(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1実施形態]
以下、本発明の一実施形態のパチンコ遊技機10(本発明の「遊技機」に相当する)を
図1〜
図16に基づいて説明する。
図1に示すように、パチンコ遊技機10は、前面が前面枠10Zに覆われており、その前面枠10Zに形成されたガラス窓10Wを通して遊技板11の遊技領域R1が視認可能となっている。
【0016】
ガラス窓10Wの下方には、上皿26と下皿27とが上下2段に並べて配置されている。パチンコ遊技機10の前面に向かって上皿26の右側方には、上皿26に貯留された遊技球を下皿27に排出する球抜きボタン26Aが備えられている。下皿27の右側方には、図示しない、所謂、ドル箱に遊技球を排出する球排出ボタン27Aが備えられると共に、球貸し状態表示モニタ27B及び球貸し操作ボタン27Cが備えられている。また、パチンコ遊技機10の前面のうち、右下角部には操作ノブ28Bが備えられていて、この操作ノブ28Bを操作すると、上皿26に貯留された遊技球が、順次、遊技領域R1へと弾き出される。
【0017】
遊技領域R1には、始動入賞口14A,14B、大入賞口15等の各種入賞口が配置されている。遊技領域R1を流下した遊技球が始動入賞口14A,14Bの何れかに入球すると当否判定が行われ、その当否判定結果が当りになると、複数ラウンドに亘って所定期間(例えば、10秒)、大入賞口15に遊技球が入賞可能となり、これにより大入賞口15に多くの遊技球が入球する。これら入賞口14A,14B,15等に遊技球が入球すると、パチンコ遊技機10の裏側に備えられた本発明の払出装置50から所定数(例えば、1球入球に付き、始動入賞口14A,14Bでは4個、大入賞口15で10個)の遊技球が上皿26に払い出される。
【0018】
ここで、この種のパチンコ遊技機10は、パチンコ遊技機10が設置された遊技ホールの遊技球循環システムから各パチンコ遊技機10に遊技球が供給されていて、その遊技球が球貸し操作ボタン27Cの操作や入賞口14A,14B,15等への入賞に応じて後述する払出装置50により上皿26へ払い出される構成になっている。なお、各種入賞口14A,14B,15等の何れにも入球しなかった遊技球は、アウト口16に取り込まれ、遊技板11の下方に備えられた図示しないダクトからこの遊技球循環システムに送られる。
【0019】
以下に、遊技球循環システムから供給された遊技球の払い出しに関する構成を説明する。
【0020】
図2に示すように、パチンコ遊技機10の裏側には、遊技球循環システムから供給された遊技球が通過可能な傾斜樋30と誘導樋40とが備えられている。傾斜樋30は、パチンコ遊技機10の上辺部に配置され、右下がりに緩やかに傾斜して延びている。誘導樋40は、パチンコ遊技機10の右側辺部に配置されて上下方向に延び、その下端部に払出装置50が配置されている。以下、各部位について詳説する。なお、以下の説明においては、特記しない限り、「右側」とは、パチンコ遊技機10を裏側から見たときの「右側」をいい、その反対を「左側」ということとする。
【0021】
傾斜樋30は、遊技球循環システムの排出口から供給される遊技球を受け止める球受部31と、球受部31内の遊技球を誘導樋40へ導入する導入部32と、を備えている。
図2及び
図3に示すように、球受部31は、平面形状が略四角形の上面開放のタンク構造をなし、内部に遊技球を複数列複数段又はランダム複数段、収容可能な大きさになっている。導入部32は、球受部31の右方下端部の後端部から右方へ延びていて、幅が徐々に狭くなるとともに、途中から天井壁32Tが設けられていて、遊技球群を1列1段に整列した状態で誘導樋40へ導入する。
【0022】
誘導樋40は、パチンコ遊技機10の右側辺部に配置されたケース体40K(
図2参照)及び払出装置50の内部に形成されている。
