(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の磁性板を積層した略環状の磁性コアを絶縁性のケース内に収容し、該磁性コアをモールド剤で該ケースに固定する電流センサ構造において、磁性板厚み方向に突出する複数の突起が前記ケースの磁性板厚み方向の壁部に設けられ、該複数の突起はそれぞれ半球状に形成され、該複数の突起の各頂点で前記磁性コアの磁性板厚み方向の面が支持され、該面と該壁部との間に突起高さ寸法の隙間が形成され、
前記モールド剤には、該モールド剤の膨張収縮率が前記ケースの膨張収縮率よりも小さく、前記磁性コアの膨張収縮率が前記モールド剤の膨張収縮率よりも小さい材料が用いられ、
該隙間に前記モールド剤が充填され、該ケースの磁性板厚み直交方向の膨張収縮変形が該隙間内の該モールド剤で吸収されることで、該磁性コアへの応力負荷が防止されたことを特徴とする電流センサ構造。
複数の磁性板を積層した略環状の磁性コアを絶縁性のケース内に収容し、該磁性コアをモールド剤で該ケースに固定する電流センサ構造において、磁性板厚み方向に突出する複数の突起と、該複数の突起の裏側の凹部とが前記複数の磁性板にそれぞれ設けられ、該突起の外周面と該凹部の内周面とが、それぞれ前端に向かうにつれて漸次小径となるテーパ状の傾斜面であり、前端の磁性板の該複数の突起が前記ケースの磁性板厚み方向の壁部に当接し、後端の磁性板を除く他の磁性板の該凹部に後側の磁性板の該突起が係合し、前端の磁性板の厚み方向の前面と該壁部との間に突起高さ寸法の隙間が形成され、
前記モールド剤には、該モールド剤の膨張収縮率が前記ケースの膨張収縮率よりも小さく、前記磁性コアの膨張収縮率が前記モールド剤の膨張収縮率よりも小さい材料が用いられ、
該隙間に前記モールド剤が充填され、該ケースの磁性板厚み直交方向の膨張収縮変形が該隙間内の該モールド剤で吸収されることで、該磁性コアへの応力負荷が防止されたことを特徴とする電流センサ構造。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばハイブリッドカーを含む自動車の電気接続箱等に搭載される電流センサとして種々の構造が提案されている。例えば、特許文献1には、絶縁樹脂製のケースの内側に矩形非連続環状の金属磁性体のコアを収容し、コアの切欠部内にホール素子を配置し、コアの内側に導電金属製のバスバーを貫通させ、コアの外周面とケースの内周面との間に絶縁性のモールド剤を注入して、コアとケースとを固定させ、バスバーに流れる電流で生じる磁界をコアで増幅してホール素子で検出させる電流センサにおいて、ケースの径方向の内周面に設けた位置決め突起をコアの径方向の外周面に当接させて、モールド剤注入時のコアの位置ずれを防止した構造が記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、ホール素子を用い、ワイヤハーネスをコア内に貫通させてケースにバンドで固定させ、ケースのコネクタ部を介して電源供給を受けると共に検出電圧を出力する構造の電流センサが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の電流センサ構造にあっては、例えば特許文献1においてケース内面の突起をコアの径方向外周面に当接させて、モールド剤充填時の圧力によるコアの位置ずれを防いでいるものの、コアの板厚方向の表面をケースの表側の壁部の内面に薄肉のモールド剤で接着固定させるために、ケースが急激な温度・湿度変化による膨張収縮を起こした際に、薄肉のモールド剤を介してコアがケース膨張収縮方向の応力を受けて(ケースの膨張収縮がコアに応力を加えて)、コアの形状が変化することで、出力すなわち電流検出精度が低下し兼ねないという問題を生じた。
【0006】
