(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
透液性の表面シートと、不透液性の裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に介装される吸収体と、を備え、未使用時に三つ折りの状態で保持されるとともに、使用時に前記三つ折りの状態を展開して前記裏面シートの外面を外装体に固着させて使用する吸収性物品において、
前記裏面シートの外面には、長手方向に沿って前記外装体に固着させる粘着部が形成されるとともに、当該粘着部の長手方向一方の端部側を覆う第1の剥離部材と、前記三つ折りの状態時に当該粘着部の長手方向他方の端部側を覆う第2の剥離部材と、が貼着され、
前記第1の剥離部材及び前記第2の剥離部材は、前記粘着部に対して着脱自在に貼着される剥離部を有するとともに、
前記第2の剥離部材の剥離部の前記表面シートに対向する側の面は、当該第2の剥離部材の剥離部を覆うようにして、不織布で形成され、
前記第2の剥離部材の剥離部は、前記不織布の前記表面シートに対向しない側の面の幅方向中央部に形成され、
前記第2の剥離部材は、前記表面シートの前記長手方向一方の端部に固着される固着部と、前記表面シートの前記長手方向一方の端部から外方に延出した延出部と、が設けられ、
前記第2の剥離部材を、前記粘着部から剥離させて当該三つ折りの状態を展開させた後、当該第2の剥離部材の前記延出部を前記表面シート側に折り返して折返し部を形成させることを特徴とする吸収性物品。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の吸収性物品では、粘着部が裏面シートの長手方向全体に亘って形成されていることが多く、装着時に剥離シートを剥離して粘着部を表出させた際に、その表出面積が広いため、粘着部同士が接着してしまい、装着が困難になることがあった。また、吸収性物品を外装体から取り外して廃棄する際に、裏面シートの粘着部近傍がべたついてゴミ袋等に接着してしまい、不都合が生じていた。
【0006】
本発明は、粘着部同士の不要な接着を防止し、装着及び廃棄作業を容易にするとともに、長手方向外側への漏れを防止することが可能な吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、
透液性の表面シートと、不透液性の裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に介装される吸収体と、を備え、未使用時に三つ折りの状態で保持されるとともに、使用時に前記三つ折りの状態を展開して前記裏面シートの外面を外装体に固着させて使用する吸収性物品において、
前記裏面シートの外面には、長手方向に沿って前記外装体に固着させる粘着部が形成されるとともに、当該粘着部の長手方向一方の端部側を覆う第1の剥離部材と、前記三つ折りの状態時に当該粘着部の長手方向他方の端部側を覆う第2の剥離部材と、が貼着され、
前記第1の剥離部材及び前記第2の剥離部材は、前記粘着部に対して着脱自在に貼着される剥離部を有するとともに、
前記第2の剥離部材の剥離部の
前記表面シートに対向する側の面は、当該第2の剥離部材の剥離部を覆うようにして、不織布で形成され、
前記第2の剥離部材の剥離部は、前記不織布の前記表面シートに対向しない側の面の幅方向中央部に形成され、
前記第2の剥離部材は、前記表面シートの前記長手方向一方の端部に固着される固着部と、前記表面シートの前記長手方向一方の端部から外方に延出した延出部と、が設けられ、
前記第2の剥離部材を、前記粘着部から剥離させて当該三つ折りの状態を展開させた後、当該第2の剥離部材の前記延出部を前記表面シート側に折り返して折返し部を形成させることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の吸収性物品において、
前記延出部の前記不織布の前記表面シートに対向しない側の面には、幅方向両端部に前記
第2の剥離
部材を挟む形で、粘着剤
からなる第1の固定部が設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の吸収性物品において、
前記固着部の前記不織布の前記表面シートに対向しない側の面には、幅方向両端部に前記
