特許第5975303号(P5975303)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 岩崎電気株式会社の特許一覧

特許5975303LEDランプ及びそれに使用するヒートシンク
<>
  • 特許5975303-LEDランプ及びそれに使用するヒートシンク 図000002
  • 特許5975303-LEDランプ及びそれに使用するヒートシンク 図000003
  • 特許5975303-LEDランプ及びそれに使用するヒートシンク 図000004
  • 特許5975303-LEDランプ及びそれに使用するヒートシンク 図000005
  • 特許5975303-LEDランプ及びそれに使用するヒートシンク 図000006
  • 特許5975303-LEDランプ及びそれに使用するヒートシンク 図000007
  • 特許5975303-LEDランプ及びそれに使用するヒートシンク 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5975303
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】LEDランプ及びそれに使用するヒートシンク
(51)【国際特許分類】
   F21K 9/232 20160101AFI20160809BHJP
   F21K 9/00 20160101ALI20160809BHJP
   F21V 29/74 20150101ALI20160809BHJP
   F21V 29/67 20150101ALI20160809BHJP
   F21V 3/00 20150101ALI20160809BHJP
   F21V 29/83 20150101ALI20160809BHJP
   H01L 33/64 20100101ALI20160809BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20160809BHJP
【FI】
   F21K9/232 100
   F21K9/00 100
   F21V29/74
   F21V29/67 100
   F21V3/00 340
   F21V29/83
   H01L33/64
   F21Y115:10
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-37947(P2014-37947)
(22)【出願日】2014年2月28日
(65)【公開番号】特開2015-162413(P2015-162413A)
(43)【公開日】2015年9月7日
【審査請求日】2016年2月19日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000192
【氏名又は名称】岩崎電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135965
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 要泰
(74)【代理人】
【識別番号】100100169
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 剛
(72)【発明者】
【氏名】杉尾 匠史郎
(72)【発明者】
【氏名】丸田 晃三
【審査官】 鈴木 重幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−135181(JP,A)
【文献】 特開2013−065436(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第102518961(CN,A)
【文献】 特表2013−524412(JP,A)
【文献】 特開2013−020953(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/021087(WO,A1)
【文献】 特開2012−164512(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0059559(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0268936(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0250578(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0193139(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0055909(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0052175(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00−19/00
F21V23/00−99/00
H05K 7/20
