特許第5975431号(P5975431)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5975431
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】電源供給システム
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/002 20060101AFI20160809BHJP
【FI】
   A41D13/002 105
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-531090(P2016-531090)
(86)(22)【出願日】2015年8月14日
(86)【国際出願番号】JP2015072974
【審査請求日】2016年5月16日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592171005
【氏名又は名称】株式会社セフト研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100091269
【弁理士】
【氏名又は名称】半田 昌男
(72)【発明者】
【氏名】市ヶ谷 弘司
(72)【発明者】
【氏名】沖 洋平
【審査官】 田中 尋
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3191803(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3197256(JP,U)
【文献】 実開平04−089503(JP,U)
【文献】 特開平07−296918(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/002
H01R 24/00−24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のファンを用いて外部の空気を服本体内に取り込むことにより前記服本体と身体又は下着との間の空間内に空気の流れを発生させて身体を冷却する空調服に用いられる、前記複数のファンに電力を供給する電源装置と、前記複数のファンと前記電源装置とを接続するための電源供給ケーブルとを具備する電源供給システムであって、
前記電源供給ケーブルが、前記各ファンに接続される複数のファン側ケーブル部と、前記電源装置に接続される電源装置側ケーブル部と、前記複数のファン側ケーブル部が前記電源装置側ケーブル部から分岐するように前記複数のファン側ケーブル部と前記電源装置側ケーブル部とを接続する分岐部と、前記複数のファン側ケーブル部の端部及び前記電源装置側ケーブル部の端部のそれぞれに設けられた、プラグ中心電極とそのプラグ中心電極を取り囲むように形成されたプラグ外側電極とを有するケーブル用ピンプラグ部とを備え、
前記電源装置が、前記電源装置側ケーブル部の端部に設けられた前記ケーブル用ピンプラグ部が嵌め込まれる、ジャック中心電極とそのジャック中心電極を取り囲むように形成されたジャック外側電極とを有する電源用ピンジャック部を備え、
複数の前記ケーブル用ピンプラグ部のうち少なくとも一つの前記ケーブル用ピンプラグ部については前記プラグ中心電極又は前記プラグ外側電極の断面形状が略楕円形又は略多角形の形状であることを特徴とする電源供給システム。
【請求項2】
複数の前記ケーブル用ピンプラグ部のうち少なくとも一つの前記ケーブル用ピンプラグ部については前記プラグ中心電極の断面形状が略円形の形状であり、前記プラグ外側電極の断面形状が略楕円形の形状であり、その楕円の長軸の長さがその楕円の短軸の長さの1.2倍以上2倍以下の長さであることを特徴とする請求項1記載の電源供給システム。
【請求項3】
前記各ファン側ケーブル部の端部に設けられた前記ケーブル用ピンプラグ部の前記プラグ外側電極が前記電源装置側ケーブル部の端部に設けられた前記ケーブル用ピンプラグ部の前記プラグ中心電極に接続され、前記各ファン側ケーブル部の端部に設けられた前記ケーブル用ピンプラグ部の前記プラグ中心電極が前記電源装置側ケーブル部の端部に設けられた前記ケーブル用ピンプラグ部の前記プラグ外側電極に接続されていることを特徴とする請求項1又は2記載の電源供給システム。