第2の剥離
部材を挟む形で、粘着剤
からなる第2の固定部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、2枚の剥離部材を剥離する際に1枚ずつ剥離することができ、粘着部が一度に表出する面積を狭くすることができることとなって、粘着部同士が接着し合う状況を防止することができ、装着作業を容易にすることができる。
また、第2の剥離部材により折返し部を形成することができるので、着用者の糞尿等の排泄物が長手方向一方の端部側に漏れるのを防止することができる。
さらに、外装体から吸収性物品全体を取り外した際に、粘着部が表出している部分を覆うように剥離部材を巻き付けることができることとなって、粘着部がゴミ袋等に接着する状況を防止することができ、廃棄作業を容易にすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
吸収性物品は、例えば、夜用又は長時間用の尿取りパッドであり、おむつやおむつカバー、パンツなどの人体に装着される外装体(図示省略)と併せて着脱・交換自在に使用される。以下の説明においては、吸収性物品として、インナーパッド1を例示して説明する。
なお、以下の説明では、
図4に示す面を表面、表面の反対側の面(
図5に示す面)を裏面とする。また、インナーパッド1の展開時(
図4等参照)の長手方向をX方向、X方向と直交する一の方向(インナーパッド1の展開時の幅方向)をY方向とする。
【0014】
インナーパッド1は、未使用時において、
図1に示すように、三つ折の状態で保持され、例えば、この三つ折の状態のインナーパッド1を所定数包装袋に封入したものが、小売店等で陳列されている。
インナーパッド1の使用時には、まず、
図2に示すように、インナーパッド1の裏面シート12に貼着された不織布40b及び不織布40bと一体の剥離シート30bからなる第2の剥離部材を、インナーパッド1のX方向内側から外側(
図1の矢印Aの方向)に向けて剥離する。
次に、
図3に示すように、三つ折に折畳まれたインナーパッド1のX方向の第2の剥離部材が貼着されていた側の端部を、第2の剥離部材を剥離した方向と反対の方向(
図2の矢印Bの方向)に展開する。
次に、
図4に示すように、インナーパッド1の二つに折畳まれた部分のX方向略中央部側の端部(腹側部14)を、X方向外側(
図3の矢印Cの方向)に向けて展開する。
これにより、インナーパッド1が完全に展開されるようになっている。
【0015】
インナーパッド1は、
図4〜7に示すように、着用者の身体との接触面側(表面側)に設けられる透液性の不織布からなる表面シート11と、装着時に身体との接触面と反対側の面側(裏面側)に設けられる不透液性の裏面シート12と、表面シート11と裏面シート12との間に介装される吸収体13と、を有する本体部10と、表面シート11側の吸収体13のY方向両側部に、X方向に沿って備えられる一対のギャザーシート20、20と、を備えて構成される。
【0016】
また、インナーパッド1は、人体の股部を腹側から背側にかけて覆うように、X方向の一方の端部に腹側部14が形成され、他方の端部に背側部15が形成されている。さらに、腹側部14と背側部15との間に、着用者の股間部を被覆する股下部16が形成され、股下部16のY方向の両縁部には、装着時に着用者の脚周りを囲む一対の脚周り部17、17が形成されている。
【0017】
表面シート11は、尿などの体液を速やかに透過させる透液性を有する素材から形成され、体液を受けて、吸収体13まで輸送する機能を有する。
表面シート11は、不織布が好適に用いられ、具体的には、例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を繊維素材として、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって加工したものが用いられる。
なお、表面シート11に多数の透孔を形成した場合には、体液がより速やかに吸収されるようになり、ドライタッチ性に優れたものとなる。
【0018】
表面シート11の外面側の背側部15側の端部には、
図4及び
