特許第5975422号(P5975422)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5975422
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】導電性構造部を有するシャフト
(51)【国際特許分類】
   A63B 53/00 20150101AFI20160809BHJP
   A63B 53/10 20150101ALI20160809BHJP
   A63B 60/42 20150101ALI20160809BHJP
【FI】
   A63B53/00 B
   A63B53/10 A
   A63B60/42
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-146696(P2012-146696)
(22)【出願日】2012年6月29日
(65)【公開番号】特開2014-8204(P2014-8204A)
(43)【公開日】2014年1月20日
【審査請求日】2015年4月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126170
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 義之
(72)【発明者】
【氏名】細川 眞
【審査官】 吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2002/0107085(US,A1)
【文献】 実開昭60−138568(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/00
A63B 53/10
A63B 60/42
A63B 69/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ンサが取付可能に構成されているシャフトであって、
前記シャフトの機械的強度を受け持つ導電性の構造部と、
前記導電性の構造部の外面の一部に形成された導電性塗膜と、
を備え、
前記センサは、前記シャフトの外周部に取り付けられ、
前記シャフトの長手方向に渉って配置され前記センサに接続される複数の線路のうちの一部の線路は、前記導電性の構造部と前記導電性塗膜とを含む、
シャフト。
【請求項2】
前記一部の線路は、基準電位点に接続される基準電位線路である、
請求項1記載のシャフト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、導電性の構造部を有するシャフトに関し、特にセンサが取り付け可能なシャフトに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフクラブにおいて、シャフトのしなりが飛距離等の性能に影響を及ぼすことが知られている。シャフトのしなりは、静的な状態で評価することも可能であるが、スイング中のシャフトの動的なしなりは、静的な状態で評価した結果と必ずしも一致しない。そこで、シャフト上の任意の2点にひずみゲージを取り付け、スイング中のシャフトの様々な変形等の動的挙動に関する情報を得て、これにより、実際のスイング時のシャフトのしなり等の動的な挙動の評価を行うことが提案されている(特許文献1)。また、シャフトの動的な挙動の評価は、ゴルフクラブのみならず、釣り竿、テニスラケット、あるいは、野球のバット等、棒状の部材(シャフト)を有する用具においても求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−102886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、シャフトの動的な挙動を評価するために、シャフトに取り付けたひずみゲージとひずみを計測する装置とを配線で接続すると、配線の重量によりシャフトの動的な挙動が変化する可能性がある。そのため、しなり等のシャフト自体の動的な挙動を正確に評価することが困難であった。
【0005】
