特許第5975369号(P5975369)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5975369ゴム変性用組成物及びその製造方法、タイヤ用変性ゴム、タイヤ用ゴム組成物並びにタイヤ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5975369
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】ゴム変性用組成物及びその製造方法、タイヤ用変性ゴム、タイヤ用ゴム組成物並びにタイヤ
(51)【国際特許分類】
   C07C 281/18 20060101AFI20160809BHJP
   C08C 19/22 20060101ALI20160809BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20160809BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20160809BHJP
   C08L 15/00 20060101ALI20160809BHJP
   C08K 5/54 20060101ALI20160809BHJP
   C08L 21/00 20060101ALI20160809BHJP
   C08K 5/31 20060101ALI20160809BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20160809BHJP
【FI】
   C07C281/18CSP
   C08C19/22
   C08K3/36
   C08K3/04
   C08L15/00
   C08K5/54
   C08L21/00
   C08K5/31
   B60C1/00 A
【請求項の数】16
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2015-540955(P2015-540955)
(86)(22)【出願日】2015年6月10日
(86)【国際出願番号】JP2015066684
(87)【国際公開番号】WO2015190504
(87)【国際公開日】20151217
【審査請求日】2015年8月18日
(31)【優先権主張番号】特願2014-119355(P2014-119355)
(32)【優先日】2014年6月10日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2014-119356(P2014-119356)
(32)【優先日】2014年6月10日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2014-165912(P2014-165912)
(32)【優先日】2014年8月18日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2014-165913(P2014-165913)
(32)【優先日】2014年8月18日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2015-26280(P2015-26280)
(32)【優先日】2015年2月13日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004466
【氏名又は名称】三菱瓦斯化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】岩田 智希
(72)【発明者】
【氏名】上等 和良
(72)【発明者】
【氏名】酒井 悠
【審査官】 前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2004/003198(WO,A1)
【文献】 米国特許第04044118(US,A)
【文献】 英国特許第00932951(GB,B)
【文献】 英国特許第00842322(GB,B)
【文献】 特開昭50−121175(JP,A)
【文献】 特表2013−512331(JP,A)
【文献】 特開2012−046652(JP,A)
【文献】 特開2011−063651(JP,A)
【文献】 特開2006−225462(JP,A)
【文献】 特表2004−524420(JP,A)
【文献】 Pharmazie,1985年,40(1),p.34-36
【文献】 Journal of Medicinal Chemistry,1963年,6(4),p.431-435
【文献】 Journal of Organic Chemistry,1962年,27,p.4469-4475
【文献】 Journal of the American Chemical Society,1952年,74,p.2981-2983
【文献】 Bulletin de la Societe Chimique de France,1952年,p.446-453
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 281/00
B60C 1/00
C08C 19/00
C08K 3/00
C08K 5/00
C08L 15/00
C08L 21/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表される化合物を含む、ゴム変性用組成物。
【化1】
(式中、Xはグアニジン部位と塩を形成する酸であり、R1及びR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アルケニル基(これらの基はいずれも窒素原子、酸素原子を含む置換基を1つ以上有するものを含む)及び水素原子からなる群より選択されるいずれかである。)
【請求項2】
式(2)で表される化合物を含む、ゴム変性用組成物。
【化2】
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アルケニル基(これらの基はいずれも窒素原子、酸素原子を含む置換基を1つ以上有するものを含む)及び水素原子からなる群より選択されるいずれかである。)
【請求項3】
前記式(1)又は(2)に記載のR1及びR2が、それぞれ独立して、炭素数1〜5のアルキル基、及び水素原子からなる群より選択されるいずれかである、請求項1又は2に記載のゴム変性用組成物。
【請求項4】
前記式(1)又は(2)で表される前記化合物からなる組成物は、融点が50〜150℃である、請求項1〜のいずれか一項に記載のゴム変性用組成物。
【請求項5】
前記式(1)又は(2)で表される前記化合物は、式(5)〜(13)のいずれかで表される、請求項1又は2に記載のゴム変性用組成物。
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【請求項6】
天然ゴム及び/又は合成ゴムを、請求項1〜のいずれか一項に記載のゴム変性用組成物に含まれる前記式(1)又は式(2)で表される前記化合物によって変性させることにより得られる、タイヤ用変性ゴム(A)。
【請求項7】
前記天然ゴム及び/又は合成ゴムと、前記式(1)又は式(2)で表される前記化合物とを混合し、20〜180℃の範囲で変性させて得られる、請求項に記載のタイヤ用変性ゴム(A)。
【請求項8】
前記式(1)又は式(2)で表される前記化合物を、前記天然ゴム及び/又は合成ゴムに対して0.01〜10質量%用いる、請求項6又は7に記載のタイヤ用変性ゴム(A)。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれか一項に記載のタイヤ用変性ゴム(A)、無機充填材(B)を含む充填材及びシランカップリング剤(C)を含有するタイヤ用ゴム組成物。
【請求項10】
前記無機充填材(B)がシリカである、請求項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項11】
前記充填材がカーボンブラックを含む、請求項9又は10に記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項12】
前記式(1)又は式(2)で表される前記化合物、天然ゴム及び/又は合成ゴム、無機充填材(B)を含む充填材並びにシランカップリング剤(C)を混合することにより得られた請求項9〜11のいずれか一項に記載のタイヤ用変性ゴム(A)を含有するタイヤ用ゴム組成物。
【請求項13】
混合時の温度が20〜180℃の範囲である請求項12に記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項14】
前記式(1)又は式(2)で表される前記化合物の含有量が、天然ゴム及び/又は合成ゴムに対して0.01〜10質量%である、請求項12又は13に記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項15】
請求項9〜14のいずれか一項に記載のタイヤ用ゴム組成物をタイヤ部材のトレッドに用いたタイヤ。
【請求項16】
式(1)又は式(2)で表される化合物を配合する工程を有する、ゴム変性用組成物の製造方法。
【化12】
(式中、Xはグアニジン部位と塩を形成する酸であり、R1及びR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アルケニル基(これらの基はいずれも窒素原子、酸素原子を含む置換基を1つ以上有するものを含む)及び水素原子からなる群より選択されるいずれかである。)