図6に示すように、第2の剥離部材として、不織布40bと、不織布40bの表面側に不織布40bと一体となるように形成された剥離シート30b(剥離部)と、が貼着されている。即ち、剥離シート30bの外面(表面シート11と接着される側の面)は、剥離シート30bを覆うようにして、X方向の長さが剥離シート30bと略同一の不織布40bで形成されている。この剥離シート30b(及び不織布40b)は、
図1に示すように、インナーパッド1の未使用状態(三つ折の状態)において、粘着部121の粘着性を保護するため、粘着部121を覆うようにして、X方向に沿って貼着されるようになっている。そして、剥離シート30bが剥離される際に、不織布40bも一体となって剥離されるようになっている。
また、第2の剥離部材は、表面シート11のX方向一方の端部(背側部15)に固着される固着部51と、表面シート11のX方向一方の端部(背側部15)から外方に延出した延出部52と、が設けられている。なお、第2の剥離部材(剥離シート30b及び不織布40b)の詳細な構成については、後述する。
【0019】
裏面シート12は、不透液性を有する素材から形成され、体液等のインナーパッド1外部への染み出し、漏れ出しを防ぐ機能を有する。
裏面シート12は、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどの少なくとも遮水性を有するシート材であって、ムレ防止の観点から透湿性を有するシート材であることが好ましい。この遮水性と透湿性とを具備するシート材としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シート材が好適に用いられる。その他にも、不透液性を有するフィルム層と、通気性を有する不織布層と、からなるラミ不織布を用いても良い。ラミ不織布とは、例えばポリエチレンシート等に不織布を積層した、ラミネート不織布と呼ばれる不織布のことであり、不透液性と通気性を併せ持つ不織布である。
【0020】
裏面シート12の外面側のY方向の略中央部には、
図5及び
図6に示すように、X方向に沿って薄い層状の粘着部121が形成されており、インナーパッド1はこの粘着部121を介して外装体(図示省略)に固着されるようになっている。また、裏面シート12の外面側の背側部15側には、粘着部121の粘着性を保護するため、粘着部121のX方向一方の端部側(背側部15側)を覆うようにして、X方向に沿って第1の剥離部材としての剥離シート30a(剥離部)が貼着されている。また、インナーパッド1の三つ折りの状態時には、
図1に示すように、粘着部121のX方向他方の端部側(腹側部14側)を覆うようにして、X方向に沿って第2の剥離部材としての剥離シート30b(剥離部)及び不織布40bが貼着されている。
即ち、本実施形態では、剥離シート30aは単独で第1の剥離部材として機能し、剥離シート30bは不織布40bと一体となって第2の剥離部材として機能する。
なお、本実施形態では、
図1に示すように、2枚の剥離シート30a、30bが互いに重なることなく貼着されているが、いずれか一方の剥離シートを他方の剥離シートの上面にオーバーラップさせて貼着させるようにしてもよい。そうすることで、使用者が、剥離シートを容易に剥離することが可能となる。
【0021】
粘着部121は、粘着剤が塗布されて形成されており、粘着剤として、例えば、一般的に耐久性において優れた性質をもっているポリアクリル酸エステルを主体としたアクリル系接着剤や、天然ゴム、合成ゴムの弾力性成分と粘着付与剤が主成分で、これに可塑剤、老化防止剤などが配合されているゴム系接着剤などを使用することができ、それ以外にホットメルト接着剤などの既知の接着剤も使用可能である。
【0022】
剥離シート30aは、例えば、剥離紙や剥離フィルムといった防水性、撥水性を有する素材で形成され、粘着部121に対して着脱自在に貼着される。即ち、剥離シート30aを剥離すると、裏面シート12の外面側に形成された粘着部121が表出するようになっている。
剥離シート30bは、例えば、剥離シート30aと同様の素材で形成され、三つ折の状態時に、粘着部121に対して着脱自在に貼着される(
図1、2参照)。なお、剥離シート30bは、インナーパッド1の展開時に剥離されるため、インナーパッド1が完全に展開された状態においては、
図5に示すように、腹側部14側の粘着部121が表出した状態となっている。
