(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
吸収体、該吸収体の内面側に配された表面シート及び該吸収体の外面側に配された外層複合シートを含む吸収性本体と、該吸収性本体の長手方向の一方又は両方の側部に取り付けられた伸縮性のサイドパネルを備えた使い捨ておむつであって、
前記サイドパネルは、先端部にファスニングテープが設けられており、
前記吸収性本体は、該吸収性本体の長手方向の両側部に配された立体ガード形成用シートを有しており、
前記立体ガード形成用シートは、一枚のシートの両側部が折り返され互いに重なり合って積層されてなる2層構造部分と3層構造部分とを有し、該2層構造部分及び該3層構造部分はそれぞれ層間が接合されており、前記吸収性本体の長手方向の両側部において、前記サイドパネルを構成するシートに固定されており、
前記3層構造部分は、一枚の前記立体ガード形成用シートの前記サイドパネル側の外方端部及び前記吸収性本体側の内方端部を、それぞれ、該立体ガード形成用シートの外面側又は内面側に折り返して形成されており、
前記3層構造部分は、前記サイドパネルを構成するシート及び前記吸収性本体を構成するシートの何れか一方又は両方に固定されている使い捨ておむつ。
前記3層構造部分は、一枚の前記立体ガード形成用シートの前記サイドパネル側の外方端部及び前記吸収性本体側の内方端部を、それぞれ、該立体ガード形成用シートの外面側に折り返して形成されている請求項1〜3の何れか1項に記載の使い捨ておむつ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を、その好ましい実施態様に基づき図面を参照しながら説明する。
本発明の第1実施形態の使い捨ておむつ1A(以下、おむつ1Aともいう)は、
図1に示すように、吸収体23、該吸収体23の内面側に配された表面シート21及び該吸収体23の外面側に配された外層複合シート22を含む吸収性本体2と、該吸収性本体2の長手方向の両側部に取り付けられた伸縮性のサイドパネル3,3を備えている。
【0011】
吸収性本体2は、おむつ1Aにおいては、
図1に示すように、縦長の形状を有しており、着用時に着用者の腹側に位置する腹側部A、着用者の背側に位置する背側部B、及び股間部に位置する股下部Cを有している。吸収性本体2は、
図1に示すように、平面状に拡げた状態において長方形状である。サイドパネル3,3は、背側部Bにおける吸収性本体2の両側部に、それぞれ吸収性本体2の両側縁部から外方に突出するように取り付けられている。サイドパネル3,3は、使い捨ておむつ1Aにおいて、吸収性本体2と後述する立体ガード形成用シート24とに接着剤層を介して固定されている。
使い捨ておむつ1Aの長手方向は、図中のY方向であり、吸収性本体の長手方向と同方向である。使い捨ておむつ1Aの幅方向は、図中のX方向であり、吸収性本体2の幅方向と同方向である。以下の説明においては、おむつの長手方向又は該おむつの構成部材のおむつ長手方向に対応する方向を単にY方向、おむつの幅方向又は該おむつの構成部材のおむつ幅方向に対応する方向を単にX方向ともいう。また、おむつやおむつの構成部材における内面は、着用時に、着用者の肌側に向けられる面であり、おむつやおむつの構成部材における外面は、着用時に、着用者の肌とは反対側に向けられる面である。
【0012】
吸収性本体2は、
図1及び
図4に示すように、液透過性の表面シート21と、外層複合シート22と、これら両シート21,22間に介在された液保持性の吸収体23とを有している。外層複合シート22は、液不透過性又は液難透過性(撥水性を含む)の防漏シート22aと、該防漏シート22aの外面側(
図4中Q側)に外層接着剤層61を介して接合された外層不織布22bとを有している。外層不織布22bは、吸収性本体2と平面視形状が等しく、防漏シート22aは、
図4に示すように、X方向の幅が若干小さい以外は、外層不織布22bと同様の平面視形状を有している。外層不織布22bの存在により、おむつ外面の肌触りが良好である。
【0013】
おむつ1Aは、
図1に示すように、吸収性本体2の長手方向中央線CLに対して左右対称に形成されている。そのため、サイドパネル3,3の構成、立体ガード形成用シート24の積層状態及びそれらと吸収性本体2との接合態様については、主に
図1の左側を例に説明するが、右側についても左右対称となる以外は同様である。
【0014】
サイドパネル3は、先端部3aにファスニングテープ4が設けられており、おむつ1Aにおいては、
図3及び
図4に示すように、2枚のシート31,32及び該2枚のシート31,32間に固定された弾性部材33を有している。おむつ1Aにおけるサイドパネル3は、
図3に示すように、平面状に拡げた状態において、矩形状である。また、サイドパネル3は、
図4に示すように、不織布製の2枚のシート31,32と、2枚のシート31,32間に、おむつ幅方向(X方向)に伸長した状態で固定されている複数本の弾性部材33とを有している。サイドパネル3の先端部3aに設けられたファスニングテープ4は、サイドパネル3を、他の部位に止着するためのものである。弾性部材33は、それぞれ、おむつ1Aの幅方向(X方向)に沿って配されている。また、各サイドパネル3における複数本の弾性部材33は、おむつの長手方向(Y方向)に略等しい間隔を設けて配されている。
【0015】
吸収性本体2は、該吸収性本体2の長手方向の両側部に配された立体ガード形成用シート24,24を有している。立体ガード形成用シート24は、吸収性本体2の長手方向の側部に、吸収性本体2の全長に亘って配されている。立体ガード形成用シート24は、吸収性本体2の幅方向(X方向)内方側の端縁近傍に該端縁に沿って立体ガード形成用の弾性部材25を有しており、着用時には、その弾性部材25の収縮力により、股下部Cにおける、該端縁から所定幅の部分が表面シート21から離間して立体ガードを形成する。また、吸収性本体2の長手方向両側部の脚廻りに配される部分には、レッグギャザー形成用の弾性部材26が配されている。
【0016】
立体ガード形成用シート24は、一枚のシートの両側部が折り返され互いに重なり合って積層されてなる2層構造部分24aと3層構造部分24bとを有し、2層構造部分24a及び3層構造部分24bはそれぞれ層間が接合されている。このように、立体ガード形成用シート24は、一枚のシートの両側部が折り返され互いに重なり合って、二層間が熱融着により接合されている2層構造部分24aと三層間が熱融着により接合されている3層構造部分24bとを有している。詳述すると、おむつ1Aの3層構造部分24bは、
図3及び
図4に示すように、一枚の立体ガード形成用シート24のサイドパネル3側の外方端部24O(長手方向中央線CLと反対側)及び吸収性本体2側(長手方向中央線CL側)の内方端部24Iを、それぞれ、立体ガード形成用シート24の外面側(
図4中Q側)に折り返して形成されている。そして、おむつ1Aの3層構造部分は、折り返された外方端部24Oが、折り返された内方端部24Iで覆われて形成されている。即ち、折り返された外方端部24Oの外面と折り返された内方端部24Iの内面とが熱融着により接合されている。従って、折り返された立体ガード形成用シート24は、環状(無端状)に形成されている。
【0017】
おむつ1Aにおいては、折り返された立体ガード形成用シート24の層間、即ち、2層構造部分24a及び3層構造部分24bの両方の層間が、
図3に示すように、散点状に配した複数の第1熱融着部27により接合されており、折り返された立体ガード形成用シート24は、一枚のシート状となされている。尚、上述した立体ガード形成用の弾性部材25は、折り返された立体ガード形成用シート24の内部に配されている。第1熱融着部27の形状は、特に制限されず、例えば、円形、楕円形、菱形、三角形、多角形等の任意の形状であってもよい。1個の第1熱融着部27のシールパターン面積は、層間の浮きを防ぐとともに、装着感を損なわないようにする観点から、0.5mm
2以上であることが好ましく、1.5mm
2以上であることが更に好ましく、また、10mm
2以下であることが好ましく、5mm
2以下であることが更に好ましく、より具体的には0.5mm
2以上10mm
2以下であることが好ましく、1.5mm
2以上5mm
2以下であることが更に好ましい。折り返された立体ガード形成用シート24の総面積に対する複数の第1熱融着部27の総シールパターン面積の割合は、強度確保と製品の柔らかさ確保の観点から、2%以上であることが好ましく、5%以上であることが更に好ましく、また、15%以下であることが好ましく、10%以下であることが更に好ましく、より具体的には2%以上15%以下であることが好ましく、5%以上10%以下がより好ましい。第1熱融着部27は、立体ガード形成用シート24の立体ガード形成用の弾性部材25の近傍や、股下部C等のレッグギャザー形成用の弾性部材26が配置されている部分においては、該弾性部材を避けて設けることが好ましい。
【0018】
第1熱融着部27は、例えばヒートシール、超音波シール、高周波シール、又はこれらの2種以上の組み合わせ等を用いて形成することができる。おむつ1Aの第1熱融着部27の形成パターンは、散点状に配されたドットパターンであるが、それに制限されるものではなく、例えば、線状の熱融着部がおむつ1Aの長手方向等に1本又は複数本形成される線状パターンや、格子状パターン等であってもよい。また、2種以上のシールパターンを併用してもよい。
【0019】
折り返された立体ガード形成用シート24の層間の内の3層構造部分24bに関しては、更に、第2熱融着部28により層間が接合されている。第2熱融着部28は、線状の形状で、おむつ1Aの長手方向(Y方向)と交差している。詳細には、