本発明は、上記した点に鑑み、ケースの膨張収縮に伴ってコアに生じる応力を緩和させ、コアの変形を簡単且つ確実に防止することのできる電流センサ構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る電流センサ構造は、複数の磁性板を積層した略環状の磁性コアを絶縁性のケース内に収容し、該磁性コアをモールド剤で該ケースに固定する電流センサ構造において、磁性板厚み方向に突出する複数の突起が前記ケースの磁性板厚み方向の壁部に設けられ、該複数の突起はそれぞれ半球状に形成され、該複数の突起の各頂点で前記磁性コアの磁性板厚み方向の面が支持され、該面と該壁部との間に突起高さ寸法の隙間が形成され、
前記モールド剤には、該モールド剤の膨張収縮率が前記ケースの膨張収縮率よりも小さく、前記磁性コアの膨張収縮率が前記モールド剤の膨張収縮率よりも小さい材料が用いられ、該隙間に前記モールド剤が充填され、該ケースの磁性板厚み直交方向の膨張収縮変形が該隙間内の該モールド剤で吸収されることで、該磁性コアへの応力負荷が防止されたことを特徴とする。
ことを特徴とする。
【0008】
上記構成により、絶縁樹脂製のケースの壁部が磁性板厚み直交方向すなわち磁性板長手
方向や幅方向に膨張収縮変形した際に、ケースの磁性板厚み方向の壁部と磁性コアの磁性
板厚み方向の面との間にモールド剤が突起の高さと同じ寸法の厚みで形成されているから
、モールド剤がケースの膨張収縮方向に歪んでケースの膨張収縮変形を吸収し、磁性コア
へのケースの膨張収縮変形の伝播を阻止ないし緩和することで、磁性コアの応力負荷が緩
和され、磁性コアの有害な変形が防止される。複数の突起で磁性コアとケースの壁部との
間の隙間が確保され、且つ隙間内のモールド剤の厚みが確保される。
【0013】
請求項2に係る電流センサ構造は、複数の磁性板を積層した略環状の磁性コアを絶縁性のケース内に収容し、該磁性コアをモールド剤で該ケースに固定する電流センサ構造において、磁性板厚み方向に突出する複数の突起と、該複数の突起の裏側の凹部とが前記複数の磁性板にそれぞれ設けられ、該突起の外周面と該凹部の内周面とが、それぞれ前端に向かうにつれて漸次小径となるテーパ状の傾斜面であり、前端の磁性板の該複数の突起が前記ケースの磁性板厚み方向の壁部に当接し、後端の磁性板を除く他の磁性板の該凹部に後側の磁性板の該突起が係合し、前端の磁性板の厚み方向の前面と該壁部との間に突起高さ寸法の隙間が形成され、
前記モールド剤には、該モールド剤の膨張収縮率が前記ケースの膨張収縮率よりも小さく、前記磁性コアの膨張収縮率が前記モールド剤の膨張収縮率よりも小さい材料が用いられ、該隙間に前記モールド剤が充填され、該ケースの磁性板厚み直交方向の膨張収縮変形が該隙間内の該モールド剤で吸収されることで、該磁性コアへの応力負荷が防止されたことを特徴とする。
【0014】
上記構成により、
絶縁樹脂製のケースの壁部が磁性板厚み直交方向すなわち磁性板長手方向や幅方向に膨張収縮変形した際に、ケースの磁性板厚み方向の壁部と磁性コアの磁性板厚み方向の面との間にモールド剤が突起の高さと同じ寸法の厚みで形成されているから、モールド剤がケースの膨張収縮方向に歪んでケースの膨張収縮変形を吸収し、磁性コアへのケースの膨張収縮変形の伝播を阻止ないし緩和することで、磁性コアの応力負荷が緩和され、磁性コアの有害な変形が防止される。複数の突起で磁性コアとケースの壁部との間の隙間が確保され、且つ隙間内のモールド剤の厚みが確保される。
また、各磁性板が突起と凹部との係合で位置決め且つ固定されて剛性を増し、ケースの膨張収縮を吸収した際のモールド剤の変形を各磁性板が磁性コアとして同時に受け止めて磁性コアの変形を阻止する。突起は各磁性板のプレス成形時に同時に加工される。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の発明によれば、突起でケースの磁性板厚み方向の壁部とコアの磁性板厚み方向の面との間の隙間と、隙間内に充填されたモールド剤の厚みを確保することで、ケースの磁性板厚み直交方向の膨張収縮変形をモールド剤で確実に吸収し、ケースの膨張収縮に伴ってコアに生じる応力を緩和させて、コアの変形を確実に防止することができ、これにより、電流検出の精度を高めることができる。また、突起は、絶縁樹脂製のケースに一体樹脂成形で簡単に形成することがで