図4に示すように、誘導樋40は、遊技球の直径より僅かに大きくかつ一定の幅の1列構造の流路となっていて、ケース体40Kの上端部側から順に配された第1〜第4の流路41〜44と、払出装置50内の装置内流路50Rとから構成されている。
【0023】
図5に示すように、第1流路41は、傾斜樋30における導入部32の終端部から下方へ鉛直に延び、そこから第2流路42が左側方に屈曲して延びている。第2流路42は、ケース体40Kの左側辺部まで延び、第3流路43に連絡している。第3流路43は、第1流路41よりも僅かに短い長さで鉛直下方へ延びていて、
図6に示すように、下端寄り位置で水平方向前方へ屈曲している。
図5に示すように、第4流路44は、第3流路43の下端から右方へ大きく屈曲して第1流路41の延長線上に相当する位置まで延びてから、払出装置50の導入口まで鉛直下方に延びている。
【0024】
同図に示すように、第1流路41の上端部付近には、第1検出部61が備えられている。第1検出部61は、第1流路41の上端部左方に配された支持部61Sの一端部に直動片61Hを直動可能に支持してなる。直動片61Hは台形状になっていて、直動片61Hから側方に突出した楔状の一端部が押圧部61Aになっている一方、他端部が検知部61Bになっている。そして、直動片61Hは、押圧部61Aの先端部が第1流路41内に突出するように一端側に付勢され、第1流路41を遊技球が通過すると、押圧部61Aが押されて第1流路41から退避する。これにより、検知部61Bが図示しないセンサに検出され、第1流路41内の遊技球の有無が検出される。
【0025】
また、ケース体40Kのうち、第3流路43と第2流路42と第4流路44とによって囲まれた包囲領域R2には、第2検出部62が備えられている。第2検出部62は、前後方向に延びた回動軸62Jを有し、その回動軸62Jから検知レバー62Aと付勢レバー62Fとを張り出したレバー構造となっている。なお、第3流路43の右壁43Bには検知窓43Hが貫通形成されていて、回動軸62Jは、この検知窓43Hの上側の開口縁に配置されている。
【0026】
検知レバー62Aは、平板状をなして第3流路43の流下方向に延びている。また、検知レバー62Aの第3流路43と反対側の側面には、検知レバー62Aの長手方向である上下方向全体に延びた突片62Tが設けられていると共に、下端寄り位置に、突片62Tと直交して検知レバー62Aの幅方向全体に延び、かつ、突片62Tよりも突出した遮蔽片62Bが設けられている。また、遮蔽片62Bは、その先端部が楔形状となっている。なお、第3流路43の右壁43Bにおける検知窓43Hは、検知レバー62Aを受容可能な大きさになっている。
【0027】
付勢レバー62Fは、略菱形状をなし、検知レバー62Aと一体に回動可能となっていて、その自重が検知レバー62Aより重くなっている。これにより、第2検出部62が、
図14に示す検知レバー62Aが第3流路43内に突出した第1位置に付勢されている。なお、ケース体40Kには、付勢レバー62Fの下方に図示しない規制突壁が設けられていて、この規制突壁に付勢レバー62Fの下端が当接することにより、付勢レバー62Fの下端位置が位置決めされている。そして、第3流路43を遊技球が通過すると、遊技球が検知レバー62Aを押圧することで、検知レバー62Aが付勢レバー62Fの自重に反し、第3流路43から退避して検知窓43Hに受容される第2位置に移動する。検知レバー62Aが検知窓43Hに受容された状態になると、検知レバー62Aの外側面が第3流路43の右壁43Bと面一になる。
【0028】
