(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の構成では、穀粒排出箇所の選択の自由度を高めるために、穀粒排出装置に、縦オーガで揚送した穀粒を横方向に搬送する横オーガ、横オーガによる穀粒の搬送方向の変更を可能にする旋回モータ、及び、横オーガの排出口から排出する穀粒の排出高さの変更を可能にする油圧シリンダ、などを備えることから、穀粒排出装置が部品点数の多い構造が複雑で大掛かりなものとなっている。そのため、穀粒排出装置を装備する上において手間やコストがかかる上に穀粒排出装置の重量が嵩むようになっていた。
【0005】
しかも、穀粒の排出を行わない作業走行時や移動走行時などにおいては、縦オーガの上端部から延出する横オーガを予め設定した格納位置にて固定保持する必要があり、そのためには、横オーガの延出端側を格納位置にて支持する支持部材を機体に立設装備する必要があることから、穀粒排出装置を装備する上において更に手間やコストがかかるようになっていた。
【0006】
本発明の目的は、穀粒排出装置の構成の簡素化などを図りながら、穀粒タンクに貯留した穀粒の穀粒排出装置による機外への排出を良好に行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に係る発明は、穀粒タンクに貯留した穀粒を機外に排出する穀粒排出装置を備えたコンバインの穀粒排出構造において、
前記穀粒排出装置
は、前記穀粒タンク内の穀粒を揚送して上部の排出口から排出する揚送コンベヤと、前記排出口から排出された穀粒を機体外方に流下案内する排出シュートと
、前記排出口から前記排出シュートに流動する穀粒の前記排出シュートの上部からの飛び出しを防止するカバー体とを備え、
前記揚送コンベヤは、円筒状のコンベヤケースと、前記コンベヤケースの上端に形成された開口を閉塞する蓋体と、前記コンベヤケースの内部に回転可能に備えられた揚送スクリュとを有するスクリュ搬送式に構成され、
前記蓋体における前記排出口側の端部が前記コンベヤケースの筒状部よりも機体外側に位置するように、前記蓋体が前記排出口側に延長形成され、
前記コンベヤケースに、前記筒状部と前記蓋体の排出口側端部とにわたって、前記排出口を形成する枠部材が備えられ、
前記排出シュートを支持する支持部材が前記枠部材における前記コンベヤケース側の下部に配備され、かつ、前記カバー体が前記枠部材における前記排出口側の上部に連結され、
前記蓋体は、前記コンベヤケースにおける前記筒状部側部分に着脱可能に連結される着脱部と、前記コンベヤケースにおける前記枠部材側部分に着脱不能に固定される固定部とに、前記筒状部よりも機体外側で、かつ、前記蓋体における前記排出口側の端部よりも機体側の位置にて分割され、
前記揚送スクリュ
は、前記コンベヤケースから前記着脱部が取り外された状態において、前記コンベヤケースに対して前記開口から抜き差し可能に構成
されているコンバインの穀粒排出構造。
【0008】
上記の発明では、穀粒タンク内の穀粒を機外の所定位置に排出する場合には、穀粒タンク内の穀粒を揚送コンベヤによって揚送することにより、その揚送した穀粒を上部の排出口から排出することができ、排出した穀粒を排出シュートによって機体外方の所定の排出箇所に流下案内することができる。つまり、揚送コンベヤからの穀粒を横方向に搬送する横オーガ、横オーガを旋回駆動する旋回モータ、及び、横オーガを起伏方向に揺動駆動する油圧シリンダ、などを備えることなく、穀粒タンク内の穀粒を機外の所定位置に排出することができる。
又、横オーガを採用した場合に装備する必要があった格納位置にて横オーガを支持するための支持構造を不要にすることができる。
【0009】
従って、穀粒排出装置の構成の簡素化、軽量化、及びコストの削減などを図りながら、穀粒タンクに貯留した穀粒の穀粒排出装置による機外の所定位置への排出を良好に行うことができる。
【0010】
本発明の請求項2に係る発明は、上記請求項1に記載の発明において、
前記枠部材は、機体外側ほど下側に位置する外下がり姿勢で前記コンベヤケースに装備されている。
【0011】
本発明の請求項3に係る発明は、上記請求項1又は2に記載の発明において、
前記蓋体は、前記筒状部における前記排出口側の最外端にて前記着脱部と前記固定部とに分割されている。
【0012】
本発明の請求項4に係る発明は、上記請求項1〜3のいずれか一つに記載の発明において、
前記着脱部は、前記コンベヤケースの上端に備えたフランジ部に上下向きの連結具を介して着脱可能に連結される外縁部分と、前記固定部に備えた立ち上がり部分に横向きの連結具を介して着脱可能に連結される立ち上がり部分とを備えている。
【0013】
本発明の請求項5に係る発明は、上記請求項1〜4のいずれか一つに記載の発明において、
前記コンベヤケースは、起立姿勢で傾倒不能に備えられ、
前記揚送スクリュは、起立姿勢の前記コンベヤケースに対して前記開口から抜き差し可能に構成されている。
【0014】
本発明の
請求項6に係る発明は、上記
請求項1〜5のいずれか一つに記載の発明において、
前記揚送コンベヤを、その上端が前記穀粒タンクの上端よりも上側に位置するように構成した。
【0015】
上記の発明では、コンベヤケースに対して揚送スクリュを抜き差しする際に揚送スクリュが穀粒タンクの上部に不測に接触する虞を招き難くすることができる。
【0016】
従って、揚送スクリュが穀粒タンクの上部に不測に接触することに起因した損傷の発生を抑制することができる。
【0017】
本発明の
請求項7に係る発明は、上記
請求項1〜6のいずれか一つに記載の発明において、
前記揚送コンベヤの上部に、前記揚送スクリュと一体回転することで前記揚送コンベヤの上部に揚送した穀粒を前記排出口から押し出す押出具を装備した。
【0018】
上記の発明では、揚送コンベヤで揚送した穀粒を押出具によって排出口から排出シュートに向けて積極的に押し出すことができる。これにより、水分量が多いことなどに起因して流動性が低下した穀粒が揚送コンベヤの排出口付近で滞留する不都合を生じ難くすることができる。
従って、穀粒排出装置による穀粒排出効率の向上を図ることができる。
【0020】
本発明の
請求項8に係る発明は、上記
請求項1〜7のいずれか一つに記載の発明において、
前記排出シュートを底板と前記底板から立ち上がる一対の側板とから構成した。
