【実施例】
【0075】
以下に実施例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0076】
<実験A>
【0077】
(実施例A−1)1,3−ジメチルブチリデンアミノグアニジン炭酸塩(5)の合成
【化27】
50mLナス型フラスコに、アミノグアニジン塩酸塩1.329g(12mmol)、メタノール6mL、12N塩酸0.25mLを加え、室温で10分間撹拌した後、メチルイソブチルケトン(MIBK)を1.568g(16mmol)加え、磁気撹拌子を用いて室温で撹拌した。2.5時間撹拌した後、反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液20mLに滴下すると白色結晶が析出し、これを濾取、水洗後、50℃で5時間真空乾燥して、白色固体を2.357g(11mmol)得た。得られた固体を
1H−NMRで分析し、1,3−ジメチルブチリデンアミノグアニジン炭酸塩であることを確認した(
1H−NMR(DMSO−d6,500MHz,δ;ppm)=0.8(d;6H)、1.8(s;3H)、1.9(m;1H)、2.0(d;2H)、5.0−5.6(br))。モル収率は92%であった。また、微量融点測定器BY−1((株)矢沢科学製)を用いて融点を測定したところ、96〜97℃であり、炭素・水素・窒素同時定量装置CHNコーダーMT−6(ヤナコ分析工業(株))を用いて元素分析を行ったところ、計算値C,44.03;H,8.31;N,25.67に対し、実測値C,43.93;H,8.30;N,25.57であった。
【0078】
(実施例A−2)1,2−ジメチルプロピリデンアミノグアニジン炭酸塩(6)の合成
【化28】
50mLナス型フラスコに、アミノグアニジン塩酸塩1.324g(12mmol)、水6mL、12N塩酸0.05mLを加え、室温で10分間撹拌した後、3−メチル−2−ブタノンを1.525g(18mmol)加え、磁気撹拌子を用いて室温で撹拌した。2.0時間撹拌した後、反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液20mLに滴下すると白色結晶が析出し、これを濾取、水洗後、50℃で18時間真空乾燥して、白色固体を1.802g(8.8mmol)得た。得られた固体を
1H−NMRで分析し、1,2−ジメチルプロピリデンアミノグアニジン炭酸塩であることを確認した(
1H−NMR(DMSO−d6,500MHz,δ;ppm)=1.0(d;6H)、1.8(s;3H)、2.4(m;1H))。モル収率は73%であった。また、微量融点測定器BY−1((株)矢沢科学製)を用いて融点を測定したところ、104〜105℃であり、炭素・水素・窒素同時定量装置CHNコーダーMT−6(ヤナコ分析工業(株))を用いて元素分析を行ったところ、計算値C,41.17;H,7.90;N,27.43に対し、実測値C,40.96;H,7.88;N,27.33であった。
【0079】
(実施例A−3)1−メチルブチリデンアミノグアニジン炭酸塩(7)の合成
【化29】
50mLナス型フラスコに、アミノグアニジン塩酸塩1.329g(12mmol)、水6mL、12N塩酸0.05mLを加え、室温で10分間撹拌した後、2−ペンタノンを1.636g(19mmol)加え、磁気撹拌子を用いて室温で撹拌した。2.0時間撹拌した後、反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液20mLに滴下すると白色結晶が析出し、これを濾取、水洗後、50℃で18時間真空乾燥して、白色固体を1.244g(6.1mmol)得た。得られた固体を
1H−NMRで分析し、1−メチルブチリデンアミノグアニジン炭酸塩であることを確認した(