また、包囲領域R2には、検知基板73が配置されている。検知基板73のうち、遮蔽片62Bの回動領域と重なる位置には、検知スイッチ72が実装されている。検知スイッチ72は、門型状のフォトセンサであり、投光部と受光部とが上下方向で対向するように配置されている。そして、検知スイッチ72は、検知レバー62Aが第1位置に配置されたときには、投光部と受光部との間で投受光が可能なオン状態となる一方、検知レバー62Aが第2位置に配置されたときには、投光部と受光部との間に遮蔽片62Bが配置されて投受光が遮断されるオフ状態となる。これにより、第3流路43内の遊技球の有無が検出される。なお、検知スイッチ72がオン状態に切り替わった場合(つまり、第3流路43内に遊技球が無い場合等)は、払出装置50による払い出しが停止される。
【0029】
図4に示すように、払出装置50の下方には、払出装置50から払い出された遊技球を上皿26または下皿27へ案内するための案内流路45が備えられている。
図7に示すように、案内流路45は、払出装置50の排出口から鉛直に延びてから右方向に湾曲するように左右方向でU字状に屈曲して延びている。案内流路45の下方には、左右方向に遊技球、複数個分の幅を有する貯留空間46が配置され、その貯留空間46の下端部から上皿26(
図1参照)へ接続されている上皿排出路46Aと下皿27(
図1参照)へ接続されている下皿排出路46Bとが横並びになって延びている。なお、案内流路45の下端部は、上皿排出路46Aの上方に位置し、かつ、上皿排出路46Aに向かって傾斜しているため、案内流路45から排出された遊技球は貯留空間46を経て上皿排出路46Aへと案内される。そして、上皿26及び上皿排出路46Aが満杯になると、遊技球が下皿排出路46Bへ流入する。
【0030】
案内流路45には、第3検出部63が備えられている。第3検出部63は、U字状に屈曲した下流側部分に配置され、回転軸63Jから検知レバー63Aと遮蔽レバー63Bとを張り出したレバー構造をなしている。検知レバー63Aは、案内流路45内に突出するように付勢され、案内流路45を遊技球が通過すると、検知レバー63Aが遊技球に押されて案内流路45から退避する。これにより、遮蔽レバー63Bが図示しないセンサにて検出され、案内流路45の遊技球の有無が検出される。例えば、上皿26及び下皿27が共に満杯になり、この第3検出部63まで遊技球が溜った状態になると、払出装置50による払い出しが停止される。
【0031】
さて、
図8には、第4流路44と案内流路45との間に配され、遊技球の払い出しを行う払出装置50が表されている。
図9に示すように、払出装置50は、装置内流路50Rが形成された装置本体50Aと、装置本体50Aの後方(
図9における手前側)に重ねられる内カバー50B及び外カバー50Cとを有し、装置本体50Aと内カバー50Bとの間に、本発明の「堰止部材」に相当するスクリュー52と、スクリュー52を駆動するステッピングモータ51(本発明の「電気的駆動源」に相当する)と、第1及び第2の可動部材57,58とが備えられ、内カバー50Bと外カバー50Cとの間に第1及び第2の可動部材57,58と係合可能な係合レバー59が備えられている。なお、装置本体50A、内カバー50B及び外カバー50Cが本発明の「装置ケース」に相当する。
【0032】
図11に示すように、装置本体50Aの装置内流路50Rは、全体に亘って1列構造をなし、第4流路44(
図5参照)の下端から鉛直下方に延びた直線部53と、直線部53の下端部から左方に屈曲した屈曲部54と、屈曲部54の下端部から僅かに左方へ寄りながら下方へ延びた(つまり、左下がりに傾斜して延びた)払出通路55と、を有している。
【0033】
装置本体50Aにおける装置内流路50Rを構成する流路側壁53A,53Bのうち、左側の流路側壁53Aには、払出通路55の上端部付近に遊技球2〜3球分の第1貫通孔54Lが形成されている。この第1貫通孔54Lに、上述したスクリュー52が配されている。スクリュー52は円柱状をなし、その中心軸52Jが払出通路55の傾斜に沿って斜めに配置されている。また、スクリュー52には、外周面から側方に張り出した螺旋状突壁52Rが備えられ、螺旋状突壁52Rが第1貫通孔54Lから装置内流路50R内に突出して遊技球の通過を規制している。この螺旋状突壁52Rの外周面からの張り出し量は、上端部から下端部に近づくにつれて徐々に大きくなっている。
