特許第5975228号(P5975228)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5975228交換可能なプローブを有する医療用ハンドヘルド測定器具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5975228
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】交換可能なプローブを有する医療用ハンドヘルド測定器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20160809BHJP
   A61B 5/01 20060101ALI20160809BHJP
【FI】
   A61B5/00 N
   A61B5/00 101F
【請求項の数】7
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-525140(P2013-525140)
(86)(22)【出願日】2011年8月24日
(65)【公表番号】特表2013-536028(P2013-536028A)
(43)【公表日】2013年9月19日
(86)【国際出願番号】DE2011001655
(87)【国際公開番号】WO2012041270
(87)【国際公開日】20120405
【審査請求日】2013年3月5日
(31)【優先権主張番号】202010011934.0
(32)【優先日】2010年8月27日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503259071
【氏名又は名称】ナワ−ハイルミッテル ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】リージンゲル,トーマス
【審査官】 伊藤 幸仙
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/017192(WO,A1)
【文献】 特開平06−319704(JP,A)
【文献】 特開平09−084785(JP,A)
【文献】 特開2010−069178(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/172696(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00
A61B 5/01
A861B 8/00 − 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれの測定値を表示するための少なくとも1つの表示装置(6)及び操作要素(7)を備えるハウジング(2)を有し、測定すべきpH値および測定すべき温度に対応する電気測定信号を生成するためのプローブ装置(9)を備える、前記ハウジング(2)の端部に設けられたプローブ先端からなるプローブ(3)を有する、創傷のpH値および温度を測定するための医療用ハンドヘルド測定器具であって、
前記プローブ(3)が、ハウジング側の連結部(11)にプローブ側の連結部(10)により、前記ハウジング(2)と取り外し可能に機械的ならびに電気的に結合され、
前記プローブ装置(9)を有する前記プローブ(3)先端からなる前記プローブ(3)は、生物学的及び皮膚科学的に適合性のある材料で構成され、
少なくとも1つの前記プローブ(3)に、前記プローブ(3)を識別しかつそれぞれ他の同種のプローブ(3)と区別するプローブ符号化部または識別部が備えられること、
前記ハウジング(2)に、前記プローブ符号化部または識別部を検知および/または読み取るための手段(12、16)が設けられること、及び
前記測定器具により行われる夫々のプローブ(3)の校正データは、前記夫々のプローブ(3)の識別データと共に前記ハウジング(2)に格納される電子回路のメモリに記憶され、前記測定器具による測定値の分析に使用されること、を特徴とするハンドヘルド測定器具。
【請求項2】
前記プローブ側の連結部(10)により前記ハンドヘルド測定器具または前記ハウジングの前記ハウジング側の連結部(11)と選択的に、機械的および電気的に結合可能である多くの同様のプローブ(3)を特徴とする、請求項1に記載のハンドヘルド測定器具。
【請求項3】
前記少なくとも1つのプローブが殺菌可能であり、および/または1回だけ使用可能なプローブとして形成されることを特徴とする、請求項1または2に記載のハンドヘルド測定器具。
【請求項4】
前記ハウジング(2)に、例えば、前記プローブ(3)から供給された前記測定信号を分析および/または表示するためのプロセッサ(12)を備える電子回路が設けられることを特徴とする、請求項1〜3のうちいずれか一項に記載のハンドヘルド測定器具。
【請求項5】
前記プローブ識別に基づき前記それぞれのプローブ(3)の前記センサ装置(9)の校正を記憶するための電子メモリ(13)を特徴とする、請求項4に記載のハンドヘルド測定器具。
