(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1に記載の方法であって,前記金融仲介機関が,代理投票指示を受けていない自身の有する前記企業の代理権よりも多くの企業の代理権を割り当てることができず,請求項1に記載の各ステップが,複数の金融仲介機関について実行される,方法。
請求項2に記載の方法であって,前記プロセッサが,投票される前記金融仲介機関の未投票の代理権の数を最大にする線形プログラミング最適化モデルの実行にもとづいて,前記金融仲介機関の未投票の代理権の数の少なくとも一部を割り当てる,方法。
請求項6に記載の方法であって,前記プロセッサが,前記仲介人が代理投票指示を受けないであろう前記会社株式の数を,仲介人の所有株式の数,仲介人の顧客のロングシェアの数,仲介人の顧客のマージンシェアの数,仲介人の顧客ベースの種類および所有の投票の選好の指標,代理権の係争性の指標,および会社株式の貸付けの市場価格で構成されるグループから選択されるパラメータについて,重回帰分析を実行することで予測する,方法。
請求項6に記載の方法であって,前記複数の貸し手と前記仲介人との間の,前記会社株式について予定される貸付けの配分が,貸し手へと割り当てることができる仲介人の未投票の代理権の数を最大にする線形プログラミング最適化モデルの実行にもとづいており,前記複数の貸し手および前記仲介人の間の前記会社株式の実際の貸付けの配分とは異なる,方法。
請求項6に記載の方法であって,前記予定される貸付けの配分からもたらされる新たな貸付けが,標準的な有価証券の貸付価格,貸付集中,および他の市場統計との調和を保証するために前記プロセッサによって見直される,方法。
請求項11に記載のシステムであって,前記金融仲介機関が,代理投票指示を受けていない自身の有する前記企業の代理権よりも多くの企業の代理権を割り当てることができず,前記プロセッサが,複数の金融仲介機関について前記決定を行う,システム。
請求項12に記載のシステムであって,前記プロセッサが,投票される前記金融仲介機関の未投票の代理権の数を最大にする線形プログラミング最適化モデルの実行にもとづいて,前記金融仲介機関の未投票の代理権の数の少なくとも一部を割り当てる,システム。
請求項16に記載のシステムであって,前記プロセッサが,前記仲介人が代理投票指示を受けないであろう前記会社株式の数を,仲介人の所有株式の数,仲介人の顧客のロングシェアの数,仲介人の顧客のマージンシェアの数,仲介人の顧客ベースの種類および所有の投票の選好の指標,代理権の係争性の指標,および会社株式の貸付けの市場価格で構成されるグループから選択されるパラメータについて,重回帰分析を実行することで予測する,システム。
請求項16に記載のシステムであって,前記複数の貸し手と前記仲介人との間の前記会社株式の貸付けについて予定される貸付けの配分が,貸し手へと割り当てることができる仲介人の未投票の代理権の数を最大にする線形プログラミング最適化モデルの実行にもとづいており,前記複数の貸し手および前記仲介人の間の前記会社株式の実際の貸付けの配分とは異なる,システム。
請求項16に記載のシステムであって,前記予定される貸付けの配分からもたらされる新たな貸付けが,標準的な有価証券の貸付価格,貸付集中,および他の市場統計との調和を保証するために前記プロセッサによって見直される,システム。
【背景技術】
【0002】
有価証券の貸付けは,後述のように,有価証券の所有者が,種々の理由でその有価証券を使用しうる仲介借用者にその有価証券を貸し付ける,金融市場における取引である。借用者は,貸付けを安全なものにするために,担保(現金または他の有価証券)を貸し手に引き渡す。貸し手は,通常は,貸付けの条件を仲介人と交渉するため,担保を運用するため,および貸付け計画のリスクを管理するために,有価証券の貸付けの代理人に接触する。有価証券の貸付けの市場は,株式および金融派生商品の流通市場と並んで数百年にわたって存在してきており,種々の政府規制官庁によって監督されている。
【0003】
しかしながら,有価証券の貸付けの1つの欠点は,株主総会(corporate elections)における議決権(right to vote shares)が,貸付けに伴って貸し手の元から離れる点にある。したがって,自身の株式を貸し付けた所有者は,代理人集会(proxy events)における投票権を失う。貸し手が投票権を取り戻すことができる唯一の手段は,有価証券を回収して貸付けを終了させることであるが,貸付けに関連する収益が失われてしまう。
【0004】
仲介人は,典型的には,有価証券の売買の連鎖の中断を防止し,あるいは空売りを賄うために,有価証券を借用する。例えば,仲介販売人は,自身の顧客または投機家が株式市場において購入した有価証券を受け取ることができない場合,会社の売り上げについて引き渡しを行うことができない可能性がある。そのような引き渡しの不履行を避けるために,仲介人は,有価証券の借用を手配し,借用した有価証券を有価証券の引き渡しを処理するために使用することができる。
【0005】
株式を借用するために,仲介人は,種々の有価証券貸付け元にアクセスすることができる。有価証券を,仲介人の取引,値付け,およびヘッジ取引から生成された仲介人の自身の所有財産から借用することができる。株式を,証拠金融資の関係の条件として有価証券の貸付けに同意したヘッジファンドなどの仲介人のマージンカスタマー(margin customers)から借用することもできる。しかしながら,多くの場合,内部での調達は不充分であり,仲介人は,他の仲介人または機関投資家から株式を借用しなければならない。
【0006】
株式の借用について,最も信頼できる調達先は,長期の機関投資家である。機関投資家および仲介人の間のマスター有価証券貸付け契約(master securities lending contract)のもとで借用されるこれらの持ち高は,最も安定になる傾向にある。対照的に,証拠金勘定(margin accounts)または他の仲介人から借用される有価証券は,会社自身の受け取り失敗が増加しうるのとちょうど同じように,特に市場活動が急激に成長する場合には,不意に返却しなければならない可能性がある。したがって,機関投資家による有価証券の貸付けが,仲介人にとってきわめて望ましいだけでなく,活発な株式市場が安定に機能するための重要な貢献因子でもある。
【0007】
しかしながら,機関投資家および,仲介人にとって契約上の貸し手でもある,他の受益権所有者の両者に関し,両者の有価証券が引き渡しの目的のために組み合わせて使用されることが多いにもかかわらず,仲介人は,現在のところ,機関投資家に,仲介人にとって契約上の貸し手でもある他の受益権所有者に与えているものと同じ代理投票(proxy voting)の特権を与えていない。例えば,マージンカスタマー(margin customers)は,多くの場合,貸付けをしている有価証券に関して代理投票を行うことができる。結果として,機関投資家は,代理投票を行うために貸付けをしている株式を回収しなければならず,仲介人および金融市場の安定性が乱される結果となる。
【0008】