【請求項4】
前記電源用ピンジャック部の前記ジャック中心電極の断面形状が前記電源装置側ケーブル部の端部に設けられた前記ケーブル用ピンプラグ部の前記プラグ中心電極の断面形状に対応する断面形状に形成され、前記電源用ピンジャック部の前記ジャック外側電極の断面形状が前記電源装置側ケーブル部の端部に設けられた前記ケーブル用ピンプラグ部の前記プラグ外側電極の断面形状に対応する断面形状に形成されていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の電源供給システム。
【請求項5】
前記プラグ中心電極又は前記プラグ外側電極の断面形状が略楕円形又は略多角形の形状に形成された前記ケーブル用ピンプラグ部と、ジャック中心電極の断面形状及びジャック外側電極の断面形状がともに略円形の形状に形成された汎用ピンジャック部との間に装着される変換アダプタを更に具備し、
前記電源装置の前記電源用ピンジャック部として前記汎用ピンジャック部が用いられており、
前記変換アダプタは、前記プラグ中心電極又は前記プラグ外側電極の断面形状が略楕円形又は略多角形の形状に形成された前記ケーブル用ピンプラグ部が嵌め込まれる、当該ケーブル用ピンプラグ部の前記プラグ中心電極の断面形状に対応する断面形状に形成されたジャック中心電極と当該ケーブル用ピンプラグ部の前記プラグ外側電極の断面形状に対応する断面形状に形成されたジャック外側電極とを有するピンジャック部と、前記汎用ピンジャック部に嵌め込まれる、前記汎用ピンジャック部の前記ジャック中心電極の断面形状に対応する略円形の形状に形成されたプラグ中心電極と前記汎用ピンジャック部の前記ジャック外側電極の断面形状に対応する略円形の形状に形成されたプラグ外側電極とを有する汎用ピンプラグ部とを備え、前記ピンジャック部と前記汎用ピンプラグ部とが内部で電気的に接続されていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の電源供給システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば空調服に設けられた複数のファンに電力を供給する電源装置と、複数のファンと電源装置とを接続する電源供給ケーブルとを備える電源供給システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、複数のファンを用いて外部の空気を服本体内に取り込むことにより服本体と身体又は下着との間の空間内に空気の流れを発生させて身体を冷却する空調服が実用化されている(例えば、特許文献1、非特許文献1参照。)。この空調服では、複数のファンに電力を供給する電源装置と、複数のファンと電源装置とを接続する電源供給ケーブルとを備える電源供給システムが用いられている。電源供給ケーブルの端部には、ケーブル用ピンプラグ部が設けられ、ファン及び電源装置にはそれぞれ、そのケーブル用ピンプラグ部が嵌め込まれるファン用ピンジャック部、電源用ピンジャック部が設けられている。ここで、ケーブル用ピンプラグ部の先端部の断面形状は円形状に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2004/012564号パンフレット
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】カタログ「2015空調服」,株式会社空調服,2015,p.4,インターネット<URL:http://www.9229.co.jp/pdf/catalog.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば、空調服の着用中、電源供給ケーブルに力が加わると、ケーブル用ピンプラグ部がピンジャック部(ファン用ピンジャック部又は電源用ピンジャック部)に対して回転することがある。このケーブル用ピンプラグ部が回転すると、ケーブル用ピンプラグ部が変形してしまったり、ケーブル用ピンプラグ部とピンジャック部とが接触不良を起こしてしまったりする。また、ケーブル用ピンプラグ部がピンジャック部に対して回転すると、局所的に電源供給ケーブルに屈曲動作が加わり、この屈曲動作が長期間の間に繰り返して行われると、電源供給ケーブルが断線してしまうおそれもある。