【0021】
上記の発明では、排出シュートに天板を備えずにその部分を開放させていることから、排出シュートにおいて穀粒の詰まりが生じた場合には、その詰まりを目視で早期に発見することが可能であり、又、詰まった穀粒を排出シュートの開放部分から差し入れた手で排出シュートの下方に向けて容易に掻き流すことができる。
【0022】
従って、排出シュートでの穀粒の詰まりに対する対処を簡単かつ迅速に行うことができ、これにより、排出シュートに天板を備える場合に比較して穀粒排出作業での作業効率の向上を図ることができる。又、排出シュートでの穀粒の詰まりが揚送コンベヤに及ぶことに起因した穀粒の損傷や詰まり除去作業に手間取る不都合の発生を防止することができる。
【0026】
本発明の
請求項9に係る発明は、上記
請求項1〜8のいずれか一つに記載の発明において、
前記排出シュートを、その穀粒案内方向上手側端部を支持する横向きの支軸を支点に上下揺動可能に構成し、
前記穀粒排出装置に前記支軸を支点にして前記排出シュートの傾斜角を変更する傾斜角変更機構を備え、
前記傾斜角変更機構により、前記排出シュートの傾斜角を、前記排出シュートの遊端を前記揚送コンベヤに近づけた所定の最大角度と、前記排出シュートの遊端を前記揚送コンベヤから遠ざけた所定の最小角度との間で変更可能に構成した。
【0027】
上記の発明では、傾斜角変更機構により排出シュートの傾斜角を所定の最大角度と所定の最小角度との間で変更することで、穀粒の排出箇所を変更することができる。又、排出シュートで流下案内される穀粒の流下速度を調節することができる。
【0028】
これにより、穀粒排出装置による穀粒の排出箇所を作業状況に応じて適切に変更することができる。又、穀粒の水分量などによって変化する流動性に応じて穀粒の流下速度を適切な速度に調節することができ、その結果、流動性の低下に起因した排出シュートでの穀粒詰まりの発生などを未然に回避し易くなる。
【0029】
従って、穀粒排出装置による穀粒の機外排出を、穀粒の排出箇所を変更することが可能な状態でより良好に行うことができる。
【0030】
本発明の
請求項10に係る発明は、上記
請求項9に記載の発明において、
前記排出シュートの傾斜角を無段階に変更可能に構成した。
【0031】
上記の発明では、傾斜角変更機構による排出シュートの傾斜角の変更をより緻密に行うことができる。これにより、作業状況に応じた穀粒排出箇所の変更をより適切に行うことができる。又、穀粒の流動性に応じた穀粒流下速度の調節をより適切に行うことができ、流動性の低下に起因した排出シュートでの穀粒詰まりの発生などをより回避し易くすることができる。
【0032】
従って、穀粒排出装置による穀粒の機外排出を、穀粒の排出箇所をより適切に変更することが可能な状態で更に良好に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、本発明に係るコンバインの穀粒排出構造を、コンバインの一例である自脱型コンバインに適用した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0035】
図1〜3及び
図12に示すように、本実施形態で例示する自脱型コンバインは、角パイプ材などの複数の鋼材を連結して機体フレーム1を構成してある。機体フレーム1の下部には左右一対のクローラ2を装備してある。機体フレーム1における右半部の前側には、エンジン3を搭載するとともに搭乗運転部4を形成してある。機体フレーム1における左側の前端部には、作業走行時に機体の前方に位置する収穫対象の作物穀稈を刈り取って後方に搬送する刈取搬送装置5を、左右向きの支軸(図示せず)を支点にした昇降揺動操作が可能となるように連結装備してある。機体フレーム1の左半部には、刈取搬送装置5が搬送した刈り取り後の穀稈である刈取穀稈を受け取って後方に搬送しながら刈取穀稈における穂先側の着粒部に脱穀処理を施し、この脱穀処理で得た処理物に選別処理を施す脱穀装置6を搭載してある。脱穀装置6における上側の後部には、脱穀処理後の刈取穀稈である排ワラを脱穀装置6の挟持搬送機構7から受け取って脱穀装置6の上部後方に搬送する排ワラ搬送装置8を配備してある。脱穀装置6における下側の後端部には、排ワラ搬送装置8が搬送した排ワラの細断排出を可能にする排ワラ処理装置9を連結装備してある。機体フレーム1における右半部の後側には、脱穀装置6からスクリュ揚送式の供給コンベヤ10を介して揚送搬出した穀粒を貯留する穀粒タンク11を搭載してある。穀粒タンク11には、穀粒タンク11に貯留した穀粒の機外への排出を可能にする穀粒排出装置12を装備してある。
【0036】
図3、
図5及び
図10に示すように、排ワラ処理装置9は、機体フレーム1の右後端部に立設した第1支柱13と、この第1支柱13に備えた上下一対の縦向きの支軸14によって、それら上下の支軸14を支点にした横方向への揺動操作が可能となるように支持してある。そして、これにより、排ワラ搬送装置8が搬送した排ワラの細断排出が可能となるように排ワラ搬送装置8の下方に位置して脱穀装置6の下側後部に連接する作業位置と、その遊端側が機体の右後方に位置して脱穀装置6の後端部との間を大きく開放するメンテナンス位置とにわたる揺動操作が可能となるように構成してある(
図10参照)。
【0037】
図示は省略するが、脱穀装置6の左後端部と排ワラ処理装置9の遊端部には、排ワラ処理装置9の作業位置での固定保持を可能にするロック機構の構成部品をそれぞれ装備してある。
【0038】
図1〜5に示すように、穀粒タンク11は、その左上端部の前後中間箇所に、供給コンベヤ10の上端部に形成した穀粒放出口10Aに連通する穀粒受入口11Aを形成してある。又、その下部を前後方向視で略V字状に形成して、穀粒タンク11に貯留した穀粒を左右中央側に備えた底部11Bに流下案内するように構成してある。そして、その底部の後端箇所に、穀粒タンク11に貯留した穀粒の穀粒タンク外への取り出しを可能にする穀粒取出口(図示せず)を形成してある。
【0039】
図1〜11及び
図13に示すように、穀粒排出装置12は、穀粒タンク11に貯留した穀粒を穀粒取出口からタンク外に搬出する搬出スクリュ15、搬出スクリュ15が搬出した穀粒を揚送して上部の排出口16Aから排出する揚送コンベヤ16、及び、その排出口16Aから排出された穀粒を機体の右外側方に流下案内する排出シュート17、などを備えて構成してある。