きるから、ケースとコアとの隙間を保つために新たな部品を必要とせず、構造を簡素化・低コスト化することができる。
【0018】
請求項
2記載の発明によれば、
突起でケースの磁性板厚み方向の壁部とコアの磁性板厚み方向の面との間の隙間と、隙間内に充填されたモールド剤の厚みを確保することで、ケースの磁性板厚み直交方向の膨張収縮変形をモールド剤で確実に吸収し、ケースの膨張収縮に伴ってコアに生じる応力を緩和させて、コアの変形を確実に防止することができ、これにより、電流検出の精度を高めることができる。
また、突起と凹部との係合で各磁性板を相互に固定して、磁性コアの剛性を高めて変形しにくくすることができると共に、突起を磁性板のプレス成形時に同時にプレス加工で形成することで、ケースとコアとの隙間を保つために新たな部品を必要とせず、構造を簡素化・低コスト化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1〜
図3は、本発明に係る電流センサ構造の第一の実施形態を示すものである。
【0021】
この電流センサ構造1は、
図1(a)の如く、絶縁樹脂製のケース2が、前側(表面側)の垂直な壁部3と、上下左右の壁部4〜7で成る周壁8と、前側の壁部3のほぼ中央に貫通して設けられた矩形状の開口9と、開口9から前方に突出形成された略凹字状の電線ガイド壁10と、前側の壁部3の上部に水平に設けられたコネクタ11と、
図1(b)の如く、開口9に連通して前側の壁部3の裏面(内面)3aに突出形成された回路貫通用の枠壁12とを有し、枠壁12の外側で前側の壁部3の裏面3aに、金属磁性体の磁性コア13(
図2)の板厚方向前側の面13a(
図3)を当接させる複数の突起14が設けられたことを特徴としている。
【0022】
本例において、突起14は壁部3の上側の左右に一つずつ、下側の中央に一つ、計三つ設けられている。
図3の如く、本例の突起14は半球状ないし略半球状に形成され、湾曲面14aと湾曲面14aの一部である先端頂部(頂点)14bとを有している。各突起14の大きさや形状は同一である。各突起14はケース2の壁部3に一体に樹脂成形されている。枠壁12の周囲において壁部3は、上下の突起14を有する上下の壁部分3b,3cと、突起14のない左右の壁部分3dとで矩形状に連続している。各壁部分3b〜3dの裏面(内面)3aは垂直な同一面をなしている。開口9から枠壁12内に電線やバスバー等の図示しない回路が貫通配置される。
【0023】
枠壁12の水平な下壁部12aは前側の電線ガイド壁10の下壁部10aに同一面で続いている。枠壁12の外側にケース2の周壁8が枠壁12とほぼ同じ突出幅で形成されている。
図1(a)の左側の垂直な壁部(側壁)6の外面側にロックアーム15、右側と下側の壁部5,7の外面にガイドレール16がそれぞれ設けられ、例えば電気接続箱等の取付固定側のスルーブラケット(図示せず)がこれら(15,16)に挿入係合される。上側の入出力用のコネクタ11はケース2と一体のハウジング(符号11で代用)と、ハウジング内の複数の端子11aとで成り、各端子11aは
図2のホール素子(センサ本体)17の各リード線(図示せず)に接続される。ケース2の周壁8は後部開口18(
図1(b))を有している。
【0024】
図2の如く、ケース2の後部開口18から矩形非連続環状の磁性コア13がケース2内に組み付けられる。「非連続環状」は、周上の一部(上部)にスリット状の切欠部13eを有することによる。切欠部13e内にホール素子17が配置される。
【0025】
コア13の上辺部13bの垂直な前面13a(
図3)がケース2の前壁3の上側の二つの突起14に当接し、コア13の下辺部13cの垂直な前面13a(
図3)がケース2の前壁3の下側の一つの突起14に当接する。その状態でケース2を水平にして後部(上部)開口18からモールド剤19(
図3)がコア13とケース2の前壁3との間の隙間20に充填される。
【0026】