【0034】
スクリュー52の上方には、ステッピングモータ51が配置されている。ステッピングモータ51は、円柱状のモータ本体51Aの左端部に、接続端子等を備えた角柱状の制御部51Bを設けた構造になっていて(
図9参照)、その回動軸51Jがスクリュー52の中心軸52Jと同軸になるように配置されている。そして、出力シャフト51Sがスクリュー52に係合して、スクリュー52を回転駆動可能となっている。
【0035】
なお、
図9に示すように、ステッピングモータ51の下端部には、前後方向に延びた2枚の当接板51T,51Tが設けられている。また、装置本体50Aのうち左側の流路側壁53Aの上端部の左方領域には、2枚の支持板50E,50Fが設けられていて、これら支持板50E,50Fは、装置本体50Aの左外側壁と左側の流路側壁53Aとの間で右下がりに延び、かつ、上下方向で互いに対向している。ステッピングモータ51はこれらの支持板50E,50Fの間に収容され、ステッピングモータ51の当接板51T,51Tが下方の支持板50Fに当接することで、ステッピングモータ51が支持される。また、支持板50E,50Fには、共に、ステッピングモータ51の出力シャフト51Sを受容する凹部50U,50Uが設けられている。
【0036】
図11に示すように、装置本体50Aの右側の流路側壁53Bには、払出通路55の上端部から下端部寄り位置にかけて遊技球5〜7球分の第2貫通孔54Mが形成されている。この第2貫通孔54Mに上述した第1及び第2の可動部材57,58が上下に並んで配されている。上側の第1可動部材57は、第2貫通孔54Mの上側の開口縁寄り位置に回動軸57Aを有し、その回動軸57Aから下方へ広がった形状をしている。詳細には、第1可動部材57は、スクリュー52の中心軸52Jに沿って傾斜した左側面57Hを有する三角形柱の右側面57Kの上端部に半円状の突出部を有する形状で、その突出部に回動軸57Aが配されている。また、右側面57Kと下側面57Gとの間には、
図11に示される状態において鉛直方向に延びた係合当接面57Tが形成されている。
【0037】
下側の第2可動部材58は、第2貫通孔54Mの下側の開口縁寄り位置に回動軸58Aを有し、その回動軸58Aから上方へ先細りしながら延びたブロック体58Bを備えている。ブロック体58Bの左側面58Hは、略平坦となっていて、第1可動部材57の左側面57Hの延長線上より僅かに右方に寄った位置で、第1可動部材57の左側面57Hと略平行に延びている。なお、第1可動部材57には、第2可動部材58の上端部を受容する凹部57Uが形成されている。
【0038】
また、第2可動部材58の後端部(
図11における手前側)には、ブロック体58Bと一体に形成され、回動軸58Aから右方へ延びた長円板58Cが設けられている。この長円板58Cのうち回動軸58Aと反対側の端部には、後方へ突出した係合突部58Tが形成されている。
【0039】
また、装置本体50Aには、装置内流路50Rの中間位置から分岐した球抜通路50Tが設けられている。球抜通路50Tは、右側の流路側壁53Bの第2貫通孔54Mから右下方へ延びていて、通常時はその入口が第1及び第2の可動部材57,58により閉塞されている。この球抜通路50Tは、パチンコ遊技機10の外部まで続いている。
【0040】
図9及び
図10に示すように、装置本体50Aには、内部にスクリュー52、ステッピングモータ51、第1及び第2の可動部材57,58が収容された状態で、内カバー50Bが装着されている。内カバー50Bは、装置本体50Aの外形と略同形状の平板の周囲に突壁が形成された構成となっている。内カバー50Bと装置本体50Aとは、装置本体50Aの外側壁と内カバー50Bの突壁とを突合せた状態で図示しないネジにより螺合されている。また、内カバー50Bの左部には、ステッピングモータ51及びスクリュー52を受容するために後方(
