(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
所定の周波数の電力を発生させる発振器を備える送電部及び伝送媒体に結合する結合電極を有する送信装置と、前記所定の周波数の電力を整流する整流部及び前記伝送媒体に結合する結合電極を有する受信装置と、特性インピーダンスが前記送電部のインピーダンスよりも高く、電気的な長さが前記所定の周波数に対応する波長の4分の1の長さである伝送線路と等価な電気特性を有する昇圧部と、を備える伝送システムにおける伝送方法であって、
前記昇圧部が、前記所定の周波数の電力を反射および共振させることにより、前記所定の周波数の電力のインピーダンス及び電圧を上昇させるステップと、
前記昇圧部が、前記インピーダンス及び電圧を上昇させた所定の周波数の電力を、前記整流部に供給するステップと
を含み、
前記昇圧部は、前記送信装置の結合電極と、前記受信装置の結合電極とを含んで構成される、伝送方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電力伝送装置が導体または誘電体により構成される伝送媒体を介して高周波電力を伝送する場合、電力伝送装置から伝送された高周波電力は、受電装置の整流回路に入力される際に、伝送媒体内で生じる伝送損失により電圧が低下する。整流回路における受電電圧が小さいほど、受電電圧に対する、受電装置が備えるダイオードの順方向電圧降下の割合が高くなる。その結果、インピーダンスマッチング(インピーダンス整合ともいう)を行っても、受電装置における受電電力の大部分はダイオード中で損失する。そのため、電力伝送装置における電力の伝送効率が低くなりやすい。
【0007】
電力伝送装置から受電装置に伝送される高周波電力の電圧をトランス(変圧器)を用いて昇圧する場合において、例えば、トランスの二次コイルと一次コイルの巻き数の比をNとすると、一次コイル側から二次コイル側に電力を送るとき、二次コイル側に出力される電圧は一次コイルに入力された電圧のN倍になる。しかし、二次コイル側から一次コイル側に電力を送る場合、一次コイル側に出力される電圧は二次コイルに入力された電圧のN分の1倍になる。このように、トランスを使用した場合、所定の一方向に電力を送る場合には昇圧されるが、反対方向に電力を送る場合には降圧されるので、双方向の電力の伝送において昇圧が求められる場合には、トランスの使用は適さない。
【0008】
かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、伝送効率を向上可能な伝送システム、伝送装置、および伝送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、第1の観点に係る伝送システムは、
所定の周波数の電力を出力する発振器を含む第1伝送部と、
特性インピーダンスが前記第1伝送部のインピーダンスよりも高く、電気的な長さが前記所定の周波数に対応する波長の4分の1の長さである伝送線路と等価な電気特性を有する昇圧部と、
前記昇圧部を介して供給される前記所定の周波数の電力を整流する整流部を含む第2伝送部と、を備える。
【0010】
また、第2の観点に係る伝送システムにおいて、
前記昇圧部は、分布定数回路により構成される伝送線路である。
【0011】
また、第3の観点に係る伝送システムにおいて、
前記昇圧部は、インダクタとコンデンサとを含む集中定数回路により構成される伝送線路の等価回路である。
【0012】
また、第4の観点に係る伝送システムにおいて、
前記昇圧部は、一の端子から入力される信号に対して他の端子から出力される信号の位相が90度又は−90度遅延する回路により構成される。
【0013】
また、第5の観点に係る伝送システムにおいて、
前記第1伝送部および前記第2伝送部はそれぞれ結合電極を備え、
前記第1伝送部および前記第2伝送部の前記結合電極が伝送媒体に電気的に結合した状態で、前記第1伝送部から前記第2伝送部に前記所定の周波数の電力が伝送される。
【0014】
また、第6の観点に係る伝送システムにおいて、
前記昇圧部は、前記第1伝送部および前記第2伝送部がそれぞれ備える結合電極と、前記伝送媒体とを含んで構成される。
【0015】
また、第7の観点に係る伝送システムにおいて、
前記伝送媒体は導体または誘電体である。
【0016】
また、第8の観点に係る伝送システムにおいて、
前記第1伝送部は、所定の周波数の電力を整流する整流部をさらに含み、
前記第2伝送部は、所定の周波数の電力を出力する発振器をさらに含み、
前記昇圧部は、特性インピーダンスが前記第2伝送部のインピーダンスよりも高く、電気的な長さが前記第2伝送部が出力する所定の周波数に対応する波長の4分の1の長さである伝送線路と等価な電気特性を有する。
【0017】
また、第9の観点に係る伝送システムにおいて、
前記第1伝送部は、前記所定の周波数の電力を符号化した所定の周波数の信号を出力する。
【0018】
また、第10の観点に係る伝送システムにおいて、
