特許第5975433号(P5975433)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5975433-排水栓装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5975433
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】排水栓装置
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/22 20060101AFI20160809BHJP
   A47K 1/14 20060101ALI20160809BHJP
   F16K 1/36 20060101ALI20160809BHJP
   F16K 31/46 20060101ALI20160809BHJP
【FI】
   E03C1/22 B
   A47K1/14 B
   F16K1/36 Z
   F16K31/46 B
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2010-127272(P2010-127272)
(22)【出願日】2010年5月18日
(65)【公開番号】特開2011-241665(P2011-241665A)
(43)【公開日】2011年12月1日
【審査請求日】2013年5月15日
【審判番号】不服2015-17075(P2015-17075/J1)
【審判請求日】2015年9月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】392028767
【氏名又は名称】株式会社日本アルファ
(74)【代理人】
【識別番号】100090619
【弁理士】
【氏名又は名称】長南 満輝男
(72)【発明者】
【氏名】石垣 征樹
(72)【発明者】
【氏名】加籐 智哉
【合議体】
【審判長】 赤木 啓二
【審判官】 中田 誠
【審判官】 住田 秀弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−124696(JP,A)
【文献】 特開2008−25331(JP,A)
【文献】 特開2006−291611(JP,A)
【文献】 特開平10−227053(JP,A)
【文献】 特開2008−308852(JP,A)
【文献】 特開2010−53539(JP,A)
【文献】 韓国登録実用新案第20−0379020(KR,Y1)
【文献】 中国実用新案第2869145(CN,Y)
【文献】 欧州特許出願公開第1892340(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/12-1/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水槽の底部に、円筒状陥没部を形成し、該円筒状陥没部の底部に形成された内向きフランジ部が排水口金具と接続管とで挟持取付けられて排水口部を形成し、該排水口部には、排水口金具を露出しないように覆うカバーが該円筒状陥没部内に設けられ、その円筒状陥没部内を上下動するカバーが、止水時には、水槽の底部面に概ね面一とされ、該カバーの下面には、排水口金具とで密閉可能に止水するパッキンを挿通保持する軸部が設けられて排水栓を構成し、該排水栓の昇降でパッキンによる開閉がされることを特徴とする排水栓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗面化粧台、浴槽、流し台などにおける水槽の底部に形成された排水口部を覆うカバーが設けられた排水栓装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来の洗面化粧台、浴槽、流し台などにおける水槽の底部に形成された排水口部は、該排水口部に排水口金具を貫通して取付け、該排水口金具のフランジ部が水槽の底部表面に露出されているものであった。
ところが、水槽の底部表面に露出された排水口金具には、この排水口金具のフランジ部との境目に残水及び水垢などが溜り、これらにより汚れが目立ち、見苦しくなり、常時、清掃する必要を生じ、不都合であった。
【0003】
そこで、洗面化粧台、浴槽、流し台などにおける水槽の底部に漸次縮径する陥没部を形成して排水口部とし、該排水口部には、陥没部の内面と面一のテーパ内面を備えた排水口金具が配設され、排水口部の開閉をする排水栓が、止水の閉状態において、排水口部内に位置され、且つ排水口金具より上方に位置されるようにし、残水及び水垢の溜り易い排水口金具の取付境目が隠れるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】 特開平10−131255
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
止水の閉状態は、排水栓が精度を出し難い排水口部内の排水口金具より上方位置でされ、残水及び水垢が溜り、汚れ易い排水口金具の取付境目を排水栓で隠し、見え難くしているが、止水の点で、排水口部内が精巧でない故に止水の密閉をし難く、水槽に精巧な排水口部を排水口金具と共に形成することが困難なことであった。まして、陶器などの水槽になると、一層、精巧な排水口部の成形は困難で、精度が出し難く、精巧性の乏しい排水口部での止水は密閉性に支障をきたす。また、栓蓋下に隣接するパッキンによる閉状態の止水は、パッキンによる当接以前に栓蓋の縁が排水口部内面と当接して、パッキンによる密閉に不足を生じ、支障を起すことになり、都合悪い。
更に、漸次縮径する排水口部での排水栓による止水の閉状態は、楔形の排水口部への排水栓の嵌め込みとなり、嵌め込み状態からの排水栓の引き抜き開状態への操作は重くなり、芳しくない。