図9における手前側)に膨出した膨出受容部50G,50Hが形成されている。
【0041】
内カバー50Bの右下部には扇形状の貫通孔50Mが形成されていて、上述した第2可動部材58が、ブロック体58Bが内カバー50Bの前方に位置し、長円板58Cが内カバー50Bの後方に位置するようにこの貫通孔50Mを貫通し配されている。また、内カバー50Bの右辺部には、後述する係合レバー59の係合バー59Bを受容する長孔50Nが形成されている。
【0042】
図9に示すように、内カバー50Bの後方(
図9における手前側)には、係合レバー59が配されている。係合レバー59は縦長の平板状をなし、上端位置と下端位置との間を上下動可能になっている。係合レバー59の表側(
図9における奥側)のうち上下方向の中間位置には右辺寄り位置に、前方(
図9における奥側)に突出した係合バー59Bが形成されている。係合バー59Bの断面形状は縦長の長方形の上端に右方へ突出した突部を有する形状で、その左側面は平坦当接面59Hとなっている(
図13参照)。この平坦当接面59Hは第1可動部材57の係合当接面57Tと係合可能となっている(
図11参照)。また、係合レバー59の下端部には、貫通孔59Aが設けられている。この貫通孔59Aは、左右方向に延びた長孔の左端と上下方向に延びた長孔の上端とを合わせた形状をしていて、この貫通孔59A内に第2可動部材58の係合突部58Tが受容されている。なお、係合レバー59の裏面(
図9における手前側の面)には、つまみ59Tが形成されている。
【0043】
係合レバー59は、通常時は、
図11に示す下端位置に配されている。このとき、第1可動部材57の係合当接面57Tが係合レバー59の係合バー59Bと当接し、第1可動部材57の右方への回動が規制されると共に、第2可動部材58の係合突部58Tが係合レバー59の貫通孔59Aの右上端部に位置し、第2可動部材58が起立した状態に保持される。以降、係合レバー59が下端位置に位置しているときの第1及び第2の可動部材57,58の状態を「通常状態」という。
【0044】
係合レバー59は、
図14に示す上端位置までスライド可能になっている。係合レバー59を下端位置から上方へ移動させると、貫通孔59Aの開口縁に押圧されて第2可動部材58の係合突部58Tが上昇し、第2可動部材58が左方へ回動すると共に、係合バー59Bと第1可動部材57の係合当接面57Tとの係合が解除され、第1可動部材57が回動可能になる。なお、係合レバー59が上端位置に到達すると、第2可動部材58の係合突部58Tが貫通孔59Aの左下端部に位置し、第2可動部材58が位置決めされる。以降、係合レバー59が上端位置に位置しているときの第1及び第2の可動部材57,58の状態を「解除状態」という。
【0045】
図9に示すように、外カバー50Cは、装置本体50Aの外形よりも一回り大きい形状の平板の左右の両側辺から前方(
図9における奥側)に張出壁50D,50Dが張り出してなり、装置本体50Aに重ねられたときに、張出壁50D,50D間に装置本体50Aが収容される。この状態で内カバー50Bと外カバー50Cとを螺合することにより、装置本体50A、内カバー50B及び外カバー50Cが一体に固定される。なお、外カバー50Cには、係合レバー59のつまみ59Tを露出させる貫通孔50Kが形成されている。また、内カバー50Bと外カバー50Cとには、出力シャフト51Sの後方に相当する位置に貫通孔50Vが形成されていて、その貫通孔50Vにネジを螺合することで、スクリュー52の前後方向の位置を微調整することが可能となっている。また、内カバー50Bと外カバー50Cとには、ステッピングモータ51の当接板51T,51Tを受容する貫通孔50Wも形成されている。
【0046】