さらに,借用している有価証券の投票権が仲介人のマージンカスタマーに与えられる一方で,機関投資家には与えられないことで,企業の利害における不均衡が生じる可能性がある。例えば,活動家ヘッジファンドは,仲介人によって部分的に資金提供された証拠金勘定を通じて株式を購入することができる。少ないコストで持ち高を築いた後で,ヘッジファンドのマネージャは,合併および事業の売却などといった企業の活動について,自身が株式を貸し付けている企業の経営者,取締役会,従業員,労働組合,および機関投資家の長期的な経済的利益に実際には反するおそれのあるやり方で,賛成票または反対票を投じることができる。さらに,活動家ヘッジファンドは,オプション,スワップ,および他の金融派生商品の使用を通じて,企業における自身の経済的利益を,中立的にし,または逆にすることができる。これは,研究者らによって「エンプティボーティング(empty voting)」と呼ばれている。
【0009】
したがって,これらの欠点および他の欠点に対処するために,貸し手の指示による投票を提供するためのシステムおよび方法が必要とされている。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は,現在使用されている貸付け開始プロセスを示している。図示のとおり,貸し付けられた有価証券は,最終的に,有価証券の空売りのサポートなどの目的で,仲介人103にとって利用可能になる。最初に,貸し手101が,有価証券を仲介人103に貸し付ける(すなわち,融資供与を提供する)ために代理人102に利用させる。この貸出しのプロセスにおいて,貸し手101は,投票権を手放し,投票権は,ステップ111において貸し付けられる有価証券とともに移転される。代理人102は,仲介人103と貸付けの条件(例えば,量,価格,担保)を交渉し,次いでステップ112において有価証券および投票権を仲介人103に引き渡す。ステップ113において,仲介人103は,担保を代理人102に引き渡し,代理人102が,通常は1回以上のステップ114において貸し手101の代理として担保(投資の現金を含む)を担保プール105において管理する。仲介人103は,金融市場106への空売りの取引116の実行などの種々の目的のために他者へと有価証券を引き渡し,担保のためにステップ117において金融市場106から現金を生成する。投票権は,有価証券の最終的な受取人へと移転され,したがって仲介人103によって保持されることはない。また,仲介人103は,有価証券の貸付けの条件を代理人102と交渉する。
【0038】
今日では,有価証券の貸付けにおけるすべての取引は,ネットワークを介して互いに接続されたコンピュータシステムによって実行可能であり,通常はそのようなコンピュータシステムによって実行されている。これが,ステップ111,112,113,114,115,116,117,および118が,いずれもネットワーク209(インターネットであってよい)へと接続された貸し手のコンピュータ201,代理人のコンピュータ202,仲介人のコンピュータ203,担保プールのコンピュータ205,および金融市場の参加者のコンピュータ206間の資金の振替および有価証券の引渡しならびに他の権利の移転を含む,電子メッセージ通信によって実行される
図2に示されている。さらに,参加中の接続されたコンピュータ間のメッセージの電子的なやり取りをサポートし,可能にするサーバ208が,ネットワーク209に接続されている。本発明の一実施形態においては,サーバ208が,1つ以上のデータベースを提供する。本発明のさらなる実施形態においては,データベースが,システムに関係するコンピュータへと分配された分散型データベースである。そのような分散システムにおいては,本発明の一態様による指示を実行するプロセッサは,必要なステップを実行するために,単一のサーバ上のデータベースまたは分散型データベースへとアクセス可能である。
【0039】
上述のとおりのステップ,および後述される本発明のステップを,
図3に示されるとおりのシステムまたはコンピュータデバイスによって実行することができる。システムには,入力1206においてもたらされ,メモリまたはストレージデバイス1201に保存されるデータが供給される。本発明の方法を実行するメモリまたはストレージデバイスにやはり保存されたインストラクションセットまたはプログラム1202に,データ1201へと適用された1202の指示を処理することができるプロセッサ1203のデータが供給され,そのようなデータと組み合わせられる。プロセッサからもたらされるあらゆる信号は,デバイス1204上に出力され得る。そのようなデバイスは,例えば表示装置であってよい。しかしながら,或る動作の状況において,そのようなデバイスは,ネットワークまたは他のコンピュータデバイスへのネットワーク接続へとメッセージをもたらすための出力装置であってもよい。本発明のさらなる実施形態においては,1204が,後の取り出しのためにデータを保持するストレージデバイスまたはメモリを備えてもよい。プロセッサは,専用のハードウェアであってよい。しかしながら,プロセッサは,1202の指示を実行することができるCPUまたは任意の他のコンピュータデバイスであってもよい。マウス,トラックボール,または他の入力装置などの入力デバイス1205が,ユーザが表示装置上の対象物を選択できるように存在してもよい。入力デバイスは,データを入力するためのキーボードであってもよい。入力デバイスは,指示を開始または停止させ,プロセッサ上のアプリケーションを起動するために使用され得る。本発明のさらなる実施形態において,システムまたはコンピュータデバイスは,例えばネットワークインターフェイスを提供することができるネットワークデバイス1208を介し,ネットワークへと接続1207を介して接続される。したがって,
図3に示したとおりのシステムまたはコンピュータデバイスは,有価証券の貸付けに関する1つ以上の取引の実行,1つ以上のメッセージまたは文書の送信または受信ならびに保存および保持に適用することができる装置を供給する。本発明の一態様によれば,プロセッサは,コンピュータデバイスの一部である。そのようなコンピュータデバイスは,プロセッサを有しており,データの受信,処理およびデータの送信が可能であり,あるいは本発明の機能または方法の少なくともいくつかを実行するように容易に変更,設定,またはプログラムすることができるコンピュータ,サーバ,データベースマシン,携帯電話機,携帯情報端末(PDA),ラップトップ,スマートホン,メディアプレイヤー,タブレット,eリーダー,または任意の他のデバイスであってよい。
【0040】
有価証券の貸付けおよび本発明の任意の他の態様に関するコンピュータ間の取引におけるすべてのステップは,コンピュータまたはデータベースに保存され,検索が可能であるメッセージまたは記録を生成する。データベースは,通常はプロセッサの指揮下でデータの保存およびデータの検索を行う記憶媒体である。データベースに保存されたデータは,プロセッサによってアクセス可能であり,例えばデータベースに保存できる新たなデータを生成するために処理可能である。データベース上のデータを,関連のデータを互いに組み合わせることができるようにする所定のやり方で配置することができ,あるいはデータベース管理および分散型データベース管理の技術分野において公知の任意のやり方で,データをインデキシングまたは前処理することができる。
【0041】
したがって,有価証券の貸付けプロセスの各工程は,