1H−NMR(DMSO−d6,500MHz,δ;ppm)=0.9(t;3H)、1.5(m;2H)、1.8(s;3H)、2.1(t;2H))。モル収率は51%であった。また、微量融点測定器BY−1((株)矢沢科学製)を用いて融点を測定したところ、84〜85℃であり、炭素・水素・窒素同時定量装置CHNコーダーMT−6(ヤナコ分析工業(株))を用いて元素分析を行ったところ、計算値C,41.17;H,7.90;N,27.43に対し、実測値C,42.59;H,8.23;N,29.43であった。
【0080】
(実施例A−4)1−メチルペンチリデンアミノグアニジン炭酸塩(8)の合成
【化30】
50mLナス型フラスコに、アミノグアニジン塩酸塩1.326g(12mmol)、水6mL、12N塩酸0.05mLを加え、室温で10分間撹拌した後、2−ヘキサノンを1.663g(17mmol)加え、磁気撹拌子を用いて室温で撹拌した。2.0時間撹拌した後、反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液20mLに滴下すると白色結晶が析出し、これを濾取、水洗後、50℃で18時間真空乾燥して、白色固体を1.658g(7.6mmol)得た。得られた固体を
1H−NMRで分析し、1−メチルペンチリデンアミノグアニジン炭酸塩であることを確認した(
1H−NMR(DMSO−d6,500MHz,δ;ppm)=0.9(t;3H)、1.3(m;2H)、1.4(m;2H)、1.8(s;3H)、2.1(t;2H)、4.9−5.5(br))。モル収率は63%であった。また、微量融点測定器BY−1((株)矢沢科学製)を用いて融点を測定したところ、70〜71℃であり、炭素・水素・窒素同時定量装置CHNコーダーMT−6(ヤナコ分析工業(株))を用いて元素分析を行ったところ、計算値C,44.03;H,8.31;N,25.67に対し、実測値C,44.24;H,8.12;N,27.82であった。
【0081】
(実施例A−5)2−メチルプロピリデンアミノグアニジン(9)の合成
【化31】
50mLナス型フラスコに、アミノグアニジン塩酸塩1.324g(12mmol)、水6mL、12N塩酸0.05mLを加え、室温で10分間撹拌した後、イソブチルアルデヒドを1.500g(21mmol)加え、磁気撹拌子を用いて室温で撹拌した。2.0時間撹拌した後、反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液20mLに滴下すると白色結晶が析出し、これを濾取、水洗後、50℃で18時間真空乾燥して、白色固体を0.792g(4.2mmol)得た。得られた固体を
1H−NMRで分析し、2−メチルプロピリデンアミノグアニジンであることを確認した(
1H−NMR(DMSO−d6,500MHz,δ;ppm)=1.0(d;6H)、2.4(m;1H)、4.9−5.6(br)、7.2(d;1H))。モル収率は35%であった。また、微量融点測定器BY−1((株)矢沢科学製)を用いて融点を測定したところ、59〜60℃であり、炭素・水素・窒素同時定量装置CHNコーダーMT−6(ヤナコ分析工業(株))を用いて元素分析を行ったところ、計算値C,46.85;H,9.44;N,43.71に対し、実測値C,45.13;H,9.18;N,40.89であった。
【0082】
(実施例A−6)1−メチルヘキシリデンアミノグアニジン(10)の合成
【化32】
50mLナス型フラスコに、アミノグアニジン塩酸塩1.326g(12mmol)、水6mL、12N塩酸0.05mLを加え、室温で10分間撹拌した後、2−ヘプタノンを1.730g(15mmol)加え、磁気撹拌子を用いて室温で撹拌した。2.0時間撹拌した後、反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液20mLに滴下すると白色結晶が析出し、これを濾取、水洗後、50℃で18時間真空乾燥して、白色固体を1.576g(6.7mmol)得た。得られた固体を
1H−NMRで分析し、1−メチルヘキシリデンアミノグアニジンであることを確認した(
