート36とアクティブ電極としてのアンテナコイル32が設けられる。
【0050】
アンテナコイル32がアクティブ電極として機能するのは、近距離無線通信システムにおける送受信信号の周波数が13.56MHzであるのに対し、容量結合型非接触充電システムにおける伝送電力の周波数はこれよりも格段に低い数百kMHzであり、容量結合型非接触充電システムでは、アンテナコイル32はショートしているように見えるからである。
【0051】
また、絶縁シート36は、フェライトを材料とする場合、εr=15〜25程度の比誘電率を有し、筺体CS1を構成する樹脂材料の比誘電率よりも大きな比誘電率を持つ。したがって、絶縁シート36を誘電体として利用することで、送電装置60側のアクティブ電極62と移動体通信端末10側の金属層(アクティブ電極)38との間の結合容量が増大する。この結果、アンテナコイル32をアクティブ電極として利用することと相俟って、電力伝送効率を高めることができる。
【0052】
なお、容量結合型非接触充電システムの動作時には、アクティブ電極間に数kVオーダーの高い電圧が印加される。したがって、容量結合型非接触充電システムの動作時に、アンテナコイル32と給電回路16との接続を遮断するためのスイッチを設けておくことが好ましい。
【0053】
また、この実施例の移動体通信端末10では、筐体CS1の上面を形成する壁の裏面にアンテナ素子30の上面を貼り付けるようにしている。しかし、
図12に示すように、筐体CS1の上面を形成する壁にアンテナコイル32を埋め込み、絶縁シート36の上面を壁の裏面に貼り付けるようにしてもよい。また、アンテナコイル32は、筐体CS1の内壁面にめっき等の手法により直接描画するようにしてもよい。
【0054】
さらに、この実施例では、アンテナ素子30に単一のアンテナコイル32を設け、アンテナコイル32の両端を導電線18aおよび18bによって給電回路16に接続するようにしている。しかし、
図13に示す構造をアンテナコイル32の代わりに採用するようにしてもよい。
【0055】
図13によれば、2つのアンテナコイル32a1および32b1がZ軸方向に積層される。アンテナコイル32a1および32b1の各々の一方端は、Z軸方向から眺めて金属層38の外側に引き出される。アンテナコイル32a1から引き出された導電体はZ軸回り方向に巻回されてコイル部32a2をなし、アンテナコイル32b1から引き出された導電体はZ軸回り方向に巻回されてコイル部32b2をなす。コイル部32b2の巻回軸はコイル部32a2の巻回軸と共通する。
【0056】
給電コイル32cは、コイル部32a2および32b2の巻回軸と共通の巻回軸を有して、コイル部32b2よりもZ軸における負側の位置に設けられる。給電コイル32cよりもZ軸における負側の位置には、絶縁シート36aが追加的に設けられる。導電線18aおよび18bは、給電コイル32cの一方端および他方端とそれぞれ接続される。このような構成を採用することで、容量結合型非接触充電システムの動作時に給電回路16に高電圧が印加される事態を回避することができる。
【0057】
図13に示す構造を採用するアンテナ素子32と導電線18a,18bと給電回路16との接続状態を表す等価回路を
図14に示す。
【0058】
キャパシタC1aは、インダクタL1aの一方端とインダクタL1bの一方端との間に設けられる。インダクタL1aの他方端はインダクタL2aの一方端と接続され、インダクタL1bの他方端はインダクタL2bの一方端と接続される。キャパシタC1bは、インダクタL2aの他方端とインダクタL2bの他方端との間に設けられる。インダクタL1cの一方端は給電回路16の一方端と接続され、インダクタL1cの他方端は給電回路16の他方端と接続される。キャパシタC1cは、インダクタL1cと並列接続される。
【0059】
インダクタL1aはアンテナコイル32a1の巻回数および絶縁シート36の特性に依存し、インダクタL1bはアンテナコイル32b1の巻回数および絶縁シート36の特性に依存する。インダクタL2aはアンテナコイル32a2の巻回数および絶縁シート36aの特性に依存し、インダクタL2bはアンテナコイル32b2の巻回数および絶縁シート36aの特性に依存する。インダクタL1cはアンテナコイル32cの巻回数および絶縁シート36aの特性に依存する。
【0060】
キャパシタC1aはアンテナコイル32a1および32b1の間の浮遊容量によって形成され、キャパシタC1bはコイル部32a2および32b2の間の浮遊容量によって形成される。キャパシタC1cは導電線18aおよび18bの間の浮遊容量によって形成される。
【0061】
なお、この実施例では、金属層38はアンテナコイル32の裏面に設けられたシールド層であり、金属層14がプリント配線板12に埋め込まれたグランド電極であり、金属層38と金属層14とが異なる平面上にあるという構成で説明したが、これに限定されるものではない。たとえば、アンテナコイル32の裏側において金属層38と金属層14とが同一平面上に形成されていてもよい。このとき、金属層14はプリント配線板12のグランド電極とは別に設けられることになるが、グランド電極とは電気的に接続される。