特許第5975835号(P5975835)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5975835
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】横型ブラインド
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/384 20060101AFI20160809BHJP
【FI】
   E06B9/384
【請求項の数】13
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-228197(P2012-228197)
(22)【出願日】2012年10月15日
(65)【公開番号】特開2014-62445(P2014-62445A)
(43)【公開日】2014年4月10日
【審査請求日】2015年6月17日
(31)【優先権主張番号】特願2012-188214(P2012-188214)
(32)【優先日】2012年8月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000250672
【氏名又は名称】立川ブラインド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】立川 光威
(72)【発明者】
【氏名】江波戸 武信
(72)【発明者】
【氏名】裸野 善行
【審査官】 佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】 特開平5−18170(JP,A)
【文献】 実公昭40−32539(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/24− 9/388
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドボックスから吊り下げられる複数のラダーコードと、
前記ラダーコードの下端に配置されるボトムレールと、
前記ラダーコードに支持される多数段のスラットからなるスラット群と、
前記ヘッドボックスから垂下されて前記ボトムレールを支持する複数の昇降コードと、
前記ヘッドボックスと前記ボトムレールの間の昇降コード長を前記ヘッドボックス側から変化させて前記ボトムレールを昇降させる昇降手段とを備え、
前記複数の昇降コードのうちの少なくとも1つの昇降コードは、前記ラダーコードが前記ヘッドボックスから垂下される位置に対して前記ヘッドボックスの前後方向の同一又は内側の位置から垂下され、前記ボトムレールに近づくにつれて前記スラットの縁に向かってオフセットされる内側垂下昇降コードであり、
前記スラット群のうち前記ヘッドボックスに近い1又は複数枚のスラットからなる上部スラット群のそれぞれのスラットには、前記内側垂下昇降コードとの干渉を軽減する孔又は切欠きが設けられている横型ブラインド。
【請求項2】
前記内側垂下昇降コードは、前記ヘッドボックスの、前記スラットの前後方向の略中央に対応する位置から垂下される請求項1に記載の横型ブラインド。
【請求項3】
前記ヘッドボックスには、前記内側垂下昇降コードが前記ヘッドボックスから垂下される位置を規定する昇降コードガイド部が設けられる請求項1又は2に記載の横型ブラインド。
【請求項4】
前記孔又は切欠きは、最上段のスラットにおいて前後方向の中央を含む範囲に形成される請求項1〜3の何れか1つに記載の横型ブラインド。
【請求項5】
前記上部スラット群のそれぞれのスラットに設けられる孔又は切欠きの深さは、前記ヘッドボックスから離れた段のスラットほど浅くなる請求項1〜4の何れか1つに記載の横型ブラインド。
【請求項6】
前記上部スラット群よりも前記ヘッドボックスから離れた側に配置される複数段のスラットからなる下部スラット群のそれぞれのスラットには、深さが同じ切欠きが設けられる請求項1〜5の何れか1つに記載の横型ブラインド。
【請求項7】
前記内側垂下昇降コードは、前記孔又は切欠き内に配置される請求項1〜6の何れか1つに記載の横型ブラインド。
【請求項8】
前記内側垂下昇降コードは、前記ラダーコードの一対の縦糸間に設けられた一対の横糸の間に挿通される請求項1〜7の何れか1つに記載の横型ブラインド。
【請求項9】