H01L33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口金と、中心軸線に沿って延びる貫通孔を有する筒状のヒートシンクと、該ヒートシンクの側面に配置された基板と、該基板に装着されたLED素子と、前記口金と前記ヒートシンクの間に配置された冷却ファンと、該冷却ファンを覆う筐体と、前記基板と前記LED素子を覆う透光性のカバーと、を有し、前記冷却ファンの中心軸線と前記ヒートシンクの中心軸線はランプの中心軸線に整合しており、
前記冷却ファンはモータと該モータの周囲に形成された環状の空気流路と該空気流路に設けられた回転羽根を有する軸流ファンであり、
前記ヒートシンクは、同心状に配置された内側筒状部と外側筒状部を有し、前記内側筒状部の内側に中心貫通孔が形成され、前記内側筒状部と前記外側筒状部の間に管状貫通孔が形成され、前記中心貫通孔は前記モータに対応して配置され、前記管状貫通孔は前記環状の空気流路に対応して配置され、前記中心貫通孔の断面の寸法は前記モータの断面の寸法に対応しており、前記管状貫通孔の断面の寸法は前記環状の空気流路の断面の寸法に対応していること特徴とするLEDランプ。
【請求項2】
請求項1記載のLEDランプにおいて、
前記カバーは、前記ヒートシンクを覆うように形成され、前記口金と反対側の端部に空気排出孔を有し、前記冷却ファンからの冷却用空気は、前記ヒートシンクの管状貫通孔を通り前記カバーの空気排出孔を経由して外部に導かれるように構成されていることを特徴とするLEDランプ。
【請求項3】
請求項1又は2記載のLEDランプにおいて、
前記カバーは、前記中心貫通孔のトップ側端部を塞ぐように構成されていることを特徴とするLEDランプ。
【請求項4】
請求項2又は3記載のLEDランプにおいて、
前記冷却ファンの空気流路と前記管状貫通孔と前記カバーの空気排出孔はランプの中心軸線に平行な軸線に沿って一直線状に延びていることを特徴とするLEDランプ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項記載のLEDランプにおいて、
前記内側筒状部と前記外側筒状部の間に放射部が配置され、該放射部は円周方向に沿って等角度間隔に配置されていることを特徴とするLEDランプ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項記載のLEDランプにおいて、
前記外側筒状部の内面にフィンが形成されていることを特徴とするLEDランプ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項記載のLEDランプにおいて、
前記ヒートシンクは押出一体成形品であること特徴とするLEDランプ。
【請求項8】
モータと回転羽根を有する軸流ファン型の冷却ファンを備えたLEDランプ用のヒートシンクにおいて、
内側筒状部と、該内側筒状部を囲むように且つ該内側筒状部と同心的に配置された外側筒状部と、前記内側筒状部と前記外側筒状部の間に放射状に設けられた放射部とを有し、前記外側筒状部の外面にLED素子を備えた基板が装着され、前記内側筒状部によって軸線方向に延びる中心貫通孔が形成され、前記内側筒状部と前記外側筒状部の間に軸線方向に延びる管状貫通孔が形成され、
前記中心貫通孔の断面の寸法は前記モータの断面の寸法に対応しており、前記管状貫通孔の断面の寸法は前記モータの周囲の環状の空気流路の断面の寸法に対応していること特徴とするヒートシンク。
【請求項9】
請求項8記載のヒートシンクにおいて、
前記外側筒状部の内面にフィンが設けられていることを特徴とするヒートシンク。
【請求項10】
請求項8又は9記載のヒートシンクにおいて、
押出一体成形品であること特徴とするヒートシンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDランプ及びそれに使用するヒートシンクに関し、特に、冷却ファンを備えた電球型のLEDランプに関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(以下、LED:Light Emitting Diode)を光源とするLEDランプが広く普及している。近年、LEDランプの用途の拡大に伴って、LEDランプの高出力化及び高電力化が求められている。LEDランプは、放電ランプと比較して高い発光効率を有する利点があるが、LEDが高温化すると、発光効率が低下する欠点がある。そこで、LEDの高温化を防止するために様々な手段が講じられている。例えば、LEDを冷却するための冷却ファンを設ける。
【0003】
特許文献1〜5には、電球型のLEDランプの例が記載されている。これらのLEDランプでは、ランプの中心軸線に垂直な円形の基板にLED素子が装着されている。基板の背後には円形のヒートシンクが設けられている。冷却ファンは口金側に設けられている。
【0004】
特許文献6には、ランプの中心軸線に平行な角柱型の基板にLED素子が装着されたLEDランプの例が記載されている。ガス流加速用ファンは口金とは反対側のトップ側に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-265892号公報