ここで、粘着部121に対して1枚の剥離シートを貼着するのではなく、
図1に示すように、2枚の剥離シート30a、30bを貼着するようにしたのは、2枚の剥離シートを1枚ずつ剥離できるようにして、粘着部121が一度に表出する面積を狭くすることで、粘着部121同士が接着し合う状況を防止するためである。
【0023】
また、第1の剥離部材及び第2の剥離部材のうち、背側部15側の粘着部121を覆う第1の剥離部材(剥離シート30a)は、X方向の両端部(インナーパッド1の背側部15側の端部及びインナーパッド1の略中央部側の端部)がいずれも粘着部121に対して剥離可能に構成されているため、いずれの端部からでも剥離することが可能であり、且つインナーパッド1から完全に分離することが可能である。一方、腹側部14側の粘着部121を覆う第2の剥離部材(剥離シート30b及び不織布40b)は、
図1〜4に示すように、延出部52が粘着部121に対して剥離可能に構成されるとともに、固着部51が表面シート11のX方向一方の端部(背側部15)に固着されている。即ち、第2の剥離部材は、インナーパッド1から完全には分離されない構造となっている。
【0024】
不織布40bは、例えば、表面シート11と同様の不織布であり、具体的には、例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を繊維素材として、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって加工したものが用いられる。
また、
図1、4に示すように、延出部52の不織布40bの内面には、Y方向両端部に剥離シート30bを挟む形で粘着剤が塗布された第1の固定部41b、41bが設けられている。粘着剤としては、粘着部121と同様に、例えば、一般的に耐久性において優れた性質をもっているポリアクリル酸エステルを主体としたアクリル系接着剤や、天然ゴム、合成ゴムの弾力性成分と粘着付与剤が主成分で、これに可塑剤、老化防止剤などが配合されているゴム系接着剤などを使用することができ、それ以外にホットメルト接着剤などの既知の接着剤も使用可能である。なお、この第1の固定部41b、41bには、外部との粘着を防止するため、第1の固定部41b、41bを覆うようにして、剥離シートを貼着させるようにしてもよい。
【0025】
吸収体13は、インナーパッド1の使用時に体液としての尿等の水様成分を吸収する役割を果たすものであり、例えば、綿やパルプなどの吸収性素材、高吸水性樹脂(SAP;Super Absorbent Polymer)、繊維やフィルムなどのシート状基材等を組み合わせて形成されている。高吸水性樹脂としては、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸およびその塩類、アクリル酸塩重合体架橋物、澱粉−アクリル酸グラフト共重合体、澱粉−アクリロニトリルグラフト共重合体の加水分解物、ポリオキシエチレン架橋物、カルボキシメチルセルロース架橋物、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド等の水膨欄性ポリマーを部分架橋したもの、あるいはイソブチレンとマレイン酸との共重合体等が好適に用いられる。
【0026】
吸収体13は、腹側部14から股下部16を通り背側部15に亘る位置に配置され、吸収体13のX方向中央部におけるY方向両端部には、円弧状の切り欠き18、18が形成されている。つまり、吸収体13の略中央部である股下部16に相当する部分は、吸収体13の腹側部14や背側部15に相当する部分より、幅狭に形成されている。
このように、吸収体13の股下部16に相当する部分に、円弧状の切り欠き18、18を形成することにより、本体部10を着用者に装着した際に、着用者の股下(そけい部)に対して吸収体13がフィットし易くなっている。
【0027】
ギャザーシート20、20は、表面シート11側において、吸収体13のX方向に沿った両側縁部に、腹側部14から背側部15に亘ってそれぞれ備えられている。
ギャザーシート20、20のY方向外側の部分は、例えば、