【0006】
そこで、本発明は、水槽の底部に円筒状陥没部を形成し、該円筒状陥没部の底部に形成された内向きフランジ部が排水口金具と接続管とで挟持取付けられ、該排水口金具が露出されないように覆うカバーを円筒状陥没部内に上下動可能に設け、且つパッキンによる確実な止水を果すため、精巧に加工される排水口金具にパッキンを当接させることである。そして、このような排水栓装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の排水栓装置は、水槽の底部に、円筒状陥没部を形成し、該円筒状陥没部の底部には内向きフランジ部を形成し、該内向きフランジ部が排水口金具と接続管とで挟持取付けられて排水口部を形成し、該排水口部には、排水口金具を露出しないように覆うカバーが該円筒状陥没部内に設けられ、その円筒状陥没部内を上下動するカバーが、止水時には、水槽の底部面に概ね面一とされ、該カバーの下面には、排水口金具とで密閉可能に止水するパッキンを挿通保持する軸部が設けられて排水栓を構成し、該排水栓の昇降でパッキンによる開閉がされるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の排水栓装置は、排水口金具が露出しないように排水口部を覆うカバーと、そのカバーの軸部に挿通保持される排水を止水するパッキンとで構成される排水栓でなり、これら相互が作用されることなく、独自に充分且つ正確な効果を果し得ることができる。例えば、パッキンは、カバーが排水口部の円筒状陥没部内にあって上下動可能で接触しないので、パッキンの押圧止水作用に妨げとならず、カバーの作用と関係なく排水口金具のフランジ部との密閉止水をすることができる。また、カバーは、パッキンの密閉止水の作用に関係なく位置設定ができ、水槽の底部面との概ね面一が簡単且つ容易に位置決めできる。
よって、排水栓は、そのパッキンを排水口金具のフランジ部に搭載するだけでの軽い接触でも排水を止水することができ、更に、カバーが水槽の底部面と概ね面一にされ、排水口部を覆うことになって排水口部内の汚れを覆い隠すことができ、見栄え良くできる。
【0009】
本発明の排水栓装置は、レリースワイヤの作動部がカバー下面に設けられるだけの施工で、カバー下面の軸部に挿通保持されたパッキンによる排水口金具のフランジ部への接触が容易にでき、該接触による密閉で止水ができる。よって、このような排水栓装置の施工は、簡単且つ容易にできることになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】 水槽の底部に円筒状陥没部を形成し、該円筒状陥没部の内向きフランジ部を接続管とで挟持取付けた排水口金具が露出しないよう排水口部を覆うカバーと、該カバーの下方に設けられた軸部に挿通保持するパッキンとでなる排水栓を昇降可能とする排水栓装置の断面図であって、該排水栓の昇降による開閉状態を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の排水栓装置は、図1に示す如く、洗面化粧台、浴槽、流し台などの水槽の底部1に円筒状陥没部10を形成し、該円筒状陥没部の底部には内向きフランジ部11が形成され、該内向きフランジ部が排水口金具3と接続管5とでパッキン材4を介して挟持取付けられて排水口部2を構成している。
排水口部2には、排水口金具3を露出しないように覆うカバー6が円筒状陥没部10内に設けられ、その円筒状陥没部10内を上下動するカバー6が、止水時には、水槽の底部1に概ね面一とされ、該カバーの下面には、排水口金具3とで密閉可能にするパッキン7を挿通保持する軸部61が設けられて排水栓20を構成している。
【0012】
排水口金具3には、レリースワイヤ8の作動部81が支持部材9をもって支持され、該作動部が支軸82を介してカバー6の下面に付設され、カバー6の下面に設けられた軸部61に挿通保持されたパッキン7がレリースワイヤ8による遠隔操作で作動され、開閉させる。
なお、カバー6下面には、ガイド筒62を設け、該ガイド筒がレリースワイヤの作動部81によってガイドされて排水栓20の昇降を行われる。
【0013】
排水口金具3は、円筒状陥没部10の底部に形成された内向きフランジ部11を接続管5とで挟持取付けて水槽の底部1に露出しないようにし、排水口金具3が該円筒状陥没部10の底部に取付けられた排水口部2には、円筒状陥没部10内に排水栓20のカバー6が上下動可能に設けられることによって、排水口部2が覆われ、排水口金具3の取付境目などに生じる残水や水垢による汚れなどが隠されて都合良い。
また、カバー6は、止水のために設けられたパッキン7の密閉性の作用と関係なく、円筒状陥没部10内を上下動可能に設けられているので、位置設定を簡単且つ容易にでき、カバーにつまづくことを防止するため、カバーの頂面60が水槽の底部1面と概ね面一になるよう円筒状陥没部10の縁とカバー6の縁との位置を略一致させることがよい。
【0014】
カバー6の下面に設けられた軸部61に挿通保持されたパッキン7は、成形加工上、精巧にし難い円筒状陥没部10との接触でなく、精巧な加工がし易い排水口金具3との接触であるため止水の密閉性を正確且つ確実に得ることができ、好都合になる。また、密閉性がよいので、排水栓20を排水口金具3に載置するだけでの止水ができ、更に、線接触による密閉がされるパッキン7を使用すれば、その効果は向上する。
【符号の説明】
【0015】
1 水槽の底部
10 円筒状陥没部
11 内向きフランジ部
2 排水口部
20 排水栓
3 排水口金具
4 パッキン材
5 接続管
6 カバー
60 頂面
61 軸部
62 ガイド筒
7 パッキン
8 レリースワイヤ
81 作動部
82 支軸
9 支持部材
図1