図3に示すように、おむつ1Aにおいては、折り返された外方端部24Oの縁24O1上に複数の内方第2熱融着部28Iが長手方向(Y方向)に略等間隔を空けて配され、内方端部24Iの縁24I1上に複数の外方第2熱融着部28Oが長手方向(Y方向)に略等間隔を空けて配されている。各内方第2熱融着部28Iは、線状の形状で、長手方向(Y方向)に沿って延びる外方端部24Oの縁24O1と交差しており、2層構造部分24aと3層構造部分24bとに跨って配されている。また、各外方第2熱融着部28Oも、線状の形状で、長手方向(Y方向)に沿って延びる内方端部24Iの縁24I1と交差しており、2層構造部分24aと3層構造部分24bとに跨って配されている。
図3に示すように、おむつ1Aにおいては、各内方第2熱融着部28I及び各外方第2熱融着部28Oは、長手方向(Y方向)に、互い違いに配されている。各内方第2熱融着部28Iと外方端部24Oの縁24O1とのなす角αは、X方向へのパネル引張りにおいて、立体ガード形成用シートの層間の熱融着部の剥離を防ぐために、引っ張り方向に対しての力を分散させる観点から、0°よりも大きいことが好ましく、20°以上が更に好ましく、30°以上が特に好ましい。また、70°以下が好ましく、60°以下が更に好ましい。より具体的には、20°以上70°以下であることが更に好ましく、30°以上60°以下であることが特に好ましい。各外方第2熱融着部28Oと内方端部24Iの縁24I1とのなす角βは、同様の観点から、0°よりも大きいことが好ましく、20°以上が更に好ましく、30°以上が特に好ましい。また、70°以下が好ましく、60°以下が更に好ましい。より具体的には、20°以上70°以下であることが更に好ましく、30°以上60°以下であることが特に好ましい。
【0020】
このように、第1熱融着部27は、少なくとも2層構造部分24aを接合するものであり、
図3に示すように、3層構造部分24bも接合することが好ましいものである。また、第2熱融着部28は、主に3層構造部分24bを接合するものであり、
図3に示す外方第2熱融着部28O及び内方第2熱融着部28Iのように、3層構造部分24bのみならず、2層構造部分24aと3層構造部分24bとに跨って配されていてもよい。
【0021】
内方第2熱融着部28I及び外方第2熱融着部28Oの形状は、特に制限されず、例えば、楕円形、菱形、三角形、多角形等の任意の形状であってもよい。1個の内方第2熱融着部28I又は1個の外方第2熱融着部28Oのシールパターン面積は、3層構造部分の熱融着部を強固にし、立体ガード形成用シートの層間の剥離を防ぐための観点から、1.5mm
2以上が好ましく、3mm
2以上が更に好ましく、また20mm
2以下が好ましく、10mm
2以下が更に好ましく、より具体的には、1.5mm
2以上20mm
2以下であることが好ましく、3mm
2以上10mm
2以下であることが更に好ましい。このように、1個の第2熱融着部28のシールパターン面積は、1個の第1熱融着部27のシールパターン面積よりも大きいことが好ましい。折り返された立体ガード形成用シート24の総面積に対する、複数の内方第2熱融着部28Iのシールパターン面積と複数の外方第2熱融着部28Oのシールパターン面積とを合算した総面積の割合は、強度確保および装着感の観点から、1%以上が好ましく、3%以上が更に好ましく、また10%以下が好ましく、8%以下が更に好ましく、より具体的には、1%以上10%以下であることが好ましく、3%以上8%以下であることが更に好ましい。長手方向(Y方向)に隣り合う内方第2熱融着部28Iどうしの間隔又は外方第2熱融着部28Oどうしの間隔は、3層部分の強固な熱融着を確保するための観点から、0.5mm以上が好ましく、また5mm以下であることが好ましく、3mm以下であることが更に好ましく、より具体的には0.5mm以上3mm以下が更に好ましい。
【0022】
尚、上述したように、おむつ1Aにおいては、第2熱融着部28が、内方第2熱融着部28Iと外方第2熱融着部28Oとの2種類の融着部から形成されているが、1種類の融着部のみから形成されていてもよい。このような1種類の融着部が、長手方向(Y方向)に略等間隔を空けて複数配されている場合、1種類の融着部1個のシールパターン面積は、3層構造部分の熱融着部を強固にし、立体ガード形成用シートの層間の剥離を防ぐための観点から、1.5mm
2以上であることが好ましく、3mm
2以上であることが更に好ましく、また20mm
2以下であることが好ましく、10mm
2以下であることが更に好ましく、より具体的には1.5mm
2以上20mm
2以下であることが好ましく、3mm
2以上10mm
2以下であることが更に好ましい。折り返された立体ガード形成用シート24の総面積に対する、複数個の1種類の融着部それぞれのシールパターン面積を合算した総面積の割合は、強度確保および装着感の観点から、1%以上であることが好ましく、3%以上であることが更に好ましく、また10%以下であることが好ましく、8%以下であることが更に好ましく、より具体的には1%以上10%以下であることが好ましく、3%以上8%以下であることが更に好ましい。長手方向(Y方向)に隣り合う1種類の融着部どうしの間隔は、3層部分の強固な熱融着を確保するための観点から、0.5mm以上が好ましく、また5mm以下であることが好ましく、3mm以下であることが更に好ましく、より具体的には0.5mm以上3mm以下が更に好ましい。
【0023】
立体ガード形成用シート24は、吸収性本体2の長手方向の両側部において、
図4に示すように、サイドパネル3を構成するシート31に固定されており、おむつ1Aにおいては、表面側接着剤層66を介してシート31に固定されていると共に、表面シート21に接着剤層67を介して固定され、該表面シートの側縁から幅方向(X方向)外方に延出した外層複合シート22に接続用接着剤層62を介して固定されている。また、おむつ1Aの立体ガード形成用シート24は、吸収性本体2の長手方向の両側部において、表面シート21に接着剤層68を介して固定されている。接着剤層68は、
図4に示すように、接着剤層67よりも幅方向(X方向)内方側(長手方向中央線CL側)に設けられており、腹側部A及び背側部Bに設けられる一方、股下部Cには設けられない。接着剤層68以外の、接着剤層67、接続用接着剤層62及び表面側接着剤層66は、吸収性本体2の略全長に亘って形成されている。
【0024】
おむつ1Aにおいては、
図4に示すように、3層構造部分24bのみが表面側接着剤層66の上に配されている。即ち、幅方向(X方向)において、
図4に示すように、3層構造部分24bの位置と、表面側接着剤層66の位置とが一致している。また、3層構造部分24bの幅と、表面側接着剤層66の幅とは一致している。折り返された立体ガード形成用シート24の総面積に対する3層構造部分24bの面積の割合は、3層構造部分での強度確保および装着感の観点から、3%以上が好ましく、5%以上が更に好ましく、また25%以下が好ましく、15%以下が更に好ましく、具体的には3%以上25%以下であることが好ましく、5%以上15%以下であることが更に好ましい。3層構造部分24bの幅W1は、前述の面積の割合と同様の観点から、2mm以上が好まし、5mm以上が更に好ましく、20mm以下が好ましく、15mm以下が更に好ましく、具体的には2mm以上20mm以下が好ましく、5mm以上15mm以下であることが更に好ましい。
【0025】
おむつ1Aにおけるサイドパネル3は、
図4に示すように、本体側接着剤層35、先端側接着剤層36及び複数本の中間接着剤層37を有している。これらの接着剤層35,36,37は、何れも、おむつ長手方向(Y方向)に延びて形成されている。また、これらの接着剤層35,36,37においては、複数本の弾性部材33が、各接着剤層を構成する接着剤を介して2枚のシート31,32間に伸長状態で固定されていると共に、弾性部材33が介在していない部位においては2枚のシート31,32どうしが各接着剤層を構成する接着剤を介して直接接合されている。
【0026】
本体側接着剤層35は、サイドパネル3の延出方向における吸収性本体2側に設けられており、個々の弾性部材33の、吸収性本体2側の端部又はその近傍を固定している。先端側接着剤層36は、サイドパネル3の延出方向における先端部3a側に設けられており、個々の弾性部材33の、サイドパネル3の先端部3a側の端部又はその近傍を固定している。中間接着剤層37は、サイドパネル3の延出方向における本体側接着剤層35と先端側接着剤層36との間の領域である中間領域30に複数本設けられている。中間接着剤層37は、前記の両接着剤層35,36の何れよりも幅が小さく、中間領域30に間欠的に複数本形成されている。サイドパネル3の延出方向において、本体側接着剤層35とそれと隣接する中間接着剤層37との間、隣接する中間接着剤層37どうし間、及び、先端側接着剤層36とそれと隣接する中間接着剤層37との間には、それぞれ、接着剤が配されていない非接着領域38が形成されている。本実施形態のおむつ1Aにおいては、サイドパネル3の延出方向は、おむつ幅方向と一致している。
【0027】
本体側接着剤層35、先端側接着剤層36及び中間接着剤層37は、何れも、X方向に延びる複数本(より好ましくは3本以上)の弾性部材33と交差しておむつ長手方向(Y方向)に延びている。本体側接着剤層35、先端側接着剤層36及び中間接着剤層37は、何れも、X方向に延びる総ての弾性部材33と交差しておむつ長手方向(Y方向)に延びていることが好ましく、サイドパネル3の上下縁3u,3d間の全長に亘っていることが更に好ましい。