図2に示したようなシステムによって完全には実行されない場合でも,少なくとも
図2に示したようなシステムによって達成される。人間の介入も依然として可能である。しかしながら,すべての参加者がすでに特定されている繰り返しの有価証券の貸付けプロセスにおいては,確実に,プロセスの全体を自動的に実行することができる。ステップを,例えばサーバ208上に位置するビジネスプロセス管理(BPM)プログラムなどの制御プログラムによって必要とされたときに開始することができる。
【0042】
図4は,現在使用されている貸付けの回収および終了のプロセスを示している。貸し手は,貸付けをしている有価証券に関する投票権を行使したいと望む場合,
図4に示されるように貸付けを回収しなければならない。貸し手101が,ステップ311において自身の代理人102へと回収の通知を発行し,次いで代理人102が,ステップ312において担保の投資を金融市場106へと売却し,ステップ313において現金を生み出す。次に代理人102は,ステップ314において担保プール105から担保を引き出し,ステップ315において仲介人103へと回収の通知および担保を渡す。仲介人103は,ステップ316において担保を使用し,ステップ317において金融市場106から有価証券(および,投票権)を購入する。仲介人103が,ステップ318において有価証券(および,投票権)を代理人102に渡し,代理人102が,ステップ319において有価証券(および,投票権)を貸し手101に送る。投票権を確実に手にするために,貸し手は,代理の基準日よりも前に有価証券および投票権を受け取らなければならない。
【0043】
一部の市場は,代理の基準日を有さないが,本発明の目的において機能的に同等である投票締め切り日または他の代理プロセスの節目を有する。したがって,本明細書における基準日への言及は,投票の締め切りまたは同様の期日を含む意図である。
【0044】
現在において,株式の回収(すなわち,有価証券の貸付けの終了)は,貸し手が貸付けをしている株式の投票権を手にするための唯一のやり方である。貸し手および借り手にとって経済的に有益な貸付けを,投票権を取り戻すためだけに解消することは,全く非効率的または費用対効果に劣る。したがって,有価証券の貸付け(特に,株式の貸付け)および投票権の入手のための新規かつ改善された方法および装置が,必要とされている。
【0045】
現在のプロセスのもとでは,金融仲介機関は,有価証券の貸し借りとは無関係に,通常のビジネスの過程において多数の有価証券を取得する。例えば,グローバルカストディアン(global custodian)が,顧客のために多数の有価証券を保持する。仲介人は,自身の有価証券(すなわち,仲介人が自身の資本で購入した有価証券),仲介人の顧客によって購入され,証券取引口座に保持された有価証券,顧客の証拠金勘定において担保に供された有価証券,上場投資信託のためのヘッジとして仲介人によって購入された有価証券,および仲介人の有価証券の貸付けにおいて担保として受け取られた有価証券を保持する。他の金融仲介機関の有価証券としては,中央精算機関に担保として保持された株式が挙げられる。これらの有価証券が,本発明の一実施形態においては,関連の有価証券を管理し,関連の有価証券およびそれらの有価証券の取引に関するデータを保存するデータベース(例えば,仲介人のコンピュータ203の制御または管理下のデータベース)に計上される。
【0046】
さまざまな理由で,金融仲介機関によって保持された一部の有価証券は,株主総会における投票に用いられない可能性がある。例えば,2010年には,米国において,600億株もの株式が投票に用いられていないと推定される。これが1つの理由で,一部の企業は,代理人集会において投票の票数が定足数に足りるようにすることが難しく,あるいは高価につくことを見出している。
【0047】
したがって,本発明の態様によれば,通常であれば投票に用いられることがない金融仲介機関の有価証券が,LDVを通じて有価証券の貸し手へと割り当てることができる。本発明の一態様は,利用可能な(未投票の)代理権を含むすべての株式を包含する。適切な規制による安全手段を伴う変更された規制の条件のもとでは,投票に用いられていない代理権を,有価証券の貸し手にとって投票の目的で利用できるようにすることが可能であると考えられる。さらに,有価証券の貸付けは,さまざまな規制による制限を有するさまざまな地理的領域において充分に確立されて法的に統制された実務である。或る地域において許されている実務が,別の地域においては厳しく制限または禁止されている可能性がある。したがって,本明細書における用語「投票に使用されていない株式」は,本発明の1つ以上の態様の実行または実施において,或る企業に関する投票権を有しており,金融仲介機関が投票を積極的に行うことができるが,そのような権利が積極的には行使されていないすべての株式を意味する意図を有する。
【0048】
本発明の態様によれば,投票可能であるが投票に使用されていない代理権を利用できることで,
図5に示されるように,貸し手が株式の貸付けを回収することなく企業において株式に基づいて投票することを可能にする機会を提供する。本発明の一実施形態において,企業に関する投票権を得るために貸付けを回収するのではなく,貸し手101は,ステップ411および412において仲介人103へと投票の指示を渡す。次いで,仲介人103は,ステップ413においてこれらの投票の指示を仲介人の未投票株式107に適用する。さらに
図5は,貸付けの回収が行われるのであれば逆に行わなければならないいくつかのステップ(例えば,ステップ111,112,113,114,115,116,117,および118)が不変のままであり,有価証券の貸付けの利益がおおむね変わらないままであることも示している。本発明のさらなる実施形態において,貸し手101は,自身の証券保管機関または別の金融仲介機関へと投票の指示を渡し,証券保管機関または金融仲介機関は,そのままであれば投票に使用されない株式へと投票の指示を適用する。
図5に示した各々のステップは,従ってプロセッサによって実行される。
【0049】
本発明の態様によれば,未投票株式が,データベースにプールされる。本発明のさらなる実施形態においては,複数の金融仲介機関または投票可能な未投票株式の出所が,データベースにプールされる。貸し手または貸し手のコンピュータは,例えば代理人または代理人のコンピュータを介して金融仲介機関または金融仲介機関のコンピュータへと投票の指示をもたらす。金融仲介機関のコンピュータが,本発明の一実施形態においては,貸し手が貸し付けている株式の数を確認する。次いで,金融仲介機関のコンピュータまたは別のサーバが,データベース中の,投票に利用することができる未投票の利用可能な株式を特定する。次いで,プロセッサが,貸し手の指示による投票に割り当てることができる企業における未投票株式の数を決定する。本発明の一実施形態において,そのような割当ては,割当てアルゴリズムを実行することによって達成される。さらなる実施形態においては,プロセッサが,同意された株式の数について貸し手の投票の指示を実行するための指示を生成する。
【0050】
さらに,例えば
図2に示したような自動化インフラストラクチャを使用することによって,投票権を得るステップのすべてまたは大部分を,規制による統制に対して開かれた正確な管理を維持しつつ,効率的かつタイムリーな様相で実現することができる。