1H−NMR(DMSO−d6,500MHz,δ;ppm)=0.9(t;3H)、1.3(m;4H)、1.5(m;2H)、1.8(s;3H)、2.1(t;2H)、4.9−5.5(br))。モル収率は56%であった。また、微量融点測定器BY−1((株)矢沢科学製)を用いて融点を測定したところ、74〜75℃であり、炭素・水素・窒素同時定量装置CHNコーダーMT−6(ヤナコ分析工業(株))を用いて元素分析を行ったところ、計算値C,56.44;H,10.66;N,32.91に対し、実測値C,56.01;H,10.80;N,32.62であった。
【0083】
(実施例A−7)アリリデンアミノグアニジンヘミ炭酸塩(11)の合成
【化33】
50mLナス型フラスコに、アミノグアニジン塩酸塩1.336g(12.1mmol)、水6mL、12N塩酸0.05mLを加え、室温で10分間撹拌した後、アクロレインを990mg(14.7mmol)加え、磁気撹拌子を用いて室温で撹拌した。1.5時間撹拌した後、反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液20mLを加えた。析出した結晶を濾取、水洗後、50℃で24時間真空乾燥して、薄黄色固体を402mg(2.8mmol)得た。得られた固体を
1H−NMRで分析し、アリリデンアミノグアニジンヘミ炭酸塩であることを確認した(
1H−NMR(DMSO−d6,500MHz,δ;ppm)=5.3(dd;1H)、5.4(dd;1H)、5.4(s;2H)、5.9(s;2H)、6.4(ddd;1H)、7.7(d;1H))。モル収率は23%であった。また、微量融点測定器BY−1((株)矢沢科学製)を用いて融点を測定したところ、80℃であり、炭素・水素・窒素同時定量装置CHNコーダーMT−6(ヤナコ分析工業(株))を用いて元素分析を行ったところ、計算値C,37.76;H,6.34;N,39.14に対し、実測値C,37.35;H,6.36;N,38.52であった。
【0084】
(実施例A−8)2−メチルアリリデンアミノグアニジン炭酸塩(12)の合成
【化34】
50mLナス型フラスコに、アミノグアニジン塩酸塩1.339g(12.1mmol)、水3mL、12N塩酸0.025mLを加え、室温で10分間撹拌した後、メタクロレインを1.03g(14.6mmol)加え、磁気撹拌子を用いて室温で撹拌した。2時間撹拌した後、薄黄色の反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液20mLを加えた。析出した結晶を濾取、水洗後、50℃で24時間真空乾燥して、薄黄色固体を1.50g(8.0mmol)得た。得られた固体を
1H−NMRで分析し、2−メチルアリリデンアミノグアニジン炭酸塩であることを確認した(
1H−NMR(DMSO−d6,500MHz,δ;ppm)=1.9(s;3H)、5.1(s;1H)、5.2(s;1H)、5.3−5.8(br)、7.7(s;1H))。モル収率は66%であった。また、微量融点測定器BY−1((株)矢沢科学製)を用いて融点を測定したところ、99〜100℃であり、炭素・水素・窒素同時定量装置CHNコーダーMT−6(ヤナコ分析工業(株))を用いて元素分析を行ったところ、計算値C,38.29;H,6.43;N,29.77に対し、実測値C,38.83;H,6.60;N,30.80であった。
【0085】
(実施例A−9)2−ブテニリデンアミノグアニジン炭酸塩(13)の合成
【化35】
50mLナス型フラスコに、アミノグアニジン塩酸塩1.337g(12.1mmol)、水2.2mL、12N塩酸0.2mLを加え、室温で10分間撹拌した後、クロトンアルデヒドを956mg(13.6mmol)加え、磁気撹拌子を用いて室温で撹拌した。1時間撹拌した後、反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液20mLを加えた。析出した結晶を濾取、水洗後、50℃で20時間真空乾燥して、白色固体を1.23g(6.5mmol)得た。得られた固体を