前記第1伝送部はリーダライタであり、前記第2伝送部はRFタグである。
【0019】
また、第11の観点に係る伝送装置は、
所定の周波数の電力の伝送動作を制御する送受電制御部と、
前記送受電制御部に接続される結合電極と、
前記送受電制御部に接続される、ほぼ90度の電気長の端末線路と、
前記結合電極と前記端末線路の間に接続されるインダクタとを備える。
【0020】
また、第12の観点に係る伝送方法は、
所定の周波数の電力を発生させる発振器を備える送電部と、特性インピーダンスが前記送電部のインピーダンスよりも高く、電気的な長さが前記所定の周波数に対応する波長の4分の1の長さである伝送線路と等価な電気特性を有する昇圧部と、前記所定の周波数の電力を整流する整流部とを備える伝送システムにおける伝送方法であって、
前記昇圧部が、前記所定の周波数の電力を反射および共振させることにより、前記所定の周波数の電力のインピーダンス及び電圧を上昇させるステップと、
前記昇圧部が、前記インピーダンス及び電圧を上昇させた所定の周波数の電力を、前記整流部に供給するステップとを含む。
【0021】
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。
【0024】
高周波(例えば10kHzから10GHz)伝送システムでは、送電側と受電側との間でインピーダンス整合を行って反射波を減らすことで、システム全体の伝送効率を向上させる場合がある。しかし、ダイオードを含む非線形な回路では、インピーダンス整合を行うよりも、受電側における受電電圧を高くすることにより、受電電圧に対するダイオードの順方向電圧降下の割合を減らす方が、高周波伝送システム全体における電力の伝送効率を向上できる場合がある。本実施形態においては、受電側における受電電圧を高くする高周波伝送システムについて説明する。
【0025】
まず、本実施形態に係る高周波伝送システムにおける高周波伝送の原理について、
図1〜
図3を用いて説明する。
【0026】
図1は、本実施形態に係る高周波伝送システムの原理を説明するための機能ブロック図である。高周波伝送システム10は、送電装置20と、受電装置30と、昇圧部40とを備える。高周波伝送システム10において、送電装置20は、高周波電力または高周波信号を出力する。本実施形態では、送電装置20は高周波電力を出力するとして、以下説明する。送電装置20から出力された高周波電力は、昇圧部40で昇圧され、受電装置30に入力される。
【0027】
送電装置20は、電源21と高周波発振器22とを備える。電源21は、高周波発振器22に供給する電力を出力する。高周波発振器22は、電源21から供給された電力に基づき、所定の周波数または可変周波数の高周波電力を出力する。
【0028】
受電装置30は、整流器31と、負荷32とを備える。整流器31は、昇圧部を介して送電装置20から受電装置30に供給された高周波電力を直流電力に変換する。
図2は、受電装置30が備える整流器31の一例を示す回路図である。
図2に示す整流器31は、2個のキャパシタ33と、2個のダイオード34とを備える、いわゆる半波倍電圧整流回路である。また、受電装置30において、負荷32は整流器31に接続され、負荷32には整流器31で整流した直流電力が供給される。
【0029】
昇圧部40は、送電装置20と受電装置30との間に接続され、送電装置20から出力される高周波電力を昇圧して受電装置30の整流器31に供給する。昇圧部40は、送電装置20のインピーダンスよりも特性インピーダンスが高い、4分の1波長伝送線路と等価な電気特性を有する。ここで、4分の1波長伝送線路とは、電気的な長さが4分の1波長の伝送線路をいい、つまり、出力端における高周波電力の位相が入力端における高周波電力の位相に比べて90度遅延する回路をいう。言い換えると、昇圧部40のSパラメータ(散乱行列における散乱パラメータ)は、S21(二端子対回路において一の端子から信号を入力したときに他の端子を通過する信号)の位相が−90度である。また、特性インピーダンスとは、伝送線路中を高周波信号または高周波電力が反射することなく伝送されるときの電圧と電流の比をいう。
【0030】
図3は、昇圧部40が有する4分の1波長伝送線路の一例を模式的に示す図であり、いわゆるマイクロストリップ線路を示す図である。昇圧部40は、誘電体41と、誘電体41の一方の面に設けられた導体42と、誘電体41の他方の面に設けられた帯状の導体43とを備える。昇圧部40の長さ、つまり入力側から出力側までの長さは、伝送する高周波信号の波長の4分の1波長である。
【0031】
送電装置20のインピーダンスよりも特性インピーダンスが高く、長さが4分の1波長の伝送線路と等価な電気特性を持つ昇圧部40は、インピーダンス変換器の役割を果たす。すなわち、送電装置20から出力された高周波電力は、昇圧部40で反射および共振することにより、より高いインピーダンスに変換される。そのため、昇圧部40は、送電装置20から出力された高周波電力の電流を小さくし、電圧を大きくして、受電装置30に供給する。
【0032】
