(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるデマンド監視装置を示す構成図である。
図1において、使用電力量読込手段1は例えば電力量計に対するインタフェース機器(例えば、ネットワークI/F、USBポートなど)や、RAMなどの記録媒体から構成されており、例えば電力量計により所定の周期で測定される使用電力量Wtを読み込み、所定期間(例えば、30分)、その使用電力量Wtを記憶する処理を実施する。
積算値算出手段2は例えば積算計などから構成されており、使用電力量読込手段1により読み込まれた使用電力量Wtを積算して、その使用電力量の積算値ΣWを算出する処理を実施する。
【0016】
積算値予測手段3は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、使用電力量読込手段1により読み込まれた使用電力量Wtと積算値算出手段2により算出された積算値ΣWから、所定時間後(所定期間の終了時点)の使用電力量の積算値ΣWを予測し、その予測値ΣW
Pを出力する処理を実施する。
デマンド曲線表示手段4は例えばGPU(Graphics Processing Unit)などから構成されており、所定期間の目標使用電力量を図示せぬディスプレイに表示するとともに、積算値算出手段2により算出された積算値ΣWの遷移を示すデマンド曲線をディスプレイに表示する処理を実施する。
【0017】
予測積算値表示手段5は例えばGPUなどから構成されており、積算値予測手段3により積算値の予測が行われた時刻(現在時刻)上に、積算値予測手段3から出力された予測値ΣW
Pを表示する処理を実施する。
予測履歴線表示手段6は例えばGPUなどから構成されており、積算値予測手段3から出力された予測値ΣW
Pの遷移を示す予測履歴線をディスプレイに表示する処理を実施する。
警報発生手段7は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、積算値予測手段3から出力された予測値ΣW
Pが目標使用電力量より高くなると、警報をディスプレイに表示、あるいは、警報を図示せぬスピーカから出力する処理を実施する。
【0018】
図1の例では、デマンド監視装置の構成要素である使用電力量読込手段1、積算値算出手段2、積算値予測手段3、デマンド曲線表示手段4、予測積算値表示手段5、予測履歴線表示手段6及び警報発生手段7のそれぞれが専用のハードウェアで構成されているものを想定しているが、デマンド監視装置の全部又は一部がコンピュータで構成されていてもよい。
例えば、デマンド監視装置の全部がコンピュータで構成されている場合、使用電力量読込手段1、積算値算出手段2、積算値予測手段3、デマンド曲線表示手段4、予測積算値表示手段5、予測履歴線表示手段6及び警報発生手段7の処理内容を記述しているプログラムをコンピュータのメモリに格納し、当該コンピュータのCPUが当該メモリに格納されているプログラムを実行するようにすればよい。
図2はこの発明の実施の形態1によるデマンド監視装置の処理内容(デマンド監視方法)を示すフローチャートである。
【0019】
次に動作について説明する。
まず、使用電力量読込手段1は、例えば、電力量計により所定の周期(例えば、1分)で測定される使用電力量Wtを読み込み、所定期間(例えば、30分)、その使用電力量Wtを記憶する(
図2のステップST1)。
ここで、tは使用電力量の測定時刻を示しており、Wtは時刻tにおける使用電力量である。
【0020】
積算値算出手段2は、使用電力量読込手段1が使用電力量Wtを読み込んで記憶する毎に、所定期間の開始時点t
0から現在時刻までの使用電力量Wtを積算して、その使用電力量の積算値ΣWを算出する(ステップST2)。
例えば、所定期間の開始時点t
0から18分を経過していれば、所定期間の開始時点t
0から18分間の使用電力量Wtを積算する。
【0021】
積算値予測手段3は、積算値算出手段2が使用電力量の積算値ΣWを算出すると、使用電力量読込手段1により読み込まれた使用電力量Wtと積算値算出手段2により算出された積算値ΣWから、所定時間後(所定期間の終了時点)の使用電力量の積算値ΣWを予測し、その予測値ΣW
Pを出力する(ステップST3)。
積算値予測手段3による積算値ΣWの予測方法は、特に限定されるものではないが、例えば、以下の方法で、使用電力量の積算値ΣWを予測することができる。
【0022】
まず、積算値予測手段3は、電力量読込手段1に記憶されている使用電力量Wtの中から、直近のN個の使用電力量Wt(例えば、N=5)を取得し、下記の式(1)に示すように、直近のN個の使用電力量Wtの平均値W
aveを算出する。
例えば、1分毎に使用電力量Wtが測定されており、所定期間の開始時点t