1H−NMRで分析し、2−ブテニリデンアミノグアニジン炭酸塩であることを確認した(
1H−NMR(DMSO−d6,500MHz,δ;ppm)=1.8(dd;3H)、5.2−5.7(br)、5.9(dq;1H)、6.1(m;1H)、7.6(d;1H))。モル収率は54%であった。また、微量融点測定器BY−1((株)矢沢科学製)を用いて融点を測定したところ、124〜125℃であり、炭素・水素・窒素同時定量装置CHNコーダーMT−6(ヤナコ分析工業(株))を用いて元素分析を行ったところ、計算値C,38.29;H,6.43;N,29.77に対し、実測値C,39.99;H,6.79;N,32.60であった。
【0086】
(実施例A−10、11)
天然ゴム100質量%にシリカ50質量%、シランカップリング剤5質量%、亜鉛華3質量%、ステアリン酸1質量%、硫黄1.75質量%、加硫促進剤(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)1質量%、加硫促進剤(ジフェニルグアニジン)0.5質量%を配合してなるゴム組成物A(比較例A−1)を、ラボプラストミル((株)東洋精機製作所製)にて混練して調製し、プレス機(北川精機(株)製)を用いて145℃、10MPaで25〜37分間加硫することにより加硫ゴム組成物を得た。そして、ゴム組成物Aの配合に加えて更に実施例A−1の化合物0.7質量%を配合してなるゴム組成物B(試験例A−1)を、同様にして調製した。
さらに、ゴム組成物Aの配合に加えて更に実施例A−8の化合物0.8質量%を配合してなるゴム組成物C(試験例A−2)を、同様にして調製した。ゴム組成物B、Cについても、ゴム組成物Aと同様に、ラボプラストミル((株)東洋精機製作所製)にて混練して調製し、プレス機(北川精機(株)製)を用いて145℃、10MPaで25〜37分間加硫することにより加硫ゴム組成物を、それぞれ得た。
以下に用いた成分について示す。
天然ゴム:RSS#1
シリカ:商品名「ニップシールAQ」(BET表面積=207m
2/g、東ソー・シリカ(株)製)
シランカップリング剤:ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(エボニック ジャパン(株)製)
亜鉛華(和光純薬工業(株)製)
ステアリン酸(和光純薬工業(株)製)
硫黄(細井化学工業(株)製、250μm)
加硫促進剤(CBS):N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(和光純薬工業(株)製)
加硫促進剤(DPG):ジフェニルグアニジン(和光純薬工業(株)製)
該加硫ゴム組成物に対して、下記の方法で発熱性及び引張り破断強度を測定・評価した。
【0087】
(1)発熱性
上記加硫ゴム組成物に対し、動的粘弾性測定装置(セイコーインスツル(株)製DMS6100)を用い、温度50℃、歪み0.05%、周波数10Hzで損失正接(tanδ)を測定し、比較例A−1(ゴム組成物A)の値を100として、試験例A−1(ゴム組成物B)の値と試験例A−2(ゴム組成物C)の値を指数表示した。指数値が小さい程、tanδが低く、ゴム組成物が低ロス性であることを示す。
(2)引張り破断強度
上記加硫ゴム組成物に対し、JIS K6251:2010に準拠して引張り試験を行い、引張り破断強度を測定し、比較例A−1(ゴム組成物A)の値を100として、試験例A−1(ゴム組成物B)の値と試験例A−2(ゴム組成物C)の値を指数表示した。指数値が大きい程、引張り破断強度が大きく、耐破壊性が良好であることを示す。
【0088】