本実施形態に係る高周波伝送システムは、上述の原理で高周波電力の昇圧を行う昇圧部40を備えることにより、双方向の高周波電力の昇圧を行う。昇圧部40は、伝送線路と等価な電気特性を有し、入出力の構造が対称であるので、高周波電力の伝送の方向によらず、送電側から出力される高周波電力の電圧よりも、受電側に供給される高周波電力の電圧を大きくすることができる。
【0033】
次に、本実施形態に係る高周波伝送システムの詳細について説明する。
図4は、本実施形態に係る高周波伝送システムの概略構成を示す機能ブロック図である。
【0034】
本実施形態に係る高周波伝送システム100は、第1送受電装置110と、第2送受電装置120と、昇圧部140とを備える。第1送受電装置110及び第2送受電装置120は、送電部150及び受電部160を備える。送電部150は、
図1の送電装置20に相当する機能を有し、受電部160は、整流器を備え、
図1の受電装置30に相当する機能を有する。第1送受電装置110及び第2送受電装置120は、いずれも送電部150及び受電部160を備えるので、高周波伝送システム100は、第1送受電装置110と第2送受電装置120との間で、双方向に高周波電力を伝送可能である、
【0035】
昇圧部140は、第1送受電装置110と第2送受電装置120との間に接続され、第1送受電装置110および第2送受電装置120の一方から出力された高周波電力を昇圧して、他方に供給する。昇圧部140は、高周波電力を出力する第1送受電装置110及び第2送受電装置120のインピーダンスよりも特性インピーダンスが高い、4分の1波長伝送線路と等価な電気特性を有する。
【0036】
第1送受電装置110のインピーダンスは、第1送受電装置110の送電部150から出力される高周波電力が反射しないような負荷を第1送受電装置110に接続したときに、送電部150から出力される出力電圧と出力電流の比で表される。このときの第1送受電装置110のインピーダンスをZ1とし、出力電圧をV1とする。また、第2送受電装置120のインピーダンスも同様にして表される。第2送受電装置120のインピーダンスをZ2とし、出力電圧をV2とする。また、昇圧部140の特性インピーダンスをZ3とする。
【0037】
まず、第1送受電装置110から第2送受電装置120に高周波電力を伝送する場合について説明する。この場合、昇圧部140の出力側から出力される高周波電力、つまり第2送受電装置120に供給される高周波電力のインピーダンスZ1´と、入力電圧V1´とは、次の2式により表される。
【0040】
昇圧部140の特性インピーダンスZ3は、高周波電力を出力する第1送受電装置110のインピーダンスZ1よりも高い(Z3>Z1)ので、上記数式(2)に基づき、第2送受電装置120に入力される入力電圧V1´は第1送受電装置110の出力電圧V1より高くなる。
【0041】
反対に、第2送受電装置120から第1送受電装置110に高周波電力を伝送する場合、昇圧部140の出力側から出力される高周波電力、つまり第1送受電装置110に供給される高周波電力のインピーダンスZ2´と、入力電圧V2´とは、次の2式により表される。
【0044】
昇圧部140の特性インピーダンスZ3は、高周波電力を出力する第2送受電装置120のインピーダンスZ2よりも高い(Z3>Z2)ので、上記数式(4)に基づき、第1送受電装置110に入力される入力電圧V2´は第2送受電装置120の出力電圧V2より高くなる。
【0045】
このように、高周波伝送システム100は、送電側の送受電装置のインピーダンスよりも特性インピーダンスの高い4分の1波長伝送線路と等価な電気特性を有する昇圧部140を備えるので、伝送方向にかかわらず、送電電圧よりも受電電圧を高くすることができる。また、高周波伝送システム100によれば、昇圧部140により、電力の送電側からの送電電圧よりも、受電側における受電電圧を高くすることができるので、受電電圧に対する受電側のダイオードの順方向電圧降下の割合を減らすことができる。そのため、高周波伝送システム100は、システム全体における電力の伝送効率を向上できる。
【0046】
ここで、昇圧部140が有する4分の1波長伝送線路の変形例について説明する。上記
図3の説明において、昇圧部140が有する4分の1波長伝送線路がいわゆるマイクロストリップ線路であると説明したが、4分の1波長伝送線路はこれに限られず、分布定数回路により構成されていてもよい。
【0047】
また、昇圧部140の4分の1波長伝送線路は、例えばインダクタとコンデンサによって構成される集中定数の伝送線路の等価回路であってもよい。
図5は、4分の1波長伝送線路の変形例を示す図である。
【0048】
集中定数の伝送線路の等価回路は、例えば
図5(a)に示すように、いわゆるπ型の等価回路であってもよく、例えば
図5(b)に示すように、いわゆる平衡回路型の等価回路であってもよく、例えば
図5(c)に示すように、いわゆるT型の等価回路であってもよい。
【0049】
また、集中定数の伝送線路の等価回路は、例えば
図5(d)に示すように、