式(2)で表される化合物。
【化13】
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アルケニル基(これらの基はいずれも窒素原子、酸素原子を含む置換基を1つ以上有するものを含む)及び水素原子からなる群より選択されるいずれかである。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なアルキリデンアミノグアニジン及びその塩、変性用組成物、タイヤ用変性ゴム、タイヤ用ゴム組成物並びにタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
アミノグアニジンは、医薬、染料、写真薬、火薬等の合成原料であり、特に、医薬分野において抗糖化作用を示すことが広く知られている(非特許文献1参照)。アミノグアニジンの抗糖化作用としては、in vitroにおけるAGEsの生成抑制、タンパク質の架橋・重合形成の抑制、糖尿病モデル動物における腎症・網膜症・神経障害の予防及び糖尿病合併症進展阻止効果が確認されている(非特許文献2参照)。
【0003】
近年、アミノグアニジンは上記用途以外にも、アルデヒド類の臭気成分の吸収剤、即ちアルデヒドキャッチャー剤としての用途が見出され(特許文献1参照)、ゴム添加剤として用いられている(特許文献2参照)。該用途に要求される物性はますます多様化しており、従来のアミノグアニジンに替わる化合物の提供が求められている。
【0004】
一方、充填材は、ゴムに混合して、ゴムの補強、増量や特殊機能を付与する等の目的で用いられるゴム添加剤である。代表的な充填材であるカーボンブラックは、ゴムの弾性率及び破断強度等の力学特性の向上(補強効果)に寄与しているのみならず、導電性を付与する等の機能も有する。
【0005】
カーボンブラックと同様にゴムの補強効果が得られ、発熱性の低い、即ち低ロス性のゴム組成物を得ることができる方法として、シリカ等の無機充填材を使用する方法が知られており、環境性に配慮した低燃費タイヤ向けのゴム組成物等に応用されている。
【0006】
無機充填材配合ゴム組成物において、無機充填材を配合する際、無機充填材、特に、表面にシラノール基を有する親水性のシリカは、疎水性のゴムとの親和性が低く、ゴム組成物中で凝集してしまうため、シリカによる補強性を高め、低発熱化効果を得るには、シリカとゴムの親和性を高める必要がある。その方法として、極性基で末端変性することにより無機充填材との親和性を向上させた合成ゴムや(特許文献3参照)、極性基含有単量体を共重合させて無機充填材との親和性を向上させた合成ゴム(特許文献4参照)等を用いることが知られている。天然ゴムを変性して極性基を導入する方法としては、天然ゴムを酸化した後、極性基を有するヒドラジド化合物で変性する方法(特許文献5参照)、極性基を導入した変性天然ゴムとシリカを含むゴム組成物にシランカップリング剤を添加することにより、シリカの分散性を更に向上させる方法(特許文献6参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−97340号公報
【特許文献2】特開2010−248334号公報
【特許文献3】特開2010−209253号公報
【特許文献4】特開2011−38009号公報
【特許文献5】特開2009−108204号公報
【特許文献6】特開2011−246513号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】「グアニジン塩」、ファインケミカル、シーエムシー出版、平成20年6月、第37巻、第6号、p.72−75
【非特許文献2】内藤淳子、他一名、「体内の抗糖化注目素材の機能と開発」ファインケミカル、シーエムシー出版、平成24年6月、第41巻、第6号、p.21−26
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、今後、大気中の二酸化炭素濃度、大気汚染等、環境問題に対する世の中の関心はますます高くなることが予想され、タイヤの転がり抵抗を抑え、自動車の低燃費化につながる、変性ゴム、該変性ゴムとシリカ等の無機充填材を含有する、低ロス性に優れたゴム組成物及びタイヤを提供する技術が求められている。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、その課題は、ゴム添加剤等として有用なアルキリデンアミノグアニジン及びその塩を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者等は、鋭意検討した結果、新規なアルキリデンアミノグアニジン及びその塩の製造に成功し、本発明を完成させるに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
<1>
式(1)で表される化合物。
【化1】
(式中、Xはグアニジン部位と塩を形成する酸であり、R1及びR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アルケニル基(これらの基はいずれも硫黄原子、窒素原子、酸素原子を含む置換基を1つ以上有するものを含む)及び水素原子からなる群より選択されるいずれかである。)
<2>
式(2)で表される化合物。
【化2】
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アルケニル基(これらの基はいずれも硫黄原子、窒素原子、酸素原子を含む置換基を1つ以上有するものを含む)及び水素原子からなる群より選択されるいずれかである。)
<3>
式(3)で表されるアミノグアジニン塩及び式(4)で表されるカルボニル化合物を反応させて得られる、<1>又は<2>に記載の化合物。
【化3】
(式中、Xは式(3)のグアニジン部位と塩を形成する酸である。)
【化4】
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アルケニル基(これらの基はいずれも硫黄原子、窒素原子、酸素原子を含む置換基を1つ以上有するものを含む)及び水素原子からなる群より選択されるいずれかである。)
<4>
前記式(1)又は(2)に記載のR1及びR2が、それぞれ独立して、炭素数1〜5のアルキル基、及び水素原子からなる群より選択されるいずれかである、<1>又は<2>に記載の化合物。
<5>
融点が50〜150℃である、<1>〜<4>のいずれか一項に記載の化合物。
<6>
式(5)〜(13)のいずれかで表される、<1>に記載の化合物。
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
<7>
<1>〜<6>のいずれか一項に記載の化合物を含む、変性用組成物。
<8>
天然ゴム及び/又は合成ゴムを、<1>〜<6>のいずれか一項に記載の化合物によって変性させることにより得られる、タイヤ用変性ゴム(A)。
<9>
前記天然ゴム及び/又は合成ゴムと、前記式(1)又は式(2)で表される化合物を混合し、20〜180℃の範囲で変性させて得られる、<8>に記載のタイヤ用変性ゴム(A)。
<10>
前記式(1)又は式(2)で表される化合物を、前記天然ゴム及び/又は合成ゴムに対して0.01〜10質量%用いる、<8>又は<9>に記載のタイヤ用変性ゴム(A)。
<11>
<8>〜<10>のいずれか一項に記載のタイヤ用変性ゴム(A)、無機充填材(B)を含む充填材及びシランカップリング剤(C)を含有するタイヤ用ゴム組成物。
<12>
前記無機充填材(B)がシリカである、<11>に記載のタイヤ用ゴム組成物。
<13>
前記充填材がカーボンブラックを含む、<11>又は<12>に記載のタイヤ用ゴム組成物。
<14>
前記式(1)又は式(2)で表される化合物、天然ゴム及び/又は合成ゴム、無機充填材(B)を含む充填材並びにシランカップリング剤(C)を混合することにより得られた<11>〜<13>のいずれか一項に記載のタイヤ用変性ゴム(A)を含有するタイヤ用ゴム組成物。
<15>
混合時の温度が20〜180℃の範囲である<14>に記載のタイヤ用ゴム組成物。
<16>
前記式(1)又は式(2)で表される化合物の含有量が、天然ゴム及び/又は合成ゴムに対して0.01〜10質量%である、<14>又は<15>に記載のタイヤ用ゴム組成物。
<17>
<11>〜<16>のいずれか一項に記載のタイヤ用ゴム組成物をタイヤ部材のトレッドに用いたタイヤ。
【発明の効果】
【0013】
本発明のアルキリデンアミノグアニジン及びその塩はゴム添加剤等として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に規定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
【0015】
<アルキリデンアミノグアニジン及びその塩等>
本実施形態の化合物は、式(1)又は式(2)で表される化合物である。
【0016】
【化14】
(式中、Xはグアニジン部位と塩を形成する酸であり、R1及びR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アルケニル基(これらの基はいずれも硫黄原子、窒素原子、酸素原子を含む置換基を1つ以上有するものを含む)及び水素原子からなる群より選択されるいずれかである。)
【0017】
【化15】
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アルケニル基(これらの基はいずれも硫黄原子、窒素原子、酸素原子を含む置換基を1つ以上有するものを含む)及び水素原子からなる群より選択されるいずれかである。)
【0018】