【0040】
搬出スクリュ15は、そのスクリュ軸15Aの前端部が穀粒タンク11の前端から前方に突出する状態となり、かつ、搬出スクリュ15の後端部が、穀粒タンク11の穀粒取出口を通って、穀粒タンク11の底部後端に連接した穀粒排出ケース18の内部に位置する状態となるように、穀粒タンク11の底部11Bに前後向きに配備してある。そして、スクリュ軸15Aの前端部には、エンジン3から穀粒排出装置12への伝動を断続するベルトテンション式の排出クラッチ19の出力プーリ20を搬出スクリュ15と一体回転する状態で連結してある。スクリュ軸15Aの後端部には、ベベルギア(図示せず)を搬出スクリュ15と一体回転する状態で連結してある。
【0041】
揚送コンベヤ16は、穀粒排出ケース18の上端部に上下向きに連通接続した円筒状のコンベヤケース21、コンベヤケース21の上端に形成した開口21Aを閉塞する蓋体22、及び、コンベヤケース21の内部に回転可能に備えた揚送スクリュ23、などによってスクリュ搬送式に構成して穀粒タンク11の後方に配備してある。
【0042】
揚送スクリュ23は、その下端部がコンベヤケース21から下方に延出して穀粒排出ケース18の内部に位置するように構成してある。そして、そのスクリュ軸23Aの下端部には、搬出スクリュ15のスクリュ軸15Aに連結したベベルギアと噛み合い連動するベベルギア(図示せず)を揚送スクリュ23と一体回転する状態に連結してある。揚送スクリュ23の上部には、揚送スクリュ23と一体回転することで揚送コンベヤ16の上部まで揚送した穀粒を排出口16Aから排出シュート17に向けて押し出す板状の押出具23Bを装備してある。
【0043】
穀粒排出ケース18は、2つのベベルギアを噛み合い連動可能に支持した状態で収納するギア収納空間と、穀粒タンク11の内部とコンベヤケース21の内部とを穀粒の搬出が可能な状態に連通する連通空間とを備えたL字型に形成してある。
【0044】
排出シュート17は、底板17Aと底板17Aから立ち上がる一対の側板17Bとから溝状の穀粒案内経路を備えるように構成して、揚送コンベヤ16の排出口側となる右側部に、その右側部に底板17Aが面する状態で配備してある。排出シュート17の遊端側には、一対の側板17Bにわたってそれらの上端部を連結する上下一対の連結杆17Cを備えてある。
【0045】
上記の構成から、穀粒排出装置12は、排出クラッチ19を介したエンジン3からの動力で搬出スクリュ15を駆動すると、搬出スクリュ15と揚送スクリュ23とがベベルギアを介して連動する。そして、この連動により、穀粒タンク11に貯留した穀粒を搬出スクリュ15によって穀粒取出口から搬出して穀粒排出ケース18の連通空間に送り込む。又、その連通空間に送り込んだ穀粒を揚送スクリュ23によって揚送コンベヤ16の上部に揚送し、その上部に揚送した穀粒を押出具23Bによって排出口16Aから排出シュート17に向けて押し出す。そして、その排出口16Aから押し出した穀粒を排出シュート17によって機体の右外側方に設けた穀粒排出箇所に流下案内する。
【0046】
つまり、穀粒タンク11に貯留した穀粒を、排出シュート17を備える構成の穀粒排出装置12によって機体の右外側方に設けた穀粒排出箇所に排出することができる。しかも、排出シュート17を溝状の穀粒案内経路を備えるように構成したことにより、排出シュート17において穀粒の詰まりが生じた場合には、その詰まりを目視で早期に発見することが可能であり、又、詰まった穀粒を排出シュート17の開放部分から差し入れた手で排出シュート17の下方に向けて容易に掻き流すことができる。そして、このように構成しながらも、上下一対の連結杆17Cによって排出シュート17の強度及び保形性を高めることができる。
【0047】
図7及び
図8に示すように、揚送コンベヤ16は、その上端が穀粒タンク11の上端よりも上側に位置するように構成してある。そして、その上端に備えた蓋体22をコンベヤケース21の上端に着脱可能にボルト連結してある。又、その蓋体22の裏面に、揚送スクリュ23のスクリュ軸23Aの上端部を抜き差し可能な状態で相対回転可能に支持する軸支部22Aを備えてある。更に、スクリュ軸23Aの下端部とベベルギアとの連結を、それらの一体回転を可能にしながらベベルギアに対するスクリュ軸23Aの上方からの係脱を許容する嵌合(例えばスプライン嵌合)で行うように構成してある。穀粒排出ケース18の上端部には、揚送スクリュ23の下端部を受け止め支持する支持部(図示せず)を備えてある。
【0048】
上記の構成により、搬出スクリュ15と揚送スクリュ23とをベベルギアを介して連動連結する構造を採用しながらも、コンベヤケース21の上端から蓋体22を取り外すことで、揚送スクリュ23の真上に位置する開口21Aを開放することができ、この開口21Aから揚送スクリュ23を引き上げることで、スクリュ軸23Aの下端部とベベルギアとの嵌合を解除することができ、コンベヤケース21から揚送スクリュ23を抜き出すことができる。これにより、コンベヤケース21や揚送スクリュ23に対する清掃あるいは揚送スクリュ23の交換などのメンテナンスが行い易くなる。
【0049】
又、メンテナンス後は、開口21Aから揚送スクリュ23を挿入してスクリュ軸23Aの下端部をベベルギアに嵌合することで、揚送スクリュ23を搬出スクリュ15に連動連結することができる。その後、スクリュ軸23Aの上端部に蓋体22の軸支部22Aを嵌合し、蓋体22をコンベヤケース21の上端にボルト連結することで、コンベヤケース21の内部に揚送スクリュ23を駆動可能な適正状態で装備することができる。
【0050】
そして、揚送コンベヤ16の上端が穀粒タンク11の上端よりも上側に位置することで、コンベヤケース21に対して揚送スクリュ23を抜き差しする際に揚送スクリュ23が穀粒タンク11の上部に不測に接触して揚送スクリュ23及び穀粒タンク11が損傷する虞を招き難くすることができる。
【0051】
図1〜11に示すように、コンベヤケース21は、その上下中間側の所定位置を、機体フレーム1の右後端部に立設した第2支柱24と、この第2支柱24の上端部に備えたホルダ25により、揚送スクリュ23のスクリュ軸23Aを支点にした相対回転が可能となるように支持してある。又、その上部を穀粒タンク11に固定具26を介して相対回転不能に連結してあり、その下端部を穀粒タンク11に穀粒排出ケース18を介して相対回転不能に連結してある。