モールド剤19としては、エポキシ樹脂やPBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂やウレタン樹脂等が挙げられる。
モールド剤19の膨張収縮変形量(膨張収縮率)はケース2の膨張収縮変形量(膨張収縮率)よりも小さく、コア13の膨張収縮率はモールド剤19の膨張収縮率よりも小さい。
【0027】
図3(
図2のA−A断面)の如く、ケース2の壁部3の裏面(後面)3aとコア13の前面13aとの間に、突起14の突出高さと同じ寸法の従来よりも広い隙間(ギャップ)20が設けられているので(従来の隙間はほぼゼロである)、この隙間20にモールド剤19が充填され、モールド剤19でケース2の壁部3の裏面3aとコア13の前面13aとが接着固定される。隙間20の大きさは、モールド剤19がケース2の壁部3の上下左右方向の膨張収縮を十分吸収できるだけの寸法であることが好ましい。
【0028】
そして、モールド剤19が固化(硬化)した状態で、ケース2の壁部3の膨張収縮変形が隙間20内のモールド剤19に伝わっても、モールド剤19が厚いので、その膨張収縮を吸収し、コア13への応力負荷を軽減し(緩和させ)、それにより、コア13の変形が防止され、コア13による磁界の増幅作用が精度良く行われ、且つコア13の切欠部13e内のホール素子17との間隔が正確に規定され、ホール素子17の特性のばらつきが防止されて、電流検出が精度良く行われる。
【0029】
また、ケース2に突起14を一体樹脂成形するだけで済み、ケース2とコア13との間の隙間20を保つための新たな部品を必要としないから、コストアップが防止される。また、突起14を三つとして仮想三角形の頂点に配置するようにしたから、各突起14とコア13の面13aとが隙間なく確実に三点接触し、コア13のぐらつきが防止されて、ケース2の壁部3に対するコア13の位置決めが安定して精度良く行われる。
【0030】
図3の如く、コア13は、複数枚の磁性金属板13’を板厚方向に重ねて構成される積層コアであり、磁性金属板13’の板厚方向すなわちコア13の板厚方向の前面13aに突起14の先端14bが当接する。各突起14はコア13の
図2の水平な上辺部13bと下辺部13cとの幅方向中央に位置(当接)する。
図3で符号13fはコア13の内側の矩形状の空間である。
【0031】
図2において上側の二つの突起14をコア13の垂直な左右の側辺部13dの上部に位置(当接)させることも可能である。突起14の断面形状は
図3の略半円状に限らず、略矩形状や略台形状とすることも可能である。コア13を安定支持させる上では点接触の断面略半円状であることが好ましい。
【0032】
図2の如く、コア13の径方向の外周面13gとケース2の周壁8の内面8aとの間、及びコア13の内周面13hとケース2の枠壁12との間には隙間21,22が形成され、これらの隙間21,22にもモールド剤19が充填されて、コア13とケース2とが径方向に接着固定される。
【0033】
コア13は各磁性金属板13’の板厚方向よりも長手方向と幅方向とにケース2の膨張収縮の影響を受けやすいので(ケース2の壁部3に最も近い磁性板13’の表面積は板厚方向よりも長手方向と幅方向に大きいので)、コア13の変形を防止するためには、コア13の径方向ではなく板厚方向に突起14を配置する必要がある。これは以下の実施形態においても同様である。
【0034】
図2においてコア13の後面13j(
図3)の上にもモールド剤19が充填されて、コア13がモールド剤19で完全に封止され、後面13j側のモールド剤19がケース2の後壁(存在しない)の代用となる。コネクタ11の各端子11aの後端はホール素子17のリード線にハンダ接続され、前方からコネクタ11内に入出力用の相手側コネクタ(図示せず)が嵌合接続される。
【0035】
図4〜
図5は、本発明に係る電流センサ構造の第二の実施形態を示すものである。
【0036】
この電流センサ構造31は、上記第一の実施形態の突起14をケース2に設けたのに対して、第二の実施形態では突起