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、シャフトにセンサを取り付けることによるシャフトの動的な挙動の変化を抑制し、シャフト自体の動的な挙動をより正確に評価する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の少なくとも一部を達成するために、本発明のシャフトは、センサが取付可能に構成されているシャフトであって、前記シャフトの機械的強度を受け持つ導電性の構造部と、前記導電性の構造部の外面の一部に形成された導電性塗膜と、を備え、前記センサは、前記シャフトの外周部に取り付けられ、前記シャフトの長手方向に渉って配置され前記センサに接続される複数の線路のうちの一部の線路は、前記導電性の構造部と前記導電性塗膜とを含むことを特徴とする。この構成によれば、シャフトの他に設けられる配線から、複数の線路のうちの一部の線路に対応する配線を省くことができる。これにより、配線の重量を低減し、配線の重量によりシャフトの動的な挙動が変化することを抑制することができるので、シャフト自体の動的な挙動をより正確に評価することが可能となる。
この構成では、また、複数の線路のうちの一部の線路が、導電性構造部の外面の一部に形成された導電性塗膜を含むとともに、センサをシャフトの外周部に取り付けられる。そのため、センサのシャフトへの取付がより容易になるとともに、一部の線路を形成するのがより容易となる。
【0007】
前記一部の線路は、基準電位点に接続される基準電位線路であっても良い。この構成によれば、導電性の構造部が複数のセンサに共通に使用される基準電位線路として使用されるので、複数のセンサを使用するのがより容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明を利用したゴルフクラブの構成を示す説明図。
図2】歪計測装置において歪ゲージの変形量を検出する検出回路の回路図。
図3】歪ゲージをシャフトに取り付ける様子を示す説明図。
図4】歪ゲージをシャフトに取り付ける他の態様を示す説明図。
図5】第2実施例におけるシャフトの構成を示す説明図。
図6】第2実施例における図5とは別の態様のシャフトの構成を示す説明図。
図7】第3実施例におけるシャフトの構成を示す説明図。
図8】CFRP層の電気抵抗を測定する様子を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
A.第1実施例:
図1は、本発明を利用したゴルフクラブ10の構成を示す説明図である。ゴルフクラブ10は、ヘッド11と、グリップ12と、ヘッド11およびグリップ12が両端に取り付けられたシャフト13とを有している。シャフト13は、グリップ12からヘッド11に向かって細くなるテーパー状の中空部材である。詳細については後述するが、シャフト13は、炭素繊維の層にマトリックス樹脂を含浸させて硬化させた炭素繊維強化樹脂(CFRP)層と、CFRP層の外面に形成された絶縁性塗料の塗膜(絶縁性塗膜)とを有している。ゴルフクラブ10には、シャフト13の各位置における歪みを計測するための複数の歪ゲージ21が接着剤や粘着テープ等により固定されている。シャフト13に巻き付けられた配線部材22は、フレキシブルプリント基板で形成されており、その一端がグリップ12側のシャフト13の内部に導入されている。歪ゲージ21の各端子は、配線部材22に形成された複数の導線(図示しない)と、導電性を有するCFRP層とを介して、グリップ12の位置におけるシャフト13の内部に設けられた歪計測装置(図示しない)に接続される。歪計測装置は、歪ゲージ21の抵抗値の変化から歪ゲージ21の変形量を検出する。検出された歪ゲージ21の変形量は、歪計測装置から外部の装置に無線で送信される。これにより、しなり等のユーザがスイングを行った際のシャフト13の動的な変形状態を評価することが可能となる。なお、歪計測装置から外部の装置への変形量の送信は、有線で行っても良く、また、歪計測装置を外部に設置することも可能である。これらの場合、グリップ12側から、必要な配線が引き出される。
【0011】
図2は、歪計測装置において歪ゲージ21の変形量を検出する検出回路30の回路図である。検出回路30は、3つの抵抗R1〜R3と、定電圧源31と、電圧検出器32とを有している。歪ゲージ21が有するゲージ抵抗Rgは、3本の線路LA〜LCで検出回路30に接続されている。ゲージ抵抗Rgの両端から伸びる線路LA,LBは、それぞれ、抵抗R1,R3の抵抗R2と反対側の端に接続されており、ゲージ抵抗Rgと3つの抵抗R1〜R3は閉回路を形成する。電圧検出器32は、検出回路30側において、抵抗R1とゲージ抵抗Rgとの接続点、および、2つの抵抗R2,R3の接続点に繋がっている。