【0051】
図6に示されるとおり,本発明の一実施形態においては,中央プロセッサ(CP)800(
図2に示したとおりのサーバ208であってよい)およびCPデータベースおよび処理コンピュータ(データベース)801(やはり
図2に示したとおりのサーバ208であってよい)を含むシステムにおいて,種々の出所からのデータをプールすることによって,共通システムが実現される。したがって,貸し手Aおよび貸し手Bなどの複数の貸し手からのデータ,代理人Aおよび代理人Bなどの複数の代理人からのデータ,仲介人Aおよび仲介人Bなどの複数の仲介人からのデータ,ならびに金融市場からのデータを,処理コンピュータおよびCPデータベース801への保存のためにCP800へと入力することができる。
【0052】
本発明の一実施形態においては,データがCP800によって集められ,保存,集合,変換,および処理のためにデータベース801へと移される。データベース801に保存されたデータを,3つの演算「エンジン」(E1,E2,およびE3)において変換および処理し,コンピュータメッセージ通信によって貸し手,代理人,および金融仲介機関へと転送され,好ましくはそれらのコンピュータへと転送される出力を生成することができる。出力として,将来の投票権供給の予測(E1),投票権の需要と供給との間の整合を向上させると考えられる貸付けの配分(E2),および貸し手の投票権需要および貸付量にもとづく貸し手への仲介人の投票権供給割当て(E3)が挙げられる。
【0053】
図7が,E1,E2,およびE3へのデータの流れならびにE1,E2,およびE3の間のデータの流れを決定するためにCP800によって実施することができる論理決定ツリーを示している。CP800が,ステップD1.0において,金融仲介機関の未投票の代理権の数を予測するために必要なデータを集めることによって,LDVプロセスを開始する。次いで,E1がステップD2.0において実行され,予測された代理権キャパシティが,ステップD3において投票権の需要(すなわち,貸付量)と比較される。予測された投票権の供給が,投票権の需要よりも少ない場合には,金融仲介機関が仲介人であるときに,投票権の供給と需要とをより良好に調整するように貸し手および仲介人の間の貸付けの配分が計算される。貸し手および仲介人の制約および選好が,ステップD3.1において収集され,次いで予備的な貸付けの配分が,ステップD3.2においてそれらの制約と比較されることで,新たな貸付けが貸し手および仲介人の選好に矛盾しないことが保証される。制約が満たされた後で,最終的な貸付けの配分が,ステップD3.3において計算される。貸し手および仲介人が,ステップD3.4において貸付けの配分を見直し,(値付け,安定性,などの他の貸付けの因子に鑑みて)有益であると判断されるものを承認する。承認された貸付けの条件が,ステップD3.5において貸し手および仲介人の間で交渉され,それらの条件が,D3.6において業界の水準と比較される。業界の水準に調和する新たな貸付けが,ステップ3.6.1においてLDVプロセスにおける代理権の割当てのために承認される。業界の水準に調和しない貸付け,ならびに貸し手または仲介人の制約または選好に合致しない貸付けは,ステップ3.6.2においてLDV処理に関して拒否される。貸付けが割り当てられた後で,代理権が,ステップD4.0において金融市場の仲介機関から貸し手へと割り当てられる。貸し手は,ステップD5.0において代理投票を望むか否かを決定し,投票を望まない代理があれば,ステップD5.1において他の貸し手へと割り当てる。さらに貸し手は,自身の貸付けをしている株式に相当する充分な投票権が代理権の割当てによってもたらされたか否かをステップ6.0において判断し,代理権の割当てが不充分である場合には,自身の株式のすべてについて代理投票の権利を受け取るように保証するために,ステップD7.0において貸付けを回収することができる。金融仲介機関が,代理権を貸し手へと配分するために,ステップD8.0において貸し手のための代理アカウントを生成する。次いで,貸し手が,ステップD9.0において代理を指示し,その後に票が計算され,ステップD10.0において企業の発行人へと送られる。
【0054】
図8が,データベース801に保存されるデータ要素ならびに3つの演算エンジンの各々に関係してデータベース801のデータについてCP800によって実行される機能を示している。
【0055】
CP800によって集められるデータとして,以下が挙げられる。
【0056】
金融仲介機関の株式。これは,基準日に先立って仲介人または証券保管機関などの金融仲介機関によって保持された株式の数を種々の所有権および勘定の種類によって特定する。データは,CUSIP(および/または,他の有価証券識別子),金融仲介機関の識別子,ならびに所有権,カスタマーロング(customer long),カスタマーマージン,および貸付け担保の株式の数を含む。データは,金融仲介機関の代理権キャパシティを基準日の前に予測するために使用される(エンジン1,プロセス1.0)。データは最初に収集され,次いでプロセス2.0,3.0,および4.0からもたらされる貸付けの配分の後で再び収集される。
【0057】
バロット(ballots)。これは,代理予定項目,ならびに代理サービス提供者の投票の推薦および代理の重要性および係争性の種々の指標を特定する。データは,CUSIP(および/または,他の有価証券識別子),日付,予定項目,代理サービス提供者の推薦,ならびに重要性および係争性の指標を含む。データは,代理権キャパシティを予測するために,投票の需要を決定するために貸し手によって使用され(エンジン1,プロセス1.0),投票権の需要の指定において使用され(プロセス6.0),代理を指示するときに貸し手によって再び使用される(プロセス9.0)。
【0058】
貸し付け。これは,種々の貸し手,代理人,および仲介人の間の未払いの貸付け,ならびにそれらの貸付けの条件,特に貸付けの値付けを特定する。データは,CUSIP(および/または,他の有価証券識別子),日付,受益権所有者,仲介人,代理人,および証券保管機関の識別子,貸し付けられた株式,価値,ならびに担保,リベート/手数料,および担保の種類を含む。データは,代理権キャパシティの予測(エンジン1,プロセス1.0),プロセス3.0において交渉される新たな貸付けの価格の見直し,プロセス6.0および7.0における貸し手の投票権の需要および貸付けの回収の決定,貸し手,仲介人,および証券保管機関への代理権の割当て(エンジン3,プロセス5.0),および貸付けの配分の計上/ファイル保管(プロセス1.0)の場合など,LDVプロセスにおいて繰り返し使用される。データは最初に収集され,次いでプロセス2.0,3.0,および4.0からもたらされる貸付けの配分の後で再び収集され,次いで最後に基準日に収集される。貸付けファイルは,受益権所有者またはその有価証券貸付け代理人によって提出されてよく,あるいは代理人−貸し手ディスクロージャーイニシアティブ(Agent Lender Disclosure Initiative)の一部として受け取られる日々のファイルに含まれる主要な配分情報から仲介人によって提出されてもよい。
【0059】