【特許文献2】特開2010-108774号公報
【特許文献3】特開2012-190557号公報
【特許文献4】特開2012-243525号公報
【特許文献5】特開2013-065436号公報
【特許文献6】特開2012-156036号公報
【特許文献7】特開2012-226960号公報
【特許文献8】特開2013-020953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
冷却ファンの性能が低下すると、LEDが高温化し発光効率が低下する。冷却ファンの性能低下は、モータの潤滑油の劣化に起因する場合が多い。潤滑油の劣化は高温では加速される。特許文献7には、冷却ファンの信頼性を向上させるための手段として空気制御部を設けたLED照明装置が記載されている。特許文献8にはバルーン型投光器の筒状放熱器の例が記載されている。
【0007】
本発明の目的は、LEDの発光効率を向上させると同時に、冷却ファンによる冷却効果を高めることによって、高電力且つ高出力が可能な電球型のLEDランプ及びそれに使用するヒートシンクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態によると、LEDランプは、口金と、中心軸線に沿って延びる貫通孔を有する筒状のヒートシンクと、該ヒートシンクの側面に配置された基板と、該基板に装着されたLED素子と、前記口金と前記ヒートシンクの間に配置された冷却ファンと、該冷却ファンを覆う筐体と、前記基板と前記LED素子を覆う透光性のカバーと、を有し、前記冷却ファンの中心軸線と前記ヒートシンクの中心軸線はランプの中心軸線に整合しており、
前記ヒートシンクは、同心状に配置された内側筒状部と外側筒状部を有し、前記内側筒状部の内側に中心貫通孔が形成され、前記内側筒状部と前記外側筒状部の間に管状貫通孔が形成されるように構成されている。
【0009】
本実施形態によると前記LEDランプにおいて、前記冷却ファンはモータと該モータの周囲に形成された環状の空気流路と該空気流路に設けられた回転羽根を有する軸流ファンであり、前記中心貫通孔は前記モータに対応して配置され、前記管状貫通孔は前記環状の空気流路に対応して配置されてよい。
【0010】
本実施形態によると前記LEDランプにおいて、前記カバーは、前記ヒートシンクを覆うように形成され、前記口金と反対側の端部に空気排出孔を有し、前記冷却ファンからの冷却用空気は、前記ヒートシンクの管状貫通孔を通り前記カバーの空気排出孔を経由して外部に導かれるように構成されてよい。
【0011】
本実施形態によると前記LEDランプにおいて、前記カバーは、前記中心貫通孔のトップ側端部を塞ぐように構成されてよい。
【0012】
本実施形態によると前記LEDランプにおいて、前記冷却ファンの空気流路と前記管状貫通孔と前記カバーの空気排出孔はランプの中心軸線に平行な軸線に沿って一直線状に延びてよい。
【0013】
本実施形態によると前記LEDランプにおいて、前記内側筒状部と前記外側筒状部の間に放射部が配置され、該放射部は円周方向に沿って等角度間隔に配置されてよい。
【0014】
本実施形態によると前記LEDランプにおいて、前記外側筒状部の内面にフィンが形成されてよい。
【0015】
本実施形態によると前記LEDランプにおいて、前記ヒートシンクは押出一体成形品であってよい。
【0016】
本実施形態によると冷却ファンを備えたLEDランプ用のヒートシンクにおいて、
内側筒状部と、該内側筒状部を囲むように且つ該内側筒状部と同心的に配置された外側筒状部と、前記内側筒状部と前記外側筒状部の間に放射状に設けられた放射部とを有し、前記外側筒状部の外面にLED素子を備えた基板が装着され、前記内側筒状部によって軸線方向に延びる中心貫通孔が形成され、前記内側筒状部と前記外側筒状部の間に軸線方向に延びる管状貫通孔が形成されるように構成されている。
【0017】
本実施形態によると前記ヒートシンクにおいて、前記中心貫通孔は前記冷却ファンのモータに対応するように形成され、前記管状貫通孔は前記冷却ファンのモータの周囲に形成された環状の空気流路に対応するように形成されてよい。
【0018】
本実施形態によると前記ヒートシンクにおいて、前記外側筒状部の内面にフィンが設けられてよい。
【0019】
本実施形態によると前記ヒートシンクLEDランプにおいて、押出一体成形品であってよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、LEDの発光効率を向上させると同時に、冷却ファンによる冷却効果を高めることによって、高電力且つ高出力が可能なLEDランプ及びそれに使用するヒートシンクを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1A図1Aは、本実施形態に係るLEDランプの構成例を説明する斜視図である。
図1B図1Bは、本実施形態に係るLEDランプの構成例を説明する斜視図である。
図2図2は、本実施形態に係るLEDランプの分解斜視図である。
図3図3は、本実施形態に係るLEDランプにおける冷却用空気流を説明する説明図である。
