特許第5975684号(P5975684)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5975684フロートアーム組立体及びそれを有する液面レベルセンサ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5975684
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】フロートアーム組立体及びそれを有する液面レベルセンサ
(51)【国際特許分類】
   G01F 23/34 20060101AFI20160809BHJP
【FI】
   G01F23/34
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-50387(P2012-50387)
(22)【出願日】2012年3月7日
(65)【公開番号】特開2013-185907(P2013-185907A)
(43)【公開日】2013年9月19日
【審査請求日】2015年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100070002
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100110733
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥野 正司
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【弁理士】
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】福原 聡明
(72)【発明者】
【氏名】加藤 慎平
(72)【発明者】
【氏名】豊田 和弘
【審査官】 濱本 禎広
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−284459(JP,A)
【文献】 実開昭61−153949(JP,U)
【文献】 特開2001−311651(JP,A)
【文献】 特開2011−002438(JP,A)
【文献】 特開2005−143384(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 23/30−23/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロートアームと、前記フロートアームの一端部が挿通された貫通孔を有するバランサと、前記フロートアームに前記バランサを固定する固定手段と、を有するフロートアーム組立体において、
前記固定手段が、前記バランサに当接して前記一端部と反対の他端部側への前記バランサの移動を規制するように前記フロートアームに形成された位置決め部と、前記バランサを前記位置決め部に付勢するように前記一端部における前記貫通孔からの突出部分に固定されたプッシュナットと、を有しているとともに、
前記位置決め部が、前記フロートアームの一部を折り曲げてU字形に形成された折り曲げ部で構成されていることを特徴とするフロートアーム組立体。
【請求項2】
フロートアームと、前記フロートアームの一端部が挿通された貫通孔を有するバランサと、前記フロートアームに前記バランサを固定する固定手段と、を有するフロートアーム組立体において、
前記固定手段が、前記バランサに当接して前記一端部と反対の他端部側への前記バランサの移動を規制するように前記フロートアームに形成された位置決め部と、前記バランサを前記位置決め部に付勢するように前記一端部における前記貫通孔からの突出部分に固定されたプッシュナットと、を有しているとともに、
前記固定手段が、前記プッシュナットに当接して前記バランサから離れる方向への前記プッシュナットの移動を規制するように前記フロートアームに形成された抜け止め部をさらに有していることを特徴とするフロートアーム組立体。
【請求項3】
前記抜け止め部が、前記フロートアームの一部を潰して形成された潰し部で構成されていることを特徴とする請求項に記載のフロートアーム組立体。
【請求項4】
前記位置決め部が、前記フロートアームの一部を潰して形成された潰し部で構成されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のフロートアーム組立体。
【請求項5】
フロートと、前記フロートが取り付けられたフロートアーム組立体と、を有する液面レベルセンサにおいて、
前記フロートアーム組立体が、請求項1〜のいずれか一項に記載のフロートアーム組立体で構成されていることを特徴とする液面レベルセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、液体タンクなどに収容された液体の液面に浮かべられるフロートが取り付けられるフロートアーム組立体、及び、そのフロートアーム組立体を有する液面レベルセンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
