(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5975423
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】熱交換器およびこれを備えた温水装置
(51)【国際特許分類】
F24H 9/00 20060101AFI20160809BHJP
F24H 1/14 20060101ALI20160809BHJP
F24H 9/16 20060101ALI20160809BHJP
F23L 17/14 20060101ALI20160809BHJP
【FI】
F24H9/00 B
F24H1/14 B
F24H9/16 E
F23L17/14 L
F23L17/14 R
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-191506(P2012-191506)
(22)【出願日】2012年8月31日
(65)【公開番号】特開2014-47981(P2014-47981A)
(43)【公開日】2014年3月17日
【審査請求日】2015年7月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100120514
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 雅人
(72)【発明者】
【氏名】大下 亘
(72)【発明者】
【氏名】竹田 信宏
【審査官】
藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−007764(JP,A)
【文献】
特開2007−232289(JP,A)
【文献】
特開2009−243725(JP,A)
【文献】
特開2010−139110(JP,A)
【文献】
特開2007−033000(JP,A)
【文献】
特開2012−117736(JP,A)
【文献】
特開2013−57464(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/10−16
F24H 8/00
F24H 9/00,16
F23L 17/14
F28D 1/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱用気体の給気口が後部側または略中央の位置に設けられ、かつ排気口が前壁部に設けられているケースと、
このケース内に収容され、かつ前記加熱用気体から潜熱を回収可能な伝熱管と、
前記排気口の下縁部の後方領域のうち、前記伝熱管よりも前側の位置に設けられ、かつ前記排気口に接近するほど高さが高くなるように上面が傾斜した傾斜部と、
を備えている、熱交換器であって、
前記排気口の下縁部と前記傾斜部との間には、隙間が設けられており、前記傾斜部の上面上に付着したドレン水がこの傾斜部の前縁部に進行した際に、このドレン水を前記前縁部から前記隙間に流れ落とすことが可能とされていることを特徴とする、熱交換器。
【請求項2】
請求項1に記載の熱交換器であって、
前記傾斜部の後縁部から下向きに垂れ下がった垂下部を、さらに備えている、熱交換器。
【請求項3】
請求項2に記載の熱交換器であって、
前記傾斜部および前記垂下部は、前記ケースの底壁部の前縁部寄りに形成されたドレン排水ガイド用の凹溝の底面上に配されている、熱交換器。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の熱交換器であって、
金属板を用いて前記傾斜部および前記垂下部を一体形成した補助部材を有しており、
この補助部材には、前記ケースの前壁部に取り付けられ、かつ前記傾斜部の前縁部に一体的に繋がって前記傾斜部を支持する支持部が、さらに設けられている、熱交換器。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の熱交換器を備えていることを特徴とする、温水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼ガスなどの加熱用気体から伝熱管を利用して熱回収を行なうタイプの熱交換器、およびこれを備えた給湯装置などの温水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