【0006】
本発明は上記事情に基づいてなされたものであり、ケーブル用ピンプラグ部の回転動作に起因する不具合の発生を防止することができる電源供給システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本発明は、複数のファンを用いて外部の空気を服本体内に取り込むことにより服本体と身体又は下着との間の空間内に空気の流れを発生させて身体を冷却する空調服に用いられる、複数のファンに電力を供給する電源装置と、複数のファンと電源装置とを接続するための電源供給ケーブルとを具備する電源供給システムであって、電源供給ケーブルが、各ファンに接続される複数のファン側ケーブル部と、電源装置に接続される電源装置側ケーブル部と、複数のファン側ケーブル部が電源装置側ケーブル部から分岐するように複数のファン側ケーブル部と電源装置側ケーブル部とを接続する分岐部と、複数のファン側ケーブル部の端部及び電源装置側ケーブル部の端部のそれぞれに設けられた、プラグ中心電極とそのプラグ中心電極を取り囲むように形成されたプラグ外側電極とを有するケーブル用ピンプラグ部とを備え、電源装置が、電源装置側ケーブル部の端部に設けられたケーブル用ピンプラグ部が嵌め込まれる、ジャック中心電極とそのジャック中心電極を取り囲むように形成されたジャック外側電極とを有する電源用ピンジャック部を備え、複数のケーブル用ピンプラグ部のうち少なくとも一つのケーブル用ピンプラグ部についてはプラグ中心電極又はプラグ外側電極の断面形状が略楕円形又は略多角形の形状であることを特徴とするものである。
【0008】
本発明に係る電源供給システムでは、複数のケーブル用ピンプラグ部のうち少なくとも一つのケーブル用ピンプラグ部についてプラグ中心電極又はプラグ外側電極の断面形状が略楕円形又は略多角形の形状であることにより、当該ケーブル用ピンプラグ部が嵌め込まれるピンジャック部についてそのジャック中心電極の断面形状を当該ケーブル用ピンプラグのプラグ中心電極の断面形状に対応する断面形状に形成すると共にそのジャック外側電極の断面形状を当該ケーブル用ピンプラグのプラグ外側電極の断面形状に対応する断面形状に形成すれば、ファンの使用中、電源供給ケーブルに力が加わっても、当該ケーブル用ピンプラグ部がピンジャック部に対して回転することはない。このため、ケーブル用ピンプラグ部の回転動作に起因して発生し得る、ケーブル用ピンプラグ部の変形、ケーブル用ピンプラグ部とピンジャック部との接触不良、電源供給ケーブルの断線等を防止することができるので、従来の電源供給システムに比べて電源供給システムの信頼性を高めることができる。
【0009】
また、本発明に係る電源供給システムにおいて、各ファン側ケーブル部の端部に設けられたケーブル用ピンプラグ部のプラグ外側電極が電源装置側ケーブル部の端部に設けられたケーブル用ピンプラグ部のプラグ中心電極に接続され、各ファン側ケーブル部の端部に設けられたケーブル用ピンプラグ部のプラグ中心電極が電源装置側ケーブル部の端部に設けられたケーブル用ピンプラグ部のプラグ外側電極に接続されていることが望ましい。これにより、使用者は、電源装置側ケーブル部におけるケーブル用ピンプラグ部のプラグ外側電極と複数のファン側ケーブル部のうち一つのファン側ケーブル部におけるケーブル用ピンプラグ部のプラグ外側電極とをテスター等で接触させて、電源装置の出力電圧を容易に測定することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る電源供給システムでは、ケーブル用ピンプラグ部がピンジャック部に対して回転するのを防止することができるので、ピンジャック部に対するケーブル用ピンプラグ部の回転動作に起因する電源供給ケーブルの不具合の発生を防ぎ、従来の電源供給システムに比べて電源供給システムの信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は本発明の一実施形態である電源供給システムを用いた空調服の概略図である。