フロート式の液面レベルセンサにおいては、液体の液面に浮かべられたフロートの上下動を検知して液面レベルの検出を行う。図7に、特許文献1に開示された従来のフロート式液面レベルセンサを示す。この液面レベルセンサ(図中、符号801で示す)は、本体部810と、フロート部820と、を有している。
【0003】
本体部810は、液面レベルの検出対象となる液体が収容される液体タンク(図示なし)に収容されるアーム部811を有しており、アーム部811の先端811aにフロート部820が回動自在に支持されている。
【0004】
フロート部820は、フロートアーム830及びフロートアーム830の一端部830aに固定して取り付けられたバランサ840を有するフロートアーム組立体821と、フロートアーム830の他端部830bに固定して取り付けられたフロート822と、を有している。フロートアーム830は、その一端部830a寄りの箇所をアーム部811の先端811aに回動自在に支持されている。フロート822は、フロートアーム830の他端部830bに固定して取り付けられるとともに液面に浮かべられており、そのため、液面の高さ(液面レベル)に応じてフロート部820が回動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−292243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような液面レベルセンサでは、図8に示すように、フロートアーム830の一端部830aがバランサ840の貫通孔840aに挿通されて、フロートアーム830とバランサ840とがろう842を用いたろう付けによって互いに固定されているところ、このろう842として銀や錫が用いられるので、この液面レベルセンサ801を腐食性の高い液体の液面レベルの検出に用いると上記ろう付け箇所が腐食してしまい、そのため、バランサ840がフロートアーム830から脱落して、液面レベルの計測に支障が生じてしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、かかる問題を解決することを目的としている。即ち、本発明は、腐食性の高い液体の液面レベルの検出に用いることができるフロートアーム組立体及びそれを有する液面レベルセンサを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、フロートアームと、前記フロートアームの一端部が挿通された貫通孔を有するバランサと、前記フロートアームに前記バランサを固定する固定手段と、を有するフロートアーム組立体において、前記固定手段が、前記バランサに当接して前記一端部と反対の他端部側への前記バランサの移動を規制するように前記フロートアームに形成された位置決め部と、前記バランサを前記位置決め部に付勢するように前記一端部における前記貫通孔からの突出部分に固定されたプッシュナットと、を有しているとともに、前記位置決め部が、前記フロートアームの一部を折り曲げてU字形に形成された折り曲げ部で構成されていることを特徴とするフロートアーム組立体である。
【0009】
上記目的を達成するために、請求項2に記載された発明は、フロートアームと、前記フロートアームの一端部が挿通された貫通孔を有するバランサと、前記フロートアームに前記バランサを固定する固定手段と、を有するフロートアーム組立体において、前記固定手段が、前記バランサに当接して前記一端部と反対の他端部側への前記バランサの移動を規制するように前記フロートアームに形成された位置決め部と、前記バランサを前記位置決め部に付勢するように前記一端部における前記貫通孔からの突出部分に固定されたプッシュナットと、を有しているとともに、前記固定手段が、前記プッシュナットに当接して前記バランサから離れる方向への前記プッシュナットの移動を規制するように前記フロートアームに形成された抜け止め部をさらに有していることを特徴とするフロートアーム組立体である。
【0010】
請求項3に記載された発明は、請求項に記載された発明において、前記抜け止め部が、前記フロートアームの一部を潰して形成された潰し部で構成されていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項4に記載された発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載された発明において、前記位置決め部が、前記フロートアームの一部を潰して形成された潰し部で構成されていることを特徴とするものである。
【0013】