定電圧源31は、検出回路30側において2つの抵抗R1,R2の接続点に繋がり、歪ゲージ21側において抵抗R3とゲージ抵抗Rgとの接続点に繋がっている。これにより、歪ゲージ21、線路LA〜LC、定電圧源31、および、電圧検出器32は、ブリッジを構成する。第1実施例では、ブリッジにおける閉回路を構成する線路LA,LBとして、配線部材22に形成された導体が使用される。これにより、線路LA,LBの抵抗が変形量の検出結果に影響を与えることが抑制される。一方、定電圧源31に接続される線路LCとしては、シャフト13のCFRP層が使用される。なお、上述の通り、歪計測装置は、グリップ12の位置におけるシャフト13の内部に設けられているので、歪ゲージ21と歪計測装置とを接続する線路LA〜LCは、シャフト13の長手方向(すなわち、ヘッド11側からグリップ12側に向かう方向)に渉って設けられている。
【0012】
図3は、歪ゲージ21をシャフト13に取り付ける様子を示す説明図である。図3(a)は、歪ゲージ21が取り付けられるシャフト13の断面を示している。図3(a)に示すように、シャフト13は、CFRP層131と、CFRP層131の外面に形成された絶縁性塗膜132とを有している。歪ゲージ21の取付の際、まず、図3(b)に示すように、絶縁性塗膜132の一部を剥がし、開口部133を設ける。このように絶縁性塗膜132の一部を剥がして開口部133を設けても、機械的強度を受け持つCFRP層131(構造部)は、図3(a)に示すシャフト13の本来の状態と同一である。そのため、開口部133を設けることのシャフト13の強度的に対する影響は、無視することができる。なお、第1実施例では、絶縁性塗膜132の一部を剥がして開口部133を形成しているが、予め開口部133が設けられたシャフトを準備しても良い。
【0013】
次いで、歪ゲージ21を接着剤や粘着テープ等で固定した後、図3(c)に示すように、定電圧源31(図2)に接続される歪ゲージ21の端子とCFRP層131とを、開口部133を通して接続部材23で接続する。また、歪ゲージ21の他の端子と配線部材22とを接続部材24で接続する。これにより、歪ゲージ21と検出回路30(図2)は、接続部材24と配線部材22とにより構成される線路LA,LBと、接続部材23とCFRP層131とにより構成される線路LCとにより接続される。歪ゲージ21の端子とCFRP層131とを接続する接続部材23としては、例えば、導電性樹脂を用いることができる。また、歪ゲージ21の端子と配線部材22を接続する接続部材24としては、例えば、導電性樹脂や銅線等を用いることできる。なお、図3(c)に示すように、歪ゲージ21をシャフト13の外周側に取り付ける場合、中空のシャフト13に換えて、中実のシャフトを使用することができる。
【0014】
図4は、歪ゲージ21をシャフト13に取り付ける他の態様を示す説明図である。図4の例では、歪ゲージ21をシャフト13の内側に取り付けている。また、図示しないが、配線部材22は、シャフト13の内部を通してグリップ12側に設けられた歪計測装置に接続される。図4に示すように、シャフト13の内面は導電性のCFRP層131が露出しているため、歪ゲージ21は、絶縁性樹脂層25を挟んでCFRP層131に固定される。そして、図3の例と同様に、歪ゲージ21の端子をCFRP層131および配線部材22に接続することにより、歪ゲージ21と検出回路30(図2)とが接続される。なお、絶縁性塗膜132の一部を剥がして開口部133を設けることは省略される。この場合、シャフト13の外部の形状が本来の状態と同一となるので、歪ゲージ21や配線部材22の空気抵抗がシャフト13の変形状態に与える影響を低減し、シャフト13の変形状態をより正確に評価することが可能となる。但し、歪ゲージ21の取付が容易となる点では、シャフト13の外周部に歪ゲージ21を取り付けるのが好ましい。
【0015】
このように、第1実施例では、歪ゲージ21と検出回路30(図2)とを接続する線路LA〜LCのうち、定電圧源31に接続される線路LCとしてCFRP層131を使用しているので、線路LCに使用するための導線を配線部材22から省略し、配線部材22に形成される導線の本数を少なくすることができる。そのため、配線部材22を細くして、その重量を低減することができるので、配線部材22の重量がシャフト13の変形状態に与える影響を低減し、シャフト13の変形状態をより正確に評価することが可能となる。また、配線部材22を細くすることにより、スイング時に配線部材22自体に加わる応力が低減されるので、配線部材22に形成される導線の断線等の障害の発生を抑制することが容易となる。