【0052】
穀粒排出ケース18の底部には、揚送スクリュ23の回転中心と同心上に位置する状態で底部から下方に向けて延出する円筒状の支軸部18Aを一体形成してある。そして、この支軸部18Aを、機体フレーム1の右後端部に備えた軸支部1Aに相対回転可能に内嵌してあり、又、その軸支部1Aによって下方から受け止め支持してある。
【0053】
上記の構成から、穀粒排出装置12は、揚送スクリュ23の回転中心と穀粒排出ケース18の支軸部18Aの中心とを通る縦向きの軸心Xを支点にして穀粒タンク11と一体揺動する。そして、これにより、穀粒タンク11を、その後方に備えた縦向きの軸心Xを支点にして、脱穀装置6の右側端に隣接して供給コンベヤ10の穀粒放出口10Aと穀粒タンク11の穀粒受入口11Aとが連通接合する作業位置と、供給コンベヤ10の穀粒放出口10Aと穀粒タンク11の穀粒受入口11Aとの連通接合を解除して脱穀装置6から機体の右外側方に離れるメンテナンス位置とにわたって揺動させることが可能になる(
図2参照)。その結果、穀粒タンク11をメンテナンス位置に揺動させることで、作業位置では隣接していた脱穀装置6と穀粒タンク11との間に広い空間を確保しながら脱穀装置6の右側部及び穀粒タンク11の左側部などを開放することができ、脱穀装置6及び穀粒タンク11などに対するメンテナンスが行い易くなる。
【0054】
図13に示すように、穀粒タンク11は、第1ロック機構27及び第2ロック機構(図示せず)による作業位置での固定保持が可能となるように構成してある。第1ロック機構27は、機体フレーム1の所定位置に穿設した係合孔(図示せず)、及び、この係合孔に対する係合方向にバネ付勢した状態で穀粒タンク11の前下部に備えた下向きL字型の係合ピン28、などによって穀粒タンク11の下部側に対して作用するように構成してある。第2ロック機構は、脱穀装置6の前上部に備えた係止ピン(図示せず)、及び、穀粒タンク11の前上部に揺動可能に備えた係合フック(図示せず)、などによって穀粒タンク11の上部側に対して作用するように構成してある。係合フックは、穀粒タンク11の前下部に備えたロック解除レバー29に連係ロッド30を介して連係してある。
【0055】
排出クラッチ19は、エンジン3からの動力を受け取る入力プーリ31を機体フレーム側に装備してあり、この入力プーリ31と前述した穀粒排出装置側の出力プーリ20とにわたって巻き掛けた伝動ベルト32を、テンションプーリ33を備えた揺動アーム34の揺動操作によって緊張状態と弛緩状態とに切り替えることで、エンジン3からの動力を穀粒排出装置12に伝達する伝動状態と、その伝動を遮断する遮断状態とに切り替わるように構成してある。
【0056】
上記の構成から、穀粒タンク11をメンテナンス位置に揺動操作する際には、排出クラッチ19を遮断状態に切り替え、この切り替えで弛緩した伝動ベルト32を出力プーリ20から外した後、第1ロック機構27及び第2ロック機構による穀粒タンク11の作業位置での固定保持を解除することで、穀粒タンク11のメンテナンス位置への揺動操作を可能にすることができる。
【0057】
図1、
図2及び
図13に示すように、排出クラッチ19の揺動アーム34は、搭乗運転部4における運転座席35の左後方箇所に配備した排出クラッチレバー36に連係機構37を介して連係してある。排出クラッチレバー36は、運転座席35の左後方側で起立する遮断位置と運転座席35に向けて倒伏する伝動位置とにわたる前後揺動操作が可能となるように構成してある。そして、その揺動支点側を覆う操縦ボックス38に内蔵した保持機構(図示せず)によって、遮断位置と伝動位置との2位置の位置切り替え保持が可能となるように構成してある。操縦ボックス38は、搭乗運転部4と穀粒タンク11との間に立設した第3支柱39の上部に装備してある。保持機構は、伝動ベルト32の弾性を利用したデッドポイント越えによる保持構造で排出クラッチレバー36の遮断位置と伝動位置との2位置での位置切り替え保持を行なうように構成してある。
【0058】
上記の構成から、伝動ベルト32の弾性を利用した簡単な保持構造で、排出クラッチ19を遮断状態と伝動状態とのそれぞれに安定した状態で切り替え保持することができる。又、力を入れ易い排出クラッチレバー36の前方への倒伏操作で、伝動ベルト32の弾性に抗した排出クラッチ19の伝動状態への切り替えを行うように構成したことで、排出クラッチ19の操作性を向上させることができる。
【0059】
図1〜11に示すように、揚送コンベヤ16の排出口16Aは、コンベヤケース21の上部に備えた枠部材21Bによって、コンベヤケース21の直径と同幅で縦長の矩形状に形成してある。又、穀粒タンク11が作業位置に位置する状態において機体の真右を向くように設定してある。
【0060】
枠部材21Bは、その右端側の下部に排出シュート用の支持部材21Cを装備してある。そして、この支持部材21Cに、排出シュート17の基部である穀粒案内方向上手側の端部を、穀粒タンク11が作業位置に位置する状態において前後向きになる横向きの支軸40を介して、この支軸40を支点にした排出シュート17の上下揺動が可能となるように連結してある。
【0061】
穀粒排出装置12には、支軸40を支点にして上下揺動する排出シュート17の傾斜角を変更する傾斜角変更機構41を備えてある。傾斜角変更機構41は、排出シュート17の遊端側における後側の側板17Bの外面側に固定装備したガイド部材42、コンベヤケース21の後部側に上下揺動可能に装備した支持アーム43、支持アーム43の遊端部に備えた挟持具44、などによって構成してある。
【0062】
ガイド部材42は、排出シュート17の遊端側に備えた上下の各連結杆17Cにおける、排出シュート17の後側の側板17Bから後方に突出させた突出部を利用して、排出シュート17に固定装備してある。ガイド部材42には、排出シュート17の穀粒案内方向に沿って延びるガイド溝42Aを形成してある。
【0063】
挟持具44は、操作ハンドル45Aを備えるT字状の段付きボルト45、支持アーム43と段付きボルト45との間に介装する座金46、及び、段付きボルト45と螺合するナット部材47、によって構成してある。ナット部材47は、ガイド部材42のガイド溝42Aに相対回転を阻止した状態で摺動可能に係入する矩形状でボルト挿通孔47aを備えた係入部47A、ガイド部材42に当接する当接部47B、及び、挟持部47Bに溶接したナット47C、によって構成してある。