図4図4は、本実施形態に係るLEDランプのヒートシンクの構造を説明する斜視図である。
図5図5は、本実施形態に係るLEDランプのヒートシンクの軸線方向に沿った断面構造を説明する説明図である。
図6図6は、本実施形態に係るLEDランプのヒートシンクの軸線方向に垂直な平面構成を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係るLEDランプの実施形態に関して、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中、同一の要素に対しては同一の参照符号を付して、重複した説明を省略する。
【0023】
図1A及び図1Bを参照して本実施形態に係るLEDランプの例を説明する。LEDランプ10は、口金13と、口金13に接続された連結部材19と、連結部材19に装着された筐体20と、筐体20に取り付けられた円筒状の透光性のカバー31とを有する。筐体20は、接続部21とファン収納部23を含む。接続部21は、外径が比較的小さい連結部材19と外径が比較的大きいファン収納部23を接続する。ファン収納部23の円周状の縁にカバー31が接続されている。カバー31とファン収納部23によって、略円筒状の内部空間が形成される。本実施形態に係るLEDランプは所謂電球型である。LEDランプの内部構造は、図2を参照して説明する。
【0024】
図1Aに示すように、ファン収納部23に空気吸入孔231、232が形成されている。図1Bに示すように、カバー31のトップ側端部には空気排出孔32が形成されている。
【0025】
図2を参照して、本実施形態に係るLEDランプの内部構造を詳細に説明する。カバー31とファン収納部23によって形成された内部空間に、ヒートシンク11と冷却ファン15が配置されている。冷却ファン15は口金13とヒートシンク11の間に配置されている。ヒートシンク11と冷却ファン15の間に、リング状の断熱部材17が装着されている。断熱部材17によって、ヒートシンク11の熱が冷却ファンのモータ15に伝達されることが阻止される。
【0026】
ヒートシンク11は、カバー31の内部に配置されている。ヒートシンク11は筒状又は柱状であり、その中心軸線(対称軸)は、LEDランプの中心軸線に整合している。ヒートシンク11の各側面に基板30Bが装着されている。ヒートシンク11は基板を支持する支持体としても機能する。基板30Bは細長い矩形であってよい。本実施形態では、基板30Bは、LEDランプの中心軸線に平行に且つそれを囲むように配置されている。基板30B上には、複数のLED素子30Aが整列して装着されている。図示の例では、ヒートシンク11は8角柱状であるが、4角柱状等の多角柱状であってもよい。
【0027】
ヒートシンク11は、熱伝導性が高い金属、例えば、銅、アルミニウム合金、等によって構成される。ヒートシンク11の内部には軸線方向に沿って貫通孔111が形成されている。この貫通孔の内面には、薄い板状の多数の放熱用のフィンが設けられている。フィンは、貫通孔の軸線方向に沿って全長に渡って延びている。フィンの形状は特に限定されない。
【0028】
冷却ファン15は、略円筒形状のファン収納部23の内部に配置されている。冷却ファン15の中心軸線(回転軸線)は、LEDランプの中心軸線に整合している。冷却ファン15は、典型的にはケーシングとモータとファンを有する軸流ファンである。モータは、直流ブラシレスモータであってよい。モータの周囲に環状の空気流路が形成される。この空気流路に回転羽根が配置されている。
【0029】
LEDランプの内部には、LED素子30A及び冷却ファン15に接続されたリード線が設けられているが、ここでは図示を省略している。
【0030】
図3を参照して、本実施形態に係るLEDランプの空冷システムを説明する。本実施形態によると、接続部21は、ファン収納部23に接続されたトップ側端部21aと連結部材19に接続された口金側端部21bとを有し、トップ側端部21aの外径は口金側端部21bの外径より小さい。即ち、接続部21の外形は、口金側からトップ側に向かって細くなっている。ファン収納部23は円筒部23Aと底面部23Bを有し、略円筒容器の形状を有する。ファン収納部23の底面部23Bの外径は、接続部21のトップ側端部21aより大きい。即ち、ファン収納部23の底面部23Bは、接続部21のトップ側端部21aを囲む環状に形成されている。
【0031】
ファン収納部23の円筒部23Aに第1の空気吸入孔231が形成され、ファン収納部23の底面部23Bに第2の空気吸入孔232が形成されている。カバー31のトップ側端部には空気排出孔32が形成されている。ファン収納部23とカバー31によって形成される内部空間は、空気吸入孔231、232と空気排出孔32によって外部空間に接続されている。
【0032】
上述のように、ヒートシンク11の内部には軸線方向に沿って貫通孔111が形成されている。貫通孔111の断面は、円形であってよいが、方形であってもよい。貫通孔111の中心軸線(回転軸線)は、LEDランプの中心軸線に整合している。貫通孔111は、冷却ファン15側の第1の開口とトップ側の第2の開口を有し、2つの開口の間は密閉空間を形成している。図示のように、冷却ファン15側の第2の開口は、カバー31によって閉鎖されてよい。