給湯装置に用いられる熱交換器の一例としてとしては、バーナによって発生させた燃焼ガスを流入させるための給気口とその排気口とを形成したケース内に、伝熱管を収容させたものがある(たとえば、特許文献1,2を参照)。このような構成の熱交換器を用いて、燃焼ガスから潜熱回収を行なう場合、伝熱管の表面には、燃焼ガス中の窒素酸化物などの成分を含んだ強酸性のドレン水(凝縮水)が発生する。このようなドレン水は、伝熱管の外表面からケースの底面上に流れ落ちる他、燃焼ガスの流れによって排気口側に吹き飛ばされる場合もある。したがって、なんらの手当てをしなければ、ドレン水が排気口の外部に飛散し、給湯装置の排気口周辺やその下方が汚染される不具合を生じてしまう。
一方、近年においては、熱交換器の小型化の要請が強い。熱交換器の小型化を図るには、熱交換器のケースに設けられた排気口を伝熱管にかなり接近させねばない場合があるが、これらの部位を接近させると、伝熱管の外表面において発生したドレン水が、排気口内に進入し易くなり、ドレン水が排気口の外部に飛散する現象がより顕著となる。
したがって、前記したような現象を簡易な構成によって、適切に防止することが望まれる。
【0003】
特許文献2に記載の熱交換器は、本発明の構成に比較的近似する先行技術であるため、これを
図4に示す。
同図に示す熱交換器おいては、伝熱管80を収容するケース9の前壁部9aに、排気口90が形成されており、この排気口90の下縁部の後方側(図面右方)には、前上がり状の傾斜部81が設けられている。この傾斜部81は、ケース9内に流入した燃焼ガスの排気流れを円滑化することを目的として設けられてものである。ただし、この傾斜部81をドレン水の飛散防止の観点から考察すると、次のような不具合がある。
すなわち、傾斜部81の上面上には、伝熱管80からドレン水が吹き飛ばされてくる場合がある。一方、傾斜部81の前縁部81aは、排気口90の下縁部に繋がっている。したがって、傾斜部81の傾斜角度が比較的小さい場合には、この傾斜部81上のドレン水が燃焼ガスの流れに押されて傾斜部81上を前進し、排気口90内へ到達する虞がある。このような状況を生じたのでは、前記ドレン水が排気口90から外部に飛散する。
排気口90の位置を高くして傾斜部81の傾斜角度を大きくしたり、あるいは傾斜部81のサイズを大きくすれば、前記した不具合を解消することは可能である。しかしながら、種々の事情により、排気口90の高さを低く設定せねばならない場合や、傾斜部81のサイズを大きくできないような場合があり、このような場合には前記したような不具合を生じてしまう。なお、傾斜部81の傾斜角度を大きくできない事情としては、たとえば、傾斜角度を大きくすると、排気抵抗が増大する問題が生じ、また排気方向が上向きとなるため、熱交換器の設置場所の天井に排気が直撃して結露が発生するといった問題を生じる虞があり、これを回避しなければならない事情が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−333343号公報
【特許文献2】特開2007−232289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、排気口の外部にドレン水が飛散することを簡易な構成によって適切に防止することが可能な熱交換器、およびこれを備えた温水装置を提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0007】
本発明の第1の側面により提供される熱交換器は、加熱用気体の給気口が後部側または略中央の位置に設けられ、かつ排気口が前壁部に設けられているケースと、このケース内に収容され、かつ前記加熱用気体から潜熱を回収可能な伝熱管と、前記排気口の下縁部の後方領域のうち、前記伝熱管よりも前側の位置に設けられ、かつ前記排気口に接近するほど高さが高くなるように上面が傾斜した傾斜部と、を備えている、熱交換器であって、前記排気口の下縁部と前記傾斜部との間には、隙間が設けられており、前記傾斜部の上面上に付着したドレン水がこの傾斜部の前縁部に進行した際に、このドレン水を前記前縁部から前記隙間に流れ落とすことが可能とされていることを特徴としている。
【0008】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、前記傾斜部は、排気口の下縁部よりも伝熱管寄りの位置しており、加熱用気体の流れの作用によって伝熱管から飛散してくるドレン水が排気口に向けて進行することを阻止する役割を果たす。傾斜部に衝突したドレン水の多くは、この傾斜部の斜面に沿って下方に流れさせることができる。一方、加熱用気体の流れが速いような場合には、ドレン水が傾斜部の前縁部側に進行する場合があるが、このような現象を生じると、前記ドレン水は、傾斜部の前縁部と排気口の下縁部との間に形成された隙間に流れ落ちる。したがって、熱交換器の小サイズ化を促進することを目的として、傾斜部のサイズを余り大きくとれないような場合や、排気口を比較的低い高さに設けるような場合であっても、ドレン水が傾斜部を伝って排気口内に不当に進入することはない。その結果、熱交換器の小サイズ化などを図りつつ、ドレン水によって排気口周辺部などが汚染されることを適切に防止することが可能となる。