図5(a)のπ型の等価回路においてインダクタとコンデンサとの位置を入れ換えた、いわゆる後退波型の等価回路であってもよい。集中定数の伝送線路の等価回路が
図5(a)に示すπ型である場合、昇圧部140への入力電力に対して昇圧部140からの出力電力の位相が90度遅れるのに対して、集中定数の伝送線路の等価回路が
図5(d)に示す後退波型である場合、昇圧部140への入力電力に対して昇圧部140からの出力電力の位相が90度進むが、昇圧部140としては、どちらも同様の昇圧機能を有する。従って、集中定数の伝送線路の等価回路が後退波型である場合、昇圧部140のSパラメータは、S21が+90度である。
【0050】
また、集中定数の伝送線路の等価回路は、例えば
図5(e)に示すように、
図5(d)の後退波型の等価回路の各インダクタがグランドされた、いわゆるグランド分離型の等価回路であってもよい。
【0051】
例えば、
図5(a)に示すπ型の等価回路が備えるコンデンサのキャパシタンスをC、インダクタのインダクタンスをLとし、高周波伝送システム100において伝送される高周波電力の周波数をf、昇圧部140の特性インピーダンスをZとする。π型の等価回路は、コンデンサ及びインダクタとして、それぞれ、C=1/(2πfZ)、及びL=Z/(2πf)を満たす素子を使用することができる。
図5に示した、他の集中定数の伝送線路の等価回路においても、同様に、周波数fと特性インピーダンスZとに基づいて定まる所定のキャパシタンスC及びインダクタンスLのコンデンサ及びインダクタを使用することができる。
【0052】
なお、昇圧部140が有する4分の1波長伝送線路は、
図5に示した等価回路と伝送特性が同等の、その他の電気回路であってもよい。すなわち、昇圧部140は入力電力と出力電力の位相差が90度で、特性インピーダンスが高周波電圧を送信する送信装置のインピーダンスよりも大きい、その他の回路を有していてもよい。
【0053】
上述した高周波伝送システム100は、導体または誘電体により構成される伝送媒体を介して高周波電力の伝送を行う高周波伝送システムとしても実現できる。ここで、本実施形態に係る高周波伝送システム100を、伝送媒体を介して伝送を行う高周波伝送システムとして実現する場合における、高周波伝送の原理について、
図6〜
図10を用いて説明する。
【0054】
図6は、高周波伝送システムの一例の概略構成を示す機能ブロック図である。
図6に示すように、高周波伝送システム200は、2つの電力伝送装置211および212を有する。電力伝送装置211および212は、それぞれ
図4の第1送受電装置110及び第2送受電装置120に相当する。電力伝送装置211および212は、伝送媒体250により電気的に接続される。高周波伝送システム210において、電力伝送装置211および212の一方は伝送媒体250を介して高周波信号または電力を送信し、他方は伝送媒体250を介して高周波信号または電力を受信する。電力伝送装置211および212は、それぞれ送受電機260および270を備える。
【0055】
送受電機260は両端に、入出力端子261aおよび261bを備え、送受電機270は、両端に入出力端子271aおよび271bを備える。
【0056】
電力伝送装置211は、2個の入出力端子261aおよび261bを備える。入出力端子261aは、金属等の導体または誘電体により構成される端末線路240と電気的に結合(以下、単に「結合」という)され、入出力端子261bは、金属等の導体または誘電体により構成される伝送媒体250と結合される。
【0057】
電力伝送装置211における送受電機260は、送受電機260における送受電動作を制御する制御部を備える。送受電機260は、伝送媒体250に結合した他の電力伝送装置212との間で、伝送媒体250を介した高周波信号または電力の伝送を行う。
【0058】
電力伝送装置212は、2個の入出力端子271aおよび271bを備える。入出力端子271aは、金属等の導体または誘電体により構成される端末線路240と電気的に結合され、入出力端子271bは、金属等の導体または誘電体により構成される伝送媒体250と結合される。
【0059】
電力伝送装置212における送受電機270は、送受電機270における送受電動作を制御する制御部を備える。送受電機270は、伝送媒体250に結合した他の電力伝送装置211との間で、伝送媒体250を介した高周波信号または電力の伝送を行う。なお、ここでは、電力伝送装置211が高周波信号または電力の送電を行い、電力伝送装置212が受電を行うとして説明する。
【0060】
高周波伝送システム210により高周波信号または電力の伝送が行われる際、端末線路240に接続された送受電機260の入出力端子261aから端末線路240に電流が流れる。これと同時に、端末線路240に流れる電流と大きさが同じで向きが逆の電流が、もう1個の入出力端子261bから伝送媒体250に流れる。このようにして、送受電機260は、高周波信号または電力を伝送媒体50に送り出す。
【0061】