式(1)のXは、塩酸、硫酸、炭酸、硝酸、酢酸、シュウ酸、リン酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、臭化水素酸、スルファミン酸、過塩素酸、ケイ酸、ホウ酸、フェニルホスフィン酸等が挙げられる。これらのうち、原料化合物のグアニジン塩の商業的な入手が容易な塩酸、硫酸、炭酸、硝酸が好ましく、製造時の精製の容易さから炭酸がより好ましい。
【0019】
1及びR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アルケニル基(これらの基はいずれも硫黄原子、窒素原子、酸素原子を含む置換基を1つ以上有するものを含む)及び水素原子からなる群より選択されるいずれか一種以上であり、これらの中でも水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基又はアルケニル基であることが好ましく、炭素数1〜5のアルキル基又は水素原子であることがより好ましく、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であることが更に好ましい。R1及びR2の炭素数の上限が好ましくは4以下、より好ましくは3以下であることで、後述する変性用途に関して一層優れた効果を得ることができる。このような置換基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、2−エチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、ビニル基、1−メチルビニル基、1−エチルビニル基、1−プロピルビニル基、2−メチルビニル基、2−エチルビニル基、2−プロピルビニル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、ビニル基、1−メチルビニル基、1−エチルビニル基、2−メチルビニル基、2−エチルビニル基等が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ビニル基、1−メチルビニル基、1−エチルビニル基、2−メチルビニル基、2−エチルビニル基がより好ましい。
【0020】
本実施形態の式(1)又は式(2)で表される化合物として具体的には、エチリデンアミノグアニジン(塩)、プロピリデンアミノグアニジン(塩)、ブチリデンアミノグアニジン(塩)、3−メチルブチリデンアミノグアニジン(塩)、1−メチルエチリデンアミノグアニジン(塩)、1−メチルプロピリデンアミノグアニジン(塩)、1−メチルブチリデンアミノグアニジン(塩)、1−エチルプロピリデンアミノグアニジン(塩)、1−イソプロピル−2−メチルプロピリデンアミノグアニジン(塩)、ペンチリデンアミノグアニジン(塩)、1,3−ジメチルブチリデンアミノグアニジン(塩)、1,2−ジメチルプロピリデンアミノグアニジン(塩)、1−メチルブチリデンアミノグアニジン(塩)、1−メチルペンチリデンアミノグアニジン(塩)、2−メチルプロピリデンアミノグアニジン(塩)、1−メチルヘキシリデンアミノグアニジン(塩)、アリリデンアミノグアニジン(塩)、2−メチルアリリデンアミノグアニジン(塩)、2−ブテニリデンアミノグアニジン(塩)、2,6−ジメチル−4−へプチリデンアミノグアニジン(塩)、2−フリルメチリデンアミノグアニジン(塩)、ベンジリデンアミノグアニジン(塩)、4−ジメチルアミノフェニルメチレンアミノグアニジン(塩)、4−メトキシフェニルメチレンアミノグアニジン(塩)、4−ヒドロキシフェニルメチレンアミノグアニジン(塩)、1−フェニルエチリデンアミノグアニジン(塩)、1−メチル−3−フェニルアリリデンアミノグアニジン(塩)、ジフェニルメチレンアミノグアニジン(塩)、1−(2,4−ジヒドロキシフェニル)ベンジリデンアミノグアニジン(塩)、等が挙げられる。これらの中でも好ましい化合物としては以下の式で表されるもの等が挙げられる。
【0021】
【化16】
【0022】
【化17】
【0023】
【化18】
【0024】
【化19】
【0025】
【化20】
【0026】
【化21】
【0027】
【化22】
【0028】
【化23】
【0029】
【化24】
【0030】
本実施形態の式(1)又は式(2)で表される化合物は、公知の方法で得ることができるが、例えば式(3)で表されるアミノグアニジン塩と式(4)で表されるカルボニル化合物を反応させることにより得ることができる。なお、原料となるアミノグアニジン塩は、その分子内に存在する複数の窒素原子によって共役酸のプラスの電荷が共鳴安定化されるため、強い塩基性を示し、通常は酸との複合体(塩)で存在することが多い。上記の式(1)又は式(2)で表される化合物は、原料となるアミノグアニジン塩と、アルキリデン骨格を形成するアセトン、メチルイソブチルケトン等とを、水あるいはメタノール等のアルコール溶媒中で、必要に応じて酸を添加して反応させることにより容易に合成することができる。得られるアルキリデンアミノグアニジンは酸と塩を形成している場合が殆どであるが、予想に反して塩を形成していないアルキリデンアミノグアニジンが得られることもある。塩を形成する場合は、原料となるアミノグアニジン塩及び添加する酸の種類に応じて、アルキリデン置換アミノグアニジンと塩を形成する酸を適宜選択することができる。このような製造方法は、製造コストの点から好ましい。
【0031】
【化25】
(式中、Xはグアニジン部位と塩を形成する酸である。)
【0032】
【化26】
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アルケニル基(これらの基はいずれも硫黄原子、窒素原子、酸素原子を含む置換基を1つ以上有するものを含む)及び水素原子からなる群より選択されるいずれかである。)
【0033】
式(3)中のXは、グアニジン部位と塩を形成可能な酸であればよく、その種類は限定されないが、例えば、有機酸(酢酸、シュウ酸、p−トルエンスルホン酸等)や無機酸(塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、硝酸、硫酸、リン酸、炭酸、スルファミン酸、過塩素酸、ケイ酸、ホウ酸、フェニルホスフィン酸等)等が挙げられる。
【0034】
式(3)で表される化合物として具体的には、アミノグアニジン炭酸塩(融点162℃(分解))、アミノグアニジン塩酸塩(融点165℃)、アミノグアニジンヨウ化水素酸塩(融点115−118℃)、アミノグアニジンヘミ硫酸塩(融点207℃)、アミノグアニジン硝酸塩(融点145−147℃)、アミノグアニジンシュウ酸塩(融点209℃)、アミノグアニジンリン酸塩(融点144℃)、アミノグアニジン酢酸塩、アミノグアニジンスルファミン酸塩、アミノグアニジン過塩素酸塩等が挙げられる。これらの中でも、商業的に入手が容易なアミノグアニジン炭酸塩、アミノグアニジン塩酸塩、アミノグアニジンヘミ硫酸塩、アミノグアニジン硝酸塩が好ましい。
【0035】
式(4)で表される化合物として具体的には、メチルイソプロピルケトン、2−ペンタノン、2−ヘキサノン、イソブチルアルデヒド、2−ヘプタノン、メチルイソブチルケトン、アクロレイン、メタクロレイン、クロトンアルデヒド等が挙げられる。これらの中でも商業的な入手の容易さの点からメチルイソブチルケトンを用いることが好ましい。これらのカルボニル化合物は、いずれも公知の化合物であり市販品として入手することができる。
【0036】
次に、式(3)で表される化合物と、式(4)で表される化合物の反応条件について詳細に説明する。反応は、式(3)で表される化合物1モルに対し、式(4)で表される示されるカルボニル化合物を1モル〜過剰量、及び必要に応じて酸触媒を縮合促進剤として0.001〜1モル使用し、水やアルコール等の極性溶媒中、常圧で、0〜100℃で10分〜24時間程度撹拌して反応させることにより進行する。反応後、公知の方法により目的物を精製する。例えば氷水等で冷却させ結晶を析出、単離して粗結晶を得る方法等が挙げられる。
【0037】
アミノグアニジン塩とカルボニル化合物との使用割合はモル比で1:1〜1:100、好ましくは1:1〜1:10とするのが好ましい。反応は室温下で行っても、必要に応じて加温下で行ってもよく、原料であるカルボニル化合物の沸点を考慮すると、好ましくは0〜100℃、より好ましくは20〜80℃程度で行うことが好ましい。
【0038】
上記の極性溶媒としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルアルコール等が挙げられる。また、原料となるカルボニル化合物、即ち、3−メチル−2−ブタノン、2−ペンタノン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、4−メチル−2−ペンタノン(メチルイソブチルケトン)、イソブチルアルデヒド、2,4−ジメチル−3−ペンタノン等を溶媒として用いてもよい。
【0039】
上記の縮合促進剤としては、塩酸、硫酸、酢酸、p−トルエンスルホン酸、硝酸、シュウ酸、リン酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、スルファミン酸、過塩素酸等が挙げられる。原料であるグアニジン塩の酸と同じ酸を用いることが好ましい。
【0040】
反応終了後、冷却操作等により結晶が析出した場合は、得られた結晶を濾別し、水やアルコール等で洗浄後、減圧下で乾燥させることで本実施形態の化合物を得ることができる。
【0041】