【0064】
上記の構成から、挟持具44の段付きボルト45を締め付け解除方向に操作することで、ナット部材47を段付きボルト45から離れる方向に螺進させることができ、座金46とナット部材47の当接部47Bによるガイド部材42及び支持アーム43の挟持を緩めることができる。これにより、ガイド部材42に対する挟持具44の摺動を許容することができ、支軸40を支点にした排出シュート17の上下揺動を可能にすることができる。そして、この上下揺動によって、排出シュート17の傾斜角を、排出シュート17の遊端を揚送コンベヤ16に近づけた所定の最大角度と、排出シュート17の遊端を揚送コンベヤ16から遠ざけた所定の最小角度との間で無段階に変更することができる。
【0065】
この傾斜角の変更後に挟持具44の段付きボルト45を締め付け方向に操作することで、ナット部材47を段付きボルト45に近づく方向に螺進させることができ、座金46とナット部材47の当接部47Bによるガイド部材42及び支持アーム43の挟持を強めることができる。これにより、ガイド部材42に対する挟持具44の摺動を阻止することができ、排出シュート17を変更後の傾斜角で固定保持することができる。
【0066】
その結果、排出シュート17の揺動姿勢位置を、揚送コンベア16に沿った垂下姿勢となる格納位置と、排出シュート17の遊端側が揚送コンベア16から離れた左傾倒姿勢となる任意の排出位置とに無段階に変更することができる。つまり、傾斜角変更機構41が、排出シュート17の支軸40を支点にした排出位置の無段階での変更を可能にする排出位置変更手段として機能する。
【0067】
そして、排出シュート17の排出位置を変更すると、排出シュート17で流下案内した穀粒の機体右外方での排出箇所及び排出高さを変更することができ、これにより、作業状況に適した穀粒の排出が行い易くなる。又、排出シュート17の排出位置を変更すると、排出シュート17の傾斜角を変更することになり、これにより、排出シュート17で流下案内される穀粒の流下速度を調節することができる。その結果、穀粒の水分量などによって変化する流動性に応じて排出シュート17の傾斜角を変更することができ、この変更によって穀粒の流下速度を適切な速度に調節することが可能になり、流動性の低下に起因した排出シュート17での穀粒詰まりの発生などを未然に回避し易くなる。
【0068】
又、排出シュート17の各連結杆17Cを排出シュート17の遊端側に備えたことで、それらをガイド部材42の支持部材に兼用するだけでなく、排出シュート17を揺動操作する際の把手にも兼用することができる。
【0069】
図2、
図3、
図5、
図9及び
図10に示すように、排出シュート17は、その格納位置では穀粒タンク11の右側面よりも機体内側に位置するように構成してある。これにより、作業走行や移動走行などを行う場合には、排出シュート17を格納位置に切り替えることで、走行中に排出シュート17が他物に接触して損傷する不都合の発生を防止することができる。
【0070】
図3〜7、
図9及び
図10に示すように、排出シュート17は、その格納位置への到達に連動した保持機構48による格納位置での固定保持が可能となるように構成してある。保持機構48は、コンベヤケース21の前部側に備えた係合杆49と排出シュート17の底板17Aに備えた弾性変形可能な挟持具50とから、排出シュート17の格納位置への到達に連動して係合杆49に挟持具50が挟持嵌合することで排出シュート17を格納位置にて固定保持するように構成してある。
【0071】
これにより、排出シュート17を格納位置に切り替えた場合には、傾斜角変更機構41の挟持具44を操作しなくても排出シュート17を自動的に格納位置にて固定保持することができる。これにより、走行中の機体の振動などに起因して排出シュート17が不測に格納位置から排出位置に切り替わって他物に接触する不都合の発生を確実に防止することができる。
【0072】
図1、
図3〜9及び
図11に示すように、コンベヤケース21の枠部材21Bには、排出口16Aから排出シュート17に流動する穀粒の排出シュート17の上部からの飛び出しを防止するカバー体51を、枠部材21Bの右上端部に配備した一対の蝶番52を介して上下揺動可能に連結してある。
【0073】
カバー体51は、上方に膨出する湾曲形状の天板51Aと天板51Aから垂下する一対の側板51Bとを備えて、枠部材21Bの横幅よりも幅広で、一対の側板51Bが枠部材21Bの外側に隣接する状態となるように構成してある。
【0074】
排出シュート17は、カバー体51の横幅よりも幅広に構成してある。そして、その後側の側板17Bがカバー体51の外側に隣接する状態となるように、穀粒タンク11の作業位置において、排出シュート17の横幅方向での中心位置が揚送スクリュ16の回転中心Xよりも機体前側に位置する前寄り状態で揚送コンベヤ16の右側部に配備してある。そして、枠部材21Bの内部には、排出口16Aから排出シュート17に流動する穀粒を機体前寄りに案内する案内板53を装備してある。
【0075】
つまり、カバー体51の横幅を排出口16Aの横幅よりも幅広に形成したことで、排出口16Aから排出シュート17に流動する穀粒の排出シュート17の上部からの飛び出しをカバー体51によって防止するだけでなく、排出口16Aから排出シュート17に流動する穀粒のカバー体51の両横からの漏れ出しを防止することができる。又、カバー体51の横幅が排出シュート17の横幅よりも幅狭であることから、カバー体51によって飛び出しが阻止された穀粒を排出シュート17によって確実に受け止めることができる。
【0076】
又、揚送コンベヤ16に対して排出シュート17を前寄り状態で配備したことで、穀粒タンク11が作業位置に位置する状態での排出シュート17の揚送コンベヤ16から後方への張り出し量を小さくすることができる。これにより、脱穀装置6の後端部に連結装備する排ワラ搬送装置8や排ワラ処理装置9に対して、穀粒タンク11の後方に配備した揚送コンベヤ16に装備することで排ワラ搬送装置8及び排ワラ処理装置9の右側方に位置することになる排出シュート17を、穀粒タンク11を作業位置からメンテナンス位置に揺動させる際の穀粒タンク11との一体揺動で排ワラ搬送装置8及び排ワラ処理装置9に接触する虞を生じ難くすることができる。