上記目的を達成するために、請求項に記載された発明は、フロートと、前記フロートが取り付けられたフロートアーム組立体と、を有する液面レベルセンサにおいて、前記フロートアーム組立体が、請求項1〜のいずれか一項に記載のフロートアーム組立体で構成されていることを特徴とする液面レベルセンサである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載された発明によれば、フロートアームにバランサを固定する固定手段が、バランサに当接してフロートアームの一端部と反対の他端部側への当該バランサの移動を規制するようにフロートアームに形成された位置決め部と、バランサを位置決め部に付勢するようにフロートアームの一端部におけるバランサの貫通孔からの突出部分に固定されたプッシュナットと、を有しているので、プッシュナットがバランサを位置決め部に付勢することによりバランサががたつくことなくフロートアームに固定され、そのため、ろう付けを用いることなくフロートアームとバランサとを互いに固定することができ、フロートアーム及びバランサを耐腐食性を有する材料で構成することで、腐食性の高い液体の液面レベルの検出に用いることができる。
【0015】
また、固定手段が、バランサに当接することにより当該バランサの移動を規制するようにフロートアームに形成された位置決め部と、バランサを位置決め部に付勢するプッシュナットと、を有するので、例えば、ナットなどを用いてバランサを固定した場合、フロートアームにねじ溝が必要になるなど複雑な構成になってしまうが、プッシュナットを用いることにより簡易な構成によりフロートアームとバランサとを互いに固定することができ、製造コストを低減できる。また、位置決め部が、フロートアームの一部を折り曲げて形成された折り曲げ部で構成されているので、この折り曲げ部は、曲げ加工機などによってフロートアームの一部を折り曲げることにより容易に形成することができ、そのため、製造コストをさらに低減できる。
【0018】
請求項に記載された発明によれば、固定手段が、プッシュナットに当接してバランサから離れる方向への当該プッシュナットの移動を規制するようにフロートアームに形成された抜け止め部をさらに有しているので、プッシュナットの緩みや脱落などを防ぐことができ、フロートアームとバランサとをより確実に固定することができる。
【0019】
請求項に記載された発明によれば、抜け止め部が、フロートアームの一部を潰して形成された潰し部で構成されているので、この潰し部は、プレス機などによってフロートアームの一部を潰すことにより容易に形成することができ、そのため、製造コストをさらに低減できる。
請求項4に記載された発明によれば、位置決め部が、フロートアームの一部を潰して形成された潰し部で構成されているので、この潰し部は、プレス機などによってフロートアームの一部を潰すことにより容易に形成することができ、そのため、製造コストをさらに低減できる。
【0020】
請求項に記載された発明によれば、フロートアーム組立体が、請求項1〜のいずれか一項に記載のフロートアーム組立体で構成されているので、プッシュナットがバランサを位置決め部に付勢することによりバランサががたつくことなくフロートアームに固定され、そのため、ろう付けを用いることなくフロートアームとバランサとを互いに固定することができ、フロートアーム及びバランサを耐腐食性を有する材料で構成することで、腐食性の高い液体の液面レベルの検出に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】(a)は、本発明の一実施形態のフロートアーム組立体を示す正面図であり、(b)は、側面図であり、(c)は断面図であり、(d)は、フロートアーム組立体のプッシュナットの斜視図である。
図2】(a)〜(d)は、図1のフロートアーム組立体の組立方法を説明する図である。
図3】(a)は、図1のフロートアーム組立体の位置決め部の変形例を説明する図であり、(b)は、位置決め部の他の変形例を示す図である。
図4】本発明の一実施形態の液面レベルセンサを示す正面図(一部断面図を含む)である。
図5図4の液面レベルセンサの上面図である。
図6図4の液面レベルセンサの一部側面図である。
図7】従来の液面レベルセンサの側面図である(一部断面図を含む)。
図8図7の液面レベルセンサが有するフロートアーム組立体の一部を示す拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(実施形態1)
以下、本発明の一実施形態のフロートアーム組立体を、図1図3を参照して説明する。本実施形態のフロートアーム組立体は、例えば、タンクに収容された液化石油ガスなどの液面レベルを検出する液面レベルセンサなどに用いられる。
【0023】
フロートアーム組立体71は、図1(a)〜(c)に示すように、フロートアーム72と、バランサ73と、固定手段75と、を備えている。
【0024】