ここで、パチンコ遊技機10の遊技中又は待機中は、払出装置50における第1及び第2の可動部材57,58は通常状態になっている。払出装置50は、この通常状態において、遊技球の堰き止め及び払い出しが可能になる。詳細には、
図16に示すように、スクリュー52の停止中は、誘導樋40内の遊技球列の最下端の遊技球がスクリュー52の螺旋状突壁52Rの上面及び外周面と、第1可動部材57の左側面57Hと、の間に保持されることで、遊技球が堰き止められている。このとき、払出通路55内に位置する螺旋状突壁52Rの上面が右下がりに傾斜しているため、遊技球はスクリュー52の外周面側ではなく、第1可動部材57側に寄っていて、スクリュー52にかかる負荷が軽減される。
【0047】
上述した払出条件が成立すると、ステッピングモータ51によってスクリュー52が回転駆動され、螺旋状突壁52Rの回転に沿って誘導樋40内の遊技球列の最下端の遊技球が下方へ移動する。そして、螺旋状突壁52Rの下端部が払出通路55内から遠ざかるように移動したときに、最下端の遊技球が1球、スクリュー52の下方へ流下する。遊技球が所定個数払い出されると、スクリュー52の回転が停止して、再び螺旋状突壁52R上に遊技球が堰き止められる。なお、払い出される遊技球の個数はスクリュー52の回転数によって制御されている。
【0048】
係合レバー59は、パチンコ遊技機10内から遊技球を除去する際に操作される。詳細には、係合レバー59が上方へスライドされて第1及び第2の可動部材57,58が解除状態になると、第1可動部材57が回動可能となるので、遊技球がスクリュー52の螺旋状突壁52Rの傾斜に従い右方へ向かい、左方へ倒れた第2可動部材58上に落下する。そして、第2可動部材58に案内されて球抜通路50Tに遊技球が誘導される。
【0049】
ところで、
図11に示すように、ステッピングモータ51は、金属板60(本発明の「金属部材」に相当する)によって覆われている。金属板60は、ステッピングモータ51のモータ本体51Aの外周に沿って湾曲した湾曲部60Aと、湾曲部60Aの後方側の端部から延び、制御部51Bの後方側側面に重ねられた平坦部60Bと、平坦部60Bの上端から前方へむけて折れ曲がった上端部60Cと、を有している。金属板60は、その平坦部60Bがステッピングモータ51の制御部51Bと内カバー50Bとの間に挟持されることにより回転不能に固定されている。また、金属板60の上端部60Cは、平坦部60Bから支持板50Eに沿って折り返されていて、この上端部60Cが支持板50Eに重ねられた状態で、平坦部60Bの上端部が支持板50Eの端面と内カバー50Bとの間に挟持されることで、金属板60が払出装置50内で固定される。さらに、この金属板60が固定されることにより、金属板60に覆われたステッピングモータ51がより強固に保持される。
【0050】
また、
図10に示すように、内カバー50Bのうちステッピングモータ51を覆う膨出受容部50Gには、上下方向に延びた孔部50S,50Sが2つ形成され、さらに、外カバー50Cには、膨出受容部50Gを露出させるように正方形状の貫通孔50Zが形成されている(
図8参照)。これにより、金属板60が外部に露出している。なお、この金属板60はアース接続されている。
【0051】
本実施形態のパチンコ遊技機10の構成は以上である。次に、本実施形態のパチンコ遊技機10の作用効果について説明する。
【0052】
遊技球循環システムから供給された遊技球群は、傾斜樋30により1列1段に整列されて誘導樋40へ導入され、誘導樋40を流下して払出装置50へ案内される。ここで、本実施形態のパチンコ遊技機10では、誘導樋40が1列構造をなしているため、誘導樋40が2列構造になっているものよりも、パチンコ遊技機10全体をコンパクトにすることができる。また、誘導樋40を1列構造とすると2列構造のものより払出装置50への遊技球の送給速度が低下することが考えられるが、本実施形態では、誘導樋40に鉛直方向に延びた直線部(第1流路41、第3流路43)が設けられているため、遊技球の送給速度の低下を防ぐことができる。