【0077】
そして、枠部材21Bの内部に案内板53を装備したことで、揚送コンベヤ16の右側部に排出シュート17を前寄り状態で配備しながらも、揚送コンベヤ16の排出口16Aから流出する穀粒を排出シュート17の幅方向中央側に案内することができる。これにより、排出口16Aからの穀粒を、排出シュート17における幅方向の後端側に片寄った状態ではなく、幅方向での片寄りの少ない均一化した状態で排出シュート17を流下させることができる。その結果、穀粒が幅方向の後端側に片寄った状態で流下することに起因して招く虞のある排出シュート17の後端部から後方への穀粒の溢れ出しを回避することができる。
【0078】
図3〜9及び
図11に示すように、排出シュート17における基部の後端には、その後端部から穀粒案内方向上手側に延出する連係アーム17Dを装備してある。カバー体51における後側の側板51Bには、その側板51Bの穀粒案内方向上手側の端部から外方に延出する連係アーム51Cを装備してある。そして、排出シュート17とカバー体51は、排出シュート17が格納位置に近づくほど排出シュート17とカバー体51との間に形成される開口54が小さくなり、排出シュート17の遊端側が揚送コンベア16から離れるほど開口54が大きくなるように、それらの連係アーム17D,51Cを連係リンクからなる連係機構55を介して連動連結してある。
【0079】
上記の構成では、排出シュート17が格納位置に近づくほど、排出シュート17の傾斜角が大きくなり、排出シュート17で流下案内される穀粒の流速が速くなり、単位時間当たりの穀粒排出量が多くなることを考慮して、排出シュート17が格納位置に近づくほど、排出シュート17とカバー体51との間に形成される開口54を小さくして、開口54における単位時間当たりの穀粒通過量を減少させるようにしている。これにより、排出シュート17が格納位置に近づくのに連れて単位時間当たりの穀粒排出量が多くなることを抑制することができる。
【0080】
逆に、排出シュート17の遊端側が揚送コンベア16から離れるほど、排出シュート17の傾斜角が小さくなり、排出シュート17で流下案内される穀粒の流速が遅くなり、単位時間当たりの穀粒排出量が少なくなることを考慮して、排出シュート17の遊端側が揚送コンベア16から離れるほど、排出シュート17とカバー体51との間に形成される開口54を大きくして、開口54における単位時間当たりの穀粒通過量を増大させるようにしている。これにより、排出シュート17の遊端側が揚送コンベア16から離れるのに連れて単位時間当たりの穀粒排出量が少なくなることを抑制することができる。
【0081】
つまり、排出シュート17の傾斜角にかかわらず単位時間当たりの穀粒排出量を略一定にすることができ、これにより、排出シュート17の傾斜角を大きくして排出シュート17による穀粒の排出箇所を機体から遠くするほど単位時間当たりの穀粒排出量が低下して穀粒排出効率が低下することを抑制することができる。
【0082】
図5〜9及び
図11に示すように、排出シュート17の連係アーム17Dには、後方に向けて突出するピンからなるストッパ17Eを装備してある。そして、このストッパ17Eに連係機構55が当接することで排出シュート17の揚送コンベア16から離れる方向への揺動を規制するように構成してある。
【0083】
図3〜5及び
図9〜11に示すように、ホルダ25には、メンテナンス位置に揺動する穀粒タンク11と一体で動く排出シュート17の底板17Aに当接することで、保持機構48による排出シュート17の格納位置での固定保持を解除して排出シュート17の遊端側を揚送コンベヤ16から遠ざける当接部材56を装備してある。当接部材56は、穀粒タンク11の作業位置において、格納位置に位置する排出シュート17の直後に、排出シュート17における底板17Aの裏面に隣接する状態で位置するように、ホルダ25から下向きに垂下した支軸57に相対回転可能に外嵌装備したローラによって構成してある。
【0084】
上記の構成から、保持機構48によって排出シュート17を格納位置にて固定保持したままの状態で穀粒タンク11をメンテナンス位置に向けて揺動すると、排出シュート17の底板17Aが当接部材56に乗り上がるように当接して排出シュート17の遊端側が押し上げられることで、保持機構48の係合杆49と挟持具50との挟持嵌合による排出シュート17の固定保持が自動的に解除されて排出シュート17が上昇揺動する。
【0085】
これにより、メンテナンス位置に向けて穀粒タンク11と一体揺動する排出シュート17及び連係機構55が、その移動方向下手側で穀粒タンク11に近づくメンテナンス位置に揺動した排ワラ処理装置9などに接触する不都合の発生を防止することができる。その結果、排ワラ処理装置9をメンテナンス位置に揺動した場合であっても、穀粒タンク11を機体の右外側に大きく揺動させることができ、脱穀装置6と穀粒タンク11との間において広い空間を確保することができる。
【0086】
図1、
図3〜5、
図9及び
図11に示すように、排出シュート17の遊端部には、可撓性を有する透明の樹脂シートからなる補助シュート58を穀粒案内方向視での形状がU字状になる状態で備えてある。そして、補助シュート58の遊端部には、その遊端部の前後両端に形成した丸孔58Aに挿通して遊端部の横幅を変更するバンド59を装備してある。
【0087】
上記の構成から、例えば、穀粒の排出対象がトラックの荷台などである場合には、バンド59を緩めることで、補助シュート58の穀粒排出端での間口を大きく広げた状態にすることができ、これにより、穀粒をトラックの荷台などの広い領域に拡散させた状態で排出することができる。
【0088】
又、穀粒の排出対象が籾袋などである場合には、バンド59を締めることで、補助シュート58の穀粒排出端での間口を小さく窄めた円筒状にすることができ、これにより、穀粒を籾袋などの狭い領域に集中させた状態で排出することができる。
【0089】
つまり、可撓性を有する補助シュート58とバンド59とを用いた簡単な構成でありながら、補助シュート58の穀粒排出端での間口を穀粒の排出対象などに適した大きさに容易に変更することができ、穀粒の排出対象などに適した穀粒の排出を良好に行うことができる。