フロートアーム72は、例えば、ステンレスなどの耐腐食性を有する金属からなり、略L字形の円柱棒状に形成されている。フロートアーム72の一端部72aは、L字形の長辺側の先端付近の部分に対応しており、後述するバランサ73が固定して取り付けられている。フロートアーム72の他端部72bは、L字形の短辺側の部分に対応しており、後述するフロート90が取り付けられる。
【0025】
バランサ73は、例えば、ステンレスなどの耐腐食性を有する金属からなり、略円柱形状に形成されているともに、その軸に沿ってフロートアーム72の一端部72aが挿通されるバランサ貫通孔74が設けられている。
【0026】
固定手段75は、位置決め部76と、プッシュナット77と、抜け止め部78と、を備えている。
【0027】
位置決め部76は、例えば、プレス機などによってフロートアーム72の一端部72aの一部を軸方向と直交する方向に矩形平板形状に潰し加工して形成した潰し部で構成されている。位置決め部76の幅は、バランサ貫通孔74の径より大きくされている。
【0028】
位置決め部76は、一端部72aの先端からバランサ73の長さより離れた箇所に設けられている。これにより、バランサ貫通孔74にフロートアーム72の一端部72aを挿通してバランサ73の一端面73aを位置決め部76に当接させたときに、当該一端部72aの先端部分72a1がバランサ73の他端面73bから突出される。
【0029】
位置決め部76は、バランサ73に当接してフロートアーム72の一端部72aと反対の他端部72b側への当該バランサ73の移動を規制する。
【0030】
プッシュナット77は、例えば、ステンレスなどの耐腐食性を有する金属からなり、図1(d)に示すように、略円環状に形成されている。プッシュナット77は、リング部77aと、リング部77aの内縁から中心側に向けて延設されたテーパ部77bと、で構成されている。テーパ部77bには、放射状に複数のスリット77cが設けられている。プッシュナット77(即ち、テーパ部77b)の内縁77dの径は、フロートアーム72の一端部72aの径より小さくされている。テーパ部77bは、内縁77dを拡径する方向に弾性変形可能に形成されている。
【0031】
プッシュナット77は、その内側にフロートアーム72の一端部72aにおけるバランサ73の他端面73bから突出された先端部分72a1が挿通されるとともに、リング部77aがバランサ73に当接するように配置される。プッシュナット77の内側に一端部72aが挿通されると、プッシュナット77は、内縁77dを広げるようにしてテーパ部77bが弾性変形するとともに当該内縁77dを一端部72aに突き立てて一端部72aに係止して、テーパ部77bの弾性力によりリング部77aを通じてバランサ73をフロートアーム72の他端部72b側に向けて付勢する。これにより、バランサ73は、位置決め部76に押しつけられて移動が規制される、即ち、一端部72aに固定して取り付けられる。
【0032】
抜け止め部78は、例えば、プレス機などによってフロートアーム72の一端部72aにおけるバランサ73の他端面73bから突出された先端部分72a1の一部を軸方向と直交する方向に矩形平板形状に潰し加工して形成された潰し部で構成されている。抜け止め部78の幅は、フロートアーム72の一端部72aの径より大きくされている。抜け止め部78は、その一端がプッシュナット77に当接する箇所に設けられている。これにより、抜け止め部78は、プッシュナット77におけるバランサ73から離れる方向への移動を規制する。
【0033】
次に、上述したフロートアーム組立体71の組立方法について、図2(a)〜(d)を参照して説明する。
【0034】
まず、図2(a)に示すように、L字形のフロートアーム72の一端部72aの一部をプレス機を用いて矩形平板状に押し潰して位置決め部76を形成する。次に、図2(b)に示すように、バランサ73の一端面73a側からフロートアーム72の一端部72aをバランサ貫通孔74に挿通して、バランサ73の一端面73aが位置決め部76に当接するようにバランサ73を位置づける。
【0035】
そして、図2(c)に示すように、プッシュナット77の内側にフロートアーム72の一端部72aを押し込んで挿通し、プッシュナット77のリング部77aがバランサ73の他端面73bに当接するように、プッシュナット77を位置づける。そのあと、図2(d)に示すように、フロートアーム72の一端部72aにおけるバランサ貫通孔74の他端面73b側から突出された先端部分72a1の一部をプレス機を用いて矩形平板状に押し潰して抜け止め部78を形成する。このようにして、フロートアーム組立体71が組み立てられる。
【0036】