その結果、比較例A−1(ゴム組成物A)の加硫ゴム組成物のtanδ及び引張り破断強度を100とした際の試験例A−1(ゴム組成物B)の加硫ゴム組成物のtanδ及び引張り破断強度は80及び111であり、試験例A−2(ゴム組成物C)の加硫ゴム組成物のtanδ及び引張り破断強度は85及び109であった。この結果より、実施例A−1(試験例A−1、ゴム組成物B参照)及び実施例A−8(試験例A−2、ゴム組成物C参照)の化合物は、ゴムの低ロス性及び破断強度を向上させるのに有用であることが少なくとも確認された。
【0089】
<実験B>
【0090】
(実施例B−1)1,3−ジメチルブチリデンアミノグアニジン炭酸塩(3)の合成
(実験A−1)で合成した1,3−ジメチルブチリデンアミノグアニジン炭酸塩を用いた。
【0091】
(実施例B−2)3−フェニルアリリデンアミノグアニジン(4)の合成
【化36】
50mLナス型フラスコに、アミノグアニジン塩酸塩1.332g(12.0mmol)、メタノール6mL、12N塩酸0.25mLを加え、室温で10分間撹拌した後、シンナムアルデヒドを1.609g(12.2mmol)加え、磁気撹拌子を用いて室温で撹拌した。2時間撹拌した後、反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液20mLに滴下すると薄黄色結晶が析出し、これを濾取、水洗後、50℃で24時間真空乾燥して、薄黄色固体を2.213g(11.8mmol)得た。得られた固体を
1H−NMRで分析し、3−フェニルアリリデンアミノグアニジンであることを確認した(
1H−NMR(DMSO−d6,500MHz,δ;ppm)=5.5(s;2H)、5.7−5.8(br;2H)、6.7(d;1H)、6.9(dd;1H)、7.2(dd;1H)、7.3(dd;2H)、7.5(d;2H)、7.8(d;1H))。モル収率は98%であった。また、微量融点測定器BY−1((株)矢沢科学製)を用いて融点を測定したところ、190〜192℃であり、炭素、水素、窒素同時定量装置CHNコーダーMT−6(ヤナコ分析工業(株))を用いて元素分析を行ったところ、計算値C,63.81;H,6.43;N,29.77に対し、実測値C,63.26;H,6.45;N,29.43であった。
【0092】
(実施例B−3)2−メチルアリリデンアミノグアニジン炭酸塩(5)の合成
(実験A−8)で合成した2−メチルアリリデンアミノグアニジン炭酸塩を用いた。
【0093】
(実施例B−4)1−メチルエチリデンアミノグアニジンリン酸塩(6)の合成
【化37】
50mLナス型フラスコに、アミノグアニジン炭酸塩(東京化成工業(株)製)8.13g(60mmol)、水12mLを加え、85%リン酸7.01g(60mmol)を滴下し、室温で30分間撹拌した。次いで、アセトンを3.52g(61mmol)加え、磁気撹拌子を用いて室温で撹拌した。攪拌すると白色固体が析出した。さらに、室温で3時間撹拌した後、結晶を濾取し、得られたろ液にアセトンを加えさらに白色固体を析出させた。得られた結晶をアセトンで洗浄した後、35℃で20時間真空乾燥して、白色固体を11.27g(53.1mmol)得た。得られた固体を
1H−NMRで分析し、1−メチルエチリデンアミノグアニジンリン酸塩であることを確認した(
1H−NMR(DMSO−d6,500MHz,δ;ppm)=1.9(s;1H)、2.0(s;1H)、7.4−8.2(br))。モル収率は89%であった。また、微量融点測定器BY−1((株)矢沢科学製)を用いて融点を測定したところ、209〜210℃であり、炭素・水素・窒素同時定量装置CHNコーダーMT−6(ヤナコ分析工業(株))を用いて元素分析を行ったところ、計算値C,22.65;H,6.18;N,26.41に対し、実測値C,22.03;H,6.29;N,25.97であった。
【0094】
(実施例B−5)1−フェニルエチリデンアミノグアニジンリン酸塩(7)の合成
【化38】