図2図2は本実施形態の電源供給システムの概略図である。
図3図3(a)は本実施形態の電源供給システムの電源供給ケーブルにおけるケーブル用ピンプラグ部の概略斜視図、図3(b)はそのケーブル用ピンプラグ部の先端部分の概略正面図である。
図4図4は本実施形態の電源供給システムの電源供給ケーブルにおける三つのケーブル用ピンプラグ部の各電極の極性を説明するための図である。
図5図5は本発明の電源供給システムに用いられる変換アダプタの概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、図面を参照して、本願に係る発明を実施するための形態について説明する。図1は本発明の一実施形態である電源供給システムを用いた空調服の概略図、図2は本実施形態の電源供給システムの概略図である。
【0013】
本発明の一実施形態である電源供給システムは、例えば、複数のファンを用いて外部の空気を服本体内に取り込むことにより服本体と身体又は下着との間の空間内に空気の流れを発生させて身体を冷却する空調服に用いられるものである。特に、本実施形態では、この電源供給システムを、図1に示す空調服1に用いる場合について説明する。この空調服1は、図1に示すように、服本体10と、二つのファン(電気機器)20,20と、本実施形態の電源供給システム30とを具備する。また、本実施形態の電源供給システム30は、図1及び図2に示すように、二つのファン20,20に電力を供給する電源装置100と、二つのファン20,20と電源装置100とを接続するための電源供給ケーブル200とを備えている。
【0014】
ファン20は、外部の空気を服本体10内に取り込むためのものである。かかるファン20は、DCモータと、プロペラと、これらを収納する略円筒形状の収納部とを有する。ここで、収納部の外径は約90mm、その高さは約20mmである。電源装置100は、バッテリーと、それを収納するプラスチック製のケースとを有する。バッテリーとしては、例えばリチウムイオン電池が用いられる。空調服1の使用時には、電源装置100は、図1に示すように、例えば服本体10に設けられたポケット11に入れられる。二つのファン20,20と電源装置100とは、電源供給ケーブル200により接続される。
【0015】
ファン20,20を作動させると、外部の空気がファン20,20から服本体10内に取り込まれる。その取り込まれた空気は、服本体10と身体又は下着との間の空間において身体又は下着の表面に沿って上方に流通し、例えば襟部の周囲や袖口部から外部に排出される。このように空調服1では、服本体10と身体又は下着との間の空間内において身体又は下着の表面に略平行な空気の流れを発生させることにより、その空気が身体又は下着との間の空間内を流通する間に身体から出た汗を蒸発させ、その蒸発するときの気化熱によって身体を冷却する。
【0016】
図3(a)は本実施形態の電源供給システム30の電源供給ケーブル200におけるケーブル用ピンプラグ部の概略斜視図、図3(b)はそのケーブル用ピンプラグ部の先端部分の概略正面図である。電源供給ケーブル200は、図2に示すように、各ファン20に接続される二つのファン側ケーブル部(電気機器側ケーブル部)210,210と、電源装置100に接続される電源装置側ケーブル部220と、分岐部230と、三つのケーブル用ピンプラグ部240,240,240とを有する。各ケーブル部210,210,220としては、例えば平行ケーブルが用いられる。分岐部230は、二つのファン側ケーブル部210,210が電源装置側ケーブル部220から分岐するように二つのファン側ケーブル部210,210と電源装置側ケーブル部220とを接続するものである。また、これら三つのケーブル部210,210,220が互いに接続されている側と反対側における各ファン側ケーブル部210,210の端部及び電源装置側ケーブル部220の端部にはそれぞれ、ケーブル用ピンプラグ部240が設けられている。このケーブル用ピンプラグ部240は、図3に示すように、プラグ中心電極241と、そのプラグ中心電極241を取り囲むように形成されたプラグ外側電極242とを有する。本実施形態では、プラグ中心電極241の断面形状を略円形状に形成し、プラグ外側電極242の断面形状を略楕円形の形状に形成している。