非接着領域38も同様に、X方向に延びる複数本(より好ましくは3本以上)の弾性部材33と交差しておむつ長手方向(Y方向)に延びている。非接着領域38も、X方向に延びる総ての弾性部材33と交差しておむつ長手方向(Y方向)に延びていることが好ましく、サイドパネル3の上下縁3u,3d間の全長に亘っていることが更に好ましい。
【0028】
おむつ1Aにおけるサイドパネル3は、
図4に示すように、吸収性本体2側の端部3b(以下、基端部3bともいう)が、本体側接着剤層35と一部が重なる補強用接着剤層63を用いて補強されている。より具体的には、
図4に示すように、サイドパネル3を構成する前記2枚のシート31,32のうちの、サイドパネル3の外面側(
図4中Q側)に位置するシート32が、サイドパネル3の基端部3bにおいて該シート32の外面側(
図4中Q側)に折り返されており、その折り返された部分が、補強用接着剤層63を介して該シート32の外面に接合されている。
サイドパネル3の基端部3bは、このような構成によって補強されているため、剛性が適度に高く、またX方向の引っ張り力に対して破損しにくい充分な強度を有するものとなっている。
なお、サイドパネルを構成するシートを折り返す方向に関し、「シートの内面側」は図中P側(サイドパネルの着用者の肌側に向けられる面側)であり、「シートの外面側」は図中Q側(サイドパネルの着用者の肌とは反対側に向けられる面側)である。
【0029】
そして、サイドパネル3は、このようにして補強された基端部3bが、接続用接着剤層62によって外層複合シート22と接合されている。
図4に示す接続用接着剤層62は、サイドパネル3の基端部3bと防漏シート22aとの間を接合していると共に、サイドパネル3の基端部3bと、防漏シート22aの端縁から延出した外層不織布22bとの間、及び防漏シート22aと立体ガード形成用シート24及び/又は表面シート21との間を接合している。サイドパネルの基端部3bは防漏シート22aと外層不織布22bとが外層接着剤層61と一体化された部分に接合されていることが好ましい。
【0030】
尚、おむつ1Aにおいては、
図4に示すように、サイドパネル3を構成する前記2枚のシート31,32のうちの、他方の、サイドパネル3の内面側(
図4中P側)に位置するシート31は、その端部3bが、該シート31の外面側にも内面側にも折り返されていない。
【0031】
図4に示すように、おむつ1Aの幅方向(X方向)において、本体側接着剤層35は、外層接着剤層61より外方に離間させて形成されている。即ち、本体側接着剤層35は、外層接着剤層61のおむつ幅方向外方側の端部61aより外方(
図4中左側)に形成されており、本体側接着剤層35と外層接着剤層61とは、相互に重なる部分を有することなくX方向に離間させて形成されている。
他方、おむつ幅方向(X方向)において、本体側接着剤層35、補強用接着剤層63、接続用接着剤層62及び外層接着剤層61は、おむつ幅方向に隙間(接着剤層の不存在部)が生じないように重ね合わされている。即ち、本体側接着剤層35及び補強用接着剤層62は相互に重なる部分P3を有し、補強用接着剤層63及び接続用接着剤層62も相互に重なる部分P2を有し、接続用接着剤層62及び外層接着剤層61も相互に重なる部分P1を有している。相互に重なる2つの接着剤層間には一枚のシートが介在しており、一方の接着剤層が該シートの片面に接合しており、他方の接着剤層が該シートの他面に接合している。
また、本体側接着剤層35、補強用接着剤層63、接続用接着剤層62及び外層接着剤層61は、幅方向中心位置をX方向にずらして形成されている。また、これらの接着剤層35,63,62,61は、サイドパネル3の先端部3a側の端部35a,63a,62a,61aが、X方向の外方側(
図4中左側)から内方側(
図4中右側)に向かって、この順に並ぶように配されている。
【0032】
本体側接着剤層35、補強用接着剤層63、接続用接着剤層62及び外層接着剤層61は、上述した態様(特に
図4に示す態様)で、ファスニングテープ4のY方向の全長に亘って延在していることが好ましく、同様の態様で、サイドパネル3のY方向の全長に亘って延在していることがより好ましい。
【0033】
また、おむつ1Aにおけるサイドパネル3は、
図4に示すように、その先端部3aも、先端側接着剤層36と一部が重なる第2補強用接着剤層64を用いて補強されている。より具体的には、
図4に示すように、サイドパネル3を構成する前記2枚のシート31,32のうちの、サイドパネル3の外面側(
図4中Q側)に位置するシート32が、サイドパネル3の先端部3aにおいて該シート32の外面側(
図4中Q側)に折り返されており、その折り返された部分が、第2補強用接着剤層64を介して該シート32の外面に接合されている。
サイドパネル3の先端部3aは、このような構成によって補強されているため、適度に剛性が高く、またX方向の引っ張り力に対して破損しにくい充分な強度を有するものとなっている。
【0034】
そして、サイドパネル3は、このようにして補強された先端部3aが、第2接続用接着剤層65によってファスニングテープ4と接合されている。
ファスニングテープ4は、テープ基材42と、該テープ基材42に接合されて止着部41を形成する機械的面ファスナーのオス部材とからなる。そして、ファスニングテープ4における、テープ基材42のみからなる部分が、サイドパネル3の先端部3aに重ねて接合されている。本実施形態においては、サイドパネル3の先端部3aとテープ基材42との間は、第2接続用接着剤層65を介して接合されている。機械的面ファスナーのオス部材をテープ基材42に固定する方法としては、熱融着や接着剤による接着等の任意の接合方法が用いられる。
なお、おむつ1Aの腹側部Aの外面には、ファスニングテープ4、より具体的にはファスニングテープ4の止着部41を止着させるランディングゾーン5が設けられている。
【0035】
尚、おむつ1Aにおいては、
図4に示すように、サイドパネル3を構成する前記2枚のシート31,32のうちの、他方の、サイドパネル3の内面側(
図4中P側)に位置するシート31は、その先端部3aが、該シート31の外面側にも内面側にも折り返されていない。
【0036】
図4に示すように、おむつ1Aの幅方向(X方向)において、先端側接着剤層36は、第2接続用接着剤層65より内方に離間させて形成されている。即ち、先端側接着剤層36は、第2接続用接着剤層65のおむつ幅方向内方側の端部65bより内方(
図4中右側)に形成されており、先端側接着剤層36と第2接続用接着剤層65とは、相互に重なる部分を有することなくX方向に離間させて形成されている。
他方、おむつ幅方向(X方向)において、先端側接着剤層36、第2補強用接着剤層64及び第2接続用接着剤層65は、おむつ幅方向に隙間(接着剤層の不存在部)が生じないように重ね合わされている。即ち、先端側接着剤層36及び第2補強用接着剤層64は相互に重なる部分P4を有し、第2補強用接着剤層64及び第2接続用接着剤層65も相互に重なる部分P5を有している。相互に重なる2つの接着剤層間には一枚のシートが介在しており、一方の接着剤層が該シートの片面に接合しており、他方の接着剤層が該シートの他面に接合している。
また、先端側接着剤層36、第2補強用接着剤層64及び第2接続用接着剤層65は、幅方向中心位置をX方向にずらして形成されている。また、これらの接着剤層36,64,65は、それぞれのX方向の両端部のうちの、サイドパネル3の基端部3b側の端部36b,64b,65bが、X方向の内方側(
図4中右側)から外方側(
図4中左側)に向かって、この順に並ぶように配されている。
【0037】
先端側接着剤層36及び第2補強用接着剤層64は、上述した態様(特に
図4に示す態様)で、ファスニングテープ4のY方向の全長に亘って延在していることが好ましく、同様の態様で、サイドパネル3のY方向の全長に亘って延在していることがより好ましい。第2接続用接着剤層65は、ファスニングテープ4のY方向の全長の50%以上の長さに亘って、上述した態様(特に
図4に示す態様)で延在していることが好ましく、同様の態様で、ファスニングテープ4のY方向の全長に亘って延在していることがより好ましい。
【0038】
第1実施形態の使い捨ておむつ1Aを、着用者に装着する際には、ファスニングテープ4を手で引っ張り、サイドパネル3を伸長させた状態で、該ファスニングテープ4の止着部41を、ランディングゾーン5に押し付けて止着する。
【0039】
第1実施形態の使い捨ておむつ1Aによれば、
図3及び
図4に示すように、立体ガード形成用シート24が、一枚のシートの両側部が折り返され互いに重なり合って積層されてなる2層構造部分24aと3層構造部分24bとを有し、2層構造部分24a及び3層構造部分24bはそれぞれ層間が接合されている。その為、立体ガード形成用シート24の引っ張り強度が増し易く、おむつ1Aを装着する際に、立体ガード形成用シート24が固定されたサイドパネル3に設けられたファスニングテープ4を引っ張ったとしても、サイドパネル3と吸収性本体2の接合部やその近傍、或いはサイドパネル3に裂けや破れが生じ難く、使用感が向上する。
【0040】
また、第1実施形態の使い捨ておむつ1Aによれば、
図3及び
図4に示すように、折り返された立体ガード形成用シート24の層間(2層構造部分24a及び3層構造部分24b)が、複数の第1熱融着部27により接合され、1枚のシート状となっている。その為、おむつ1Aを装着する際に、立体ガード形成用シート24が固定されたサイドパネル3に設けられたファスニングテープ4を引っ張ったとしても、サイドパネル3に裂けや破れが更に生じ難く、使用感が向上する。特に、おむつ1Aにおいては、折り返された外方端部24Oが、折り返された内方端部24Iで覆われて形成されている。即ち、折り返された外方端部24Oの外面と折り返された内方端部24Iの内面とが熱融着により接合されて、立体ガード形成用シート24が環状(無端状)に形成されているので、おむつ1Aを装着する際に、ファスニングテープ4を引っ張ったとしても、折り返された外方端部24Oが影響を受け難く、サイドパネル3に裂けや破れが更に生じ難く、使用感が向上する。