50mLナス型フラスコに、アミノグアニジン炭酸塩13.62g(100mmol)、水42mLを加え、85%リン酸12.35g(107mmol)を滴下した。室温で30分間撹拌した後、アセトフェノンを12.25g(102mmol)加え、磁気撹拌子を用いて室温で撹拌した。白色固体が析出した。4時間撹拌した後、析出した結晶を濾取、水洗後、35℃で24時間真空乾燥して、白色固体を24.67g(90mmol)得た。得られた固体を
1H−NMRで分析し、1−フェニルエチリデンアミノグアニジンリン酸塩であることを確認した(
1H−NMR(DMSO−d6,500MHz,δ;ppm)=2.3(s;3H)、4.2−4.7(br)、7.4(m;3H)、7.9(m;2H))。モル収率は90%であった。また、微量融点測定器BY−1((株)矢沢科学製)を用いて融点を測定したところ、235〜236℃であり、炭素・水素・窒素同時定量装置CHNコーダーMT−6(ヤナコ分析工業(株))を用いて元素分析を行ったところ、計算値C,39.42;H,5.51;N,20.43に対し、実測値C,37.89;H,5.57;N,19.76であった。
【0095】
(実施例B−6)
反応器内を30℃に加熱したラボプラストミル((株)東洋精機製作所製)に、天然ゴム凝固体(RSS#1、加藤産商(株)製)41.4gを投入し、回転数60rpmで蓋を閉めた状態で4分間、蓋を開けた状態で1分間混練した。せん断発熱によりゴムの温度が80℃まで上昇したところで、合成例1で得られた1,3−ジメチルブチリデンアミノグアニジン炭酸塩0.290gを投入し、更に3分間混練することにより、変性ゴム1を得た。この時、ゴムの温度は85℃に達していた。
該変性ゴム1 9.0gをアセトンとメタノールの2:1混合溶媒200g中で2時間加熱還流することにより、未反応の1,3−ジメチルブチリデンアミノグアニジン炭酸塩の抽出を行った。溶媒を減圧留去した後、残渣を液体クロマトグラフィーを用いて定量分析した結果、抽出物に含まれる未反応の1,3−ジメチルブチリデンアミノグアニジン炭酸塩は0.008gであり、即ち添加した1,3−ジメチルブチリデンアミノグアニジン炭酸塩の87%が天然ゴムと反応した。
従って、該変性ゴム1におけるアミノグアニジンの付加量は天然ゴム原材料中の固系ゴム成分に対して0.6質量%であることを確認した。
【0096】
(実施例B−7)
反応器内を30℃に加熱したラボプラストミルに、天然ゴム凝固体(RSS#1)41.4gを投入し、回転数60rpmで蓋を閉めた状態で4分間、蓋を開けた状態で1分間混練した。せん断発熱によりゴムの温度が80℃まで上昇したところで、合成例2で得られた3−フェニルアリリデンアミノグアニジン0.290gを投入し、更に3分間混練することにより、変性ゴム2を得た。この時、ゴムの温度は85℃に達していた。
該変性ゴム2 9.0gをアセトンとメタノールの2:1混合溶媒200g中で2時間加熱還流することにより、未反応の3−フェニルアリリデンアミノグアニジンの抽出を行った。溶媒を減圧留去した後、残渣を液体クロマトグラフィーを用いて定量分析した結果、抽出物に含まれる未反応の3−フェニルアリリデンアミノグアニジンは0.022gであり、即ち添加した3−フェニルアリリデンアミノグアニジンの65%が天然ゴムと反応した。
従って、該変性ゴム2におけるアミノグアニジンの付加量は天然ゴム原材料中の固系ゴム成分に対して0.5質量%であることを確認した。
【0097】
(参考例1)
反応器内を30℃に加熱したラボプラストミルに、天然ゴム凝固体(RSS#1)41.4gを投入し、回転数60rpmで蓋を閉めた状態で4分間、蓋を開けた状態で1分間混練した。せん断発熱によりゴムの温度が80℃に達した後、更に3分間混練することにより、未変性ゴム1を得た。この時、ゴムの温度は85℃に達していた。
【0098】
(実施例B−8、9、比較例B−1)
表1の組成に従い、最初に変性ゴム1、2又は未変性ゴム1と、シリカ、シランカップリング剤、亜鉛華、ステアリン酸をラボプラストミルにて、140℃で5分間混練した後、一旦55℃に冷却しこれに硫黄と加硫促進剤を投入し、90℃で3分間混練してゴム組成物を調製した。続いて、プレス機(北川精機(株)製)を用いて145℃、10MPaで26〜38分間加硫することにより加硫ゴム組成物を得た。以下に用いた成分について示す。