【0017】
一方、各ファン20には、ケーブル用ピンプラグ部240が嵌め込まれるファン用ピンジャック部が設けられ、電源装置100には、ケーブル用ピンプラグ部240が嵌め込まれる電源用ピンジャック部が設けられている。これらファン用ピンジャック部及び電源用ピンジャック部はそれぞれ、ジャック中心電極と、そのジャック中心電極を取り囲むように形成されたジャック外側電極とを有する。ファン用ピンジャック部及び電源用ピンジャック部についても、ケーブル用ピンプラグ部240に対応する形状に形成しておく必要がある。すなわち、ジャック中心電極の断面形状はプラグ中心電極241の断面形状に対応する断面形状(略円形状)であり、ジャック外側電極の断面形状はプラグ外側電極242の断面形状に対応する断面形状(略楕円形状)である。各ファン側ケーブル部210のケーブル用ピンプラグ部240をファン20のファン用ピンジャック部に嵌め込むと共に、電源装置側ケーブル部220のケーブル用ピンプラグ部240を電源装置100の電源用ピンジャック部に嵌め込むことにより、図1に示すように、二つのファン20,20と電源装置100とが接続される。本実施形態では、プラグ外側電極242の断面形状とジャック外側電極の断面形状とを略楕円形の形状に形成していることにより、使用者が空調服1を着用して作業を行っているときに、電源供給ケーブル200に力が加わっても、ケーブル用ピンプラグ部240がファン用ピンジャック部又は電源用ピンジャック部に対して回転することはない。
【0018】
このように、本実施形態では、ケーブル用ピンプラグ部240のプラグ外側電極242の断面形状を略楕円形の形状に形成しているが、図3(b)に示すように、プラグ外側電極242における楕円の長軸の長さL1はその楕円の短軸の長さL2の1.2倍以上2倍以下の長さであることが望ましい。長軸の長さL1を短軸の長さL2の1.2倍より短くすると、使用者がプラグ外側電極242の長軸がどちらを向いているかを目視で又は指で触って確認しにくく、このケーブル用ピンプラグ部240をファン用ピンジャック部又は電源用ピンジャック部に対してどの向きに挿入すればよいのかを容易に把握することができないからである。一方、長軸の長さL1を短軸の長さL2の2倍よりも長くすると、ケーブル用ピンプラグ部240にそれを回転するような力が作用したときにその回転方向の応力がプラグ外側電極242にかかるが、このプラグ外側電極242にかかる応力はL1/L2の値が大きくなるほど大きくなるので、ケーブル用ピンプラグ部240が変形する可能性が高くなるからである。また、ケーブル用ピンプラグ部240自体の寸法が大きくなるのを防止するためにも、L1はL2の2倍以下であることが望ましい。
【0019】
また、本実施形態では、電源供給ケーブル200における三つのケーブル用ピンプラグ部240,240,240の各電極の極性を次のように設定している。図4は本実施形態の電源供給システム30の電源供給ケーブル200における三つのケーブル用ピンプラグ部240,240,240の各電極の極性を説明するための図である。各ファン側ケーブル部210の端部に設けられたケーブル用ピンプラグ部240のプラグ外側電極242が平行ケーブルの一方のケーブルにより電源装置側ケーブル部220の端部に設けられたケーブル用ピンプラグ部240のプラグ中心電極241に接続され、各ファン側ケーブル部210の端部に設けられたケーブル用ピンプラグ部240のプラグ中心電極241が平行ケーブルの他方のケーブルにより電源装置側ケーブル部220の端部に設けられたケーブル用ピンプラグ部240のプラグ外側電極242に接続されている。したがって、電源装置100に設けられた電源用ピンジャック部においてジャック中心電極をバッテリーの+極に繋ぎ、ジャック外側電極をバッテリーの−極に繋ぐことにすると、電源供給ケーブル200を電源装置100に接続したときに、図4に示すように、電源装置側ケーブル部220におけるケーブル用ピンプラグ部240のプラグ外側電極242と各ファン側ケーブル部210におけるケーブル用ピンプラグ部240のプラグ中心電極241とが−極になり、電源装置側ケーブル部220におけるケーブル用ピンプラグ部240のプラグ中心電極241と各ファン側ケーブル部210におけるケーブル用ピンプラグ部240のプラグ外側電極242とが+極になる。