一方、送受電機270には、伝送媒体250と結合した入出力端子271bから電流が供給される。これと同時に、送受電機270に供給される電流と大きさが同じで向きが逆の電流が端末線路240からもう1個の入出力端子271aに流れる。このようにして、送受電機270は、高周波信号または電力を伝送媒体250から受け取る。
【0062】
端末線路240は、90度の電気長を有する。90度の電気長とは、入出力端子261aまたは入出力端子271aに接続された端部240aからもう一方の端部240bまでの線路の長さが、伝送する高周波信号の波長の4分の1の長さ、すなわち、入出力端子261aまたは入出力端子271aに接続された端部240aからもう一方の端部240bまでに至るあいだに、伝送する高周波信号の位相が90度進む長さである。
【0063】
したがって、入出力端子261aまたは入出力端子271aに接続された端部240aから端末線路240側に流れる電流が、端末線路240のもう一方の端部240bで反射し、一往復してふたたび入出力端子261aまたは入出力端子271aに接続された端部240aに戻ると、それまでの間に2分の1波長分の距離を経て、位相が180度進む。
【0064】
このとき、
図7に示すように、電気長が90度、すなわち長さが伝送する高周波信号の波長の4分の1で、端部240bが開放された端末線路240に、送受電機260が高周波信号を入力するので、端部240bの電圧振幅が最大で電流振幅がゼロ、端部240aの電圧振幅がゼロで電流振幅が最大の定在波が端末線路240に発生し、端部240aに電流が流れる。すなわち、端末線路240が90度の電気長を有する場合には、端部240aの電圧振幅がゼロである一方、電流が流れるので、
図8に模式的に示すように、端部240aは、仮想的にグランドに短絡されたように動作する。そのため、端末線路240に接続された入出力端子261aおよび入出力端子271aは、仮想的にグランドに接続された短絡端子とみなすことができる。
【0065】
図7に示すように、端末線路240の電気長が90度、すなわち、端末線路240の、送受電機260の入出力端子261aおよび送受電機270の入出力端子271aに接続される端部240aから入力された信号がもう一方の端部240bで反射して一往復してくる反射波の位相が180度のとき、入出力端子261aおよび入出力端子271aに流れる電流が最大になる。そのため、端末線路240の電気長が90度の場合、高周波伝送システム210は最も効果的に動作する。ただし、高周波伝送システム210は、端末線路240の電気長が90度を中心に±45度の範囲内、つまり反射波の位相が90度より大きく270度より小さい範囲内で動作しても、高周波を伝送するための所定の効果を生じる。従って、端末線路240は、90度を中心に±45度の範囲内を含む、ほぼ90度の電気長を有していればよい。
【0066】
図9は、
図8を参照して説明した原理を、
図6の高周波伝送システム210全体に対応付けて説明する図である。
図9に示すように、送受電機260の入出力端子261aが、90度の電気長の端末線路240によって仮想的にグランドに短絡し、送受電機270の入出力端子271aが、もう1個の90度の電気長の端末線路240によって仮想的にグランドに短絡する。また、送受電機260の入出力端子261bと送受電機270の入出力端子271bとが、伝送媒体250と結合することで、伝送媒体250を介して接続される。高周波伝送システム210は、実際には1個の伝送媒体250を介した1個の通信路のみで構成させる開回路でありながら、全体として、仮想的なグランドを介して、あたかも閉回路のように動作することによって、送受電機260から送受電機270へ高周波信号または電力を安定的に伝送することができる。
【0067】
このように、送受電機260に接続された端末回路、送受電機260、送受電機270、および送受電機270に接続された端末回路を備えた高周波伝送システム200によれば、1個の伝送媒体250を介して、1つの通信路のみで構成させる開回路で送受電機260から送受電機270へ高周波信号または電力を伝えることが出来る。
【0068】
これにより、電力伝送装置211は、伝送媒体250と結合したときには高周波信号または電力の伝送を行い、結合していないときには伝送を行わないので、設計が容易で、簡便な構成で外部環境の影響を受けにくく、安定性の高い高周波伝送システムを提供することができる。
【0069】
伝送媒体250は、送受電機260と送受電機270との間で、高周波信号または電力を伝送する媒体となる。伝送媒体250は導体もしくは誘電体、または導体と誘電体との組合せを含んで構成される。伝送媒体250と送受電機260とは、例えば
図10(a)に示すように、伝送媒体250と送受電機260の入出力端子261bの結合は、送受電機260の入出力端子261bに結合電極262を設け、結合電極262と伝送媒体250が近接したときに結合電極262と伝送媒体250の表面が容量結合することによって実現されてもよい。この結合は、送受電機270についても、同様に適用できる。この場合、送受電機260の結合電極262と、送受電機270の結合電極とが、伝送媒体250に近接しないときは、高周波信号または電力の伝送は行われない。一方、送受電機260の結合電極262と、送受電機270の結合電極とが、伝送媒体250に近接したとき、送受電機260から送受電機270に、高周波信号または電力が伝送媒体250経由で伝送される。