反応終了後、結晶が析出せずに均一溶液の場合は、例えば以下の方法により、結晶を析出させることができる。均一な反応溶液に対して、炭酸ナトリウム水溶液や炭酸水素ナトリウム水溶液等、炭酸塩を含む弱塩基性の水溶液を加えることにより、アルキリデンアミノグアニジン又はその炭酸塩の結晶が析出する。これを濾別し、上記と同様の操作により、本実施形態の化合物を得ることができる。
【0042】
上記の炭酸塩を含む水溶液を加える操作により得られる生成物は、炭酸と塩を形成している場合が殆どであるが、用いるカルボニル化合物の種類によっては、予想に反してヘミ炭酸塩が得られる場合、あるいは塩を形成していないアルキリデンアミノグアニジンが得られる場合もある。ヘミ炭酸塩が得られるカルボニル化合物としては、アクロレイン等が挙げられる。塩を形成しないアルキリデンアミノグアニジンが得られるカルボニル化合物としては、イソブチルアルデヒド、2−ヘプタノン、シンナムアルデヒド等が挙げられ、アルキリデンアミノグアニジン炭酸塩として得られるカルボニル化合物としては、メチルイソブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、2−ペンタノン、2−ヘキサノン、アセトフェノン、ベンザルアセトン等が挙げられる。
【0043】
本実施形態の式(1)又は式(2)で表される化合物がアルキリデンアミノグアニジン骨格を有していることは、1H−NMRにより同定することができ、酸と塩を形成していることは、元素分析により同定することができる。
【0044】
本実施形態の式(1)又は式(2)で表される化合物の融点としては、ゴム添加剤として用いた場合、シリカ等の無機充填材を含む加硫ゴム組成物の低ロス性と破断強度を向上させる点から、融点が50〜150℃であることが好ましい。融点が50〜150℃であると、常温で固体のため作業性が良く、更にゴムの混練温度、加硫温度で溶けてゴムと混ざりやすくなる。
【0045】
<変性用組成物、タイヤ用変性ゴム、タイヤ用ゴム組成物、タイヤ等>
式(1)又は式(2)で表される化合物は、変性ゴム等を作製するための変性剤として少なくとも好適に使用することができる。すなわち、本実施形態の変性用組成物は、式(1)又は式(2)で表される化合物を配合することによって得られる。変性用組成物は、必要に応じて、後述する他の成分を適宜配合してもよい。本実施形態の変性用組成物は、とりわけタイヤ用部材に用いられる変性ゴムとして所望される物性(例えば、低ロス性や破断強度等)を効果的に向上させることができる。
【0046】
本実施形態のタイヤ用変性ゴム(A)(以下、単に「変性ゴム(A)」という場合がある。)は、天然ゴム及び/又は合成ゴムを式(1)又は式(2)で表される化合物によって変性させることによって得られる。かかる変性ゴム(A)をタイヤの部材等として用いると、低ロス性や破断強度等について優れた効果を発揮できる。以下、この変性ゴム(A)の変性等について説明するが、特に断りがない限り、上記した変性用組成物を用いて天然ゴムや合成ゴムを変性させた場合も同様の効果が得られ、同様の変性ゴム(A)を得ることができる。
【0047】
本実施形態の変性ゴム(A)の原料ゴムとしては天然ゴム、合成ゴム及びその両方のいずれも用いることができるが、特に天然ゴムに用いた場合に本実施形態の効果を顕著に得ることができ、好適である。合成ゴムは、特許文献1に示されている極性基で末端変性することにより無機充填材との親和性を向上させた合成ゴム、あるいは特許文献2に示されている極性基含有単量体を共重合させて無機充填材との親和性を向上させた合成ゴムのように、重合時に極性基を簡便に導入できるのに対し、天然ゴムはそのような手法を用いることができないからである。
【0048】
天然ゴムとしては、天然ゴムラテックスを凝固、乾燥して得られるシートゴム、ブロックゴムいずれの形状も原料として用いることができる。シートゴムとしては、「天然ゴム各種等級品の国際品質包装基準」(通称グリーンブック)の格付けにより分類した、シートを煙で燻しながら乾燥させたリブドスモークドシート(RSS)、シートを熱風乾燥させたエアドライシート(ADS)凝固物を充分に水洗し熱風で乾燥させたクレープ等が挙げられ、この他に、TCラバー(Technically Classified Rubber)、SPラバー(Super Processing Rubber)、MGラバー、PPクレープ、軟化剤、しゃく解剤添加ゴム等が挙げられる。ブロックゴムとしては、マレーシアのSMR(Standard Malaysian Rubber)、インドネシアのSIR、タイのTTR、スリランカのSCR、シンガポールのSSR等が挙げられる。これら天然ゴム原材料は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0049】
また、天然ゴムラテックスを酸化処理した後に凝固させたゴムを用いてもよく、天然ゴムラテックスの酸化は公知の方法で行うことができる。例えば、特開平8−81505号公報に従って、有機溶剤に1〜30質量%の割合で溶解した天然ゴムラテックスを金属系酸化触媒の存在下で空気酸化することによって天然ゴムラテックスの酸化を行うことができる。また、例えば、特開平9−136903号公報に記載されているように、天然ゴムラテックスにカルボニル化合物を添加して、酸化を行うこともできる。酸化方法として空気酸化を行う場合は、特開平9−136903号公報に記載されているように、空気酸化を促進するためにラジカル発生剤の存在下で空気酸化を行ってもよい。ラジカル発生剤としては、例えば過酸化物系ラジカル発生剤、レドックス系ラジカル発生剤、アゾ系ラジカル発生剤等が好適に用いられる。
【0050】
変性ゴム(A)の原料として用いることのできる合成ゴムとしては、例えば、1,4−ポリブタジエン、1,2−ポリブタジエン、1,4−ポリイソプレン、3,4−ポリイソプレン、スチレンブタジエンゴム、末端変性スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム等、分子内に二重結合を有するジエン系ゴム等が挙げられる。
【0051】
本実施形態では、上記した天然ゴム、変性ゴム、あるいはその両方を用いてもよい。すなわち、これらを1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0052】
本実施形態のゴム変性剤は、上記した式(1)又は式(2)で表されるアルキリデンアミノグアニジン塩、アルキリデンアミノグアニジンのいずれかである。
【0053】
上記変性剤とゴムが反応して得られる変性ゴムは、アミノ基等の極性基を有するため、無機充填材の極性基、特にシリカの場合はシリカ表面のシラノール基と親和性が向上することにより、ゴム−無機充填材間の密着性が向上して、タイヤ等のゴム成形体を得たときに、低ロス性に優れたゴム成形体となる。
【0054】
次に、本実施形態の変性ゴムの製造法について述べる。本実施形態の変性ゴムは、式(1)又は式(2)で表される化合物及びゴムをミキサー、押出機及び混練機等を用いて混ぜ合わせることにより得られる。分散性向上の点から混練機で混合することが好ましい。式(1)又は式(2)で表される化合物をミキサー、押出機及び混練機等に添加する方法として、粉体をそのまま添加する方法、溶媒に溶解させて溶液として添加する方法、エマルジョン溶液として添加する方法、いずれを用いてもよい。
【0055】
本実施形態の変性ゴムを得るための反応条件は、特に限定されるものではないが、ゴムと変性剤との反応温度は、20〜180℃であることが好ましく、50〜160℃であることがより好ましい。反応温度をこのような温度範囲に制御することで、ゴムと変性剤を十分に混合することができ、更に変性剤の分解を抑えることができる。ゴムの混練時間は上記反応温度で0.5〜30分間となるように調節されることが好ましく、2〜10分間であると更に好ましい。0.5〜30分間であると生産性を悪化させることなくゴムと変性剤を十分に反応させることができる。反応の雰囲気としては、空気下等の酸素存在下で行うことが好ましい。酸素存在下で混練することにより、ゴムが一部酸化されて変性剤との反応性が向上するためである。
【0056】
また、本実施形態の変性ゴムは、変性剤とゴムを一度に押出機及び混練機等で混ぜ合わせることによっても得られるが、天然ゴムラテックスを酸化処理した後に凝固させたゴムを用いる手法や、変性剤を添加する前に素練りと呼ばれる原料ゴムに機械力を加え分子凝集(会合)をほぐし分子鎖を切断してゴムの可塑度を加工しやすいレベルに調節する工程を行う手法を用いることも、変性剤とゴムの反応性を向上させることができるため好ましい。上記の素練り工程は、しゃく解剤(ペプタイザー)を用いてもよい。
【0057】
また、変性剤、ゴム、無機充填材を含む充填材及びシランカップリング剤に、必要に応じて適宜選択した各種配合剤を配合し、ミキサー、押出機及び混練機等を用いて混合することによっても、ゴム組成物中に変性ゴムが一部生成する。この手法は、上記の変性剤及びゴムを混ぜ合わせる手法より作業効率の点で好ましい。この操作を行うと、本実施形態のゴム組成物を得ることができる。
【0058】
本実施形態の変性ゴムを製造するに際して用いる変性剤の使用量は、得られた変性ゴムが、ゴムの各分子にまんべんなく少量の極性基が導入されることにより、加工性を低下させずにシリカやカーボンブラック等の充填材に対する親和性が向上し、低ロス性に優れたゴム組成物を与える点から、上記化合物の使用量は、ゴム成分(天然ゴム及び/又は合成ゴム)に対し0.01〜10質量%であることが好ましく、0.1〜3質量%であることがより好ましい。なお、天然ゴムと合成ゴムを併用した場合、ここでいう上記化合物の使用量とは、天然ゴムと合成ゴムの総量に対する量をいう。
【0059】