以上より、本実施形態によれば、フロートアーム72にバランサ73を固定する固定手段75が、バランサ73に当接してフロートアーム72の一端部72aと反対の他端部72b側への当該バランサ73の移動を規制するようにフロートアーム72に形成された位置決め部76と、バランサ73を位置決め部76に付勢するようにフロートアーム72の一端部72aにおけるバランサ貫通孔74からの突出された先端部分72a1(即ち、突出部分)に固定されたプッシュナット77と、を有しているので、プッシュナット77がバランサ73を位置決め部76に付勢することによりバランサ73ががたつくことなくフロートアーム72に固定され、そのため、ろう付けを用いることなくフロートアーム72とバランサ73とを互いに固定することができ、フロートアーム72及びバランサ73を耐腐食性を有する材料で構成することで、腐食性の高い液体の液面レベルの検出に用いることができる。
【0037】
また、固定手段75が、バランサ73に当接することにより当該バランサ73の移動を規制するようにフロートアーム72に形成された位置決め部76と、バランサ73を位置決め部76に付勢するプッシュナット77と、を有するので、例えば、ナットなどを用いてバランサ73を固定した場合、フロートアーム72にねじ溝が必要になるなど複雑な構成になってしまうが、プッシュナット77を用いることにより簡易な構成によりフロートアーム72とバランサ73とを互いに固定することができ、製造コストを低減できる。
【0038】
また、位置決め部76が、フロートアーム72の一部を潰し加工して形成された矩形平板状の潰し部で構成されているので、この潰し部は、プレス機などによってフロートアーム72の一部を潰すことにより容易に形成することができ、そのため、製造コストをさらに低減できる。
【0039】
また、固定手段75が、プッシュナット77に当接してバランサ73から離れる方向への当該プッシュナット77の移動を規制するようにフロートアーム72に形成された抜け止め部78をさらに有しているので、プッシュナット77の緩みや脱落などを防ぐことができ、フロートアーム72とバランサ73とをより確実に固定することができる。
【0040】
また、抜け止め部78が、フロートアーム72の一部を潰し加工して形成された矩形平板状の潰し部で構成されているので、この潰し部は、プレス機などによってフロートアーム72の一部を潰すことにより容易に形成することができ、そのため、製造コストをさらに低減できる。
【0041】
上述した本実施形態では、位置決め部76が、プレス機でフロートアーム72の一端部72aの一部を潰し加工して形成された潰し部で構成されていたが、これに限定されるものではない。このような位置決め部76に代えて、図3(a)に示すように、フロートアーム72の一端部72aを直角に折り曲げた折り曲げ部で構成された位置決め部76Aや、図3(b)に示すように、U字形に折り曲げた折り曲げ部で構成された位置決め部76Bとするなど、バランサ73に当接してフロートアーム72の一端部72aと反対の他端部72b側への当該バランサ73の移動を規制するものであれば、本発明の目的に反しない限り、位置決め部の構成は任意である。また、抜け止め部78の構成についても、例えば、位置決め部76と同様に直角又はU字形に折り曲げた折り曲げ部とするなど、プッシュナット77に当接してバランサ73から離れる方向への当該プッシュナット77の移動を規制するものであれば、本発明の目的に反しない限り、抜け止め部の構成は任意である。図3(a)、(b)において、上述した本実施形態と同一部分には同一符号を付している。
【0042】
(実施形態2)
次に、本発明の一実施形態の液面レベルセンサを、図4図6を参照して説明する。本実施形態の液面レベルセンサは、例えば、タンクに収容された液化石油ガスなどの液面レベルを検出などに用いられる。
【0043】
液面レベルセンサ1は、図4図6に示すように、ケース10と、指針機構部30と、駆動機構部50と、フロート部70と、を有している。
【0044】
ケース10は、例えば、ステンレスなどの耐腐食性を有する金属からなり、上ケース部11と、下ケース部21と、がネジ12によって互いに固定されて構成されている。
【0045】
上ケース部11は、略有底円筒形状の上部分11aと、この上部分11aの底面に同軸に重ねられた当該上部分11aより小径の略円筒形状の下部分11bと、が互いに一体に設けられている。
【0046】
上ケース部11には、上記上部分11aの内側空間として上方に向けて開口された略円柱形状の空間である第1収容室14と、即ち、上記下部分11bの内側空間として下方に向けて開口された略円柱形状の空間である第2収容室15と、が設けられている。第1収容室14には、後述する指針機構部30が収容されている。第2収容室15には、後述する駆動マグネット52が収容されている。
【0047】