【0099】
(実施例B−10〜14、比較例B−2)
表2の組成に従い、最初に天然ゴム凝固体、シリカ、シランカップリング剤、亜鉛華、ステアリン酸、変性剤1〜5をラボプラストミルにて、140℃で5分間混練した後、一旦55℃に冷却しこれに硫黄と加硫促進剤を投入し、90℃で3分間混練してゴム組成物を調製した。続いて、プレス機(北川精機(株)製)を用いて145℃、10MPaで25〜37分間加硫することにより加硫ゴム組成物を得た。以下に用いた成分について示す。
天然ゴム:RSS#1
シリカ:商品名「ニップシールAQ」(BET表面積=207m
2/g、東ソー・シリカ(株)製)
シランカップリング剤:ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(エボニック ジャパン(株)製)
亜鉛華(和光純薬工業(株)製)
ステアリン酸(和光純薬工業(株)製)
硫黄(細井化学工業(株)製、250μm)
加硫促進剤(CBS):N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(和光純薬工業(株)製)
加硫促進剤(DPG):ジフェニルグアニジン(和光純薬工業(株)製)
変性剤1:実施例B−1で得られた1,3−ジメチルブチリデンアミノグアニジン炭酸塩
変性剤2:実施例B−2で得られた3−フェニルアリリデンアミノグアニジン
変性剤3:実施例B−3で得られた2−メチルアリリデンアミノグアニジン炭酸塩
変性剤4:実施例B−4で得られた1−メチルエチリデンアミノグアニジンリン酸塩
変性剤5:実施例B−5で得られた1−フェニルエチリデンアミノグアニジンリン酸塩
該加硫ゴム組成物に対して、下記の方法で発熱性及び引張り破断強度を測定、評価した。結果を表1、2に示す。
【0100】
(1)発熱性
上記加硫ゴム組成物に対し、動的粘弾性測定装置(セイコーインスツル(株)製DMS6100)を用い、温度50℃、歪み0.05%、周波数10Hzで損失正接(tanδ)を測定し、表1の比較例B−1、表2の比較例B−2の値を100としてそれぞれ指数表示した。指数値が小さい程、tanδが低く、ゴム組成物が低発熱性であることを示す。
(2)引張り破断強度
上記加硫ゴム組成物に対し、JIS K6251−2010に準拠して引張り試験を行い、引張り破断強度を測定し、表1の比較例B−1、表2の比較例B−2の値を100としてそれぞれ指数表示した。指数値が大きい程、引張り破断強度が大きいことを示す。
【0101】
【表1】
表1中、配合処方の各成分は質量部を示す。
【0102】
表1から、各実施例のゴム組成物は、アルキリデンアミノグアニジン塩又はアルキリデンアミノグアニジンで変性していないジエン系ゴムを用いて混合したゴム組成物と比較して、低発熱性に優れ、引張り破断強度が大きくなることが少なくとも確認された。
【0103】
【表2】
表2中、配合処方の各成分は質量部を示す。
【0104】
表2から、各実施例のゴム組成物は、アルキリデンアミノグアニジン塩又はアルキリデンアミノグアニジンを添加しないで混合したゴム組成物と比較して、低発熱性に優れ、引張り破断強度が大きくなることが少なくとも確認された。
【0105】
本出願は、2014年6月10日に日本国特許庁へ出願された日本特許出願(特願2014−119355)、2014年6月10日に日本国特許庁へ出願された日本特許出願(特願2014−119356)、2014年8月18日に日本国特許庁へ出願された日本特許出願(特願2014−165912)、2014年8月18日に日本国特許庁へ出願された日本特許出願(特願2014−165913)、及び2015年2月13日に日本国特許庁へ出願された日本特許出願(特願2015−026280)に基づくものであり、それらの内容はここに参照として取り込まれる。