【0020】
このように電源装置側ケーブル部220と各ファン側ケーブル部210とにおいてケーブル用ピンプラグ部240の極性を逆にすると、様々なメリットがある。第一に、図4の例において、使用者は、電源装置側ケーブル部220のケーブル用ピンプラグ部240を電源装置100の電源用ピンジャックに嵌め込んだ状態で、電源装置側ケーブル部220におけるケーブル用ピンプラグ部240のプラグ外側電極242と一つのファン側ケーブル部210におけるケーブル用ピンプラグ部240のプラグ外側電極242とをテスター等で接触させて、電源装置100の出力電圧を容易に測定することができる。これに対し、従来の電源供給ケーブルでは、電源装置側ケーブル部と各ファン側ケーブル部とにおいてケーブル用ピンプラグ部の極性を逆にしていないので、この従来の電源供給ケーブルを用いた場合に、上記と同様に電源装置100の出力電圧を測定しようとすると、例えば電源装置側ケーブル部におけるケーブル用ピンプラグ部のプラグ外側電極と一つのファン側ケーブル部におけるケーブル用ピンプラグ部のプラグ中心電極とをテスター等で接触させる必要がある。しかし、その際、テスターがファン側ケーブル部におけるケーブル用ピンプラグ部のプラグ外側電極に接触して、ショートする可能性がある。
【0021】
第二に、使用者が電源装置側ケーブル部220とファン側ケーブル部210とを逆にして電源供給ケーブル200を空調服1に使用した場合には、一部のファン20が逆回転するので、使用者に接続が誤っていることを容易に気づかせることができる。例えば、使用者が一方のファン側ケーブル部210のケーブル用ピンプラグ部240を電源装置100の電源用ピンジャック部に接続し、他方のファン側ケーブル部210のケーブル用ピンプラグ部240と電源装置側ケーブル部220のケーブル用ピンプラグ部240とをそれぞれ、ファン20,20のファン用ピンジャック部に接続した場合には、電源装置側ケーブル部220のケーブル用ピンプラグ部240が接続されたファン20は順方向に回転するが、他方のファン側ケーブル部210のケーブル用ピンプラグ部240が接続されたファン20は逆方向に回転する。
【0022】
更に、電源装置側ケーブル部220、二つのファン側ケーブル部210,210については、一般にその長さが異なっている。このため、使用者が電源装置側ケーブル部220のケーブル用ピンプラグ部240を誤ってファン20のファン用ピンジャック部に接続した場合には、ケーブルの引き回しが不自然な状態になる。このため、ケーブルに無理な力がかかりやすくなるので、ケーブルが断線してしまうおそれがある。しかし、本実施形態では、使用者がファン20の逆回転により接続の誤りに素早く気づくことができるので、かかるケーブルの断線の問題を解消することができる。
【0023】
本実施形態の電源供給システム30を空調服1に用いる場合、電源供給ケーブル200を用いて二つのファン20,20及び電源装置100に接続する際に、各ケーブル用ピンプラグ部240の向きをファン用ピンジャック部又は電源用ピンジャック部の向きに合わせる必要がある。ケーブル用ピンプラグ部240のプラグ外側電極242の断面形状が円形でないからである。具体的に、使用者は、ケーブル用ピンプラグ部240のプラグ外側電極242の長軸方向をファン用ピンジャック部又は電源用ピンジャック部のジャック外側電極の長軸方向に平行になるようにして、ケーブル用ピンプラグ部240をファン用ピンジャック部又は電源用ピンジャック部に嵌め込むようにする。
【0024】