0から18分を経過していれば、N=5の場合、所定期間の開始時点t
0から18分経過後の使用電力量Wt、17分経過後の使用電力量Wt、16分経過後の使用電力量Wt、15分経過後の使用電力量Wt、14分経過後の使用電力量Wtの平均値W
aveを算出する。
W
ave=N個の使用電力量Wtの総和/N (1)
【0023】
次に、積算値予測手段3は、現在時刻から所定期間の終了時点までの残り時間Trにおけるサンプリング回数M(例えば、1分毎に使用電力量Wtが測定されており、残り時間Trが12分であれば、M=12である)を求め、下記の式(2)に示すように、サンプリング回数Mと、使用電力量Wtの平均値W
aveと、積算値ΣWとから、予測値ΣW
Pを算出する。
ΣW
P=(W
ave×M)+ΣW (2)
【0024】
デマンド曲線表示手段4は、積算値算出手段2が使用電力量の積算値ΣWを算出すると、
図3に示すように、所定期間の目標使用電力量をディスプレイに表示するとともに、その積算値ΣWの遷移を示すデマンド曲線をディスプレイに表示する(ステップST4)。
なお、目標使用電力量は、例えば、大口の電力需要家と電力会社の間で取り決められるものであり、所定期間の使用電力量の積算値ΣWが目標使用電力量を超過すると、違反が認定される。
【0025】
予測積算値表示手段5は、積算値予測手段3が予測値ΣW
Pを算出すると、
図3に示すように、積算値予測手段3により積算値の予測が行われた時刻(現在時刻)上に、その予測値ΣW
Pを表示する(ステップST5)。
なお、従来例では、上述したように、所定期間の終了時点上に予測値ΣW
Pが表示されており、オペレータが表示されている予測値ΣW
Pを見ても、どの時点で予測された値であるのかを一見して把握することができないが、この実施の形態1では、積算値の予測が行われた時刻(現在時刻)上に、その予測値ΣW
Pが表示されているので、オペレータが一見して、現在時刻で予測された予測値であることを把握することができる。
【0026】
予測履歴線表示手段6は、積算値予測手段3が予測値ΣW
Pを算出する毎に、その予測値ΣW
Pの遷移を示す予測履歴線を更新し、
図3に示すように、その予測履歴線をディスプレイに表示する(ステップST6)。
【0027】
警報発生手段7は、積算値予測手段3が予測値ΣW
Pを算出すると、その予測値ΣW
Pと目標使用電力量を比較し(ステップST7)、その予測値ΣW
Pが目標使用電力量より高くなると、その旨を示す警報をディスプレイに表示する(ステップST8)。
あるいは、予測値ΣW
Pが目標使用電力量より高くなっている旨を示す警報をスピーカから出力する。
【0028】
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、使用電力量読込手段1により読み込まれた使用電力量Wtと積算値算出手段2により算出された積算値ΣWから、所定時間後の使用電力量の積算値を予測する積算値予測手段3を設け、予測積算値表示手段5が、積算値予測手段3により積算値の予測が行われた時刻(現在時刻)上に、積算値予測手段3から出力された予測値ΣW
Pを表示するように構成したので、オペレータが一見して、どの時点で予測された積算値の予測値ΣW
Pであるのかを把握することができる効果を奏する。
【0029】
また、この実施の形態1によれば、予測履歴線表示手段6が、積算値予測手段3から出力された予測値ΣW
Pの遷移を示す予測履歴線をディスプレイに表示するように構成したので、オペレータが使用電力量の積算値の予測状況を容易に把握することができる効果を奏する。
【0030】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、予測履歴線表示手段6が、積算値予測手段3が予測値ΣW
Pを算出する毎に、その予測値ΣW
Pの遷移を示す予測履歴線を更新して、その予測履歴線をディスプレイに表示するものを示したが、
図4に示すように、予測履歴線表示手段6が、その予測履歴線と一緒に目標使用電力量のオフセット範囲を示すオフセット範囲の上限線・下限線をディスプレイに表示するようにしてもよい。
【0031】
このように、オフセット範囲の上限線・下限線が表示されている場合、予測値ΣW
Pが目標使用電力量のオフセット範囲内に収まっているか否かを確認することができるため、予測値ΣW
Pと目標使用電力量間の高低の関係だけでなく、予測値ΣW
Pと目標使用電力量の差が、どの程度であるかを一見して把握することができる。
このため、使用電力量の積算値ΣWが目標使用電力量を超える可能性があるか否かを的確に把握して、使用電力量を適正に調整することができるようになる。
【0032】
また、本願発明はその発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。