【請求項6】
前記光学表示装置(6)に追加して、少なくとも1つの音声発生装置(14、15)が設けられることを特徴とする、請求項1〜5のうちいずれか一項に記載のハンドヘルド測定器具。
【請求項7】
無線データ通信のために、前記ハンドヘルド測定器具(1)または前記ハウジング(2)に格納された前記表示および/または分析用電子装置(4)と、前記ハンドヘルド測定器具(1)から空間的に離れたシステム、好ましくは記録および/または監視システム(19)あるいは送信および/または受信装置(18)との間に、このようなシステム(19)が形成されることを特徴とする、請求項1〜6のうちいずれか一項に記載のハンドヘルド測定器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に基づく医療用ハンドヘルド測定器具に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明の課題は、創傷の状態を迅速にかつ確実に確認することができ、かつこのために医療分野において、もしくは特に臨床分野においても使用するために必要な要件を達成するハンドヘルド測定器具を提供することである。この課題を解決するために、請求項1に対応するハンドヘルド測定器具が形成される。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明による医療用ハンドヘルド測定器具またはこの器具のハウジングの形状および/または大きさは、例えば電気式または電子式温度測定器具(例えば体温計)に対応する。ハンドヘルド測定器具またはそのプローブ、あるいはこのプローブに設けられ、当該プローブのセンサ装置の少なくとも一部分を形成するpH測定センサ(PHメータ)、ならびに温度センサは、プローブまたはプローブ先端を創傷に導入することによって創傷のpH値および温度を迅速にかつ確実に検出することを可能にする小さな構造形状を有する。
【0004】
この場合、本発明は、さらなる特別な手当を原則として必要としない急性の創傷が、約2.8から3.3の範囲のpH値を示し、これに対し、4.5よりも大きいpH値の場合、特に5から8の範囲のpH値の場合、特別な手当て、とりわけ感染したおよび/または壊死した組織を除去するための例えば外科手術の治療が必要である慢性の創傷が推論されるという認識に基づいている。
【0005】
本発明によるハンドヘルド測定器具の場合、それぞれのプローブは、測定器具またはハウジングに機械的および/または電気的に取り外し可能に設けられ、この結果、各々のプローブを使用後に殺菌する、および/または、1回のみ使用可能なプローブとして廃棄処理することができる。好ましくは、同一のハンドヘルド測定器具には、複数のプローブが使用され、これらのプローブに、ハンドヘルド測定器具または当該器具の測定および分析用電子装置によって読み取り可能なプローブ識別部が備えられ、この結果、ハンドヘルド測定器具に連結されたそれぞれのプローブが一義的に識別される。これによって、センサ装置またはハンドヘルド測定器具に連結されたそれぞれのプローブのこのセンサ装置を形成するセンサの校正をこのハンドヘルド測定器具で行い、対応するデータを測定および分析用電子装置のメモリに、すなわち、それぞれのプローブ識別と共に記憶し、次にこれらの校正データをそれぞれ測定値の分析のために当該のプローブを使用することも可能である。
【0006】
本発明の発展形態、利点、および利用可能性は、同様に、実施例の以下の説明および図面から理解される。この場合、説明しおよび/または具象的に図示したすべての特徴は、特許請求の範囲の本発明の要約または遡っての引用とは無関係に、それ自体でまたは任意の組み合わせで基本的に本発明の対象である。同様に、特許請求の範囲の内容は、詳細な説明の構成部分とされる。実施例の図面を参照して、本発明について以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明による医療用ハンドヘルド測定器具の概略図である。
図2図1の医療用ハンドヘルド測定器具の単純化したブロック回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図に一般に1で示した医療用ハンドヘルド測定器具は、本質的に、細長い器具ハウジング2と、器具ハウジング2に機械的および電気的に連結可能かつ切り離し可能である測定プローブ3とから構成される。器具ハウジング2の内部には、特に電子回路4ならびに好ましくは再充電可能なバッテリ5が格納される。ハウジング2の外面には、特に作動状態およびハンドヘルド測定器具1により測定された測定結果を表示するために、特に光学表示装置6があり、ならびに例えば器具をオン・オフするための、ならびにハンドヘルド測定器具1の異なる機能を開始するためのまたは呼び出すための手動操作可能な少なくとも1つの入力部がある。
【0009】