本実施形態のタイヤ用ゴム組成物(以下、単に「ゴム組成物」という場合がある。)は、変性ゴム(A)、無機充填材(B)を含む充填材及びシランカップリング剤(C)を含有するものである。
【0060】
本実施形態における無機充填材(B)とは、ケイ素、典型金属又は遷移金属の酸化物又は水酸化物及びそれらの水和物、並びにこれら金属の炭酸塩から選ばれる少なくとも一種を含む無機化合物を指す。
【0061】
無機充填材(B)として具体的には、当業界で用いられる無機充填材であれば特に限定されない。なお、後述するカーボンブラックは、ここでいう無機充填材(B)には含まれないものであり、無機充填材(B)にはあたらない。無機充填材は、表面が活性なシリカや表面処理クレー等補強性充填材と、炭酸カルシウム、クレー及びタルク等非補強性充填材に大別される。無機充填材(B)の具体例としては、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム(クレー)、ケイ酸マグネシウム(タルク)、ケイ酸カルシウム、亜鉛華等が挙げられる。変性ゴムとの相互作用を考慮すると、補強性充填材を用いるのが好ましく、それらの中でもシリカがより好ましい。シリカとしては、特に限定されず、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)等を使用することができる。
【0062】
シリカを用いる場合には、BET比表面積が40〜350m2/gであることが好ましい。シリカのBET表面積がこの範囲であれば、シリカの粒子径が適切となり、引張り強度の向上とヒステリシスロスの低下になる。BET比表面積は、JIS Z8830:2013に準拠して測定することができる。
【0063】
本実施形態のゴム組成物に用いる充填材として、上記の無機充填材(B)の他に、補強効果を高めるため、カーボンブラックを添加することもできる。なお、カーボンブラックは、上記の無機充填材(B)とは別異の充填材であり、無機充填材(B)とは明確に区別されるものである。カーボンブラックとしては、GPF、FEF、SRF、HAF、ISAF、SAFといった種々のグレードのもの等が挙げられる。
【0064】
本実施形態のゴム組成物としては、変性剤(式(1)又は式(2)で表される化合物)、ゴム(天然ゴム及び/又は合成ゴム)、無機充填材(B)を含む充填材並びにシランカップリング剤(C)を混合することにより、変性ゴム(A)を含有するゴム組成物としてもよい。
【0065】
混合時の温度は、特に限定されないが、20〜180℃であることが好ましく、50〜160℃であることがより好ましい。反応温度をこのような温度範囲に制御することで、ゴムと変性剤を十分に混合することができ、更に変性剤の分解を抑えることができる。ゴムの混練時間は上記反応温度で0.5〜30分間となるように調節されることが好ましく、2〜10分間であるとより好ましい。0.5〜30分間であると生産性を悪化させることなくゴムと変性剤を十分に反応させることができる。反応の雰囲気としては、空気下等酸素存在下で行うことが好ましい。酸素存在下で混練することにより、ゴムが一部酸化されて変性剤との反応性が向上するためである。
【0066】
混合時の変性剤の使用量は、ゴム成分(天然ゴム及び/又は合成ゴム)に対し0.01〜10質量%であることが好ましく、0.1〜3質量%であることがより好ましい。なお、天然ゴムと合成ゴムを併用した場合、ここでいう変性剤の使用量とは、天然ゴムと合成ゴムの総量に対する量をいう。
【0067】
本実施形態のゴム組成物における無機充填材(B)とカーボンブラックの合計含有量は、特に限定されるものではないが、加工性を悪化させず、充分な低ロス効果又は補強効果が得られる含有量として、変性ゴム(A)等他のゴム組成物の有機成分100質量部に対して5〜100質量部であることが好ましく、20〜80質量部であることがより好ましい。
【0068】
本実施形態のシランカップリング剤(C)としては、特に限定されないが、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス−(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス−(3−メチルジメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス−(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス−(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、3−ヘキサノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3−デカノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3−ラウロイルチオプロピルトリエトキシシラン、2−ヘキサノイルチオエチルトリエトキシシラン、2−オクタノイルチオエチルトリエトキシシラン、2−デカノイルチオエチルトリエトキシシラン、2−ラウロイルチオエチルトリエトキシシラン、3−ヘキサノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3−オクタノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3−デカノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3−ラウロイルチオプロピルトリメトキシシラン、2−ヘキサノイルチオエチルトリメトキシシラン、2−オクタノイルチオエチルトリメトキシシラン、2−デカノイルチオエチルトリメトキシシラン、2−ラウロイルチオエチルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリロイルモノスルフィド等が挙げられる。その含有量は、上記の無機充填材100質量部に対して1〜20質量部であることが好ましい。
【0069】
本実施形態のゴム組成物には、変性ゴム、ゴム、無機充填材を含む充填材の他に、ゴム工業界で通常使用される配合剤、例えば、老化防止剤、軟化剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫剤等を、本実施形態の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合することができる。これらの配合剤は、市販品を好適に使用することができる。
【0070】
老化防止剤の種類としては、特に限定されないが、例えば、ナフチルアミン系、p−フェニレンジアミン系、ヒドロキノン誘導体、ビス,トリス,ポリフェノール系、ジフェニルアミン系、キノリン系、モノフェノール系、チオビスフェノール系、ヒンダード、フェノール系等が挙げられ、更なる老化防止効果の点でp−フェニレンジアミン系、ジフェニルアミン系のアミン系老化防止剤が好ましい。ジフェニルアミン系老化防止剤としては、例えば、4,4′−(α−メチルベンジル)ジフェニルアミン、4,4′−(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、p−(p−トルエン−スルホニルアミド)ジフェニルアミン、4,4′−ジオクチルジフェニルアミン等が挙げられる。これらの中でも、更に高い老化防止効果の点で4,4′−(α−メチルベンジル)ジフェニルアミンが最も好ましい。また、p−フェニレンジアミン系老化防止剤としては、例えば、N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N′−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミン、N,N′−ビス(1−メチルヘプチル)−p−フェニレンジアミン、N,N′−ビス(1,4−ジメチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N′−ビス(1−エチル−3−メチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン等が挙げられる。これらの中でも、更に高い老化防止効果及びコストの点でN−(1,3−ジメチルブチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミンが最も好ましい。老化防止剤のゴム組成物における含有量は、ゴム組成物中におけるゴム成分の0.1〜5質量%含有させることが好ましい。
【0071】
軟化剤の種類としては、特に限定されないが、石油やコールタール由来の鉱物油系軟化剤、脂肪油や松樹由来の植物油系軟化剤及び合成樹脂系軟化剤等が挙げられる。
【0072】
加硫促進剤の種類としては、特に限定されないが、メルカプトベンゾチアゾール、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド等のチアゾール系、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N′−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N′−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド等のスルフェンアミド系、ジフェニルグアニジン等のグアニジン系が挙げられる。これら加硫促進剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。その含有量はゴム成分100質量部に対して0.1〜5質量部であることが好ましい。加硫促進助剤は、特に限定されないが、ステアリン酸、亜鉛華が挙げられる。