前記スラットは、前記一対の横糸が交差した横糸交差部と、前記一対の縦糸の一方との間に挿通され、
前記内側垂下昇降コードは、前記横糸交差部と、前記一対の縦糸の他方との間に挿通される請求項8に記載の横型ブラインド。
【請求項10】
前記複数の昇降コードの全てが前記内側垂下昇降コードである請求項1〜9の何れか1つに記載の横型ブラインド。
【請求項11】
前記複数の昇降コードの一部が前記内側垂下昇降コードであり、残りが外側垂下昇降コードであり、前記外側垂下昇降コードは、前記ラダーコードが前記ヘッドボックスから垂下される位置よりも、前記ヘッドボックスの前後方向の外側から垂下され、且つ前記内側垂下昇降コードとは前後方向の反対側にオフセットされる請求項1〜9の何れか1つに記載の横型ブラインド。
【請求項12】
前記昇降コード及び前記ラダーコードは、それぞれ、前記ヘッドボックスに対して前後方向にスライド可能に構成された移動部材に設けられた昇降コード用開口部及びラダーコード用開口部を通じて前記ヘッドボックス内に導入され、
前記ラダーコード用開口部は、前記スラットの回転に伴って前記ラダーコードの縦糸に加わる張力によって前記移動部材に前記ヘッドボックスの前後方向外側方向の力が加わるように構成され、
前記昇降コード用開口部は、前記力によって前記移動部材が前記外側垂下昇降コードに前記ヘッドボックスの前後方向内側方向の力が加わるように構成される請求項11に記載の横型ブラインド。
【請求項13】
前記ラダーコードの一対の縦糸は、前記ヘッドボックスの前後方向にクロスさせた状態で巻取ドラムに取着される請求項1〜12の何れか1つに記載の横型ブラインド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高遮蔽タイプの横型ブラインドに関する。
【背景技術】
【0002】
横型ブラインドにおいては、ヘッドボックスから吊り下げられるラダーコードに支持された多数段のスラットを昇降させたり、チルトさせたりすることによって、室内に取り込む日射量の調整を行なっている。
【0003】
ラダーコードの下端にボトムレールが配置され、ボトムレールに取着された昇降コードをヘッドボックス内への引き込み及びヘッドボックスからの引き出しを行うことによって、ボトムレールを昇降させることによりスラットを昇降させている。一般的な横型ブラインドにおいては、各スラットの前後方向の中央に昇降コード挿通孔が設けられており、昇降コードは、ヘッドボックスから垂下され、昇降コード挿通孔に挿通されて、ボトムレールに接続されている。
【0004】
このようなタイプの横型ブラインドでは、スラットを完全に閉じた状態にしても、昇降コード挿通孔を通じて日射が漏れてしまい、満足の行く遮蔽性が得られない場合がある。
【0005】
このような課題を解決するために、特許文献1又は2では、スラットの前後方向の縁に沿ってヘッドボックスからボトムレールまで昇降コードを垂下させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公平3−35034号公報
【特許文献2】実開昭64−33897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1〜2に記載の構成では、スラットには昇降コード挿通孔を設ける必要がないので、この孔を通じた日射漏れの課題は解決される。しかし、このような構成では、スラットの全閉時に、特に、スラットの上段部では、テンションが掛かった昇降コードがラダーコードよりも前後方向の外側に配置される状態になり、そのため、ラダーコードには、昇降コードに引っ張られて、前後方向外側の力が加わる。この方向の力は、全閉状態になっているスラットを開状態にする方向の力であり、その結果、スラットが少し開いて、遮蔽性が低下してしまう。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、遮蔽性が極めて優れた横型ブラインドを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、
ヘッドボックスから吊り下げられる複数のラダーコードと、
前記ラダーコードの下端に配置されるボトムレールと、
前記ラダーコードに支持される多数段のスラットからなるスラット群と、
前記ヘッドボックスから垂下されて前記ボトムレールを支持する複数の昇降コードと、