【0009】
本発明において、好ましくは、前記傾斜部の後縁部から下向きに垂れ下がった垂下部を、さらに備えている。
【0010】
このような構成によれば、ドレン水が排気口に向けて進行することを、傾斜部に加えて垂下部によっても防止することが可能となる。垂下部は、ケースの底面などで跳ねてから排気口に向かうドレン水の進行を阻止するのに有効である。垂下部は、傾斜部から下向きに垂れ下がる形態であるため、ケースの前後方向に嵩張らないようにしてケース内に適切に設けることが可能である。
【0011】
本発明において、好ましくは、前記傾斜部および前記垂下部は、前記ケースの底壁部の前縁部寄りに形成されたドレン排水ガイド用の凹溝の底面上に配されている。
【0012】
このような構成によれば、ドレン排水ガイド用の凹溝に溜まったドレン水の液面上で跳ねたドレン水が、排気口に向けて進行することも効率よく阻止し得ることとなる。また、ドレン排水ガイド用の凹溝のスペースを、傾斜部および垂下部の配置スペースとして有効に利用しており、熱交換器の小型化を促進する上で、より好ましい。
【0013】
本発明において、好ましくは、金属板を用いて前記傾斜部および前記垂下部を一体形成した補助部材を有しており、この補助部材には、前記ケースの前壁部に取り付けられ、かつ前記傾斜部の前縁部に一体的に繋がって前記傾斜部を支持する支持部が、さらに設けら
れている。
【0014】
このような構成によれば、補助部材をケース内に組み入れて、その支持部をケースの前壁部に取り付けることにより、傾斜部や垂下部を所定の位置へ適切に設けることができ、組立作業が容易となる。
【0015】
本発明の第2の側面により提供される温水装置は、本発明の第1の側面により提供される熱交換器を備えていることを特徴としている。
このような構成によれば、本発明の第1の側面により提供される熱交換器について述べたのと同様な効果が得られる。
【0016】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る熱交換器を備えた温水装置の一例を示す概略正面断面図である。
【
図2】
図1のII−II断面図およびその一部拡大図である。
【
図3】
図2に示す構造に用いられている補助部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0019】
図1に示す温水装置WHは、給湯装置として構成されており、全体の基本的な構成は、特許文献1に記載された給湯装置と同様である。したがって、全体の構成については簡単に説明する。
この温水装置WHは、燃焼器3、1次熱交換器1、および2次熱交換器HEを備えている。2次熱交換器HEは、本発明が適用された熱交換器の一例に相当する。1次熱交換器1は、本発明が適用された熱交換器には相当しない。
【0020】
燃焼器3は、たとえばガスバーナであり、缶体30内に配されている。缶体30内には、ファン31から燃焼用空気が上向きに送風される。1次熱交換器1は、燃焼器3によって発生された燃焼ガスから顕熱を回収するためのものであり、たとえば複数のフィン12を有する伝熱管11を有している。
【0021】
2次熱交換器HEは、1次熱交換器1によって顕熱が回収された燃焼ガスからさらに潜熱を回収するためのものであり、缶体30上に載設されている。この2次熱交換器HEは、複数の伝熱管4、これら複数の伝熱管4を内部に収容するケース2、および補助部材5(
図2および
図3を参照)を備えている。
【0022】
複数の伝熱管4は、平面視長円状などの螺旋状管体を用いて構成されており、これらは互いにサイズが異なったものとされて略同心の重ね巻き状に形成されている。各伝熱管4の下端部41および上端部42には、ヘッダ48,49が取り付けられている。外部から給水管98を介してヘッダ48に供給された湯水は、各伝熱管4を通過して加熱される。この湯水は、ヘッダ49、配管部99を通過して、入水口11aから伝熱管11に供給されてさらに加熱される。その後、この湯水は出湯口11bから出湯し、所望の給湯先に送られる。
【0023】
ケース2は、中空の略直方体状であり、
図2に示すように、その底壁部20aの後部側