図7に示すように、裏面シート12の内側に折り返された部分における表面シート11側とは反対側の面に貼り付けられて固定された固定端20bとなっている。また、ギャザーシート20、20のY方向内側の部分は自由端20aとなっており、X方向に沿って複数の糸ゴム等の弾性部材21…が略平行に備えられて、断面略「く」字状及び逆「く」字状に立ち上がって着用者の体型に合わせて伸縮自在に変形可能な立体ギャザーが形成されている。
【0028】
ギャザーシート20は、例えば、液が透過しにくい不織布、液が透過しにくいプラスチックシート、或いはこれらの複合体等により形成されている。液が透過しにくい不織布としては、例えば、スパンボンド不織布、スパンボンド不織布−メルトブローン不織布−スパンボンド不織布、スパンボンド不織布−メルトブローン不織布−メルトブローン不織布−スパンボンド不織布、ヒートロール不織布、不透液性不織布、エアースルー不織布等が挙げられる。
【0029】
このように、本体部10のY方向の縁部において、表面シート11側の面にX方向に沿って立設するギャザーシート20、20が設けられているので、排出された体液のうち、吸収体13で吸収しきれず、本体部10のY方向の縁部側へ流出した体液が一度止められ、X方向にその流れを拡散するなどして吸収体13に吸収させることにより、体液の横漏れを防ぐ効果が期待できる。
【0030】
次に、本実施形態に係るインナーパッド1の使用方法について説明する。
未使用状態のインナーパッド1においては、
図1に示すように、裏面シート12側に形成された粘着部121の粘着性を保護するために第1の剥離部材(剥離シート30a)及び第2の剥離部材(剥離シート30b及び不織布40b)が貼着されている。
また、インナーパッド1は、未使用時において、三つ折の状態で保持され、使用時に
図1〜4に示した手順で展開される。
【0031】
インナーパッド1が展開されると、
図5に示すように、腹側部14側の粘着部121が表出した状態となっているので、この表出した腹側部14側の粘着部121を外装体の所定の位置に固着させる。
次に、腹側部14側の粘着部121を覆っていた第2の剥離部材の延出部52を、
図8に示すように、表面シート11側に折り返し、延出部52の不織布40bに設けられた第1の固定部41b、41bをギャザーシート20、20の自由端20aに接着固定させる。これにより、折返し部P1が形成され、折返し部P1、第1の固定部41b、41b、及び表面シート11により、着用者の糞尿等の排泄物が背側部15側に漏れるのを防止するポケットが形成される。
次に、背側部15側の粘着部121を覆う第1の剥離部材を剥離し、背側部15側の粘着部121を表出させる。そして、表出した背側部15側の粘着部121を外装体の所定の位置に固着させる。このとき、第1の剥離部材は、インナーパッド1から完全に分離して廃棄する。
【0032】
このインナーパッド1を使用後に廃棄する際、まず、第1の固定部41b、41bの接着状態を解放する。そして、外装体と粘着部121との固着状態を解放し、外装体からインナーパッド1全体を取り外す。
次に、取り外したインナーパッド1を、粘着部121が形成された裏面シート12側を外側にしてロール状に巻き、粘着部121が表出している部分を覆うように第2の剥離部材を巻き付けた後、廃棄する。
【0033】
以上のように、本実施形態に係るインナーパッド1によれば、裏面シート12の外面には、X方向に沿って外装体に固着させる粘着部121が形成されるとともに、当該粘着部121のX方向一方の端部側(背側部15側)を覆う第1の剥離部材(剥離シート30a)と、三つ折りの状態時に当該粘着部121のX方向他方の端部側(腹側部14側)を覆う第2の剥離部材(剥離シート30b及び不織布40b)と、が貼着され、第1の剥離部材及び第2の剥離部材は、粘着部121に対して着脱自在に貼着される剥離シート30a及び剥離シート30bを有するので、2枚の剥離部材を剥離する際に1枚ずつ剥離することができ、粘着部121が一度に表出する面積を狭くすることができることとなって、粘着部121同士が接着し合う状況を防止することができ、装着作業を容易にすることができる。
【0034】