前記ヘッドボックスと前記ボトムレールの間の昇降コード長を前記ヘッドボックス側から変化させて前記ボトムレールを昇降させる昇降手段とを備え、
前記複数の昇降コードのうちの少なくとも1つの昇降コードは、前記ラダーコードが前記ヘッドボックスから垂下される位置に対して前記ヘッドボックスの前後方向の同一又は内側の位置から垂下され、前記ボトムレールに近づくにつれて前記スラットの縁に向かってオフセットされる内側垂下昇降コードであり、
前記スラット群のうち前記ヘッドボックスに近い1又は複数枚のスラットからなる上部スラット群のそれぞれのスラットには、前記内側垂下昇降コードとの干渉を軽減する孔又は切欠きが設けられている横型ブラインドが提供される。
【0010】
本発明は、昇降コードが、ラダーコードがヘッドボックスから垂下される位置と同じか又はそれよりも内側から昇降コードが垂下され、ボトムレールに近づくにつれてスラットの前後方向の縁に向かってオフセットされる点を特徴としている。また、スラットには昇降コードとスラットの干渉を軽減するための孔又は切欠きを設けている。このような構成を採用した場合、ヘッドボックス近傍において、昇降コードにはヘッドボックスの前後方向中央に向かう力が働くので、ラダーコードを前後方向外側に引っ張ることがなく、スラットの開きによる遮蔽性の低下を防ぐことができる。
【0011】
多数段のスラットのうち、ヘッドボックスに近い側の1又は複数枚には孔又は切欠きを設ける必要があるので、この部分から日射が漏れる場合があるが、このような孔又は切欠きが設けられるのは、多くのスラットのうちの数枚のみであるので、このような孔又は切欠きによる日射漏れの影響は小さく問題ない。
【0012】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す種々の実施形態は、互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記内側垂下昇降コードは、前記ヘッドボックスの、前記スラットの前後方向の略中央に対応する位置から垂下される。
好ましくは、前記ヘッドボックスには、前記内側垂下昇降コードが前記ヘッドボックスから垂下される位置を規定する昇降コードガイド部が設けられる。
好ましくは、前記孔又は切欠きは、最上段のスラットにおいて前後方向の中央を含む範囲に形成される。
好ましくは、前記上部スラット群のそれぞれのスラットに設けられる孔又は切欠きの深さは、前記ヘッドボックスから離れた段のスラットほど浅くなる。
好ましくは、前記上部スラット群よりも前記ヘッドボックスから離れた側に配置される複数段のスラットからなる下部スラット群のそれぞれのスラットには、深さが同じ切欠きが設けられる。
好ましくは、前記内側垂下昇降コードは、前記孔又は切欠き内に配置される。
好ましくは、前記内側垂下昇降コードは、前記ラダーコードの一対の縦糸間に設けられた一対の横糸の間に挿通される。
好ましくは、前記スラットは、前記一対の横糸が交差した横糸交差部と、前記一対の縦糸の一方との間に挿通され、前記内側垂下昇降コードは、前記横糸交差部と、前記一対の縦糸の他方との間に挿通される。
好ましくは、前記複数の昇降コードの全てが前記内側垂下昇降コードである。
好ましくは、前記複数の昇降コードの一部が前記内側垂下昇降コードであり、残りが外側垂下昇降コードであり、前記外側垂下昇降コードは、前記ラダーコードが前記ヘッドボックスから垂下される位置よりも、前記ヘッドボックスの前後方向の外側から垂下され、且つ前記内側垂下昇降コードとは前後方向の反対側にオフセットされる。
好ましくは、前記昇降コード及び前記ラダーコードは、それぞれ、前記ヘッドボックスに対して前後方向にスライド可能に構成された移動部材に設けられた昇降コード用開口部及びラダーコード用開口部を通じて前記ヘッドボックス内に導入され、前記ラダーコード用開口部は、前記スラットの回転に伴って前記ラダーコードの縦糸に加わる張力によって前記移動部材に前記ヘッドボックスの前後方向外側方向の力が加わるように構成され、前記昇降コード用開口部は、前記力によって前記移動部材が前記外側垂下昇降コードに前記ヘッドボックスの前後方向内側方向の力が加わるように構成される。
好ましくは、前記ラダーコードの一対の縦糸は、前記ヘッドボックスの前後方向にクロスさせた状態で巻取ドラムに取着される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態にかかる、横型ブラインドの全体構成を示す正面図である。