には、燃焼ガス用の給気口21が設けられ、前壁部20bには、排気口22が設けられている。排気口22の周縁部は前方に突出した筒状の突起部22bとして形成されているが、これは温水装置WHの各構成要素の全体を囲む外装ケース(図示略)の外部に燃焼ガス(排ガス)を導いて排出させるためである。1次熱交換器1を上向きに通過した燃焼ガスは、給気口21からケース2内に流入した後に排気口22に向けて前進する。このような過程において、燃焼ガスの潜熱が伝熱管4によって回収される。この潜熱回収に伴い、伝熱管4の表面には強酸性のドレン水が発生し、伝熱管4からケース2の底壁部20a上に流れ落ちる。その際、燃焼ガス流れの作用を受けて前方に吹き飛ばされるドレン水も発生する。底壁部20aの前縁部寄りの位置には、ドレン排水ガイド用の凹溝23が形成されている。底壁部20a上を流れて凹溝23に到達したドレン水は、排水口24(図示も参照)を通過してケース2の外部に排出される。
【0024】
補助部材5は、ドレン水が排気口22内に進入することを抑制するための部材であり、ステンレスなどの金属板にプレス加工を施して形成されている。
図3に示すように、補助部材5は、その全体の形状が開口部53を有する矩形の枠状であり、支持部50、傾斜部51、および垂下部52を一体的に形成したものである。
【0025】
支持部50は、開口部53の上側および左右両側に位置する上板部50aおよび一対の側板部50bを有している。各側板部50bの下部には、略水平に屈曲された屈曲部50b’が設けられ、この屈曲部50b’に傾斜部51が繋がっている。
図2に示すように、補助部材5は、支持部50をケース2の前壁部20bに重ね合わせて接合させることにより、ケース2内に固定して取り付けられている。この取り付けに際し、開口部53が排気口22と重なる配置とされ、排気口22を塞がないように設定される。
【0026】
傾斜部51は、前上がり状に傾斜した上面を有する部分であり、ケース2の左右横幅方向に延びている。この傾斜部51は、排気口22の下縁部22aの後方領域のうち、伝熱管4の前側(斜め下前方も含む)に設けられている。より詳しくは、傾斜部51は、伝熱管4のうち、最下段かつ最前部に位置する管体部40a’の斜め下前方に設けられている。排気口22の下縁部22aと傾斜部51との間には、隙間Cが形成されている。この隙間Cは、
図3に示した開口部53の一部であって、一対の屈曲部50b’の相互間領域に相当する。傾斜部51の最上部(前縁部51a)の高さは、排気口22の下縁部22aの高さと略同一であり、かつ伝熱管4の最下段の管体部40aよりも低い高さである。
【0027】
本実施形態では、排気口22の下縁部22aの高さがかなり低くされているが、これは、不慮の事態が生じた場合に、ドレン水が給気口21に流入することを防止するためである。より具体的には、ドレン水が排水口24から外部に排出されない事態が生じ、ケース2内に多くのドレン水が溜まっていく現象を想定した場合、排気口22の下縁部22aの高さを低くしておけば、ドレン水を排気口22から外部に流出させることができる。このことにより、給気口21から缶体30内にドレン水が流れ落ちることを防止することができる。
【0028】
垂下部52は、傾斜部51の後縁部51bから下向きに垂れ下がった部分であり、傾斜部51と同様にケース2の左右横幅方向に延びている。
図3によく表われているように、この垂下部52の下縁部には、切欠き部52aが設けられ、この切欠き部52aを挟んだ一対の下向き凸部52bが形成されている。補助部材5の取り付けに際しては、それら一対の下向き凸部52bをケース2の底壁部20aに当接させた状態として補助部材5の位置決めが図られる。傾斜部51および垂下部52は、ドレン排水ガイド用の凹溝23の底面上に位置している。垂下部52には、切欠き部52aが設けられているために、凹溝23内におけるドレン水の流れが垂下部52によって阻害されないようにすることが可能である。
【0029】
次に、前記した2次熱交換器HEおよび温水装置WHの作用について説明する
【0030】
まず、2次熱交換器HEを利用して、燃焼ガスから潜熱回収を行なわせると、既述したように、伝熱管4の表面にドレン水が発生する。
図2の管体部40a’の表面に発生したドレン水Dに着目すると、このドレン水Dが下方に流れ落ちる際には、燃焼ガス流れの影響を受け、矢印N1に示すように、斜め下前方に向けて落ちる場合が多い。このようなドレン水の多くは、傾斜部51の上面に当たり、遮られる。傾斜部51の上面に当たったドレン水の多くは、矢印N2に示すように、傾斜部51の下方に流れ落ちる。ただし、燃焼ガス流れが速いような場合には、矢印N3に示すように、傾斜部51の上面上を前方に進行するものも生じる。このようなドレン水については、矢印N3’に示すように、隙間Cに流れ落とすことができる。したがって、ドレン水が傾斜部51の上面を伝って排気口22内に進入する現象を生じないようにすることもできる。