【0041】
また、第1実施形態の使い捨ておむつ1Aによれば、
図3及び
図4に示すように、折り返された立体ガード形成用シート24の3層構造部分24bが、複数の第1熱融着部27に加えて、複数の第2熱融着部28により接合され、1枚のシート状となっている。その為、おむつ1Aを装着する際に、ファスニングテープ4を引っ張ったとしても、サイドパネル3に裂けや破れが更に生じ難く、使用感が向上する。特に、おむつ1Aの第2熱融着部28は、内方第2熱融着部28Iと外方第2熱融着部28Oとの2種類の融着部からなっており、内方第2熱融着部28I及び外方第2熱融着部28Ohが、それぞれ、2層構造部分24aと3層構造部分24bとに跨って配されているので、より強固な1枚のシート状となっている。その為、おむつ1Aを装着する際に、ファスニングテープ4を引っ張ったとしても、サイドパネル3に裂けや破れが更に生じ難く、使用感が向上する。
【0042】
また、第1実施形態の使い捨ておむつ1Aによれば、
図3及び
図4に示すように、立体ガード形成用シート24が、表面側接着剤層66を介してサイドパネル3を構成するシート31に固定されている。しかも、立体ガード形成用シート24は、一枚の立体ガード形成用シート24の両側部を折り返し互いに重なり合うように積層しており、2層構造部分24aと3層構造部分24bとを有している。このように、立体ガード形成用シート24が無端状に形成されているので、サイドパネル3と吸収性本体2の接合部やその近傍、或いはサイドパネル3に、裂けや破れが生じ難く、使用感が向上する。また、立体ガード用形成シートが2層ないし3層の構造となっていることにより、使用時の漏れをより防止する効果もある。
【0043】
また、
図3及び
図4に示すおむつ1Aのように、例えば、3層構造部分24bが、一枚の立体ガード形成用シート24の外方端部24O(長手方向中央線CLと反対側)及び内方端部24Iを、それぞれ、外面側(
図4中Q側)に折り返し、折り返された外方端部24Oが、折り返された内方端部24Iで覆われて形成されていると、折り返された内方端部24Iとサイドパネル3とが表面側接着剤層66により固定されているので、着用者に装着する際に、ファスニングテープ4を手で引っ張り、サイドパネル3を伸長させたとしても、無端状の立体ガード形成用シート24が破れ難く、使用感が向上する。
【0044】
おむつ1Aにおけるサイドパネル3のように、例えば、サイドパネル3の基端部3bが、シート32の折り返し及び補強用接着剤層63により補強されている一方、本体側接着剤層35と外層接着剤層61とがX方向に離間していると、シート31から外層不織布22bまでの総ての層間がX方向の同じ位置で接合されている場合に比して、サイドパネル3の基端部3bやその付近に過度に硬くなった部分が生じることを防止することができる。
X方向に離間する接着剤層が本体側接着剤層35と外層接着剤層61であることの意義は、サイドパネル3と外層複合シート22の接着強度の向上や、接着したときの外観向上にある。サイドパネル3における本体側接着剤層35の配設箇所は弾性部材33の収縮によって皴になりやすい。本体側接着剤層35と外層接着剤層61とがX方向に離間していない場合、外層複合シート22と、サイドパネル3の皴を有する面とが接合してしまい、接触面積が減って接合強度が低下してしまう。また、サイドパネル3の皴が接合によって外層複合シートの外面にも現れてしまう。しかしながら、おむつ1Aにおいては、X方向に離間する接着剤層が本体側接着剤層35と外層接着剤層61であるため、そのような不具合を回避することができる。
また、シート31,32等に不織布等の通気性シートを用いることにより、サイドパネル3と吸収性本体2との接合部付近に良好な通気性を確保することも容易となる。
【0045】
また、おむつ1Aのように、例えば、本体側接着剤層35、補強用接着剤層63、接続用接着剤層62及び外層接着剤層61が、相互間に隙間が生じないように重ね合わされ、接着剤層が、X方向に実質的に連続していると、サイドパネル3及び吸収性本体2における、本体側接着剤層35から外層接着剤層61に亘る部分に、サイドパネル3を引っ張っても破損しにくい充分な強度を確保することができる。
【0046】
しかも、おむつ1Aのサイドパネル3のように、例えば、サイドパネル3の先端部3aも、シート32の折り返し及び第2補強用接着剤層64により補強されており、補強された先端部3aが、第2接続用接着剤層65によりファスニングテープ4と接合されているため、サイドパネル3におけるファステニングテープ4の固定箇所の強度を強化できる。
更に、おむつ1Aのように、例えば、先端側接着剤層36と第2接続用接着剤層65とがX方向に離間していると、シート31からファスニングテープ4のテープ基材42までの総ての層間がX方向の同位置で接合されている場合に比して、ファスニングテープ4とサイドパネル3との接続部やその付近に過度に硬くなった部分が生じることを防止することができる。また、シート31,32等に不織布等の通気性シートを用いることにより、サイドパネル3と先端部3a付近に良好な通気性を確保することも容易となる。
【0047】
また、おむつ1Aのように、例えば、先端側接着剤層36、第2補強用接着剤層64及び第2接続用接着剤層65が、相互間に隙間が生じないように重ね合わされ、接着剤層がX方向に実質的に連続していると、ファスニングテープ4及びサイドパネル3における、第2接続用接着剤層65から先端側接着剤層36に亘る部分に、ファスニングテープ4を引っ張っても破損しにくい充分な強度を確保することができる。
第1実施形態のおむつ1Aにおいては、上記の構成を有するため、ファスニングテープ4やサイドパネル3に強い引っ張り力が加わっても、ファスニングテープ4から吸収性本体2に亘る全域において裂けや破れ等の破損が生じにくい。
【0048】
なお、使い捨ておむつ1Aにおける中間領域30には、中間接着剤層37が、隣接する接着剤層との間に非接着領域38を設けて形成されており、おむつ1Aの自然状態においては、弾性部材33の収縮によって、非接着領域38における2枚のシート31,32が、それぞれ弾性部材33から離れる方向に膨出し、サイドパネル3の両面に、複数本の弾性部材33に跨るように延びる複数本の襞(図示せず)が形成される。そして、その襞は、おむつの着用状態においても完全には消失しない。そのため、サイドパネル3における、接着剤層36〜37により硬くなった部分、特に中間接着剤層37によって硬くなった部分が、着用者の肌に当たりにくく、違和感を与えにくい。
【0049】
前述した、表面側接着剤層66、接着剤層67、本体側接着剤層35、補強用接着剤層63、接続用接着剤層62、外層接着剤層61、先端側接着剤層36、第2補強用接着剤層64、第2接続用接着剤層65及び中間接着剤層37は、そのそれぞれを挟む2枚のシートの何れか一方又は双方に各種公知の方法により接着剤を塗工した後、それら2枚のシートを重ね合わせて加圧することにより形成することができる。
【0050】
なお、各接着剤層を形成する接着剤の塗工パターンは、接着剤塗工機として、スプレーガン、コーターガン等を用いて、所謂ベタ塗りすることが好ましいが、接着剤塗工機として、ビードガン、スパイラルスプレーガン、オメガ字状スプレーガン、転写ロール等を用いて、直線状、スパイラル状、オメガ字状、ドット状等のパターン塗工を行うこともできる。
【0051】
サイドパネル3に配する弾性部材33は、サイドパネル3の柔軟性向上や伸縮性の確保の観点から、その幅(Y方向の寸法)や直径は、0.1mm以上が好ましく、また2mm以下が好ましく、1mm以下が一層好ましく、具体的には0.1mm以上2mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1mm以上1mm以下である。また、サイドパネル3に配する弾性部材33の本数は、4本以上が好ましく、10本以上が一層好ましく、また30本以下が好ましく、20本以下が一層好ましく、具体的には4本以上30本以下程度とすることが好ましく、より好ましくは10本以上20本以下である。
【0052】
上述した一又は二以上の効果をより確実に得る観点等から、本体側接着剤層35と補強用接着剤層62とが重なる部分P3の幅は、2mm以上が好ましく、4mm以上が更に好ましく、また10mm以下が好ましく、具体的には2mm以上10mm以下であることが好ましく、特に4mm以上10mm以下であることが好ましい。補強用接着剤層63と接続用接着剤層62とが重なる部分P2の幅は、5mm以上が好ましく、10mm以上が更に好ましく、また、20mm以下が好ましく、具体的には5mm以上20mm以下であることが好ましく、特に10mm以上20mm以下であることが好ましい。接続用接着剤層62と外層接着剤層61とが重なる部分P1の幅は、5mm以上が好ましく、10mm以上が更に好ましく、また、20mm以下が好ましく、具体的には5mm以上20mm以下が好ましく、特に10mm以上20mm以下であることが好ましい。また、本体側接着剤層35と外層接着剤層61との離間距離は、0.5mm以上が好ましく、5mm以上が更に好ましく、また、10mm以下が好ましく、具体的には0.5mm以上10mm以下が好ましく、特に5mm以上10mm以下であることが好ましい。また、補強用接着剤層63の幅は、5mm以上が好ましく、10mm以上が更に好ましく、また、20mm以下が好ましく、具体的には5mm以上20mm以下が好ましく、特に10mm以上20mm以下であることが好ましい。
【0053】