図2図1中の点線で囲った部分の拡大図である。
図3】各スラットに設けられた孔又は切欠き、昇降コード、及びラダーコードの位置関係を示す平面図である。
図4】昇降コードが前後方向の略中央から垂下され、ボトムレールに近づくにつれてスラットの前後方向の縁に向かってオフセットされる状態を示す、側方からの断面図であり、(a)は、スラットが全開状態、(b)は、スラットが全閉状態を示している
図5図3(c)の変形例を示す平面図である。
図6図4(a)の変形例を示す、側方からの断面図である。
図7図4(a)の別の変形例を示す、側方からの断面図である。
図8】(a)は、本発明の第2実施形態の横型ブラインドのヘッドボックスを下側から見た模式図であり、(b)及び(c)は、それぞれ、(a)中の組A及び組Bについての、スラットを水平にした状態での、昇降コードとラダーコードの位置関係を示す、側方からの断面図である。
図9】第2実施形態の組Bについての、スラットを全閉にした状態での、昇降コードとラダーコードの位置関係を示す、側方からの断面図である。
図10】(a)〜(c)は、本発明の第3実施形態の横型ブラインドについての、図8(a)〜(c)に対応する図である。
図11】(a)〜(b)は、それぞれ、図10(b)〜(c)のヘッドボックス周辺の斜視図である。
図12】(a)〜(b)は、それぞれ、第3実施形態の組A及び組Bについての、スラットを全閉にした状態での、昇降コードとラダーコードの位置関係を示す、側方からの断面図である。
図13】(a)〜(c)は、本発明の第4実施形態の横型ブラインドについての、図8(a)〜(c)に対応する図である。
図14】第4実施形態の組Bについての、図9に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を用いて、本発明の種々の実施形態を説明する。以下に示す種々の実施形態は、互いに組み合わせ可能である。
【0015】
1.第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態の横型ブラインド1の全体構成を示す斜視図である。図2は、図1中の点線で囲った部分の拡大図である。図3は、各スラット9に設けられた孔15又は切欠き17、昇降コード13、及びラダーコード5の位置関係を示す平面図である。図4は、昇降コード13が前後方向の略中央から垂下され、ボトムレール7に近づくにつれてスラット9の前後方向の縁に向かってオフセットされる状態を示す、側方からの断面図である。図4(a)は、スラット9が全開状態、図4(b)は、スラット9が全閉状態を示している。図4(a)、(b)では、図示の便宜上、スラット9に設けられた孔15又は切欠き17を省略しているが、実際には、図1図3に示すように孔15又は切欠き17が設けられている。
【0016】
ヘッドボックス3の下面3aからは、複数のラダーコード5が垂下されており、ラダーコード5の下端にはボトムレール7が取着されている。ラダーコード5には、多数段のスラット9からなるスラット群11が支持されている。図1では、10枚のスラット9が支持されているが、スラット9の枚数は、ブラインドの高さ、スラット9の幅、各段のスラット9間の間隔などによって適宜決定される。ヘッドボックス3の下面3aからは複数の昇降コード13も垂下されている。図1では、昇降コード13は、ラダーコード5に対して1本置きに配置しているが、これに限定されず、昇降コード13の本数は、これよりも少なくても多くてもよく、全てのラダーコード5のそれぞれの近傍に昇降コード13を配置してもよい。この昇降コード13は、ラダーコード5がヘッドボックス3から垂下される位置に対してヘッドボックス3の前後方向の内側の位置から垂下されている。より具体的には、昇降コード13は、ヘッドボックス3の、スラット9の前後方向の略中央に対応する位置Cから垂下されている。そして、昇降コード13は、ボトムレール7に近づくにつれて、スラット9の前後方向の縁に向かってオフセットされている。
【0017】