市場データ。これは,貸付けをしている株式の種々の特徴を特定する。データは,CUSIP(および/または,他の有価証券識別子),ならびに発行人フロート(issuer float),時価総額,出来高,および機関所有を含む。データは,代理権キャパシティおよび有価証券貸付市場における株式の希少性を予測するために使用される(エンジン1,プロセス1.0)。
【0060】
履歴。これは,過去の代理権割当て,代理権キャパシティ,貸付けの配分,および代理権割当てに影響を与えたLDVプロセス変動を特定する。データは,CUSIP(および/または,他の有価証券識別子),受益権所有者,金融仲介機関,および代理人の識別子,基準日前の貸付けおよび担保の株式,会議データが指示されていない株式,投票総数,投票の配分,再配分された/再配分されなかった貸付け,過去の投票配分ポイント(historical vote allocation points),および変動を含む。データは,代理権キャパシティの予測(エンジン1,プロセス1.0)に使用され,代理権割当てのプロセス(エンジン3,プロセス5.0)において長期にわたる貸し手,仲介人,および証券保管機関への代理権の公平な配分を保証するために使用される。プロセス10において記録されたデータが,履歴ファイルを更新するために使用される。
【0061】
制約。これは,そのままであればLDVにおける代理権の割当てを最大にすると考えられる貸付けの配分における制限,ならびに貸付価格の変動の限界を特定する。データは,受益権所有者,仲介人,および代理人の識別子,信用限度,相手方の選好,ならびに貸付け集中/価格差異を含む。データは,プロセス2.0において貸付けの再配分を制限し,プロセス4.0において異常な価格の貸付けが代理権の割当てを受けることを防止するために使用される。
【0062】
代理権キャパシティ。これは,会議日の10日前に始まる金融仲介機関の代理権キャパシティを特定する。データは,CUSIP(および/または,他の有価証券識別子),金融仲介機関の識別子,未指示の株式,および貸付けの担保を含む。データは,基準日の貸付けファイルに含まれる貸付量に調和した貸し手の需要に合致するように代理権の最終的な割当てを生成する(エンジン3,プロセス5.0)ために使用される。
【0063】
代理アカウント(Proxy Account)。これは,代理権配分の目的で金融仲介機関によって管理される受益権所有者のアカウントを特定する。データは,受益権所有者および金融仲介機関の識別子ならびに受益権所有者のサブアカウントの識別子を含む。データは,プロセス8.0において受益権所有者へとLDVによって割当てられる代理権を配分するために金融仲介機関によって使用される。
【0064】
受益権所有者投票。これは,受益権所有者の投票の選好を特定する。データは,受益権所有者の識別子,CUSIP(および/または,他の有価証券識別子),日付,予定項目,および投票の選好を含む。データは,プロセス9.0においてLDVによって割り当てられた代理権に対して指示を行うために使用される。
【0065】
E1(プロセス1)が,基準日の前に,仲介人および証券保管機関などの金融仲介機関の代理権キャパシティならびに有価証券貸付市場における株式の希少性を予測する。現在のプロセスのもとでは,有価証券の貸し手は,貸付けをしている,または担保に差し出している自身の株式の投票権行使に関して高度な確実性を望む場合には,それらの株式を基準日よりも前に仲介人および相手方から回収しなければならない。そのようにすることによって,基準日において株式の名義または受取人が登録し直され,関連の代理権を受け取ることができる。株式の受け取りおよび登録のし直しのために充分な時間を可能にするために,貸し手は,
図9の一般的な代理の時間の流れに示されるように,基準日の約10日前に回収の通知を発行しなければならない。LDVによれば,貸し手および担保の差出人が,貸付けをしている株式の一部またはすべてについて,それらの株式を回収することなく代理権を得ることができる。しかしながら,LDVが貸付けをしているすべての株式に相当する充分な代理権を提供できない場合,貸し手は,依然として,貸付けをしている株式の少なくとも一部について回収の通知を発行することができる。しかしながら,金融仲介機関の株式の持ち高が変化すること,および実際に投票する投資家の数がさまざまであることから,貸し手に割り当てられる代理権の数を,会議日の直前まで正確に決定することができない。したがって,貸し手の基準日前の回収の決定をより良好に案内するために,E1は,LDVによって貸し手が受け取るであろう代理権の数を予測する。さらにE1は,副産物として,有価証券貸付市場における株式の希少性を予測する。これは,特に回収のタイミングに関して,貸し手が情報にもとづいて回収の判断を行うことをさらに助ける。
【0066】
E2(プロセス2.0)が,投票権を最適化するために貸付けを配分する。既存の有価証券貸付けプロセスは,有価証券の貸し手へと代理権を割り当てるための仲介人の能力を最大にできない貸し手−仲介人の貸付量になる可能性がある。。例えば,仲介人は,特定の貸し手からの貸付けを有するが,代理権キャパシティを有さない可能性がある。他の仲介人は,キャパシティを有するが,その貸し手からの貸付けを有さない可能性がある。そのような場合に,E2は,E1からの代理権キャパシティの予測にもとづいて,満足な貸し手の投票権の需要の量を増加させ得る貸し手および仲介人の間で可能な貸付けの配分を生成する。当然ながら,配分は,制約ファイルに規定されるような相手方の信用限度および選好などの多数の因子によって制約される。
【0067】
プロセス3.0において,貸付けの配分が承認/実行される。有価証券の貸付けを行うときには,貸付けの需要,株式の希少性,流動性,および集中,貸付けの価格,傾向,および量,担保および相手方の質,期間構造および金利の方向,相手方の信用限度および傾向,ならびに貸し手および仲介人の関係の選好など,多数の因子が考慮される。したがって,LDVを通して貸し手へと配分することができる仲介人の代理権キャパシティの量を最大にすると考えられるいくつかの貸付けの配分は,実行できないかもしれない。貸し手,代理人,および仲介人が,E2によって生成された貸付けの配分を見直し,好都合であると考える配分を承認する。代理人および仲介人が,承認された配分を実行し,新たな貸付けの条件を交渉する。
【0068】
プロセス4.0において,配分された貸付けの条件が見直される。LDVが「投票権のための市場」をもたらさないことが重要であり,あるいは代理権が有益な貸付けの条件のために取引されたり,追加のビジネスのために投機されたり,何らかの他の価値と交換されたりしないことが重要である。したがって,配分プロセスの一環としてプロセス3.0において交渉された貸付けは,標準的な有価証券の貸付けの価格,集中,および他の市場統計との調和を保証するために見直される。市場の標準(制約ファイルにおいて貸付けの集中および価格の変動の限界によって定められる)に調和しない貸付けは,LDVによる代理権が割り当てられない。最初の特許出願に記載の貸付け値付けエンジンを,配分された貸付けの価格の妥当性を判断するために使用することができる。
【0069】