同様の観点から、先端側接着剤層36と第2補強用接着剤層64とが重なる部分P4の幅は、2mm以上が好ましく、5mm以上が更に好ましく、また、10mm以下が好ましく、具体的には2mm以上10mm以下が好ましく、特に5mm以上10mm以下であることが好ましい。第2補強用接着剤層64と第2接続用接着剤層65とが重なる部分P5の幅は、5mm以上が好ましく、10mm以上が更に好ましく、また15mm以下が好ましく、具体的には5mm以上15mm以下が好ましく、特に10mm以上15mm以下であることが好ましい。また、先端側接着剤層36と第2接続用接着剤層65との離間距離は、0.5mm以上が好ましく、5mm以上が更に好ましく、また10mm以下が好ましく、具体的には0.5mm以上10mm以下が好ましく、特に5mm以上10mm以下であることが好ましい。また、第2補強用接着剤層64の幅は、5mm以上が好ましく、10mm以上が更に好ましく、また20mm以下が好ましく、具体的には5mm以上20mm以下が好ましく、特に10mm以上20mm以下であることが好ましい。
前記部分P1〜P5、補強用接着剤層62及び第2補強用接着剤層64の幅、本体側接着剤層35と外層接着剤層61との離間距離、及び先端側接着剤層36と第2接続用接着剤層65との離間距離は、何れもX方向に沿って測定した寸法又は距離である。
【0054】
これらの各部の寸法等は、弾性部材33等の弾性部材を伸長させて、サイドパネルやおむつを設計寸法(弾性部材の影響を一切排除した状態で平面状に広げたときの寸法と同じ)となるまで拡げた状態で測定する。
【0055】
なお、おむつ1Aにおいては、
図4に示すように、立体ガード形成用シート24とサイドパネル3の内面側を構成するシート31とを固定する表面側接着剤層66と、本体側接着剤層35との間もX方向に離間している。これにより、表面側接着剤層66による接合により、サイドパネル3の吸収性本体2に対する接合強度が向上するとともに、その接合部付近の剛性が過度に高まることも防止される。また、おむつ1Aにおけるサイドパネル3は、本体側接着剤層35及び先端側接着剤層36のそれぞれにも弾性部材33が伸長状態で固定されている。
【0056】
おむつ1Aの構成材料について説明する。
サイドパネル3を構成するシート31,32、ファスニングテープ4のテープ基材42としては、従来、使い捨ておむつ、生理用ナプキン等の吸収性物品に用いられている各種のシート材を、特に制限なく用いることができる。
例えば、シート31,32、テープ基材42としては、不織布、織物、フィルム又はこれらの積層シート等を用いることができる。
吸収性本体2を構成する表面シート21、外層複合シート22、吸収体23としては、それぞれ、従来、使い捨ておむつ、生理用ナプキン等の吸収性物品に用いられるもの等を、特に制限なく用いることができる。例えば、表面シート21としては、親水性且つ液透過性の不織布や立体開孔フィルム等を用いることができる。外層複合シート22としては、防漏シート22aが、液不透過性又は液難透過性(撥水性を含む)の樹脂フィルム、外層不織布22bが、各種製法による不織布(例えば、エアスルー不織布、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布等)からなるものを用いることができる。外層不織布22bは多層構造のものであっても良い。また、吸収体23としては、パルプ繊維等の繊維の集合体(不織布であっても良い)又はこれに吸水性ポリマーの粒子を保持させてなる吸収性コアを、透水性の薄紙や不織布からなるコアラップシートで被覆したもの等を用いることができる。立体ガードを構成する立体ガード形成用シート24としては、フィルム、不織布、織物又はこれらの積層シート等を用いることができる。
【0057】
弾性部材33、立体ガードを構成する弾性部材25、レッグ部弾性部材26としては、天然ゴム、ポリウレタン、ポリスチレン−ポリイソプレン共重合体、ポリスチレン−ポリブタジエン共重合体、アクリル酸エチル−エチレン等のポリエチレン−αオレフィン共重合体等からなる糸状ないし紐状の弾性部材を用いることができる。一枚のサイドパネルに配する複数本の弾性部材33は、同一種類のものが同一の伸長率で配されていることが、製造コストや製造工程の簡易化等の観点から好ましい。
弾性部材33を固定する接着剤34をはじめ、各部材間を接合するための接着剤の好ましい材料としては、非晶性ポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エステル共重合体(EEA)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)などの熱可塑性ポリマー及びそれらの混合物等が挙げられる。接着剤はホットメルト型が好ましい。
【0058】
次に、本発明の第2〜第4実施形態の使い捨ておむつについて説明する。第2〜第4実施形態の使い捨ておむつ1B,1C,1Dは、立体ガード形成用シート24の構成、並びに吸収性本体2及びサイドパネル3と立体ガード形成用シート24との接合態様が第1実施形態のおむつ1Aと異なる。第2〜第4実施形態のおむつ1B,1C,1Dについては、第1実施形態のおむつ1Aと異なる点について主として説明し、同様の点については同一の符号を付して説明を省略する。特に言及しない点については、第1実施形態のおむつ1Aに関する説明が適宜適用される。
【0059】
おむつ1Bの3層構造部分24bは、
図5及び
図6に示すように、一枚の立体ガード形成用シート24のサイドパネル3側の外方端部24O(長手方向中央線CLと反対側)及び吸収性本体2側(長手方向中央線CL側)の内方端部24Iを、それぞれ、外面側(
図6中Q側)に折り返して形成されている。そして、おむつ1Bの3層構造部分は、折り返された内方端部24Iが、折り返された外方端部24Oで覆われて形成されている。即ち、折り返された内方端部24Iの外面と折り返された外方端部24Oの内面とが熱融着により接合されている。
【0060】
折り返された立体ガード形成用シート24の層間(2層構造部分24a及び3層構造部分24b)は、おむつ1Aと同様に、
図5に示すように、散点状に配した第1熱融着部27により接合されており、折り返された立体ガード形成用シート24は、一枚のシート状となされている。
【0061】
折り返された立体ガード形成用シート24の層間の内の3層構造部分24bに関しては、更に、
図5に示すように、おむつ1Bにおいては、折り返された外方端部24Oの縁24O1上に複数の内方第2熱融着部28Iが長手方向(Y方向)に略等間隔を空けて配され、内方端部24Iの縁24I1上に複数の外方第2熱融着部28Oが長手方向(Y方向)に略等間隔を空けて配されている。各内方第2熱融着部28Iは、外方端部24Oの縁24O1と交差しており、2層構造部分24aと3層構造部分24bとに跨って配されている。また、各外方第2熱融着部28Oは、内方端部24Iの縁24I1と交差しており、2層構造部分24aと3層構造部分24bとに跨って配されている。
図5に示すように、おむつ1においては、各内方第2熱融着部28I及び各外方第2熱融着部28Oは、長手方向(Y方向)に、略等しい位置に配されている。各内方第2熱融着部28Iと外方端部24Oの縁24O1とのなす角γは、X方向へのパネル引張りにおいて、立体ガード形成用シートの層間の熱融着部の剥離を防ぐために、引っ張り方向に対しての力を分散させる観点から、20°以上が好ましく、30°以上が更に好ましく、また70°以下が好ましく、60°以下が更に好ましく、より具体的には20°以上70°以下であることが好ましく、30°以上60°以下であることが更に好ましい。各外方第2熱融着部28Oと内方端部24Iの縁24I1とのなす角は、各内方第2熱融着部28Iと外方端部24Oの縁24O1とのなす角γと同じである。
【0062】
長手方向(Y方向)に隣り合う内方第2熱融着部28Iどうしの間隔又は外方第2熱融着部28Oどうしの間隔は、3層部分の強固な熱融着を確保するための観点から、5mm以下であることが好ましい。
【0063】
おむつ1Bの立体ガード形成用シート24は、吸収性本体2の長手方向の両側部において、
図6に示すように、表面シート21に接着剤層67を介して固定され、該表面シートの側縁から幅方向(X方向)外方に延出した外層複合シート22に接続用接着剤層62を介して固定され、サイドパネル3を構成するシート31に表面側接着剤層66を介して固定されている。また、立体ガード形成用シート24は、吸収性本体2の長手方向の両側部において、表面シート21に接着剤層68を介して固定されている。接着剤層68は、接着剤層67よりも幅方向(X方向)内方側(長手方向中央線CL側)に設けられており、腹側部A及び背側部Bに設けられる一方、股下部Cには設けられない。接着剤層68以外の、接着剤層67、接続用接着剤層62及び表面側接着剤層66は、吸収性本体2の略全長に亘って形成されている。
【0064】
おむつ1Bにおいては、
図6に示すように、3層構造部分24b及び2層構造部分24aが表面側接着剤層66の上に配されている。即ち、幅方向(X方向)において、表面側接着剤層66の位置が、幅方向(X方向)外方側の2層構造部分24a及び3層構造部分24bに跨っている。
【0065】
第2実施形態のおむつ1Bによれば、第1実施形態のおむつ1Aと同様の作用効果が奏されるが、特におむつ1Bによれば、内方端部24Iでなく、外方端部24Oがサイドパネル3と接合しているので、おむつ1Bを装着する際や装着時において、サイドパネル3からの引っ張りを外方端部24Oが受け止めて緩衝することで、サイドパネル3及びサイドパネル3と吸収性本体2の接合部近傍の裂けや破れを一層防止する効果を奏する。
【0066】
おむつ1Cの3層構造部分24bは、
図7及び