34を磁性コア33に設けたことを特徴としている。その他の構成は第一の実施形態と同様であるので、同じ構成部分には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0037】
図4で、符号32はケース、12は、ケース32の枠壁、17は、コア33の切欠部33e間のホール素子、11aは、コネクタ11の端子、15は、ケース外周の固定用のロック部、16は同じくガイド部をそれぞれ示している。
【0038】
図4の例で、各突起34は
図2の例とは少し異なる位置、すなわち上側の二つの突起34がコア33の上辺部33bではなく左右の側辺部33dの上部に配置されている。下側の一つの突起34の位置はコア33の下辺部33cの中央で同じである。
【0039】
図5の如く(
図3の例でも同様であるが)、コア33は、電磁鋼板、パーマロイ(鉄−ニッケルの合金)等の板状の磁性体(磁性金属板)33’を積層して構成されており、各磁性金属板33’の前面33aに突起34を同じ位置に同じ方向にプレスで打ち出し形成しつつ、突起34の突出反対側(裏側)に突起34と同じ大きさ形状の凹部35を形成する、すなわち磁性金属板33’に絞り加工を施すことで、中間層の各磁性金属板33’の突起34を隣接の各磁性金属板33’の凹部35にそれぞれ隙間なく嵌合させて、各磁性金属板33’を相互に固定させている。
【0040】
そして、後端の磁性金属板33’の凹部35は空のままとし、前端の磁性金属板33’の前面33aの突起34をケース32の前壁3の内面(裏面)3aに当接させて、ケース32の前壁3と前端の磁性金属板33’との間に従来よりも広い隙間20を形成し(従来の隙間はほぼゼロである)、この隙間20内に厚肉に充填されたモールド剤19でケース32の膨張収縮を吸収し、コア33に伝わる膨張収縮応力を軽減させる。これら作用及び効果(説明を省略)は第一の実施形態と同様である。
【0041】
コア33は複数枚の磁性金属板33’で成り、各磁性金属板33’は突起34と凹部35で位置ずれなく係合固定されているので、モールド剤19で膨張収縮を完全に吸収できない場合は、前端の磁性金属板33’のみが膨張収縮力を受けるのではなく、全ての磁性金属板33’が同時に膨張収縮力を受けることで、コア33の膨張収縮応力が極めて小さく抑えられる。
【0042】
本例の突起32は断面台形状に形成され、平坦な先端(前端)面34aと上下左右のテーパ状傾斜面34bとを有する。凹部35も突起34と同様に平坦な底面(符号35で代用)と上下左右のテーパ状傾斜面35bとを有する。突起34の上下左右の傾斜面34bが突起突出方向(隣接)の凹部35の上下左右の傾斜面35bに隙間なく嵌ることで、各磁性金属板33’の固定力が高められる。
【0043】
図5で、符号33fはコア33の内側の矩形状の空間である。なお、コア33の中間層に係合用の凹凸34,35を設けることは(前端の突起34は設けられていない)、特開2005−108976号で公知である。各突起34は各磁性金属板33’にプレス加工で簡単に形成することができ、ケース32とコア33との隙間20を保つために新たな部品を必要としないから安価で済む。
図4の例のケース32は
図1のケース2から突起14を削除した形態のもので、その他のケース構造は同じである。
【0044】
なお、上記各実施形態においては略矩形状のコア13,33を用いたが、例えば円形非連続環状のコア(図示せず)とそれに対応する形状のケース(図示せず)を用いた場合でも、上記各突起14,34でコア13,33とケース2,32との間に隙間20を形成することができる。また、上記各実施形態においては、ケース2又はコア33に突起14,34を設けたが、ケース2とコア33との両方に突起14,34を(例えばケース2に上側の二つの突起14、コア33に下側の一つの突起34というように)場所を変えて重ならないように設けることも可能である。
【0045】
また、本発明は、電流センサ構造1,31としてのみならず電流センサ自体として、あるいは電流センサのコア固定構造や、電流センサの形成方法や電流センサのコア固定方法等としても有効なものである。