【0073】
加硫剤の種類としては、通常当業界で用いられるものを適宜使用することができ、硫黄、過酸化物等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは硫黄である。加硫剤の含有量はゴム成分100質量部に対し、0.1〜5質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜3質量部である。加硫剤の含有量の下限値を上記値以上とすると、十分な加硫が得られ、また、加硫剤の含有量の上限値を上記値以下とすると、いわゆるスコーチ時間が短くならず、混練り中にゴムが焦げてしまうといった不具合を効果的に抑制できる。
【0074】
本実施形態のタイヤは、上記ゴム組成物を用いたことを特徴とし、上記ゴム組成物をトレッドに用いることが好ましい。上記ゴム組成物をトレッドに用いたタイヤは、低燃費性に優れる。尚、本実施形態のタイヤは、上記のゴム組成物をタイヤ部材の何れかに用いる以外特に制限はなく、常法に従って製造することができる。また、該タイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
【実施例】
【0075】
以下に実施例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0076】
<実験A>
【0077】
(実施例A−1)1,3−ジメチルブチリデンアミノグアニジン炭酸塩(5)の合成
【化27】
50mLナス型フラスコに、アミノグアニジン塩酸塩1.329g(12mmol)、メタノール6mL、12N塩酸0.25mLを加え、室温で10分間撹拌した後、メチルイソブチルケトン(MIBK)を1.568g(16mmol)加え、磁気撹拌子を用いて室温で撹拌した。2.5時間撹拌した後、反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液20mLに滴下すると白色結晶が析出し、これを濾取、水洗後、50℃で5時間真空乾燥して、白色固体を2.357g(11mmol)得た。得られた固体を1H−NMRで分析し、1,3−ジメチルブチリデンアミノグアニジン炭酸塩であることを確認した(1H−NMR(DMSO−d6,500MHz,δ;ppm)=0.8(d;6H)、1.8(s;3H)、1.9(m;1H)、2.0(d;2H)、5.0−5.6(br))。モル収率は92%であった。また、微量融点測定器BY−1((株)矢沢科学製)を用いて融点を測定したところ、96〜97℃であり、炭素・水素・窒素同時定量装置CHNコーダーMT−6(ヤナコ分析工業(株))を用いて元素分析を行ったところ、計算値C,44.03;H,8.31;N,25.67に対し、実測値C,43.93;H,8.30;N,25.57であった。
【0078】
(実施例A−2)1,2−ジメチルプロピリデンアミノグアニジン炭酸塩(6)の合成
【化28】
50mLナス型フラスコに、アミノグアニジン塩酸塩1.324g(12mmol)、水6mL、12N塩酸0.05mLを加え、室温で10分間撹拌した後、3−メチル−2−ブタノンを1.525g(18mmol)加え、磁気撹拌子を用いて室温で撹拌した。2.0時間撹拌した後、反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液20mLに滴下すると白色結晶が析出し、これを濾取、水洗後、50℃で18時間真空乾燥して、白色固体を1.802g(8.8mmol)得た。得られた固体を1H−NMRで分析し、1,2−ジメチルプロピリデンアミノグアニジン炭酸塩であることを確認した(1H−NMR(DMSO−d6,500MHz,δ;ppm)=1.0(d;6H)、1.8(s;3H)、2.4(m;1H))。モル収率は73%であった。また、微量融点測定器BY−1((株)矢沢科学製)を用いて融点を測定したところ、104〜105℃であり、炭素・水素・窒素同時定量装置CHNコーダーMT−6(ヤナコ分析工業(株))を用いて元素分析を行ったところ、計算値C,41.17;H,7.90;N,27.43に対し、実測値C,40.96;H,7.88;N,27.33であった。
【0079】
(実施例A−3)1−メチルブチリデンアミノグアニジン炭酸塩(7)の合成
【化29】
50mLナス型フラスコに、アミノグアニジン塩酸塩1.329g(12mmol)、水6mL、12N塩酸0.05mLを加え、室温で10分間撹拌した後、2−ペンタノンを1.636g(19mmol)加え、磁気撹拌子を用いて室温で撹拌した。2.0時間撹拌した後、反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液20mLに滴下すると白色結晶が析出し、これを濾取、水洗後、50℃で18時間真空乾燥して、白色固体を1.244g(6.1mmol)得た。得られた固体を1H−NMRで分析し、1−メチルブチリデンアミノグアニジン炭酸塩であることを確認した(1H−NMR(DMSO−d6,500MHz,δ;ppm)=0.9(t;3H)、1.5(m;2H)、1.8(s;3H)、2.1(t;2H))。モル収率は51%であった。また、微量融点測定器BY−1((株)矢沢科学製)を用いて融点を測定したところ、84〜85℃であり、炭素・水素・窒素同時定量装置CHNコーダーMT−6(ヤナコ分析工業(株))を用いて元素分析を行ったところ、計算値C,41.17;H,7.90;N,27.43に対し、実測値C,42.59;H,8.23;N,29.43であった。
【0080】
(実施例A−4)1−メチルペンチリデンアミノグアニジン炭酸塩(8)の合成
【化30】
50mLナス型フラスコに、アミノグアニジン塩酸塩1.326g(12mmol)、水6mL、12N塩酸0.05mLを加え、室温で10分間撹拌した後、2−ヘキサノンを1.663g(17mmol)加え、磁気撹拌子を用いて室温で撹拌した。2.0時間撹拌した後、反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液20mLに滴下すると白色結晶が析出し、これを濾取、水洗後、50℃で18時間真空乾燥して、白色固体を1.658g(7.6mmol)得た。得られた固体を1H−NMRで分析し、1−メチルペンチリデンアミノグアニジン炭酸塩であることを確認した(1H−NMR(DMSO−d6,500MHz,δ;ppm)=0.9(t;3H)、1.3(m;2H)、1.4(m;2H)、1.8(s;3H)、2.1(t;2H)、4.9−5.5(br))。モル収率は63%であった。また、微量融点測定器BY−1((株)矢沢科学製)を用いて融点を測定したところ、70〜71℃であり、炭素・水素・窒素同時定量装置CHNコーダーMT−6(ヤナコ分析工業(株))を用いて元素分析を行ったところ、計算値C,44.03;H,8.31;N,25.67に対し、実測値C,44.24;H,8.12;N,27.82であった。
【0081】
(実施例A−5)2−メチルプロピリデンアミノグアニジン(9)の合成
【化31】
50mLナス型フラスコに、アミノグアニジン塩酸塩1.324g(12mmol)、水6mL、12N塩酸0.05mLを加え、室温で10分間撹拌した後、イソブチルアルデヒドを1.500g(21mmol)加え、磁気撹拌子を用いて室温で撹拌した。2.0時間撹拌した後、反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液20mLに滴下すると白色結晶が析出し、これを濾取、水洗後、50℃で18時間真空乾燥して、白色固体を0.792g(4.2mmol)得た。得られた固体を1H−NMRで分析し、2−メチルプロピリデンアミノグアニジンであることを確認した(1H−NMR(DMSO−d6,500MHz,δ;ppm)=1.0(d;6H)、2.4(m;1H)、4.9−5.6(br)、7.2(d;1H))。モル収率は35%であった。また、微量融点測定器BY−1((株)矢沢科学製)を用いて融点を測定したところ、59〜60℃であり、炭素・水素・窒素同時定量装置CHNコーダーMT−6(ヤナコ分析工業(株))を用いて元素分析を行ったところ、計算値C,46.85;H,9.44;N,43.71に対し、実測値C,45.13;H,9.18;N,40.89であった。
【0082】
(実施例A−6)1−メチルヘキシリデンアミノグアニジン(10)の合成
【化32】
50mLナス型フラスコに、アミノグアニジン塩酸塩1.326g(12mmol)、水6mL、12N塩酸0.05mLを加え、室温で10分間撹拌した後、2−ヘプタノンを1.730g(15mmol)加え、磁気撹拌子を用いて室温で撹拌した。2.0時間撹拌した後、反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液20mLに滴下すると白色結晶が析出し、これを濾取、水洗後、50℃で18時間真空乾燥して、白色固体を1.576g(6.7mmol)得た。得られた固体を1H−NMRで分析し、1−メチルヘキシリデンアミノグアニジンであることを確認した(1H−NMR(DMSO−d6,500MHz,δ;ppm)=0.9(t;3H)、1.3(m;4H)、1.5(m;2H)、1.8(s;3H)、2.1(t;2H)、4.9−5.5(br))。モル収率は56%であった。また、微量融点測定器BY−1((株)矢沢科学製)を用いて融点を測定したところ、74〜75℃であり、炭素・水素・窒素同時定量装置CHNコーダーMT−6(ヤナコ分析工業(株))を用いて元素分析を行ったところ、計算値C,56.44;H,10.66;N,32.91に対し、実測値C,56.01;H,10.80;N,32.62であった。