【0090】
図1〜6、
図9及び
図11に示すように、排出シュート17における後側の側板17Bは、その基部側の上部を、基部側の上部側ほど機体後側に位置するように機体後側に傾斜させてある。これにより、排出シュート17の後側の側板17Bにおける基部側の上部が、それに隣接するカバー体51の後側の側板51Bに摺接することに起因して、排出シュート17の傾斜角変更操作が行い難くなることを防止することができる。
【0091】
図3、
図5及び
図10に示すように、第1支柱13と第2支柱24は、それらの上部を連結部材60により連結することで、それらの強度を高めるように構成してある。
【0092】
図1〜3、
図5及び
図12に示すように、エンジン3からの排気は、エンジン3の上部左側方に配備したマフラ61、並びに、このマフラ61の排気孔(図示せず)から脱穀装置6と穀粒タンク11との間及び脱穀装置6と供給コンベヤ10との間を通って排ワラ搬送装置8の上方まで直線状に延出した排気管62、を介して機体の後端上方箇所から機外に後向きに排出するように構成してある。
【0093】
排気管62には、排気管62を右側から覆う多孔板からなる半円弧状の排気カバー63を装備してある。これにより、穀粒タンク11をメンテナンス位置に揺動して脱穀装置6の右側部などを開放しながらも、排気管62を排気カバー63によって覆い隠すことができる。
【0094】
排気管62の後端部には、排気管62の排気孔62Aを上方から覆う半円弧状で排気管62の後端部から後方に延出する排気案内カバー64を装備してある。これにより、排気管62の排気孔62Aから排出される排気を排気案内カバー64によって機体の後方に案内することができる。
【0095】
図1及び
図2に示すように、エンジン3の右側方には、エンジン3に対する外気取り入れ用の開口65A、及び、この開口65Aからの塵埃の流入を防止する除塵網65B、などを備えた右側壁65を立設してある。右側壁65は、その上部側の外側面となる右側面が穀粒タンク11の右側面と機体幅方向で同じ位置に位置し、その下部側の右側面が穀粒タンク11の右側面よりも機体内側に位置するように構成してある。そのため、右側壁65の下部側には、その前端部から穀粒タンク11の右側面に向けて右斜め外向きに延出する横向きU字状の穀稈ガイド66を装備してある。そして、この穀稈ガイド66によって、機体の右側にも未刈り穀稈が存在する中割り作業などにおいては、機体右側の未刈り穀稈を穀粒タンク11の右外側に案内することができる。これにより、中割り作業などにおいて、機体右側の未刈り穀稈が右側壁65と穀粒タンク11との間に入り込んで、その間に備えた排出クラッチ19などに絡み付く不都合の発生を防止することができる。
【0097】
〔1〕コンバインとしては、刈取穀稈の全体を脱穀装置6の内部に投入する全稈投入型に構成したものであってもよい。又、搭乗運転部4をキャビンで覆うように構成したものであってもよい。
【0098】
〔2〕穀粒排出装置12としては、穀粒タンク11に貯留した穀粒を穀粒取出口からタンク外に搬出する搬出スクリュ15を穀粒タンク11の底部11Bに備える構成に代えて、穀粒タンク11の底部11Bを、穀粒タンク11に貯留した穀粒を穀粒取出口からタンク外に流下案内する傾斜面を備えるように構成したもの、あるいは、穀粒タンク11の底部11Bを振動させることで、穀粒タンク11に貯留した穀粒を穀粒取出口からタンク外に流動案内するように構成したものであってもよい。
【0099】
〔3〕穀粒排出装置12としては、揚送コンベヤ16の排出口側となる右側部に、排出シュート17を、その底板17Aが揚送コンベヤ16の右側部に面する状態で、かつ、所定の傾斜角を有する状態で固定装備して、穀粒タンク11に貯留した穀粒を機体の右外方に排出するように構成したものであってもよい。
【0100】
〔4〕穀粒排出装置12としては、揚送コンベヤ16の排出口側となる右側部に、排出シュート17を、その側板17Bが揚送コンベヤ16の右側部に面する状態で、かつ、所定の傾斜角を有する状態で固定装備して、穀粒タンク11に貯留した穀粒を機体の後外方に排出するように構成したものであってもよい。
【0101】
〔5〕穀粒排出装置12としては、揚送コンベヤ16の上部後側に排出口16Aを形成し、揚送コンベヤ16の排出口側となる後部側に、排出シュート17を、その底板17Aが揚送コンベヤ16の後部に面する状態で、かつ、所定の傾斜角を有する状態で固定装備して、穀粒タンク11に貯留した穀粒を機体の後外方に排出するように構成したものであってもよい。
【0102】
〔6〕穀粒排出装置12としては、揚送コンベヤ16の上部後側に排出口16Aを形成し、揚送コンベヤ16の排出口側となる後部側に、排出シュート17を、その側板17Bが揚送コンベヤ16の後部に面する状態で、かつ、所定の傾斜角を有する状態で固定装備して、穀粒タンク11に貯留した穀粒を機体の右外方に排出するように構成したものであってもよい。
【0103】
〔7〕穀粒排出装置12としては、揚送コンベヤ16の排出口側となる右側部に、排出シュート17を、その底板17Aが揚送コンベヤ16の右側部に面する状態で、穀粒タンク11が作業位置に位置する状態において前後向きになる横向きの支軸40を支点にした上下揺動が可能となるように配備し、かつ、揚送コンベア16に沿った格納位置と排出シュート17の遊端側が揚送コンベア16から離間した排出位置との2位置に切り替え可能な形態で、穀粒タンク11に貯留した穀粒を機体の右外方に排出するように構成したものであってもよい。
【0104】
〔8〕穀粒排出装置12としては、揚送コンベヤ16の排出口側となる右側部に、排出シュート17を、その側板17Bが揚送コンベヤ16の右側部に面する状態で、穀粒タンク11が作業位置に位置する状態において左右向きになる横向きの支軸40を支点にした上下揺動が可能となるように配備し、かつ、揚送コンベア16に沿った格納位置と排出シュート17の遊端側が揚送コンベア16から離間した排出位置との2位置に切り替え可能な形態で、穀粒タンク11に貯留した穀粒を機体の後外方に排出するように構成したものであってもよい。
【0105】