詳細には、ハンドヘルド測定器具1は、創傷のpH値ならびに温度を測定するために形成される。プローブ3は、このために、細長いプローブ本体8から構成され、このプローブ本体の端部には、pH値の測定のためにならび温度測定のためにセンサ装置9が備えられる。他の端部には、プローブ本体9は連結部10を形成し、この連結部により、プローブ3が機械的にまた同様に電気的にハウジング2にまたは当該ハウジングの連結部11に連結可能であり、この結果、センサ装置9のそれぞれの測定値は、プローブ3からハウジング2に格納された電子回路4に伝送され、当該電子回路で、以下になお詳しく説明する方法で処理される。
【0010】
センサ装置9は、図示した実施形態の場合、プローブ3の殺菌を可能にする構成要素から、例えば電気的性質が温度に応じて変化する電気抵抗から、ならびに適切なpHプローブから構成される。同様に、プローブ本体8は、プローブ3の殺菌を可能にする材料から構成される。
【0011】
ハンドヘルド測定器具1のために、多くの同様のプローブ3が設けられる。さらに、ハンドヘルド測定器具1は、プローブ3またはその連結部10が、例えば差し込みまたはバヨネット結合を介して連結部11に正しく機械的および電気的に接続されたときに、初めてその機能がスイッチオンされるように形成される。各々のプローブ3には、このプローブを一義的に識別する電気的な、電子回路4によって検出可能な符号化部またはプローブ識別部が備えられる。各々のプローブ3またはそのセンサ装置9の校正は、電子回路4の内部で行われ、詳しくは、それぞれのプローブ3に付設された校正がプローブ識別と共に電子回路4に記憶されるように行われる。
【0012】
さらに、ハンドヘルド測定器具は、同様に、次のパラメータによって際立っており、すなわち、pHの測定範囲は4から10の範囲である。pH値の測定精度および測定表示は、この場合、0.1のステップで行われる。pHの測定時間、すなわち、pH測定に必要な時間は約5秒以下である。温度測定範囲は、約20から40℃の範囲である。表示は、0.1℃のステップで行われる。
【0013】
それぞれのプローブ3またはそのセンサ装置9の校正は、高い安定性を有するので、一日当たり最高1回の校正で済む。
【0014】
プローブ3、およびこの場合、センサ装置9を備えるプローブ先端も、特に同様にタンパク質およびその反応生成物に対して抵抗性のある生物学的におよび皮膚に対して適合性の材料から構成される。
【0015】
さらに、ハンドヘルド測定器具1は、例えば信頼性、制御および/または測定データの分析のために必要とされる別のデータと共に、無線データ遠隔伝送用に、特にそれぞれの測定データのデータ遠隔伝送用にも形成される。
【0016】
特に上述の特性を有するハンドヘルド測定器具1またはその電子回路4が、図2に示したように形成される。電子回路4の中央ユニットはマイクロプロセッサ12であり、このマイクロプロセッサには、特に、プログラムおよびデータメモリとして使用されるメモリ13が付設され、このメモリには、同様に、特にセンサ装置9によって検出されたおよび/またはプロセッサ12で処理された測定値、ならびにそれぞれのプローブ3の校正がプローブ識別と共に記憶される。プロセッサ12には、さらに少なくとも1つの表示装置6、入力部7、上述の音響信号を発生するためのスピーカ15を有する音声発生装置14、プロセッサ12とそれぞれのプローブ3とを結合するための、特に同様に電気測定信号を、プロセッサ12に供給されかつこのプロセッサで処理可能なデジタル信号に変換するための、ならびにプローブ識別を検知するためのインタフェース15が付設される。プロセッサ12では、さらに無線通信用、特に無線データ伝送用の送信/受信装置17が、ハンドヘルド測定器具と、好ましくはコンピュータ支援の記録および監視システム19の空間的に離れた送信および受信装置18との間に付設される。
【0017】
送信および受信装置17および18の間に形成されたデータ伝送経路を介して、次に、例えば所定のプローブ3を有するハンドヘルド測定器具により測定された監視された創傷の測定値(pH値および温度)が、プローブおよび/または患者に関して、記録および/または監視システム12に転送され、このシステムで、患者に関して、例えばさらなる治療の決定のためにおよび/または治療効果の検出のために分析および/または記憶される。
【0018】
実施例を参照して、本発明について上に説明した。本発明の基礎となる本発明の構想を離れることなく、多くの変更ならびに変形例が可能であることが理解される。
【0019】
光学表示装置に追加して、ハンドヘルド測定器具は、ハンドヘルド測定器具の作動状態が変化した場合、および/または明確な誤った測定等の場合に例えば音響信号を出力する音響表示装置も備えることが好ましい。
【符号の説明】
【0020】
1 ハンドヘルド測定器具
2 ハウジング
2.1 ハウジング端部
3 プローブ
4 電子回路
5 バッテリ
6 表示装置
7 入力装置
8 プローブ本体
9 センサ装置
10、11 連結部
12 プロセッサ
13 メモリ
14 音声発生装置
15 スピーカ
16 インタフェース
17、18 送信および受信装置
19 記録および/または監視システム
図1
図2