本実施形態の電源供給システムでは、電源供給ケーブルにおける二つのファン側ケーブル部の端部及び電源装置側ケーブル部の端部にそれぞれ、プラグ外側電極の断面形状が略楕円形の形状であるケーブル用ピンプラグ部が設けられていることにより、ファン用ピンジャック部及び電源用ピンジャック部についてそのジャック中心電極の断面形状をケーブル用ピンプラグのプラグ中心電極の断面形状に対応する断面形状に形成すると共にそのジャック外側電極の断面形状をケーブル用ピンプラグのプラグ外側電極の断面形状に対応する断面形状に形成すれば、空調服(ファン)の使用中に電源供給ケーブルに力が加わっても、ケーブル用ピンプラグ部がファン用ピンジャック部又は電源用ピンジャック部に対して回転することはない。このため、ケーブル用ピンプラグ部の回転動作に起因して発生し得る、ケーブル用ピンプラグ部の変形、ケーブル用ピンプラグ部とピンジャック部との接触不良、電源供給ケーブルの断線等を防止することができるので、従来の電源供給システムに比べて電源供給システムの信頼性を高めることができる。
【0025】
また、空調服は身体に着用されるものであるので、使用者の動作に応じて電源供給ケーブルも動いてしまうことが多い。例えば、使用者が作業のために腕や身体を動かしたときに、腕が電源供給ケーブルに当たると、電源供給ケーブルに大きな力が加わり、ケーブル用ピンプラグ部を回転する力がそのケーブル用ピンプラグ部に作用するという状況が頻繁に起こり得る。このため、本実施形態の電源供給システムは、特に空調服に用いるのに好適である。
【0026】
尚、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内において種々の変形が可能である。
【0027】
例えば、上記の実施形態では、各ファン側ケーブル部の端部及び電源装置側ケーブル部の端部に設けられた三つのケーブル用ピンプラグ部についてプラグ外側電極の断面形状を略楕円形の形状に形成した場合について説明したが、三つのケーブル用ピンプラグ部のうち少なくとも一つのケーブル用ピンプラグ部についてプラグ外側電極の断面形状を略楕円形の形状に形成するようにしてもよい。例えば一部のケーブル用ピンプラグ部だけが回転する可能性がある場合には、当該一部のケーブル用ピンプラグ部についてだけそのプラグ外側電極の断面形状を略楕円形の形状にし、他のケーブル用ピンプラグ部については従来のものを使用すればよい。
【0028】
また、上記の実施形態では、電源供給ケーブルのケーブル用ピンプラグ部についてそのプラグ中心電極の断面形状が略円形状であり、プラグ外側電極の断面形状が略楕円形の形状である場合について説明したが、プラグ中心電極の断面形状を略楕円形の形状に形成し、プラグ外側電極の断面形状を略円形状に形成するようにしてもよい。また、プラグ中心電極の断面形状とプラグ外側電極の断面形状をともに略楕円形の形状に形成するようにしてもよい。
【0029】
また、上記の実施形態では、電源供給ケーブルのケーブル用ピンプラグ部についてそのプラグ外側電極の断面形状が略楕円形の形状である場合について説明したが、その断面形状は、略楕円形の形状に限らず、例えば略多角形の形状であってもよい。この場合も、ケーブル用ピンプラグ部がファン用ピンジャック部又は電源用ピンジャック部に対して回転するのを防止することができる。但し、断面形状を四角形(長方形)の形状に形成する場合には、その長辺の長さは短辺の長さの1倍以上2倍以下であることが望ましい。
【0030】
更に、上記の実施形態では、ファンに、ファン側ケーブル部の端部に設けられたケーブル用ピンプラグ部に対応するファン用ピンジャック部を設け、電源装置に、電源装置側ケーブル部の端部に設けられたケーブル用ピンプラグ部に対応する電源用ピンジャック部を設けた場合について説明したが、専用の変換アダプタを用いることにより、その電源供給ケーブルを、ピンジャック部として汎用ピンジャック部が設けられたファン又は電源装置に対しても使用することができる。すなわち、本発明の電源供給システムは、電源装置及び電源供給ケーブルに加えて、専用の変換アダプタを備えるものであってもよい。ここで、汎用ピンジャック部とは、ジャック中心電極の断面形状及びジャック外側電極の断面形状がともに略円形状であるものである。