【0070】
伝送媒体250が導体または誘電体で、伝送媒体250と送受電機260の入出力端子261bの結合が、送受電機260の入出力端子261bに設けられた結合電極262と伝送媒体250の表面との間の容量結合によって実現される場合、
図10(b)に示すように、結合電極262と送受電機260の入出力端子261bとの間にさらにコイルを設置してもよい。この場合、コイルのインダクタンス(L)と、結合電極262および伝送媒体250の表面の間のキャパシタンス(C)とによって、LC直列共振が生じる。この結合は、送受電機270についても、同様に適用できる。
【0071】
伝送する高周波信号または電力の周波数をfとすると、LC直列共振をさせるときのインダクタンスLとキャパシタンスCとの値は下記の式(5)をみたす。
【0073】
この場合、送受電機260の結合電極262と、送受電機270の結合電極とが伝送媒体250に近接しないときは、高周波信号または電力の伝送は行われない。一方、送受電機260の結合電極262と、送受電機270との結合電極が伝送媒体250に近接したとき、送受電機260から送受電機270に高周波信号または電力が伝送媒体250経由で伝送される。このときLC直列共振をさせる場合には、LC直列共振をもちいずに容量結合のみによって結合する場合に比べて、より強く入出力端子261bおよび入出力端子271bと伝送媒体250とが結合し、高周波信号または電力を効率的に伝送することができる。
【0074】
本実施形態に係る高周波伝送システム100を、伝送媒体を介して伝送を行う高周波伝送システムとして実現する場合、
図6〜10を参照して説明したように、1個の伝送媒体を介した1個の経路のみで構成させる開回路でありながら、全体として、仮想的なグランドを介して、あたかも閉回路のように動作することによって、第1送受電装置110から第2送受電装置120へ高周波信号または電力を安定的に伝送することができる。この高周波伝送システムは、誘電体である人体を伝送媒体として使用する、いわゆる人体通信システムとしても実現できる。
【0075】
図11は、伝送媒体を介して伝送を行う高周波伝送システムとして実現した、本実施形態に係る高周波伝送システムの一例を示す機能ブロック図である。
【0076】
高周波伝送システム300は、第1電力伝送装置310と、第2電力伝送装置320と、伝送媒体330とを備える。第1電力伝送装置310と、第2電力伝送装置320とは、導体または誘電体により構成される伝送媒体330と結合し、伝送媒体330を介して、
図6〜10で説明した原理に基づき、高周波電力の伝送を行う。
【0077】
第1電力伝送装置310は、送受電制御部311と、送受電制御部311に直列に接続されたインダクタ312及び結合電極313と、端末線路とを備える。送受電制御部311は、第1電力伝送装置310における高周波電力の伝送動作を制御する。また、第1電力伝送装置310の端末線路は、例えば90度の電気長を有する誘電体により構成され、高周波伝送システム300における伝送動作に際して、仮想的なグランドとして機能する。
【0078】
第2電力伝送装置320は、送受電制御部321と、送受電制御部321に直列に接続されたインダクタ322及び結合電極323と、昇圧部324と、端末線路とを備える。送受電制御部321は、第2電力伝送装置320における高周波電力の伝送動作を制御する。また、第2電力伝送装置320の端末線路は、例えば90度の電気長を有する誘電体により構成され、高周波伝送システム300における伝送動作に際して、仮想的なグランドとして機能する。また、昇圧部324は、送受電制御部321に接続される。昇圧部324は、高周波電力を出力する送受電制御部311および321のインピーダンスよりも特性インピーダンスが高い、4分の1波長伝送線路と等価な電気特性を有する。
【0079】
第1電力伝送装置310と第2電力伝送装置320とが、それぞれ結合電極313および323を介して伝送媒体330と結合することによって、伝送媒体330を介した高周波電力の伝送が実現される。この場合、
図10(b)で説明した原理により、高周波伝送システム300における効率的な高周波伝送が実現される。
【0080】
図11に示す高周波伝送システム300によれば、
図4を参照して説明した原理により、昇圧部324が、送電側の送受電制御部のインピーダンスよりも特性インピーダンスの高い4分の1波長伝送線路と等価な電気特性を有するので、高周波電力の伝送方向にかかわらず、送電電圧よりも受電電圧を高くすることができる。そのため、高周波伝送システム300によれば、昇圧部324により、送電側からの送電電圧よりも、受電側における受電電圧を高くできるので、受電電圧に対する受電側のダイオードの順方向電圧降下の割合を減らすことができ、システム全体における電力の伝送効率を向上できる。