下ケース部21は、長尺でかつ上記下部分11bより小径の円筒形状に形成されている。下ケース部21の一端部21aの内側及び他端部21bの内側には、後述する駆動機構部50のシャフト51を回動可能に軸支する軸受部22、23が設けられている。また、下ケース部21の一端部21aには、外周面全周にわたってフランジ24が設けられている。フランジ24の外径は、上ケース部11の一端部11cの外径(即ち、上ケース部11の下部分11bの外径)と同一に形成されている。
【0048】
フランジ24は、上ケース部11の一端部11cに重ねられて、ネジ12によって当該一端部11cに固定される。これにより、第2収容室15の開口が下ケース部21によって塞がれる。
【0049】
指針機構部30は、ベース31と、指針ユニット35と、カバー49と、を備えている。
【0050】
ベース31は、例えば、合成樹脂などを用いて、第1収容室14の径と同一の外径の円板形状に形成されている。ベース31の上面31aの周縁部には、後述の指針ユニット35によって指示される目盛線や数字などの指標31cが形成されている。また、ベース31の上面31aの中央部分には、上方に向けて開口された略円柱形状の空間である指針ユニット収容室32が形成されている。この指針ユニット収容室32の底面32aには、円柱状の凸部33が形成されている。ベース31の下面31bは、第1収容室14の底面と同一形状に形成されており、ベース31が第1収容室14に収容されると、ベース31の下面31bが、第1収容室14の底面と密に重なる。ベース31、指針ユニット収容室32及び凸部33は、互いに同軸になるように配置されている。ベース31は、第1収容室14に固定して収容されている。
【0051】
指針ユニット35は、指針部36と、従動マグネット41と、を備えている。
【0052】
指針部36は、例えば、合成樹脂などを用いて互いに一体に形成された指針部本体37と、指針40と、を備えている。指針部本体37は、指針ユニット収容室32の径より若干小さい外径の略有底円筒形状に形成されている。指針部本体37の底壁37aの中央部分には、指針ユニット収容室32の凸部33が回動自在に嵌め合わされる凹部38が設けられている。また、底壁37aの中心には、後述する止めピン47が挿通される底壁貫通孔39が設けられている。指針40は、指針部本体37の周壁37bの開口側端部に、指針部本体37の半径方向外側に向けて棒状に延設されている。
【0053】
従動マグネット41は、指針部本体37の内径と同一の外径の略円柱形状に形成されており、指針部本体37の内側に固定して収容される。従動マグネット41の中心には、軸方向にマグネット貫通孔42が設けられている。このマグネット貫通孔42は、従動マグネット41が指針部本体37に収容されると、指針部本体37の底壁貫通孔39と重なり互いに連通される。従動マグネット41は、後述する駆動マグネット52と磁気的に結合(磁気カップリング)されている。
【0054】
指針ユニット35は、その凹部38の内側に凸部33が位置づけられるようにして指針ユニット収容室32内に収容される。そして、止めピン47をマグネット貫通孔42及び底壁貫通孔39に挿通して当該止めピン47の先端をベース31の凸部33に固定すると、指針ユニット35は、ベース31に回動自在に取り付けられる。また、指針ユニット35の指針40は、ベース31の上面31a上に配置され、回動位置(即ち、計測量)に応じた指標31cを指示する。指針ユニット35は、従動マグネット41と磁気的に結合された駆動マグネット52の回動に伴って回動される。
【0055】
カバー49は、例えば、透明な合成樹脂を用いて、第1収容室14の径と同一の外径の円板状の上壁部49aと、上壁部49aの周縁全周にわたって下方に向けて立設された周壁部49bと、上壁部49aの中央部分に設けられた遮蔽部49cと、を備えている。カバー49は、周壁部49bの先端(即ち、上壁部49aと反対側の端)がベース31を向くようにして第1収容室14に固定して収容されている。カバー49には、上方から見たときにベース31の上面31aに形成された指標31c及び指針ユニット35の指針40が視認され、指針部本体37及び従動マグネット41が視認されないように、遮光塗料で形成された遮蔽部49cが上壁部49aの中央部分に設けられている。
【0056】
駆動機構部50は、シャフト51と、駆動マグネット52と、第1歯車53と、第2歯車54と、を備えている。
【0057】
シャフト51は、例えば、ステンレスなどの耐腐食性を有する金属を用いて、長尺の円柱形状に形成されている。シャフト51は、下ケース部21の軸受部22、23によって、下ケース部21の内側に当該下ケース部21と同軸として回動自在に軸支されている。シャフト51の一端部51aは、下ケース部21の一端部21aから突出して第2収容室15内に位置づけられており、他端部51bは、下ケース部21の他端部21bから突出して下ケース部21外部に位置づけられている。
【0058】
駆動マグネット52は、円板形状(即ち、平たい円柱形状)に形成されており、シャフト51の一端部51aに固定して取り付けられている。駆動マグネット52の中心は、シャフト51の回動軸上に配置されている。