図1図3に示すように、昇降コード13とスラット9との干渉を軽減するために、スラット群11のうちヘッドボックス3に近い1又は複数枚のスラット9からなる上部スラット群11aのそれぞれのスラット9には、孔15又は切欠き17が設けられている。図1の実施形態では、最上段のスラット9の前後方向の中央を含む範囲には、長円状の孔15が設けられ、2段目から6段目までのスラット9には、切欠き17が設けられている。各スラット9に孔15を設けるか、切欠き17を設けるかは、スラット9の幅などに応じて適宜決定することができる。例えば、図1では、最上段のスラット9のみに孔15を設けて、それよりも下段のスラット9には切欠き17を設けているが、スラット9の幅がこれよりも広い場合、2段目以降のスラット9に孔15を設けてもよい。また、スラット9の幅がこれよりも狭い場合、最上段のスラット9にも孔15の代わりに切欠き17を設けてもよい。また、二段目以降には切欠き17を設けなくてもよい。また、孔15又は切欠き17を設ける段数もスラット9の幅等に応じて適宜決定される。スラット9の幅が広いほど、昇降コード13との干渉を軽減するために、より多くの段に孔15又は切欠き17を設ける必要がある。
【0018】
図3に示すように、上部スラット群11aのスラット9に設けられる孔15又は切欠き17の深さは、ヘッドボックス3から離れた段のスラット9ほど浅くなっている。ヘッドボックス3に近い段のスラット9ほど、昇降コード13との干渉が強いので、孔15又は切欠き17の深さを深くする必要があり、ヘッドボックス3から離れるにつれてスラット9と昇降コード13の干渉が弱まるので、孔15又は切欠き17の深さを浅くすることができる。このような構成を採用することによって、遮蔽性低下やスラット9の強度低下を最低限にしつつ、スラット9と昇降コード13の過度の干渉を避けることができる。なお、本明細書において、「孔の深さ」は、図3(a)に示すように、昇降コード13がオフセットされる側のスラット9の縁から、孔15の最も離れた位置までの距離を意味し、「切欠きの深さ」は、図3(b)に示すように、昇降コード13がオフセットされる側のスラット9の縁から、切欠き17の最も離れた位置までの距離を意味する。
【0019】
上部スラット群11aよりもヘッドボックス3から離れた側に配置される複数段のスラット9からなる下部スラット群11bについては、スラット9と昇降コード13との間の干渉は強くないので、干渉軽減という観点からは切欠き17を設ける必要はない。しかし、スラット9の位置ズレ防止等の目的で、下部スラット群11bのスラット9にも切欠き17を設け、昇降コード13を切欠き17内に配置してもよい。この場合、各スラット9の切欠き17は、同じ深さにすることができる。
【0020】
ラダーコード5は、一対の縦糸5aと、その間に設けられた多数対の横糸5bとで構成されている。各対の横糸5b間にスラット9が挿通されている。昇降コード13とラダーコード5の位置関係は、特に限定されない。本実施形態では、最上段では、昇降コード13がラダーコード5の一対の横糸5bの間に挿通されており、2段目では、一対の横糸5bの間に挿通されない。3段目以降では、スラット9が、一対の横糸5bが交差した横糸交差部5cと、一対の縦糸5aの一方との間に挿通され、昇降コード13は、横糸交差部5cと、一対の縦糸5aの他方との間に挿通される(このような配置を「クロス配置」と称する)。このように、クロス配置にすることによって、昇降コード13と切欠き17との接触を防止して、摩擦によって昇降コード13が損傷することを防ぐことができる。また、クロス配置では、切欠き17と昇降コード13の間に横糸交差部5cが存在しているために、昇降コード13と切欠き17が常に離間され、且つ昇降コード13は縦糸5aと横糸交差部5cの間の小さなループ内でのみ移動可能であるので、昇降コード13と縦糸5aがほぼ一体となって動く。このような構成のため、切欠き17と縦糸5aが常に必然的に離間されることとなり、切欠き17を下向きにした状態でスラットを上昇させても、縦糸5aが切欠き17に引っ掛かるという問題は生じ得ない。また、別の実施形態では、図5に示すように、一対の横糸5bを平面視で交差させずに、昇降コード13を一対の横糸5bの間に挿通してもよい(このような配置を「ストレート配置」と称する)。
【0021】