専用の変換アダプタは、プラグ外側電極の断面形状が略楕円形の形状に形成された電源供給ケーブルのケーブル用ピンプラグ部と、ファン又は電源装置の汎用ピンジャック部との間に装着される。図5は本発明の電源供給システムに用いられる変換アダプタの概略斜視図である。具体的に、専用の変換アダプタ500は、図5に示すように、ケーブル用ピンプラグ部が嵌め込まれる、ケーブル用ピンプラグ部のプラグ中心電極の断面形状に対応する断面形状に形成されたジャック中心電極とケーブル用ピンプラグ部のプラグ外側電極の断面形状に対応する断面形状に形成されたジャック外側電極とを有するピンジャック部510と、汎用ピンジャック部に嵌め込まれる、汎用ピンジャック部のジャック中心電極の断面形状に対応する略円形の形状に形成されたプラグ中心電極と汎用ピンジャック部のジャック外側電極の断面形状に対応する略円形の形状に形成されたプラグ外側電極とを有する汎用ピンプラグ部520と、筐体部530とを備えている。この筐体部530内においてピンジャック部510と汎用ピンプラグ部520とが電気的に接続されている。これにより、本実施形態の電源供給システムでは、電源供給ケーブルを専用の変換アダプタを介して、汎用ピンジャック部が設けられたファン又は電源装置に容易に接続することができる。したがって、かかる専用の変換アダプタを用いることにより、従来のファン又は電源装置を本実施形態の電源供給システムに使用することができ、電源供給システムの汎用性を確保することができる。
【0031】
また、上記の実施形態では、電源供給ケーブルが二つのファン側ケーブル部を有する場合について説明したが、例えば空調服に三つ以上のファンが設けられている場合等には、電源供給ケーブルとして、三つ以上のファン側ケーブル部を有するものを用いるようにすればよい。
【0032】
更に、上記の実施形態では、電源装置側ケーブル部と各ファン側ケーブル部とにおいてケーブル用ピンプラグ部の極性を逆にした場合について説明したが、ケーブル用ピンプラグ部の極性は必ずしも逆にする必要はない。
【産業上の利用可能性】
【0033】
以上説明したように、本発明に係る電源供給システムでは、ケーブル用ピンプラグ部がピンジャック部に対して回転するのを防止することができるので、ピンジャック部に対するケーブル用ピンプラグ部の回転動作に起因する電源供給ケーブルの不具合の発生を防ぎ、電源供給システムの信頼性を高めることができる。したがって、本発明は、ケーブル用ピンプラグ部がピンジャック部に対して回転するという状況が頻繁に起こり得る空調服に用いるのに好適である。
【符号の説明】
【0034】
1 空調服
10 服本体
11 ポケット
20 ファン(電気機器)
30 電源供給システム
100 電源装置
200 電源供給ケーブル
210 ファン側ケーブル部(電気機器側ケーブル部)
220 電源装置側ケーブル部
230 分岐部
240 ケーブル用ピンプラグ部
241 プラグ中心電極
242 プラグ外側電極
500 変換アダプタ
510 ピンジャック部
520 汎用ピンプラグ部
530 筐体部

【要約】
ケーブル用ピンプラグ部の回転動作に起因する不具合の発生を防止することができる電源供給システムを提供する。電源供給システム(30)は、二つのファンを有する空調服に用いられるものであり、二つのファンに電力を供給する電源装置(100)と、二つのファンと電源装置(100)とを接続する電源供給ケーブル(200)とを備える。電源供給ケーブル(200)は、各ファンに接続される二つのファン側ケーブル部(210)と、電源装置(100)に接続される電源装置側ケーブル部(220)と、二つのファン側ケーブル部(210)の端部及び電源装置側ケーブル部(220)の端部のそれぞれに設けられたケーブル用ピンプラグ部(240)とを備える。ケーブル用ピンプラグ部(240)は、プラグ中心電極と、そのプラグ中心電極を取り囲むように形成されたプラグ外側電極とを有する。プラグ中心電極の断面形状は略円形状に形成され、プラグ外側電極の断面形状は略楕円形の形状に形成されている。
図1
図2
図3
図4
図5