図8に示すように、一枚の立体ガード形成用シート24のサイドパネル3側の外方端部24O(長手方向中央線CLと反対側)及び吸収性本体2側(長手方向中央線CL側)の内方端部24Iを、それぞれ、内面側(
図8中P側)に折り返して形成されている。そして、おむつ1Cの3層構造部分は、折り返された外方端部24Oが、折り返された内方端部24Iで覆われて形成されている。即ち、折り返された外方端部24Oの内面と折り返された内方端部24Iの外面とが熱融着により接合されている。
【0067】
折り返された立体ガード形成用シート24の層間(2層構造部分24a及び3層構造部分24b)は、おむつ1Aと同様に、
図7に示すように、散点状に配した第1熱融着部27により接合されており、折り返された立体ガード形成用シート24は、一枚のシート状となされている。
【0068】
折り返された立体ガード形成用シート24の層間の内の3層構造部分24bに関しては、更に、
図7に示すように、おむつ1Cにおいては、折り返された外方端部24Oと折り返された内方端部24Iとが重なる部分(3層構造部分24b)上に複数の第2熱融着部28が長手方向(Y方向)に略等間隔を空けて配されている。各第2熱融着部28は、外方端部24Oの縁24O1と内方端部24Iの縁24I1との間に亘って配されており、各第2熱融着部28と内方端部24Iの縁24I1とのなす角δは、X方向へのパネル引張りにおいて、立体ガード形成用シートの層間の熱融着部の剥離を防ぐために、引っ張り方向に対しての力を分散させる観点から、20°以上が好ましく、30°以上が更に好ましく、また70°以下が好ましく、60°以下が更に好ましく、より具体的には20°以上70°以下であることが好ましく、30°以上60°以下であることが更に好ましい。
【0069】
1個の第2熱融着部28のシールパターン面積は、3層構造部分の熱融着部を強固にし、立体ガード形成用シートの層間の剥離を防ぐための観点から、1.5mm
2以上が好ましく、3mm
2以上が更に好ましく、また20mm
2以下が好ましく、10mm
2以下が更に好ましく、より具体的には1.5mm
2以上20mm
2以下であることが好ましく、3mm
2以上10mm
2以下であることが更に好ましい。折り返された立体ガード形成用シート24の総面積に対する、複数の第2熱融着部28の総シールパターン面積の割合は、強度確保の観点から、1%以上10%以下であることが好ましい。
図7では熱融着部は1列しか示されていないが、複数列設けられていてもよい。1列で長手方向(Y方向)に隣り合う第2熱融着部28どうしの間隔は、3層部分の強固な熱融着を確保するための観点から、5mm以下であることが好ましい。
【0070】
おむつ1Cの立体ガード形成用シート24は、吸収性本体2の長手方向の両側部において、
図8に示すように、表面シート21に接着剤層67を介して固定され、該表面シートの側縁から幅方向(X方向)外方に延出した外層複合シート22に接続用接着剤層62を介して固定され、サイドパネル3を構成するシート31に表面側接着剤層66を介して固定されている。また、立体ガード形成用シート24は、吸収性本体2の長手方向の両側部において、表面シート21に接着剤層68を介して固定されている。
【0071】
おむつ1Cにおいては、
図8に示すように、2層構造部分24aのみが表面側接着剤層66の上に配されている。即ち、幅方向(X方向)において、3層構造部分24bは、
図8に示すように、表面側接着剤層66よりも幅方向(X方向)内方に配され、更にサイドパネル3の基端部3bよりも幅方向(X方向)内方に配されており、表面側接着剤層66の位置が、幅方向(X方向)外方側の2層構造部分24aの位置に一致している。
【0072】
第3実施形態のおむつ1Cによれば、第1実施形態のおむつ1Aと同様の作用効果が奏されるが、特におむつ1Cによれば、パネル接着面(立体ガード形成用シート24の外方端部24O及び内方端部24Iを折り返す側と反対側(外面側(
図8中Q側)に接着される面)が平滑であることからさらなるパネルの取り付け強度強化の効果を奏する。
【0073】
おむつ1Dの3層構造部分24bは、
図9及び
図10に示すように、おむつ1Aと同様に、一枚の立体ガード形成用シート24のサイドパネル3側の外方端部24O(長手方向中央線CLと反対側)及び吸収性本体2側(長手方向中央線CL側)の内方端部24Iを、それぞれ、外面側(
図10中Q側)に折り返して形成されている。そして、おむつ1Bの3層構造部分は、おむつ1Aと同様に、折り返された外方端部24Oが、折り返された内方端部24Iで覆われて形成されている。
【0074】
折り返された立体ガード形成用シート24の層間(2層構造部分24a及び3層構造部分24b)は、おむつ1Aと同様に、
図9に示すように、散点状に配した複数の第1熱融着部27により接合されており、折り返された立体ガード形成用シート24は、一枚のシート状となされている。
【0075】
折り返された立体ガード形成用シート24の層間の内の3層構造部分24bに関しては、更に、
図9に示すように、おむつ1Aと同様に、折り返された外方端部24Oの縁24O1上に複数の内方第2熱融着部28Iが長手方向(Y方向)に略等間隔を空けて配され、内方端部24Iの縁24I1上に複数の外方第2熱融着部28Oが長手方向(Y方向)に略等間隔を空けて配されている。各内方第2熱融着部28Iは、おむつ1Aと同様に、外方端部24Oの縁24O1となす角αで交差しており、2層構造部分24aと3層構造部分24bとに跨って配されている。また、各外方第2熱融着部28Oは、おむつ1Aと同様に、内方端部24Iの縁24I1となす角βで交差しており、2層構造部分24aと3層構造部分24bとに跨って配されている。
図9に示すように、おむつ1Dにおいては、各内方第2熱融着部28I及び各外方第2熱融着部28Oは、長手方向(Y方向)に、互い違いに配されている。
【0076】
長手方向(Y方向)に隣り合う内方第2熱融着部28Iどうしの間隔又は外方第2熱融着部28Oどうしの間隔は、おむつ1Aと同様に、0.5mm以上であることが好ましく、また5mm以下であることが好ましく、3mm以下が更に好ましい、より具体的には0.5mm以上3mm以下が更に好ましい。
【0077】
おむつ1Dの立体ガード形成用シート24は、吸収性本体2の長手方向の両側部において、
図10に示すように、表面シート21に接着剤層67を介して固定され、該表面シートの側縁から幅方向(X方向)外方に延出した外層複合シート22に接続用接着剤層62を介して固定され、サイドパネル3を構成するシート31に表面側接着剤層66を介して固定されている。また、立体ガード形成用シート24は、吸収性本体2の長手方向の両側部において、表面シート21に接着剤層68を介して固定されている。
【0078】
おむつ1Dにおいては、
図10に示すように、2層構造部分24aのみが表面側接着剤層66の上に配されている。即ち、幅方向(X方向)において、3層構造部分24bは、
図10に示すように、表面側接着剤層66よりも幅方向(X方向)内方に配され、更にサイドパネル3の基端部3bよりも幅方向(X方向)内方に配されており、表面側接着剤層66の位置が、幅方向(X方向)外方側の2層構造部分24aの位置に一致している。
【0079】
第4実施形態のおむつ1Dによれば、第1実施形態のおむつ1Aと同様の作用効果が奏されるが、特におむつ1Dによれば、内方端部24Iでなく、外方端部24Oがサイドパネル3と接合しているので、おむつ1Dを装着する際や装着時において、サイドパネル3からの引っ張りを外方端部24Oが受け止めて緩衝することで、サイドパネル3及びサイドパネル3と吸収性本体2の接合部近傍の裂けや破れを一層防止する効果を奏する。
【0080】
本発明の使い捨ておむつやサイドパネル、立体ガード形成用シートは、その製造方法に何ら制限がなく、任意の方法により製造することができる。
使い捨ておむつにおけるサイドパネルの製造方法の好ましい例について、第1〜第4実施形態のおむつにおけるサイドパネル3を製造する場合を例に説明する。
【0081】
サイドパネル3の好ましい製造方法の一例について、
図11を参照して説明すると、
図11に示す伸縮性シートの製造装置7は、所定間隔離間して平行配置された一対の糸搬送用長手構造体71,71と、一対の該糸搬送用長手構造体に弾性部材を巻回して該弾性部材の向きを該糸搬送用長手構造体の長手方向(図中R方向)に交差する向きとする弾性体巻回手段72と、該弾性体巻回手段72に巻回されて該糸搬送用長手構造体により搬送される該弾性部材33を、一対の帯状シート31’,32’間に挟んで一体化する一体化手段73とを備えている。糸搬送用長手構造体71としては、R方向に移動する順走部分とR方向とは逆向きに移動する逆送部分とを有し、順走部分のみが弾性部材33と係合して該弾性部材33をR方向に搬送する無端ベルトが好ましく用いられる。無端ベルトは、プーリーやギアに架け渡し、そのプーリーやギアを回転させて駆動させる。また、個々の糸搬送用長手構造体71として、そのような無端ベルトを一本のみ使用することもできるが、
図11に示すように、個々の糸搬送用長手構造体71として、そのような無端ベルトを上下二段に配したものを用いることが好ましい。上下のベルトに速度差を設けることにより、一対の糸搬送用長手構造体71,71に巻き付けた当初は、平面視ジグザグ状であった弾性部材33の向きを、弾性部材33がR方向に間隔を開けて多数平行状に配向した状態に修正した上で一対の帯状シート31’,32’間に固定することができる。糸搬送用長手構造体71として、周面に溝や凸条を螺旋状に設けた丸棒状体で中心軸線周りに回転駆動されるものを用いることもできる。
【0082】
サイドパネル3の好ましい製造方法においては、