E3(プロセス5.0)が,代理権を割り当てる。LDVの核心は,金融仲介機関の代理権キャパシティを貸し手の投票権の需要に合致するように割り当てることにある。E3が,貸し手,仲介人,証券保管機関,および他の金融市場の仲介機関の間で代理権を比例的かつ機械的に割り当てることによって,割り当てが偏る(例えば,他の営業品目の投機を意図する)ことがないように保証する。貸し手がLDVを通じて受け取ることができる投票権の最大数は,貸し手が基準日において貸し付けている株式の数である。なぜならば,それが,貸し手が受益権所有者でありながら,基準日において手元に有していない株式の総数だからである。LDVは,金融仲介機関の株式の持ち高が日々変化し,それらの顧客の投票数が時間につれて変化し,かつ問題ごとに異なるため,依然として「最善努力(best−efforts)」型のプロセスである。
【0070】
プロセス6.0において,投票権の需要が特定される。E3からの予備的な代理権の割当てを受け取ったとき,貸し手は,代理人集会における自身の関心のレベルを判断する。議案について無関心である場合,代理権の割当てを見合わせることを選択でき,結果として,それらの代理権が他の貸し手に改めて割り当てられる。反対に,関心のある貸し手は,割り当てられた代理権にて投票を行う意志を知らせ,それが最終的な代理権の割当てへとおり込まれる。これらの決定を行う際に,貸し手は,バロット(Ballot)ファイルに含まれる代理項目の説明ならびに貸付けファイルの貸付量に対する代理権の割当ての比較に頼る。
【0071】
プロセス7.0において,貸付けが回収される。割当てが,貸付けをしている株式の数に満たない場合,貸し手は,不足分に相当する回収の指令を発行し,貸付けをしている株式を取り戻して基準日までに自身の名義に登録し直すことができる。回収の通知を受け取ると,代理人は,その貸付けを自身の顧客のうちの他の者へと割り当て直すことを試みる。おそらくはその有価証券が有価証券貸付市場において特に希少であるという理由で,割り当て直しが不可能である場合,代理人は,回収の通知を仲介人へと渡し,仲介人に有価証券を貸し手に戻すように求める。プロセス6.0と同様に,回収の決定を行う際には,LoansファイルおよびBallotファイルのデータに頼る。
【0072】
プロセス8.0において,貸し手の代理アカウントが生成される。基準日の数日前に,E3が,貸し手,仲介人,証券保管機関,および他の金融市場の仲介機関の間の代理権の最終的な割当てを生成する。次いで,金融市場の仲介機関が,プロセス5.0において生成された配分ファイルに調和して貸し手へと代理権を配分する。それは,例えば,代理アカウントファイルに貸し手のサブアカウントを生成し,それらのサブアカウントに代理権を配分することによって行われる。次いで,金融市場の仲介機関は,貸し手にサブアカウントのアクセス情報を提供する。
【0073】
プロセス9.0において,代理が指示される。プロセス8.0の代理権の配分の後で,貸し手は,受益権所有者投票ファイルに特定されたとおりの自身の投票の選好に従って代理を指示し,あるいは投票する。会議日の直前に,このプロセスにおいて未指示のままである代理権があれば,利用される金融市場の仲介機関の代理権キャパシティの大きさを最大にするために他の貸し手へと再度割り当てられる。会議日に,代理権が集計され,票が既存の代理システムのプロセスおよび慣例に沿って企業の発行人へと渡される。
【0074】
プロセス10.0において,貸付けの配分が計上および達成される。プロセス9.0において票が計算された後で,最終的な計算が,可能なかぎり多くの代理権がLDVによって利用されたことを保証するために実行される。貸付量,代理権キャパシティ,貸し手の投票権行使の需要,およびプロセス9.1.0において再度割り当てられた代理権に鑑みて代理権の配分が比例であったことを保証するために,基準日の貸付けファイルに対して比較が行われる。票の配分およびLDVプロセスの変動も,LDVの将来の繰り返しを較正し,貸し手,仲介人,証券保管機関,および他の金融市場の仲介機関が長期にわたって代理権の公平な配分を受けるように保証するために,履歴ファイルに入力される。
【0075】
E1は,基準日の20日前に集められた種々のデータ因子/入力にもとづいて関係する金融市場の仲介機関の代理権キャパシティを予測する重回帰である。
【0077】
すべての関係者にまたがる代理権キャパシティは,以下のとおりである。
【0079】
E1は,予測の精度を常に向上させるために,より最近のデータが利用可能になるときに定期的に較正される。担保の株式,発行の時価総額,フロート,出来高,および機関所有,ならびに代理の重要性および投票の推奨など,他の因子も重回帰に含まれてよい。E1の機能仕様が,
図10に示されている。E1の実施の例は,下記に含まれる。
【0080】
E2は,a)貸し手の投票権の需要と代理権キャパシティとの一致の程度を最大にすると考えられる最適な貸し手−仲介人の貸付けの配分を計算する下記の式
【0082】
およびb)有価証券の貸し手によって貸し付けられた株式の数を一定に保つ下記の式
【0084】
を同時に解く線形プログラムである。E2の機能仕様が,
図11に示されている。E2の実施の例は,下記に含まれる。
【0085】
E3は,利用可能な代理権を,貸し手,仲介人,証券保管機関,および他の金融市場の仲介機関に,それらの全体としての投票権の需要および供給の取り分に従って比例的に割り当てる線形プログラムである。したがって,
【0087】
1つのLDVサイクルの最中に,E3を2回実行することができる。これらの繰り返しの2回目に,プロセス6.0に従って,貸し手の投票権の需要がE3に取り入れられる。しかしながら,構造的には,エンジンは同じままである。さらに,本発明の別の実施形態は,長期にわたる投票機会の公平な配分を保証するために,過去の配分ポイント(配分された代理権について貸し手,仲介人,証券保管機関,および他の金融市場の仲介機関へと割り当てられたポイント)をこのエンジンへと統合すると考えられる。E3の機能仕様が,
図12に示されている。E3の実施の例は,下記に含まれる。
【0088】
先の3つの段落において使用した用語の解説は,以下のとおりである。
【0089】
VOTES
sb=会議日までBroCus
bが投票の指示を受け取っていないissue
sの株式。
【0090】
BroCus
b=下付き文字bによって占めされる特定の仲介人,証券保管機関,または他の金融市場の仲介機関。
【0091】
SP
sb=BroCus
bによって保持されたissue
sの所有株式。
【0092】
SL
sb=BroCus
bによって保持されたissue
sの顧客のロングシェア。
【0093】
SM
sb=BroCus
bによって保持されたissue
sの顧客のマージンシェア。
【0094】
PC
S=代理サービス提供者によって決定されるissue
sについての代理権係争度(contentiousness)の指標。
【0095】
LP
sb=issue
sについてBroCus
bによって支払われた平均貸付価格(証券担保貸し付けについてのリベート,非証券担保貸し付けについての手数料)。
【0096】
PROJ=別の変数の予測を指す。例えば,PROJ(VOTES
sb)は,会議日までBroCus
bが有するissue
sの代理権キャパシティの基準日前の予測である。
【0097】
LVOL