【0033】
冷却ファン15は、円柱形状のモータ15Aとケーシング15Bを有し、モータ15Aの周囲に環状の空気流路151が形成される。この空気流路151に回転羽根が配置されている。ファン収納部23の円筒部23Aの内面とケーシング15Bの外面の間に部品用空間23Cが形成されている。部品用空間23Cに、ファン駆動用の回路部品、ケーブル類等が配置されている。
【0034】
ヒートシンク11の貫通孔111と冷却ファン15の環状の空気流路151は、整合して配置されている。更に、ファン収納部23の底面部23Bの第2の空気吸入孔232は、冷却ファン15の環状の空気流路151に接続されている。カバー31の空気排出孔32、ヒートシンク11の貫通孔111、冷却ファン15の環状の空気流路、及び、ファン収納部23の第2の空気吸入孔232は、LEDランプの中心軸線に沿って、且つそれを囲むように整合して配置されている。即ち、カバー31の空気排出孔32、ヒートシンク11の貫通孔111、冷却ファン15の環状の空気流路151、及び、ファン収納部23の第2の空気吸入孔232は、LEDランプの中心軸線に沿って一直線状に延びる空気流路を形成する。更に、ファン収納部23の円筒部23Aの第1の空気吸入孔231は、部品用空間23Cを介して冷却ファン15の環状の空気流路151に接続されている。
【0035】
冷却ファン15を回転させると、環状の空気流路151に軸線方向の冷却用空気流が形成される。矢印は、冷却用空気流の経路を示す。ファン収納部23の空気吸入孔231、232を経由して、外部空間から冷却ファン15の環状の空気流路151に比較的温度が低い空気が流れ込む。冷却用空気は、冷却ファン15を貫通し、ヒートシンク11の貫通孔111に導かれる。冷却用空気は、第1の開口から貫通孔111に入り、第2の開口から出る。本実施形態のLEDランプでは、冷却用空気は、LEDランプの中心軸線に沿って、冷却ファン15からトップ側に向けて流れる。冷却後の比較的温度が高い空気は、カバー31の空気排出孔32を経由してLEDランプ10の外部に排出される。
【0036】
冷却用空気がヒートシンク11の貫通孔111に接触すると熱交換が行われ、冷却用空気はヒートシンク11より熱を奪う。本実施形態では、ヒートシンク11の貫通孔111は、両端の開口を除いて、密閉空間を有するから、冷却ファン15からの冷却用空気は全てヒートシンク11の貫通孔111内を通過し、ヒートシンク11の冷却に使用される。従って、ヒートシンク11を効率的に冷却することができる。こうして、LED30が高温となることはない。
【0037】
本実施形態のLEDランプ10では、ファン収納部23の円筒部23A及び底面部23Bに設けられた空気吸入孔231、232から外部の空気が取り入れられて、ヒートシンク11の冷却用空気として用いられる。従って、ヒートシンク11及びそれに装着されたLED素子30Aを効果的に冷却することができる。
【0038】
本実施形態のLEDランプ10では、接続部21のトップ側端部21aの外径が比較的小さく形成されているため、ファン収納部23の第2の空気流入孔232の面積を大きくとれる。そのため、外部の空気を取り込み易くなる。また、接続部21の口金側端部21bの外径が比較的大きく形成されているため、接続部21と連結部19及び口金13の間の取り付け強度を大きくすることができる。そのため、ランプの取り付け取り外しにおける口金13の破損等を防止できる。
【0039】
更に、外部の空気は、先ず、ファン収納部23の内部に導かれる。従って、外部からの比較的低温の空気は、ファン収納部23に収納された冷却ファン15ばかりでなく、そこに配置された回路部品等に接触する。従って、冷却ファン15のモータ15Aばかりでなく、回路部品等の高温化を回避することができる。従って、冷却ファンのモータの潤滑油の劣化に起因する冷却ファンの性能低下を回避することができる。回路部品等の高温化に起因した劣化及び誤作動を防止することができる。
【0040】
図4を参照して本実施形態のヒートシンクの構造の例を説明する。図4は、本実施形態のLEDランプの内部空間に装着されたヒートシンク11、断熱部材17及び冷却ファン15を取り出した状態にて示す。本実施形態のヒートシンク11は、中心の内側筒状部11Aと、その周りに同心状に配置された外側筒状部11Bと、両者の間に設けられた板状の放射状部11Cを有する。外側筒状部11Bの内面には、板状の多数の放熱用のフィン113が形成されている。外側筒状部11Bの外面115には、基板30B(図2)が装着される。
【0041】
本実施形態では、内側筒状部11Aは円形断面の管状又は筒状に形成されているが、多角形断面の管状又は筒状に形成されてもよい。本実施形態では外側筒状部11Bは、正八角形断面の管状又は筒状に形成されているが、四角形断面、六角形断面等の多角形断面の管状又は筒状に形成されてよい。放射状部11Cは、内側筒状部11Aと外側筒状部11Bの間に、円周方向に沿って等角度間隔に設けられている。放射状部11Cは、内側筒状部11Aの外面から外側筒状部11Bの内面の角部まで放射状に延びている。