【0053】
誘導樋40に誘導された遊技球列は払出装置50内へ流入する。ここで、払出装置50内のスクリュー52は、常には停止していて、遊技球はスクリュー52と第1可動部材57との間に堰き止められている。そして、入賞口に遊技球が入賞するなどの払い出し条件が成立したときに、ステッピングモータ51がスクリュー52を回転駆動して、遊技球が上皿26へ払い出される。
【0054】
ところで、本実施形態のパチンコ遊技機10では、誘導樋40が2列構造ではなく1列構造をなしているため、スクリュー52及びステッピングモータ51の小型化が図られるが、ステッピングモータ51を小型化すると、ステッピングモータ51の負荷が増加することが考えられる。また、誘導樋40を2列構造から1列構造にしたことによる払い出し速度の低下を防ぐためには、スクリュー52の回転速度を上昇させる必要があるため、ステッピングモータ51の負荷が増加すると考えられる。
【0055】
ここで、払出装置50のステッピングモータ51の小型化や高速化により、ステッピングモータ51の負荷が増すと、過熱等による異常が生じることが懸念されるが、本実施形態のパチンコ遊技機10では、ステッピングモータ51と内カバー50Bとの間に金属板60が配置され、その金属板60の一部が払出装置50の外部に露出しているので、金属板60を通してステッピングモータ51の熱を払出装置50外に効率良く排出することができる。これにより、払出装置50の過熱が抑えられ、安定して遊技球を払い出すことが可能になる。
【0056】
また、金属板60が、放熱機能を有するだけでなく、ステッピングモータ51を側方から包囲して保持する金属製ホルダーにもなっているので、それらを別々に設けたものに比べてコンパクトな構成することができる。さらに、金属板60はアース接続され、電気的駆動源をノイズから保護するシールドにも利用することができる。
【0057】
また、払出装置50における内カバー50Bの一部のみを外側に膨出させてステッピングモータ51を受容する膨出受容部50Gを設けたので、払出装置50全体を大きくする必要がなくなる。また、この膨出受容部50Gに孔部を形成したことで、ステッピングモータ51の熱を効率よく払出装置50の外に排出することができる。
【0058】
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0059】
(1)上記実施形態では、本発明の「金属部材」がステッピングモータ51を覆う金属板60であったが、例えば、ステッピングモータ51の一部と接触した金属塊等であってもよい。
【0060】
(2)上記実施形態では、金属板60が、放熱機能とステッピングモータ51保持機能とを有していたが、単に、ステッピングモータ51の表面に巻かれて放熱機能のみを発揮する構成であってもよい。
【0061】
(3)上記実施形態では、内カバー50Bに膨出受容部50Gを形成して「装置ケース」全体をコンパクトにした構成であったが、「装置ケース」全体を、ステッピングモータ51を受容可能な大きさにする構成であってもよい。
【0062】
(4)内カバー50Bに、膨出受容部50Gではなく貫通孔が設けられ、ステッピングモータ51がその貫通孔から突出する構成であってもよい。
【解決手段】本発明のパチンコ遊技機10では、払出装置50が、装置本体50Aと、内カバー50B及び外カバー50Cとを有していて、装置本体50Aと内カバー50Bとの間に、スクリュー52と、スクリュー52を回転駆動するステッピングモータ51とが備えられている。ステッピングモータ51は、金属板60に覆われていて、この金属板60は、内カバー50Bの膨出受容部50Gに形成された孔部50Sによって外部に露出している。