図11に示すように、シート32の原反である帯状シート32’に、補強用接着剤層63及び第2補強用接着剤層64を形成するための接着剤63’及び64’を、公知の接着剤塗工機75により、それぞれ帯状に連続塗工し、次いで、それら両接着剤63’及び64’を覆うように、該帯状シート32’の両側部を、セーラーガイド(不図示)等により、帯状シート31’と対向しない面側に折り返す。他方、シート31の原反である帯状シート31’には、本体側接着剤層35、先端側接着剤層36及び中間接着剤層37を形成するための接着剤34を、公知の接着剤塗工機76により、それぞれ帯状に連続塗工する。なお、接着剤34は、帯状シート32’に連続塗工してもよい。
そして、接着剤塗工後の両帯状シート31’,32’を、両者間に、伸長状態の弾性部材33が挟まれるように合流させ、一体化手段73としての一対のニップロール74で、それらを上下から加圧して一体化させる。そして、側方に延出する弾性部材33を、切断刃を備えたカッター等の切断手段77により切断することにより、伸縮性シート3’が得られる。
そして、得られた伸縮性シート3’を、任意の切断手段により、個々のサイドパネルの長さに順次切断する。このようにして、サイドパネル3を効率よく連続生産することができる。
【0083】
使い捨ておむつの製造方法においては、上記のサイドパネル3(伸縮性シート3’)を用いる以外は、従来公知の方法に従って、使い捨ておむつを製造することができる。
好ましい製造方法においては、例えば上記のサイドパネル3(伸縮性シート3’)を用いて以下の(1)〜(10)の手順でおむつを効率的に製造可能である。(1)第2接続用接着剤層65を形成するための接着剤が塗られたファスニングテープ4の連続ウェブをカットして、上記のようにして得られた伸縮性シート3’の連続ウェブに間欠的に取り付ける。(2)ファスニングテープ4を折り返して伸縮シート3’に仮止めする。(3)接続用接着剤層62を形成するための(本体接続用の)接着剤を伸縮シート3’に連続的に塗工する。(4)立体ガード形成用シート24を得るため、別工程で連続シートを折り重ね部が形成されるよう折り畳む。折り曲げ部には弾性部材25を伸長状態で接着剤にて固定しておく。次に、ヒートシール等により、第1熱融着部27を設け、更に第2熱融着部28を続けて形成する。(5)別工程で得た立体ガード形成用シート24と表面シート21とを接着剤層67,68を介して一体化させたトップシート連続体を形成する。(6)別工程で防漏シート22aと外層不織布22bを一体化させ外層複合シート22を形成する。(7)伸縮シート3’を間欠的にカットして表面シート21(立体ガード形成用シート24)に表面側接着剤層66を介して取り付け、接続用接着剤層62を介して外層複合シート22に取り付ける。(8)表面シート21と外層複合シート22の間に吸収体23を挟みこんで一体化する。(9)製品両側(サイドパネル飛び出し部)を内側に折りたたむ。(10)製品1個にカットする。
【0084】
尚、上述した好ましい製造方法においては、第1熱融着部27を形成した後に、更に第2熱融着部28を続けて形成しているが、同一のロール上に第1熱融着部27に対応する凸部と第2熱融着部28に対応する凸部を設け、第1熱融着部27と第2熱融着部28とを同時に形成してもよい。
【0085】
使い捨ておむつの製造方法は、上述のようにして得たサイドパネル3を用いて、使い捨ておむつを製造する以外は、従来公知の方法に従って、使い捨ておむつを製造することができる。
【0086】
一対の帯状シート間に弾性部材を挟持固定させる装置として、特許文献1の
図11及び
図12等に示された装置を用いることもできる。
【0087】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明の使い捨ておむつは、上述の第1実施形態のおむつ1A、上述の第2実施形態のおむつ1B及び上述の第3実施形態のおむつ1Cに何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。また、上述の第1〜第4実施形態のおむつ1A〜1Dにおける各構成要件は、本発明の趣旨を損なわない範囲で、適宜組み合わせて実施できる。
【0088】
例えば、上述の第1〜第4実施形態のおむつ1A〜1Dにおいては、折り返された立体ガード形成用シート24の層間(2層構造部分24a及び3層構造部分24b)は、
図3,
図5,
図7,
図9に示すように、散点状に配した複数の第1熱融着部27により接合され、更に3層構造部分24bに関しては、第2熱融着部28により接合されているが、
図12に示すその他の実施形態のおむつ1Eのように第2熱融着部28は設けずに、2層構造部分24a及び3層構造部分24bを第1熱融着部27のみにより接合してもよい。また、折り返された立体ガード形成用シート24の層間(2層構造部分24aのみ)が、第1熱融着部27により接合され、3層構造部分24bのみが、第2熱融着部28により接合されていてもよい。
【0089】
また、折り返された立体ガード形成用シート24の層間の接合は、熱融着により接合されているが、接着剤による接合であってもよい。また、第1熱融着部27は設けず、2層構造部分は接着剤により接合し、3層構造部分を第2熱融着部28により接合してもよい。
【0090】
また、上述の第1,第2,第4実施形態のおむつ1A,1B,1Dにおいては、第2熱融着部28が、内方第2熱融着部28Iと外方第2熱融着部28Oとの2種類の融着部から形成されているが、1種類の融着部のみから形成されていてもよい。1種類の融着部のみから形成されていている場合には、上述の第3実施形態のおむつ1Cの第2熱融着部28のように、長手方向(Y方向)に略等間隔を空けて複数配された形態以外に、ジグザク(ノコギリ歯)状又は波状に長手方向(Y方向)に延びる1本の線状の形状であってもよい。
【0091】
また、上述の第1,第4実施形態のおむつ1A,1Dにおいては、
図3,
図9に示すように、各内方第2熱融着部28Iと外方端部24Oの縁24O1とがなす角αで交差し、各外方第2熱融着部28Oと内方端部24Iの縁24I1とがなす角βで交差しており、上述の第2実施形態のおむつ1Bにおいては、
図5に示すように、各内方第2熱融着部28Iと外方端部24Oの縁24O1とがなす角γで交差し、各外方第2熱融着部28Oと内方端部24Iの縁24I1とがなす角γで交差しており、上述の第3実施形態のおむつ1Cにおいては、
図7に示すように、各第2熱融着部28と内方端部24Iの縁24I1とがなす角δで交差しているが、これらのなす角は、上述した範囲以外の角度であってもよい。
【0092】
また、上述の第1〜第4実施形態のおむつ1A〜1Dにおいては、立体ガード形成用シート24は、表面側接着剤層66を介してシート31に固定されているが、接着剤以外の熱融着による固定であってもよい。
【0093】
また、上述の第1〜第4実施形態のおむつ1A〜1Dにおいては、サイドパネル3を構成するシート32を折り返して補強用接着剤層63(第2補強用接着剤層64)と接合していたが、折り返さずともよい。また、サイドパネル3を構成するシート32を折り返して補強用接着剤層63(第2補強用接着剤層64)と接合するとしても、サイドパネル3の基端部3b側又は先端部3a側のシート32の端部を内面側(
図4,
図6,
図8中P側)に折り返してもよいし、サイドパネル3を構成するシート32の代わりにシート31を折り返してもよい。また、シート32とシート31の両方を折り返してもよい。更に、サイドパネル3を構成するシート32を折り返す代わりに別材のシートを重ねて配置し補強用接着剤層63(第2補強用接着剤層64)と接合してもよい。
【0094】
また、上述の第1〜第4実施形態のおむつ1A〜1Dにおいては、サイドパネル3が、
図1に示すように、吸収性本体2の両方の側部にそれぞれ取り付けられているが、一方の側部に取り付けられた形態であってもよい。
【0095】
また、上述の第1〜第4実施形態のおむつ1A〜1Dにおいては、
図4,
図6,
図8に示すように、ファスニングテープ4のテープ基材42が、シート32の外面(シート31側ではない面)側に、接着剤により接合された例を示したが、テープ基材42が、シート31の内面(シート32側ではない面)側に、接着剤により接合されたり、シート31とシート32との間に配され、接着剤により接合されたりしていてもよい。
【0096】
上述した実施形態に関し、さらに以下の使い捨ておむつを開示する。
<1>吸収体、該吸収体の内面側に配された表面シート及び該吸収体の外面側に配された外層複合シートを含む吸収性本体と、該吸収性本体の長手方向の一方又は両方の側部に取り付けられた伸縮性のサイドパネルを備えた使い捨ておむつであって、
前記サイドパネルは、先端部にファスニングテープが設けられており、
前記吸収性本体は、該吸収性本体の長手方向の両側部に配された立体ガード形成用シートを有しており、
前記立体ガード形成用シートは、一枚のシートの両側部が折り返され互いに重なり合って積層されてなる2層構造部分と3層構造部分とを有し、該2層構造部分及び該3層構造部分はそれぞれ層間が接合されており、前記吸収性本体の長手方向の両側部において、前記サイドパネルを構成するシートに固定されている使い捨ておむつ。
【0097】
<2>前記層間の接合が熱融着によりなされている前記<1>に記載の使い捨ておむつ。
<3>前記立体ガード形成用シートは、前記サイドパネルを構成するシートに表面側接着剤層を介して固定されている前記<1>又は<2>に記載の使い捨ておむつ。