2段目のスラット9において、昇降コード13を一対の横糸5bの間に挿通していないのは、縦糸5aが昇降コード13に引っ張られてスラット9のチルトが阻害されることを防ぐためである。スラット9の幅等によっては、3段目以降においても昇降コード13を一対の横糸5bの間に挿通しないようにしてもよい。また、2段目においても、昇降コード13をストレート配置で一対の横糸5b間に挿通してもよい。ストレート配置では、クロス配置に比べて、縦糸5aが昇降コード13に拘束されないので、昇降コード13を一対の横糸5b間に挿通しても、スラット9のチルトが阻害されにくい。また、昇降コード13は、ラダーコード5に設けられた小リング(ピコ)に挿通させるようにしてもよい。
【0022】
図4(a)、(b)に示すように、本実施形態では、昇降コード13は、ヘッドボックス3の、スラット9の前後方向の略中央に対応する位置に配置された昇降コードガイド部(例:滑車)19で位置決めされて巻取ドラム21に巻き取られるようになっている。このような構成で、巻取ドラム21を回転させることによって、ヘッドボックス3とボトムレール7の間の昇降コード長を変化させてボトムレール7を昇降させることができる。なお、巻取ドラム21は、駆動軸22を回転させることによって、回転させることができる。駆動軸22を回転させる方法は、特に限定されず、駆動軸22に回転不能に固定されたプーリーに操作コードを掛装して、この操作コードを引っ張ってプーリーを回転させることによって駆動軸22を回転させてもよく、電動モーターを用いて駆動軸22を回転させてもよい。なお、本発明では、昇降手段は、図4に示すような巻取ドラム式の昇降手段に限定されず、昇降コードガイド部19を通じてヘッドボックス3内に挿入された昇降コード13をヘッドボックス3の別の位置から引き出し、その引き出し量を変化させることによってボトムレール7を昇降させる、所謂、直引き式の昇降手段であってもよい。
【0023】
図4(a)、(b)では、ラダーコード5の縦糸5aのヘッドボックス側の端は、巻取ドラム21に装着された吊下リング23に取着される。吊下リング23は、所定の可動範囲内において、巻取ドラム21と共に回転するので、巻取ドラム21の回転によって縦糸5aが引っ張られてスラット9がチルトされる。スラット9に孔15又は切欠き17が設けられていなければ、上部スラット群11aにおいては、昇降コード13とスラット9の干渉が非常に強くなるので、特に図4(b)のようなスラット9の全閉状態から図4(a)のようなスラット9の全開状態にする際にスラット9のスムーズなチルトが阻害されるが、本実施形態では、スラット9に孔15又は切欠き17を設けることによって、昇降コード13とスラット9の干渉を低減しているので、スラット9をスムーズにチルトさせることができる。
【0024】
図4(a)、(b)から明らかなように、本実施形態では、昇降コード13は、スラット9の前後方向の略中央に対応する位置Cから垂下されているので、昇降コード13がラダーコード5をスラット9の前後方向外側に引っ張ることによる遮蔽性の低下を防ぐことができ、遮蔽性が極めて優れた横型ブラインドを得ることができる。
【0025】
また、昇降コード13がヘッドボックス3から垂下される位置は、位置Cに限定されず、図6に示すように、ラダーコード5がヘッドボックス3から垂下される位置Aよりも、ヘッドボックス3の前後方向の内側の任意の位置であってもよく、図7に示すように、ラダーコード5がヘッドボックス3から垂下される位置Aと同一であってもよい。
【0026】
また、図1に示す実施形態では、複数の昇降コード13の全てが、ラダーコード5がヘッドボックス3から垂下される位置に対してヘッドボックス3の前後方向の内側の位置から垂下されているが、別の実施形態では、少なくとも1つの昇降コード13がこのような構成を有していればよく、残りの昇降コード13は、ラダーコード5よりも前後方向の外側の位置においてヘッドボックス3から垂下されていてもよい。
【0027】
2.第2実施形態
次に、図8図9を用いて、本発明の第2実施形態の横型ブラインドについて説明する。本実施形態の横型ブラインドは、第1実施形態に類似しているが、本実施形態は、一部の昇降コード13がラダーコード5よりもヘッドボックス3の前後方向の内側の位置から垂下され、残りの昇降コードは、ラダーコード5よりもヘッドボックス3の前後方向の外側の位置から垂下されている点を特徴としている。
以下、具体的に説明する。
【0028】