【0016】
なお、第1実施例では、定電圧源31に接続される線路LCにCFRP層131を用いているが、他の構成も可能である。例えば、電圧検出器32と定電圧源31とを入れ替えて、電圧検出器32に接続される線路にCFRP層131を使用することも可能である。但し、電圧検出器32の各端子の電位は、個々の歪ゲージ21の状態によって変化するので、複数の歪ゲージ21および検出回路30を使用するのが容易ではない。これに対し、定電圧源31の両端は電位が一定となる。そのため、複数の歪ゲージ21および検出回路30を使用するのがより容易となる点で、CFRP層131は、電位の基準となる定電圧源31の一端(基準電位点もしくはグラウンド)に接続される線路LC(基準電位線路)に使用するのが好ましい。また、歪ゲージ21をシャフト13の内部に取り付け、CFRP層131を定電圧源31の一端に接続される線路LCに使用すると、他の線路LA,LBは、基準電位に維持されたシャフト13の内部に配置される。そのため、線路LA,LBに誘起されるノイズを低減することができる。
【0017】
B.第2実施例:
図5は、第2実施例におけるシャフト13aの構成を示す説明図である。図5(a)は、グリップ12側から見たシャフト13aの斜視図であり、図5(b)は、A−A面におけるシャフト13aの断面図であり、図5(c)は、B−B面におけるシャフト13aの断面図である。図5に示すように、第2実施例のシャフト13aは、CFRP層131の外面に形成された絶縁性塗膜132aに、略円形の開口部133aが予め設けられており、開口部133aの位置においてCFRP層131の外面に導電性塗料の塗膜(導電性塗膜)134aが形成されている。他の点は、第1実施例と同様である。このように、CFRP層131の外面に導電性塗膜134aを形成することにより、歪ゲージ21の端子は、導電性塗膜134aを介してCFRP層131に接続される。この場合、導電性塗膜134aは、線路LC(図2)に含まれる。
【0018】
図6は、第2実施例における図5とは別の態様のシャフト13bの構成を示す説明図である。図6(a)は、グリップ12側から見たシャフト13bの斜視図であり、図6(b)は、A−A面におけるシャフト13bの断面図であり、図6(c)は、B−B面におけるシャフト13bの断面図である。図6に示すシャフト13bは、絶縁性塗膜132bに設けられた開口部133bが円環状となっている点で、図5に示すシャフト13aと異なっている。他の点は、図5に示すシャフト13aと同様である。なお、図6のシャフト13bでは、開口部133bおよび導電性塗膜134bをシャフト13bの軸に対称に形成しているので、シャフト13bは、ゴルフのルールに適合している。そのため、歪ゲージ21、配線部材22、および、歪計測装置を脱着可能にすれば、競技に使用するシャフト13bそのものの変形状態を測定することができる。
【0019】
第2実施例では、CFRP層131の外面に導電性塗膜134a,134bが形成されている。この場合、導電性塗膜134a,134bを半田付け可能な樹脂(例えば、特開平10−31912号公報参照)で形成すれば、歪ゲージ21(図3)の端子を導電性塗膜134a,134bに半田付けできる。また、炭素繊維の含有率を高くすること等によってCFRP層131の接着性が低くなり、接続部材24が比較的容易に剥がれてしまう場合においても、導電性塗膜134a,134bへの接着性は十分高くすることができる。さらに、歪ゲージ21のシャフト13a,13b側の面に歪ゲージ21の端子を突出させ、当該端子を導電性塗膜134a,134bに接触するように歪ゲージ21をシャフト13a,13bに押しつけて固定すれば、歪ゲージ21の端子を導電性塗膜134a,134bに接続することができる。このように、第2実施例によれば、CFRP層131の外面に導電性塗膜134a,134bを形成することにより、歪ゲージ21の端子をCFRP層131に電気的に接続し、線路LCを形成するのがより容易となる。
【0020】
C.第3実施例:
図7は、第3実施例におけるシャフト13c,13dの構成を示す説明図である。図7(a)および(b)は、シャフト13cのA−A面(図5参照)およびB−B面における断面図である。図7(c)および(d)は、シャフト13dのA−A面(図5参照)およびB−B面における断面図である。図7に示すように、第3実施例では、開口部133a,133bの位置においてCFRP層131の外面に形成される導電性塗膜134c,134dが絶縁性塗膜132a、132bから突出している点で、第2実施例のシャフト13a,13b(図5および図6)と異なっている。他の点は、第2実施例のシャフト13a,13b同様である。このように、導電性塗膜134c,134dを突出させることにより、歪ゲージ21の端子をCFRP層131に接続するのがさらに容易となる。また、図7(c)および(d)に示すシャフト13dでは、導電性塗膜134dの最外周が絶縁性塗膜132bよりも外側に位置する。そのため、シャフト13dが転がった場合等に、絶縁性塗膜132bに傷がつくことを抑制できる。
【0021】
D.変形例:
本発明は上記各実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
【0022】
D1.変形例1:
上記各実施例では、シャフト13〜13dの機械的強度を受け持つ構造部として、炭素繊維強化樹脂により形成されたCFRP層131を使用しているが、導電性を有する素材であれば、構造部を他の素材で形成することも可能である。構造部は、例えば、カーボンナノチューブを分散させた樹脂や、金属繊維を分散させた樹脂等で形成することも可能である。
【0023】
D2.変形例2:
上記各実施例では、シャフト13〜13dに歪ゲージ21を取り付けることにより、シャフト13〜13dの動的な変形状態の評価を行っているが、シャフト13〜13dに種々のセンサを取り付け、シャフト13〜13dの動的な挙動を評価することも可能である。例えば、シャフト13〜13dに角度センサや、加速度センサを取り付けることによっても、シャフト13〜13dの動的な挙動を評価することができる。
【0024】
さらに、センサを用いることなく、シャフト13〜13dの状態を評価するためにCFRP層131を使用することも可能である。例えば、図8に示すように、電池41の両端に接続された2つの測定用端子42と、電圧計43の両端に接続された2つの測定用端子44とを、それぞれ互いに異なる2つの導電性塗膜134dに接触させること(4端子法と呼ばれる)により、2つの導電性塗膜134dの間のCFRP層131の電気抵抗を測定することが可能である。なお、この場合、CFRP層131は、シャフトの状態を評価するための回路の一部として機能している。通常、CFRP層131にクラック等の損傷が生じた場合、損傷が生じた領域ではCFRP層131の電気抵抗が増大する。そのため、図8に示すように、CFRP層131の電気抵抗を測定することにより、シャフト13dが損傷しているか否か、および、損傷している場合にはどこで損傷しているかを評価することができる。また、損傷を検出した場合には、LED等のランプやブザーなどにより警告を発することも可能である。図8では、円環状の導電性塗膜134dが絶縁性塗膜132bから突出しているシャフト13dの例を示しているが、CFRP層131の電気抵抗の測定は、絶縁性塗膜132〜132bに開口部133〜133bが設けられていれば、上記各実施例で説明した種々の形状のシャフトで行うことができる。また、図8の例では、4端子法によりCFRP層131の電気抵抗を測定しているが、2端子法などの他の方法によりCFRP層131の電気抵抗を測定しても良い。但し、電気抵抗の測定精度を高くすることができる点で、4端子法によりCFRP層131の電気抵抗を測定するのが好ましい。
【0025】
D3.変形例3:
上記各実施例では、本発明をゴルフクラブ10のシャフト13〜13dに適用しているが、本発明は、ゴルフクラブ10のシャフト13〜13dの他、種々のシャフト(棒状部材)に適用することができる。本発明は、例えば、釣り竿、テニスラケット、あるいは、野球バットにおける棒状部材に適用することができる。
【符号の説明】
【0026】
10…ゴルフクラブ、11…ヘッド、12…グリップ、13…シャフト、13a,13b,13c,13d…シャフト、21…歪ゲージ、22…配線部材、23…接続部材、24…接続部材、25…絶縁性樹脂層、30…検出回路、31…定電圧源、32…電圧検出器、41…電池、42…測定用端子、43…電圧計、44…測定用端子、131…CFRP層、132,132a,132b…絶縁性塗膜、133,133a,133b…開口部、134a,134b,134c,134d…導電性塗膜、LA,LB,LC…線路、R1,R2,R3…抵抗、Rg…ゲージ抵抗
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8