sbl=lender
lによってBroCus
bへと貸し付けられたissue
sの株式の数。
【0098】
OPT=投票権の配分を最大にするように最適化された変数を指す。例えば,Opt(LVOL
sbl)は,最高の投票権の配分をもたらすと考えられるlender
lとBroCus
bとの間のissue
sの貸付量である。
【0099】
VA
sbl=BroCus
bfeeから貸し手へと割り当てられたissue
sの代理権の数。
【0100】
本明細書において使用される他の用語およびそれらの定義として,以下が挙げられる。
【0101】
Lender
l=下付き文字lによって示される特定の貸し手。
【0102】
Issue
s=下付き文字sによって示される特定の株式。
【0103】
CUSIP
s=多数の出所からのデータを結び付けるために使用されるissue
sのための標準的なセキュリティ識別子。
【0104】
MF
S=issue
sの1日の変動の1ヵ月平均。
【0106】
MV
S=issue
sの1日の出来高の1ヵ月平均。
【0107】
MO
s=issue
sの機関所有率(%)。
【0108】
PR
S=代理サービス提供者が支持の処理を推薦したissue
s投票項目の割合。
【0109】
PM
S=代理サービス提供者によって決定されたissue
sについての代理権の重要度の指標。
【0110】
VOTED
sl=lender
lによって要求されたissue
sの投票権の数。
【0111】
HAP
l=貸し手の履歴配分ポイント。
【0112】
図13が,本発明の態様によるシステムの出力を示している。データベース801は,プロセス出力をCP800へと渡し,CP800は,それらの出力を,貸し手,代理人,仲介人,および他の金融市場の仲介機関へと送信し,好ましくはそれらのコンピュータへと電子メッセージ通信によって送信する。E1,E2,およびE3についての出力が,
図14,15,および16のそれぞれにさらに示されている。
【0113】
また,CPは,財務会計を提供し,投票機会の公平な割当てを保証するために,勘定レポートをすべての関係者に提供し,好ましくはすべての関係者のコンピュータへと提供する。
【0114】
以下に,本発明の態様によるエンジン1(E1)によって実行される処理の例を示す。E1は,証券保管機関および仲介人が会議日に利用できる代理権の数について,基準日前の予測を生成する。すなわち,代理権キャパシティまたはLDVを通じて機関の有価証券の貸し手へと割り当てることができる代理権の数を予測する。上述のとおり,この予想は,投票権を取り戻すために貸付けを回収するか否かを基準日よりも前に決定しなければならない有価証券の貸し手にとって重要となりうる。予測が,充分な代理権がLDVを通じて利用可能であることを示唆している場合,それらの貸し手は,既存の貸付けを回収しない選択を行うことができる。E1の予測は,先の箇所で説明したとおり,多数の変数にもとづく。例として,以下の表が,企業の選択のためのこれらの変数のいくつかを示している(変数の定義についての解説を参照のこと)。VOTES,SP,SL,SM,およびPROJ(VOTES)は,1000株を単位にして表わされており,PCについては,1=重要でない,2=或る程度重要,3=重要であり,LPは,ベーシスポイントにて表わされている。E1の重回帰は,上述のMC,MF,MO,PR,LVOL,History変数などといった他の因子を含むことができ,たとえこの例には示されていなくても,エンジンの構造を変えることなく他の因子も含むことができる。VOTESが,会議日に利用可能であった代理権の数を表わす一方で,他のすべてのデータは,基準日よりも前のものであることに,注意すべきである。
【0116】
次いで,このデータに重回帰法を適用し,VOTESと他の変数との間の関係を割り出すことができる。以下の表に示される回帰の出力が,各変数についてVOTESに及ぼす影響の程度を特定する一連の重みである。例えば,基準日前に所有のアカウント(SP)に保持された各々の株式について,0.5の代理権が会議日に利用可能である。反対に,代理権ベントの重要性(PM)が高くなるとき,利用可能な代理権の数は減少すると予測される。
【0118】
したがって,これらの回帰重みをあらかじめ基準日前のデータに適用することによって,会議日に利用することができる代理権の数を予測することができる。下記の表に示されるように,データが,基準日の前に企業について集められ,次いで回帰の出力の重みと組み合わせられ,利用可能な代理権の予測が生成される。この例では,1040万の代理権が,会議日に利用可能になると予測される。
【0120】
以下に,本発明の態様によるエンジン2(E2)によって実行される処理の例を示す。E2は,成立した場合に貸し手の需要と予測される仲介人の代理権キャパシティとの一致の程度を最適化すると考えられる貸付けの配分を生成する。貸し手が,代理権を持たない仲介人への貸付けを有している一方で,別の仲介人が,キャパシティを有しているが,貸付けを有していない場合,第1の仲介人から第2の仲介人へと一部またはすべての貸付けを割り振ることで,投票に使用できる代理権の総数が増えると考えられる。当然ながら,貸付けの料金,相手方の信用および集中の限界,担保の質および投資機会,ならびに相手方の選好など,貸付けを行う際に考慮される多数の因子が存在し,したがって貸し手および仲介人は,代理権の投票可能性を最大にすると考えられるすべての貸付けの割り振りの成立を,望まなくてもよい。単純な例として,あらかじめ最適化された貸付量および予測される仲介人の投票権の供給が,下記の表に示されるとおりであると仮定する。
【0123】
この場合,仲介人1および2は,プロセッサによって,それらの貸し手の合計の需要を満たすための充分な投票権を持たない(仲介人1においては投票権が400不足し,仲介人2においては200不足する)と予測される。反対に,仲介人3は,900の投票権を有するが,借用している株式は300にすぎず,したがって貸し手に割り当てることができる投票権を600余分に有する。したがって,代理の基準日の前に仲介人1および2から仲介人3へと貸付けを再配分することによって,貸し手へと割り当てることができる投票権の総数が増加すると考えられる。E2が,これらの再配分を,下記の表に示されるように計算する。
【0125】
より多くの仲介人および貸し手において再配分を計算するために,Microsoft Excelにおいて利用することができるソルバなど,標準的な線形プログラミングソルバを使用することができる。
【0126】
仲介人1が,自身の借用量のわずか50%にすぎない投票権の供給(借用している株式が800株であるのに対して投票権が400)を有する一方で,仲介人2は,合計で75%の供給(借用している株式が800株であるのに対して投票権が600)を有する。したがって,これらの仲介人の借用量が,各々の貸し手に関して,釣り合いのとれた割合だけ減らされる(例えば,仲介人1の貸し手1との借用量が,300株から150株へと50%減らされ,仲介人2の貸し手1との借用量が,200から150へと25%減らされる)。これらの借用は,仲介人3へと再配分され,したがって仲介人3が,さらなる投票権を割り当てることができる(例えば,仲介人3の貸し手1との借用量が,200株だけ増やされる)。各々の貸し手によって貸し付けられた株式の総数が,E2の制約に一致して再配分の際に常に一定のままであることに,注意すべきである。