<4>前記3層構造部分は、一枚の前記立体ガード形成用シートの前記サイドパネル側の外方端部及び前記吸収性本体側の内方端部を、それぞれ、該立体ガード形成用シートの外面側に折り返して形成されている前記<1>〜<3>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<5>前記3層構造部分は、一枚の前記立体ガード形成用シートの前記サイドパネル側の外方端部及び前記吸収性本体側の内方端部を、それぞれ、該立体ガード形成用シートの内面側に折り返して形成されている前記<1>〜<3>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<6>前記3層構造部分は、折り返された前記外方端部が、折り返された前記内方端部で覆われて形成されている前記<1>〜<4>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<7>前記3層構造部分は、折り返された前記内方端部が、折り返された前記外方端部で覆われて形成されている前記<1>〜<3>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<8>前記外方端部が前記サイドパネルと接合されている前記<7>記載の使い捨ておむつ。
【0098】
<9>折り返された前記立体ガード形成用シートの前記2層構造部分は、第1熱融着部により接合されている前記<1>〜<8>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<10>折り返された前記立体ガード形成用シートの前記2層構造部分及び前記3層構造部分は、第1熱融着部により接合されている前記<1>〜<8>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<11>前記第1熱融着部は複数の散点状に配されており、該第1熱融着部の形状は、円形、楕円形、菱形、三角形、多角形である前記<9>又は<10>に記載の使い捨ておむつ。
<12>1個の前記第1熱融着部のシールパターン面積は、0.5mm
2以上であるか、1.5mm
2以上であり、10mm
2以下であるか、5mm
2以下であり、0.5mm
2以上10mm
2以下であるか、または1.5mm
2以上5mm
2以下である前記<9>〜<11>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<13>折り返された前記立体ガード形成用シートの総面積に対する、複数の前記第1熱融着部の総シールパターン面積の割合は、2%以上であるか、5%以上であり、15%以下であるか、10%以下であり、または2%以上15%以下であるか、5%以上10%以下である前記<11>又は<12>に記載の使い捨ておむつ。
<14>折り返された前記立体ガード形成用シートの前記3層構造部分は、第2熱融着部により接合されている前記<1>〜<13>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<15>前記第2熱融着部は、折り返された前記立体ガード形成用シートの前記2層構造部分と前記3層構造部分とに跨って配されている前記<14>に記載の使い捨ておむつ。
<16>前記第2熱融着部は、線状の形状である前記<14>又は<15>に記載の使い捨ておむつ。
<17>前記第2熱融着部は、前記使い捨ておむつの長手方向と交差している前記<14>〜<16>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<18>第2熱融着部と、立体ガード形成用シートの外方端部の縁とのなす角αは、0°よりも大きいか、20°以上であるか、30°以上であり、70°以下であるか、60°以下であり、または20°以上70°以下であるか、30°以上60°以下である前記<17>に記載の使い捨ておむつ。
<19>前記第2熱融着部が、ジグザク(ノコギリ歯)状又は波状に長手方向に延びる1本の線状の形状である前記<16>記載の使い捨ておむつ。
<20>1個の前記第2熱融着部のシールパターン面積は、1.5mm
2以上であるか、3mm
2以上であり、20mm
2以下であるか、10mm
2以下であり、または1.5mm
2以上20mm
2以下であるか、3mm
2以上10mm
2以下である前記<14>〜<19>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<21>折り返された前記立体ガード形成用シートの総面積に対する、前記第2熱融着部総面積の割合は、1%以上であるか、3%以上であり、10%以下であるか、8%以下であり、または1%以上10%以下であるか、3%以上8%以下である前記<20>記載の使い捨ておむつ。
<22>前記第2熱融着部1個のシールパターン面積が、前記第1熱融着部1個のシールパターン面積よりも大きい前記<14>〜<21>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
【0099】
<23>前記立体ガード形成用シートは、前記サイドパネルを構成する前記シートに表面側接着剤層を介して固定されており、
前記3層構造部分が、前記表面側接着剤層の上に配されている前記<1>記載の使い捨ておむつ。
<24>前記3層構造部分のみが、前記表面側接着剤層の上に配されている前記<23>記載の使い捨ておむつ。
<25>前記3層構造部分及び前記2層構造部分が、前記表面側接着剤層の上に配されている前記<23>に記載の使い捨ておむつ。
<26>前記2層構造部分のみが前記表面側接着剤層の上に配されている前記<23>記載の使い捨ておむつ。
<27>前記吸収性本体は、着用時に着用者の腹側に位置する腹側部、着用者の背側に位置する背側部、及び股間部に位置する股下部を有し、
前記サイドパネルは、背側部における前記吸収性本体の両側部に、それぞれ該吸収性本体の両側縁部から外方に突出するように取り付けられている前記<1>〜<26>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<28>前記サイドパネルは、前記吸収性本体と前記立体ガード形成用シートとに接着剤層を介して固定されている前記<1>〜<27>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<29>前記サイドパネルは、不織布製の2枚のシートと、2枚の該シート間に、使い捨ておむつ幅方向に伸長した状態で固定されている複数本の弾性部材とを有している前記<1>〜<28>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<30>前記サイドパネルを構成する前記2枚のシートのうちの、該サイドパネルの外面側に位置するシートが、該サイドパネルの基端部において該シートの外面側に折り返されており、その折り返された部分が、補強用接着剤層を介して該シートの外面に接合されている前記<1>〜<29>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
【0100】
<31>前記吸収性本体は、着用時に着用者の腹側に位置する腹側部、着用者の背側に位置する背側部、及び股間部に位置する股下部を有し、前記立体ガード形成用シートは、前記吸収性本体の幅方向内方側の端縁近傍に該端縁に沿って立体ガード形成用の弾性部材を有しており、着用時には、該弾性部材の収縮力により、股下部における、該端縁から所定幅の部分が前記表面シートから離間して立体ガードを形成する前記<1>〜<30>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<32>前記立体ガード形成用シートは、前記吸収性本体の長手方向の両側部において、表面側接着剤層を介して、前記サイドパネルを構成するシートに固定されていると共に、前記表面シートに接着剤層を介して固定されている前記<1>〜<31>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<33>前記表面側接着剤層は、前記吸収性本体の略全長に亘って形成されている前記<3>記載の使い捨ておむつ。
<34>折り返された前記立体ガード形成用シートの総面積に対する、前記3層構造部分の面積の割合は、3%以上であるか、5%以上であり、25%以下であるか、15%以下であり、又は3%以上25%以下であるか、5%以上15%以下である前記<1>〜<33>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<35>前記3層構造部分の幅W1は、2mm以上であるか、5mm以上であり、20mm以下であるか、15mm以下であり、または2mm以上20mm以下であるか、5mm以上15mm以下である前記<1>〜<34>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<36>一枚の前記立体ガード形成用シートの前記サイドパネル側の折り返された内方端部と前記サイドパネルとが前記表面側接着剤層により固定されている前記<3>記載の使い捨ておむつ。
<37>前記使い捨ておむつは、本体側接着剤層、補強用接着剤層、接続用接着剤層及び外層接着剤層を有し、該本体側接着剤層、該補強用接着剤層、該接続用接着剤層及び該外層接着剤層が、相互間に隙間が生じないように重ね合わされ、使い捨ておむつの幅方向に実質的に連続している前記<1>〜<36>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<38>前記使い捨ておむつは、先端側接着剤層、第2補強用接着剤層及び第2接続用接着剤層を有し、該先端側接着剤層、該第2補強用接着剤層及び該第2接続用接着剤層が、相互間に隙間が生じないように重ね合わされ、使い捨ておむつの幅方向に実質的に連続している前記<1>〜<37>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。