図8(a)は、ヘッドボックス3の下面3aを下側から見た模式図である。図8(a)には、昇降コード13とラダーコード5の組を3つ(組Aを2つ、組Bを1つ)示している。図8(b)、(c)は、それぞれ、組A及組Bについての、スラット9を水平にした状態での、昇降コード13とラダーコード5の位置関係を示す、側方からの断面図である。図9は、組Bについての、スラット9を全閉にした状態での、昇降コード13とラダーコード5の位置関係を示す、側方からの断面図である。
【0029】
組Bでは、昇降コード13は、ラダーコード5よりもヘッドボックス3の前後方向の内側の位置から垂下されており、組Aでは、昇降コード13は、ラダーコード5よりもヘッドボックス3の前後方向の外側の位置から垂下されており、組Aと組Bは、交互に並んでいる。つまり、組A、組Bの昇降コード13は、それぞれ、外側垂下昇降コード、内側垂下昇降コードである。ヘッドボックス3の下面3aには、各組の昇降コード13及びラダーコード5を挿通させるための昇降コード開口部13a,及びラダーコード用開口部5dを備えた支持部材25が配置されている。支持部材25には、巻取ドラム21が回転可能に支持されており、昇降コード13及びラダーコード5は、開口部13a,5dを通じて巻取ドラム21に取着される。
【0030】
より具体的には、組Bでは、昇降コード13は、ヘッドボックス3の前後方向の略中央に配置された昇降コードガイド部(例:滑車)19で位置決めされて巻取ドラム21に巻き取られるようになっており、その結果、ラダーコード5よりもヘッドボックス3の前後方向の内側を通ってヘッドボックス3内に導入される。一方、組Aでは、昇降コード13は、昇降コードガイド部19には接触せずに、巻取ドラム21に巻き取られる。ラダーコード5は、ラダーコード用開口部5dの内壁面によって、ヘッドボックス3の前後方向の内側方向に押し込まれた状態でヘッドボックス3内に導入されるので、組Aでは、昇降コード13は、ラダーコード5よりもヘッドボックス3の前後方向の外側を通ってヘッドボックス3内に導入される。なお、組A用の支持部材25にも昇降コードガイド部19が設けられているが、これは、組A用の支持部材25と組B用の支持部材25を共通部品にするためであり、組A用の支持部材25には昇降コードガイド部19は無くてもよい。
【0031】
図8(c)に示すように、ヘッドボックス3に近い位置において、組Bの昇降コード13とスラット9との間の干渉を避けるために、ヘッドボックス3に近い方の数枚のスラット9には深い切欠き17が設けられている。切欠き17の深さは、ヘッドボックス3から離れるにつれて浅くなっている。第1実施形態で説明したように、切欠き17の代わりに、干渉を避けるための孔15を設けてもよい。また、ヘッドボックス3から十分に離れた位置にあるスラット9には、切欠き17と孔15の何れも設ける必要はない。また、本実施形態では、スラット9を上昇させたときにラダーコード5の位置がふらつくことを防ぐために、ヘッドボックス3に近い位置において、昇降コード13とラダーコード5を取り囲むリング26を設けているが、リング26は省略可能である。
【0032】
また、図8(b)に示すように、組Aの昇降コード13は、ヘッドボックス3に近い位置においても、スラット9と干渉しない。従って、組Aの昇降コード13が通る位置には、切欠き17や孔15は設ける必要がない。なお、本実施形態では、スラット9が昇降コード13に対して横滑りすることを防ぐために、昇降コード13が収容される切欠き17が設けられているが、この切欠き17は省略可能である。また、昇降コード13は、上述したクロス配置で、一対の横糸5bの間に挿通させてもよい。
【0033】
図9を参照すると、本実施形態においても、スラット9の全閉時に、昇降コード13がラダーコード5よりも内側にあるので、昇降コード13がラダーコード5を外側に引っ張ることがなく、高遮蔽性が達成できる。第1実施形態では、全ての昇降コード13がラダーコード5よりも内側から垂下されているので、各昇降コード13との干渉を避けるための深い切欠き17又は孔15が必要であったが、本実施形態では、組Aの昇降コード13については、このような深い切欠き17又は孔15が不要であるので、その分だけ、遮蔽性が向上する。
【0034】
本実施形態では、組Aと組Bが連続して並んでいる形態を示したが、組Aと組Bの間にラダーコードをさらに設けてもよい。また、組Aと組Bは、必ずしも交互でなくてもよく、例えば、組A、組B、組B、組Aのように配置してもよい。
【0035】
3.第3実施形態