【0081】
ところで、
図11に示す高周波伝送システム300において、第1電力伝送装置310は昇圧部を備えず、第2電力伝送装置320は昇圧部324を備えるとして説明した。しかしながら、昇圧部を備える電力伝送装置同士では、送電電圧よりも受電電圧を高くするという効果は生じない。
【0082】
図12は、昇圧部を備える電力伝送装置同士による高周波伝送システムの概略構成を示す機能ブロック図である。
図12に示す第1送受電装置110、第2送受電装置120及び昇圧部140は、それぞれ
図4に示す第1送受電装置110、第2送受電装置120及び昇圧部140に対応する。
図12では、
図4と異なり、第1送受電装置110と第2送受電装置120との間に2つの昇圧部140が設けられている。2つの昇圧部140の特性インピーダンスは、等しい(Z3)とする。
【0083】
図12に示す高周波伝送システムにおいて、第1送受電装置110のインピーダンスをZ1とし、出力電圧をV1とする。第1送受電装置110から第2送受電装置120に高周波電力を伝送する場合、第1送受電装置110からの出力電圧V1は、1つ目の昇圧部140により、数式(2)に基づいて算出される、出力電圧V1よりも電圧が高い出力電圧V1´を出力する。しかし、1つ目の昇圧部140からの出力電圧V1´が、2つ目の昇圧部140に入力されると、2つ目の昇圧部からは、数式(2)に基づいて算出される電圧V1が出力される。このように、2つの昇圧部140を介した高周波電力の伝送においては、1つ目の昇圧部140で電力が昇圧されるが、2つ目の昇圧部140では、一度昇圧された電力が降圧される。そのため、上述の例のように2つの昇圧部を介した高周波電力の伝送を行う場合、第1送受電装置110からの送電電圧と、第2送受電装置120への入力電圧とは、等しくなり、送電電圧よりも受電電圧を高くするという効果は生じない。これは、第2送受電装置120から第1送受電装置110に高周波電力を伝送する場合においても同様である。
【0084】
図13は、伝送媒体を介して伝送を行う高周波伝送システムとして実現した、本実施形態に係る高周波伝送システムの他の一例を示す機能ブロック図である。
【0085】
高周波伝送システム400は、第1電力伝送装置410と、第2電力伝送装置420と、伝送媒体430とを備える。第1電力伝送装置410と、第2電力伝送装置420とは、導体または誘電体により構成される伝送媒体430と結合し、伝送媒体430を介して、
図6〜10で説明した原理に基づき、高周波電力の伝送を行う。
【0086】
第1電力伝送装置410は、送受電制御部411と、送受電制御部411に接続された結合電極413と、送受電制御部411に接続された端末線路414と、結合電極413および端末線路414の間に設けられるインダクタ412と、を備える。送受電制御部411は、第1電力伝送装置410における高周波電力の伝送動作を制御する。また、第1電力伝送装置410の端末線路414は、例えば90度の電気長を有する誘電体により構成され、高周波伝送システム400における伝送動作に際して、仮想的なグランドとして機能する。
【0087】
第2電力伝送装置420は、送受電制御部421と、送受電制御部421に接続された結合電極423と、送受電制御部421に接続された端末線路424と、結合電極423および端末線路424の間に設けられるインダクタ422と、を備える。送受電制御部421は、第2電力伝送装置420における高周波電力の伝送動作を制御する。また、第2電力伝送装置420の端末線路424は、例えば90度の電気長を有する誘電体により構成され、高周波伝送システム400における伝送動作に際して、仮想的なグランドとして機能する。
【0088】
第1電力伝送装置410と第2電力伝送装置420とが、それぞれ結合電極413および423を介して伝送媒体430と結合することによって、伝送媒体430を介した高周波電力の伝送が実現される。このとき、結合電極413および423のそれぞれと伝送媒体430との結合において形成されるキャパシタンスと、インダクタ412および422と、端末線路414および424により形成される仮想的なグランドとが、
図14に示す回路を形成する。
図14に示す等価回路は、
図5(e)に示すグランド分離型の集中定数の伝送線路の等価回路と同じであり、従って、高周波電力の伝送に際しては、結合電極413および423と、伝送媒体430と、インダクタ412および422と、端末線路414および424とが、ここまで
図11における昇圧部324と同様に機能する。
【0089】
このように、
図13に示す高周波伝送システム400においては、昇圧部として、「特性インピーダンスが送電側のインピーダンスよりも高く、長さが4分の1波長の伝送線路と等価な回路」を2等分した回路が、それぞれ送電側と受電側の電力伝送装置410および420に実装される。従って、伝送媒体430を介して2個の電力伝送装置410および420が互いに電力伝送を行う場合に、昇圧部が2等分された回路が、伝送媒体430を挟んで、全体として1個の昇圧部として送電側と受電側との間に位置することによって、高周波伝送システムの伝送効率が高まる。