【0059】
第1歯車53は、シャフト51の他端部51bに固定して取り付けられている。第1歯車53の回動軸は、シャフト51の回動軸上に配置されている。第2歯車54は、その回動軸が第1歯車53の回動軸(即ち、シャフト51の回動軸)と直交するようにして、下ケース部21の他端部21bに延設された歯車軸受部25に回動自在に軸支されている。
【0060】
フロート部70は、上述したフロートアーム組立体71と、フロート90と、を備えている。
【0061】
フロート90は、例えば、液面レベルの検出対象の液体に対して耐腐食性や耐浸透性を有する合成樹脂やゴムなどの材料が用いられ、当該材料を発泡させて内部に空気(泡)を含んだ状態で円柱形状に固めたり、中空の楕円球形状に形成したりして、液面レベルの検出対象の液体の比重より軽くなるように構成されている。フロート90は、フロートアーム72の他端部72bに取り付けられている。
【0062】
本実施形態において、フロート90は、高密度ポリエチレンに気泡を含ませて円柱形状に固めたもので構成されており、その軸に沿って貫通孔(図示なし)が設けられている。フロート90は、長さがフロートアーム72のL字形の短辺の長さより若干短く形成されている。フロート90は、その貫通孔にフロートアーム72の他端部72bが挿通され、そして、当該他端部72bの先端に抜け止めピン91が固定して取り付けられることにより、他端部72bに回動可能な状態で取り付けられている。勿論、これに限らず、フロート90は、例えば、接着剤などの固定手段により他端部72bに固定して取り付けられていてもよい。
【0063】
上述した液面レベルセンサ1は、液体が収容される液体タンクに取り付けられる。そして、液面レベルセンサ1のフロート90が、液体タンク内の液体の液面に浮かべられて、液面の上昇及び下降に伴ってフロート90が上下移動されると、この上下移動が第2歯車54、第1歯車53及びシャフト51に順次伝達されて、フロート90の移動量、即ち、液体タンク内の液量に応じて駆動マグネット52が回動される。そして、駆動マグネット52の回動によって従動マグネット41が回動されて、これに伴って、指針部36も回動されて、指針部36に設けられた指針40が、液体タンク内の液体の量に応じた指標31cを指示する。
【0064】
以上より、本実施形態によれば、液面レベルセンサ1が、上述したフロートアーム組立体71を有しているので、プッシュナット77がバランサ73を位置決め部76に付勢することによりバランサ73ががたつくことなくフロートアーム72に固定され、そのため、ろう付けを用いることなくフロートアーム72とバランサ73とを互いに固定することができ、フロートアーム72及びバランサ73を耐腐食性を有する材料で構成することで、腐食性の高い液体の液面レベルの検出に用いることができる。
【0065】
また、固定手段75が、バランサ73に当接することにより当該バランサ73の移動を規制するようにフロートアーム72に形成された位置決め部76と、バランサ73を位置決め部76に付勢するプッシュナット77と、を有するので、例えば、ナットなどを用いてバランサ73を固定した場合、フロートアーム72にねじ溝が必要になるなど複雑な構成になってしまうが、プッシュナット77を用いることにより簡易な構成によりフロートアーム72とバランサ73とを互いに固定することができ、製造コストを低減できる。
【0066】
上述した本実施形態では、液化石油ガスの液面レベルの検出に用いられるフロートアーム組立体及びこのフロートアーム組立体を有する液面レベルセンサについて説明するものであったが、これに限定されるものではなく、液化石油ガス以外にも、亜硫酸やアンモニアなどの腐食性の高い薬液や、プロパンガス、ブタンガスなどの高圧の液化ガスなどに用いてもよく、液面レベルの検出対象の液体は任意である。この場合、検出対象の液体に対して耐腐食性を有する材料を用いてフロートアーム組立体を構成する。また、本発明の液面レベルセンサは、例えば、車両などの移動体に搭載されて、燃料タンク内の燃料残量の計測に用いてもよく、本発明の目的に反しない限り、用途は任意である。
【0067】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 液面レベルセンサ
70 フロート部
71 フロートアーム組立体
72 フロートアーム
72a フロートアームの一端部
72a1 先端部分(突出部分)
72b フロートアームの他端部
73 バランサ
74 バランサ貫通孔(貫通孔)
75、75A、75B 固定手段
76 位置決め部(潰し部)
76A、76B 位置決め部(折り曲げ部)
77 プッシュナット
78 抜け止め部(潰し部)
90 フロート
図1
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