次に、図10図12を用いて、本発明の第3実施形態の横型ブラインドについて説明する。本実施形態の横型ブラインドは、第2実施形態に類似しているが、本実施形態は、ヘッドボックス3の前後方向(矢印Dの方向)にスライド移動可能な移動部材27が支持部材25にスライド移動可能に支持されており、昇降コード13及びラダーコード5を挿通させるための開口部13a,5dが移動部材27に設けられている点を特徴としている。
以下、具体的に説明する。
【0036】
ラダーコード用開口部5dには、ラダーコード5の一対の縦糸5aが挿通されている。一対の縦糸5aは、室内側縦糸5aaと、室外側縦糸5abで構成される。図10(b)〜(c)に示すように、スラット9が水平状態の場合、室内側縦糸5aaは、開口部5dの内壁面に対して室内方向の力を加え、室外側縦糸5abは、開口部5dの内壁面に対して室外方向の力を加え、これらの力が釣り合っているので、移動部材27は、巻取ドラム21の直下の辺りに位置したまま動かない。
【0037】
図12(a)〜(b)に示すように、巻取ドラム21が矢印Xの方向に回転されると、室内側縦糸5aaに加わる張力が、室外側縦糸5abに加わる張力よりも大きくなり、それによって、室内側縦糸5aaが移動部材27に加える力が室外側縦糸5abが移動部材27に加える力よりも大きくなり、その結果、移動部材27が室内方向(矢印Y)の方向に移動する。
【0038】
図10(a)〜(b)及び図11(a)に示すように、組Aの昇降コード13は、スラット9が水平な状態において、昇降コード用開口部13aの内壁面に接触しているか、その近傍に位置しているので、移動部材27が矢印Yの方向に移動すると、開口部13aの内壁面が組Aの昇降コード13に当接して、昇降コード13に矢印Yの方向の力を加えて移動させる。
【0039】
このように、本実施形態では、スラット9を全閉状態にしたときに、組Aの昇降コード13が自然に室内側に移動させられ、これによって、組Aの昇降コード13とラダーコード5の距離が縮められる。これによって、室外側縦糸5abが室外側に引っ張られる力が弱められ、遮蔽性がさらに改善される。さらに、スラット9の全閉時に室内側縦糸5aaの方向が垂直に近づくので、スラット9の角度も垂直に近づき、この観点からも遮蔽性がさらに改善される。
【0040】
なお、昇降コード13に荷重が加わっている状態では昇降コード13は移動しにくいので、ボトムレール7を下限まで下降させて大部分の荷重がラダーコード5に加わっている状態で、スラット9を回転させることが好ましい。
【0041】
なお、本実施形態では、縦糸5aaを室内側縦糸とし、縦糸5abを室外側縦糸としたが、縦糸5aaを室外側縦糸とし、縦糸5abを室内側縦糸としてもよい。言い換えると、本実施形態では、図10(b)及び(c)において、右側を室内側にすることを想定しているが、左側を室内側にしてもよい。
【0042】
4.第4実施形態
次に、図13図14を用いて、本発明の第4実施形態の横型ブラインドについて説明する。
本実施形態の横型ブラインドは、第1実施形態に類似しているが、本実施形態は、ラダーコード5の一対の縦糸5aがラダーコードガイド部(例:滑車)29を介して、前後方向に交差されて巻取ドラム21に取着されている点を特徴としている。この構成により、図14に示すように、スラット9を全閉状態にしたときに、ラダーコード5の室内側縦糸5aaに矢印Xで示す方向の力が加わり、これによってスラット9がより確実に閉じて、遮蔽性が改善される。
【0043】
ここまで第1〜第4実施形態において説明した種々の特徴は、互いに組み合わせ可能である。
【符号の説明】
【0044】
1:横型ブラインド、3:ヘッドボックス、5:ラダーコード、5a:縦糸、5aa:室内側縦糸、5ab:室外側縦糸、5b:横糸、7:ボトムレール、9:スラット、11:スラット群、11a:上部スラット群、11b:下部スラット群、13:昇降コード、15:孔、17;切欠き、19:昇降コードガイド部、21:巻取ドラム、22:駆動軸、23:吊下リング、25:支持部材、26:リング、27:移動部材、29:ラダーコードガイド部
図1
図2
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図10
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