また、第2の剥離部材の剥離シート30bの外面は、当該剥離シート30bを覆うようにして、不織布40bで形成され、第2の剥離部材は、表面シート11のX方向一方の端部(背側部15)に固着される固着部51と、表面シート11のX方向一方の端部(背側部15)から外方に延出した延出部52と、が設けられ、第2の剥離部材を、粘着部121から剥離させて当該三つ折りの状態を展開させた後、当該第2の剥離部材を表面シート11側に折り返して折返し部P1を形成させるので、着用者の糞尿等の排泄物がX方向一方の端部側(背側部15側)に漏れるのを防止することができる。
特に、本実施形態に係るインナーパッド1によれば、延出部52の不織布40bの内面には、Y方向両端部に第1の固定部41b、41bが設けられているので、第2の剥離部材を表面シート11側に折り返した際に、第1の固定部41b、41bをギャザーシート20、20の自由端20aに接着固定させることで折返し部P1を形成することができ、折返し部P1、固定部材41b、41b、及び表面シート11により、排泄物が背側部15側に漏れるのを防止するポケットが形成されることとなって、より確実に排泄物の漏れを防止することができる。
【0035】
さらに、第2の剥離部材は、表面シート11のX方向一方の端部(背側部15)に固着される固着部51が設けられているので、外装体からインナーパッド1全体を取り外した際に、粘着部121が表出している部分を覆うように剥離部材を巻き付けることができることとなって、粘着部121がゴミ袋等に接着する状況を防止することができ、廃棄作業を容易にすることができる。
【0036】
以上、本発明に係る実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0037】
<変形例>
例えば、
図9に示す例では、延出部52の不織布40bの内面(粘着部121と接着される側の面)のY方向両端部に剥離シート30bを挟む形で第1の固定部41b、41bが設けられているだけでなく、固着部51の不織布40bの内面のY方向両端部に剥離シート30bを挟む形で第2の固定部42b、42bが設けられている。
第2の固定部42b、42bは、例えば、第1の固定部41b、41bと同様に粘着剤が塗布されることにより形成される。粘着剤としては、例えば、一般的に耐久性において優れた性質をもっているポリアクリル酸エステルを主体としたアクリル系接着剤や、天然ゴム、合成ゴムの弾力性成分と粘着付与剤が主成分で、これに可塑剤、老化防止剤などが配合されているゴム系接着剤などを使用することができ、それ以外にホットメルト接着剤などの既知の接着剤も使用可能である。なお、この第2の固定部42b、42bには、外部との粘着を防止するため、第2の固定部42b、42bを覆うようにして、剥離シートを貼着させるようにしてもよい。
【0038】
次に、変形例に係るインナーパッド1の使用方法について説明する。
なお、使用時にインナーパッド1を三つ折の状態から展開する手順は、実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0039】
インナーパッド1が展開されると、
図5に示すように、腹側部14側の粘着部121が表出した状態となっているので、この表出した腹側部14側の粘着部121を外装体の所定の位置に固着させる。
次に、腹側部14側の粘着部121を覆っていた第2の剥離部材(剥離シート30b及び不織布40b)を、
図10に示すように、延出部52上で不織布40bの内面側(粘着部121と接着される側)に向けて折り返し、延出部52の不織布40bに設けられた第1の固定部41b、41bを対向する面に接着固定させる。
次に、延出部52上で折り返した第2の剥離部材を、
図11に示すように、表面シート11側に折り返し、固着部51の不織布40bに設けられた第2の固定部42b、42bと接着固定させる。これにより、折返し部P2が形成され、折返し部P2、第1の固定部41b、41b、第2の固定部42b、42b、及び表面シート11により、着用者の糞尿等の排泄物が背側部15側に漏れるのを防止するポケットが形成される。
次に、背側部15側の粘着部121を覆う第1の剥離部材(剥離シート30a)を剥離し、背側部15側の粘着部121を表出させる。そして、表出した背側部15側の粘着部121を外装体の所定の位置に固着させる。このとき、第1の剥離部材は、インナーパッド1から完全に分離して廃棄する。
【0040】