【0083】
(実施例A−7)アリリデンアミノグアニジンヘミ炭酸塩(11)の合成
【化33】
50mLナス型フラスコに、アミノグアニジン塩酸塩1.336g(12.1mmol)、水6mL、12N塩酸0.05mLを加え、室温で10分間撹拌した後、アクロレインを990mg(14.7mmol)加え、磁気撹拌子を用いて室温で撹拌した。1.5時間撹拌した後、反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液20mLを加えた。析出した結晶を濾取、水洗後、50℃で24時間真空乾燥して、薄黄色固体を402mg(2.8mmol)得た。得られた固体を1H−NMRで分析し、アリリデンアミノグアニジンヘミ炭酸塩であることを確認した(1H−NMR(DMSO−d6,500MHz,δ;ppm)=5.3(dd;1H)、5.4(dd;1H)、5.4(s;2H)、5.9(s;2H)、6.4(ddd;1H)、7.7(d;1H))。モル収率は23%であった。また、微量融点測定器BY−1((株)矢沢科学製)を用いて融点を測定したところ、80℃であり、炭素・水素・窒素同時定量装置CHNコーダーMT−6(ヤナコ分析工業(株))を用いて元素分析を行ったところ、計算値C,37.76;H,6.34;N,39.14に対し、実測値C,37.35;H,6.36;N,38.52であった。
【0084】
(実施例A−8)2−メチルアリリデンアミノグアニジン炭酸塩(12)の合成
【化34】
50mLナス型フラスコに、アミノグアニジン塩酸塩1.339g(12.1mmol)、水3mL、12N塩酸0.025mLを加え、室温で10分間撹拌した後、メタクロレインを1.03g(14.6mmol)加え、磁気撹拌子を用いて室温で撹拌した。2時間撹拌した後、薄黄色の反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液20mLを加えた。析出した結晶を濾取、水洗後、50℃で24時間真空乾燥して、薄黄色固体を1.50g(8.0mmol)得た。得られた固体を1H−NMRで分析し、2−メチルアリリデンアミノグアニジン炭酸塩であることを確認した(1H−NMR(DMSO−d6,500MHz,δ;ppm)=1.9(s;3H)、5.1(s;1H)、5.2(s;1H)、5.3−5.8(br)、7.7(s;1H))。モル収率は66%であった。また、微量融点測定器BY−1((株)矢沢科学製)を用いて融点を測定したところ、99〜100℃であり、炭素・水素・窒素同時定量装置CHNコーダーMT−6(ヤナコ分析工業(株))を用いて元素分析を行ったところ、計算値C,38.29;H,6.43;N,29.77に対し、実測値C,38.83;H,6.60;N,30.80であった。
【0085】
(実施例A−9)2−ブテニリデンアミノグアニジン炭酸塩(13)の合成
【化35】
50mLナス型フラスコに、アミノグアニジン塩酸塩1.337g(12.1mmol)、水2.2mL、12N塩酸0.2mLを加え、室温で10分間撹拌した後、クロトンアルデヒドを956mg(13.6mmol)加え、磁気撹拌子を用いて室温で撹拌した。1時間撹拌した後、反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液20mLを加えた。析出した結晶を濾取、水洗後、50℃で20時間真空乾燥して、白色固体を1.23g(6.5mmol)得た。得られた固体を1H−NMRで分析し、2−ブテニリデンアミノグアニジン炭酸塩であることを確認した(1H−NMR(DMSO−d6,500MHz,δ;ppm)=1.8(dd;3H)、5.2−5.7(br)、5.9(dq;1H)、6.1(m;1H)、7.6(d;1H))。モル収率は54%であった。また、微量融点測定器BY−1((株)矢沢科学製)を用いて融点を測定したところ、124〜125℃であり、炭素・水素・窒素同時定量装置CHNコーダーMT−6(ヤナコ分析工業(株))を用いて元素分析を行ったところ、計算値C,38.29;H,6.43;N,29.77に対し、実測値C,39.99;H,6.79;N,32.60であった。
【0086】
(実施例A−10、11)
天然ゴム100質量%にシリカ50質量%、シランカップリング剤5質量%、亜鉛華3質量%、ステアリン酸1質量%、硫黄1.75質量%、加硫促進剤(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)1質量%、加硫促進剤(ジフェニルグアニジン)0.5質量%を配合してなるゴム組成物A(比較例A−1)を、ラボプラストミル((株)東洋精機製作所製)にて混練して調製し、プレス機(北川精機(株)製)を用いて145℃、10MPaで25〜37分間加硫することにより加硫ゴム組成物を得た。そして、ゴム組成物Aの配合に加えて更に実施例A−1の化合物0.7質量%を配合してなるゴム組成物B(試験例A−1)を、同様にして調製した。
さらに、ゴム組成物Aの配合に加えて更に実施例A−8の化合物0.8質量%を配合してなるゴム組成物C(試験例A−2)を、同様にして調製した。ゴム組成物B、Cについても、ゴム組成物Aと同様に、ラボプラストミル((株)東洋精機製作所製)にて混練して調製し、プレス機(北川精機(株)製)を用いて145℃、10MPaで25〜37分間加硫することにより加硫ゴム組成物を、それぞれ得た。
以下に用いた成分について示す。
天然ゴム:RSS#1
シリカ:商品名「ニップシールAQ」(BET表面積=207m2/g、東ソー・シリカ(株)製)
シランカップリング剤:ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(エボニック ジャパン(株)製)
亜鉛華(和光純薬工業(株)製)
ステアリン酸(和光純薬工業(株)製)
硫黄(細井化学工業(株)製、250μm)
加硫促進剤(CBS):N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(和光純薬工業(株)製)
加硫促進剤(DPG):ジフェニルグアニジン(和光純薬工業(株)製)
該加硫ゴム組成物に対して、下記の方法で発熱性及び引張り破断強度を測定・評価した。
【0087】
(1)発熱性
上記加硫ゴム組成物に対し、動的粘弾性測定装置(セイコーインスツル(株)製DMS6100)を用い、温度50℃、歪み0.05%、周波数10Hzで損失正接(tanδ)を測定し、比較例A−1(ゴム組成物A)の値を100として、試験例A−1(ゴム組成物B)の値と試験例A−2(ゴム組成物C)の値を指数表示した。指数値が小さい程、tanδが低く、ゴム組成物が低ロス性であることを示す。
(2)引張り破断強度
上記加硫ゴム組成物に対し、JIS K6251:2010に準拠して引張り試験を行い、引張り破断強度を測定し、比較例A−1(ゴム組成物A)の値を100として、試験例A−1(ゴム組成物B)の値と試験例A−2(ゴム組成物C)の値を指数表示した。指数値が大きい程、引張り破断強度が大きく、耐破壊性が良好であることを示す。
【0088】
その結果、比較例A−1(ゴム組成物A)の加硫ゴム組成物のtanδ及び引張り破断強度を100とした際の試験例A−1(ゴム組成物B)の加硫ゴム組成物のtanδ及び引張り破断強度は80及び111であり、試験例A−2(ゴム組成物C)の加硫ゴム組成物のtanδ及び引張り破断強度は85及び109であった。この結果より、実施例A−1(試験例A−1、ゴム組成物B参照)及び実施例A−8(試験例A−2、ゴム組成物C参照)の化合物は、ゴムの低ロス性及び破断強度を向上させるのに有用であることが少なくとも確認された。
【0089】
<実験B>
【0090】
(実施例B−1)1,3−ジメチルブチリデンアミノグアニジン炭酸塩(3)の合成
(実験A−1)で合成した1,3−ジメチルブチリデンアミノグアニジン炭酸塩を用いた。
【0091】
(実施例B−2)3−フェニルアリリデンアミノグアニジン(4)の合成
【化36】
50mLナス型フラスコに、アミノグアニジン塩酸塩1.332g(12.0mmol)、メタノール6mL、12N塩酸0.25mLを加え、室温で10分間撹拌した後、シンナムアルデヒドを1.609g(12.2mmol)加え、磁気撹拌子を用いて室温で撹拌した。2時間撹拌した後、反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液20mLに滴下すると薄黄色結晶が析出し、これを濾取、水洗後、50℃で24時間真空乾燥して、薄黄色固体を2.213g(11.8mmol)得た。得られた固体を1H−NMRで分析し、3−フェニルアリリデンアミノグアニジンであることを確認した(1H−NMR(DMSO−d6,500MHz,δ;ppm)=5.5(s;2H)、5.7−5.8(br;2H)、6.7(d;1H)、6.9(dd;1H)、7.2(dd;1H)、7.3(dd;2H)、7.5(d;2H)、7.8(d;1H))。モル収率は98%であった。また、微量融点測定器BY−1((株)矢沢科学製)を用いて融点を測定したところ、190〜192℃であり、炭素、水素、窒素同時定量装置CHNコーダーMT−6(ヤナコ分析工業(株))を用いて元素分析を行ったところ、計算値C,63.81;H,6.43;N,29.77に対し、実測値C,63.26;H,6.45;N,29.43であった。
【0092】
(実施例B−3)2−メチルアリリデンアミノグアニジン炭酸塩(5)の合成
(実験A−8)で合成した2−メチルアリリデンアミノグアニジン炭酸塩を用いた。
【0093】
(実施例B−4)1−メチルエチリデンアミノグアニジンリン酸塩(6)の合成
【化37】