〔9〕穀粒排出装置12としては、揚送コンベヤ16の上部後側に排出口16Aを形成し、揚送コンベヤ16の排出口側となる後部側に、排出シュート17を、その底板17Aが揚送コンベヤ16の後部に面する状態で、穀粒タンク11が作業位置に位置する状態において左右向きになる横向きの支軸40を支点にした上下揺動が可能となるように配備し、かつ、揚送コンベア16に沿った格納位置と排出シュート17の遊端側が揚送コンベア16から離間した排出位置との2位置に切り替え可能な形態で、穀粒タンク11に貯留した穀粒を機体の後外方に排出するように構成したものであってもよい。
【0106】
〔10〕穀粒排出装置12としては、揚送コンベヤ16の上部後側に排出口16Aを形成し、揚送コンベヤ16の排出口側となる後部側に、排出シュート17を、その側板17Bが揚送コンベヤ16の後部に面する状態で、穀粒タンク11が作業位置に位置する状態において前後向きになる横向きの支軸40を支点にした上下揺動が可能となるように配備し、かつ、揚送コンベア16に沿った格納位置と排出シュート17の遊端側が揚送コンベア16から離間した排出位置との2位置に切り替え可能な形態で、穀粒タンク11に貯留した穀粒を機体の右外方に排出するように構成したものであってもよい。
【0107】
〔11〕穀粒排出装置12としては、揚送コンベヤ16の排出口側となる右側部に、排出シュート17を、その側板17Bが揚送コンベヤ16の右側部に面する状態で、穀粒タンク11が作業位置に位置する状態において左右向きになる横向きの支軸40を支点にした上下揺動が可能となるように配備し、かつ、その支軸40を支点にした上下揺動による排出シュート17の排出位置(傾斜角)の変更を可能にする排出位置変更手段41を設けて、穀粒タンク11に貯留した穀粒を機体の後外方に穀粒排出箇所の変更が可能な状態で排出するように構成したものであってもよい。
【0108】
〔12〕穀粒排出装置12としては、揚送コンベヤ16の上部後側に排出口16Aを形成し、揚送コンベヤ16の排出口側となる後部側に、排出シュート17を、その底板17Aが揚送コンベヤ16の後部に面する状態で、穀粒タンク11が作業位置に位置する状態において左右向きになる横向きの支軸40を支点にした上下揺動が可能となるように配備し、かつ、その支軸40を支点にした上下揺動による排出シュート17の排出位置(傾斜角)の変更を可能にする排出位置変更手段41を設けて、穀粒タンク11に貯留した穀粒を機体の後外方に穀粒排出箇所の変更が可能な状態で排出するように構成したものであってもよい。
【0109】
〔13〕穀粒排出装置12としては、揚送コンベヤ16の上部後側に排出口16Aを形成し、揚送コンベヤ16の排出口側となる後部側に、排出シュート17を、その側板17Bが揚送コンベヤ16の後部に面する状態で、穀粒タンク11が作業位置に位置する状態において前後向きになる横向きの支軸40を支点にした上下揺動が可能となるように配備し、かつ、その支軸40を支点にした上下揺動による排出シュート17の排出位置(傾斜角)の変更を可能にする排出位置変更手段41を設けて、穀粒タンク11に貯留した穀粒を機体の右外方に穀粒排出箇所の変更が可能な状態で排出するように構成したものであってもよい。
【0110】
〔14〕穀粒排出装置12としては、揚送コンベヤ16の排出口側となる右側部に、排出シュート17を、その底板17Aが揚送コンベヤ16の右側部に面する状態で、穀粒タンク11が作業位置に位置する状態において前後向きになる横向きの支軸40と左右向きになる横向きの支軸40とのそれぞれを支点にした上下揺動が可能となるように配備し、かつ、それらの支軸40を支点にした上下揺動による排出シュート17の排出位置(傾斜角)の変更を可能にする排出位置変更手段41を設けて、穀粒タンク11に貯留した穀粒を機体の右外方に穀粒排出箇所の変更が可能な状態で排出するように構成したものであってもよい。
【0111】
〔15〕穀粒排出装置12としては、揚送コンベヤ16の排出口側となる右側部に、排出シュート17を、その側板17Bが揚送コンベヤ16の右側部に面する状態で、穀粒タンク11が作業位置に位置する状態において前後向きになる横向きの支軸40と左右向きになる横向きの支軸40とのそれぞれを支点にした上下揺動が可能となるように配備し、かつ、それらの支軸40を支点にした上下揺動による排出シュート17の排出位置(傾斜角)の変更を可能にする排出位置変更手段41を設けて、穀粒タンク11に貯留した穀粒を機体の後外方に穀粒排出箇所の変更が可能な状態で排出するように構成したものであってもよい。
【0112】
〔16〕穀粒排出装置12としては、揚送コンベヤ16の上部後側に排出口16Aを形成し、揚送コンベヤ16の排出口側となる後部側に、排出シュート17を、その底板17Aが揚送コンベヤ16の後部に面する状態で、穀粒タンク11が作業位置に位置する状態において前後向きになる横向きの支軸40と左右向きになる横向きの支軸40とのそれぞれを支点にした上下揺動が可能となるように配備し、かつ、それらの支軸40を支点にした上下揺動による排出シュート17の排出位置(傾斜角)の変更を可能にする排出位置変更手段41を設けて、穀粒タンク11に貯留した穀粒を機体の後外方に穀粒排出箇所の変更が可能な状態で排出するように構成したものであってもよい。
【0113】
〔17〕穀粒排出装置12としては、揚送コンベヤ16の上部後側に排出口16Aを形成し、揚送コンベヤ16の排出口側となる後部側に、排出シュート17を、その側板17Bが揚送コンベヤ16の後部に面する状態で、穀粒タンク11が作業位置に位置する状態において前後向きになる横向きの支軸40と左右向きになる横向きの支軸40とのそれぞれを支点にした上下揺動が可能となるように配備し、かつ、それらの支軸40を支点にした上下揺動による排出シュート17の排出位置(傾斜角)の変更を可能にする排出位置変更手段41を設けて、穀粒タンク11に貯留した穀粒を機体の右外方に穀粒排出箇所の変更が可能な状態で排出するように構成したものであってもよい。
【0114】
〔18〕揚送コンベヤ16を穀粒タンク11の前方又は機体外側の横側方に配備してもよい。
【0115】
〔19〕傾斜角変更機構41としては、ガイド部材42に排出位置変更用の複数の凹部を形成し、かつ、それらの凹部に係合する係合部を支持アーム43の遊端部に備えて、係合部を係合させる凹部を変更することで、排出シュート17の傾斜角を有段階に変更するように構成したものであってもよい。
【0116】
〔20〕排出シュート17を丸パイプ状又は角パイプ状などに形成してもよい。