【0031】
ドレン水としては、矢印N4に示すように、ドレン排水ガイド用の凹溝23に向けて進行するものもある。凹溝23にドレン水が存在するような場合には、このドレン水が前方に向けて跳ねる虞があるが、このようなドレン水については、垂下部52によって適切に遮ることが可能である。垂下部52は、凹溝23の底面上に位置しているために、そのような効果は高い。
【0032】
前記したようなことから、本実施形態では、排気口22の下縁部22aの近傍およびその手前領域に進行してきたドレン水を、傾斜部51や垂下部52によって適切に遮り、排気口22内にドレン水が進入することを防止することが可能である。したがって、排気口22の外部に強酸性のドレン水が吹き出すことを抑制することができる。
なお、ドレン水としては、たとえば矢印N5で示すような経路で落下するものもあり得る。このようなドレン水については、本実施形態の構成では遮ることはできない。ただし、伝熱管4への入水は最下段の管体部40aから行なわれているために、最下段の管体部40aの表面において最も多くのドレン水が発生し、管体部40aよりも上側の他の管体部40bで発生するドレン水量は少ない。したがって、前記の矢印N5の経路で飛散するドレン水量も少ない。本実施形態では、ドレン水の発生量が最も多い最下段の管体部40aから飛散するドレン水が排気口22に進入することを適切に防止し得るものであり、排気口22の外部周辺がドレン水によって汚染されることを効率良く防止する上で有意義である。
【0033】
本実施形態では、傾斜部51や垂下部52が、ドレン排水ガイド用の凹溝23のスペースを利用して設けられているために、それらの設置スペース効率がよい。また、補助部材5の支持部50は、前壁部20bに沿って設けられ、前壁部20bから大きく嵩張った状態にはない。このようなことから、伝熱管4と前壁部20bとの間隔L1を小さくし、ケース2の小型を図る上でも有利となる。
【0034】
傾斜部51や垂下部52をケース2内の所定位置に設ける作業は、補助部材5をケース2内に組み付けることによって簡単に行なうことが可能であり、組立作業性がよい。また、補助部材5は、金属板のプレス加工によって簡単に製造することができ、その製造コストも廉価にすることが可能である。
【0035】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る熱交換器および温水装置の各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。
【0036】
本発明でいう傾斜部は、その上面が前上がり状であればよく、その具体的な傾斜角度な
どは限定されない。また、排気口の下縁部と傾斜部との隙間は、ドレン水を落とすことが可能な幅であればよく、やはりその具体的な寸法は限定されない。傾斜部を設けるための手段として、前記した補助部材5とは異なる構成の部材を用いることも可能である。
【0037】
熱交換器の伝熱管は、螺旋状管体を用いたものに限らず、これ以外として、たとえば直状管体、蛇行状の管体、蛇腹状の管体などを用いた構成とすることもできる。給気口については、ケースの後部側に設けることに代えて、たとえば特開2008−298325号公報に記載されているように、ケースの略中央部(ケースの底壁部の略中央など)に設けた構成とすることもできる。
【0038】
本発明に係る熱交換器は、1つのケース内に複数組の伝熱管が組み込まれたいわゆる1缶複数回路方式とすることも可能である。ケースに設けられる排気口は、必ずしも温水装置の正面を向いて開口するように設けられていなくてもよく、たとえば温水装置の背面側を向いて開口するように設けられていてもよい。本発明でいう熱交換器のケースの前壁部とは、温水装置の正面を向く壁部を意味するのではなく、排気口が設けられている壁部を意味する。
【0039】
本発明でいう温水装置とは、湯を生成する機能を備えた装置の意であり、一般給湯用、風呂給湯用、暖房用、あるいは融雪用などの各種の給湯装置、および給湯以外に用いられる湯を生成する装置を広く含む概念である。熱回収の対象となる気体としては、燃焼ガス以外として、たとえばコージェネレーション用のガスエンジンや燃料電池からの排ガスを用いることもできる。
【符号の説明】
【0040】
WH 温水装置
HE 2次熱交換器(熱交換器)
C 隙間
2 ケース(熱交換器の)
4 伝熱管
5 補助部材
20b 前壁部(ケースの)
21 給気口
22 排気口
22a 下縁部(排気口の)
23 ドレン排水ガイド用の凹溝
50 支持部(補助部材の)
51 傾斜部
51a 前縁部(傾斜部の)
52 垂下部