【0127】
以下が,エンジンE3によって実行される処理の例である。E3が,長期にわたって貸し手の公平な取り扱いを保証するアームスレングス(arms−length)機械論的アルゴリズムによって,利用可能な代理権を有価証券の貸し手に割り当てる。上述の例に従い,貸付量が,基準日における貸し手および仲介人の間の貸付量が下記のようになるように,E2によって最適化されたと仮定する。
【0129】
次いで,会議日の直前の仲介人の投票権の供給が,下記の表に示されると仮定する。
【0131】
投票権の供給が,期待されるべき予測による投票権の供給からいくらか異なっており,投票権の需要と供給との間の或る程度の不一致をもたらしていることに,注意すべきである。この場合には,仲介人1の投票権が,予測よりも80ほど少なく,仲介人2は240ほど少なく,仲介人3は300ほど多い。したがって,仲介人1は,貸し手の投票権の需要の80%(投票権の供給320/借用している株式400=80%)だけしかカバーできず,仲介人2は,需要の60%(360/600=60%)だけしかカバーすることができない。仲介人3は,貸し手の投票権の需要のすべてをカバーすることができる。したがって,これらのカバー割合を貸し手−仲介人の貸付量に適用することで,以下の投票権の配分がもたらされる。
【0133】
上述の制約に一致し,いかなる貸し手も,自身の貸付け残高よりも多くの投票権を受け取ることがない一方で,いかなる仲介人も,利用可能な数よりも多くの投票権を配分することがない。
【0134】
図14,15,および16は,本発明の種々の態様による処理演算エンジンをさらに示している。例えば,
図16は,会社株式に係る企業の代理権を金融仲介機関から有価証券の貸し手へとどのように割り当てるかを決定するための情報の処理を示している。第1に,プロセッサが,金融仲介機関が代理投票の指示を未だ受け取っていない会社株式の数(VOTES
sb)を明らかにする。次いで,プロセッサが,複数の貸し手について,各々の貸し手によって貸し付けられた会社株式の数(LVOL
sbl)を明らかにする。次に,複数の貸し手の各々について,プロセッサが,上述のE3計算エンジンの説明に沿って,金融仲介機関が投票の指示を受け取っていない会社株式の数および貸し手によって貸し付けられた株式の数にもとづいて複数の貸し手のうちの少なくとも一部へと割り当てるために,金融仲介機関が代理投票指示を受け取っていない企業の代理権の数を明らかにする。
【0135】
金融仲介機関は,仲介人,証券保管機関,または本明細書において特定されている金融市場における任意の他のエンティティであってよい。
【0136】
本発明の一態様によれば,金融仲介機関による未投票株式の代理権の数のプロセッサの割当てが,(1)割り当てられた投票権のうちの貸し手の取り分の割合が,貸付量のうちの貸し手の貢献分の割合に等しいこと,および(2)貸し手が貸付量よりも多くの投票権を受け取ることができないこと,によって制約される。
【0137】
本発明の別の態様によれば,プロセッサが,金融仲介機関が代理投票指示を受け取っていない自身の有する企業の代理権よりも多くを割り当てることを許さない。さらに,プロセッサが,複数の金融仲介機関について請求項1の各ステップを実行することができる。
【0138】
本発明のさらなる態様によれば,プロセッサが,上述のE3計算エンジンの説明に沿って,投票される金融仲介機関の未投票の代理権の数を最大化する線形プログラミング最適化モデルの実行にもとづいて,金融仲介機関の未投票の代理権の数のうちの少なくとも一部を割り当てるように決定することができる。
【0139】
図3に示されるとおり,これらのステップをもたらすためのシステムも示される。必要な情報を,メモリ1202に保存することができる。プロセッサ1203が,メモリ1202にアクセスし,
図16に示して上述したように情報を処理する。
【0140】
本発明のさらなる態様によれば,すでに説明したように,プロセッサが上述のステップを実行する前に,プロセッサが予備的な貸付けの配分を行うことができる。これを,周期的に行うことができる。
図15が,これらのステップを示している。これらのステップを,任意の金融仲介機関のために実行することができるが,貸し手から株式を借用する仲介人に特に適用可能である。
【0141】
本発明の態様によれば,ステップが,仲介人が代理投票指示を受け取らないであろう会社株式の数をプロセッサで予測することを含む。これは,すでに説明したように,
図15に示されるとおりにエンジンE1によって達成される。エンジンE1の出力が,BroCu
sbが会議日までに有するであろう株式の代理権キャパシティの基準日前の予測であるPROJ(VOTES
sb)である。次いで,プロセッサが,仲介人が代理投票指示を受け取らないであろうと予測される会社株式の数PROJ(VOTES
sb)および複数の貸し手と仲介人との間の会社株式の貸付け(LVOL
sbl)を使用することによって,複数の貸し手および仲介人の間の,会社株式について予定される貸付けの配分(OPT(LVOL
sbl)を決定する。次いで,プロセッサが,予定される貸付けの配分を第三者へと送信する。第三者が,予定される貸付けの配分を実行することができる。
【0142】
本発明の態様によれば,金融仲介機関が仲介人であるとき,プロセッサが,仲介人の所有株式の数,仲介人の顧客のロングシェアの数,仲介人の顧客のマージンシェアの数,仲介人の顧客ベースおよび所有の投票の選好の種類の指標,代理権の係争性の指標,および会社株式の貸付けの市場価格で構成されるグループから選択されるパラメータについて重回帰分析を実行することによって,仲介人が代理投票指示を受け取らないであろう会社株式の数を予測する。
【0143】
本発明の別の態様によれば,複数の貸し手および仲介人の間の,会社株式について予定される貸付けの配分が,プロセッサにおいて,貸し手へと割り当てることができる仲介人の未投票の代理権の数を最大化する線形プログラミング最適化モデルを実行することによって決定され,複数の貸し手および仲介人の間の会社株式の実際の貸付けの配分とは異なる。
【0144】
本発明の別の態様によれば,提案された貸付けの配分からもたらされる新たな貸付けが,標準的な有価証券の貸付価格,貸付集中,および他の市場統計との調和を保証するためにプロセッサによって見直される。上述および本出願の添付書類の両方におけるデータ要素および実行される機能の列挙が,あくまでも例示であって,本発明を限定するものとして解釈されてはならないことを,理解すべきである。
【0145】
2010年12月2日付の米国特許出願第61/419,036号および2011年7月1日付の米国特許出願第61/503,962号が,ここでの言及によって本明細書に援用される。
【0146】
好ましい実施形態に適用されるときの本発明の基本的な新規な特徴を図示,説明,および指摘したが,挙げられた方法およびシステムの形態および細部ならびにその動作において,さまざまな省略,置換,および変更を,当業者であれば本発明の技術的思想から離れることなく行うことができることを,理解できるであろう。したがって,本発明は,特許請求の範囲に示される以外の何ものにも限定されない。