【0042】
上述のように、ヒートシンク11には、冷却ファン15側の第1の端部からトップ側の第2の端部まで軸線方向に延びる貫通孔111が形成されている。貫通孔111は、内側筒状部11Aによって形成された中心貫通孔111Aと、内側筒状部11Aと外側筒状部11Bの間に形成された管状貫通孔111Bを有する。中心貫通孔111Aには流速が比較的小さい微風冷却空気流が形成され、管状貫通孔111Bには流速が比較的大きい強風冷却空気流が形成される。管状貫通孔111Bは放射状部11Cによって8つのセグメントに分割されている。各セグメントは略台形又は略扇形の断面形状を有する。
【0043】
図5はヒートシンク11、断熱部材17及び冷却ファン15の軸線方向に沿った断面構造を示す。中心貫通孔111A、管状貫通孔111B、放射状部11C及びフィン113は、ヒートシンク11の冷却ファン15側の第1の端部からトップ側の第2の端部まで軸線方向に沿って全長に渡って延びている。
【0044】
冷却ファン15は、円柱形状のモータ15Aとケーシング15Bを有する軸流ファンであり、モータ15Aの周囲に環状の空気流路151が形成される。環状の空気流路151には回転羽根が設けられているが、ここではその図示を省略している。モータ15Aは中心貫通孔111Aに対応して配置されている。即ち、内側筒状部11Aの外径はモータ15Aの外径は略等しい。環状の空気流路151は管状貫通孔111Bに対応して配置されている。上述のように、冷却ファン15の環状の空気流路151は、ヒートシンク11の管状貫通孔111Bに接続され、ランプの中心軸線に平行な連続的な一直線状の冷却空気流路を形成する。
【0045】
本実施形態では、ヒートシンク11と冷却ファン15の間にリング状の断熱部材17が装着されている。従って、内側筒状部11Aの冷却ファン15側の第1の端部とモータ15Aの間に僅かな隙間171が形成されている。この隙間171の厚さは、断熱部材17の厚さに対応している。この隙間171を介して、中心貫通孔111Aと冷却ファン15の環状の空気流路151は接続されている。
【0046】
冷却ファン15を回転させると、環状の空気流路151に軸線方向の冷却用空気流が形成される。冷却用空気の大部分又は殆どは、管状貫通孔111Bに導かれる。冷却用空気の残余又は僅かな部分は、隙間171を経由して、中心貫通孔111Aに導かれる。管状貫通孔111Bに導かれた冷却用空気は外側筒状部11B及びフィン113に直接接触し、そこから熱を奪う。外側筒状部11Bの外面115に装着された基板30B上のLED素子30Aが冷却される。中心貫通孔111Aに導かれた冷却用空気は外側筒状部11Bに接触しないが、内側筒状部11Aに直接接触し、そこから熱を奪うと同時に中心貫通孔111A内の空気を押し出し、置換する。
【0047】
図6を参照して本実施形態のヒートシンク11の平面構成を説明する。本実施形態のヒートシンク11の断面は、円形の内側筒状部11Aと、正八角形の外側筒状部11Bと、放射状に延びる放射状部11Cを有する。外側筒状部11Bの内面には複数のフィン113が設けられている。フィン113は、外側筒状部11Bの内面に対して垂直に内方に突出している。図示の例では、外側筒状部11Bの各内面に4本のフィン113が設けられているが、フィン113の数及び高さは特に限定されない。外側筒状部11Bの各外面115に基板30Bが装着され、そこにLED素子30Aが装着されている。
【0048】
外側筒状部11Bの外面の各頂点には凹部117が形成されている。凹部117はヒートシンク11の冷却ファン15側の第1の端部からトップ側の第2の端部まで軸線方向に沿って全長に渡って延びている。凹部117の断面は円形の一部分である。放射状部11Cは、内側筒状部11Aの外面から凹部117の外面まで放射状に延びている。本実施形態のヒートシンク11は押し出し成形によって形成される一体成形品である。従って、長尺の成形品が安価に製造することが可能である。尚、凹部117を設けることによって押し成形加工が容易化される。
【0049】
以上、本実施形態に係るLEDランプ及びそれを使用するヒートシンクについて説明したが、これらは例示であって、本発明の範囲を制限するものではない。当業者が、本実施形態に対して容易になしえる追加・削除・変更・改良等は、本発明の範囲内である。本発明の技術的範囲は、添付の特許請求の記載によって定められる。
【符号の説明】
【0050】
10…LEDランプ、11…ヒートシンク、11A…内側筒状部、11B…外側筒状部、11C…放射状部、13…口金、15…冷却ファン、17…断熱部材、19…連結部材、20…筐体、21…接続部、21a…トップ側端部、21b…口金側端部、23…ファン収納部、23A…円筒部、23B…底面部、23C…部品用空間、30…LED、30A…LED素子、30B…基板、31…カバー、32…空気排出孔、111…貫通孔、111A…中心貫通孔、111B…管状貫通孔、113…フィン、115…外面、117…凹部、151…空気流路、231、232…空気吸入孔
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6