このインナーパッド1を使用後に廃棄する際、まず、第2の固定部42b、42bの接着状態を解放し、次に、第1の固定部41b、41bの接着状態を解放する。そして、外装体と粘着部121との固着状態を解放し、外装体からインナーパッド1全体を取り外す。
次に、取り外したインナーパッド1を、粘着部121が形成された裏面シート12側を外側にしてロール状に巻き、粘着部121が表出している部分を覆うように第2の剥離部材を巻き付けた後、廃棄する。
【0041】
以上のように、変形例に係るインナーパッド1によれば、固着部51の不織布40bの内面には、Y方向両端部に第2の固定部42b、42bが設けられているので、第2の剥離部材(剥離シート30b及び不織布40b)を延出部52上で不織布40bの内面側に向けて折り返した際に第1の固定部41b、41bを対向する面と接着固定し、当該延出部52上で折り返された第2の剥離部材を表面シート11側に折り返した際に第2の固定部42b、42bと接着固定させることで折返し部P2を形成することができ、折返し部P2、第1の固定部41b、41b、第2の固定部42b、42b、及び表面シート11により、排泄物が背側部15側に漏れるのを防止するポケットが形成されることとなって、より確実に排泄物の漏れを防止することができる。また、折返し部P2のX方向の長さを短くすることができるので、着用者の肌に対する刺激を軽減することができる。
【0042】
なお、上記変形例では、延出部52の不織布40bの内面のY方向両端部に第1の固定部41b、41bを設けるとともに、固着部51の不織布40bの内面のY方向両端部に第2の固定部42b、42bを設けるようにしているが、これに限定されるものではない。例えば、第1の固定部41b、41bをX方向に沿ってY方向両端部全体に形成させるようにしてもよい。即ち、第1の固定部41b、41bと第2の固定部42b、42bを、Y方向両端部全体に形成させた一つの固定部で代用するようにしてもよい。
また、延出部52に第1の固定部41b、41bを設けないようにして、固着部51に第2の固定部42b、42bのみを設けるようにしてもよい。
【0043】
また、上記実施形態では、粘着部121の粘着性を保護する部材として剥離シート30bが用いられているが、これに限定されるものではない。例えば、剥離シート30bの代わりに、不織布40a、40bの内面側に離型剤を塗布するようにしてもよい。離型剤としては、例えば、シリコーン系、フッ素系、イソシアネート系等のものが好ましく用いられる。特に、シリコーン樹脂系のものを不織布40bに塗布して加熱乾燥するか、スプレーで吹きつけ薄い被膜を形成させる等して用いるのが好ましい。剥離シート30bの代わりに離型剤を塗布することで、剥離シート30bのような部材を用意する必要がなくなるので、コストやゴミの量を減らすことができる。
【0044】
また、上記実施形態では、腹側部14と背側部15を略同一の構造となるように形成しているが、これに限定されるものではなく、外装体の型に合わせて腹側部14と背側部15の構造を異ならせるようにしてもよい。
【0045】
また、上記実施形態では、折返し部P1を背側部15側に形成させるようにしているが、これに限定されるものではなく、折返し部P1を腹側部14側に形成させるようにしてもよい。なお、変形例の折返し部P2も同様に、腹側部14側に形成させるようにしてもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、延出部52の不織布40bの内面に第1の固定部41b、41bを設けるようにしているが、これに限定されるものではない。例えば、固着部51の不織布40bの内面に第1の固定部41b、41bを設けるようにしてもよい。
また、必ずしも第1の固定部41b、41bを設ける必要はなく、この場合は、形成された折返し部P1を、ギャザーシート20、20と表面シート11の接合部分に挟み込むことで、折返し部P1、ギャザーシート20、20、及び表面シート11により、着用者の糞尿等の排泄物が背側部15側に漏れるのを防止するポケットを形成するようにすればよい。
【0047】
また、上記実施形態では、吸収性物品としてインナーパッド1を例示して説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、生理用ナプキン等に適用してもよい。