50mLナス型フラスコに、アミノグアニジン炭酸塩(東京化成工業(株)製)8.13g(60mmol)、水12mLを加え、85%リン酸7.01g(60mmol)を滴下し、室温で30分間撹拌した。次いで、アセトンを3.52g(61mmol)加え、磁気撹拌子を用いて室温で撹拌した。攪拌すると白色固体が析出した。さらに、室温で3時間撹拌した後、結晶を濾取し、得られたろ液にアセトンを加えさらに白色固体を析出させた。得られた結晶をアセトンで洗浄した後、35℃で20時間真空乾燥して、白色固体を11.27g(53.1mmol)得た。得られた固体を1H−NMRで分析し、1−メチルエチリデンアミノグアニジンリン酸塩であることを確認した(1H−NMR(DMSO−d6,500MHz,δ;ppm)=1.9(s;1H)、2.0(s;1H)、7.4−8.2(br))。モル収率は89%であった。また、微量融点測定器BY−1((株)矢沢科学製)を用いて融点を測定したところ、209〜210℃であり、炭素・水素・窒素同時定量装置CHNコーダーMT−6(ヤナコ分析工業(株))を用いて元素分析を行ったところ、計算値C,22.65;H,6.18;N,26.41に対し、実測値C,22.03;H,6.29;N,25.97であった。
【0094】
(実施例B−5)1−フェニルエチリデンアミノグアニジンリン酸塩(7)の合成
【化38】
50mLナス型フラスコに、アミノグアニジン炭酸塩13.62g(100mmol)、水42mLを加え、85%リン酸12.35g(107mmol)を滴下した。室温で30分間撹拌した後、アセトフェノンを12.25g(102mmol)加え、磁気撹拌子を用いて室温で撹拌した。白色固体が析出した。4時間撹拌した後、析出した結晶を濾取、水洗後、35℃で24時間真空乾燥して、白色固体を24.67g(90mmol)得た。得られた固体を1H−NMRで分析し、1−フェニルエチリデンアミノグアニジンリン酸塩であることを確認した(1H−NMR(DMSO−d6,500MHz,δ;ppm)=2.3(s;3H)、4.2−4.7(br)、7.4(m;3H)、7.9(m;2H))。モル収率は90%であった。また、微量融点測定器BY−1((株)矢沢科学製)を用いて融点を測定したところ、235〜236℃であり、炭素・水素・窒素同時定量装置CHNコーダーMT−6(ヤナコ分析工業(株))を用いて元素分析を行ったところ、計算値C,39.42;H,5.51;N,20.43に対し、実測値C,37.89;H,5.57;N,19.76であった。
【0095】
(実施例B−6)
反応器内を30℃に加熱したラボプラストミル((株)東洋精機製作所製)に、天然ゴム凝固体(RSS#1、加藤産商(株)製)41.4gを投入し、回転数60rpmで蓋を閉めた状態で4分間、蓋を開けた状態で1分間混練した。せん断発熱によりゴムの温度が80℃まで上昇したところで、合成例1で得られた1,3−ジメチルブチリデンアミノグアニジン炭酸塩0.290gを投入し、更に3分間混練することにより、変性ゴム1を得た。この時、ゴムの温度は85℃に達していた。
該変性ゴム1 9.0gをアセトンとメタノールの2:1混合溶媒200g中で2時間加熱還流することにより、未反応の1,3−ジメチルブチリデンアミノグアニジン炭酸塩の抽出を行った。溶媒を減圧留去した後、残渣を液体クロマトグラフィーを用いて定量分析した結果、抽出物に含まれる未反応の1,3−ジメチルブチリデンアミノグアニジン炭酸塩は0.008gであり、即ち添加した1,3−ジメチルブチリデンアミノグアニジン炭酸塩の87%が天然ゴムと反応した。
従って、該変性ゴム1におけるアミノグアニジンの付加量は天然ゴム原材料中の固系ゴム成分に対して0.6質量%であることを確認した。
【0096】
(実施例B−7)
反応器内を30℃に加熱したラボプラストミルに、天然ゴム凝固体(RSS#1)41.4gを投入し、回転数60rpmで蓋を閉めた状態で4分間、蓋を開けた状態で1分間混練した。せん断発熱によりゴムの温度が80℃まで上昇したところで、合成例2で得られた3−フェニルアリリデンアミノグアニジン0.290gを投入し、更に3分間混練することにより、変性ゴム2を得た。この時、ゴムの温度は85℃に達していた。
該変性ゴム2 9.0gをアセトンとメタノールの2:1混合溶媒200g中で2時間加熱還流することにより、未反応の3−フェニルアリリデンアミノグアニジンの抽出を行った。溶媒を減圧留去した後、残渣を液体クロマトグラフィーを用いて定量分析した結果、抽出物に含まれる未反応の3−フェニルアリリデンアミノグアニジンは0.022gであり、即ち添加した3−フェニルアリリデンアミノグアニジンの65%が天然ゴムと反応した。
従って、該変性ゴム2におけるアミノグアニジンの付加量は天然ゴム原材料中の固系ゴム成分に対して0.5質量%であることを確認した。
【0097】
(参考例1)
反応器内を30℃に加熱したラボプラストミルに、天然ゴム凝固体(RSS#1)41.4gを投入し、回転数60rpmで蓋を閉めた状態で4分間、蓋を開けた状態で1分間混練した。せん断発熱によりゴムの温度が80℃に達した後、更に3分間混練することにより、未変性ゴム1を得た。この時、ゴムの温度は85℃に達していた。
【0098】
(実施例B−8、9、比較例B−1)
表1の組成に従い、最初に変性ゴム1、2又は未変性ゴム1と、シリカ、シランカップリング剤、亜鉛華、ステアリン酸をラボプラストミルにて、140℃で5分間混練した後、一旦55℃に冷却しこれに硫黄と加硫促進剤を投入し、90℃で3分間混練してゴム組成物を調製した。続いて、プレス機(北川精機(株)製)を用いて145℃、10MPaで26〜38分間加硫することにより加硫ゴム組成物を得た。以下に用いた成分について示す。
【0099】
(実施例B−10〜14、比較例B−2)
表2の組成に従い、最初に天然ゴム凝固体、シリカ、シランカップリング剤、亜鉛華、ステアリン酸、変性剤1〜5をラボプラストミルにて、140℃で5分間混練した後、一旦55℃に冷却しこれに硫黄と加硫促進剤を投入し、90℃で3分間混練してゴム組成物を調製した。続いて、プレス機(北川精機(株)製)を用いて145℃、10MPaで25〜37分間加硫することにより加硫ゴム組成物を得た。以下に用いた成分について示す。
天然ゴム:RSS#1
シリカ:商品名「ニップシールAQ」(BET表面積=207m2/g、東ソー・シリカ(株)製)
シランカップリング剤:ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(エボニック ジャパン(株)製)
亜鉛華(和光純薬工業(株)製)
ステアリン酸(和光純薬工業(株)製)
硫黄(細井化学工業(株)製、250μm)
加硫促進剤(CBS):N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(和光純薬工業(株)製)
加硫促進剤(DPG):ジフェニルグアニジン(和光純薬工業(株)製)
変性剤1:実施例B−1で得られた1,3−ジメチルブチリデンアミノグアニジン炭酸塩
変性剤2:実施例B−2で得られた3−フェニルアリリデンアミノグアニジン
変性剤3:実施例B−3で得られた2−メチルアリリデンアミノグアニジン炭酸塩
変性剤4:実施例B−4で得られた1−メチルエチリデンアミノグアニジンリン酸塩
変性剤5:実施例B−5で得られた1−フェニルエチリデンアミノグアニジンリン酸塩
該加硫ゴム組成物に対して、下記の方法で発熱性及び引張り破断強度を測定、評価した。結果を表1、2に示す。
【0100】
(1)発熱性
上記加硫ゴム組成物に対し、動的粘弾性測定装置(セイコーインスツル(株)製DMS6100)を用い、温度50℃、歪み0.05%、周波数10Hzで損失正接(tanδ)を測定し、表1の比較例B−1、表2の比較例B−2の値を100としてそれぞれ指数表示した。指数値が小さい程、tanδが低く、ゴム組成物が低発熱性であることを示す。
(2)引張り破断強度
上記加硫ゴム組成物に対し、JIS K6251−2010に準拠して引張り試験を行い、引張り破断強度を測定し、表1の比較例B−1、表2の比較例B−2の値を100としてそれぞれ指数表示した。指数値が大きい程、引張り破断強度が大きいことを示す。
【0101】
【表1】
表1中、配合処方の各成分は質量部を示す。
【0102】
表1から、各実施例のゴム組成物は、アルキリデンアミノグアニジン塩又はアルキリデンアミノグアニジンで変性していないジエン系ゴムを用いて混合したゴム組成物と比較して、低発熱性に優れ、引張り破断強度が大きくなることが少なくとも確認された。
【0103】
【表2】
表2中、配合処方の各成分は質量部を示す。
【0104】
表2から、各実施例のゴム組成物は、アルキリデンアミノグアニジン塩又はアルキリデンアミノグアニジンを添加しないで混合したゴム組成物と比較して、低発熱性に優れ、引張り破断強度が大きくなることが少なくとも確認された。
【0105】
本出願は、2014年6月10日に日本国特許庁へ出願された日本特許出願(特願2014−119355)、2014年6月10日に日本国特許庁へ出願された日本特許出願(特願2014−119356)、2014年8月18日に日本国特許庁へ出願された日本特許出願(特願2014−165912)、2014年8月18日に日本国特許庁へ出願された日本特許出願(特願2014−165913)、及び2015年2月13日に日本国特許庁へ出願された日本特許出願(特願2015−026280)に基づくものであり、それらの内容はここに参照として取り込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明に係る化合物、タイヤ用変性ゴム、タイヤ用ゴム組成物は、トレッドをはじめとする種々のタイヤ部材の材料等として利用することができる。