【0090】
また、本実施形態において説明した高周波電力を伝送する高周波伝送システムは、高周波信号を伝送する高周波伝送システムとしても実現できる。高周波信号を伝送する高周波伝送システムにおいて、特性インピーダンスが送電側のインピーダンスよりも高く長さが4分の1波長の伝送線路と等価な回路からなる昇圧部を設けることにより、受電側のA/Dコンバータに入力する信号の電圧振幅を増幅させ、通信システムのS/N比を改善して受電感度を改善できる。
【0091】
また、本実施形態において説明した高周波電力を伝送する高周波伝送システムは、高周波電力を符号化した高周波信号を、伝送媒体と昇圧部を介して伝送し、電力を伝送すると共に通信を行う電力伝送システムとしてもよい。
図15は、上記実施形態で説明した高周波伝送システムを、電力を伝送すると共に通信を行う電力伝送システムとして実現した場合の概略構成を示す機能ブロック図である。
【0092】
図15に示すように、電力伝送システム500は、第1電力伝送装置510と、第2電力伝送装置520と、伝送媒体530とを備える。
【0093】
電力伝送システム500の第1電力伝送装置510は、
図13に示す高周波伝送システム400の第1電力伝送装置410と比較して、送受電制御部411に代えてリーダライタ部511を備える。リーダライタ部511は、制御部515と、送信部516と、受信部517とを備える。リーダライタ部511は、制御部515の制御により、送信部516から第2電力伝送装置520に電力を含む読取信号を送信し、受信部517で第2電力伝送装置520からの信号(反射波)を受信する。
【0094】
電力伝送システム500の第2電力伝送装置520は、
図13に示す高周波伝送システム400の第2電力伝送装置420と比較して、送受電制御部421に代えてRFタグ部521を備える。RFタグ部521は、制御部525と、送信部526と、整流および受信部527と、メモリ528とを備える。RFタグ部521は、制御部525の制御により、整流および受信部517において、第1電力伝送装置510からの読取信号を受信し、メモリ528に格納された情報(例えばID情報を含む)を読み出し、読み出した情報を、負荷変調された反射波として送信部526から第1電力伝送装置510に送信する。
【0095】
電力伝送システム500は、第1電力伝送装置510の結合電極513と第2電力伝送装置520の結合電極523とが伝送媒体530に結合した状態で伝送を行う。このとき、結合電極513および523のそれぞれと伝送媒体530との結合において形成されるキャパシタンスと、インダクタ512および522と、端末線路514および524により形成される仮想的なグランドとが、
図5(e)に示すグランド分離型の集中定数の伝送線路の等価回路を形成し、昇圧部として機能する。そのため、電力伝送システム500において、RFタグ部521は、伝送媒体530と昇圧部とを介して、受信した電力に基づいてメモリ528の情報を読み出して符号化し、符号化した高周波信号を同じ伝送媒体530と昇圧部を介してリーダライタ部511に伝送する。リーダライタ部511は、受信した信号を復号し、外部にデータ転送する。
【0096】
なお、本実施形態に係る伝送システムは、例えば誘電体である人体を通信媒体にして、人体が電極と結合したときに通信が確立する人体通信システムとしても実現できる。
【0097】
以上、実施形態を参照しながら、本発明について詳説した。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、当業者であれば、該実施形態の修正や代用を成し得る。すなわち、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変形または変更が可能である。例えば、各構成部等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0098】
また、本明細書の記載は、本明細書に記載される発明の全てを意味するものではない。換言すれば、本明細書の記載は、この出願では請求されていない発明の存在、すなわち、将来、分割出願されたり、補正により追加されたりする発明の存在を否定するものではない。
【0099】
本明細書においては、例示という形態で本発明を開示したのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。
【解決手段】伝送システム100は、所定の周波数の電力を出力する発振器を含む第1送受電装置110と、特性インピーダンスが第1送受電装置110のインピーダンスよりも高く、電気的な長さが所定の周波数に対応する波長の4分の1の長さである伝送線路と等価な電気特性を有する昇圧部140と、昇圧部140を介して供給される所定の周波数の電力を整流する整流部を含む第2送受電装置120と、を備える。